特許第5661961号(P5661961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5661961
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】自走式電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20150108BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   A47L9/00 102Z
   A47L9/28 E
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-104791(P2014-104791)
(22)【出願日】2014年5月21日
【審査請求日】2014年5月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503404729
【氏名又は名称】有限会社渥美不動産アンドコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100119275
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 信明
(72)【発明者】
【氏名】渥美 和也
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−006857(JP,A)
【文献】 特開2005−135400(JP,A)
【文献】 特開2008−279066(JP,A)
【文献】 特開2003−010076(JP,A)
【文献】 特開2007−181652(JP,A)
【文献】 特開2006−026254(JP,A)
【文献】 特開平09−276347(JP,A)
【文献】 実開昭49−032456(JP,U)
【文献】 特開2004−000849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00
A47L 9/28
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部の略全幅に亘って下部に開口する第1の吸引口および第1の駆動モーターで駆動する第1の走行車輪を具え、該第1の吸引口に第1の吸引管を介して順に連通する集塵室および吸引モーターが内蔵されるとともに充電型の蓄電池が内蔵された筐体状の電気掃除機本体と、
前記電気掃除機本体の片側または両側の側面から直交方向に向けて突出する出没自在かつ突出長さが可変の中空のノズルと、からなり、
前記ノズルの先端部分は先端部および下部に開口する第2の吸引口を具えて前記第1の吸引管に連通し、
前記吸引モーターおよび前記第1の駆動モーターは前記蓄電池を電源とし、
前記第1の吸引口および前記第2の吸引口で吸引された塵芥は前記第1の吸引管を通って前記集塵室に送られ、
前記電気掃除機本体には天井面まで延伸するポールが着脱可能に取着され、該ポールの上端部には天井面または天井面下を転動する転動部を具え、
前記転動部には複数の自在キャスターまたは履帯が取着され、該自在キャスターは天井面を押圧するように付勢されるとともに前記電気掃除機本体の移動に伴って天井面を従動しまたは同期して天井面を自走し、該履帯は天井面を押圧するように付勢されるとともに前記電気掃除機本体の移動に同期して天井面を走行する、ことを特徴とする自走式型電気掃除機。
【請求項2】
前記第1の走行車輪の走行方向および走行速度は遠隔操作が可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の自走式電気掃除機。
【請求項3】
前記転動部からは身体を抱囲するハーネス型の安全帯が調整可能な長さで懸吊される、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自走式電気掃除機。
【請求項4】
前記電気掃除機本体の上面の略平滑な面が座部を形成し、該電気掃除機本体の後側には背もたれ部が取着され、該座部は着座可能である、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の自走式電気掃除機。
【請求項5】
前記ポールは中空であって、その中間部からは曲折自在で中空の水平管が任意の方向に水平に突出し、その先端部は吸引口となっていて吸引された塵芥は該水平管および該ポールを通って前記集塵室に送られる、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の自走式電気掃除機。
【請求項6】
前記ポールの中間部からは曲折自在の水平管が水平に突出し、その先端部には水平方向に回転する電動ブラシが取着され、該電動ブラシは前記蓄電池を電源とする、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の自走式電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自走式の電気掃除機に関し、特に、高齢者に適した多機能の電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一人住まいの高齢者や高齢者のみが生活する住宅が増加傾向にあるが、このような住宅にあっても部屋の掃除は必須であることには変わりはない。このような背景を反映した高齢者向きの電気掃除機については、例えば、特開2009−195358号公報に開示されている。
【0003】
特開2009−195358号公報に開示の「電気掃除機」は、「電気掃除機において、掃除中の障害物等を避けるために吸込具を持ち上げる際、有る程度の握力が必要であり、力の弱い女性や高齢者には使い勝手が悪かった」ことを課題としていて、この課題を解決するために「吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記吸引風とともに塵埃を吸引する吸込具と、前記掃除機本体と吸込具とを接続する延長管と、吸込具を移動させるための把手部からなり、把手部の後方斜め上方に、把手部を握った手の小指根元から手首関節までの間と接触してこれを支えるサポート部」を構成として、「これにより、吸込具持ち上げ時にサポート部で手の小指後方付近を支えることで、吸込具を持ち上げ容易となり、掃除中の障害物や絨毯等の端を避けての掃除が容易となる」とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−195358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、力の弱い女性や高齢者には使い勝手が良くても、高齢者によっては手軽に使用することができる歩行補助具や車椅子が必要な場合がある。そこで、本願発明は、力の弱い高齢者に使い勝手が良く、歩行補助具や車椅子を兼ね備えた多機能の電気掃除機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、本願請求項1に係る自走式電気掃除機は、前端部の略全幅に亘って下部に開口する第1の吸引口および第1の駆動モーターで駆動する第1の走行車輪を具え、該第1の吸引口に第1の吸引管を介して順に連通する集塵室および吸引モーターが内蔵されるとともに充電型の蓄電池が内蔵された筐体状の電気掃除機本体と、前記電気掃除機本体の片側または両側の側面から直交方向に向けて突出する出没自在かつ突出長さが可変の中空のノズルと、からなり、前記ノズルの先端部分は先端部および下部に開口する第2の吸引口を具えて前記第1の吸引管に連通し、前記吸引モーターおよび前記第1の駆動モーターは前記蓄電池を電源とし、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口で吸引された塵芥は前記第1の吸引管を通って前記集塵室に送られ、前記電気掃除機本体には天井面まで延伸するポールが着脱可能に取着され、該ポールの上端部には天井面または天井面下を転動する転動部を具え、前記転動部には複数の自在キャスターまたは履帯が取着され、該自在キャスターは天井面を押圧するように付勢されるとともに前記電気掃除機本体の移動に伴って天井面を従動しまたは同期して天井面を自走し、該履帯は天井面を押圧するように付勢されるとともに前記電気掃除機本体の移動に同期して天井面を走行する、ことを特徴としている。なお、自走式電気掃除機の「前」「後」および「側面」は電気掃除機本体の走行方向に対する概念である。また、直交方向とは、走行方向に直交する方向を言う。さらに、電動具は電源コンセントから電力供給されても良いことは勿論である。
また、本願請求項2に係る自走式電気掃除機は、請求項1に記載の自走式電気掃除機であって、前記第1の走行車輪の走行方向および走行速度は遠隔操作が可能である、ことを特徴としている。
そして、本願請求項3に係る自走式電気掃除機は、請求項1または請求項2に記載の自走式電気掃除機であって、前記転動部からは身体を抱囲するハーネス型の安全帯が調整可能な長さで懸吊される、ことを特徴としている。
さらに、本願請求項4に係る自走式電気掃除機は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の自走式電気掃除機であって、前記電気掃除機本体の上面の略平滑な面が座部を形成し、該電気掃除機本体の後側には背もたれ部が取着され、該座部は着座可能である、ことを特徴としている。
また、本願請求項5に係る自走式電気掃除機は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の自走式電気掃除機であって、前記ポールは中空であって、その中間部からは曲折自在で中空の水平管が任意の方向に水平に突出し、その先端部は吸引口となっていて吸引された塵芥は該水平管および該ポールを通って前記集塵室に送られる、ことを特徴としている。
そして、本願請求項6に係る自走式電気掃除機は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の自走式電気掃除機であって、前記ポールの中間部からは曲折自在の水平管が水平に突出し、その先端部には水平方向に回転する電動ブラシが取着され、該電動ブラシは前記蓄電池を電源とする、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本願発明は上記の構成により以下の効果を奏する。
(1)筐体状の電気掃除機本体がその前端部の略全幅に亘って下部に開口する第1の吸引口を具えている上に、電気掃除機本体の片側または両側の側面から直交方向に向けて突出する第2の吸引口を有する中空のノズルを具えているので、幅広い面を一度に掃除できる。また、電気掃除機本体は自走するので、使用者に掛かる負担はなく、力の弱い高齢者であっても使い勝手が良い。
(2)電気掃除機本体に上端部が天井面または天井面下を転動する転動部を具えるポールを取り付けて電気掃除機自体を走行させれば、ポールに掴まった高齢者の歩行補助具の代用となる。また、転動部に複数の自在キャスターを取着することで、電気掃除機本体の転倒を防止することができる。
(3)転動部にポールに対し回動自在に履帯を取着し、この履帯が天井面を押圧するように付勢させて電気掃除機本体の移動に同期して天井面を走行するようにすれば、天井面の凹凸や垂れ壁などの障害物を越えて転動部が移動できる。
(4)転動部から使用者の胸部や腰部等の身体を抱囲するハーネス型の安全帯を懸吊することで、使用者の歩行の介助や歩行の訓練を行うことができる。
(5)電気掃除機本体の上面を座板兼用とし、電気掃除機本体の後側に背もたれを取着して、電気掃除機本体の上面を着座可能とすることにより、車椅子としても使用可能となる。
(6)電気掃除機本体に取り付けたポールの中間部から水平方向に突出する吸引口を有する中空の管を具えることにより、床面から所定の高さにある棚面等を掃除することができる。また、ポールの中間部から水平方向に突出する電動ブラシを有する管を具えることにより、床面から所定の高さにある家具等の埃等を払うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1に係る自走式電気掃除機の側面図である。
図2】実施例2に係る自走式電気掃除機の側面図である。
図3】実施例3に係る自走式電気掃除機のポール上部の部分側面図である。
図4】実施例4に係る自走式電気掃除機のポール上部の部分側面図である。
図5】実施例5に係る自走式電気掃除機の側面図である。
図6】実施例6に係る自走式電気掃除機のポールの部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態に係る実施例1ないし実施例6について、図1ないし図6を参照して説明する。なお、図1ないし図6において、符号1は実施例1に係る自走式電気掃除機、符号2は実施例2に係る自走式電気掃除機、符号3は実施例3に係る自走式電気掃除機、符号4は実施例4に係る自走式電気掃除機、符号5は実施例5に係る自走式電気掃除機、符号6は実施例6に係る自走式電気掃除機、符号10は電気掃除機本体、符号11は第1の吸引口、符号12は第1の駆動モーター、符号13は第1の走行車輪、符号14は前輪、符号15は吸引モーター、符号16は充電式蓄電池、符号17は集塵室、符号18は吸引管、符号19は子機収容スペース、符号20は子機、符号21は第2の吸引口、符号22はノズル、符号23は第2の駆動モーター、符号24は第2の走行車輪、符号31はポール、符号311はポールグリップ部、符号32は転動部、符号321は自在キャスター、符号322はキャスター取り付け板、符号323はレール、符号324は懸垂式車輪、符号325は履帯、符号326は軸継手、符号33は座部、符号34は背もたれ部、符号35は足置き台、符号36は水平管、である。
【実施例1】
【0010】
まず、実施例1に係る自走式電気掃除機1について、図1を参照して説明する。
自走式電気掃除機1は、主に、電気掃除機本体10と電気掃除機本体10の子機収容スペース19に収容される子機20とから構成されている。
【0011】
筐体状を呈する電気掃除機本体10の内部は、その前端部(図1の左側)に電気掃除機本体10の略全幅(図1の手前側から裏側に掛けて)に亘って下部に開口する第1の吸引口11が固着されている。そして、第1の吸引口11は吸引管18に連通していて、この吸引管18を介して順に集塵室17、吸引モーター15が連通していて、吸引モーター15は電気掃除機本体10の外部に開口する図示外の排気口に接続している。すなわち、第1の吸引口11で吸引された空気は、集塵室17および吸引モーター15を経て排気口から排気されるようになっている。
【0012】
電気掃除機本体10の両側の前方には左右一対の前輪14が回動自在に軸支され、後方には左右一対の第1の走行車輪13が配置されていて、第1の走行車輪13にはそれぞれに第1の駆動モーター12が添設されている。そして、第1の駆動モーター12のそれぞれが独立して駆動し、第1の走行車輪13の回転速度を異ならしめて電気掃除機本体10の走行方向を変更することができるようになっている。さらに、電気掃除機本体10の前輪14と第1の走行車輪13の間の側面は口が開いていて子機収容スペース19が形成されている。また、集塵室17の隣には充電式蓄電池16が併設されていて、充電式蓄電池16には外部の電源に接続するための図示外の電気コードが格納され、必要に応じて外部の電源に接続できるようになっている。
【0013】
子機20もまた電気掃除機本体10と同様に筐体状を呈し、子機収容スペース19に着脱自在に収容できるようになっていて、子機収容スペース19には子機20全体が少し持ち上がった状態で収容される。このため、子機20の収容時においては、後述する子機20の第2の走行車輪24が電気掃除機本体10の走行の障害になることはない。
【0014】
子機20は中空のノズル22を囲繞するように掴時していて、その側面には一対の第2の走行車輪24が配置されている。そして、第2の走行車輪24にはそれぞれに第2の駆動モーター23が添設されていて、電気掃除機本体10の側面に対して直交する方向に前進走行および後退走行ができるようになっている。
【0015】
子機20に掴時されるノズル22は基端部分がパイプ状になっているものの、その先端部分はパイプを左右から押しつぶしたようになっていて先端部分の先端部と下端部が開口して第2の吸引口21が形成されている。そして、ノズル22の先端部分が子機20に掴時され、基端部分の基端部が吸引管18に連通し、基端部分は入れ子式や蛇腹式などの伸縮自在の構造となっている。なお、子機20の走行方向に対して直交方向にも出没可能なノズルを具えるようにしても良く、この場合にはさらに広い面積を一度に掃除することができるようになる。
【0016】
また、子機20が電気掃除機本体10から引き出されると、第1の駆動モーター12への電力供給が停止して第2の駆動モーター23の電力が供給されるようになっているとともに、子機20自体は全体が少し下がって第2の走行車輪24は床面に着地するようになっている。
【0017】
ここで、実施例1に係る自走式電気掃除機1の使用方法について説明する。
前述したように自走式電気掃除機1は充電型の蓄電池を内蔵したコードレス式の電気掃除機であり、不使用時には図示外の電気コードを電気掃除機本体10から引き出してコンセントに接続して充電することができる。
【0018】
自走式電気掃除機1を電気掃除機として使用する場合の手順例は以下の通りである。
(1)遠隔操作の発信器の吸引ボタンをONにし、走行ボタンもONにすると、その信号は電気掃除機本体10に内蔵された受信機に伝わり吸引モーター15が稼働し、第1の駆動モーター12が稼働して、自走式電気掃除機1は、床面の塵や埃を吸引しながら自走する。
(2)吸引モーター15の稼働により、吸引管18内には空気の流れが生じて、第1の吸引口11→集塵室17→吸引モーター15→排気口(図示外)、の空気流通経路が形成される。このため、第1の吸引口11から空気と共に吸引された塵は集塵室17で篩い分けられて残りの空気は排気口から電気掃除機本体10の機外に排出される。
(3)自走式電気掃除機1の方向転換は電気掃除機本体10の第1の走行車輪13の回転速度を異ならしめて行う。すなわち、右に曲げる場合には、遠隔操作の発信器からの命令で右側の第1の走行車輪13に添設された第1の駆動モーター12に多くの電流が流れて回転速度を速め、左に曲げる場合には、遠隔操作の発信器からの命令で左側の第1の走行車輪13に添設された第1の駆動モーター12に多くの電流が流れて左側の回転速度を速めように操作されることとなる。
(4)遠隔操作の発信器の子機20のボタンをONにすると電気掃除機本体10から子機20が離脱して第1の駆動モーター12への電力供給は停止されて第2の駆動モーター23に電力が供給されるとともに、吸引モーター15が稼働する。そのため、吸引管18内には空気の流れが生じて、第2の吸引口21→集塵室17→吸引モーター15→排気口(図示外)、の空気流通経路が形成される。これにより、第2の吸引口21から空気と共に吸引された塵は集塵室17で篩い分けられて残りの空気は排気口から電気掃除機本体10の機外に排出される。また、遠隔操作の発信器の子機走行の前進・後退ボタンをONにすることにより、子機20は塵や埃を吸引しながら前進走行や後退走行をすることができる。この場合には吸引面積が横方向に拡がるため、僅かな時間で広い面積を掃除することができるようになる。
(5)集塵室17が塵や埃で満たされた場合には、集塵室17に連通する塵取り出し口(図示外)を開けて外に廃棄する。
【0019】
なお、自走式電気掃除機1については子機20を片側のみに配置しているが両側に配置することも可能である。さらに、子機20に代わって出没自在かつ突出長さが可変の中空のノズル自体を電気掃除機本体10の片側または両側に取着するようにすることも可能である。
【実施例2】
【0020】
つぎに、実施例2に係る自走式電気掃除機2について、図2を参照して説明する。
自走式電気掃除機2は、主に、電気掃除機本体10と電気掃除機本体10の子機収容スペース19に収容された子機20と、電気掃除機本体10の後側すなわち背面側に取着されて上方向に延伸するポール31とから構成されている。なお、実施例2における電気掃除機本体10と子機20の構成は実施例1と同様であるのでその説明を省略し、ここでは、主にポール31について説明する。
【0021】
中空管であるポール31の上端には転動部32が固着され、中間部にはコの字状で断面が略円形のポールグリップ部311が固着されている。また、ポール31の上端部分は入れ子式になっていて、天井面を軽く押圧するように付勢されている。
【0022】
転動部32はポール31の上端部に直接固着された矩形状の板であるキャスター取り付け板322とその上に等間隔に固着された4個の自在キャスター321から構成されていて、自在キャスター321はポール31に押圧されて天井面に密着し、自走式電気掃除機2の走行に従動して回動する。
【0023】
上記の構成により自走式電気掃除機2が走行すると、ポール31も移動してポール31のポールグリップ部311を掴持する高齢者の歩行補助具となって歩行を容易にする。そして、転動部32が広い面で天井面を押圧するので、歩行中に自走式電気掃除機2が倒れるようなことはなく、使用者の転倒も防止できる。
【実施例3】
【0024】
つぎに、実施例3に係る自走式電気掃除機3について、図3を参照して説明する。
自走式電気掃除機3は、主に、電気掃除機本体10と電気掃除機本体10の子機収容スペース19に収容された子機20と、電気掃除機本体10の後側すなわち背面側に取着されて上方向に延伸するポール31とから構成されている。なお、実施例3における電気掃除機本体10と子機20の構成は実施例1と同様であり、ポール31は実施例2と略同様であって異なるところは転動部32であるので、ここでは、主にポール31の上部に位置する転動部32について説明する。
【0025】
転動部32は天井から懸吊されたレール323とレール323を挟持しながら走行する一対の車輪からなる懸垂式車輪324とから構成されている。レール323はその断面が逆T字状であって、懸垂式車輪324の車輪がレール323を挟むように配置されている。そして、懸垂式車輪324は平板状のつなぎ板を介してポール31に固着されていて、伸縮自在のポール31により懸垂式車輪434は常にレール433のフランジ面を押圧するようになっている。
【0026】
上記の構成により自走式電気掃除機3が走行すると、ポール31も移動してポール31のポールグリップ部311(図2参照)を掴時する高齢者の歩行補助具となって歩行を容易にする。そして、転動部32がレール323をしっかりと挟持するので、歩行中に自走式電気掃除機2が倒れるようなことはなく、使用者の転倒も防止できる。
なお、レールに代えて、天井面近傍に張力が掛かった状態で張り渡したロープを使用することもできる。
【実施例4】
【0027】
つぎに、実施例4に係る自走式電気掃除機4について、図4を参照して説明する。
自走式電気掃除機4は、主に、電気掃除機本体10と電気掃除機本体10の子機収容スペース19に収容された子機20と、電気掃除機本体10の後側すなわち背面側に取着されて上方向に延伸するポール31とから構成されている。なお、実施例5における電気掃除機本体10と子機20の構成は実施例1と同様であり、ポール31は実施例2と略同様であって異なるところは転動部32であるので、ここでは、主に転動部32について説明する。
【0028】
転動部32は履帯325と、履帯325とポール31とを接続させる軸継手326から構成されている。履帯325は一対の動輪を囲むようにエンドレス状に接続された履板で構成されていて、履帯325自体は充電式蓄電池16から電力が供給されて電気掃除機本体10の移動に合わせて天井面を走行するようになっている。また、軸継手326は履帯325を回動自在に軸支していて履帯325の自由な傾きを許容するようになっている。
【0029】
ポール31には図示外の傾斜センサーが添設されていてポール31の傾きを検出し、傾きが一定の範囲を超えると第1の駆動モーター12あるいは履帯325の動輪への電力供給が停止されて電気掃除機本体10の走行あるいは履帯325の走行が停止するようになっていて、ポール31の傾きが一定に範囲内に収まるようになると再び電力が供給される。また、ポール31の上端部分は入れ子式になっていて、天井面を軽く押圧するように付勢されているため、履帯325は常に天井面に接触している。
【0030】
上記の構成により子機20の第1の走行車輪13が回転すると電気掃除機本体10自体が走行する一方で、履帯325の動輪が回転して履帯435も走行する。天井面が平坦であれば電気掃除機本体10自体の走行と履帯325の走行が同期することで外見上は一体となって自走式電気掃除機4が走行する。
【0031】
天井面に下り壁が垂設されている場合は、以下の行程を経ることになる。
(1)天井面を走行する履帯325が下り壁に突き当たると、軸継手326の働きにより履帯325はポール31に対して傾きながら下り壁に沿って下降する。
(2)このときポール31の上部は殆ど水平移動が無いものの電気掃除機本体10に固着されているポール31の下部は電気掃除機本体10の動きに合わせて水平移動する。その結果、ポール31は走行方向に下部を突き出すようにして傾斜する。
(3)ポール31に添設された傾斜センサーがポール31の傾きを検出し、傾きが一定の範囲を超えると第1の駆動モーター12への電力供給が停止されて電気掃除機本体10の走行が停止する。一方、履帯325はそのまま走行して下り壁に沿って下降し、下り壁の下端を回って下り壁の裏の壁に沿って上昇する。この結果、ポール31の傾斜は緩やかに、あるいは逆に傾斜して傾斜センサーによる検出角度が一定の範囲内に収まるようになると第1の駆動モーター12への電力供給が再開されて電気掃除機本体10が走行する。
このようにして天井面に突設される障害物が存在しても自走式電気掃除機4は室内を走行することができ、ポール31のポールグリップ部311を掴持する高齢者の歩行補助具となることができる。
【実施例5】
【0032】
つぎに、実施例5に係る自走式電気掃除機5について、図5を参照して説明する。
自走式電気掃除機5は、主に、電気掃除機本体10と電気掃除機本体10の子機収容スペース19に収容された子機20と、電気掃除機本体10の背面側に固着される背もたれ部47と、電気掃除機本体10の前面側に折り畳み自在に取着される足置き台35と、から構成されている。なお、実施例5における電気掃除機本体10と子機20の構成は実施例1と同様であるので、電気掃除機本体10と子機20についてはその説明を省略する。
【0033】
電気掃除機本体10の平坦な表面にはクッション材が載置されて座部33が形成され、大人1人が着座することができる。そして、子機収容スペース19に子機20を収容した状態で座部33と背もたれ部34により安定した状態で着座し、足置き台35に足を載せて電気掃除機本体10を走行させることで、自走式電気掃除機5は車椅子代わりとなる。また、座部33に腰掛ける代わりに跨るように跨座することができることは勿論である。
なお、電気掃除機本体10を車椅子として使用する場合において、電気掃除機本体10の前部の側面または後部の側面から直交方向に向けて突出長さが可変のアウトリーガ(図示外)を具えることにより、使用中の倒れを防止することができるとともに、アウトリーガの先端部の側方に向けた補助輪により、壁等の障害物に接触することも防止できる。
【実施例6】
【0034】
つぎに、実施例6に係る自走式電気掃除機6について、図6を参照して説明する。
自走式電気掃除機6は、主に、電気掃除機本体10と電気掃除機本体10の子機収容スペース19に収容された子機20と、電気掃除機本体10の後側すなわち背面側に取着されて上方向に延伸するポール31とから構成されている。なお、実施例6における電気掃除機本体10と子機20の構成は実施例1と同様であり、実施例2ないし実施例4の転動部32もそのまま自走式電気掃除機6で使用することができるため、ここでは、主にポール31の中間部について説明する。
【0035】
ポール31は中空管であってその内部は下部で電気掃除機本体10内の吸引管18に連通している。そして、ポール31の中間部には曲折自在で中空の水平管36が任意の方向に水平に突出し、その先端部は吸引口となっていて、水平管36の内部はポール31の内部に連通している。そのため、水平管36の先端部から吸引された塵芥は、水平管36およびポール31を通って集塵室17に送られる、水平管35の先端部に位置する吸引口は所定の高さに位置するため、床面から所定の高さにある棚面等を掃除することができる。
【0036】
また、水平管36の先端部に電動ブラシを具えることも可能であって、この場合には、床面から所定の高さにある家具等の埃を払うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 実施例1に係る自走式電気掃除機
2 実施例2に係る自走式電気掃除機
3 実施例3に係る自走式電気掃除機
4 実施例4に係る自走式電気掃除機
5 実施例5に係る自走式電気掃除機
6 実施例6に係る自走式電気掃除機
10 電気掃除機本体
11 第1の吸引口
12 第1の駆動モーター
13 第1の走行車輪
15 吸引モーター
16 充電式蓄電池
17 集塵室
18 吸引管
19 子機収容スペース
20 子機
21 第2の吸引口
22 ノズル
23 第2の駆動モーター
24 第2の走行車輪
31 ポール
32 転動部
321 自在キャスター
323 レール
324 懸垂式車輪
325 履帯
33 座部
34 背もたれ部
36 水平管
【要約】
【課題】力の弱い高齢者に使い勝手が良く、歩行補助具や車椅子を兼ね備えた多機能の電気掃除機を提供する。
【解決手段】前端部の略全幅に亘って下部に開口する第1の吸引口および第1の駆動モーターで駆動する第1の走行車輪を具え、該第1の吸引口に第1の吸引管を介して連通する集塵室および吸引モーターが内蔵された筐体状の電気掃除機本体と、前記電気掃除機本体の側面から直交方向に向けて突出する出没自在かつ突出長さが可変の中空のノズルと、からなり、前記ノズルの先端部分は先端部および下部に開口する第2の吸引口を具えて前記第1の吸引管に連通し、前記第1の吸引口および前記第2の吸引口で吸引された塵芥は前記第1の吸引管を通って前記集塵室に送られる構成とし、加えて前記電気掃除機本体には天井面まで延伸するポールが着脱可能に取着され、該ポールの上端部には天井面を転動する転動部を具えることも可能な構成とした。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6