【実施例】
【0018】
〔実施例1の構成〕
本発明の実施例1について、
図1ないし
図6を参照しながら説明する。以後の説明では、特に断らない限り、各部材の位置および方向の特定は、各実施例を通して対応する図面の左右および上下方向に従う。
【0019】
図1(a)はサンドイッチパネル製造装置1を示す概略図であり、図示右側の上部ローラ2a、下部ローラ2bおよび縦形ローラ2c、2dは、支持部材(図示せず)を介して設置面Gに取り付けられている。これらのローラ2a〜2dは、ガイドローラとして自由回転可能に横型および縦型に支持され、後述する上面硬質ボード11を介してポリウレタンフォームなどの発泡性合成樹脂材30を摺接案内するようになっている。
【0020】
上部ローラ2aと下部ローラ2bとが対向する対向空間には、後述する連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pの通過に必要な垂直距離Lを確保している。後述する囲繞領域Hに発泡原液組成物を繰り返し充填することにより、発泡性合成樹脂材30が長手方向に連なって形成された成形物を連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pと称す。
【0021】
設置面Gには、上面に平坦な頂板部32aを形成した載置台32が据え付けられている。載置台32の中央部を跨ぎ、送り方向Sから見た左右両側には、所定の時間間隔で発泡性合成樹脂材30の送り方向Sに沿って充填位置Fと該充填位置Fに隣接する搬出位置Eとの間で交互に往復移動可能な左右のサイド・シーラーブロック13a、13bが設けられている。リボン状の側面紙14、15は、左右のサイド・シーラーブロック13a、13bの内側に沿ってそれぞれ設けられ、第1巻紙ロール源および第2巻紙ロール源(いずれも図示せず)から連続的に繰り出して供給されるように縦型に敷かれている。
【0022】
矩形ブロックバー16は、
図2に示すように、左右両側のサイド・シーラーブロック13a、13bのうち、送り方向Sから見て後行側に位置する左右の後方離間端部17Aを繋いで閉鎖するように配置され、サイド・シーラーブロック13a(13b)と一体になって移動可能となるように設けられている。矩形ブロックバー16は、巻き紙ロール17および後述の巻取りロール18と一緒になって矩形バーユニット7を構成する。
【0023】
巻き紙ロール17は、矩形ブロックバー16に対して並列配置され、後方離間端部17Aに対応する離型紙17bを巻回している。巻取りロール18は、巻き紙ロール17からの離型紙17bを矩形ブロックバー16に掛け渡しながら間欠的に摺動させるように配されている。矩形ブロックバー16の軸長寸法は、後述するように加圧・熟成工程後の発泡性合成樹脂材30としての製品が有する幅寸法Nに等しく設定されている。
【0024】
矩形バーユニット7において、巻取りロール18が有する駆動軸18aの左右の端部、巻き紙ロール17が有する回転軸17aの左右の端部ならびに矩形ブロックバー16の左右の端部は、左右のブラケットアーム板19にそれぞれ取り付けられている。
【0025】
駆動モータ20は、駆動軸18aに取り付けられた間欠駆動装置を構成し、矩形バーユニット7の後退端部への移動後に通電される。すなわち、駆動モータ20は、サイド・シーラーブロック13a、13bの後退端部への移動後に通電される。駆動モータ20への通電により巻取りロール18が間欠的に回転し、その回転により離型紙17bを矩形ブロックバー16の表面に滑らせて所定量ずつ間欠摺動させるようになっている。
【0026】
ブラケットアーム板19に左右端部には、二股腕部19aが延出形成されており、その延出部には、横竿ラック19bが発泡性合成樹脂材30(製品)の長さ寸法Uに見合った長さだけ敷設されている。
静止部材(図示せず)には、横竿ラック19bに噛合するピニオン19cを有するピニオンモータ19dが設けられている。二股腕部19aの合流部には、ピン19jを有するヒンジ・ジョイント19hが形成されており、後述するようにブラケットアーム板19を矩形バーユニット7と一体的に上下方向に回動させる(
図3参照)。
【0027】
ピニオンモータ19dは、サイド・シーラーブロック13a、13bの送り方向Sに同期して正逆通電されるようになっており、サイド・シーラーブロック13a、13bの移動に伴なって、矩形バーユニット7をサイド・シーラーブロック13a、13bと一体的に移動させるものである。
【0028】
ピニオンモータ19dへの正逆通電に伴って、ピニオン19cが横竿ラック19bに沿って
図2の長手方向Rに沿って往復移動するため、矩形バーユニット7をサイド・シーラーブロック13a、13bと一体になって送り方向Sに沿って往復移動する。
このため、以下の説明では、ピニオンモータ19d、ピニオン19cおよび横竿ラック19bの作動説明は略して、矩形バーユニット7がサイド・シーラーブロック13a、13bと一体になって移動するという表現に止める。
【0029】
サイド・シーラーブロック13a(13b)の下側面には、
図4に示すように、往復移動機構としてラック24が取り付けられ、ラック24の下方には、ピニオン25を嵌着した回転軸26aを有するモータ26が設置されている。
ピニオン25をラック24に噛合させた状態で、モータ26を正逆回転させることにより、サイド・シーラーブロック13a(13b)を送り方向Sに沿って所定の距離だけ往復移動させるようになっている。
【0030】
サイド・シーラーブロック13a(13b)の送り方向Sの前端部には、送り方向Sに直交する交差方向に配置された横型ラック27と、横型ラック27に噛合する歯車28を有する正逆回転可能な縦型モータ29がブロックバー駆動装置としてサイド・シーラーブロック13a(13b)と一体的に移動できるように設けられている。
【0031】
縦型モータ29への正逆通電により、サイド・シーラーブロック13a(13b)が側面紙14(15)に対して離接方向Kに沿って僅かに往復移動可能になっている。
具体的には、後述する搬出位置Eで発泡性合成樹脂材30を加圧して熟成させた後、サイド・シーラーブロック13a(13b)が側面紙14(15)から離れ(離間位置)、サイド・シーラーブロック13a(13b)が搬出位置Eから後述する充填位置Fに戻った時、サイド・シーラーブロック13a(13b)が側面紙14(15)を介して矩形ブロックバー16の左右の端面に圧接するように移動する(圧接位置)。
【0032】
すなわち、ブロックバー駆動装置は、サイド・シーラーブロック13a、13bを送り方向Sに直交する交差方向(離接方向K)に往復駆動することにより、サイド・シーラーブロック13a、13bを側面紙14、15を介して矩形ブロックバー16の左右の端面に圧接する圧接位置と矩形ブロックバー16の左右の端面から離れる離間位置との間で移動可能に設けている。
【0033】
矩形バーユニット7の下方には、下面硬質ボード12が送りローラ6a、6b、6c上に左右方行に連続並置されている。稼働時には、送りローラ6a、6b、6cが回転し、下面硬質ボード12をサイド・シーラーブロック13a(13b)の往復移動に応じて一枚ずつ充填位置Fに送るようになっている(
図2参照)。
すなわち、稼働に伴って、間欠止め機構のプランジャーとしてのストッパ19eがソレノイド19fに通電されて磁気吸引されるため、ストッパ19eが下降して下面硬質ボード12の送り方向Sの先端面から外れて下面硬質ボード12がストッパ19eによる拘束を解かれて充填位置Eに送られる(
図7参照)。
なお、間欠止め機構については、便宜上の観点から
図4、
図5、
図6および
図11では図示を省略している。
【0034】
先行の下面硬質ボード12が充填位置Eに送られると、ソレノイド19fへの通電が止み、ストッパ19eがソレノイド19fによる磁気吸引を解かれるため、ストッパ19eが上昇し、後続する下面硬質ボード12の先端面に係止し、サイド・シーラーブロック13a(13b)が搬出位置Eから充填位置Fに戻るまで下面硬質ボード12を送りローラ6a〜6c上で待機させる(
図7参照)。
【0035】
下面硬質ボード12が矩形バーユニット7の下方を通過する際、下面硬質ボード12の先端部がブラケットアーム板19の傾斜部19gに当たってブラケットアーム板19を押し上げる。このため、ブラケットアーム板19がヒンジ・ジョイント19hを中心にして矩形バーユニット7と一体的に上方向に回動し、下面硬質ボード12が矩形ブロックバー16の下部を通過できるようにする。下面硬質ボード12が矩形ブロックバー16を通過後、ブラケットアーム板19が自重によりヒンジ・ジョイント19hを中心にして矩形バーユニット7と一緒に元の位置に下方回動する。
充填位置Fに送られた下面硬質ボード12の両側の側端面がサイド・シーラーブロック13a、13bに強固に挟まれ、下面硬質ボード12の送り方向Sの後端面には、矩形ブロックバー16が離型紙17bを介して圧接している。
【0036】
ミキシングヘッド3は、圧接位置のサイド・シーラーブロック13a、13b、矩形ブロックバー16、下面硬質ボード12および先行する発泡性合成樹脂材30の後端面30eにより囲まれた囲繞領域Hを形成する充填位置Fで、囲繞領域Hに発泡性合成樹脂材30を所定量だけ供給する。このため、ミキシングヘッド3は、囲繞領域Hに対向する位置と囲繞領域Hの外部との間で移動操作可能に設けられている。
【0037】
載置台32は、左右のサイド・シーラーブロック13a(13b)を送り方向Sおよび離接方向Kに摺動可能に設けているもので、
図1(b)に示すように、下面硬質ボード12を載置する頂板部32aおよび四本の脚体32bを有する。
【0038】
真空吸着機構33はエアシリンダ35のロッド33cを有し、真空吸着式の上面盤35fに連結している。上面盤35fは、載置台32に対応し、充填位置Fに隣接する搬出位置Eに配置され、上面硬質ボード11に対して上下移動可能になっている(操作工程)。
上面盤35fの裏面は、
図1(c)に示すように、多数の吸引孔35gが設けられており、ポンプ(図示せず)などにより連通孔35jから大気を吸引することにより、負圧により上面硬質ボード11を吸引・吸着できるようになっている。
【0039】
送り方向Sに直交する方向には、例えば上下多段に積み上げた上面硬質ボード11のスタックから成る上面ボード供給源Qが設けられている。上面ボード供給源Qからは、スライド供給機構35kにより、上面硬質ボード11を一枚ずつ搬出位置Eに送るようになっている。スライド供給機構35kは、フォーク部35mと押出フォーク部35mに連結された押出ロッド35nから成る。
エアシリンダ35pの駆動時、押出ロッド35nが伸び出して上面硬質ボード11をガイドレール(図示せず)に沿わせて搬出位置Eに押し出し、上面盤35fの裏面に沿って重ねるように差し込む。これに伴い、真空吸着機構33が働き、上面盤35fが真空吸着により上面硬質ボード11を負圧により吸着保持する(保持工程)。
【0040】
ついで、上面盤35fが上面硬質ボード11を吸着保持した状態で下降して上面硬質ボード11を発泡性合成樹脂材に押圧接着させる(押圧位置)。
押圧接着後には、上面硬質ボード11に対する上面盤35fの吸着を解除し、上面盤35fのみを上昇させる(解放位置)。これにより、真空吸着機構33が上面盤35fを押圧位置と解放位置との間で変位させる働きをする。
【0041】
充填位置Fで囲繞領域Hに発泡性合成樹脂材30を充填しながら、搬出位置Eに移動した時、シーケンス型の制御部34が働く。ついで、エアシリンダ35のロッド33cを伸長させ、上面盤35fが上面硬質ボード11を吸引・吸着して、囲繞領域H内の発泡性合成樹脂材30の上面に2−10分ほど密着状態に圧接させる(加圧・熟成工程)。
【0042】
すなわち、発泡性合成樹脂材30が所定の位置(搬出位置E)に移動したところで、上面盤35fが下降して加圧・熟成工程となり、上面硬質ボード11はサイド・シーラーブロック13a、13b内および矩形ブロックバー16内に配置される。
また、サイド・シーラーブロック13a、13bは成形方向の前進端にあり、かつ幅方向も前進端にあって上面硬質ボード11は下降端に位置している。上面硬質ボード11は、サイド・シーラーブロック13a、13bと矩形ブロックバー16内に液密に押圧されている。
【0043】
加圧・熟成工程では、ロッド33cが数センチメートルほど下降し、上面盤35fと頂板部32aとの間に、上面硬質ボード11および下面硬質ボード12を挟んで圧接する構成となる。
このため、離型紙17bを発泡性合成樹脂材30のうち送り方向Sから見て後行側に位置する後端面30eに当接させ、上面硬質ボード11を発泡性合成樹脂材30の上面に接着し、下面硬質ボード12を発泡性合成樹脂材30の下面に接着し、かつ側面紙14、15を発泡性合成樹脂材30の左右の側部に接着する(接着工程)。
【0044】
本発明に係るサンドイッチパネル製造方法により、連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pを製造する際、
図1(a)に示すように、充填位置Fでミキシングヘッド3により発泡原液組成物を囲繞領域Hの下面硬質ボード12上に発泡性合成樹脂材30として所定量だけ流入供給する(注入・充填工程)。
【0045】
注入・充填工程の開始に伴い、モータ26が正方向に所定時間だけ通電され、ピニオン25をラック24に沿わせて正方向に回転させる。これにより、サイド・シーラーブロック13a、13bが、
図3に示すように、下面硬質ボード11とともに発泡性合成樹脂材30を連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pとして挟持したまま矩形バーユニット7と一緒に充填位置Fから送り方向Sに沿って移動する。
発泡性合成樹脂材30の10秒程度の注入・充填工程の終了に伴い、サイド・シーラーブロック13a、13bおよび矩形バーユニット7と一緒に充填位置Fに隣接する搬出位置Eに移動している(搬送・移動工程)。
【0046】
すなわち、注入・充填工程では、発泡原液組成物を囲繞領域Hに注入しながら、発泡性合成樹脂材30、上面硬質ボード11、下面硬質ボード12、側面紙14、15、サイド・シーラーブロック13a、13bおよび矩形バーユニット7が製品としての発泡性合成樹脂材30の長さ寸法U(例えば、3メートル)だけ同時に移動する。
【0047】
搬出位置Eでの加圧・熟成工程が終了すると、制御部34によりエアシリンダ35のロッド33cを作動し、上面盤35fを数センチメートルほど上昇させて上面硬質ボード11から離す(加圧解除工程)。
その後、スライド供給機構35kが待機し、上面ボード供給源Qからの上面硬質ボード11を搬出位置Eに送って上面盤35fに裏面に差し込む準備をする。
これと同時に、縦型モータ29を正方向に一時的に通電することにより、歯車28を横型ラック27に沿って正方向に回転させる。これにより、
図5に示すように、サイド・シーラーブロック13a(13b)が圧接位置から離接方向Kに沿って矩形ブロックバー16の左右の端部から僅かに離れた離間位置に移動する。
【0048】
その後、モータ26が逆方向に一時的に通電され、ピニオン25をラック24に沿わせて逆方向に回転させる。すると、発泡性合成樹脂材30を搬出位置Eに配置したままで、サイド・シーラーブロック13a(13b)が矩形バーユニット7と一緒に送り方向Sに沿って搬出位置Eから元の充填位置Fに復帰移動する(
図6に示す復帰・移動工程)。
【0049】
この時、駆動モータ20が一時的に通電され、巻取りロール18の回転により離型紙17bを巻き紙ローラ17から所定量だけ巻き取る。これにより、離型紙17bを矩形ブロックバー16に滑らせながら間欠摺動させ、離型紙17bの新たな離型面を囲繞領域Hの後退端Hwに対向させる。この場合、サイド・シーラーブロック13a(13b)は製品の長さ分だけ後退端まで戻っており、矩形バーユニット7は離型紙17bを必要量だけ摺動させて新しい離型面を前面に露呈している。この際、搬出位置Eに移動した発泡性合成樹脂材30の後端部30eが囲繞領域Hの構成部材に組み込まれる。
【0050】
充填位置Fへの復帰時には、縦型モータ29が一時的に逆方向に通電されることにより、歯車28を横型ラック27に沿って逆方向に回転させている。これに伴い、サイド・シーラーブロック13a、13bが離接方向Kに沿って移動し、サイド・シーラーブロック13a、13bが左右の側面紙14、15を介して矩形ブロックバー16の左右の端部に圧接する元の圧接位置に戻っている(
図1(a)参照)。
【0051】
これにより、左右のサイド・シーラーブロック13a(13b)、矩形ブロックバー16、および発泡性合成樹脂材30の後端面30eを新たな囲繞領域Hとして次の発泡性合成樹脂材30の形成のために配置させ、発泡原液組成物の注入・充填の準備完了となる(待機・準備工程)。
【0052】
上記構成では、サイド・シーラーブロック13a(13b)が充填位置Fから搬出位置Eへ移動する度に、上面硬質ボード11、下面硬質ボード12、左右の側面紙14、15を接着した発泡性合成樹脂材30が連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pとして、製品の長さ寸法Uだけ押し出されて搬出位置Eから外部に間欠的に搬送される(搬送・移動工程)。外部に搬送された、連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pは、裁断工程で製品の長さ寸法Uに切断し、単体の硬質ボードサンドイッチパネル成形体として商品化することができる。
【0053】
〔実施例1の効果〕
実施例1では、囲繞領域Hに対する発泡性合成樹脂材30の注入・充填に伴い、上面硬質ボード11を発泡性合成樹脂材30の上面に接着し、下面硬質ボード12を発泡性合成樹脂材30の下面に接着するとともに、側面紙14、15を発泡性合成樹脂材30の左右の側部に接着し、離型紙17bを発泡性合成樹脂材30のうち送り方向Sから見て後行側に位置する後端部30eに圧接させる。
【0054】
このため、発泡性合成樹脂材30を注入・充填するための枠体が不要となり、発泡性合成樹脂材30に対する上面硬質ボード11、下面硬質ボード12および左右の側面紙14、15の結合が隙間なく密接して強固となり、連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pの剛性が強化される。
また、連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pを製造するための設備が安価で、その製造の自動化が容易であり量産化に適する。
【0055】
上面硬質ボード11については、上面硬質ボード11を上面盤35fの裏面に差し込み、負圧をかけて吸着保持した。これにより、上面硬質ボード11に対する上面盤35fの位置保持が確実になり、上面硬質ボード11を発泡性合成樹脂材30に対して位置決め状態で正確に押圧することができる。
【0056】
連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pにおける発泡性合成樹脂材30の対向端部には、離型紙17bを圧接させている。このため、連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pが離型剤により容易に切り離されて硬質ボードサンドイッチパネルユニット(以後、単体パネルユニットとも称す)に簡単に分離することができる。
上面硬質ボード11および下面硬質ボード12については、段取り替えをすることなく所望の材質や特性を有するものに素早く変更することができる。
囲繞領域Hに対する発泡性合成樹脂材30の注入・充填量を変更し、押圧エアシリンダー35のストロークを調整することにより、連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pの厚みを容易に変更することができる。
【0057】
とりわけ、上面硬質ボード11および下面硬質ボード12は、真空吸着機構33の作動時、真空吸着機構33と載置台32との間に挟持方向の押圧力を受けている。このため、上面硬質ボード11および下面硬質ボード12が発泡性合成樹脂材30の上面および下面に一体となって隙間なく密着し、品質の高い単体パネルユニットを生産することができる。
【0058】
また、左右のサイド・シーラーブロック13a、13bおよび矩形ブロックバー16により囲まれた囲繞領域Hに発泡性合成樹脂材30を直接的に注入・充填する構成のため、コスト的に有利な上に、連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pの製作が円滑で短時間に行われ、生産性の向上に寄与することができる。
矩形バーユニット7では、左右のブラケットアーム板19を用いたので、巻取りロール18、巻き紙ロール17および矩形ブロックバー16の取り付け構造が簡素になり、コスト的にも有利である。
【0059】
なお、発泡性合成樹脂材30の初回充填時には、サイド・シーラーブロック13a、13bの送り方向Sから見て先行側の位置(
図1に示す左右の前方離間端部17B参照)に、発泡性合成樹脂材30を先駆形成体として配置して通常どおり充填成形を行う。これにより、先駆形成体を連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pに一体化させた正規の製品として無駄なく成形することができる。
【0060】
〔実施例2の構成〕
図7および
図8(a)は本発明の実施例2を示す。実施例2が実施例1と異なるところは、サイド・シーラーブロック13a、13bの一方に蟻溝13cを形成し、他方に蟻臍13dを形成したことである(
図7(a)、(b参照)。
【0061】
蟻溝13cおよび蟻臍13dは、充填位置Fおよび搬出位置Eの双方に移動可能な位置に形成されているため、連続した硬質ボードサンドイッチパネル成形体2Pの単体パネルユニットP1は、
図8(a)に示すように、端面部に溝部40および突出部41を有する雌雄連結構造を形成している。この結果、単体パネルユニットP1の連結時に、連結部材を用いることなく単体パネルユニットP1同士を簡単に繋ぐことができる。
【0062】
〔実施例3の構成〕
図8(b)は本発明の実施例3を示す。実施例3が実施例1と異なるところは、上面硬質ボード11および下面硬質ボード12に代わって上偏平箱状ボード42および下偏平箱状ボード43を設けたことである。
上偏平箱状ボード42は、プレスによる折曲げ加工や真空成型などにより四辺に高さ5〜10mm程度の縁辺部42a〜42dを形成し、下偏平箱状ボード43は、四辺に高さ5〜10mm程度の縁辺部43a〜43dを形成している。
【0063】
上偏平箱状ボード42を発泡性合成樹脂材30の上面に接着する際、縁辺部42a〜42dが発泡性合成樹脂材30の上部周縁部を被い、下偏平箱状ボード43を発泡性合成樹脂材30の下面に接着する際、縁辺部43a〜43dが発泡性合成樹脂材30の下部周縁部を被う。このため、単体パネルユニットP1の外観上の見栄えがよくなるうえに、単体パネルユニットP1の剛性が向上して取り扱い易くなって単体パネルユニットP1同士を組み付け易くなる。
【0064】
〔実施例4の構成〕
図9ないし
図12は本発明の実施例4を示す。実施例4が実施例1と異なるところは、隣接する発泡性合成樹脂材30同士の間にプラスチック製(例えば、ポリプロピレン(PP))のスペーサ45を挟入させたことである。実施例4では、実施例1と同一部分には同一符号を付して異なる部分のみ説明する。
【0065】
この場合、左右のサイド・シーラーブロック13a、13bのうち、送り方向Sから見て後行側に位置する左右の後方離間端部17Aに対向するように配置されている。
充填位置Fでは、縦型モータ29(ブロックバー駆動装置)により、左右のサイド・シーラーブロック13a、13bを側面紙14、15に圧接する圧接位置と矩形ブロックバー16が側面紙14、15から離れる離間位置との間で移動可能に駆動する。圧接位置では、左右のサイド・シーラーブロック13a、13bを側面紙14、15を介してスペーサ45の左右の端面部45a、45bに圧接させるように設定されている。
矩形状に形成された上面硬質ボード11および下面硬質ボード12の四隅角部(コーナー部)は、円弧状の丸みを帯びた円弧状部12e、11eをそれぞれ形成している。
【0066】
スペーサ45の幅寸法Nは、上面硬質ボード11および下面硬質ボード12の幅寸法に等しく、上下の厚み寸法は、製品としての単体パネルユニットP1の厚み寸法に等しくしている。スペーサ45において長手方向Vの沿う左右端の両側部には、円弧状部12e、11eに合致するR部を形成している。
矩形バーユニット7においては、矩形ブロックバー16を存置し、巻き紙ロール17、駆動モータ20および巻取りロール18を省いている(
図9および
図10参照)。
【0067】
矩形バーユニット7の上方には、多数のスペーサ45が内部に積層されたスタックフィーダ46が設けられ、充填位置Fに移行する前で、下面硬質ボード12が囲繞領域Hに配置された直後に、スペーサ45が一つずつ囲繞領域Hの後端部に間欠的に供給配置されるようになっている(スペーサ配置工程)。
挟入工程の終了に続いて、矩形バーユニット7が作動し、
図10に示すように、矩形ブロックバー16がスペーサ45を押圧して囲繞領域H内の下面硬質ボード12の後端部に圧接させるように設定している。
【0068】
エアシリンダ35の真空吸着パッド35aを上面盤35fを介して上面硬質ボード11に押し付ける加圧・熟成工程では、
図11に示すように、搬送・移動工程では、隣接する発泡性合成樹脂材30同士の間にスペーサ45が強固に挟入される。この際、スペーサ45のR部は、発泡性合成樹脂材30ならびに上面硬質ボード11および下面硬質ボード12の円弧状部11e、12eに圧接している。
【0069】
加圧解除工程後、搬出位置Eに所在する発泡性合成樹脂材30の後端部に位置するスペーサ45を囲繞領域Hの構成部材として組み込む。充填位置Fで供給配置されたスペーサ45、下面硬質ボード12、左右のサイド・シーラーブロック13a、13b、および発泡性合成樹脂材30の後端面に剥離可能に接着させたスペーサ45から成る新たな囲繞領域Hを次の発泡性合成樹脂材30の充填のために配置させる。
【0070】
加圧解除工程後の搬送・移動工程では、スペーサ45を発泡性合成樹脂材30から容易に剥離させることができるため、
図12に示すように、単体パネルユニットP1として素早く製品化することができる。
実施例7では、単体パネルユニットP1の隅角部が丸みを帯びた円弧状部となっているので、単体パネルユニットP1を鋭角部や直角部が不要な風呂蓋などの他、家具調度品の構成部材に適用する場合に好適である。
【0071】
(変形例)
(a)実施例1〜3における単体のパネル成形体の使用対象としては、建物の建材の他、一般の壁材、断熱壁、机の天板、ドアパネルとして作製してもよい。
(b)上面硬質ボード11および下面硬質ボード12の材料としては、ベニヤ(合板)、プラスチック板、金属板(例えば、ステンレススチール)などを用いてもよい。
(c)真空吸着機構33を用いて、真空吸着により上面盤35fが上面硬質ボード11を吸着保持するようにしたが、上面硬質ボード11を磁性体により形成し、電磁石を用いて上面盤35fが上面硬質ボード11を吸着保持するように構成してもよい。
【0072】
(d)発泡原液組成物としては、ポリウレタンフォームの他、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォームあるいはユリアフォームなどを用いてもよい。
(e)矩形ブロックバー16については、離型紙17bを省き、例えばポリプロピレン(PP)等の離型性のある樹脂によりシール材を形成してもよい。
(f)上面硬質ボード11については、上面硬質ボード11を手動により上面盤35fの裏面に差し込むようにしてもよい。
(g)発泡原液組成物と発泡性合成樹脂材30(製品)とは、本来的には別物であるが、本実施例では便宜上の観点から両者を区別せずに説明した箇所もある。
【0073】
(h)複数台のサンドイッチパネル製造装置1を横方向に並列させ、ミキシングヘッド3を用いて、発泡性合成樹脂材30を各製造装置1の囲繞領域Hに一定の順序で注入・充填するように構成してもよい(発泡性合成樹脂材30の並行成形システム化)。