(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0011】
図面を参照して、本発明の実施形態における蓄電システムについて説明する。
【0012】
===蓄電システムの構成===
図1は、本発明の実施形態における蓄電システムの利用形態の一例を概略的に説明している。本発明の実施形態における蓄電システム1は、
図1に示すように、需要家の家屋に設置され、電力系統から充電されるとともに家屋内の負荷6(61,62,63)に放電するものとする。また、需要家の家屋における屋内配線と電力系統との間にはスマートメーター5が設置されている。スマートメーター5には、電力会社が設定した翌日の1時間ごとの電気料金に関する情報が提供されるものとする。
【0013】
図1に示すとおり、蓄電システム1は、蓄電池2と、蓄電池2の充放電を制御する制御装置3とを備えている。なお、本実施形態においては、1つの蓄電池2が1つの制御装置3によって制御されているものとする。ただし、複数の蓄電池2が1つの制御装置3によって制御されていてもかまわない。
【0014】
<<制御装置>>
図2は、制御装置の概略を示すブロック図である。制御装置3は、電力系統から蓄電池2への充電、および、蓄電池2から負荷6への放電を制御する装置であって、電気料金取得部31、充放電効率取得部32、基本スケジュール決定部33、充電電力量算出部34、放電可能電力量算出部35、充電単価算出部36、電気料金補正係数取得部37、充電単価補正係数取得部38および制御部39を含む。
【0015】
<電気料金取得部>
電気料金取得部31は、時間帯tごとに設定されている電気料金Atを示す第1情報を、例えばスマートメーター5またはインターネットを介して電力会社のサーバから取得する。本実施形態において、電気料金は1時間ごとに設定されているから、t=1〜24であり、電気料金取得部31は、夜12時から午後11時までの1時間ごとの電気料金A1〜A24の情報を有する。なお、制御装置3が、当日の午後11時における蓄電池2の充放電の要否を決定した後で、かつ、翌日の夜12時における蓄電池2の充放電の要否を決定する前に、電気料金取得部31は、電気料金Atを示す第1情報を翌日の第1情報に更新する。
【0016】
<充放電効率取得部>
充放電効率取得部32は、蓄電池2の充放電効率p,qを示す第2情報を取得する。ここで、充放電効率p,qは、充電効率pと放電効率qとを含む総称である。充電効率pは、電力系統から蓄電池2に供給される電力量に対する、蓄電池2に充電される電力量の割合を意味する。また、放電効率qは、蓄電池2に充電されている電力量に対する、蓄電池2から負荷6に放電される電力量の割合を意味する。例えば、
図3のように、電力系統から蓄電池2に1.25kWhの電力量が供給された結果、蓄電池2に1.123kWhの電力量が充電された場合、充電効率pは0.90である。また、蓄電池2に充電されている1.123kWhの電力量を出力した結果、負荷6に1.00kWhの電力量が供給された場合、放電効率qは0.89である。ちなみに、電気料金10円/1.00kWhの時間帯に、上述した充放電効率を有する蓄電池2に電力系統から1.25kWhの電力量を充電する場合、負荷に放電可能な電力量は1.00kWhであるから、この電力量を蓄電池2に充電するために掛かる電気料金は12.5円である。よって、この場合における蓄電池2の1.00kWhあたりの充電単価は12.5円である。したがって、例えば電気料金が11円/1.00kWhである時間帯に、この蓄電池2から負荷に放電することは、利用者の経済的利益に適わないことになる。他方、蓄電池2に充電された電力量の充電単価が12.5円/1.00kWhである場合、電気料金10円/1.00kWh以下の時間帯に蓄電池2に充電しなければ、利用者の経済的利益につながらない。
【0017】
なお、充放電効率取得部32は、例えば、利用者が外部インターフェイス302を介して入力した数値を読み込み、充放電効率p,qとしてもよい。あるいは、充放電効率取得部32は、主な蓄電池の機種と充放電効率の情報を有しており、制御装置3に接続された蓄電池2の機種が特定されると、その機種に対応する充放電効率を自動的に取得するようにしてもよい。
【0018】
<充電電力量算出部および放電可能電力算出部>
充電電力量算出部34は、蓄電池2に充電されている第1電力量を算出する。本実施形態においては、電気料金Atが時間帯tごとに設定されるとの前提の下で蓄電池2の充電に要した費用を算出するため、該当する時間帯の間に蓄電池2に充電されおよび蓄電池2から放電された電力量を算出することが求められる。そのため、充電電力量算出部34は、充電電力量積算部34Aと放電電力量積算部34Bとを含む。
【0019】
充電電力量積算部34Aは、直前の時間帯(t−1)から時間帯tまでの間に新たに蓄電池2に充電するために電力系統から供給された電力量Wtを積算する。また、放電電力量積算部34Bは、直前の時間帯(t−1)から時間帯tまでの間に蓄電池2から負荷に放電された電力量Ptを積算する。時間帯tにおける第1電力量は、算出済みである時間帯(t−1)の第1電力量に、電力量Wt×pを加算し、電力量Pt÷qを減算することで得られる。
【0020】
なお、充電電力量算出部34が第1電力量を算出する方法は、上記の方法に限られない。例えば、充電電力量算出部34は、時間帯tにおいて蓄電池2に充電されている第1電力量を、蓄電池2から直接取得してもよい。この場合、電力量Wt、Ptは、時間帯tと(t−1)とにおける第1電力量同士の差分と、充放電効率p,qとから求められる。この差分が正の値の場合は電力量Wt×pであり、負の値の場合は電力量Pt÷qである。
【0021】
放電可能電力量算出部35は、蓄電池2が電力系統から充電されている場合に、上述した電力量Wtおよび充放電効率p,qに基づいて、蓄電池2から負荷6に放電可能な蓄電池2の第2電力量Sを算出する。放電可能電力量算出部35は、直前の時間帯(t−1)において放電可能であった蓄電池2の第2電力量S’を記憶しており、時間帯tにおいて放電可能な蓄電池2の第2電力量Sを、関係式
S=S’+Wt×p×q
に基づいて算出する。また、放電可能電力量算出部35は、蓄電池2が負荷2に放電している場合には、蓄電池2の第2電力量Sを、関係式
S=S’−Pt
に基づいて算出する。
【0022】
<充電単価算出部>
充電単価算出部36は、第2電力量S、時間帯tにおける電気料金At、電力量Wtおよび充放電効率p,qに基づいて、第2電力量Sを充電するのに要した単位電力量あたりの充電単価Xを算出する。充電単価算出部36は、直前の時間帯(t−1)における充電単価X’を記憶しており、時間帯tにおける充電単価Xを、関係式
に基づいて算出する。
【0023】
<電気料金補正係数取得部および充電単価補正係数取得部>
電気料金補正係数取得部37は、電気料金Atを補正するための係数βを取得する。係数βは、蓄電池2が頻繁に充電および充電の停止を繰り返すことなどによる蓄電池2の劣化を防止するために設定される任意の定数である。係数βは、当初から設定されていてもよいし、利用者が外部インターフェイス302から入力した値でもよい。
【0024】
充電単価補正係数取得部38は、充電単価Xを補正するための係数αを取得する。係数αは、蓄電池2が頻繁に放電および放電の停止を繰り返すことなどによる蓄電池2の劣化を防止するために設定される任意の定数である。係数αは、当初から設定されていてもよいし、利用者が外部インターフェイス302から入力した値でもよい。
【0025】
<基本スケジュール決定部>
基本スケジュール決定部33は、蓄電池2の充放電に関する基本的なスケジュールを決定する。つまり、基本スケジュール決定部33は、時間帯tに対応する電気料金Atおよび充放電効率p,qに基づいて、時間帯tにおいて蓄電池2を充電させるか、放電させるか、充電も放電もさせないかを決定する。
【0026】
具体的には、基本スケジュール決定部33は、
図5に示すように、時間帯tにおける電気料金Atを電気料金取得部31から読み込み、価格の安い順に並び替えたうえで、時間帯B1〜B24と電気料金C1〜C24とする。そして、基本スケジュール決定部33は、最も安い電気料金C1と最も高い電気料金C24との電気料金比率C1/C24、2番目に安い電気料金C2と2番目に高い電気料金C23との電気料金比率C2/C23・・・のようにして、電気料金比率Ck/C(24−(k−1))、(ここで、k=1〜12)を作り、各電気料金比率を、充電効率および放電効率の積p×qと比較する。
【0027】
電気料金比率Ck/C(24−(k−1))が積p×q未満である場合、基本スケジュール決定部33は、安い方の電気料金Ckに対応する時間帯Bkにおいて蓄電池2を充電させ、高い方の電気料金C(24−(k−1))に対応する時間帯B(24−(k−1))において蓄電池2を放電させる。時間帯Bkにおける蓄電池2の充電と、時間帯B(24−(k−1))における蓄電池2の放電とには、利用者にとって経済的な利益があると考えられるためである。
【0028】
一方、電気料金比率Ck/C(24−(k−1))が積p×q以上である場合、基本スケジュール決定部33は、電気料金Ck、C(24−(k−1))にそれぞれ対応する時間帯Bk、B(24−(k−1))において蓄電池2を充電も放電もさせないこととする。時間帯Bk、B(24−(k−1))では、蓄電池2の充電も放電も、利用者にとって経済的利益に繋がらないと考えられるためである。
【0029】
基本スケジュール決定部33は、例えば1日に1回、蓄電池2の翌日における充放電に関する基本スケジュールを決定する。基本スケジュール決定部33が翌日の基本スケジュールを決定するタイミングは、電気料金取得部31が電気料金Atを翌日のものに更新した後で、かつ、夜12時の前である。
【0030】
<制御部>
制御部39は、時間帯tごとに電気料金Atを充電単価Xと比較して、電気料金Atが充電単価X未満である場合、電力系統から蓄電池2に充電させ、電気料金Atが充電単価X以上である場合、蓄電池2から負荷6に放電させる。なお、後述するように、電気料金Atと充電単価Xとに補正が加えられる場合がある。
【0031】
本実施形態においては、制御部39は、
図6に示すように、まず、基本スケジュール決定部33によって決定された基本スケジュールを参照し、時間帯tにおける蓄電池2の動作を「充電」、「放電」、「どちらでもない」の3通りに分類する。
【0032】
時間帯tが「充電」に分類されている場合、制御部39は、時間帯tの間、電力供給契約に基づいて許容される電力の範囲内において、電力系統から蓄電池2を充電させる。なお、充電電力量積算部34Aは、時間帯tの間に蓄電池2を充電させるために電力系統から供給された電力量Wtを算出する。また、時間帯tの終了後、放電可能電力量算出部35は、充放電効率p、qおよび電力量Wtを用いて放電可能電力量Sを算出し、充電単価計算部36は、充放電効率p、q、電力量Wtおよび放電可能電力量Sを用いて充電単価Xを算出する。
【0033】
時間帯tが「放電」に分類されている場合、制御部39は、時間帯tの間、蓄電池2から出力される電力が電力系統に逆潮流しない範囲において、蓄電池2から負荷6への放電を開始させる。なお、放電電力量積算部34Bは、時間帯tの間に蓄電池2から負荷に放電された電力量Ptを算出する。時間帯tの終了後、放電可能電力量算出部35は、電力量Ptを用いて放電可能電力量Sを算出する。
【0034】
時間帯tが「どちらでもない」に分類されている場合、制御部39は、蓄電池2の充放電が利用者の経済的利益に適うかどうかを、基本スケジュールの決定とは異なる基準に基づいて詳細に検討するべく、次のような動作をする。
【0035】
制御部39は、時間帯tにおける電気料金Atを充電単価Xと比較する。そして、電気料金Atが充電単価X未満であるとき、制御部39は、蓄電池2の充電が利用者に経済的利益をもたらすどうかを判断するべく、補正された電気料金At’を充電単価Xと比較する。ここに、補正された電気料金At’は、次の関係式
At’=At/(p×q)+β
で与えられる。つまり、補正された電気料金At’は、充放電効率p,qが考慮された電気料金であるとともに、βを介して頻繁な充電および充電の停止の繰り返しなどによる蓄電池2の劣化が考慮されている。補正された電気料金At’が充電単価X未満である場合、制御部39は、電力系統から蓄電池2に充電させるようにする。この場合、蓄電池2の充電によって蓄電池2の充電単価Xが下がるので、蓄電池2を充電することは利用者の経済的利益に適っている。他方、補正された電気料金At’が充電単価X以上である場合、制御部39は、時間帯tの間、蓄電システム1を停止させる。充電によって蓄電池2の充電単価Xが上昇することは利用者の経済的利益に適わないためであり、また、充電によって利用者が得る利益よりも、充電および充電の停止の繰り返しなどに伴う蓄電池2の劣化によって利用者の被る損失の方が重視されるためである。
【0036】
また、電気料金Atが充電単価X以上であるとき、制御部39は、蓄電池2の放電が利用者に経済的利益をもたらすかどうかを判断するべく、電気料金Atを補正された充電単価(X+α)と比較する。つまり、制御部39は、頻繁な放電および放電の停止などに伴う蓄電池2の劣化を考慮して放電の可否を決定する。そして、電気料金Atが補正された充電単価(X+α)より大きい場合、制御部39は、蓄電池2から負荷6に放電させるようにする。電気料金Atより少なくともαだけ安い充電単価Xの電力を負荷6に供給することは、利用者にとって経済的利益をもたらすからである。他方、電気料金Atが補正された充電単価(X+α)以下である場合、制御部39は、時間帯tの間、蓄電システム1を停止させる。放電によって利用者が得る利益よりも、放電および放電の停止の繰り返しなどに伴う蓄電池2の劣化によって利用者の被る損失の方が重視されるためである。
【0037】
なお、制御装置3は、制御部39が決定した充放電のスケジュールにしたがって蓄電池2を充放電させるべく、時刻に関する情報を取得する時計部301を含む。時計部301は、例えばスマートメーター5から時刻の情報を取得してもよいし、インターネットから時刻の情報を取得してもよい。時計部301に記録される時刻は、スマートメーター5に記録されている時刻と同期していることが好ましい。
【0038】
===蓄電システムの動作===
図4〜
図6を参照して、本実施形態における制御装置3の動作を説明する。
【0039】
図4は制御装置3の動作を示すフローチャート、
図5は基本スケジュール決定部33の動作を示すフローチャート、
図6は制御部3の動作を示すフローチャートである。
【0040】
制御装置3は、
図4に示すように、ステップS1において、蓄電池2における翌日の充放電に関する基本スケジュールを決定し、次いで、ステップS2において、基本スケジュールの補正を行う。
【0041】
<<基本スケジュールの決定>>
ステップS1は、時間帯tにおける電気料金Atと充放電効率p、qとに基づいて、各時間帯において蓄電池2を充電させる価値があるか、放電させる価値があるか、または、充電も放電もしないことに価値があるかを判定する過程であり、
図5に示されるようにステップS11〜S15を含む。
【0042】
つまり、ステップS11において、基本スケジュール決定部33は、電気料金取得部31から、時間帯t=1〜24と、対応する電気料金A1〜A24とを取り込む。
【0043】
次いで、ステップS2において、基本スケジュール決定部33は、電気料金A1〜A24を価格の安い順に並び替え、並べ替えられた電気料金をC1〜C24とし、対応する時間帯をB1〜B24とする。
【0044】
そして、ステップS13において、基本スケジュール決定部33は、電気料金C1〜C24から電気料金比率Ck/C(24−(k−1))、(ここでk=1〜12)を生成し、これを充電効率pおよび放電効率qの積p×qと比較する。
【0045】
ステップS14では、電気料金比率Ck/C(24−(k−1))が積p×q未満である場合に、基本スケジュール決定部33は、電気料金Ckに対応する時間帯Bkに蓄電池2を充電させる価値があると判定し、また、電気料金C(24−(k−1))に対応する時間帯B(24−(k−1))に蓄電池2を放電させる価値があると判定する。
【0046】
ステップS15では、電気料金比率Ck/C(24−(k−1))が積p×q以上である場合に、基本スケジュール決定部33は、時間帯BkとB(24−(k−1))とには蓄電池2を放電も放電もさせないことに利用者の利益があると判定する。
【0047】
基本スケジュール決定部33は、ステップS13〜S15をk=1からk=12まで繰り返し、時間帯B1〜B24を、蓄電池2を充電させる時間帯、蓄電池2を放電させる時間帯、蓄電池2を充電も放電もしない時間帯の3つに分類して、ステップS1を終了する。
【0048】
なお、ステップS1は、基本スケジュール決定部33が電気料金取得部31から翌日の電気料金Atの情報を取得した後に、実行される。
【0049】
<<基本スケジュールの補正>>
ステップS2は、ステップS1とは異なる指標を用いて、蓄電池2の充放電の要否を判定するステップである。ステップS2は、
図6に示されるようにステップS21〜S28を含む。
【0050】
まず、ステップS21において、前日の最終の時間帯における充電単価Xと放電可能電力量Sが読み込まれる。そして、ステップS22において、ステップS1で決定された充放電の基本スケジュールが参照され、時間帯tにおける蓄電池2の動作は「充電」、「放電」および「どちらでもない」の3つに分類される。
【0051】
<充電の時間帯における動作>
時間帯tが「充電」の時間帯に分類されている場合、時間帯tの間、ステップS23にしたがって電力系統から蓄電池2に充電される。ステップS23は、ステップS231〜S234を含んでいる。
【0052】
具体的には、ステップS231において、利用者と電力会社との間で締結された電力供給契約で定められた電力量の範囲内で、電力系統から蓄電池2への充電が実施される。そして、ステップS232において、時間帯tの間に蓄電池2を充電するべく電力系統から供給された電力量Wtが算出される。時間帯tの終了後、ステップS233が実行され、上述したように蓄電池2から負荷6に放電可能な電力量Sが算出される。そして、ステップS234において、電力量Sに対する充電単価Xが算出され、ステップS23の一連の動作は終了する。
【0053】
<放電の時間帯における動作>
時間帯tが「放電」の時間帯に分類されている場合、時間帯tの間、ステップS24にしたがって蓄電池2から負荷6に放電が実施される。ステップS24は、ステップS241〜S243を含む。
【0054】
具体的には、ステップS231において、蓄電池2から出力された電力が電力系統に逆潮流しない範囲で、蓄電池2から負荷6に放電が実施される。そして、ステップS242において、蓄電池2から負荷に放電された電力量Ptが算出され、また、ステップS243において、上述したように放電可能電力量Sが算出される。これによりステップS24の一連の動作は終了する。
【0055】
<どちらでもない時間帯における動作>
時間帯tが「どちらでもない」の時間帯に分類されている場合、ステップS25〜S28において、基本スケジュールの決定とは異なる基準を用いて、蓄電池2の充放電を再度判断する。ここで用いられる基準は、主として、電気料金Atと、蓄電池2の放電可能電力量Sに対する充電単価Xである。
【0056】
ステップS25において電気料金Atが充電単価Xと比較される。そして、電気料金Atが充電単価X未満である場合、電力系統から蓄電池2に充電する価値があるかどうかを更に検討するべく、ステップ26において、補正された電気料金At’が充電単価Xと比較される。上述したように、電気料金Atは、充放電効率p,qと補正係数βとによって補正されて、電気料金At’となる。
【0057】
補正された電気料金At’が充電単価X未満である場合、時間帯tにおいて蓄電池2を充電する価値があると判断され、充電に関するステップS23に移行する。他方、補正された電気料金At’が充電単価X以上である場合、時間帯tに蓄電池2を充電する価値はないと判断され、ステップ28に進む。ステップ28において、時間帯tの間、蓄電システム1は停止される。
【0058】
また、ステップS25において電気料金Atが充電単価X以上である場合、蓄電池2から負荷6に放電する価値があるかどうかを更に検討するべく、ステップ27において、電気料金Atが、補正された充電単価(X+α)と比較される。
【0059】
電気料金Atが補正された充電単価(X+α)より大きい場合、時間帯tにおいて蓄電池2から負荷6に放電する価値があると判断され、放電に関するステップS24に移行する。他方、電気料金Atが補正された充電単価(X+α)以下である場合、時間帯tに蓄電池2から負荷6に放電する価値はないと判断され、ステップ28に進む。ステップ28において、時間帯tの間、蓄電システム1は停止される。
【0060】
ステップS22〜S28が全ての時間帯tについて実行されると、ステップS2は終了する。
【0061】
このようにして設定された蓄電池2の最終的な充放電スケジュールにしたがって、蓄電システム1は、蓄電池2を充電、放電または停止させる。
【0062】
したがって、本実施形態における蓄電システム1においては、2つの基準を用いて蓄電池2の充放電を決定するため、利用者の経済的利益に適った、蓄電池2の緻密な充放電制御が可能である。
【0063】
前述したとおり、電気料金取得部31は、時間帯tごとに設定されている電気料金Atを示す第1情報を取得する。また、充放電効率取得部32は、蓄電池2の充放電効率p,qを示す第2情報を取得する。また、充電電力量算出部34は、蓄電池2に充電されている第1電力量を算出する。放電可能電力量算出部35は、第1電力量および充放電効率p,qに基づいて、蓄電池2から負荷6に放電可能な蓄電池2の第2電力量Sを算出する。また、充電単価算出部36は、第2電力量S、蓄電池2が充電される時間帯tにおける電気料金At、第1電力量および充放電効率p,qに基づいて、第2電力量Sを充電するのに要した単位電力量あたりの充電単価Xを算出する。また、制御部39は、時間帯tごとに電気料金Atを充電単価Xと比較して、電気料金Atが充電単価X未満である場合、電力系統から蓄電池2に充電させ、電気料金Atが充電単価X以上である場合、蓄電池2から負荷6に放電させる。つまり、制御装置1は、蓄電池2の第2電力量Sに対する充電単価Xを算出するに際して充放電効率p,qを考慮する。そして、制御装置1は、充電単価Xを電気料金Atと比較して、蓄電池2の充放電の要否を決定する。したがって、リアルタイムプライシングの下で時間帯ごとに電気料金が設定される場合でも、利用者の経済的利益に適うように蓄電池2を充放電させることができる。
【0064】
また、制御部39は、電気料金Atが充電単価X未満である場合、電気料金Atを充放電効率p,qで除することで電気料金Atを補正し、補正された電気料金At’を充電単価Xと比較して、補正された電気料金At’が充電単価X以上であるとき、電力系統から蓄電池2への充電を禁止する。補正された電気料金At’は、放電の際の価格に換算された電気料金と言える。このような電気料金At’が充電単価X以上であるとき、蓄電池2の放電は利用者の経済的利益に適わない。このような放電を禁止することよって、利用者の経済的利益に適うように蓄電池の充電および充電の停止を制御することができる。
【0065】
また、電気料金補正係数取得部37は、電気料金Atを補正するための第1補正係数を取得する。制御部39は、電気料金Atが充電単価X未満である場合、電気料金Atを第1補正係数に基づいて補正し、補正された電気料金At’を充電単価Xと比較して、補正された電気料金At’が充電単価X以上であるとき、電力系統から蓄電池2への充電を禁止する。第1補正係数としては、例えば、蓄電池2の劣化に関する数値がある。つまり、制御装置1は、価格の他の要素を含めて、蓄電池2の充電の要否を決定することができるから、利用者の経済的利益に適うように蓄電池2を充電させることができる。
【0066】
また、第1補正係数は、蓄電池2が一定の時間内に所定回数より多く充電および充電の停止を繰り返さないように設定される任意の正の数値βであり、制御部39は、任意の正の数値βを加算することで電気料金Atを補正する。頻繁に充電および充電の停止を繰り返すことは、蓄電池2の劣化につながり、利用者にとって好ましくない。制御装置1は、第1補正係数として任意の正の数値βを導入することにより、蓄電池2における充電および充電の停止の頻繁な繰返しを回避することができるから、利用者の経済的利益に適うように蓄電池2の充電および充電の停止を制御することができる。
【0067】
また、充電単価補正係数取得部38は、充電単価Xを補正するための第2補正係数を取得する。制御部39は、電気料金Atが充電単価X以上である場合、充電単価Xを第2補正係数に基づいて補正し、電気料金Atを補正された充電単価と比較して、電気料金Atが補正された充電単価以下であるとき、蓄電池2から負荷6への放電を禁止する。つまり、制御装置1は、価格の他の要素を含めて、蓄電池2の放電の要否を決定することができるから、利用者の経済的利益に適うように蓄電池2の放電および放電の停止を制御することができる。
【0068】
また、第2補正係数は、蓄電池6が一定の時間内に所定回数より多く放電と放電の停止を繰り返さないように設定される任意の正の数値αであり、制御部39は、任意の正の数値αを加算することで充電単価Xを補正する。頻繁に放電および放電の停止を繰り返すことは、蓄電池の劣化につながり、利用者にとって好ましくない。制御装置1は、第2補正係数として任意の正の数値αを導入することにより、放電および放電の停止の頻繁な繰返しを回避することができる。したがって、利用者の経済的利益に適うように蓄電池2の放電および放電の停止を制御することができる。
【0069】
また、基本スケジュール決定部33は、異なる時間帯tにおける電気料金At同士の比と充放電効率p×qとの比較結果に基づいて、蓄電池2から負荷6への放電、電力系統から蓄電池6への充電、および、蓄電池2の停止をさせる。補正制御部は、基本スケジュール決定部33が蓄電池2を停止させることを決定した時間帯tについて、電気料金Atを充電単価Xと比較して、電気料金Atが充電単価X未満である場合、電力系統から蓄電池2に充電させ、電気料金Atが充電単価X以上である場合、蓄電池2から負荷6に放電させる。基本スケジュールの決定と補正制御とにおいて、異なる判断基準を用いることによって、蓄電池2の充放電の可否の判断を緻密に行うことができるから、利用者の経済的利益に適うように蓄電池2の充放電を制御することができる。
【0070】
蓄電システム1は、蓄電池2と、蓄電池2の充放電を制御する制御装置3とを備えている。したがって、利用者の経済的利益に適うように蓄電池2を充放電させることができる蓄電システムを提供することができる。
【0071】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0072】
例えば、電気料金Atが設定される時間帯tは30分でもよい。この場合、t=1〜48であり、電気料金はA1〜A48となる。
【0073】
また、基本スケジュール決定部33およびこれに対応するステップS1を省略することが可能である。この場合、ステップS22を省略するか、ステップS22で「どちらでもない」が選択されるように設定すればよい。
【0074】
また、制御装置3の有する各機能は、コンピュータプログラムによって実行されてもよい。
【0075】
また、蓄電システム1は、複数の蓄電池2と、それら蓄電池2を一括して制御する1つの制御装置とを備えていてもよい。
【0076】
また、制御装置3は、蓄電システム1から独立していてもよい。
【0077】
また、制御装置3は、スマートメーター5に組み込まれていてもよい。
【解決手段】 蓄電池の制御装置は、時間帯ごとに設定されている電気料金を示す第1情報を取得する第1取得部を備える。また、蓄電池の充放電効率を示す第2情報を取得する第2取得部を備える。また、蓄電池に充電されている第1電力量を算出する第1算出部を備える。また、第1電力量および充放電効率に基づいて、蓄電池から負荷に放電可能な蓄電池の第2電力量を算出する第2算出部を備える。また、第2電力量、蓄電池が充電される時間帯における電気料金、第1電力量および充放電効率に基づいて、第2電力量を充電するのに要した単位電力量あたりの充電単価を算出する第3算出部を備える。また、時間帯ごとに電気料金を充電単価と比較して、電気料金が充電単価未満である場合、電力系統から蓄電池に充電させ、電気料金が充電単価以上である場合、蓄電池から負荷に放電させる制御部を備える。