特許第5661978号(P5661978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5661978
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】シース型測温センサのターミナルヘッド
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/00 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
   G01K7/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-537387(P2014-537387)
(86)(22)【出願日】2014年4月22日
(86)【国際出願番号】JP2014002270
【審査請求日】2014年8月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000140454
【氏名又は名称】株式会社岡崎製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130144
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健一
(72)【発明者】
【氏名】寺田 誠
(72)【発明者】
【氏名】山名 勝
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一英
【審査官】 平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭50−29501(JP,Y1)
【文献】 特開平7−333071(JP,A)
【文献】 特開2002−62192(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3000834(JP,U)
【文献】 特許第5368632(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の金属シースの中に無機絶縁材粉末を介在させて測温センサを収容したシース型測温センサに、該測温センサの信号を伝送するためのケーブルを接続するために設けるシース型測温センサのターミナルヘッドであって、
上部に形成された上部開口と、側部に形成された前記ケーブルが挿入される側部開口と、底部に形成された前記シース型測温センサが略垂直に挿入される底部開口を有する外枠体と、
該外枠体の上部開口に螺合により取り付けられた蓋と、
電気絶縁材を材質とし、複数の端子板固定ビスにより前記外枠体の内部に固定され、水平方向の寸法が前記外枠体の上部開口の水平方向の寸法より小さく、該端子板固定ビスを外して垂直に上方向へ移動することによって、前記蓋を外した該外枠体の上部開口から該外枠体の外に取り出すことが可能な位置に設けられた端子板と、
該端子板の上面に前記シース型測温センサの導線と同数取り付けられた端子金具と、
該端子金具と螺合することにより、前記ケーブルの各導線を該端子金具に繋げるケーブル配線端子と、
電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に前記シース型測温センサの導線と同数のオスの電極ピンが設けられたオスコネクタと、電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に該オスコネクタの電極ピンと同数のメスの電極ピンが設けられたメスコネクタを備え、該オスコネクタまたは該メスコネクタのいずれか一方のコネクタは前記端子板に取り付けられ、他方のコネクタは前記シース型測温センサのシースの上端部に取り付けられた1対の差し込み式コネクタと、
端子板側に取り付けられたコネクタとシース型測温センサ側に取り付けられたコネクタとが結合した状態において、該両コネクタを跨いだ位置にあってネジ締めにより結合状態を保持させる結合ナットと、を有し、
前記端子板側に取り付けられたコネクタは、前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタが下方向から結合する向きに前記端子板に固定され、該端子板側に取り付けられたコネクタの前記電極ピンと前記ケーブル配線端子は、該電極ピンの上端部と該端子金具を結ぶ繋ぎ導体と、前記端子金具とにより電気的に繋がれており、
前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタは、前記端子板側に取り付けられたコネクタが上方向から結合する方向で、かつ、結合した状態において該シース型測温センサが略垂直となるように該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの円筒状をしたボディの下部に前記シース型測温センサのシースの上端部が挿入された状態で、前記シース型測温センサに固定されていて、該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの前記各電極ピンの下端部には前記シースの外に出た前記シース型測温センサの導線が繋がれ、
前記端子板、前記端子金具、前記ケーブル配線端子、前記1対の差し込み式コネクタ、前記結合ナット及び前記シース型測温センサが組み立てられた状態おいて、組み立てられた一体の水平方向の寸法が前記端子板の水平方向寸法を超えないシース型測温センサのターミナルヘッド。
【請求項2】
筒状の金属シースの中に無機絶縁材粉末を介在させて測温センサを収容したシース型測温センサに、該測温センサの信号を伝送するためのケーブルを接続するために設けるシース型測温センサのターミナルヘッドであって、
上部に形成された上部開口と、側部に形成された前記ケーブルが挿入される側部開口と、底部に形成された前記シース型測温センサが略垂直に挿入される底部開口を有する外枠体と、
該外枠体の上部開口に螺合により取り付けられた蓋と、
電気絶縁材を材質とし、複数の端子板固定ビスにより前記外枠体の内部に固定され、水平方向の寸法が前記外枠体の上部開口の水平方向の寸法より小さく、該端子板固定ビスを外して垂直に上方向へ移動することによって、前記蓋を外した該外枠体の上部開口から該外枠体の外に取り出すことが可能な位置に設けられた端子板と、
該端子板の上面に前記シース型測温センサの導線と同数取り付けられた端子金具と、
該端子金具と螺合することにより、前記ケーブルの各導線を該端子金具に繋げるケーブル配線端子と、
電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に前記シース型測温センサの導線と同数のオスの電極ピンが設けられたオスコネクタと、電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に該オスコネクタの電極ピンと同数のメスの電極ピンが設けられたメスコネクタを備え、該オスコネクタまたは該メスコネクタのいずれか一方のコネクタは前記端子板に取り付けられ、他方のコネクタは前記シース型測温センサのシースの上端部に取り付けられた1対の差し込み式コネクタと、を有し、
前記端子板側に取り付けられたコネクタは、前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタが下方向から結合する向きに前記端子板に固定され、該端子板側に取り付けられたコネクタの前記電極ピンと前記ケーブル配線端子は、該電極ピンの上端部と該端子金具を結ぶ繋ぎ導体と、前記端子金具とにより電気的に繋がれており、
前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタは、前記端子板側に取り付けられたコネクタが上方向から結合する方向で、かつ、結合した状態において該シース型測温センサが略垂直となるように該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの円筒状をしたボディの下部に前記シース型測温センサのシースの上端部が挿入された状態で、前記シース型測温センサに固定されていて、該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの前記各電極ピンの下端部には前記シースの外に出た前記シース型測温センサの導線が繋がれ、
前記1対の差し込み式コネクタは、一方のコネクタの側面に凹部を複数設け、他方のコネクタには、該他方のコネクタのボディと同じ電気絶縁性樹脂を材質とする先端が鍵状となった腕を複数設け、該一方のコネクタの凹部に該他方のコネクタの腕の鍵状部を掛けることにより、該一方のコネクタと他方のコネクタの結合が保持され、
前記端子板、前記端子金具、前記ケーブル配線端子、前記1対の差し込み式コネクタ、及び前記シース型測温センサが組み立てられた状態おいて、組み立てられた一体の水平方向の寸法が前記端子板の水平方向寸法を超えないシース型測温センサのターミナルヘッド。
【請求項3】
筒状の金属シースの中に無機絶縁材粉末を介在させて測温センサを収容したシース型測温センサに、該測温センサの信号を伝送するためのケーブルを接続するために設けるシース型測温センサのターミナルヘッドであって、
上部に形成された上部開口と、側部に形成された前記ケーブルが挿入される側部開口と、底部に形成された前記シース型測温センサが略垂直に挿入される底部開口を有する外枠体と、
該外枠体の上部開口に螺合により取り付けられた蓋と、
電気絶縁材を材質とし、複数の端子板固定ビスにより前記外枠体の内部に固定され、水平方向の寸法が前記外枠体の上部開口の水平方向の寸法より小さく、該端子板固定ビスを外して垂直に上方向へ移動することによって、前記蓋を外した該外枠体の上部開口から該外枠体の外に取り出すことが可能な位置に設けられた端子板と、
該端子板の上面に前記シース型測温センサの導線と同数取り付けられた端子金具と、
該端子金具と螺合することにより、前記ケーブルの各導線を該端子金具に繋げるケーブル配線端子と、
電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に前記シース型測温センサの導線と同数のオスの電極ピンが設けられたオスコネクタと、電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に該オスコネクタの電極ピンと同数のメスの電極ピンが設けられたメスコネクタを備え、該オスコネクタまたは該メスコネクタのいずれか一方のコネクタは前記端子板に取り付けられ、他方のコネクタは前記シース型測温センサのシースの上端部に取り付けられた1対の差し込み式コネクタと、を有し、
前記端子板側に取り付けられたコネクタは、前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタが下方向から結合する向きに前記端子板に固定され、該端子板側に取り付けられたコネクタの前記電極ピンと前記ケーブル配線端子は、該電極ピンの上端部と該端子金具を結ぶ繋ぎ導体と、前記端子金具とにより電気的に繋がれており、
前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタは、前記端子板側に取り付けられたコネクタが上方向から結合する方向で、かつ、結合した状態において該シース型測温センサが略垂直となるように該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの円筒状をしたボディの下部に前記シース型測温センサのシースの上端部が挿入された状態で、前記シース型測温センサに固定されていて、該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの前記各電極ピンの下端部には前記シースの外に出た前記シース型測温センサの導線が繋がれ、
前記1対の差し込み式コネクタは、前記オスコネクタと前記メスコネクタの両コネクタの結合される側に円筒状部が設けられ、少なくとも一方のコネクタの円筒状部は、他方のコネクタに接する側の末端にあり、該一方のコネクタと該他方のコネクタは、該一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に、該他方のコネクタの円筒状部が挿入されることにより結合され、
前記他方のコネクタの円筒状部外面には、挿入方向の面が挿入方向と逆方向に傾斜し、挿入方向と逆の面が挿入方向に傾斜した複数の突起が形成されるとともに、該各突起の両側に略軸方向のスリットが形成され、
前記一方のコネクタの円筒状部には、前記他方のコネクタの外面に設けられた各突起に対応した貫通孔または内面の凹部が形成され、
前記一方のコネクタと前記他方のコネクタの結合は、該他方のコネクタに設けられた前記各突起が、該一方のコネクタの前記貫通孔または前記凹部に差し込まれることにより保持され、
前記端子板、前記端子金具、前記ケーブル配線端子、前記1対の差し込み式コネクタ、及び前記シース型測温センサが組み立てられた状態おいて、組み立てられた一体の水平方向の寸法が前記端子板の水平方向寸法を超えないシース型測温センサのターミナルヘッド。
【請求項4】
筒状の金属シースの中に無機絶縁材粉末を介在させて測温センサを収容したシース型測温センサに、該測温センサの信号を伝送するためのケーブルを接続するために設けるシース型測温センサのターミナルヘッドであって、
上部に形成された上部開口と、側部に形成された前記ケーブルが挿入される側部開口と、底部に形成された前記シース型測温センサが略垂直に挿入される底部開口を有する外枠体と、
該外枠体の上部開口に螺合により取り付けられた蓋と、
電気絶縁材を材質とし、複数の端子板固定ビスにより前記外枠体の内部に固定され、水平方向の寸法が前記外枠体の上部開口の水平方向の寸法より小さく、該端子板固定ビスを外して垂直に上方向へ移動することによって、前記蓋を外した該外枠体の上部開口から該外枠体の外に取り出すことが可能な位置に設けられた端子板と、
該端子板の上面に前記シース型測温センサの導線と同数取り付けられた端子金具と、
該端子金具と螺合することにより、前記ケーブルの各導線を該端子金具に繋げるケーブル配線端子と、
電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に前記シース型測温センサの導線と同数のオスの電極ピンが設けられたオスコネクタと、電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に該オスコネクタの電極ピンと同数のメスの電極ピンが設けられたメスコネクタを備え、該オスコネクタまたは該メスコネクタのいずれか一方のコネクタは前記端子板に取り付けられ、他方のコネクタは前記シース型測温センサのシースの上端部に取り付けられた1対の差し込み式コネクタと、を有し、
前記端子板側に取り付けられたコネクタは、前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタが下方向から結合する向きに前記端子板に固定され、該端子板側に取り付けられたコネクタの前記電極ピンと前記ケーブル配線端子は、該電極ピンの上端部と該端子金具を結ぶ繋ぎ導体と、前記端子金具とにより電気的に繋がれており、
前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタは、前記端子板側に取り付けられたコネクタが上方向から結合する方向で、かつ、結合した状態において該シース型測温センサが略垂直となるように該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの円筒状をしたボディの下部に前記シース型測温センサのシースの上端部が挿入された状態で、前記シース型測温センサに固定されていて、該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの前記各電極ピンの下端部には前記シースの外に出た前記シース型測温センサの導線が繋がれ、
前記1対の差し込み式コネクタは、前記オスコネクタと前記メスコネクタの両コネクタの結合される側に円筒状部が設けられ、少なくとも一方のコネクタの円筒状部は、他方のコネクタに接する側の末端にあり、該一方のコネクタと該他方のコネクタは、該一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に、該他方のコネクタの円筒状部が挿入されることにより結合され、
前記一方のコネクタの円筒状部内面には、挿入方向の面が挿入方向と逆方向に傾斜し、挿入方向と逆の面が挿入方向に傾斜した複数の突起が形成されるとともに、該各突起の両側に略軸方向のスリットが形成され、
前記他方のコネクタには、前記一方のコネクタの内面に設けられた各突起に対応した貫通孔または外面の凹部が形成され、
前記一方のコネクタと前記他方のコネクタの結合は、該一方のコネクタに設けられた前記各突起が、該他方のコネクタの前記貫通孔または前記凹部に差し込まれることにより保持され、
前記端子板、前記端子金具、前記ケーブル配線端子、前記1対の差し込み式コネクタ、及び前記シース型測温センサが組み立てられた状態おいて、組み立てられた一体の水平方向の寸法が前記端子板の水平方向寸法を超えないシース型測温センサのターミナルヘッド。
【請求項5】
筒状の金属シースの中に無機絶縁材粉末を介在させて測温センサを収容したシース型測温センサに、該測温センサの信号を伝送するためのケーブルを接続するために設けるシース型測温センサのターミナルヘッドであって、
上部に形成された上部開口と、側部に形成された前記ケーブルが挿入される側部開口と、底部に形成された前記シース型測温センサが略垂直に挿入される底部開口を有する外枠体と、
該外枠体の上部開口に螺合により取り付けられた蓋と、
電気絶縁材を材質とし、複数の端子板固定ビスにより前記外枠体の内部に固定され、水平方向の寸法が前記外枠体の上部開口の水平方向の寸法より小さく、該端子板固定ビスを外して垂直に上方向へ移動することによって、前記蓋を外した該外枠体の上部開口から該外枠体の外に取り出すことが可能な位置に設けられた端子板と、
該端子板の上面に前記シース型測温センサの導線と同数取り付けられた端子金具と、
該端子金具と螺合することにより、前記ケーブルの各導線を該端子金具に繋げるケーブル配線端子と、
電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に前記シース型測温センサの導線と同数のオスの電極ピンが設けられたオスコネクタと、電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中に該オスコネクタの電極ピンと同数のメスの電極ピンが設けられたメスコネクタを備え、該オスコネクタまたは該メスコネクタのいずれか一方のコネクタは前記端子板に取り付けられ、他方のコネクタは前記シース型測温センサのシースの上端部に取り付けられた1対の差し込み式コネクタと、を有し、
前記端子板側に取り付けられたコネクタは、前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタが下方向から結合する向きに前記端子板に固定され、該端子板側に取り付けられたコネクタの前記電極ピンと前記ケーブル配線端子は、該電極ピンの上端部と該端子金具を結ぶ繋ぎ導体と、前記端子金具とにより電気的に繋がれており、
前記シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタは、前記端子板側に取り付けられたコネクタが上方向から結合する方向で、かつ、結合した状態において該シース型測温センサが略垂直となるように該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの円筒状をしたボディの下部に前記シース型測温センサのシースの上端部が挿入された状態で、前記シース型測温センサに固定されていて、該シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの前記各電極ピンの下端部には前記シースの外に出た前記シース型測温センサの導線が繋がれ、
前記1対の差し込み式コネクタは、前記オスコネクタと前記メスコネクタのいずれか一方のコネクタの他方のコネクタに接する側の末端に円筒状部が設けられ、該他方のコネクタの該一方のコネクタの接する側に円筒状部または円柱部が設けられ、該一方のコネクタと該他方のコネクタは、該一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に該他方のコネクタの円筒状部または円柱部が挿入されることにより結合され、
前記一方のコネクタの円筒状部内面にはメスネジが、前記他方のコネクタの円筒状部または円柱部外面にはオスネジが切られていて、
前記一方のコネクタと前記他方のコネクタの結合は、前記オスネジと前記メスネジを螺合することにより保持され、
前記端子板、前記端子金具、前記ケーブル配線端子、前記1対の差し込み式コネクタ、及び前記シース型測温センサが組み立てられた状態おいて、組み立てられた一体の水平方向の寸法が前記端子板の水平方向寸法を超えないシース型測温センサのターミナルヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シース熱電対の熱電対素線と補償導線ケーブルとを、またはシース測温抵抗体の導線と延長ケーブルとを接続するためのシース型測温センサのターミナルヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シース型測温センサであるシース熱電対またはシース測温抵抗体は、測定信号を受信器に導くためのケーブルに接続され、シース熱電対では補償導線ケーブルが、シース測温抵抗体では延長ケーブルが接続される。これらの接続のための機構として、本発明が対象とするターミナルヘッド(端子箱とも呼ばれる)がある。
【0003】
図4にシース型測温センサとケーブルの接続関係を示す。図4(a)はシース熱電対301と補償導線ケーブル701の接続関係であり、図4(b)はシース測温抵抗体302と延長ケーブル702の接続関係である。鎖線で囲った部分がターミナルヘッドにおける接続部分である。なお、図4は断面図であるが、補償導線ケーブル701と延長ケーブル702の被覆71、補償導線ケーブル701の補償導線731と延長ケーブル702の導線732の絶縁被覆72、及び測温抵抗体素子35は外形で示している。また、図4(a)及び図4(b)において同じ機能の部分は同じ符号を付している。
【0004】
シース熱電対301は、金属製のシース32内にマグネシアまたはアルミナ等の無機絶縁材粉末33を介在させて1対の熱電対素線31aを収容したものである。ターミナルヘッドにおいて、熱電対素線31aに、補償導線ケーブル701の被覆71及び各絶縁被覆72から剥き出された補償導線731が繋がれる。
【0005】
シース測温抵抗体302は、マグネシアまたはアルミナ等の無機絶縁材粉末33を介在させて金属製のシース32内に測温抵抗体素子35とその導線31bを収容したものである。ターミナルヘッドにおいて測温抵抗体素子35の導線31bに、延長ケーブル702の被覆71及び各絶縁被覆72から剥き出された導線732が繋がれる。測温抵抗体素子35による温度の測定には、周知のとおり、測温抵抗体素子35の導線31bの分岐数により、2線式、3線式及び4線式の方法があり、図4(b)は3線式の場合を示している。
【0006】
シース熱電対301、シース測温抵抗体302の何れ場合も、シース32の末端には樹脂シール34が施されていて、湿気の進入が無機絶縁材粉末33の絶縁抵抗低下をもたらすことによる温度測定誤差の発生を防いでいる。
【0007】
従来のターミナルヘッドの一般的な構造を、シース熱電対のターミナルヘッドである図5に沿って説明する。図5(a)はターミナルヘッド10の断面図、図5(b)は図5(a)のC−C矢視図、図5(c)は図5(b)のD−D断面である。図5(a)の蓋102の左半分は外形で表している。
【0008】
外枠体101には、蓋102が螺合した上部開口、側部開口104及び底部開口105があり、蓋102は紛失防止のために外枠体101と鎖103で繋がれている。
【0009】
外枠体101の内部には、電気絶縁材を材質とする端子板20が複数の端子板固定ビス201により外枠体101に固定されている。端子板20には、2個の端子金具202が端子金具固定ビス207により固定されており、各端子金具202には、センサ配線端子206とケーブル配線端子203が取り付けられている。これら2種類の端子の各対は、端子金具202により電気的に導通している。
【0010】
端子板20にはまた、シース取付金具208がシース取付金具固定ビス205により取り付けられており、シース取付金具208には外枠体101の底部開口105より挿入されているシース熱電対301のシース32が溶接されていて、このシース取付金具208によりシース熱電対301の位置が固定されている。
【0011】
シース熱電対301の末端には樹脂シール34が施されていて、そのシース32の外に出た1対の熱電対素線31aには、相互に接触することを防ぐために絶縁チューブ312が被せられ、熱電対素線31aの先端は、センサ配線端子206に繋がれている。
【0012】
外枠体101の底部開口105には、シース熱電対301の変形、損傷を防ぐための保護管106が外枠体101とロックナット107との螺合により固定されている。
【0013】
外枠体101の側部開口104には図5に示していない受信器からの補償導線ケーブルが挿入され、その補償導線がケーブル配線端子203に繋がれる。
【0014】
以上の様にしてシース熱電対301と補償導線ケーブルが接続される。なお、センサ配線端子206、ケーブル配線端子203と端子金具202の組数は、シース型測温センサの導線の数が必要である。1対の熱電対素線31aを収容したシース熱電対301の場合は図5に示したように2組であるが、熱電対素線を2対収容したダブルエレメント型のシース熱電対の場合は4組となり、前述した2線式、3線式、4線式のシース測温抵抗体の場合はそれぞれ2組、3組、4組となる。
【0015】
また、シース測温抵抗体302の場合は、図4に示したように熱電対素線31aが導線31b、補償導線ケーブル701が延長ケーブル702、補償導線731が延長ケーブルの導線732となる。
【0016】
以下、シース熱電対301とシース測温抵抗体302を一括してシース型測温センサ、熱電対素線31aと導線31bを一括してシース型温度センサの導線、補償導線ケーブル701と延長ケーブル702を一括してケーブル、補償導線ケーブル701の補償導線731と延長ケーブル702の導線732を一括してケーブルの導線と呼ぶ。
【0017】
ターミナルヘッドの形状は図5に示した以外に、特許文献1の第1図、特許文献2の図2、特許文献3の図1図4、及び特許文献4の図4に示されるようなものがある。しかしいずれも、蓋付きの外枠体(特許文献1では本体、特許文献2では端子箱、特許文献3では外枠体、特許文献4では端子筐と呼ばれている)の中に、端子板(特許文献1では端子台、特許文献2と3では端子板、特許文献4では端子盤と呼ばれている)が外枠体に固定して設けられ、また、端子板には配線端子(特許文献1では端子金具、特許文献2では端子台、特許文献3では配線ビス、特許文献4で接続端子、端子と呼ばれている)が設けられている基本構造は図5と同じで、配線端子を中継箇所として、外枠体の底部開口から挿入されたシース型測温センサと側部開口から挿入されたケーブルが接続されるもの同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】実願昭52−142643号(実開昭54−70486号)のマイクロフィルム
【特許文献2】特開平9−68468号公報
【特許文献3】特許第5368632号公報
【特許文献4】実公昭50−29501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
シース型測温センサ301が故障や劣化によって取り替える必要が生じた場合、図5に示した従来の構造のターミナルヘッド10では、取り替えが次のように行われる。
【0020】
先ず、蓋102の外枠体101からの取り外し、ケーブルの導線のケーブル配線端子203からの取り外し、及び端子板固定ビス201の取り外しを行った後、端子板20とそれに付属するケーブル配線端子203、センサ配線端子206、端子金具202、端子金具固定ビス207、シース取付金具208ならびにシース取付金具固定ビス205、及びシース取付金具208に固定されているシース型測温センサ301を一体として、蓋102を外した外枠体101の上部開口より引き出す。
【0021】
続いて、シース型測温センサ301の導線31aのセンサ配線端子206からの取り外しと、シース取付金具固定ビス205の取り外しによる、シース取付金具208とそれに固定されたシース型測温センサ301の端子板20からの取り外しを行う。
【0022】
次に、逆の順序で組み立てを行う。準備していた新たなシース取付金具2 08が溶接された新たなシース型測温センサ301を、シース取付金具固定ビス205により端子板20に取り付け、シース型測温センサ301から出ている導線31aに絶縁チューブ312を被せた後、その先端をセンサ配線端子206に繋ぐ。
【0023】
続いて、外枠体101の上部開口から、端子板20とそれに付属するケーブル配線端子203、センサ配線端子206、端子金具202、端子金具固定ビス207、シース取付金具208ならびにシース取付金具固定ビス205、及びシース取付金具208に固定されているシース型測温センサ301を一体として挿入する。
【0024】
最後に、端子板固定ビス201により端子板20を外枠体101に固定し、ケーブルの導線のケーブル配線端子203への繋ぎ込みを行った後、蓋102を外枠体101に螺合する。
【0025】
このようにシース型測温センサを取替える手順は、前述の特許文献1乃至3の図に示される構造のターミナルヘッドでも、取り外し、取り付けを行う固定ビスの数などに若干の違いはあるが、概ね同じである。
【0026】
この取替えにおいて、端子板固定ビス201及びシース取付金具固定ビス205の取り外しと取り付け、シース型測温センサ301と端子板20等の一体ものの引き出しと挿入は簡単な作業であり、また、ケーブルの導線として極端に太い導線または極端に細い導線が使われることは通常ないため、当該導線のケーブル配線端子203からの取り外しと同ケーブル配線端子203への繋ぎ込みも難しい作業ではない。しかし、これらの作業に較べて、シース型測温センサの導線31aのセンサ配線端子206からの取り外しと取り付けは場合によっては困難な作業となる問題があった。
【0027】
つまり、シース型測温センサ301のシース外径が細く、そのシース内に収容されている導線31aが細い場合は、導線31aが視認しがたくかつ断線し易くなるので、センサ配線端子206への繋ぎ込みをターミナルヘッド10の設置されている現場において工具に制限のある状態で行うことは、作業員の経験と作業時間を要する難しい作業となる問題があった。また、シース外径が太く、そのシース内に収容されている導線31aが太い場合は、導線31aの屈曲が容易でなくなるので、センサ配線端子206からの導線31aの取り外しと同センサ配線端子206への繋ぎ込みを、ターミナルヘッド10の設置されている現場において工具に制限のある状態で行うことは、作業員の経験と作業時間を要する難しい作業となる問題があった。例えば、シース外径3.2mmのシース型測温センサでは、導線の径が約0.5mmと細いためにセンサ配線端子206への繋ぎ込みが難しくなり、また、シース外径20mmのシース型測温センサでは、熱電対素線の径が約3mmと太いためにセンサ配線端子206からの導線の取り外しと繋ぎ込みが難しくなる。
【0028】
特許文献4のターミナルヘッドには、上下2層に分割され、割りピンを差し込むことにより一体化された端子板が示されている。シース型温度センサは上層の端子板に固定されているので、シース型測温センサの取り替えは、シース型温度センサを上層の端子板に固定したまま取り出し、準備していた新たな上層の端子板に固定された新たなシース型温度センサを取り付けることにより可能である。
【0029】
この構造では、シース型温度センサの導線を上層の端子板に設けられた配線端子からの取り外し作業と同配線端子への繋ぎ込み作業は、設備の揃った工場で実施することができるので、上述のような現場作業の問題は生じない。しかしながら、シース型温度センサの取り替え毎に、複雑な構造をした上層の端子板も取り替えなければならず、取替え部品の費用が増加するという別の問題が発生する。
【0030】
なお、費用の増加を許容し、シース型温度センサの取り替えの際に端子板も取り替えるものとすれば、図5及び前述の特許文献1乃至3に示されるターミナルヘッドでも、シース型温度センサの導線を端子板に設けられた配線端子から取り外す作業は必要なくなり、同配線端子へ繋ぎ込む作業は工場で行うことができるので、現場作業が当該導線の径によっては困難となる問題は生じない。
【0031】
以上説明したように、従来のシース型測温センサのターミナルヘッドには、シース型測温センサを故障や劣化により取り替える際、シース型測温センサの導線を配線端子から取り外し、また同配線端子に繋ぎ込む現場作業が、導線径によっては困難な問題があり、これを避けるために端子板も併せて取り替えると費用が増加する問題があった。
【0032】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものである。シース型温度センサの取り替えの際に、シース型温度センサの導線の配線端子からの取り外しと同配線端子への繋ぎ込みを行う現場作業を必要とせず、かつ、シース型温度センサとともに取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制したシース型測温センサのターミナルヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
(第1の態様)
本発明の第1の態様は、筒状の金属シースの中に無機絶縁材粉末を介在させて測温センサを収容したシース型測温センサに、測温センサの信号を伝送するためのケーブルを接続するために設けるシース型測温センサのターミナルヘッドであって、
上部に形成された上部開口と、側部に形成されたケーブルが挿入される側部開口と、底部に形成されたシース型測温センサが略垂直に挿入される底部開口を有する外枠体と、
外枠体の上部開口に螺合により取り付けられた蓋と、
電気絶縁材を材質とし、複数の端子板固定ビスにより外枠体の内部に固定され、水平方向の寸法が外枠体の上部開口の水平方向の寸法より小さく、端子板固定ビスを外して垂直に上方向へ移動することによって、蓋を外した外枠体の上部開口から外枠体の外に取り出すことが可能な位置に設けられた端子板と、
端子板の上面にシース型測温センサの導線と同数取り付けられた端子金具と、
端子金具と螺合することにより、ケーブルの各導線を端子金具に繋げるケーブル配線端子と、
電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中にシース型測温センサの導線と同数のオスの電極ピンが設けられたオスコネクタと、電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中にオスコネクタの電極ピンと同数のメスの電極ピンが設けられたメスコネクタを備え、オスコネクタまたはメスコネクタのいずれか一方のコネクタは端子板に取り付けられ、他方のコネクタはシース型測温センサのシースの上端部に取り付けられた1対の差し込み式コネクタと、
端子板側に取り付けられたコネクタとシース型測温センサ側に取り付けられたコネクタとが結合した状態において、両コネクタを跨いだ位置にあってネジ締めにより結合状態を保持させる結合ナットと、を有し、
端子板側に取り付けられたコネクタは、シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタが下方向から結合する向きに端子板に固定され、端子板側に取り付けられたコネクタの電極ピンとケーブル配線端子は、電極ピンの上端部と端子金具を結ぶ繋ぎ導体と、端子金具とにより電気的に繋がれており、
シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタは、端子板側に取り付けられたコネクタが上方向から結合する方向で、かつ、結合した状態においてシース型測温センサが略垂直となるようにシース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの円筒状をしたボディの下部にシース型測温センサのシースの上端部が挿入された状態で、シース型測温センサに固定されていて、シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの各電極ピンの下端部にはシースの外に出たシース型測温センサの導線が繋がれ、
端子板、端子金具、ケーブル配線端子、1対の差し込み式コネクタ、結合ナット及びシース型測温センサが組み立てられた状態おいて、組み立てられた一体の水平方向の寸法が端子板の水平方向寸法を超えないものである。
【0034】
本発明によれば、シース型測温センサを取り替える際は、外枠体の蓋と端子板固定ビスを外すとともにケーブル配線端子に繋がれたケーブルの導線を外せば、端子金具、ケーブル配線端子、繋ぎ導体ならびに1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタが取り付けられた端子板と、結合ナットによりコネクタとの結合状態が保持されているシース型測温センサ側のコネクタと、このシース型測温センサ側のコネクタが固定されたシース型測温センサとが一体となったものを上方へ垂直に移動することにより、その一体を外枠体の上部開口から外枠体の外に取り出すことができる。そして、外枠体の外に取り出した後、結合ナットを緩め、シース型測温センサが固定されたシース型測温センサ側のコネクタを、端子板側のコネクタより外し、準備していた新たなシース型測温センサに固定された新たなシース型測温センサ側のコネクタを、端子板側のコネクタと結合し、結合ナットを締めて結合を保持する。このようにして再び一体となったものを外枠体の上部開口から挿入し、端子板の端子板固定ビスによる外枠体への固定、ケーブルの導線のケーブル配線端子への繋ぎ込み、及び外枠体の蓋の外枠への螺合を行うことにより、シース型測温センサの取り替えが完了する。このように、本発明によれば、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。
なお、一方のコネクタと他方のコネクタを跨ぐ結合ナットを締めることによりコネクタの結合が保持され、結合ナットを緩めることにより結合が解除されるので、1対の差し込み式コネクタの結合及び結合の解除は、シース型測温センサの取り替え現場であっても容易に行うことができる。
【0035】
(第2の態様)
第1の態様では、1対の差し込み式コネクタの結合の保持を結合ナットによった。これに替えて、本発明の第2の態様では、
1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタの側面に凹部を複数設け、他方のコネクタには、他方のコネクタのボディと同じ電気絶縁性樹脂を材質とする先端が鍵状となった腕を複数設けて、一方のコネクタの凹部に他方のコネクタの腕の鍵状部を掛けることにより、1対の差し込み式コネクタの結合を保持するようにした。
【0036】
本発明によれば、第1の態様と同様、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。
本態様での結合の保持は、コネクタのボディの材質である電気絶縁性樹脂の弾力性を利用したものである。腕を外側に引いた状態で結合し、腕を元の位置に復帰させて鍵状部を凹部に掛ければ結合が保持され、結合の解除は腕を外側に引いた状態において行うことができるので、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタとの結合及び結合の解除を、シース型測温センサの取り替え現場において容易に行うことができるのも、第1の態様と同様である。
【0037】
(第3の態様)
第1及び第2の態様における1対の差し込み式コネクタの結合の保持方法に替えて、本発明の第3の態様では、
1対の差し込み式コネクタのオスコネクタとメスコネクタの両コネクタの結合される側に円筒状部が設けられ、少なくとも一方のコネクタの円筒状部は、他方のコネクタに接する側の末端にあり、一方のコネクタと他方のコネクタは、一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に、他方のコネクタの円筒状部が挿入されることにより結合され、
他方のコネクタの円筒状部外面には、挿入方向の面が挿入方向と逆方向に傾斜し、挿入方向と逆の面が挿入方向に傾斜した複数の突起が形成されるとともに、各突起の両側に略軸方向のスリットが形成され、
一方のコネクタの円筒状部には、他方のコネクタの外面に設けられた各突起に対応した貫通孔または内面の凹部が形成され、
一方のコネクタと他方のコネクタの結合は、他方のコネクタに設けられた各突起が、一方のコネクタの貫通孔または凹部に差し込まれることにより保持されるようにした。
【0038】
本発明によれば、第1、第2の態様と同様、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線 端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。
本様態での結合の保持も、コネクタのボディの材質である電気絶縁性樹脂の弾力性を利用したものである。内側の円筒状部の突起はスリットの存在によって径方向に大きく動くことができる。このため、内側の円筒状部を外側 の円筒状部に挿入する際に、外側の円筒状部の端に突起が達すると、突起の挿入方向の面は挿入方向とは逆に傾いているため円筒状部の端によって突起が内側に押され、引き続き挿入を続けることができる。そして、各突起が対応する各貫通孔または凹部の位置に達すると、外側の円筒状部により押されていた突起が貫通孔または凹部に差し込まれて元の位置に復帰し、一方のコネクタと他方のコネクタの結合を保持する。また、一方のコネクタと他方のコネクタの結合を外す場合は、外す方向にコネクタを引っ張ることにより、突起の挿入方向と逆の面は挿入方向に傾いているため突起が貫通孔または凹部により内側に押され、内側の円筒状部を外側の円筒状部から引き抜くことができる。このように、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタとの結合及び結合の解除を、シース型測温センサの取り替え現場において容易に実施できるのも、第1、第2の態様と同様である。

【0039】
(第4の態様)
第1乃至第3態様での1対の差し込み式コネクタの結合の保持方法に替えて、本発明の第4の態様では、
1対の差し込み式コネクタのオスコネクタとメスコネクタの両コネクタの結合される側に円筒状部が設けられ、少なくとも一方のコネクタの円筒状部は、他方のコネクタに接する側の末端にあり、一方のコネクタと他方のコネクタは、一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に、他方のコネクタの円筒状部が挿入されることにより結合され、
一方のコネクタの円筒状部内面には、挿入方向の面が挿入方向と逆方向に傾斜し、挿入方向と逆の面が挿入方向に傾斜した複数の突起が形成されるとともに、各突起の両側に略軸方向のスリットが形成され、
他方のコネクタには、一方のコネクタの内面に設けられた各突起に対応した貫通孔または外面の凹部が形成され、
一方のコネクタと他方のコネクタの結合は、一方のコネクタに設けられた各突起が、他方のコネクタの貫通孔または凹部に差し込まれることにより保持する。
【0040】
本発明によれば、第1乃至第3の態様と同様、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。また、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタを結合する際と引き離す際に、突起が押されて外側に動くことを除いては、一方のコネクタと他方のコネクタの結合と引き外しの原理は第3の態様と同様であり、第3の態様と同様に、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタとの結合及び結合の解除を、シース型測温センサの取り替え現場において容易に実施できる。
【0041】
(第5の態様)
第1乃至第4態様での1対の差し込み式コネクタの結合の保持方法に替えて、本発明の第5の態様では、
1対の差し込み式コネクタのオスコネクタとメスコネクタのいずれか一方のコネクタの他方のコネクタに接する側の末端に円筒状部が設けられ、他方のコネクタの一方のコネクタの接する側に円筒状部または円柱部が設けられ、一方のコネクタと他方のコネクタは、一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に他方のコネクタの円筒状部または円柱部が挿入されることにより結合され、
一方のコネクタの円筒状部内面にはメスネジが、他方のコネクタの円筒状部または円柱部外面にはオスネジが切られていて、
一方のコネクタと前記他方のコネクタの結合は、オスネジとメスネジを螺合することにより保持する。
【0042】
本発明によれば、第1乃至第4の態様と同様、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。また、一方のコネクタのメスネジと他方のコネクタのオスネジを螺合することにより結合が保持され、さらに、一方のコネクタのメスネジと他方のコネクタのオスネジの螺合を解くことにより結合が解除されるので、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタの結合及び結合の解除を、シース型測温センサの取り替え現場において容易に行うことができるのも第1乃至第4の態様と同様である。
【発明の効果】
【0043】
本発明によるターミナルヘッドによれば、シース型温度センサの取り替えの際に、シース型温度センサの導線の配線端子からの取り外しと同配線端子への繋ぎ込みを行う現場作業が必要なくなるとともに、シース型温度センサとともに取り替える部品がシース型測温センサに取り付けられたコネクタのみであるので、費用の大きな増加を伴わずにシース型温度センサを取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】(a) 本発明の一実施形態におけるシース型測温センサのターミナルヘッドを示す縦断面図である。 (b) 図1(a)のA−A矢視平面図である。 (c) 図1(b)のB−B断面図である。
図2】(a) コネクタ取付ビスによるコネクタのシース型測温センサへの固定を示す断面図である。 (b) 締付筒によるコネクタのシース型測温センサへの固定を示す断面図である。 (c) 図2(b)のシース型測温センサ側のコネクタの下部円筒部の側面図である。
図3】(a) 先端が鍵状となった腕によるコネクタの結合保持を示す断面図である。 (b) 突起と貫通孔によるコネクタの結合保持を示す断面図である。 (c) 図3(b)の内側の円筒状部の側面図である。
図4】(a) シース熱電対の接続関係を示す図である。 (b) シース測温抵抗体の接続関係を示す図である。
図5】(a) 従来のシース型測温センサのターミナルヘッドを示す縦断面図である。 (b) 図5(a)のC−C矢視平面図である。 (c) 図5(b)のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の一実施形態を図1に沿って詳細に説明する。図1(a)は本発明の一実施形態におけるシース型測温センサ3のターミナルヘッド1を示す縦断面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A矢視平面図であり、図1(c)は図1(b)のB−B断面図である。図1(a)において蓋12の左半分は外形で示している。なお、図1は、シース型測温センサ3の導線31が2本の場合について図示している。
【0046】
本実施形態によるターミナルヘッド1は、筒状の金属製のシース32の中にアルミナ、マグネシアなどの無機絶縁材粉末33を介在させて、熱電対素線または測温抵抗体素子の測温センサを収容したシース型測温センサ3と、そのシース型測温センサ3の信号を伝送するための図示していないケーブルを接続するために、シース型測温センサ3の頭部に設けられている。
【0047】
このターミナルヘッド1は、少なくとも外枠体11、外枠体11の蓋12、端子板2、端子板固定ビス21、ケーブル配線端子23、端子金具22、1対の差し込み式コネクタ4、5、結合ナット6、及び繋ぎ導体24から構成されている。
【0048】
外枠体11には、蓋12が螺合により取り付けられている上部開口と、上述したケーブルが挿入される側部開口14と、シース型測温センサ3が略垂直に挿入されている底部開口15が設けられている。蓋12は紛失防止のために外枠体11と鎖13で繋がれている。
【0049】
端子板2は、電気絶縁材を材質とし、端子板固定ビス21により外枠体11に固定されている。この端子板2は、水平方向の寸法が外枠体11の上部開口より小さく、端子板固定ビス21を外して垂直に上方向へ移動することによって蓋12を外した外枠体11の上部開口から外枠体11の外に取り出すことが可能な位置に設置されている。また、端子板2の上面にはシース型測温センサ3の導線31と同数の端子金具22が取り付けられていて、各端子金具22には、前記ケーブルの各導線が繋がれるケーブル配線端子23が螺合されている。
【0050】
本実施形態では、端子板2の水平方向の寸法は42mm、外枠体11の上部開口の水平方向の寸法は最小部で60mmとし、また、外枠体11とそれに螺合した蓋12を合わせた寸法は垂直及び水平方向とも95mmとしているが、これに限定される訳ではない。
【0051】
1対の差し込み式コネクタ4、5は、電気絶縁性樹脂を材質とするボディ41の中にシース型測温センサ3の導線31と同数のメスの電極ピン42が設けられたコネクタ4(メスコネクタ)と、電気絶縁性樹脂を材質とするボディ51の中にメスの電極ピン42と同数のオスの電極ピン52が設けられたコネクタ5(オスコネクタ)が1対になって構成されている。本実施形態では、メスのコネクタ4が端子板2に取り付けられ、オスのコネクタ5がシース型測温センサ3のシース32の上端部に取り付けられている。
【0052】
コネクタ4は、コネクタ5が下方向から結合する向きに端子板2に接着材により固定されている。そして、コネクタ4の各電極ピン42の上端部と各ケーブル配線端子23とは、端子金具22と繋ぎ導体24により電気的に繋がれている。コネクタ5は、コネクタ4が上方向から挿入され、コネクタ5 とコネクタ4とが結合した状態において、シース型測温センサ3が略垂直となるように、コネクタ5の円筒状をしたボディ51の下部にシース型測温セ ンサ3のシース32の上端部が挿入されて、シース型測温センサ3のシース32に接着材により固定されている。コネクタ5の各電極ピン52の下端部には、シース型測温センサ3のシース32の外に出た導線31が繋がれている。本実施形態では、コネクタ4の電極ピン42と繋ぎ導体24、繋ぎ導体24と端子金具22、及びコネクタ5の電極ピン52とシース型測温センサ3の導線31との繋ぎは、半田付けより行われている。また、本実施形態のシース型測温センサ3のシース32の外径は3.2mmである。
【0053】
1対のコネクタ4、5は結合した状態で、両コネクタを跨ぐ結合ナット6の締め付けにより結合状態が保持されている。
【0054】
以上のとおり、シース型測温センサ3とケーブルが接続されている。
【0055】
シース型測温センサ3のシース32の上端面は樹脂シール34がシース型測温センサ3の導線31が貫通した状態で施されており、湿気の進入が無機絶縁材粉末33の絶縁抵抗低下をもたらすことによる温度測定誤差の発生を防いでいる。また、外枠体11の底部開口15には、シース型測温センサ3の変形、損傷を防ぐための保護管16が外枠体11とロックナット17との螺合により固定されている。
【0056】
コネクタ5のボディ51の突起53は、コネクタ5が周方向に回転して電極ピン42、52が損傷することを防ぐためのもので、電極ピン42、52に強度がある場合には不要である。また、コネクタ4の上部には樹脂25が充填されており、ダストの集積によって1対の電極ピン42の間、または1対の繋ぎ導体24の間に漏電が生じるのを防いでいる。ダストの無い場所で使用する場合は樹脂25の充填は必要ない。
【0057】
端子板2、端子金具22、ケーブル配線端子23、1対の差し込み式コネクタ4、5、結合ナット6及びシース型測温センサ3が組み立てられた状態おいて、組み立てられた一体の水平方向の寸法が端子板2単体の水平方向寸法を超えない形状となっている。本実施形態では、水平方向の寸法は端子板2が最も大きく、その寸法は前述のように外枠体11の上部開口より小さい42mmとしている。
【0058】
このためターミナルヘッド1においてシース型測温センサ3を取り替える際は、外枠体11の蓋12と端子板固定ビス21を外すとともにケーブル配線端子23に繋がれた図1に示していないケーブルの導線を外せば、端子金具22、ケーブル配線端子23、繋ぎ導体24ならびにコネクタ4が取り付けられた端子板2と、結合ナット6によりコネクタ4との結合状態が保持されているコネクタ5と、このコネクタ5が固定されたシース型測温センサ3とが一体となったものを上方へ垂直に移動することにより、この一体を外枠体11の上部開口から外枠体11の外に取り出すことができる。
【0059】
続いて、結合ナット6を緩め、シース型測温センサ3に固定されているコネクタ5を、コネクタ4より外し、準備していた新たなシース型測温センサ3に固定された新たなコネクタ5を、コネクタ4と結合し、結合ナット6を締めて結合を保持する。このようにして再び一体となったものを外枠体11の上部開口から挿入し、端子板2の端子板固定ビス21による外枠体11への固定、ケーブルの導線のケーブル配線端子23への繋ぎ込み、及び外枠体11の蓋12の外枠体11への螺合を行うことにより、シース型測温センサ3の取り替えが完了する。
【0060】
以上、第1態様に対応する実施形態である。このようにすることによって、取り替え現場でのシース型測温センサ3の導線31を配線端子からの取り外し作業と同配線端子へ繋ぎ込み作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ3以外に取り替える必要のある部品は、コネクタ5に限定され、費用の増加も抑制できる。
【0061】
本実施形態では、コネクタ4にメスの電極ピン42を、コネクタ5にオスの電極ピン52を設けたが、コネクタ4にオスの電極ピンを、コネクタ5にメスの電極ピンを設けてもよい。この場合は、コネクタ4がオスコネクタに、コネクタ5がメスコネクタになる。また、前述のように、図1はシース型測温センサ3の導線31が2本の場合について図示したが、ケーブル配線端子23、端子金具22と繋ぎ導体24の組数は導線31の数と同数の組が必要で、シース型測温センサが熱電対素線1対を収容したシース熱電対、及び2線式のシース測温抵抗体の場合は、図示のとおり2組で、熱電対素線を2対収容したダブルエレメント型のシース熱電対の場合は4組、3線式、4線式のシース測温抵抗体の場合はそれぞれ3組、4組が必要である。先に示した図4との対応としては、図1の導線31が図4の導線31aまたは31bである。
【0062】
主要構成品の材質に関し、本実施形態では、外枠体11とその蓋12は金型鋳造したアルミニュウムを、端子板2は電気絶縁性のセラミックスを、コネクタ4、5のボディ41、51は電気絶縁性樹脂を使用した。材質はこれらに限るものではなく、例えば、外枠体11とその蓋12はステンレス鋼、端子板2は電気絶縁性樹脂、コネクタ4、5のボディ41、51は電気絶縁性のセラミックスを用いてもよい。
【0063】
また、シース型測温センサ3がシース熱電対である場合、電極ピン42、52、繋ぎ導体24、及び端子金具22の材質が熱電対素線31と異なる材質であると、これらの部分での熱起電力が熱電対素線31の熱起電力と異なるために、温度測定に誤差が生じることがある。したがって、シース型測温センサ3がシース熱電対である場合には、電極ピン42、52、繋ぎ導体24、及び端子金具22の材質は、繋がれる熱電対素線31と同じ熱起電力を持つ材質、即ち、熱電対素線31と同じ材質か、その補償導線と同じ材質とすることが望ましい。
【0064】
コネクタ4の端子板2への固定は、本実施形態では接着材を用いて行っているが、ビス止めなど他の手法で固定してもよい。
【0065】
シース型測温センサ3へのコネクタ5の固定も、本実施形態では接着材を用いて行っているが、次のように、ビス止めによる固定、締め付けによる固定でもよい。
【0066】
図2(a)は、コネクタ取付ビスによるコネクタのシース型測温センサへの固定を示す断面図である。図2(a)に示すように、コネクタ取付ビス58により、コネクタ5のボディ51の下部円筒部をシース型測温センサ3のシース32に固定してもよい。また、図2(b)は締付筒によるコネクタのシース型測温センサへの固定を示す断面図で、図2(c)は図2(b)のシース型測温センサ側のコネクタ5の下部円筒部の側面図である。コネクタ5のボディ51の下部円筒部を図2(c)に示すように軸方向のスリット57aが全周に入った短冊状にし、外側に設けた先端部の内径を細くした締付筒59aを回転してネジ59bにより上方に移動することにより、スリット57aの入った短冊状の部分がシース型測温センサ3のシース32を締め付ける機構とし、この締め付けによってコネクタ5のボディ51の下部円筒部をシース型測温センサ3のシース32に固定してもよい。短冊状の部分の内面に凹凸を設けて摩擦係数を増やすことにより、より確実な固定をすることができる。
【0067】
次に、コネクタ4とコネクタ5の結合を保持する機構を変えた実施形態を、図3に沿って説明する。
【0068】
図3(a)は、先端が鍵状となった腕によるコネクタの結合の保持を示す断面図である。コネクタ4とコネクタ5の結合の保持は、結合ナットによらず、コネクタ4のボディ41の側面に凹部を設け、コネクタ5には、コネクタ5のボディ51に同じ電気絶縁性樹脂を材質とする複数の先端が鍵状となった腕54を設け、凹部に腕54の鍵状部を掛けて結合を保持している。これは、コネクタ5のボディ51の材質である電気絶縁性樹脂の弾力性を利用したもので、腕54を外側に引いた状態で結合し、腕54を元の位置に復帰させて鍵状部を凹部に掛ければ結合が保持される。結合の解除は、腕54を外側に引いた状態において行うことができる。
【0069】
この方法による結合の保持は、第2の態様に対応するものである。コネクタ5のボディ51の側面に凹部を設け、コネクタ4には、コネクタ4のボディ41と同じ電気絶縁性樹脂を材質とする複数の先端が鍵状となった腕を設けて、結合を保持してもよい。
【0070】
また、図3(b)は突起と貫通孔によるコネクタの結合保持を示す断面図で、図3(c)は図3(b)の内側の円筒状部の側面図である。コネクタ4とコネクタ5の結合の保持は、結合ナットまたは鍵つき腕に替えて、コネクタ4のボディ41のコネクタ5が結合される側の末端を円筒状部43とし、コネクタ5のボディ51のコネクタ4が結合される側の端部にも円筒状部55を設けることによりなされている。結合状態ではこの末端の円筒状部43に円筒状部55が挿入されている。円筒状部55には、挿入方向の面が挿入方向とは逆方向に傾き、挿入方向と逆側の面が挿入方向に傾いた複数の突起56が外面に設けられ、円筒状部55にはまた、各突起56の両側に略軸方向のスリット57bが設けられている。この各突起56が外側の円筒状部43に各突起56に対応して設けられた貫通孔44に差し込まれることにより結合が保持されている。
【0071】
本実施形態も、コネクタ5のボディ51の材質である電気絶縁性樹脂の弾力性を利用したものである。円筒状部55の突起56は、スリット57bの存在によって径方向に大きく動くことができる。コネクタ4、5を結合するために、円筒状部55を円筒状部43に挿入する際、円筒状部43の端が突起56の位置にくると、突起56の挿入方向の面が挿入方向とは逆に傾いているため円筒状部43の端によって突起56が内側に押され、引き続いて挿入を続けることができる。そして、所定の結合位置、つまり、各突起56が対応する各貫通孔44の位置に達すると、円筒状部43により押されていた突起56が、貫通孔44に差し込まれて元の位置に復帰し、結合が保持される。
【0072】
結合を外す場合は、外す方向にコネクタ4のボディ41またはコネクタ5のボディ51を引っ張ることにより、突起56の挿入方向と逆の面が挿入方向に傾いているため突起56が貫通孔44により内側に押され、 円筒状部55を円筒状部43から引き抜くことができ、結合が外される。
【0073】
本実施形態では、貫通孔44を設けたが、貫通孔44ではなく円筒状部43の内面に設けた貫通していない凹部であってもよく、また、コネクタ5のボディ51のコネクタ4側の末端を円筒状として、貫通孔または内面の凹部を設け、コネクタ4のボディ41のコネクタ5が結合される側の端部に表面の突起とスリットを持つ円筒状部を設け、コネクタ5の円筒状部にコネクタ4の円筒状部を挿入する構成としもよい。
【0074】
以上の突起56と貫通孔44または凹部とによる結合の保持は、第3の態様に対応するものである。
【0075】
さらに、第4の態様に示したように、上記の突起56とスリット57bを外側の円筒状部の内面に、上記の貫通孔44または凹部を内側の円筒状部に設けてもよい。このようにしても、1対の差し込み式コネクタを結合する際と引き離す際に突起が押されて外側に動くことを除いて、動作原理は上記の第3の態様に対応する実施形態と同じである。なお、この実施形態では、内側の円筒状部は弾力性を必要としないので、円柱状であってもよい。
【0076】
コネクタ4とコネクタ5の結合を保持する方法は、以上の実施形態における方法以外にもある。第5の様態に示したように、コネクタ4とコネクタ5と結合部において、内側の円筒状部または円柱状部の外面にオスネジを切って、また外側の円筒状部の内面にメスネジを切って、そのオスネジとメスネジを螺合させて結合を保持してもよい。また、図2(a)のシース型測温センサ3の固定法と同様に、ビスを用いてコネクタ4とコネクタ5の結合を保持してもよく、図2(b)と図2(c)のシース型測温センサ3の固定法と同様に、外側の円筒状部の末端の全周にスリットを形成させ、締付筒により、挿入された側のコネクタを締め付けることによって結合を保持してもよい。
【0077】
以上が本発明を実施するための形態であるが、本発明はもとより上記実施形態によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。
【産業上の利用の可能性】
【0078】
シース型測温センサ、具体的にはシース熱電対またはシース測温抵抗体である温度センサと、ケーブルとを接続するためのシース型測温センサのターミナルヘッドとして利用できる。特に高温雰囲気、腐食性雰囲気等の過酷な環境に先端部が挿入されて使用されるために取り替え周期の短いシース型測温センサのターミナルヘッドとして効果を発揮する。
【符号の説明】
【0079】
1 ターミナルヘッド
11 外枠体
12 蓋
2 端子板
21 端子板固定ビス
22 端子金具
23 ケーブル配線端子
24 繋ぎ導体
3 シース型測温センサ
31 導線
32 シース
33 無機絶縁材粉末
34 樹脂シール
4 コネクタ(端子板側)
41 ボディ
42 メスの電極ピン
5 コネクタ(シース型測温センサ側)
51 ボディ
52 オスの電極ピン
6 結合ナット

【要約】
シース型測温センサとケーブルの接続のためにシース型測温センサに設けられるターミナルヘッドにおいて、シース型測温センサの交換が容易に行うことができ、かつ、交換部品を最小限にするために、ターミナルヘッド1の端子板2とシース型測温センサ3を1対の差し込み式コネクタ4、5により結合し、結合を結合ナット6により保持する構造とした。シース型測温センサ3の交換に際には、その導線31の端子板2への交換現場での脱着が必要なく、シース型測温センサ3以外の交換部品はコネクタ5のみである。
図1
図2
図3
図4
図5