【発明が解決しようとする課題】
【0019】
シース型
測温センサ301が故障や劣化によって取り替える必要が生じた場合、
図5に示した従来の構造のターミナルヘッド10では、取り替えが次のように行われる。
【0020】
先ず、蓋102の外枠体101からの取り外し、ケーブルの導線のケーブル配線端子203からの取り外し、及び端子板固定ビス201の取り外しを行った後、端子板20とそれに付属するケーブル配線端子203、センサ配線端子206、端子金具202、端子金具固定ビス207、シース取付金具208ならびにシース取付金具固定ビス205、及びシース取付金具208に固定されているシース型測温センサ301を一体として、蓋102を外した外枠体101の上部開口より引き出す。
【0021】
続いて、シース型測温センサ301の導線31aのセンサ配線端子206からの取り外しと、シース取付金具固定ビス205の取り外しによる、シース取付金具208とそれに固定されたシース型測温センサ301の端子板20からの取り外しを行う。
【0022】
次に、逆の順序で組み立てを行う。準備していた新たなシース取付金具2 08が溶接された新たなシース型測温センサ301を、シース取付金具固定ビス205により端子板20に取り付け、シース型
測温センサ301から出ている導線31aに絶縁チューブ312を被せた後、その先端をセンサ配線端子206に繋ぐ。
【0023】
続いて、外枠体101の上部開口から、端子板20とそれに付属するケーブル配線端子203、センサ配線端子206、端子金具202、端子金具固定ビス207、シース取付金具208ならびにシース取付金具固定ビス205、及びシース取付金具208に固定されているシース型測温センサ301を一体として挿入する。
【0024】
最後に、端子板固定ビス201により端子板20を外枠体101に固定し、ケーブルの導線のケーブル配線端子203への繋ぎ込みを行った後、蓋102を外枠体101に螺合する。
【0025】
このようにシース型測温センサを取替える手順は、前述の特許文献1乃至3の図に示される構造のターミナルヘッドでも、取り外し、取り付けを行う固定ビスの数などに若干の違いはあるが、概ね同じである。
【0026】
この取替えにおいて、端子板固定ビス201及びシース取付金具固定ビス205の取り外しと取り付け、シース型測温センサ301と端子板20等の一体ものの引き出しと挿入は簡単な作業であり、また、ケーブルの導線として極端に太い導線または極端に細い導線が使われることは通常ないため、当該導線のケーブル配線端子203からの取り外しと同ケーブル配線端子203への繋ぎ込みも難しい作業ではない。しかし、これらの作業に較べて、シース型測温センサの導線31aのセンサ配線端子206からの取り外しと取り付けは場合によっては困難な作業となる問題があった。
【0027】
つまり、シース型測温センサ301のシース外径が細く、そのシース内に収容されている導線31aが細い場合は、導線31aが視認しがたくかつ断線し易くなるので、センサ配線端子206への繋ぎ込みをターミナルヘッド10の設置されている現場において工具に制限のある状態で行うことは、作業員の経験と作業時間を要する難しい作業となる問題があった。また、シース外径が太く、そのシース内に収容されている導線31aが太い場合は、導線31aの屈曲が容易でなくなるので、センサ配線端子206からの導線31aの取り外しと同センサ配線端子206への繋ぎ込みを、ターミナルヘッド10の設置されている現場において工具に制限のある状態で行うことは、作業員の経験と作業時間を要する難しい作業となる問題があった。例えば、シース外径3.2mmのシース型測温センサでは、導線の径が約0.5mmと細いためにセンサ配線端子206への繋ぎ込みが難しくなり、また、シース外径20mmのシース型測温センサでは、熱電対素線の径が約3mmと太いためにセンサ配線端子206からの導線の取り外しと繋ぎ込みが難しくなる。
【0028】
特許文献4のターミナルヘッドには、上下2層に分割され、割りピンを差し込むことにより一体化された端子板が示されている。シース型温度センサは上層の端子板に固定されているので、シース型測温センサの取り替えは、シース型温度センサを上層の端子板に固定したまま取り出し、準備していた新たな上層の端子板に固定された新たなシース型温度センサを取り付けることにより可能である。
【0029】
この構造では、シース型温度センサの導線を上層の端子板に設けられた配線端子からの取り外し作業と同配線端子への繋ぎ込み作業は、設備の揃った工場で実施することができるので、上述のような現場作業の問題は生じない。しかしながら、シース型温度センサの取り替え毎に、複雑な構造をした上層の端子板も取り替えなければならず、取替え部品の費用が増加するという別の問題が発生する。
【0030】
なお、費用の増加を許容し、シース型温度センサの取り替えの際に端子板も取り替えるものとすれば、
図5及び前述の特許文献1乃至3に示されるターミナルヘッドでも、シース型温度センサの導線を端子板に設けられた配線端子から取り外す作業は必要なくなり、同配線端子へ繋ぎ込む作業は工場で行うことができるので、現場作業が当該導線の径によっては困難となる問題は生じない。
【0031】
以上説明したように、従来のシース型測温センサのターミナルヘッドには、シース型測温センサを故障や劣化により取り替える際、シース型測温センサの導線を配線端子から取り外し、また同配線端子に繋ぎ込む現場作業が、導線径によっては困難な問題があり、これを避けるために端子板も併せて取り替えると費用が増加する問題があった。
【0032】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものである。シース型温度センサの取り替えの際に、シース型温度センサの導線の配線端子からの取り外しと同配線端子への繋ぎ込みを行う現場作業を必要とせず、かつ、シース型温度センサとともに取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制したシース型測温センサのターミナルヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
(第1の態様)
本発明の第1の態様は、筒状の金属シースの中に無機絶縁材粉末を介在させて測温センサを収容したシース型測温センサに、測温センサの信号を伝送するためのケーブルを接続するために設けるシース型測温センサのターミナルヘッドであって、
上部に形成された上部開口と、側部に形成されたケーブルが挿入される側部開口と、底部に形成されたシース型測温センサが略垂直に挿入される底部開口を有する外枠体と、
外枠体の上部開口に螺合により取り付けられた蓋と、
電気絶縁材を材質とし、複数の端子板固定ビスにより外枠体の内部に固定され、水平方向の寸法が外枠体の上部開口の水平方向の寸法より小さく、端子板固定ビスを外して垂直に上方向へ移動することによって、蓋を外した外枠体の上部開口から外枠体の外に取り出すことが可能な位置に設けられた端子板と、
端子板の上面にシース型測温センサの導線と同数取り付けられた端子金具と、
端子金具と螺合することにより、ケーブルの各導線を端子金具に繋げるケーブル配線端子と、
電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中にシース型測温センサの導線と同数のオスの電極ピンが設けられたオスコネクタと、電気絶縁性樹脂を材質とするボディの中にオスコネクタの電極ピンと同数のメスの電極ピンが設けられたメスコネクタを備え、オスコネクタまたはメスコネクタのいずれか一方のコネクタは端子板に取り付けられ、他方のコネクタはシース型測温センサのシースの上端部に取り付けられた1対の差し込み式コネクタと、
端子板側に取り付けられたコネクタとシース型測温センサ側に取り付けられたコネクタとが結合した状態において、両コネクタを跨いだ位置にあってネジ締めにより結合状態を保持させる結合ナットと、を有し、
端子板側に取り付けられたコネクタは、シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタが下方向から結合する向きに端子板に固定され、端子板側に取り付けられたコネクタの電極ピンとケーブル配線端子は、電極ピンの上端部と端子金具を結ぶ繋ぎ導体と、端子金具とにより電気的に繋がれており、
シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタは、端子板側に取り付けられたコネクタが上方向から結合する方向で、かつ、結合した状態においてシース型測温センサが略垂直となるようにシース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの円筒状をしたボディの下部にシース型測温センサのシースの上端部が挿入された状態で、シース型測温センサに固定されていて、シース型測温センサ側に取り付けられたコネクタの各電極ピンの下端部にはシースの外に出たシース型測温センサの導線が繋がれ、
端子板、端子金具、ケーブル配線端子、1対の差し込み式コネクタ、結合ナット及びシース型測温センサが組み立てられた状態おいて、組み立てられた一体の水平方向の寸法が端子板の水平方向寸法を超えないものである。
【0034】
本発明によれば、シース型測温センサを取り替える際は、外枠体の蓋と端子板固定ビスを外すとともにケーブル配線端子に繋がれたケーブルの導線を外せば、端子金具、ケーブル配線端子、繋ぎ導体ならびに1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタが取り付けられた端子板と、結合ナットによりコネクタとの結合状態が保持されているシース型測温センサ側のコネクタと、このシース型測温センサ側のコネクタが固定されたシース型測温センサとが一体となったものを上方へ垂直に移動することにより、その一体を外枠体の上部開口から外枠体の外に取り出すことができる。そして、外枠体の外に取り出した後、結合ナットを緩め、シース型測温センサが固定されたシース型測温センサ側のコネクタを、端子板側のコネクタより外し、準備していた新たなシース型測温センサに固定された新たなシース型測温センサ側のコネクタを、端子板側のコネクタと結合し、結合ナットを締めて結合を保持する。このようにして再び一体となったものを外枠体の上部開口から挿入し、端子板の端子板固定ビスによる外枠体への固定、ケーブルの導線のケーブル配線端子への繋ぎ込み、及び外枠体の蓋の外枠への螺合を行うことにより、シース型測温センサの取り替えが完了する。このように、本発明によれば、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。
なお、一方のコネクタと他方のコネクタを跨ぐ結合ナットを締めることによりコネクタの結合が保持され、結合ナットを緩めることにより結合が解除されるので、1対の差し込み式コネクタの結合及び結合の解除は、シース型測温センサの取り替え現場であっても容易に行うことができる。
【0035】
(第2の態様)
第1の態様では、1対の差し込み式コネクタの結合の保持を結合ナットによった。これに替えて、本発明の第2の態様では、
1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタの側面に凹部を複数設け、他方のコネクタには、他方のコネクタのボディと同じ電気絶縁性樹脂を材質とする先端が鍵状となった腕を複数設けて、一方のコネクタの凹部に他方のコネクタの腕の鍵状部を掛けることにより、1対の差し込み式コネクタの結合を保持するようにした。
【0036】
本発明によれば、第1の態様と同様、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。
本態様での結合の保持は、コネクタのボディの材質である電気絶縁性樹脂の弾力性を利用したものである。腕を外側に引いた状態で結合し、腕を元の位置に復帰させて鍵状部を凹部に掛ければ結合が保持され、結合の解除は腕を外側に引いた状態において行うことができるので、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタとの結合及び結合の解除を、シース型測温センサの取り替え現場において容易に行うことができるのも、第1の態様と同様である。
【0037】
(第3の態様)
第1及び第2の態様における1対の差し込み式コネクタの結合の保持方法に替えて、本発明の第3の態様では、
1対の差し込み式コネクタのオスコネクタとメスコネクタの両コネクタの結合される側に円筒状部が設けられ、少なくとも一方のコネクタの円筒状部は、他方のコネクタに接する側の末端にあり、一方のコネクタと他方のコネクタは、一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に、他方のコネクタの円筒状部が挿入されることにより結合され、
他方のコネクタの円筒状部外面には、挿入方向の面が挿入方向と逆方向に傾斜し、挿入方向と逆の面が挿入方向に傾斜した複数の突起が形成されるとともに、各突起の両側に略軸方向のスリットが形成され、
一方のコネクタの円筒状部には、他方のコネクタの外面に設けられた各突起に対応した貫通孔または内面の凹部が形成され、
一方のコネクタと他方のコネクタの結合は、他方のコネクタに設けられた各突起が、一方のコネクタの貫通孔または凹部に差し込まれることにより保持されるようにした。
【0038】
本発明によれば、第1、第2の態様と同様、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線 端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。
本様態での結合の保持も、コネクタのボディの材質である電気絶縁性樹脂の弾力性を利用したものである。内側の円筒状部の突起はスリットの存在によって径方向に大きく動くことができる。このため、内側の円筒状部を外側 の円筒状部に挿入する際に、外側の円筒状部の端に突起が達すると、突起の挿入方向の面は挿入方向とは逆に傾いているため円筒状部の端によって突起が内側に押され、引き続き挿入を続けることができる。そして、各突起が対応する各貫通孔または凹部の位置に達すると、外側の円筒状部により押されていた突起が貫通孔または凹部に差し込まれて元の位置に復帰し、一方のコネクタと他方のコネクタの結合を保持する。また、一方のコネクタと他方のコネクタの結合を外す場合は、外す方向にコネクタを引っ張ることにより、突起の挿入方向と逆の面は挿入方向に傾いているため突起が貫通孔または凹部により内側に押され、内側の
円筒状部を外側の円筒状部から引き抜くことができる。このように、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタとの結合及び結合の解除を、シース型測温センサの取り替え現場において容易に実施できるのも、第1、第2の態様と同様である。
【0039】
(第4の態様)
第1乃至第3態様での1対の差し込み式コネクタの結合の保持方法に替えて、本発明の第4の態様では、
1対の差し込み式コネクタのオスコネクタとメスコネクタの両コネクタの結合される側に円筒状部が設けられ、少なくとも一方のコネクタの円筒状部は、他方のコネクタに接する側の末端にあり、一方のコネクタと他方のコネクタは、一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に、他方のコネクタの円筒状部が挿入されることにより結合され、
一方のコネクタの円筒状部内面には、挿入方向の面が挿入方向と逆方向に傾斜し、挿入方向と逆の面が挿入方向に傾斜した複数の突起が形成されるとともに、各突起の両側に略軸方向のスリットが形成され、
他方のコネクタには、一方のコネクタの内面に設けられた各突起に対応した貫通孔または外面の凹部が形成され、
一方のコネクタと他方のコネクタの結合は、一方のコネクタに設けられた各突起が、他方のコネクタの貫通孔または凹部に差し込まれることにより保持する。
【0040】
本発明によれば、第1乃至第3の態様と同様、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。また、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタを結合する際と引き離す際に、突起が押されて外側に動くことを除いては、一方のコネクタと他方のコネクタの結合と引き外しの原理は第3の態様と同様であり、第3の態様と同様に、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタとの結合及び結合の解除を、シース型測温センサの取り替え現場において容易に実施できる。
【0041】
(第5の態様)
第1乃至第4態様での1対の差し込み式コネクタの結合の保持方法に替えて、本発明の第5の態様では、
1対の差し込み式コネクタのオスコネクタとメスコネクタのいずれか一方のコネクタの他方のコネクタに接する側の末端に円筒状部が設けられ、他方のコネクタの一方のコネクタの接する側に円筒状部または円柱部が設けられ、一方のコネクタと他方のコネクタは、一方のコネクタの末端に設けられた円筒状部に他方のコネクタの円筒状部または円柱部が挿入されることにより結合され、
一方のコネクタの円筒状部内面にはメスネジが、他方のコネクタの円筒状部または円柱部外面にはオスネジが切られていて、
一方のコネクタと前記他方のコネクタの結合は、オスネジとメスネジを螺合することにより保持する。
【0042】
本発明によれば、第1乃至第4の態様と同様、シース型測温センサの取り替え現場でのシース型測温センサの導体を配線端子から取り外す作業と同配線端子へ繋ぎ込む作業が必要なくなり、かつ、シース型測温センサ以外の取り替える必要のある部品は、シース型測温センサ側のコネクタに限定されるので、取り替える部品を最小限にして費用の増加を抑制することができる。また、一方のコネクタのメスネジと他方のコネクタのオスネジを螺合することにより結合が保持され、さらに、一方のコネクタのメスネジと他方のコネクタのオスネジの螺合を解くことにより結合が解除されるので、1対の差し込み式コネクタの一方のコネクタと他方のコネクタの結合及び結合の解除を、シース型測温センサの取り替え現場において容易に行うことができるのも第1乃至第4の態様と同様である。