【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
【0044】
(1)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO
4白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を光線反射率とした。
【0045】
(2)相対輝度
液晶表示装置に反射板として用いたときの表示装置の輝度を評価した。ソニー(株)製32インチテレビ(ブラビアKDL−32V2500)のバックライトの反射フィルムを取り外し、かわり評価対象のフィルムを設置し、輝度計(大塚電子製Model MC−940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定した。相対輝度は、透明粒子の塗布層を設けていない比較例1の反射フィルムの輝度を基準として算出した、輝度の相対値である。
相対輝度=(反射フィルムの輝度)/(比較例1の反射フィルムの輝度)×100(%)
【0046】
(3)色度差
バックライトにフィルムを組み込み測定、評価した。使用したバックライトは、評価用に用意した液晶テレビ(SHARP社製AQUOS−20V)に使用される直下型バックライト(対角線20インチ)ユニットであり、元々組み込まれていた反射シートに替えて、測定対象とする反射フィルムを組み込んだ。
測定では、バックライト面を、バックライト面の中心を通りバックライト面の幅方向に平行な直線と、バックライト面の中心を通りバックライト面の縦方向に平行な直線とで4分割し、分割されたそれぞれの領域の中心を測定点とした。
トプコン社製の輝度計BM−7を用いて、バックライト面からの距離50cm、測定角1°の条件で測定点4箇所における色度(x、y)を測定し、単純平均を求め、平均色度(x、y)とした。平均色度(x、y)と基準色(x=0.300、y=0.310)との距離を算出して色度差Δxyを算出した。
Δx=基準座標(x=0.300)−測定座標(x)
Δy=基準座標(y=0.310)−測定座標(y)
Δxy=(Δx
2+Δy
2)
1/2
算出されたΔxyを、下記の基準で評価した。
◎: Δxy < 0.005
○: 0.005 ≦ Δxy < 0.010
×: 0.010 ≦ Δxy
【0047】
(4)白色フィルムの有機粒子の平均粒子径
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、粒子の粒度分布を求め、d50での粒子径を平均粒子径とした。
【0048】
(5)透明粒子の平均粒子径
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率1000倍にて、粒子を100個任意に測定し(球状以外の場合は(長径+短径)/2にて求める)、平均粒子径を求めた。
【0049】
(6)透明粒子のアスペクト比
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率500倍にて、露出した粒子30個任意に観察し、長径、短径の値から下記式で求め平均値を算出した。
アスペクト比=長径/短径
【0050】
(7)透明粒子の露出率
(7−1)サンプルの作成
ミクロトームを用いて、フィルムから切片サンプル1と切片サンプル2を切り出した。切片サンプル1は、フィルム面内に無作為に選んだ一方向とフィルムの厚み方向が切断面となるように切り出した切片サンプルであり、切片サンプル2は、切片サンプル1で選んだ無作為な一方向と直交する方向と厚み方向が切断面となるように切り出した切片サンプルである。
(7−2)測定
切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察した。
露出率は、切片サンプルの切断面内における透明粒子の断面の中心を通りフィルムの塗膜面に垂直に向かう直線を引いたときに、この直線がフィルム切片の切断面内において透明粒子の表面と交わる2つの点のうち、露出した側の表面にある点をS、露出していない側の表面にある点をTとし、さきの直線がバインダーの塗膜面と交わる点をBとしたとき、(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)で表される。
すなわち、露出率(%)は、下記式で定義される。
露出率=(SとBとの間の距離)/(SとTとの間の距離)×100(%)
なお、切断面内における透明粒子の断面の中心は、粒子が球状の場合はその断面の円の中心とし、粒子が非球状の場合は、その断面の重心とする。
【0051】
(8)透明粒子によるフィルム表面の被覆率
(8−1)サンプルの作成
上記(6)で得たサンプルについて評価を行った。
(8−2)測定
切片サンプル1のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域と、切片サンプル2のバインダーの塗膜面の長さ3mmの領域との合計長さ6mmの測定領域について、日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率3000倍にて観察した。
被覆率は、切片サンプルの切断面内における測定領域において、透明粒子に被覆されていないフィルム表面の部分の長さを積算して、下記式で求めた(
図1参照)。
被覆率
=(6mm−(透明粒子に被覆されていない部分の積算長さ))/6mm×100(%)
【0052】
(9)バインダー層厚み
フィルムサンプルの断面をデジタルマイクロスコープ(HIROX Co.Ltd.,
HI−SCOPE Advanced KH−3000)にて倍率5倍にて観察撮影し、写真からバインダーの厚みを判定し、任意に10点測定してそれらの平均値を求めた。
【0053】
[実施例1]
ボイド形成剤として硫酸バリウム粒子を含有するポリエステル組成物からなる反射層とポリエステルからなる支持層の2層から構成されたフィルム総厚み225μmの白色フィルム(帝人デュポンフィルム製 テイジンテトロンUX02−225)の反射層(反射率98.5%)のうえに、バーティング装置にて下記のレシピにて配合した塗液を白色反射層側にwet塗布量で25g/m
2塗布し、その後オーブン内にて乾燥して反射フィルムを得た。この反射フィルムの評価結果を表1に示す。なお、透明粒子の粒子径とアスペクト比を表1にまとめて示す。
調液レシピ1)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (22.6重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: イーストマン社 イーストブライトOB−1
(ベンゾオキサゾール系蛍光剤) (0.4重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
【0054】
[実施例2]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。この反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ2)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (20.7重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: チバガイギー社 Uvitex−OB
(スチリル・オキサゾール系蛍光剤) (2.3重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
【0055】
[実施例3]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。この反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ3)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (22.5重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: BASF社 ルモゲングリーン850
(ナフタルイミド系蛍光剤) (0.5重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
【0056】
[実施例4]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する他は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。この反射フィルムの評価結果を表1に示す。
調液レシピ4)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−12 (38.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (18.0重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (3.0重量%)
・有機蛍光体: イーストマン社 イーストブライトOB−1
(ベンゾオキサゾール系蛍光剤) (1.0重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
【0057】
[比較例1]
白色フィルムの白色反射層に蛍光体を添加しない以外は実施例1と同様にして白色フィルムを得て、白色フィルムに塗液をコートせずに、白色フィルムを評価した。評価結果を表1に示す。
【0058】
[比較例2]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する以外は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。評価結果を表1に示す。輝度上昇は大きいものの、着色による色ズレが大きく、実用上使用困難であった。
調液レシピ5)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (19.0重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: イーストマン社 イーストブライトOB−1
(ベンゾオキサゾール系蛍光剤) (4.0重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
【0059】
[比較例3]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する以外は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。評価結果を表1に示す。着色による色ズレは小さいものの、輝度の上昇が小さかった。
調液レシピ6)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (35.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (23.0重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
【0060】
[比較例4]
塗液を下記の調液レシピに示す組成からなる塗液に変更する以外は実施例1と同様にして反射フィルムを得た。評価結果を表1に示す。着色による色ズレは小さいものの、輝度の上昇が小さかった。
調液レシピ7)
・透明粒子: 積水化成品工業 MBX−15 (2.0重量%)
・アクリルバインダー: 日本触媒 ユーダブルS2740 (55.6重量%)
・架橋剤: 日本ポリウレタン工業社 コロネートHL (2.0重量%)
・有機蛍光体: イーストマン社 イーストブライトOB−1
(ベンゾオキサゾール系蛍光剤) (0.4重量%)
・有機溶剤: 酢酸ブチル (40.0重量%)
【0061】
【表1】