(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
駆動源であるディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子を低減するディーゼルエンジン微粒子除去フィルターとを有する建設機械に搭載され、前記ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターによって捕集された前記微粒子を燃焼させる再生処理を制御するディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生装置であって、
前記ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターにおける前記微粒子の堆積量に応じて手動強制再生処理を含む前記再生処理を実行する必要があるか否かを判定する判定手段と、
前記ディーゼルエンジンを無負荷状態とさせることができる、前記建設機械に備えた燃料調整ダイヤルがローアイドリングの位置にあるか否かを前記建設機械の動作情報とし、少なくとも、前記動作情報の動作情報に基づいて前記建設機械の状態が安全であるか否かを判断する車両状態判断手段と、
前記判定手段によって、前記手動強制再生処理を実行する必要があると判定され、かつ、前記車両状態判断手段によって、前記燃料調整ダイヤルがローアイドリングの位置にあり前記建設機械の状態が安全であると判断された場合、前記手動強制再生処理を実行させる強制再生指示信号の入力が可能である入力手段と、
前記判定手段が、前記手動強制再生処理を実行させる必要があると判定した場合、前記強制再生指示信号の入力を要求する画像を表示する表示手段と、
前記入力手段によって入力される前記強制再生指示信号に応じて前記手動強制再生処理を開始する制御を行う再生制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生装置。
駆動源であるディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子を低減するディーゼルエンジン微粒子除去フィルターとを有する建設機械に搭載され、前記ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターによって捕集された前記微粒子を燃焼させる再生処理を制御するディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生装置であって、
前記ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターにおける前記微粒子の堆積量に応じて手動強制再生処理を含む前記再生処理を実行する必要があるか否かを判定する判定手段と、
前記建設機械に備えた作業機の動作をロックさせるロックレバーがロックの位置にあるか否かを前記建設機械の動作情報とし、少なくとも、前記動作情報の動作情報に基づいて前記建設機械の状態が安全であるか否かを判断する車両状態判断手段と、
前記判定手段によって、前記手動強制再生処理を実行する必要があると判定され、かつ、前記車両状態判断手段によって、前記ロックレバーがロックの位置にあり前記建設機械の状態が安全であると判断された場合、前記手動強制再生処理を実行させる強制再生指示信号の入力が可能である入力手段と、
前記判定手段が、前記手動強制再生処理を実行させる必要があると判定した場合、前記強制再生指示信号の入力を要求する画像を表示する表示手段と、
前記入力手段によって入力される前記強制再生指示信号に応じて前記手動強制再生処理を開始する制御を行う再生制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生装置。
駆動源であるディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子を低減するディーゼルエンジン微粒子除去フィルターとを有する建設機械に搭載され、前記ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターによって捕集された前記微粒子を燃焼させる再生処理を制御する再生装置が行うディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生方法であって、
前記ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターにおける前記微粒子の堆積量に応じて手動強制再生処理を含む前記再生処理を実行する必要があるか否かを判定し、
前記ディーゼルエンジンを無負荷状態とさせることができる、前記建設機械に備えた燃料調整ダイヤルがローアイドリングの位置にあるか否かを前記建設機械の動作情報とし、少なくとも、前記動作情報の動作情報に基づいて前記建設機械の状態が安全であるか否かを判断し、
前記判定が、前記手動強制再生処理を実行する必要があると判定し、かつ、前記燃料調整ダイヤルがローアイドリングの位置にあり前記建設機械の状態が安全である場合、前記手動強制再生処理を実行させる強制再生指示信号の入力を可能とし、
前記判定が、前記手動強制再生処理を実行させる必要があると判定した場合、前記強制再生指示信号の入力を要求する画像を表示し、
前記強制再生指示信号の入力に応じて前記手動強制再生処理を開始すること
を特徴とするディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生方法。
駆動源であるディーゼルエンジンと、前記ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子を低減するディーゼルエンジン微粒子除去フィルターとを有する建設機械に搭載され、前記ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターによって捕集された前記微粒子を燃焼させる再生処理を制御する再生装置が行うディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生方法であって、
前記ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターにおける前記微粒子の堆積量に応じて手動強制再生処理を含む前記再生処理を実行する必要があるか否かを判定し、
前記建設機械に備えた作業機の動作をロックさせるロックレバーがロックの位置にあるか否かを前記建設機械の動作情報とし、少なくとも、前記動作情報の動作情報に基づいて前記建設機械の状態が安全であるか否かを判断し、
前記判定が、前記手動強制再生処理を実行する必要があると判定し、かつ、前記ロックレバーがロックの位置にあり前記建設機械の状態が安全である場合、前記手動強制再生処理を実行させる強制再生指示信号の入力を可能とし、
前記判定が、前記手動強制再生処理を実行させる必要があると判定した場合、前記強制再生指示信号の入力を要求する画像を表示し、
前記強制再生指示信号の入力に応じて前記手動強制再生処理を開始すること
を特徴とするディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生装置を搭載した車両である建設機械の要部の機能構成を模式的に示す図である。同図に示す建設機械1は、駆動源であるディーゼルエンジン2と、ディーゼルエンジン2の排気ガスを通す排気通路3と、排気通路3の途中に設けられ、排気ガス中に含まれるススなどの微粒子を低減するディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4と、ディーゼルエンジン2およびディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4に燃料を噴射する燃料噴射インジェクタ5と、ディーゼルエンジン2の動作を制御するエンジン制御部6と、エンジン制御部6が参照する情報を記憶する記憶部7と、バケットやアーム等の作業機8と、作業機8を含む建設機械1の動作制御を行うとともに、建設機械1の車両情報をエンジン制御部6へ常時送信する車両制御部9と、エンジン制御部6および車両制御部9に対する各種指示信号の入力を受ける操作入力部10と、建設機械1の動作情報等を表示するモニタ装置11と、を備える。
【0020】
ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4は、セラミックなどの材料からなるフィルター41と、フィルター41の前段に設けられ、排気ガス中の窒素酸化物(NO
x)のうち一酸化窒素(NO)を低減させて二酸化窒素(NO
2)を増加させる機能を有する酸化触媒42と、酸化触媒42の入口側、フィルター41の入口側およびフィルター41の出口側の温度をそれぞれ検出する温度センサ44、45および46と、フィルター41の入口側圧力と出口側圧力との差圧を検出する差圧センサ43と、を有する。
【0021】
エンジン制御部6は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4に堆積した微粒子の堆積量を算出する堆積量算出部61と、堆積量算出部61が算出した微粒子の堆積量のレベルを判定するレベル判定部62と、ディーゼルエンジン2のエンジン回転数や車両制御部9から送られてくる建設機械1の車両情報などに基づいて建設機械1の車両状態を判断する車両状態判断部63と、レベル判定部62の判定結果および車両状態判断部63の判断結果に基づいて再生処理の動作制御を行う再生制御部64と、を有する。堆積量算出部61は、差圧センサ43が検出するフィルター41の前後差圧、温度センサ44〜46がそれぞれ検出する排ガスの温度(排気温度)に加えて、車両制御部9から送られてくる車両情報を用いることにより、フィルター41の微粒子の堆積量を算出する。レベル判定部62は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量に応じて再生処置を実行するか否かを判定する判定手段としての機能を有する。
【0022】
記憶部7は、エンジン制御部6のレベル判定部62が微粒子の堆積量のレベルを判定する際に参照する堆積量のレベル情報71を記憶している。
【0023】
モニタ装置11は、建設機械1の動作情報等を表示する表示部111と、表示部111の表示内容を指示する信号等の入力を受ける入力部112と、モニタ装置11の動作制御を行う制御部113とを有する。なお、表示部111に入力部112の一部をなすタッチパネルを設けてもよい。
【0024】
以上の構成を有する建設機械1において、エンジン制御部6、記憶部7およびモニタ装置11は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4に堆積した微粒子を燃焼させる再生処理を制御する再生装置12を構成している。
【0025】
図2は、再生装置12が行う再生制御処理の概要を示すフローチャートである。
図2において、まずエンジン制御部6の堆積量算出部61が、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4のフィルター41に堆積した微粒子の堆積量を算出する(ステップS1)。続いて、レベル判定部62が、堆積量算出部61で算出した微粒子の堆積量のレベル判定を行う(ステップS2)。その後、再生装置12は、エンジン制御部6の制御のもと、レベル判定部62の判定結果に基づいた処理を行う(ステップS3)。なお、再生装置12は、ステップS1〜S3の処理を、所定のタイミングで繰り返し行う。
【0026】
以下、ステップS3の処理について詳述する。
図3は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4に堆積した微粒子の堆積量のレベルに応じた処理内容を示す図である。同図に示すテーブルTbにおいて、微粒子の堆積量は4つのレベルに分けられており、レベルを示す数が大きいほど微粒子の堆積量が多い。まず、レベル1は、微粒子の堆積量が再生処理に必要なほど堆積していない状態に相当している。このため、レベル判定部62の判定結果がレベル1の場合、再生装置12は再生処理を行わない。
【0027】
次に、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量がレベル3である場合を説明する。この場合、再生装置12は、操作者(オペレータ)に再生処理の開始を促す。
図4は、微粒子の堆積量がレベル3にある場合のエンジン制御部6の処理の概要を示すフローチャートである。
図4において、エンジン制御部6は、手動強制再生処理を要求する強制再生要求信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS11)。強制再生要求信号を受信したモニタ装置11は、
図5に示すように、表示部111が、建設機械1の動作情報を表示するメーター画面201上で手動強制再生処理の開始信号の入力を要求する信号入力要求画像301を所定時間表示する。なお、信号入力要求画像301は、メーター画面201の主要色とは異なる色であって利用者に注意喚起を促すことができる色(例えば黄色)であればより好ましい。
【0028】
表示部111で信号入力要求画像301が表示されているのを見た操作者は、メーター画面201の右下に表示されているメニューボタン302を選択することによって再生開始用画面に切り替えることができる。
図6は、再生開始用画面の表示例を示す図である。同図に示す再生開始用画面202には、強制再生指示信号を入力するための手動再生ボタン303と、微粒子の堆積量のレベルを示すレベル画像304とが表示されている。また、再生開始用画面202には、再生処理の稼働状況を表示する稼働状況表示領域305と、再生処理の稼働状況に応じたメッセージを表示するメッセージ表示領域306と、メーター画面201へ戻るための信号を入力する画面戻りボタン307とが設けられている。さらに、再生開始用画面202には、手動再生ボタン303の左側にスクロールバー308が表示されている。このスクロールバー308を移動させて画面をスクロールアップする場合には、画面戻りボタン307の左側に設けられたスクロールアップボタン308uを選択する一方、画面をスクロールダウンする場合には、スクロールアップボタン308uの左側に設けられたスクロールダウンボタン308dを選択する。このようにしてスクロールアップボタン308uまたはスクロールダウンボタン308dを操作することにより、手動再生ボタン303の代わりに、自動強制再生処理の開始を禁止する信号を入力する再生禁止ボタンを表示することも可能である。
【0029】
図6に示す再生開始用画面202は、再生処理が始まっていない状況に対応しているため、稼働状況表示領域305には何も表示されていない。また、メッセージ表示領域306には、再生開始の入力を操作者に促すメッセージと、建設機械1を安全な場所に停止させることを操作者に促すメッセージとが表示されている。
【0030】
この後、車両状態判断部63は、ディーゼルエンジン2のエンジン回転数および負荷、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4の排気温度、車両制御部9から送られてくる車両情報に基づいて建設機械1の車両状態を判断する(ステップS12)。車両状態判断部63が判断した結果、車両状態が安全である場合(ステップS13,Yes)、エンジン制御部6は再生許可信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS14)。モニタ装置11の制御部113は、エンジン制御部6から再生許可信号を受信するまで、再生開始用画面202での手動再生ボタン303を介した強制再生指示信号の入力を不可とする制御を行い、エンジン制御部6から再生許可信号を受信したとき、手動再生ボタン303を介した強制再生指示信号の入力を可能とする制御を行う。なお、エンジン制御部6は、建設機械1の車両状態が安全でない場合(ステップS13,No)、ステップS12に戻って車両状態判断部63の判断を行う。
【0031】
ここで車両状態が安全であるとは、基本的にはディーゼルエンジン2が無負荷、ローアイドル状態であり、車両が停止しかつ作業をしていない状態を意味しており、より具体的な内容は建設機械1の種類に応じて定められる。例えば、建設機械1が油圧ショベルである場合には、(1)作業機8のロックレバーがロックの位置にある、(2)燃料調整ダイヤルがローアイドリングの位置にある、という2つの条件を満たすとき、車両状態判断部63は車両状態が安全であると判断する。
【0032】
また、建設機械1がブルドーザである場合には、(1)走行レバーがニュートラルになっている、(2)パーキングブレーキが掛かっている、(3)作業機8のロックレバーがロックの位置にある、(4)燃料調整ダイアルがローアイドリングの位置にある、という4つの条件を満たすとき、車両状態判断部63は車両状態が安全であると判断する。
【0033】
また、建設機械1がローダまたはダンプである場合には、(1)変速レバーがニュートラルの位置にある、(2)パーキングブレーキが掛かっている、(3)アクセルペダルが踏まれていない、という3つの条件をみたすとき、車両状態判断部63は車両状態が安全であると判断する。
【0034】
再生許可信号を送信したエンジン制御部6は、モニタ装置11から再生開始を指示する強制再生指示信号を受信するまで待機する(ステップS15,No)。モニタ装置11で手動再生ボタン303が選択入力されると、この入力に応じた強制再生指示信号がエンジン制御部6に送られる。エンジン制御部6がモニタ装置11から強制再生指示信号を受信した場合(ステップS15,Yes)、再生制御部64は再生処理を開始する制御を行い(ステップS16)、再生処理の開始を報知する再生開始信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS17)。
【0035】
図7は、再生開始信号を受信したモニタ装置11の表示部111が表示する再生開始用画面202の表示例を示す図である。再生開始用画面202では、再生停止ボタン309が表示されるとともに、稼働状況表示領域305に、信号入力要求画像301と異なる色やデザインを有する再生中画像310が表示される。また、再生開始用画面202では、メッセージ表示領域306に手動再生中であることを示すメッセージが表示される。なお、このメッセージを点滅させて表示するようにしてもよい。
図7に示す状態で、操作者が入力部112を介して再生停止ボタン309を選択すると、実行中の再生処理を停止する再生停止指示信号が入力される。
【0036】
再生処理中に画面戻りボタン307を操作者が選択すると、表示部111はメーター画面201に遷移する。再生処理中のメーター画面201では、
図8に示すように画面の左上方の位置に再生中画像310が表示される。
図8に示す場合、再生中画像310は信号入力要求画像301とは異なる色(例えば赤色)で表示されている。
【0037】
ステップS17の後、エンジン制御部6の車両状態判断部63は、建設機械1の車両状態を判断する(ステップS18)。車両状態判断部63が判断した結果、建設機械1の車両状態が安全でない場合(ステップS19,No)、再生制御部64は再生処理を停止する制御を行い(ステップS20)、再生停止信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS21)。再生制御部64は、車両状態判断部63による車両状態が安全でないという判断結果に基づいて、自動的に強制再生処理を終了する制御を行っている(ステップS22,No)。この場合、エンジン制御部6は一連の処理を終了する。
【0038】
図9は、エンジン制御部6のステップS21の処理によって再生停止信号を受信したモニタ装置11の表示部111における再生開始用画面202の表示例を示す図である。同図に示す再生開始用画面202では、強制再生処理の開始を禁止する信号を入力する再生禁止ボタン311が表示されるとともに、メッセージ表示領域306に再生が終了していることを伝えるメッセージが表示される。なお、
図9に示す再生開始用画面202から画面戻りボタン307によって遷移するメーター画面201の表示は、
図5と同様である。
【0039】
次に、車両状態判断部63が判断した結果、建設機械1の車両状態が安全である場合(ステップS19,Yes)を説明する。この場合、エンジン制御部6がモニタ装置11から再生停止指示信号を受信したとき(ステップS24,Yes)、再生制御部64は再生処理を停止する制御を行い(ステップS20)、再生停止信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS21)。ステップS24においてエンジン制御部6が受信する再生停止指示信号は、
図7に示す再生開始用画面202で表示されている再生停止ボタン309を操作者が入力部112を介して選択入力するのに応じてモニタ装置11から送信されてくる。
【0040】
図10および
図11は、再生処理が手動によって停止された後のモニタ装置11の表示部111における表示例を示す図である。
図10に示すメーター画面201では、左上方に再生停止中画像312が表示される。一方、
図11に示す再生開始用画面202では、稼働状況表示領域305に再生停止中画像312が表示され、再生停止解除ボタン313が表示される。また、再生開始用画面202のメッセージ表示領域306では、再生停止中であることを示すメッセージが表示される。
【0041】
このように、エンジン制御部6がモニタ装置11を介した手動入力によって再生処理を停止(ステップS22,Yes)した後、モニタ装置11から再生停止解除指示信号を受信した場合(ステップS23,Yes)、再生制御部64は再生処理を開始する制御を再び行う(ステップS16)。他方、エンジン制御部6がモニタ装置11を介した手動入力によって再生処理を停止した後、モニタ装置11から再生停止解除指示信号を受信しなかった場合(ステップS23,No)、エンジン制御部6は一連の処理を終了する。
【0042】
次に、車両状態判断部63が判断した結果、建設機械1の車両状態が安全であり(ステップS19,Yes)、かつエンジン制御部6がモニタ装置11から再生停止指示信号を受信しない場合(ステップS24,No)について説明する。この場合、エンジン制御部6は、再生処理が終了しない場合(ステップS25,No)、ステップS18に戻る。他方、エンジン制御部6は、再生処理が終了した場合(ステップS25,Yes)、再生終了信号をモニタ装置11へ送信(ステップS26)し、一連の処理を終了する。
【0043】
再生終了信号をエンジン制御部6から受信したモニタ装置11は、表示部111で表示していた再生中画像310を消去する。この際、再生開始用画面202では、
図12に示すように再生禁止ボタン311が表示され、メッセージ表示領域306では再生終了を報知するメッセージが表示される。
【0044】
以上により、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量がレベル3である場合に再生装置12が行う手動強制再生処理が終了する。
【0045】
次に、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量がレベル2である場合を説明する。
図13は、微粒子の堆積量がレベル2である場合のエンジン制御部6の処理の概要を示すフローチャートである。
図13において、再生制御部64は、ディーゼルエンジン2のエンジン回転数や負荷、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4の排気温度をもとに、建設機械1が自動強制再生が可能な状態にあるか否かを判断する(ステップS31)。
【0046】
ステップS31において、再生制御部64によって建設機械1が自動強制再生可能な状態にあると判定された場合(ステップS31,Yes)、再生制御部64は再生処理を開始する制御を行い(ステップS32)、再生開始信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS33)。再生開始信号を受信したモニタ装置11は、
図14に示すようにメーター画面201上で再生中画像310を表示する。この場合、メーター画面201上で信号入力要求画像301は表示されない。なお、自動強制再生による再生を手動強制再生による再生と識別できるように、自動強制再生時の再生中画像の色やデザインが手動強制再生時の再生中画像の色やデザインと異なるようにしてもよい。
【0047】
一方、再生制御部64によって建設機械1が自動強制再生可能な状態にないと判定された場合(ステップS31,No)、エンジン制御部6は、手動強制再生処理を要求する強制再生要求信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS34)。このステップS34に続く処理は、レベル3の場合に説明した処理(
図4のステップS12以降の処理)と同じである。
【0048】
以下、ステップS33に続く処理を説明する。再生制御部64は、ステップS31と同様に、建設機械1が自動強制再生可能な状態にあるか否かを判定する(ステップS35)。再生制御部64が建設機械1は自動強制再生可能な状態にないと判定した場合(ステップS35,No)、再生制御部64は再生処理を停止する制御を行い(ステップS36)、その後上述したステップS34へ進んで手動強制再生時の処理を行う。なお、ステップS36でエンジン制御部6が再生処理を停止する制御を行った場合(ステップS36)、モニタ装置11では、再生中画像310が表示されなくなる。具体的には、メーター画面201は
図14から再生中画像310を消去した画面となる。この場合にメニューボタン302を選択すると、表示部111では
図9に示す再生開始用画面202に切り替わる。
【0049】
一方、再生制御部64が建設機械1は自動強制再生可能な状態にあると判定した場合(ステップS35,Yes)において、エンジン制御部6がモニタ装置11から再生停止指示信号を受信したとき(ステップS37,Yes)、再生制御部64は再生処理を停止する制御を行い(ステップS38)、再生停止信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS39)。この後、エンジン制御部6がモニタ装置11から再生停止解除指示信号を受信した場合(ステップS40,Yes)、エンジン制御部6はステップS32に戻る。ステップS40でエンジン制御部6がモニタ装置11から再生停止解除指示信号を受信しない場合(ステップS40,No)、エンジン制御部6は一連の処理を終了する。
【0050】
次に、再生制御部64が建設機械1は自動強制再生可能な状態にあると判定し(ステップS35,Yes)、かつエンジン制御部6がモニタ装置11から再生停止指示信号を受信しない場合(ステップS37,No)について説明する。この場合、エンジン制御部6は、再生処理が終了しなければ(ステップS41,No)、ステップS35に戻る。これに対し、エンジン制御部6は、再生処理が終了した場合(ステップS41,Yes)、再生終了信号をモニタ装置11へ送信(ステップS42)し、一連の処理を終了する。
【0051】
最後に、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量がレベル4である場合を説明する。微粒子の堆積量がレベル4である場合、エンジン制御部6は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量が多いことを示すエラー情報をモニタ装置11の表示部111に表示させるためのエラー情報表示信号をモニタ装置11へ送信する。エラー情報表示信号を受信したモニタ装置11は、表示部111でエラー情報を表示する。表示部111が表示するエラー情報は、例えば
図5に示す信号入力要求画像301と同様の画像でもよいし、フィルター41の交換を促すメッセージでもよい。また、モニタ装置11に音声出力機能を具備させておき、音声によるエラーメッセージを出力するようにしてもよい。
【0052】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターにおける微粒子の堆積量に基づく判定によって強制再生処理が必要であり、かつ車両の状態が安全である場合、強制再生指示信号の入力要求を表示し、この表示に応じて強制再生指示信号が入力されたときにディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの強制再生処理を開始するため、装置側で車両の状態が安全な状態にあると判断するまで、操作者は強制再生指示信号を入力することができない。したがって、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生処理を車両の状態に応じて的確に行うことが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態1によれば、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生処理を行う際に再生中画像を表示するため、再生処理の実行状況を的確に報知することができる。このため、操作者は再生処理が始まったことを即座に認識することができ、再生処理中の建設機械の周囲の状況を確認することができる。したがって、例えば建設機械の周囲に燃焼しやすい物質が多く存在し、再生時に高温の排気ガスが排出されると危険な状況にある場合などにおいては、操作者が判断して再生処理を停止させることができ、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生を適当な時期に行うことが可能となる。
【0054】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生装置を搭載した建設機械の構成は、上述した実施の形態1と同じである。このため、以下の説明においては、実施の形態1と同じ符号を用いて説明を行う。なお、本実施の形態2においては、自動強制再生を自動再生といい、手動強制再生を手動再生という。
【0055】
図15は、本実施の形態2においてエンジン制御部6、モニタ装置11および車両制御部9の間で送受信される情報(信号)の概要を示す説明図である。エンジン制御部6は、モニタ装置11に対して、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における強制再生状態、手動再生許可状態、微粒子の堆積量、レベルに応じた手動再生要求および微粒子堆積異常通知を送信する。ここでいう強制再生状態とは、(1)自動再生および手動再生を含む全ての強制再生を行っていない非強制再生状態、(2)自動再生状態、(3)手動再生状態、(4)強制再生を停止している強制再生停止状態、のいずれかである。また、ここでいう手動再生許可状態とは、(1)手動再生が実施可能な実施許可状態、(2)手動再生が実施不可能な実施不許可状態、のいずれかである。
【0056】
モニタ装置11は、エンジン制御部6に対して、手動再生の開始を指示する信号(強制再生指示信号)、自動再生または手動再生の停止を指示する信号(再生停止指示信号)、および自動再生または手動再生の停止の解除を指示する信号(再生停止解除信号)を送信する。
【0057】
車両制御部9は、エンジン制御部6およびモニタ装置11へ車両状態を通知する信号を送信する。ここでいう車両状態とは、(1)手動再生を行う上で必要な状態が確保されている安全状態、(2)手動再生を行う上で必要な状態が確保されていない非安全状態、のいずれかである。なお、車両状態における安全の定義が建設機械1の機種に応じて定められる点は、上記実施の形態1と同様である。
【0058】
図16は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4に堆積した微粒子の堆積量のレベルに応じて可能な処理の場合分けを示す図である。
図16において、微粒子の堆積量は5つのレベルI〜Vに分けられており、レベルを示す数が大きいほど微粒子の堆積量が多い。レベルIでは、全ての強制再生が不可能である。レベルIIでは、自動再生および手動再生が可能であるが、モニタ装置11が手動再生要求を表示することはない。レベル
IIIでは、自動再生および手動再生が可能であり、モニタ装置11は手動再生要求を表示する。レベルIVでは、自動再生は不可能である一方、手動再生は可能であり、モニタ装置11は手動再生要求を表示する。レベルVでは、全ての強制再生が不可能であり、モニタ装置11はエラーを発報する。レベルIII、IVでモニタ装置11が表示する手動再生要求は、レベルに応じて表示内容が異なる。
【0059】
本実施の形態2においても、再生装置12は、
図2のフローチャートに示す再生制御処理を行う。本実施の形態2において、レベルI、IIの処理は、上記実施の形態1のレベル1,2の処理とそれぞれ同様である。
【0060】
図17は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量がレベルIIIまたはIVである場合のエンジン制御部6の再生制御処理の概要を示す図である。
図17において、エンジン制御部6は、手動再生処理を要求する強制再生要求信号をモニタ装置11へ送信する(ステップS101)。モニタ装置11の制御部113は、エンジン制御部6から再生許可信号を受信するまで入力部112を介した強制再生指示信号の入力を不可とする制御を行い、エンジン制御部6から再生許可信号を受信した場合、入力部112を介した強制再生指示信号の入力を可能とする制御を行う。
【0061】
ステップS102以降の処理は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4の強制再生状態に応じて異なる。まず、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が非強制再生状態にある場合、すなわち、強制再生停止状態でなく(ステップS102,No)、自動再生状態でなく(ステップS103,No)、かつ手動再生状態でない(ステップS104,No)場合を説明する。この場合において、モニタ装置11から強制再生の停止を指示する再生停止指示信号を受信したとき(ステップS105,Yes)、エンジン制御部6は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4の強制再生状態を強制再生停止状態に変更し、変更後の強制再生状態をモニタ装置11に通知する(ステップS106)。この後、エンジン制御部6は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4の手動再生許可状態を実施不許可状態に変更し、変更後の手動再生許可状態をモニタ装置11へ通知する(ステップS107)。以下、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4の強制再生状態および手動再生許可状態のことを、それぞれ単に「強制再生状態」および「手動再生許可状態」といい、強制再生状態(または手動再生許可状態)を変更してモニタ装置11へ通知することを単に「強制再生状態(または手動再生許可状態)を変更する」という。
【0062】
ステップS105において、モニタ装置11から強制再生停止の指示信号を受信しない場合(ステップS105,No)、エンジン制御部6は後述するステップS108へ進む。
【0063】
ステップS107の後、車両状態判断部63は、建設機械1の車両状態が安全であるか否かを判断する。車両状態判断部63によって車両状態が安全であると判断された場合(ステップS108,Yes)、エンジン制御部6は手動再生許可状態を実施許可状態に変更する(ステップS109)。一方、車両状態判断部63によって車両状態が安全でないと判断された場合(ステップS108,No)、エンジン制御部6は手動再生許可状態を実施不許可状態に変更する(ステップS110)。
【0064】
ステップS109またはステップS110の後、エンジン制御部6がモニタ装置11から強制再生指示信号を受信した場合(ステップS111,Yes)、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が実施許可状態にあれば(ステップS112,Yes)、再生制御部64は手動再生を開始する制御を行い(ステップS113)、強制再生状態を手動再生状態に変更する(ステップS114)。
【0065】
続いて、エンジン制御部6は、モニタ装置11へ強制再生状態および手動再生許可状態をそれぞれ示す信号を順次送信する(ステップS115、S116)。
【0066】
ステップS111でモニタ装置11から手動再生開始の指示信号を受信しない場合(ステップS111,No)、およびステップS112でディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が実施許可状態でない場合(ステップS112,No)、エンジン制御部6はステップS115へ進む。
【0067】
ステップS116の後、ステップS101で送信した手動再生要求がレベルIVに対応した要求である場合(ステップS117,Yes)、エンジン制御部6はエンジン出力をディレートし(ステップS118)、一連の処理を終了する。これに対し、ステップS101で送信した手動再生要求がレベルIIIに対応した要求である場合(ステップS117,No)、エンジン制御部6はステップS118を経ることなく、一連の処理を終了する。
【0068】
ここで、ステップS118におけるエンジン出力のディレート処理の概要を、
図18に示すフローチャートを参照して説明する。まず、エンジン制御部6は、操作入力部10におけるアクセル開度を取得し(ステップS201)、ディーゼルエンジン2のエンジン回転数を取得する(ステップS202)。その後、エンジン制御部6は、記憶部7から前回出力した噴射指令値を取得する(ステップS203)。
【0069】
続いて、エンジン制御部6は、ステップS201〜S203で取得した値に基づいてディーゼルエンジン2の目標回転数および必要トルクを順次算出する(ステップS204、S205)。
【0070】
ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量がレベルIVである場合(ステップS206,Yes)、エンジン制御部6は、目標回転数および必要トルクを順次修正する(ステップS207、S208)。
図19は、エンジン出力ディレート処理を概念的に示すトルク線図である。同図に示す曲線Lは、建設機械1が油圧ショベルやクラッシャーである場合のディーゼルエンジン2の最大トルク線を示している。本実施の形態2では、微粒子の堆積量がレベルIVにある場合、
図19にしたがって目標回転数および必要トルクを所定の比率でディレートする。このようなディレート処理を行うことにより、操作者が作業機8の動作を継続しようとしても、ディーゼルエンジン2の出力がディレートされるため、作業を中断して再生処理を行わざるを得なくなる。したがって、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4を交換するために建設機械1を休車させるような事態を回避することができる。
【0071】
この後、エンジン制御部6は、ステップS207およびS208でそれぞれ修正した目標回転数および必要トルクに基づいて燃料の噴射指令値を算出し(ステップS209)、この算出した噴射指令値に応じた燃料噴射制御信号を燃料噴射インジェクタ5へ出力し(ステップS210)、
図17に示すメインルーチンに戻る。
【0072】
次に、
図17に戻ってディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が手動再生状態にある場合、すなわち、強制再生停止状態でなく(ステップS102,No)、自動再生状態でなく(ステップS103,No)、かつ手動再生状態である(ステップS104,Yes)場合を説明する。この場合において、エンジン制御部6がモニタ装置11から再生停止指示信号を受信したとき(ステップS119,Yes)、再生制御部64は手動再生を停止する制御を行う(ステップS120)。その後、エンジン制御部6は、強制再生状態を強制再生停止状態に変更し(ステップS121)、手動再生許可状態を実施不許可状態に変更する(ステップS122)。ステップS119においてモニタ装置11から強制再生停止の指示信号を受信しない場合(ステップS119,No)、エンジン制御部6は後述するステップS123へ進む。
【0073】
ステップS122の後、車両状態判断部63は、建設機械1の車両状態が安全であるか否かを判断する。車両状態判断部63によって車両状態が安全であると判断された場合(ステップS123,Yes)、エンジン制御部6は後述するステップS127へ進む。一方、車両状態判断部63によって車両状態が安全でないと判断された場合(ステップS123,No)、再生制御部64は手動再生を中止する制御を行う(ステップS124)。ここでいう中止とは、手動再生が実行できないことを意味する。その後、エンジン制御部6は、強制再生状態を非強制再生状態に変更し(ステップS125)、手動再生許可状態を実施不許可状態に変更する(ステップS126)。
【0074】
ステップS126の後、エンジン制御部6は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量が手動再生を終了可能な状況に相当する規定値まで減少したか否かを判断する。微粒子の堆積量が規定値未満である場合(ステップS127,Yes)、再生制御部64は手動再生を終了する制御を行う(ステップS128)。その後、エンジン制御部6は、強制再生状態を非強制再生状態に変更し(ステップS129)、手動再生許可状態を実施不許可状態に変更(ステップS130)した後、ステップS115へ進む。一方、ステップS127で微粒子の堆積量が規定値以上である場合(ステップS127,No)、エンジン制御部6はステップS115へ進む。
【0075】
次に、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が自動再生状態にある場合、すなわち、強制再生停止状態ではなく(ステップS102,No)、かつ自動再生状態である(ステップS103,Yes)場合を説明する。この場合において、エンジン制御部6がモニタ装置11から再生停止指示信号を受信したとき(ステップS131,Yes)、再生制御部64は自動再生を停止する制御を行う(ステップS132)。その後、エンジン制御部6は、強制再生状態を強制再生停止状態に変更し(ステップS133)、手動再生許可状態を実施不許可状態に変更する(ステップS134)。ステップS131においてモニタ装置11から強制再生停止の指示信号を受信しない場合(ステップS131,No)、エンジン制御部6は後述するステップS135へ進む。
【0076】
ステップS134の後、車両状態判断部63は、建設機械1の車両状態が安全であるか否かを判断する。車両状態判断部63によって車両状態が安全であると判断された場合(ステップS135,Yes)、エンジン制御部6は手動再生許可状態を実施許可状態に変更する(ステップS136)。一方、車両状態判断部63によって車両状態が安全でないと判断された場合(ステップS135,No)、エンジン制御部6は手動再生許可状態を実施不許可状態に変更する(ステップS137)。
【0077】
ステップS136またはステップS137の後、エンジン制御部6がモニタ装置11から強制再生指示信号を受信した場合(ステップS138,Yes)、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が実施許可状態であれば(ステップS139,Yes)、再生制御部64は手動再生を開始する制御を行う(ステップS140)。その後、エンジン制御部6は、強制再生状態を手動再生状態に変更する(ステップS141)。ステップS138でモニタ装置11から手動再生開始の指示信号を受信しない場合(ステップS138,No)、およびステップS139でディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が実施許可状態でない場合(ステップS139,No)、エンジン制御部6はステップS142へ進む。
【0078】
ステップS141の後、エンジン制御部6は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量が自動再生または手動再生を終了可能な状況に相当する規定値まで減少したか否かを判断する。微粒子の堆積量が規定値未満である場合(ステップS142,Yes)、再生制御部64は自動再生または手動再生を終了する制御を行う(ステップS143)。なお、ステップS142における規定値は、自動再生の場合と手動再生の場合で異なるようにしてもよい。続いて、エンジン制御部6は、強制再生状態を非強制再生状態に変更し(ステップS144)、手動再生許可状態を実施不許可状態に変更(ステップS145)した後、ステップS115へ進む。ステップS142でディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4の微粒子の堆積量が規定値以上である場合(ステップS142,No)、エンジン制御部6はステップS115へ進む。
【0079】
次に、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が強制再生停止状態である場合(ステップS102,Yes)を説明する。この場合において、エンジン制御部6がモニタ装置11から強制再生停止を解除する再生停止解除指示信号を受信したとき(ステップS146,Yes)、エンジン制御部6は強制再生状態を非強制再生状態に変更する(ステップS147)。一方、エンジン制御部6がモニタ装置11から強制再生停止の解除指示信号を受信しない場合(ステップS146,No)、エンジン制御部6は後述するステップS148へ進む。
【0080】
ステップS148では、車両状態判断部63が、建設機械1の車両状態が安全であるか否かを判断する。車両状態判断部63によって車両状態が安全であると判断された場合(ステップS148,Yes)、エンジン制御部6は手動再生許可状態を実施許可状態に変更する(ステップS149)。一方、車両状態判断部63によって車両状態が安全でないと判断された場合(ステップS148,No)、エンジン制御部6は手動再生許可状態を実施不許可状態に変更する(ステップS150)。ステップS149またはS150の後、エンジン制御部6はステップS115へ進む。
【0081】
次に、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4がレベルVにある場合を説明する。この場合、エンジン制御部6は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量が多いことを示すエラー情報を表示部111に表示させるためのエラー情報表示信号をモニタ装置11へ送信するとともに、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4がレベルIVにある場合と同様のエンジン出力ディレート処理を行う(
図18を参照)。エラー情報表示信号を受信したモニタ装置11は、表示部111でエラー情報を表示する。表示部111が表示するエラー情報として、例えば
図20に示す信号入力要求画像301に加えて
図20とは異なるアクションコード(「L04」)を有するアクションコード表示画像を表示すればよい。
【0082】
以下、モニタ装置11の表示内容について、建設機械1が油圧ショベルである場合を例にとって説明する。
図20は、エンジン制御部6から強制再生要求信号を受信したモニタ装置11の表示部111における表示例を示す図であり、強制再生要求信号がレベルIIIに対応している場合の表示例を示している。
図20に示すメーター画面201上では、信号入力要求画像301とともに、アクションコード「L01」を表示するアクションコード表示画像401が表示される。信号入力要求画像301とアクションコード表示画像401は同じ色で表示されている。
【0083】
図21は、強制再生要求信号がレベルIVに対応している場合の表示部111における表示例を示す図である。同図に示すメーター画面201上では、信号入力要求画像314とアクションコード表示画像402が表示されている。信号入力要求画像314は信号入力要求画像301と同じ内容であるが異なる色を有している。また、アクションコード表示画像402が表示するアクションコード「L03」はレベルIIIの場合と異なっている。信号入力要求画像314とアクションコード表示画像402は同じ色を有している。
【0084】
レベルIIIとレベルIVでは、レベルIVの方がディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量が大きいため、強制再生処理の緊急度が高い。このことに鑑みて、信号入力要求画像314およびアクションコード表示画像402を赤で表示する一方、信号入力要求画像301およびアクションコード表示画像401を黄色で表示するようにすれば、操作者はメーター画面上で強制再生処理の緊急度を視覚的に認識することができる。なお、レベルIIIの場合には強制再生処理をすぐに行わず、通常の作業を続行することも可能であるため、メーター画面201の中で比較的大きな面積を占めるアクションコード表示画像401を数秒程度で消去し、操作者がアクションコード表示画像401に気をとられることなく各種メーターを見ることができるようにすればより好ましい。
【0085】
図20または
図21に示す状態で操作入力部10の図示しないレバーが中立であるレバーニュートラル状態が所定時間(例えば数秒間)継続した場合、表示部111は自動的に再生開始用画面に切り替わる(上述した実施の形態1と同様に、メニューボタン302を押しても再生開始用画面に切り替えることも可能である)。
【0086】
図22は、再生開始用画面の表示例を示す図である。同図に示す再生開始用画面202では、手動再生ボタン303、レベル画像304、稼働状況表示領域305、メッセージ表示領域306、画面戻りボタン307、スクロールバー308、スクロールアップボタン308u、スクロールダウンボタン308d、および実行ボタン315が少なくとも表示されている。本実施の形態2では、メッセージ表示領域306の表示方法が上述した実施の形態1と異なっている。以下、メッセージ表示領域306の表示方法を具体的に説明する。
【0087】
メッセージ表示領域306では、まず
図22に示すように、「このまま作業を続けるとディーゼルエンジン微粒子除去フィルターが故障するおそれがあります。直ちに手動再生を行って下さい。」というメッセージを表示する。
図22に示す状態になってから所定時間経過した後、メッセージ表示領域306では、
図23に示すように、「安全な場所に停止し、ロックレバーのロックの位置に、燃料調整ダイヤルをローアイドリングの位置にしてください。」というメッセージに切り替わる。その後、
図23に示す状態になってから所定時間経過した時、メッセージ表示領域306では、
図24に示すように「周囲の安全を確認してください。再生を開始しますか?」というメッセージを表示するとともに、「いいえ」と「はい」の選択ボタン(「いいえ」が画面戻りボタン307で「はい」が実行ボタン315)を表示する。
図24に示す状態になってから所定時間経過した時、メッセージ表示領域306は
図22に示す状態に戻り、以後、「いいえ」または「はい」の選択入力がなされるまで、
図22〜
図24で示した3種類のメッセージを所定の周期で繰り返し表示する。なお、メッセージ表示領域306の表示内容を変更する周期は数秒程度でよい。
【0088】
図22〜
図24に示す表示を行うことにより、操作者は手動再生処理を開始する際に行うべき内容を容易に把握することができる。また、操作者が手動再生処理を開始するまでに行わなければならない操作は、車両の停止と周囲の安全確認を除けば実行ボタン315を1回選択するだけであるため、手動再生処理に詳しくない操作者であっても簡単な操作で手動再生処理を開始することができる。
【0089】
なお、レベルIIおよびIIIにおいて、自動再生を行っている途中でディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4の排気温度が低下する等の理由により手動再生状態へ切り替えなければならない場合に、
図22〜
図24の表示を繰り返し表示するようにしてもよい。
【0090】
ところで、
図22〜
図24に示す再生開始用画面202において、利用者が画面戻りボタン307を選択して入力すると、モニタ装置11は旧表示画面であるメーター画面201へ戻る。メーター画面201へ戻った後の表示部111における画面遷移の態様は微粒子の堆積量のレベルに応じて異なる。まず、微粒子の堆積量のレベルがレベルIIIである場合、モニタ装置11は、メーター画面201に戻ってからもレベルIIIの状態で推移していれば、メーター画面201へ戻ってから数時間経過した後に建設機械1の操作入力部10の図示しないレバーが中立であるレバーニュートラル状態が、あらかじめ設定した所定時間継続した後、再生開始用画面202へ再度自動的に切り替わる。これに対して、微粒子の堆積量のレベルがレベルIVである場合、モニタ装置11は、メーター画面201に戻ってから、再びレバーニュートラル状態が、あらかじめ設定した所定時間継続した後、再生開始用画面202へ再度自動的に切り替わる。このように、レベルIIIとレベルIVとの境界の堆積量を閾値とするときの実際の堆積量と閾値との大小関係に応じてメーター画面201に戻ってから再生開始用画面202に再度切り替わるまでの時間の設定を変更することにより、特にレベルIVの場合には、通常作業に戻ることなく手動再生を開始せざるを得ない状況が形成される。その結果、微粒子の堆積量のレベルに応じて的確に再生処理を行うことが可能となる。
【0091】
次に、
図24に示す状態で利用者が「はい」を選択した後の画面遷移を説明する。この場合において、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が実施許可状態にあるとき、手動再生が開始される。その後、表示部111は、
図7と同様の再生開始用画面202を表示する。これに対し、
図24に示す状態で利用者が「はい」を選択しても、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が実施不許可状態にあるとき、表示部111は、
図25に示すように「操作をやり直してください」というエラーメッセージを表示し、所定時間(例えば数秒間)が経過した後、再生開始用画面202へ自動的に戻る。なお、
図25に示す状態で画面戻りボタン307を選択しても再生開始用画面202へ戻ることができる。
【0092】
図26は、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が手動再生状態にある場合のモニタ装置11の表示部111の表示例(レベルIVの場合)を示す図である。同図に示すメーター画面201では、信号入力要求画像314およびアクションコード表示画像402に加えて再生中画像310が表示される。
図26に示す状態で操作入力部10のレバーがニュートラルである状態が所定時間(例えば数秒間)継続した場合、表示部111は自動的に再生開始用画面に切り替わる。この際に切り替わる再生開始用画面は、
図7に示す再生開始用画面202と同様である。
【0093】
なお、レベルIIIの場合にも、
図20に示すメーター画面201に再生中画像310と同様のデザインで色が異なる再生中画像が表示される。レベルIIIの場合には、自動再生状態における再生中画像も手動再生状態における再生中画像と同様に表示すればよい。
【0094】
ディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4が手動再生状態にある場合の再生開始用画面で画面戻りボタン307が選択され、メーター画面に戻ってから再生開始用画面に再び戻るまでの時間は、
図22に示す再生開始用画面202で画面戻りボタン307が選択された場合と同様に設定される。
【0095】
図27は、強制再生停止状態である場合のモニタ装置11の表示部111の表示例(レベルIVの場合)を示す図である。同図に示すメーター画面201では、信号入力要求画像314およびアクションコード表示画像402に加えて再生停止中画像312が表示される。なお、レベルIIIの場合には、
図20に示すメーター画面201に
図27と同様のデザインで色が異なる再生停止中画像が表示される。
図27に示す状態で操作入力部10のレバーがニュートラルである状態が所定時間継続した場合、
図11に示す再生開始用画面202と同様の画面(メッセージ表示領域306で「再生を停止しています。」というメッセージを表示)が表示される。
【0096】
強制再生停止状態にある間にディーゼルエンジン微粒子除去フィルター4における微粒子の堆積量が増加し、再生停止の解除が必要な量に達した場合、メッセージ表示領域306では、「再生を停止しています。」というメッセージの後に、「微粒子の堆積量が過大になっています。再生停止を解除して手動再生を実施してください。」というメッセージを所定時間表示した後、「再生機能停止を解除しますか?」というメッセージとともに「いいえ」、「はい」のボタンを所定時間表示し、以後は「はい」または「いいえ」の選択入力がなされるまで、上述した3種類のメッセージを周期的に表示する。
【0097】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様、ディーゼルエンジン微粒子除去フィルターの再生処理を車両の状態に応じて的確に行うことができる。
【0098】
また、本実施の形態2によれば、微粒子の堆積量が大きく手動再生を行う必要性が高い状況下では、エンジン出力のディレート処理を行うとともに、モニタ装置の表示を再生開始用画面に自動的に戻る構成としているため、操作者が通常の作業を続けようとしても作業を続けることはできず、手動再生処理を必要なタイミングで確実に実行させることができるようになる。
【0099】
また、本実施の形態2によれば、再生開始用画面においてメッセージを切り替えながら手動再生開始のガイダンスを行っているため、手動再生に不慣れな操作者でも、少ない操作で簡単に手動再生を開始することができる。
【0100】
なお、本実施の形態2において、モニタ装置11に音声出力機能を具備させた場合には、音声によるエラーメッセージ以外に、レベルIVやレベルVのような緊急度が高いレベルでブザー音を出力するようにしてもよい。この場合のブザー音は、レベルIVとレベルVとを識別できるように設定するのが望ましく、例えばレベルVではブザー音を連続的に鳴らす一方、レベルIVではブザー音を間欠的に鳴らすようにすればよい。
【0101】
ここまで、本発明を実施するための形態を詳述してきたが、本発明は上述した二つの実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、再生中画像や信号入力要求画像を、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一部をなし、各画像を介した信号の入力が可能なアイコンとし、それらのアイコンを操作者が選択する処理を行った場合に画面が遷移するようにしてもよい。
【0102】
また、レベル判定手段が判定する堆積量のレベルをより多段階に細分化してもよいし、各レベルの処理内容を操作者が予め設定できるようにしてもよい。
【0103】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。