【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガス燃焼機器の火力調節装置は、バーナに供給するガス量を調整する往復移動式の弁体と往復移動操作式の火力調節操作具とが、前記火力調節操作具の往復移動操作により前記弁体を往復移動させるようにカム式連係機構により連係されたものであって、その第1特徴構成は、
前記カム式連係機構を構成する部材として、前記火力調節操作具の往復移動操作により発生する押付け力にて摺動面に押付けられた状態で前記火力調節操作具の往復移動操作により往復移動する可動体が設けられ、
前記摺動面における前記火力調節操作具が火力調節用移動範囲の特定位置に位置するときに前記可動体が位置する箇所に、前記可動体が
前記火力調節操作具の往復移動操作により発生する前記押付け力
のみにて入り込むことによりクリック感を付与するクリック感付与用の凹部が設けられている点を特徴とする。
【0008】
すなわち、火力調節操作具が往復移動操作されると、その操作により発生する押付け力にて可動体が摺動面に押付けられた状態で往復移動することになり、そして、火力調節操作具が火力調節用移動範囲の特定位置に位置すると、可動体が摺動面に設けたクリック感付与用の凹部に入りこむことによって、火力調節操作具を持つ操作者の手にクリック感が与えられることになり、操作者は、火力調節操作具が火力調節用移動範囲の特定位置に位置するものであることが分かるものとなる。
【0009】
そして、カム式連係機構を構成する部材としての、火力調節操作具の往復移動操作により発生する押付け力にて摺動面に押付けられた状態で火力調節操作具の往復移動操作により往復移動する可動体に着目して、その可動体が押し付けられた状態で移動する摺動面にクリック感付与用の凹部を設けることにより、火力調節操作具を持つ操作者の手にクリック感を与えるものであるから、クリック感を与えるために特別な付勢機構等を用いずに、単に摺動面にクリック感付与用の凹部を設けるだけで良いため、簡素な構造にて、火力調節操作具の位置を分かり易くするためにクリック感を付与することができる。
【0010】
説明を加えると、往復移動式の弁体と往復移動操作式の火力調節操作具とを、火力調節操作具の往復移動操作により弁体を往復移動させるようにカム式連係機構にて連係する場合には、カム式連係機構によるカム操作の反力を受けることが必要になるため、カム式連係機構を構成する部材として、摺動面に火力調節操作具の往復移動操作により発生する押付け力にて押付けられた状態で、火力調節操作具の往復移動操作により往復移動する可動体が存在することになる。そこで、その可動体及びその可動体が押し付けられる摺動面を有効利用することにより、簡素な構造にて、火力調節操作具の位置を分かり易くするためにクリック感を付与することができるのである。
【0011】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、火力調節操作具の位置を分かり易くするためにクリック感を付与する構造の簡素化を図ることができるガス燃焼機器の火力調節装置を提供できる。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、上記した第1特徴構成に加えて、
前記摺動面としての、前記弁体を火力減少側に移動させるときに前記可動体が摺動する火力減少側の摺動面と、前記弁体を火力増大側に移動させるときに前記可動体が摺動する火力増大側の摺動面とのうちの一方に、前記クリック感付与用の凹部が設けられている点を特徴とする。
【0013】
すなわち、可動体が摺動する摺動面としては、弁体を火力減少側に移動させるときに可動体が摺動する火力減少側の摺動面と、弁体を火力増大側に移動させるときに可動体が摺動する火力増大側の摺動面とが存在するが、それらの摺動面のうちの一方の摺動面に、クリック感付与用の凹部が設けられるため、火力調節操作具をその火力調節用移動範囲の特定位置に操作したときに、火力を同じ状態に操作し易いものとなる。
【0014】
説明を加えると、可動体が摺動する摺動面としての、火力減少側の摺動面と火力増大側の摺動面とのいずれにも、火力調節操作具の火力調節用移動範囲の特定位置に対応させてクリック感付与用の凹部を設けることが考えられるが、カム式連係機構中に存在するガタ等の影響により、火力調節操作具をその火力調節用移動範囲の特定位置に操作したときに、火力調節操作具を火力減少側に向けて移動させた場合と、火力調節操作具を火力増大側に移動させた場合とでは、弁体の位置が異なるものとなる、いわゆるヒステリシスが発生する虞がある。
【0015】
このため、火力減少側の摺動面と火力増大側の摺動面とのいずれにも、火力調節操作具の火力調節用移動範囲の特定位置に対応させてクリック感付与用の凹部を設けると、火力調節操作具をその火力調節用移動範囲の特定位置に操作したときに、火力調節操作具を火力減少側に向けて移動させた場合と、火力調節操作具を火力増大側に移動させた場合とで異なる火力になる不都合を招く虞があるが、火力減少側の摺動面と火力増大側の摺動面とのうちの一方にクリック感付与用の凹部を設けることにより、火力調節操作具をその火力調節用移動範囲の特定位置に操作したときに、火力を同じ状態に操作できるものとなるのである。
【0016】
ちなみに、火力減少側の摺動面と火力増大側の摺動面とのうちの一方にクリック感付与用の凹部を設けた場合においては、必要に応じて一旦特定位置を越えるように火力調節操作具を操作したのち、火力調節操作具を特定位置に向けて操作する必要がある。
つまり、例えば火力減少側の摺動面にクリック感付与用の凹部を設けた場合においては、火力調節操作具を火力減少側に操作するときにのみクリック感が付与されることになるため、現在の火力調節操作具の位置が特定位置よりも火力減少側の位置にあるときには、一旦特定位置を越える位置まで火力調節操作具を火力増大側に操作したのち、火力調節操作具を火力減少側に操作する必要がある。
【0017】
これとは逆に、例えば火力増大側の摺動面にクリック感付与用の凹部を設けた場合においては、火力調節操作具を火力増大側に操作するときにのみクリック感が付与されることになるため、現在の火力調節操作具の位置が特定位置よりも火力増大側の位置にあるときには、一旦特定位置を越える位置まで火力調節操作具を火力減少側に操作したのち、火力調節操作具を火力増大側に操作する必要がある。
【0018】
尚、特定位置として、異なる位置となる複数の特定位置を設ける場合においては、それら複数の特定位置の全てに対応するクリック感付与用の凹部を、火力減少側の摺動面と火力増大側の摺動面とのいずれか一方に集中して設ける必要はなく、複数の特定位置に対応する複数のクリック感付与用の凹部を、火力減少側の摺動面と火力増大側の摺動面とに分散して設けることができるものである。
つまり、ひとつの特定位置についてのクリック感付与用の凹部を、火力減少側の摺動面と火力増大側の摺動面とのいずれか一方に設けるようにすれば良い。
【0019】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記した第1特徴構成による作用効果に加えて、火力調節操作具を火力調節用移動範囲の特定位置に操作したときに、火力を同じ状態に操作できるガス燃焼機器の火力調節装置を提供できる。
【0020】
本発明の第3特徴構成は、上記した第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、
前記弁体がスライド式の弁体であり、前記火力調節操作具が揺動式のレバー状に構成され、
前記弁体に、前記火力調節操作具の揺動軸心方向と並行な方向に向ける状態で被操作ピンが付設され、かつ、前記火力調節操作具に、前記被操作ピンが挿入するカム操作孔が設けられて、前記カム式連係機構が構成され、
前記被操作ピンを前記可動体とし、前記被操作ピンが摺動する前記カム操作孔の内面を前記摺動面とするように構成されている点を特徴とする。
【0021】
すなわち、弁体としてスライド式弁体が用いられる場合には、火力調節操作具を揺動式のレバー状に構成して、火力調節操作具の揺動軸心方向と並行な方向に向ける状態で弁体に付設した被操作ピンを、火力調節操作具に設けたカム操作孔に挿入させることにより、被操作ピン及びカム操作孔を主要部とした、簡素な構成のカム式連係機構を構成することができる。
【0022】
このようにカム式連係機構を構成する場合においては、被操作ピンが、火力調節操作具の往復移動操作により発生する押付け力にてカム操作孔の内面に押付けられた状態で火力調節操作具の往復移動操作により往復移動するものとなるから、被操作ピンを可動体とし、被操作ピンが摺動するカム操作孔の内面を摺動面として、クリック感付与用の凹部を、カム操作孔の内面に設けることにより、火力調節操作具の位置を分かり易くするためにクリック感を付与することができる。
【0023】
そして、火力調節操作具に形成されるカム操作孔の内面にクリック感付与用の凹部を設けているため、被操作ピンがクリック感付与用の凹部に入り込むことにより発生するクリック感が、火力調節操作具に直接的に付与されるため、火力調節操作具を支持して操作している操作者に対して、十分なクリック感を付与し易いものとなる。
【0024】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成又は第2特徴構成による作用効果に加えて、カム式連係機構の簡素化を図り、しかも、火力調節操作具を支持して操作している操作者に対して、十分なクリック感を付与し易いものとなる組ガス燃焼機器の火力調節装置を提供できる。
【0025】
本発明の第4特徴構成は、上記した第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、
前記弁体がスライド式の弁体であり、前記火力調節操作具が揺動式のレバー状に構成され、
前記弁体に、前記火力調節操作具の揺動軸心方向と並行な方向に向ける状態で被操作ピンが付設され、且つ、前記火力調節操作具に、前記被操作ピンが挿入するカム操作孔が設けられて、カム式連係機構が構成され、
前記弁体がそのスライド方向に沿う軸心周りで回転自在に弁ケーシングに支持され、且つ、前記被操作ピンを前記弁体のスライド方向に案内するスリット溝が前記弁ケーシングに設けられ、
前記被操作ピンを前記可動体とし、前記被操作ピンが摺動する前記スリット溝の内面を前記摺動面とするように構成されている点を特徴とする。
【0026】
すなわち、弁体としてスライド式弁体が用いられる場合には、火力調節操作具を揺動式のレバー状に構成して、火力調節操作具の揺動軸心方向と並行な方向に向ける状態で弁体に付設した被操作ピンを、火力調節操作具に設けたカム操作孔に挿入させることにより、被操作ピン及びカム操作孔を主要部とした、簡素な構成のカム式連係機構を構成することにより、カム式連係機構の簡素化を図れるものとなる。
【0027】
このようにカム式連係機構を構成する場合においては、カム操作孔にて被操作ピンを押圧したときに、弁体に対してスライド方向に沿う軸心周りで回転させようとする力が作用するものとなるが、本特徴構成においては、弁体をそのスライド方向に沿う軸心周りで回転自在に支持して、被操作ピンを弁体ケーシングに設けたスリット溝にて案内することにより、つまり、被操作ピンが弁体のスライド方向に沿う軸心周りで回転することを阻止するように、被操作ピンをスリット溝にて受止めることにより、弁体がそのスライド方向に沿う軸心周りで回転することを阻止するものである。
【0028】
このようにカム式連係機構を構成するために設けられている被操作ピンを有効利用して、弁体がそのスライド方向に沿う軸心周りで回転することを阻止するものであるから、例えば、弁体の少なくとも一部に角軸状部を形成して、弁体が挿通する孔を、角軸状部が嵌合する角筒状の孔に形成して、弁体がそのスライド方向に沿う軸心周りで回転することを阻止する等の回転止め構造を用いるに比べて、弁体を円柱状に形成して、その弁体が挿通する孔を円筒状に形成することができるため、弁体の装着構成の簡素化を図れるものとなる。
【0029】
弁体に設けた被操作ピンをスリット状溝にて案内する場合には、被操作ピンが、火力調節操作具の往復移動操作により発生する押付け力にてスリット状溝の内面に押付けられた状態で火力調節操作具の往復移動操作により往復移動するものとなるから、被操作ピンを可動体とし、被操作ピンが摺動するスリット状溝の内面を摺動面として、クリック感付与用の凹部を、スリット状溝の内面に設けることにより、火力調節操作具の位置を分かり易くするためにクリック感を付与することができる。
【0030】
そして、弁体に付設された被操作ピンを弁体のスライド方向に案内するスリット溝の内面にクリック感付与用の凹部を設けているため、つまり、弁体を支持する弁体ケーシングにクリック感付与用の凹部が形成するものであるため、クリック感を付与すべき火力に相当する位置に弁体が位置するときに、被操作ピンがクリック感付与用の凹部に入り込むことが、火力調節操作具のガタ付きなどの経年変化に拘わらず、長期感に亘って的確に行われるものとなり、火力調節操作具にクリック感が付与されたときの火力が長期間に亘って安定する結果、火力調節操作具にて必要とする火力に的確に調節できる。
【0031】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第1特徴構成又は第2特徴構成による作用効果に加えて、カム式連係機構の簡素化並びに弁体の装着構成の簡素化を図ることができ、しかも、火力調節操作具にて必要とする火力に的確に調節できるガス燃焼機器の火力調節装置を提供できる。
【0032】
本発明の第5特徴構成は、上記第1〜第4特徴構成のいずれかに加えて、
前記バーナを点火する点火用操作具が点火操作されたときに前記火力調節操作具を点火用位置に操作する操作手段が設けられ、
前記火力調節操作具の火力調節用移動範囲における前記特定位置を、前記点火用位置とは異なる位置として、前記クリック感付与用の凹部が設けられている点を特徴とする。
【0033】
すなわち、バーナを点火する点火用操作具を点火操作すると、火力調節操作具が点火位置に操作されるため、バーナに供給するガス量を点火に適した量にした状態で、バーナを良好に点火できるものとなる。
そして、バーナの点火の後で、火力調節操作具を特定位置に操作することを、火力調節操作具の位置を分かり易くするためのクリック感が付与されることにより、的確に行えるものとなる。
【0034】
説明を加えると、火力調節用移動範囲の特定位置は、火力調節操作具を操作する頻度が高い位置や火力調節操作具を火力調節のために的確に位置させる必要がある位置等、使用状況に基づいて定められことになるが、火力調節操作具の点火位置は、その火力調節用移動範囲においてバーナの点火を良好に行わせるための位置として定められるため、特定位置と点火用位置とが異なることになるが、バーナの点火の後で、火力調節操作具を特定位置に操作することを、火力調節操作具の位置を分かり易くするためにクリック感を付与することにより、的確に行える。
【0035】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第1〜第4特徴構成による作用効果に加えて、バーナの点火の後で、火力調節操作具を特定位置に操作することを的確に行えるガス燃焼機器の火力調節装置を提供できる。