特許第5662020号(P5662020)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5662020細胞保護剤を得るためのコレスト−4−エン−3−オン誘導体の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662020
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】細胞保護剤を得るためのコレスト−4−エン−3−オン誘導体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/575 20060101AFI20150108BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20150108BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20150108BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   A61K31/575
   A61P9/00
   A61P1/16
   A61P37/06
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2009-502147(P2009-502147)
(86)(22)【出願日】2007年3月28日
(65)【公表番号】特表2009-531397(P2009-531397A)
(43)【公表日】2009年9月3日
(86)【国際出願番号】FR2007000530
(87)【国際公開番号】WO2007118967
(87)【国際公開日】20071025
【審査請求日】2010年1月27日
(31)【優先権主張番号】0602799
(32)【優先日】2006年3月31日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505342058
【氏名又は名称】トロフォ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】プリュス,レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ビュイソン,ブリューノ
(72)【発明者】
【氏名】ボルドゥ,ティエリー
【審査官】 前田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−519819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/575
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓細胞又は肝細胞の保護剤を製造するための、式I:
【化1】
(式中、
Xは、=N−OH基を表し;及び
Rは、下記:
【化2】
(式中、
【化3】
は結合点を示す)
から選択される基を表し;
Aは、水素原子又はBと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Bは、水素原子、ヒドロキシ基又はAと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Cは、水素原子又はDと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Dは、水素原子又はCと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Eは、水素原子又はFと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Fは、水素原子又はEと一緒になって炭素−炭素結合を表す)
に合う化合物の少なくとも1つ又は医薬として許容される酸とのその付加塩の1つの使用。
【請求項2】
式Iにおいて、Aは、Bと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、C、Dは、水素原子を表し、E、Fは、水素原子又は一緒になって炭素−炭素結合を表し、Rは、R1を意味することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式Iにおいて、Aは、Bと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、C、Dは、水素原子を表し、E、Fは、水素原子を表し、Rは、R2又はR3又はR4を意味することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
式Iにおいて、Aは、Bと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、Cは、Dと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、E、Fは、水素原子を表し、Rは、R1又はR6を意味することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
式Iにおいて、Aは、Bと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、Cは、Dと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、Eは、Fと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、Rは、R1を意味することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
式Iにおいて、Eは、Fと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、C、D、A、Bは、水素原子を表し、Rは、R1を意味することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
式Iで表される化合物が、下記:
コレスタン−3−オンオキシム、
コレスト−4−エン−3−オンオキシム、
コレスト−1,4−ジエン−3−オンオキシム
又は医薬として許容される酸とのその付加塩の1つ
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
式Iで表される化合物が、コレスト−4−エン−3−オンオキシム又はコレスト−1,4−ジエン−3−オンオキシム又は医薬として許容される酸とのその付加塩の1つから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
式Iで表される化合物が、心臓細胞又は肝細胞の壊死、及び/又は病的アポトーシス、及び/又はネクロトーシス(necroptosis)の治療又は予防を対象とし、又は
心臓血管疾患、及び
肝疾患
からなる群から選択される疾患の治療又は予防に使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
式Iで表される化合物が、移植前、移植中若しくは移植後の細胞、組織又は臓器の保護に使用されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経保護剤を除いて、細胞保護剤を得るためのコレスト−4−エン−3−オン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞変性プロセスは、多くの場合、望ましくない細胞活性及び細胞死を引き起こす細胞の機能障害によって特徴付けられる。
【0003】
細胞は、ストレスに反応して適応機能を発生させ、それらの寿命を伸ばし、又は細胞死を遅延若しくは阻害する(細胞保護機構)。
【0004】
しかしながら、これらの細胞保護機構は、ある場合には不十分であり、不適切であり、又は非常に遅くなって誘導されるため、有効でなく、細胞が死滅する。したがって、細胞保護を促進する新規な細胞保護剤を有することに関心が高いことが分かってきた。これが、本発明の目的の1つである。
【0005】
用語「細胞保護」は、細胞死、特に病的な細胞死及び/又は細胞死へ導く細胞の機能障害に対して細胞を保護する自然力又は保護しない能力を意味する。これらの細胞の機能障害は、例えば、ATPを発生させる能力の減少、カルシウムを捕捉及び/又は保持する無能力、又はフリーラジカルの発生などのミトコンドリア起源のものであってもよい。
【0006】
細胞死の主要なメカニズムの中では、壊死、アポトーシス、及びネクロトーシスの間で本質的に区別がなされている。
【0007】
壊死は、組織に障害がある場合に起こる、いわゆる「偶発的な」細胞死である。細胞のホメオスタシスの変化を引き起こす、大部分に影響が及ぼされるのは、細胞の原形質膜である。細胞は、それらの原形質膜の溶解を引き起こすまで水を吸収する。この細胞溶解は、周囲の培地に細胞質成分の放出をもたらす。壊死は、炎症過程を起源とする。
【0008】
壊死は、一連の細胞又は組織に影響を及ぼし、他の隣接する部分は生存し続ける。結果としての変形は、細胞又は組織の変化である。
【0009】
換言すれば、壊死は、細胞が、臓器での血液供給の中断又は減少、高熱(温度の有意な上昇)、化合物による中毒、身体的衝撃などの重大な事象の結果としてその生命の終端に到達する場合に起こる形態的変化によって定義される。
【0010】
最も知られている壊死の1つは、冠状動脈の閉塞(妨害)による梗塞(心筋での血流供給の阻害)過程での心筋のものである。
【0011】
アポトーシスは、生物の正常な生理学の不可欠な部分である。それは、細胞死の非常に制御された生理学的形態であり、例えば細胞生物の生存に不可欠である。アポトーシスは、胚形成過程で根本的な役割を果たすプロセスである。
【0012】
アポトーシスにある細胞、即ちアポトーシスを起こした細胞は、それ自体、他の細胞から区別される。アポトーシスは、通常、組織中の個々の細胞に関係し、炎症を引き起こさない。アポトーシスの特徴的な形態学的ポイントの1つは、細胞容積の有意な減少を誘導する核及び細胞質の両方の有意な凝縮である。次に、核は断片化し、各断片は、二重エンベロープによって取り囲まれる。その後、アポトーシス小体は(細胞質及び核のエレメント)が放出され、隣接する細胞によるファゴサイトシーシスを介して吸収される。
【0013】
アポトーシスは、様々な方法で誘導され得る。例えば、放射線、化合物又はホルモンの存在は、細胞におけるアポトーシスイベントのカスケードを誘導し得る刺激物である。細胞内のシグナル、例えば不完全な有糸分裂又はDNA損傷もアポトーシスを誘導し得る。
【0014】
アポトーシスはまた、遺伝毒性物質の作用後又は疾患中に起こる。ある種の病原体は、ある種の細胞群の喪失を引き起こす異常なアポトーシス、例えば肝毒性、網膜症、心臓毒性によって特徴付けられる。
【0015】
したがって、生理学的なアポトーシスと病的なアポトーシスとは区別される。本発明は、病的アポトーシスに焦点が当てられる。
【0016】
例えば、壊死とアポトーシスの特徴をもつネクロトーシスなどの細胞死の他のメカニズムも存在する。ネクロトーシスによって死にかかっている細胞は、壊死によって死にかかっている細胞と同様の特徴を有するが、このメカニズムの生化学的段階は、アポトーシスとより類似している。細胞死のこのメカニズムは、例えば、虚血において発生する。
【発明の開示】
【0017】
したがって、本発明の目的の1つはまた、利用可能な新規な薬物を作製することであって、それを用いて、壊死及び/又は病的アポトーシス及び/又はネクロトーシスの予防及び/又は治療を可能にし得る(抗壊死剤及び/又は抗アポトーシス剤及び/又は抗ネクロトーシス剤)。
【0018】
細胞の変性過程は、とりわけ、変性弛緩又は作用、外傷又は種々の因子への曝露の条件で分類される病的な刺激に起因する場合がある。
【0019】
これらの外傷及び因子には、例えば、照射(UV、γ線照射)、低酸素又は酸素欠乏、栄養素の欠如、増殖因子の欠如、毒物、細胞毒素、衰弱、環境毒素、フリーラジカル、反応性酸素又はさらにある種の医療イベント及び/又は処置、例えば細胞、組織及び臓器移植を含む外科的外傷が含まれ得る。また、化合物又は生物薬物が言及され、例えば細胞増殖抑制剤又は抗炎症剤などの医療処置の範囲にある治療薬として用いられる場合がある。
【0020】
本発明の目的は、細胞死に至るが、実際には病理過程の細胞レベル又は該病原体の細胞レベルでの結果に至る病原体又は変性過程の細胞外の原因を処置すること、特に該結果に対する細胞を保護することではない。
【0021】
変性過程によって特徴付けられる最も有意な病的状態のうち、本発明が指向していない神経障害又は神経変性障害以外であって、下記の状態が見出される:
骨、関節、結合組織の疾患、軟骨の疾患、例えば、骨粗鬆症、骨髄炎、例えば骨関節炎、関節リウマチ及び乾癬性関節炎を含む関節炎、虚血壊死、進行性骨化性線維形成異常症、くる病、クッシング症候群;
【0022】
筋疾患、例えば筋ジストロフィー、例えばデュシェーヌ筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、ミオパシー及び筋無力症;
【0023】
皮膚疾患、例えば皮膚炎、湿疹、乾癬、老化又はさらに瘢痕化の変化;
心臓血管疾患、例えば心虚血及び/又は血管虚血、心筋梗塞、虚血性心臓病、慢性又は急性うっ血性心不全、不整脈、心房細動、心室細動、発作性頻脈、うっ血性心不全、肥大性心臓病、酸素欠乏症、低酸素症、抗癌剤を用いた治療による副次的効果;
【0024】
循環器疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、動脈硬化症及び末梢血管疾患、脳血管発作、動脈瘤;
【0025】
血液疾患及び血管疾患、例えば貧血、血管アミロイドーシス、出血、鎌形赤血球症、赤血球断片化症候群、神経減少症、白血球減少症、骨髄無形成症、全血球減少症、トロンボ血球減少症、血友病;
【0026】
肺疾患、例えば肺炎、喘息;例えば慢性気管支炎及び肺気腫などの肺の閉塞性慢性疾患;
胃腸管疾患、例えば潰瘍;
【0027】
肝臓の疾患、例えば肝炎、特にウイルス起源の肝炎又は原因物質として他の感染物質を有するもの、アルコール性肝炎、自己免疫肝炎、劇症肝炎、ある種の遺伝性代謝疾患、ウィルソン病、肝硬変、アルコール性肝臓疾患(ALD)、毒素及び薬物による肝臓の疾患;脂肪症、例えば:
【0028】
−非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、またはアルコール性、薬物性、ウイルス性もしくは毒性肝炎を伴う付随性外因性中毒、外科的処理の合併症、代謝疾患(例えば、糖尿病、耐糖能異常症候群、肥満、高脂質血症、視床下部・下垂体軸の機能不全、無βリポタンパク血症、ガラクトース血症、グリコーゲン疾患、ウィルソン疾患、ウィーバー・クリスチャン疾患、レフサム症候群、カルニチン欠損症、
−消化管の炎症性疾患肝合併症、
−自己免疫肝炎。
【0029】
原因にかかわらずに、脂肪症に対する作用または肝アポトーシスに対する作用によって、該化合物が、肝線維症の発症の予防的作用を有し、肝硬変の発生を阻止する。
【0030】
−膵臓疾患、例えば急性又は慢性膵炎;
−代謝疾患、例えば真性糖尿病及び尿崩症、甲状腺炎;
−腎臓疾患、例えば急性腎障害又は糸球体腎炎;
【0031】
−化合物、毒素又は薬物による重篤な中毒;
−後天性免疫不全症候群(AIDS)と関連した変性疾患;
−老化と関連した障害、例えば促進老化の症候群;
【0032】
−歯科障害、例えば歯周炎などの組織変性に帰着するもの;
−眼科疾患又は障害、例えば糖尿病性網膜症、緑内障、黄斑変性症、網膜変性、網膜症、色素変性症、網膜裂孔又は裂傷、網膜剥離、網膜虚血、外傷に関連した急性網膜症、炎症性変性、術後合併症、薬剤性網膜症、白内障;
【0033】
−聴覚管の障害、例えば耳硬化症及び抗生物質によって誘導された難聴;
−ミトコンドリアに関連した疾患(ミトコンドリア病)、例えばフリードリッヒ運動失調症、構造的ミトコンドリア異常を伴う先天型筋ジストロフィー症、ある種のミオパシー(MELAS症候群、MERFF症候群、パーキンソン症候群)、MIDD(ミトコンドリア糖尿病及び難聴)症候群、ウォルフラム症候群、ジストニア。
【0034】
本発明はまた、移植前、移植中(摘出、輸送及び/又は再移植)又は移植後のいずれかで細胞、組織及び/又は臓器を保護することを対象とする。
【0035】
薬理学的に活性な化合物は、上述した変性過程を調節するためになお探求される。
本発明は、細胞保護化合物に対するこの要求を満たす。実際に、本出願人は、コレスト−4−エン−3−オン誘導体、及び、特にコレスト−4−エン−3−オンのオキシムが、顕著な細胞保護特性を持って提供されることを発見した。
【0036】
こういう理由で、本発明の目的は、式I:
【0037】
【化1】
【0038】
(式中、
Xは、=N−OH基を表し;及び
Rは、下記:
【0039】
【化2】
【0040】
から選択される基を表し;
Aは、水素原子又はBと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Bは、水素原子、ヒドロキシ基又はAと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Cは、水素原子又はDと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Dは、水素原子又はCと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Eは、水素原子又はFと一緒になって炭素−炭素結合を表し;
Fは、水素原子又はEと一緒になって炭素−炭素結合を表す)
に合う化合物の少なくとも1つ又は医薬として許容される酸とのその付加塩の1つ、あるいはそのエステルの1つ又は医薬として許容される酸とのそのエステルの付加塩の1つを、神経保護剤を除く細胞保護剤を調製するために使用することである。
【0041】
上記で定義される式Iの化合物は知られている(WO2004/08281)。
医薬として許容される酸との付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グリオキシル酸、アスパラギン酸、アルカン・スルホン酸、例えばメタン又はエタンスルホン酸、アリールスルホン酸、例えばベンゼン若しくはパラトルエンスルホン酸又はカルボン酸で形成された塩であってもよい。
【0042】
本発明によれば、二重結合C=Nに対して、N−O結合の配向と関連して、オキシム基は、純粋又は混在したsyn及びanti異性体を表す。
【0043】
上述される化合物のうち、上記化合物は、特に下記について保持され、
−Aは、Bと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、C、Dは、水素原子を表し、E、Fは、水素原子又は一緒になって炭素−炭素結合を表し、Rは、R1を意味する、
【0044】
−Aは、Bと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、C、Dは、水素原子を表し、E、Fは、水素原子を表し、Rは、R2又はR3又はR4を意味する、
【0045】
−Aは、Bと一緒になって、二重結合を表し、Cは、Dと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、E、Fは、水素原子を表し、Rは、R1又はR6を意味する、
【0046】
−Aは、Bと一緒になって、二重結合を表し、Cは、Dと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、Eは、Fと一緒になって、炭素−炭素結合を表し、Rは、R1を意味する、
【0047】
−Eは、Fと一緒になって、二重結合を表し、C、D、A、Bは、水素原子を表し、Rは、R1を意味する、
並びに、医薬として許容される酸とのそれらの付加塩である。
【0048】
好都合には、本発明によれば、式Iで表される少なくとも1つの化合物が使用され、
コレスタン−3−オンオキシム、
コレスト−4−エン−3−オンオキシム、
コレスト−1,4−ジエン−3−オンオキシム
又は医薬として許容される酸とのその付加塩の1つ、あるいはそのエステルの1つ又は医薬として許容される酸とのそのエステルの付加塩の1つから選択される。
【0049】
好ましくは、コレスト−4−エン−3−オンオキシム又はコレスト−1,4−ジエン−3−オンオキシム又は医薬として許容される酸とのその付加塩の1つ、あるいはそのエステルの1つ又は医薬として許容される酸とのそのエステルの付加塩が使用される。対象とする式Iで表される化合物の細胞保護特性は、細胞保護剤を調製するためのそれらの使用を正当化し、特に、壊死、及び/又は病的アポトーシス、及び/又はネクロトーシス(necroptosis)の治療又は予防を対象とし(抗壊死剤及び/又は抗アポトーシス剤及び/又は抗ネクロトーシス剤)、又は
骨、関節、結合組織及び軟骨の疾患、
筋肉疾患、
皮膚疾患、
心臓血管疾患、
循環器系疾患、
血液疾患及び血管疾患、
肺疾患、
胃腸管疾患、
肝疾患、
膵臓疾患、
代謝疾患、
腎疾患、
重篤な中毒、
後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連した変性疾患、
老化に関連した障害、
歯科疾患、
眼科疾患又は障害、
聴覚管の疾患、
ミトコンドリアに関連した疾患(ミトコンドリア病変)
などの更なる疾患を治療又は予防するために意図される。
【0050】
本発明はまた、移植前、移植中(摘出、輸送及び/又は再移植)又は移植後にかかわらず、細胞、組織又は移植された臓器を保護することを対象とする。
【0051】
好都合には、式Iで表される化合物は、心臓細胞の保護(心臓保護剤)、肝細胞の保護(肝臓保護剤)を対象とし、又はミトコンドリアに関連した疾患の治療又は予防を対象にする薬物である。
【0052】
本発明によれば、式Iで表される化合物は、好都合には、生理学的に有効な用量で細胞保護剤に存在する;該薬物は、顕著には、式Iで表される化合物の1つの効果的な細胞保護の用量を含む。
【0053】
薬物として、式Iに合う化合物、それらのエステル、医薬として許容される酸とのそれらの付加塩、並びに該エステルの医薬として許容される酸との付加塩は、消化経路又は非経口経路用に調合されてもよい。
【0054】
本発明に係る薬物は、顕著には、前述した病因の1つによって影響を受けている被験者を治療する場合、同時、別々の使用又は時間的に広がった使用のために、少なくとも1つの他の治療的有効成分を、それが同じ病因に対するか又は異なった病因に対して活性であるかを問わず、さらに含んでもよい。
【0055】
本発明によれば、式Iで表される化合物は、1以上の不活性な、即ち医薬として不活性な非毒性の賦形剤又は担体と混合した薬物に用いることができる。例えば、医薬的使用に適合し当業者に知られている、生理食塩水、生理学的に等張な緩衝された溶液などに言及してもよい。組成物は、分散剤、可溶化剤、安定化剤、防腐剤などから選択される薬物又は担体の1つを含むことができる。製剤(液体及び/又は注射可能な及び/又は固体製剤)に用いることができる薬物又は担体は、顕著には、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリン、ポリソルベート80、マンニトール、ゼラチン、ラクトース、植物油若しくは動物油、アカシアなどである。この種の製剤については、セルロース、カルボネート又はスターチなどの薬物が好都合に使用される。
【0056】
投与は、当業者に既知のいずれかの方法によって行うことができ、好ましくは経口又は注射により、典型的には腹腔内、大脳内、髄腔内、静脈内、動脈内又は筋内経路による。経口投与が好ましい。これは、長期間の治療であれば、好ましい投与経路は舌下、経口又は経皮である。
【0057】
注射用には、化合物は、一般に、液体懸濁液として包装され、例えば、シリンジ又は緩流の手段で注射することができる。流速及び/又は注射される服用量又は一般には投与される量は、患者、病理学、投与法などに依存して当業者によって適応されてもよい。投与が繰り返し行われることは理解され、場合により、他の有効成分又は任意の医薬として許容される担体(バッファー、食塩水、等張液、安定化剤の存在など)と組み合わせられる。
【0058】
本発明は、動物、特にヒトに用いることができる。
一般に、化合物の毎日の服用量は、所望の治療効果を得るために最小の服用量である。上述される化合物、例えばコレスト−4−エン−3−オンオキシムの服用量は、一般に、ヒトに対しては、1日に0.001〜100mg/キログラムで含まれる。
【0059】
必要に応じて、毎日の服用は、1日当たり2、3、4、5、6回又はそれを超える摂取で投与されてもよく、その日中に適切な間隔をおいて投与される複数回の副投与であってもよい。
【0060】
選択される量は、複数の因子、特に投与経路、投与期間、投与量、化合物の排出速度、化合物と組み合わせて用いられる種々の製造物、患者の年齢、体重及び身体状態、並びに彼/彼女の病歴、及び医学において知られているいずれかの他の情報に依存する。
【0061】
医師の処方は、一般に使用されるよりも少ない服用量で開始され、次に、これらの服用量は、可能な副次的効果の発生をより良く調節するために徐々に増加される。
【実施例】
【0062】
実施例1:コレスト−4−エン−3−オンオキシムの抗アポトーシス作用
コレスト−4−エン−3−オンオキシムの抗アポトーシス作用は、ドキソルビシンによって誘導された収縮不全試験により心筋細胞で分析された。
【0063】
100%DMSO中10mM濃度のコレスト−4−エン−3−オンオキシムのストック溶液を用いた。DMSO中の最終濃度は、使用したモル濃度とは無関係に全ての実験点で同じであった。コレスト−4−エン−3−オンオキシムは、Tyrode溶液(組成en mmol/L:NaCl 135,KCl 5.4,NaH2PO4 0.33.CaCl2 1.2,MgCl2 1.0,Hepes 10;NaOHで7.4に調整されたpH)で希釈された0.3、1及び3μMの濃度で試験された。
【0064】
方法
ウサギ心室心筋細胞の収縮性及びアポトーシス
A.1 ウサギ心室心筋細胞の単離された細胞を得ること
単離心室心筋細胞は、A.d’Anglemont de Tassignyら.,Fund.Clin.Pharmacol.,18:pp.531−38,2004に記載されるようにニュージーランド雄性ウサギの心臓から得られる。簡単に言うと、ウサギ(2.0−2.5kg)は、ペントバルビタール(50mg/kg)溶液で麻酔し、次に、ヘパリン(200IU/kg)を受ける。心臓を摘出し、酸素化された(カルシウム不含)のTyrode等張溶液(95%、2〜5% CO)(mM:NaCl 135,KCl 5.4,NaH2PO4 0.33,MgCl2 1.0,HEPES 10;37℃で1N NaOHで7.4に調整されたpH,280〜300mOsmol/kg H2O)を用いた、再循環せずにLangendorff装置によって10〜15分間、即座に潅流する。次に、全ての心臓は、1mg/mLのII型コラゲナーゼおよび0.28mg/mLのXIV型プロテアーゼを添加した、同じカルシウム不含Tyrode溶液(冠血流速度、10〜15mL/分)で「再循環」モードで3分間潅流した。最後に、全ての心臓は、0.3mM CaClを補足されたTyrodeの同じ溶液で10分間、再循環しないモードで潅流する。左心室を取り出し、小片に切断する;細胞解離は、穏やかな機械的撹拌によって達成される。細胞外カルシウムは、1.0mMの生理学的濃度を到達するために、15分毎に増加によって添加される。単離した筋細胞は、実験開始の1時間30分に至るまで、NaCl 110,KCl 5.4,Na2PO4 0.33,NaHCO3 25,グルコース 5,MgCl2 0.8,CaCl2 1(mM)を含む血清不含培地(7.4に調整されたpH)中で維持される。全ての細胞は、光学顕微鏡下では、棒状であり、青い(pale)交差した線条を有し、それらの表面で何ら小嚢を有していない。
【0065】
A.2 アネキシンVによるマーキング
アネキシンVでホスファチジルセリンをマーキングすることは、MiniMacs細胞単離キット(Miltenyi Biotec,Bergisch,Gladbach,Germany)を用いることによって、アポトーシスを測定するための定量的方法として用いられる。要約すると、ホスファチジルセリンを露出している細胞は、アネキシンVマイクロビーズで磁気的にマーキングされ、次に、磁場に置かれたカラムを通過させる。マーキングされた細胞(磁気的にマーキングされたホスファチジルセリンを有する)は、カラムに保持され、マーキングされていないもの(壊死細胞および非アポトーシス細胞)は保持されない。カラムを磁場から取り出す;ホスファチジルセリンを露出している磁気的に保持された細胞は、ポジティブな画分として溶出され、Mallassez細胞カウンターをカウントされる。次に、アポトーシスの割合を初期の細胞数に照らされる。
【0066】
A.3 カスパーゼ−3活性の測定
カスパーゼ−3活性は、アポトーシスを測定するための定量的方法として用いられる。要約すると、細胞を溶解し、上清は、AK−005キット(Biomol Research Laboratories,Plymouth Meeting,PA,USA)を用いることによって、カスパーゼ−3活性測定のために用いられる。カスパーゼ−3活性(DEVD)を測定するための蛍光性基質は、340/460nmのUV光で210分間検出可能である黄色−緑色蛍光を生成する蛍光色素である7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)を用いてマーキングされる。AMCは、カスパーゼ−3による切断によって基質から放出され、この酵素の発現はfmol/分で表される。
【0067】
A.4 収縮性の測定
筋細胞は、チャンバーに37℃で移し、連続的に潅流され、倒立顕微鏡のステージに置かれる。チャンバーは、NaCl 140;KCl 5.4;CaCl2 1;MgCl2 0.8;HEPES 10およびグルコース 5.6(mM)(pH=7.4;290mOsmol/kg H2O)を含む生理学的なバッファーを用いて潅流される。
【0068】
筋細胞の収縮は、チャンバーに配置され、シミュレーターに接続したプラチナ電極で1秒に1回(1Hz)で誘導される。画像は、a×20対物で連続的に取り込み、240試料/秒の速度でCCDカメラに送信される。CCDカメラの画像は、ビデオスクリーンに投影される。
【0069】
筋細胞は、下記の基準に従って、本試験のために選択された:非常にはっきりした線条を有し、細胞内に液胞がなく、1mM Ca2+で刺激した場合に細胞内で自発収縮がなく、一定の静止長および収縮幅を有する棒状の外観。サルコメア(sarcomer)の長さは、ビデオ画像分析プログラムによって測定され、データを240試料/秒の速度で取り込んだ。カメラ画像は、サルコメア長測定に変換される。収縮率は、サルコメアの長さに関してこれらのデータから計算される。
【0070】
A.5 データ分析
全てのデータは、平均±標準偏差として表される。異なる群の間のデータ比較は、ANOVA、続くスチューデント検定によって行い、有意差は、p<0.05に設定した。
【0071】
・実験手法
アポトーシスは、NaCl 110,KCl 5.4,Na2PO4 0.33,NaHCO3 25,グルコース 5,MgCl2 0.8,CaCl2 1(mM),7.4に調整されたpHを含む等張溶液に手かされた1μMのドキソルビシンに3〜8時間心筋細胞を晒すことによって単離された心筋細胞においてアポトーシスを誘導する。アネキシンVマーキングは、この現象がアポトーシスカスケードにおいて非常に初期に見られるため、ドキソルビシンへの暴露を開始して3時間後に行われた。カスパーゼ−3活性の測定は、この現象がアポトーシス現象の後期に起こるため、ドキソルビシンへの暴露の8時間後に行った。心筋細胞の収縮性は、ドキソルビシンへの暴露の8時間において毎時測定した。全ての処理後、細胞は、ドキソルビシに晒されていない対照の心筋細胞と比較された。
【0072】
心筋細胞は、ドキソルビシンへの暴露前の15分間、コレスト−4−エン−3−オンオキシムで前処理された。この化合物の3つの濃度をこの試験では試験された:0.3μM、1μM及び3μM。
【0073】
・結果
この試験で使用された細胞のサルコメアの平均長は、グループの間で有意に異なっていなかった。
≫筋細胞の収縮性およびアポトーシスに対するドキソルビシンの効果
ドキソルビシンへの暴露は、サルコメアを短縮する時間の減少をもたらした。ドキソルビシンピークの短縮は、最初の3時間では対照と同じであり、次に、暴露の4時間後に有意に減少するようになった(ドキソルビシンと対照の基準線と比較して、それぞれ、−53.20±7.70%対−19.49±2.06%、p<0.05、n=5)。
【0074】
1μMのドキソルビシンによる処理は、アポトーシスを誘導し、アネキシンVマーキング及びカスパーゼ−3活性を有意に増加させた。
【0075】
≫ドキソルビシン及びアポトーシスによって誘導された収縮性のレベルの機能不全に関するコレスト−4−エン−3−オンオキシムの効果
1μMのドキソルビシンによる処理は、心室の心筋細胞のピークの短縮における有意な減少をもたらし、コレスト−4−エン−3−オンオキシム(0.3、1及び3μM)の存在下で阻止される。実際には、暴露の4時間後、ドキソルビシン下でのピークの短縮(−53.20±7.70%)は、基準線と比較して、0.3μM(−25.35±0.18%)、1μM(−15.66±5.72%)及び3μM(−13.95±3.17%)での化合物により有意に減少された状態である。
【0076】
さらに、ドキソルビシンに起因して、アネキシンVマーキング及びカスパーゼ−3活性は、0.3、1及び3μMのコレスト−4−エン−3−オンオキシムによってブロックされた。
【0077】
アポトーシスは、アネキシンVマーキングの変化%として評価され、ドキソルビシンの3時間後は、下記の結果を与える:対照:100%;ドキソルビシン:291%±32;ドキソルビシン+0.3μMのコレスト−4−エン−3−オンオキシム:130%±12.43;ドキソルビシン+1μMのコレスト−4−エン−3−オンオキシム:121%±4.74;ドキソルビシン+3μMのコレスト−4−エン−3−オンオキシム:115.5%±16.35。カスパーゼ−3活性の測定に関する結果は、下記の通りである:対照:18±9fmol/分;ドキソルビシン:120±15fmol/分;ドキソルビシン+1μMのコレスト−4−エン−3−オンオキシム:18±8fmol/分;ドキソルビシン+3μMのコレスト−4−エン−3−オンオキシム:11±4fmol/分。
【0078】
・コメント及び結論
コレスト−4−エン−3−オンオキシム化合物は、ドキソルビシンによって誘導された収縮機能不全、及び単離されたウサギの心筋細胞におけるアポトーシスに対する心臓保護効果を示す。この分子は、適切な用量で使用される場合、このアントラサイクリンを用いて癌患者の治療における制限因子として知られているドキソルビシンによって誘導される心臓毒性に対して実際に保護することができる。このようにして、コレスト−4−エン−3−オンオキシム化合物は、これらの患者においてドキソルビシンの心臓毒性を制限するために用いられてもよい。
【0079】
実施例2:急性肝臓毒性のインビボモデルにおけるコレスト−4−エン−3−オンオキシムの効果
多くの他の細胞のように肝細胞は、細胞膜にFas/CD95受容体を担持する。Fas経路の刺激は、カスパーゼのカスケードを活性化することによって細胞死を誘導する。
【0080】
急性肝障害モデルは、重篤な肝障害を生じさせ、ウイルス性、自己免疫性又は薬物誘導の肝炎を真似るJo2抗Fas抗体(Ogasawaraら,Nature,August 1993)の1回注射によって誘導され得る。
【0081】
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)は、血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)とも呼ばれ、肝細胞に存在する酵素である。その活性は、肝細胞溶解後に血漿中に有意に増加し、したがって、肝障害を評価するための良好なマーカーである。
【0082】
実施された実験は、Jo2で動物を中毒にすることにあり、その後にALATのアッセイをし、肝細胞を保護するコレスト−4−エン−3−オンオキシムの能力を試験することである。
【0083】
材料及び方法
動物
ブリーダーであるElevage Janvier(Le Genest−Saint−Isle,France)から入手した雄性CD1成熟マウスを用いた。動物は、個別に特定し、水と食物を自由に接触できるようにした。
【0084】
設置は、制御された光サイクル(7:00am−7:00pm)、温度20±2℃、50±20%湿度で維持される。
【0085】
Jo2抗体の調製
Pharminngen(BD Bioscicences,ref.554254バッチ66081)から入手される、Jo2と呼ばれるモノクローナル・ハムスター抗マウスCD95(Fas)抗体のストック溶液は、水中で1mg/mLの濃度である。使用した希釈物は、水中で0.9%塩化ナトリウムで生成される。
【0086】
試験されるべき化合物の調製
所定量のコレスト−4−エン−3−オンオキシムを計量し、微粉に粉砕し、次に、コーン油に懸濁(60mg/ml)させる。化合物は、5ml/kgの濃度で経口的に(強制的な摂食によって)投与される。
【0087】
手順
コレスト−4−エン−3−オンオキシムによる前処理は、Jo2抗体を投与する4時間前に、経口投与当たり300mg/kgの服用量で行う。Jo2抗体は、体重1kg当たり5mLの体積で125μg/kgの服用量で腹腔内注射によって投与される。
【0088】
対照は、試験されるべき化合物を調製するために使用された同容積のコーン油を使用して、化合物を含まずに、抗体を投与する4時間前に経口投与によって前処理を受ける動物を用いて得られる。
【0089】
ALAT分析
麻酔したマウスからの血液は、Jo2を投与して24時間後にサンプリングする。ALAT分析は、IFCC(International federation of Chemical Chemistry)によって標準化された方法に従って、分光光度計(Hitachi Modular)により、キット(Roche Diagnostics)を用いることによって行う。
【0090】
結果及び結論
125μg/kgでのJo2の腹腔内投与は、注入後24時間以内に、対照群において19匹のマウスのうち3匹の死を誘導した。
ALAT活性は、300mg/kgの試験化合物によって有意に減少する。
【0091】
【表1】
【0092】
Jo2抗体前の4時間に300mg/kgで投与されるコレスト−4−エン−3−オンオキシムにより、
−注射後24時間以内にJo2抗体を受けるマウスの死を阻止する;
−致死未満量の抗体によって誘導される細胞死を制限する
可能性があり、血漿中の肝細胞の崩壊の生体マーカーであるALAT活性は、非処理の対照マウスよりも、コレスト−4−エン−3−オンオキシムで処理したマウスにおいて有意に低い。
【0093】
結論
抗Fas(Jo2)抗体によってマウスに誘導した急性肝毒性モデルを用いて、コレスト−4−エン−3−オンオキシムの肝臓保護特性が示すことができる。
【0094】
これらの顕著な効果により、式Iで表される化合物は、一般的な細胞保護剤の調製における使用が意図され得る。
【0095】
毒性試験
特にコレスト−4−エン−3−オンオキシムのマウスへの経口、皮下、腹腔内および静脈経路による投与は、毎日の投与による処置によって、28日程度に延長可能であり、いかなる有意な毒性をも示さなかった。
【0096】
サルでは、10日の期間において、最大1,500mg/kgの毎日の服用量を増加させる経口投与は、いかなる毒性をも示さなかった。