特許第5662047号(P5662047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5662047コネクティングロッドの製造方法及び両側リクライニング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662047
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】コネクティングロッドの製造方法及び両側リクライニング装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 3/02 20060101AFI20150108BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20150108BHJP
   A47C 1/024 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   F16C3/02
   B60N2/22
   A47C1/024
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-84958(P2010-84958)
(22)【出願日】2010年4月1日
(65)【公開番号】特開2011-214688(P2011-214688A)
(43)【公開日】2011年10月27日
【審査請求日】2013年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085187
【弁理士】
【氏名又は名称】井島 藤治
(72)【発明者】
【氏名】青井 宏仁
(72)【発明者】
【氏名】榎嶋 友宏
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−117631(JP,A)
【文献】 特開平06−262291(JP,A)
【文献】 特開2007−092932(JP,A)
【文献】 特開2008−051221(JP,A)
【文献】 特開2002−101996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 3/00− 9/06
A47C 1/024
B60N 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも両端部に非円形断面の回転伝達部が形成されたコネクティングロッドの製造方法において、
長尺の棒材に非円形断面の回転伝達部を形成する第1工程と、
前記回転伝達部が端部になるように前記棒材をせん断加工で所定長に切断する第2工程と、
切断された前記棒材の少なくとも一方の端部に、先端側から前記回転伝達部の径より小さな径の第1小径円柱部と、該第1小径円柱部に連設され、径が漸次的に大きくなり、前記回転伝達部に連設される第1テーパ部とを切削加工により形成する第3工程と、
を有することを特徴とするコネクティングロッドの製造方法。
【請求項2】
切断された前記棒材の他方の端部に、先端側から前記回転伝達部の径より小さな径の第2小径円柱部と、該第2小径円柱部に連設され、径が漸次的に大きくなり、前記回転伝達部に連設される第2テーパ部とを切削加工により形成する第4工程と、
前記第2小径円柱部をプレス加工して、前記回転伝達部が挿入される穴の開口周縁に当接可能な抜け止め部を形成する第5工程と、
を有することを特徴とする請求項1記載のコネクティングロッドの製造方法
【請求項3】
シートバックをシートクションに対して傾動させるリクライニング機構がシートの両側に設けられた両側リクライニング機構において、
一方のリクライニング機構の作動を他方のリクライニング機構に伝達するコネクティングロッドに、請求項1または2記載の製造方法で製造されたコネクティングロッドを用いたことを特徴とする両側リクライニング機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、せん断加工により所定長に切断され、少なくとも両端部に非円形断面の回転伝達部が形成されたコネクティングロッドの製造方法及びこのコネクティングロッドを有する両側リクライニング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
シートバックをシートクションに対して傾動させるリクライニング機構がシートの両側に設けられた両側リクライニング機構においては、一方のリクライニング機構の作動を他方のリクライニング機構に伝達するのに、スプラインやセレーションが形成されたコネクティングロッドが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたコネクティングロッドは、長尺の棒材の周面全域に押出成形によりスプラインが形成され、せん断加工により所定長に切断して製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−101996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、長尺の棒材を所定長に切断する方法は、可動刃と固定刃とによるせん断加工である。よって、切断された棒材の切断面には、ダレ(丸みの部分)・せん断面(光沢面)・破断面(梨地面)・バリ(かえり)が発生する。更に、切断面近傍の周面にも、ダレが発生する。即ち、切断面近傍のスプラインやセレーションは塑性変形している。
【0006】
図7に示すように、コネクティングロッド1の切断部分に面取加工を行って面取部3を形成しても、スプラインやセレーションにダレDが残る。
【0007】
コネクティングロッド1のスプラインやセレーションにダレDが残ることにより、コネクティングロッド1を相手方部材の穴(内周面にスプラインやセレーションが形成された穴)に挿入する際の挿入性が悪くなる問題点がある。また、挿入性を良くするために、相手側部材の穴の内径を大きくすると、スプラインやセレーションが隙間のある噛み合いとなり、コネクティングロッド1と相手側部材との間に、振動や騒音が発生する問題点がある。
【0008】
また、ダレDを完全になくすような面取を行うと、図8に示すように、面取り部5は先端が尖った円錐状となり、危険である。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、相手部材に対する挿入性が良好で、振動や騒音が発生しないコネクティングロッドの製造方法及び両側リクライニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、少なくとも両端部に非円形断面の回転伝達部が形成されたコネクティングロッドの製造方法において、長尺の棒材に非円形断面の回転伝達部を形成する第1工程と、前記回転伝達部が端部になるように前記棒材をせん断加工で所定長に切断する第2工程と、切断された前記棒材の少なくとも一方の端部に、先端側から前記回転伝達部の径より小さな径の第1小径円柱部と、該第1小径円柱部に連設され、径が漸次的に大きくなり、前記回転伝達部に連設される第1テーパ部とを切削加工により形成する第3工程と、を有することを特徴とするコネクティングロッドの製造方法である。
【0011】
請求項2に係る発明は、切断された前記棒材の他方の端部に、先端側から前記回転伝達部の径より小さな径の第2小径円柱部と、該第2小径円柱部に連設され、径が漸次的に大きくなり、前記回転伝達部に連設される第2テーパ部とを切削加工により形成する第4工程と、前記第2小径円柱部をプレス加工して、前記回転伝達部が挿入される穴の開口周縁に当接可能な抜け止め部を形成する第5工程と、を有することを特徴とする請求項1記載のコネクティングロッドの製造方法である。
【0012】
請求項3に係る発明は、シートバックをシートクションに対して傾動させるリクライニング機構がシートの両側に設けられた両側リクライニング機構において、一方のリクライニング機構の作動を他方のリクライニング機構に伝達するコネクティングロッドに、請求項1または2記載の製造方法で製造されたコネクティングロッドを用いたことを特徴とする両側リクライニング機構。
【発明の効果】
【0013】
請求項1−3に係る発明によれば、少なくとも一方の端部には、先端側から前記回転伝達部の径より径が小さな径の小径円柱部と、該小径円柱部に連設され、径が漸次的に大きくなるテーパ部と、該テーパ部に連設された前記回転伝達部と、が形成されている。回転伝達部にダレがなくなるまで、切削加工により小径円柱部、テーパ部を形成することで、相手部材の穴に対する挿入性が良好となる。更に、挿入性が良好となることにより、回転伝達部と相手部材との隙間を小さくできるので、振動や騒音も発生しなくなる。また、テーパ部は、相手側部材の穴に挿入する際のガイドとなる。
【0014】
更に、小径円柱部は、回転伝達部に悪影響を与えることなく、切断できる。また、小径円柱部をプレス加工して抜け止めとしても利用できる。
【0015】
回転伝達部としては、ロッドの周面に形成されたスプラインやセレーションがある。また、断面形状を楕円形、多角形等に形成したものもある。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、他方の端部に、先端側から前記回転伝達部が挿入される穴の開口周縁に当接可能な抜け止め部を形成したことにより、コネクティングロッドの挿入方向の抜け止めとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態のコネクティングロッドの側面図である。
図2図2図1のA方向矢視図である。
図3図1の小径円柱部とテーパ部の形成方法を説明する図である。
図4】一方の側のリクライニング装置の縦断面図である。
図5図4に示すリクライニング装置をアッパアームとロアアームを除いて示した左側面図である。
図6図4に示すリクライニング装置の主要部の分解斜視図である。
図7】従来のコネクティングロッドの端部を説明する図である。
図8】従来のコネクティングロッドの端部を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に、図4図6を用いて、本実施形態のコネクティングロッドを用いた両側リクライング装置を説明する。図4は一方の側のリクライニング装置の縦断面図、図5図4に示すリクライニング装置をアッパアームとロアアームを除いて示した左側面図、図6図4に示すリクライニング装置の主要部の分解斜視図である。
【0019】
図4に一部断面を示すロアアーム10は、シートクッションのフレーム(図示せず)にボルト等により固定される。このロアアーム10における、シートバックの傾動中心位置(シートバックの傾動中心軸と交差する部位)の周囲には、6個(図4にはこのうち2個が表れている)の嵌合穴11が同一円周上に位置するよう穿設されている。
【0020】
アッパアーム20は、シートバックのフレーム(図示せず)にボルト等により固定される。このアッパアーム20における、シートバックの傾動中心位置(シートバックの傾動中心軸と交差する部位)の周囲には、6個(図4にはこのうち2個が表れている)の嵌合穴21が同一円周上に位置するように穿設されている。
【0021】
歯車機構30は、ロアアーム10とアッパアーム20との間に装着され、アッパアーム20の傾斜角を調整するもので、この歯車機構30内の外歯歯車31と内歯歯車32に、ロアアーム10の嵌合穴11とアッパアーム20の嵌合穴21とに嵌合する複数の固定突起31a、32aが設けられている。
【0022】
外歯歯車31は、図4図6に示すように略円板状をしており、外周面には外歯31bが形成され、中央には、円筒部31cが形成されている。円筒部31cの周囲には環状の凹部31dが形成されている。この外歯歯車31は、側面に形成された6個の固定突起31aをロアアーム10の嵌合穴11に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、ロアアーム10に溶接される。
【0023】
内歯歯車32も、図4図6に示すように略円板状をしている。内歯歯車32には、外歯歯車31の外歯31bよりも歯数が少なくとも一つ多く形成された、外歯31bと内接する内歯32bが刻設されている。又、内歯歯車32の中央には、円形の貫通穴(円形穴)32cが穿設されている。貫通穴32cは、円筒リブ状部32fの内側に形成されており、円筒リブ状部32fと内歯32bの間の領域には環状の凹部32dが形成されている。内歯歯車32は、側面の6個の固定突起32aをアッパアーム20の嵌合穴21に嵌入することで位置決めがなされ、この位置決め後、アッパアーム20に溶接される。
【0024】
外歯歯車31の円筒部31cには、図6に示す回転シャフト(楔解除部材)33の円筒軸部33aが回転自在に嵌入されている。回転シャフト33は、この円筒部31cの内筒面の中心を回転軸として正逆に回転される。回転シャフト33は、円筒軸部33aの先端に円板状のフランジ部33bを有し、このフランジ部33bから回転軸(円筒軸部33aの軸線)を中心とする外径方向に突出する扇形のストライカ部33cを有している。円筒軸部33aの内筒面には、連結用のセレーション33dが形成されている。
【0025】
内歯歯車32の貫通穴32cには、耐摩耗性に優れた円筒形のブッシュ34が嵌め込まれ、固定されている。更に、外歯歯車31の円筒部31cの外筒面により構成される内筒ガイド面S1と、ブッシュ34の内筒面により構成される外筒ガイド面S2との間には、両ガイド面S1、S2に対して摺動可能に接触するように、一対の楔状部材35、36が挿入されている。
【0026】
楔状部材35、36は面対称の形状を有するもので、図6を参照して、楔状部材35の構造を説明する。楔状部材35は、内筒ガイド面S1と径サイズ及び曲率を略同一とした円筒面からなる内筒面35aと、外筒ガイド面S2と径サイズ及び曲率を略同一とした円筒面からなる外筒面35bとを有している。楔状部材35の内筒面35aと外筒面35bは、その中心軸が一致しておらず、これによって楔状部材35の肉厚が楔状に変化している。以下の説明では、楔状部材35において、内筒面35aと外筒面35bを結ぶ幅方向の肉厚が大きくなっている側の周方向端部を厚肉端部と呼び、幅方向の肉厚が小さくなっている側の周方向端部を薄肉端部と呼ぶ。
【0027】
楔状部材35と対称をなす楔状部材36も同様の構造を有している。すなわち、楔状部材36の内筒面36aと外筒面36bは、それぞれ外歯歯車31側の内筒ガイド面S1と、ブッシュ34(内歯歯車32側)の外筒ガイド面S2と略同一の径サイズ及び曲率を有しており、かつ互いの中心軸が一致しておらず、楔状部材36の肉厚が楔状に変化している。
【0028】
楔状部材35、36は、互いの厚肉端部が対向するようにして、外歯歯車31側の内筒ガイド面S1とブッシュ34側(内歯歯車32側)の外筒ガイド面S2の間に挿入される。この挿入状態において、楔状部材35、36の内筒面35a、36aはそれぞれ内筒ガイド面S1に対して摺動可能に接触し、楔状部材35、36の外筒面35b、36bはそれぞれ外筒ガイド面S2に対して摺動可能に接触する。
【0029】
楔状部材35、36は、弾性部材としてのスプリング(付勢手段)37から互いに離反する方向の付勢力を受けている。
【0030】
以上の楔状部材35、36は、外歯歯車31に対して内歯歯車32を偏心させ、外歯31bに内歯32bを噛合させるものである。楔状部材35、36において内筒面35a、36aと外筒面35b、36bの互いの中心軸が一致していないことにより、内筒ガイド面S1を有する側の外歯歯車31に対して、外筒ガイド面S2を有する側の内歯歯車32が偏心して位置され、該偏心状態で外歯31bに内歯32bが噛合される。そして、この楔状部材35、36を介して、回転シャフト33は、円筒部31cに対して貫通穴32c(ブッシュ34)を偏心運動させながら外歯31bと内歯32bの噛合位置を変化させるように、外歯歯車31と内歯歯車32を相対運動させることができる。
【0031】
円筒状の押さえ部材38は、内歯歯車32の外周面に嵌合しており、かつ、その両端部は中心軸側に突出され、外歯歯車31と内歯歯車32を挟んでいる(図4参照)。これにより、外歯歯車31と内歯歯車32とが軸方向に離れることを規制できる。なお、回転シャフト33の先端部には、環状溝33eが切られ、ここに抜け止めリング39が係止されている。
【0032】
このリクライニング装置は、各シートの両側に対称形に一対が配置され、その左右の回転シャフト33は、円筒軸部33aのセレーション33dの間に挿入固定したコネクティングロッド13(図4)を介して連結されている。このコネクティングロッド13は周面全域にセレーション13aが形成されている。よって、周面全域に形成されたセレーション13aのうち、回転シャフト33の円筒軸部33aのセレーション33dと嵌合する部分は、コネクティングロッド13の回転伝達部Tとして機能する。
【0033】
そして、コネクティングロッド13及び回転シャフト33は、シートバックの傾斜角の調整時に回転駆動される。
【0034】
以上のリクライニング装置は、コネクティングロッド13(回転シャフト33)に外部から回転操作力を加えない状態では、スプリング37は、楔状部材35、36を離反する方向に付勢し、両楔状部材35、36に楔を打ち込む方向の力を与えている。このため、内歯歯車32と回転シャフト33との相対運動は禁止され、歯車機構30はロック状態にあり、シートバックはその位置にロックされている。
【0035】
このロック状態において、回転シャフト33を例えば図5における反時計方向に回すと、回転シャフト33の押圧面33c1が楔状部材35のストライカ当接面35gに当て付いて、楔状部材35を隙間から引き抜く方向の力が付与され、回転シャフト33及び楔状部材35は、内歯歯車32に対して反時計方向に回転する。この結果、楔状部材35と周辺部材との間に隙間が発生し、内歯歯車32が移動可能になる。すると、スプリング37の付勢力を受けている楔状部材36がこの隙間を埋めるべく、反時計方向に回転する。
【0036】
この連動動作により、楔状部材35、36は回転シャフト33と共に反時計方向に回転することになる。時計方向の回転についても同様に、回転シャフト33の押圧面33c2が楔状部材36のストライカ当接面36gに当て付き、楔状部材36を隙間から引き抜く方向の力が付与されることによって、楔状部材36、35が回転シャフト33と共に時計方向に回転される。よって、内歯歯車32は、内歯32bが外歯31bに噛み合う偏心位置で回転シャフト33に支持されることになり、外歯歯車31、内歯歯車32及び回転シャフト33は、歯車機構を構成していることになる。このように、回転シャフト33を回転させることにより、歯車機構30がロック状態からアンロック状態になり、外歯歯車31に対して内歯歯車32が偏心運動しながら外歯31bと内歯32bの噛合位置を変化させる。その結果、アッパアーム20をロアアーム10に対して傾動させ、シートバックの傾斜角を調整することができる。
【0037】
ここで、コネクティングロッド13を図1図3を用いて詳細に説明する。図1は実施の形態のコネクティングロッドの側面図、図2図1のA方向矢視図、図3図1の小径円柱部とテーパ部の形成方法を説明する図である。
【0038】
本実施形態のコネクティングロッド13は、周面全域に押出成形によりセレーションが形成された長尺の棒材を所定長に切断したものを用いている。本実施形態の切断は、加工コストが安い可動刃と固定刃とによるせん断加工で行った。
【0039】
コネクティングロッド13の一方の端部(図4に示す側)には、先端側から回転伝達部Tの径より小さな径の小径円柱部101と、小径円柱部101に連設され、径が漸次的に大きくなるテーパ部103と、テーパ部103に連設された回転伝達部Tとが形成されている。
【0040】
このような構成のコネクティングロッド13は、図3に示すように、所定長に切断され、周面全域にセレーション105が形成された棒材107を棒材107の中心軸Oを中心に矢印C方向に回転させ、バイト106を棒材107の切断面107aから矢印D方向に移動させることで、棒材107の先端部に、切削加工により小径円柱部101とテーパ部103とを形成することができる。この場合、切断面近傍の周面、即ち、回転伝達部Tとなる部分に、ダレがなくなるまで小径円柱部101とテーパ部103とを形成する。
【0041】
図1に戻って、コネクティングロッド13の他方の端部側には、先端側から、回転伝達部が挿入される穴である回転シャフト33の円筒軸部33aの内筒部の開口33g周縁に当接可能な抜け止め部111と、抜け止め部111に連設され、先端から離れるに従って径が漸次的に大きくなるテーパ部113と、テーパ部113に連設された回転伝達部Tとが形成されている。本実施形態例では、抜け止め部111は、小径円柱部をプレス加工して形成した。
【0042】
更に、本実施形態例ではコネクティングロッド13の一方の端部側の小径円筒部101には、溝101aが形成されている。
【0043】
そして、本実施形態のコネクティングロッド13は、小径円柱部101を先頭とし、他方の側のリクライニング装置の回転シャフト33の円筒軸部33aの内筒部から矢印A方向に挿入され、一方の側のリクライニング装置の回転シャフト33の円筒軸部33aの内筒部に挿入される。そして、小径円筒部101の溝101aに抜け止め用のリング121が取り付けられる。
【0044】
上記構成のコネクティングロッド13によれば、以下のような効果が得られる。
【0045】
(1) コネクティングロッド13の一方の端部に、先端側から回転伝達部Tの径より小さな径の小径円柱部101と、小径円柱部101に連設され、径が漸次的に大きくなるテーパ部103と、テーパ部103に連設された回転伝達部Tとが形成されていることにより、回転端部Tにダレがなくなるまで、切削加工により小径円柱部101、テーパ部103を形成することで、相手部材の穴である回転シャフト33の円筒軸部33aの内筒部に対する挿入性が良好となる。
【0046】
更に、挿入性が良好となることにより、コネクティングロッド13のセレーション13a(回転伝達部T)と回転シャフト33の円筒軸部33aの内筒部のセレーション33dとの隙間を小さくできるので、振動や騒音も発生しなくなる。
【0047】
(2) テーパ部103は、相手側部材の穴である回転シャフト33の円筒軸部33aの内筒部に挿入する際のガイドとなる。
【0048】
(3) コネクティングロッド13の小径円柱部101は、回転伝達部Tに悪影響を与えることなく、切断できる。
【0049】
(4) コネクティングロッド13の他方の端部に、回転伝達部が挿入される穴である回転シャフト33の円筒軸部33aの内筒部の開口33gの周縁に当接可能な抜け止め部111を形成したことにより、コネクティングロッド13の挿入方向(図1の矢印A方向)の抜け止めとなる。
【0050】
(5) 抜け止め部111は、小径円柱部101をプレス加工して形成されたことにより、例えば、小径円柱部101の周面に溝を形成し、この溝に嵌合する抜け止め用のリングを設ける等の抜け止め手段を設ける構成より低コストである。
【0051】
(6) 図8に示すダレを完全になくすような面取を行って、端部に先端が尖った円錐状となるテーパ部を形成する場合に比べ、本実施の形態では、端部に小径円柱部が形成されるので、安全である。また、図8に示す円錐状のテーパ部を形成するのに比べ、本実施の形態では切削量が少なくて済むので、加工コストが安く、バイトの刃の寿命も長くなる。
【0052】
尚、本発明は上記実施の形態に限定するものではない。上記実施の形態のコネクティングロッド13のセレーション13aは、コネクティングロッド13の周面全域に形成したが、両端部のみセレーションを形成してもよい。
【0053】
更に、回転伝達部Tは、セレーションに限定するものではない。他に、断面形状が非円形であればよい。例えば、周面にスプラインを形成してもよいし、断面形状を楕円や、多角形にしてもよい。
【0054】
また更に、コネクティングロッド13の一方の端部側の小径円筒部101に形成され、抜け止め用のリングが嵌合する溝101aはなくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
13 コネクティングロッド
101 小径円柱部
103 テーパ部
T 回転伝達部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8