(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
図1、
図2に示すように、挿入用撮像装置10は、撮像部12と、照明部14と、画像データ生成部16とを備えている。
撮像部12は挿入用撮像装置10の先端に配置され、その後方に空間部18が確保され、照明部14は空間部18の後方に配置されている。それら撮像部12と照明部14とは、挿入用撮像装置10を小径な孔などに挿入し易いように、同一軸心上で直線状に並べられている。
【0009】
撮像部12は、撮像部用フレーム22と、撮像光学系24と、撮像素子26と、撮像部用カバー28とを含んで構成されている。
撮像部用フレーム22は、金属や合成樹脂などの剛性を有する材料で形成され、円板状を呈している。
撮像光学系24はその光軸が照明部14に向けられて、照明部14に対向する撮像部用フレーム22の後面に取着されている。なお、本実施の形態では、撮像部12の軸心と撮像光学系24の光軸とは合致している。
撮像光学系24は、空間部18を介して(空間部18を通して)照明部14の周囲の箇所を撮像可能に構成されている。
より詳細には、撮像光学系24には、例えば、魚眼レンズが用いられ、光軸を中心とする360度の範囲が撮像可能に構成されている。
【0010】
言い換えると、撮像光学系24は、
図6に示すように、180度の画角を有し、撮像光学系24の光軸を中心とする360度の範囲を撮像可能で、かつ、光軸を含む平面内で光軸を中心として180度の範囲で撮像が可能に構成されている。したがって、撮像光学系24は光軸を中心とする半球状の範囲を撮像できるように構成されている。
なお、このような撮像光学系24は、魚眼レンズのような超広角レンズを用いた構成に限定されるものではなく、複数のレンズ、ミラー、あるいは、プリズムを用いて構成するなど従来公知のさまざまな構成が使用可能である。
撮像素子26は、撮像光学系24によって捉えられた被写体像を撮像するもので、撮像部用フレーム22の前面または後面に取着されている。このような撮像素子26として、CCD、C−MOSセンサなど従来公知のさまざまな撮像素子26が使用可能である。
【0011】
画像データ生成部16は、撮像部用フレーム22の前面に取着されている。
画像データ生成部16は、撮像部12から供給される撮像信号に基づいて画像データを生成するものである。
画像データ生成部16は、撮像素子26から供給される撮像信号に基づいて画像データを生成するものである。
本実施の形態では、撮像光学系24が超広角レンズを用いているため、撮像素子26によって撮像される画像は歪曲した画像となっている。
したがって、画像データ生成部16は、撮像素子26から供給される撮像信号に基づいて生成した画像データに対して従来公知の画像処理を施すことにより、歪曲した画像を平面に展開された画像に変換する変換処理を行う。すなわち、被写体を肉眼で見たときに近い自然な画像データを生成する。
画像データ生成部16は、電源ケーブル1602および画像データ生成部16で生成された画像データを外部装置に供給する信号ケーブル1604とを有している。
【0012】
撮像部用カバー28は、金属や合成樹脂などの剛性を有する材料で形成され、先部が塞がれた円筒状を呈している。
撮像部用カバー28は、撮像部用フレーム22の前面を覆うように撮像部用フレーム22に着脱可能に被せられ、撮像素子26や画像データ生成部16を覆い保護している。
【0013】
照明部14は、この照明部14の周囲を照明するように構成され、より詳細には、照明部14の周囲およびその周囲の上方箇所から下方箇所にわたって照明するように構成されている。
照明部14は、周囲の箇所のより広い範囲をより明るく照明できるように、挿入用撮像装置10の軸心に沿った長さを有し、言い換えると、撮像部12と照明部14とが並べられた方向に沿った長さを有し、細長形状を呈している。
照明部14は、照明用光源30と、照明用光源30を支持する照明部用フレーム32と、照明用光源30を覆う照明部用カバー34とを含んで構成されている。
照明部用フレーム32は、撮像部12側に位置する前部フレーム32Aと、この前部フレーム32Aに対向する後部フレーム32Bとを有している。
照明用光源30は、複数の発光ダイオードが挿入用撮像装置10の軸心に平行して直線状に並べられ前部フレーム32Aと後部フレーム32Bとの間に延在し軸心の周囲に間隔をおいて配置された複数の発光ダイオード列3002で構成されている。
このような発光ダイオード列3002として、本実施の形態では、複数の発光ダイオード3002Aと、それら発光ダイオード3002Aが直線状に並べられて取着される取り付けフレーム3002Bとからなる市販品を用いており、このような市販品が3本用いられている。
【0014】
前部フレーム32Aは、撮像部12側が閉塞された円筒状を呈し、後部フレーム32Bは前部フレーム32A側と反対側が閉塞された円筒状を呈している。
図7に示すように、撮像光学系24に対向する前部フレーム32Aの端面32Aー1は、該端面32Aー1での反射光が撮像光学系24に導かれることがなく撮像素子26により明瞭な被写体像を撮像できるように、黒色塗装など光の反射を抑えるための処理がなされている。
3本の発光ダイオード列3002は、それらの長さ方向の両端が前部フレーム32Aと後部フレーム32Bの内部に収容され、周方向に等間隔をおいて配置されている。
照明部用カバー34は円筒状を呈し、その長手方向の両端が前部フレーム32Aと後部フレーム32Bに連結され、3本の発光ダイオード列3002を覆うように配置され、これにより照明部14は円柱状を呈している。
照明部用カバー34は、光の透過を可能とした材料で、かつ、光を拡散させ、破損しにくい合成樹脂材料で形成されている。
なお、撮像部用カバー28と照明部用カバー34とは、同一の直径で形成されている。
【0015】
撮像部用フレーム22と照明部用フレーム32とは、撮像光学系24の周囲で挿入用撮像装置10の軸心に平行して延在する複数のロッド36で連結されている。ロッド36は、撮像光学系24による撮像に支障を来たさないように、断面に比べて長さが極めて大きい細長形状の部材である。なお、ロッド36は複数本設けずに単一としてもよい。
空間部18は、それら複数のロッド36により撮像部用フレーム22と照明部用フレーム32との間に形成されている。
本実施の形態では、ロッド36は2本設けられ、撮像光学系24の周囲に180度の間隔で配置されている。
ロッド36は、照明部14の周囲の箇所を撮像しやすいように、撮像部12を保持するに足る剛性が確保された必要最小限の断面積で形成されている。
図1、
図7に示すように、ロッド36の表面は、該ロッド36の表面での反射光が撮像光学系24に導かれることがなく撮像素子26により明瞭な被写体像を撮像できるように、黒色塗装など光の反射を抑えるための処理がなされている。
画像データ生成部16の電源ケーブル1602、信号ケーブル1604は、ロッド36に沿わせて配置され、照明部用フレーム32の内部に挿通されている。
ロッド36に沿わせて配置された電源ケーブル1602、信号ケーブル1604の表面も、黒色塗装など光の反射を抑えるための処理がなされ、あるいは、黒色など光の反射を抑える色を有する材料で形成されている。
【0016】
照明部用フレーム32の後部フレーム32Bには、挿入用撮像装置10を狭い空間に挿入していくための挿入用部材38の連結部40が設けられている。
挿入用部材38としては従来公知の様々な細長形状かつ中空形状のものが使用可能であるが、本実施の形態では、両端に雄ねじ部3802が設けられた鋼管3804が用いられている。
そして、連結部40は、雄ねじ部3802に螺合可能なナット部材4002と、このナット部材4002を回転可能に支持する筒部4004とを含んで構成されている。
連結部40と挿入用部材38との連結は、ナット部材4002を雄ねじ部3802に螺合し、締結することで行なわれる。
連結部40と挿入用部材38とが連結されると、挿入用撮像装置10と挿入用部材38とは同軸上で直線状に延在する。
なお、
図4に示すように、挿入用部材38どうしの連結はナット部材3806を用いて行なわれ、電源ケーブル1602、信号ケーブル1604、照明用光源30の電源ケーブル3002は、それら挿入用部材38の内部を通って外部装置に接続される。
【0017】
次に、
図3乃至
図7を参照して、中空状の鉄筋コンクリート製の柱50の破壊試験を行なう際に、柱50に圧縮荷重をかけ、ひび割れを含むコンクリートの性状を内部から観察する場合について説明する。
まず、
図3に示すように、柱50の下方の部屋52から、柱50の内部空間5002に向けて削孔機により基礎コンクリート54、柱50のコンクリート基部55を貫通させて孔56を掘削する。
次に、連結部40に挿入用部材38を連結し、下方から孔56に撮像部12、照明部14を挿入し、すなわち、挿入用撮像装置10を挿入し、上昇させていく。
そして、挿入用部材38の下端が孔56の下方に位置したならば、ナット部材3806により次の挿入用部材38を連結し、挿入用撮像装置10を上昇させ、内部空間5002に位置させる。
挿入用撮像装置10が内部空間5002に位置したならば、
図5(A)、(B)に示すように、挿入用部材38の下端にゴム足58を装着し、このゴム足58を、カメラ用三脚60の上端の筒部62に装着し、挿入用撮像装置10を安定した状態で支持する。
図4、
図6、
図7に示すように、挿入用撮像装置10が内部空間5002に位置したならば、照明用光源30を点灯し、撮像光学系24を介して撮像素子26により、照明部14の周囲に位置する内壁5004を撮像し、外部装置であるパソコン64のモニタ6402により観察する。
なお、
図4において、符号66は商用電源に接続された電工ドラムを示し、
図6、
図7において符号5006は内部空間5002の下部を仕切る下壁を示す。
【0018】
本実施の形態によれば、挿入用撮像装置10の孔56への挿入時に、撮像光学系24が進行方向の後方に向けられているため、撮像光学系24が、コンクリートからなる凹凸の孔56の内壁に当たって破損する虞がない。したがって、破損させずに孔56を通過させ、挿入用撮像装置10を確実に内部空間5002に到達させることができる。
また、撮像光学系24の前方に空間部18が確保されているので、照明部14で照明された照明部14の周囲の箇所を、より詳細には、照明部14の周囲で照明部14の下方から上方にわたる周囲の箇所を、確実に撮像することができる。
この場合、本実施の形態のように、撮像光学系24として画角が180度で光軸を中心とする360度の範囲が撮像可能な魚眼レンズを用いると、撮像部12の先端が内部空間5002の天井壁の下方に位置した状態でも、内壁5004の上端の撮像が可能となり、したがって、内壁5004をその下端から上端まで、また、下壁5006も撮像可能となる。
【0019】
また、撮像部12と照明部14とは、断面積が小さいロッド36により連結されているので、
図7に示すように、内壁50004の画像を遮るロッド36の面積は小さく、広範囲の壁面を撮像する上で有利となる。
また、撮像部用カバー28により画像データ生成部16が保護されているため、挿入用撮像装置10の孔56への挿入時に、画像データ生成部16が、コンクリートからなる凹凸の孔56の内壁に当たって破損する虞がない。したがって、破損させずに孔56を通過させ、挿入用撮像装置10を確実に内部空間5002に到達させる上で有利となる。
また、照明用光源30は、照明部用カバー34で覆われているので、挿入用撮像装置10の孔56への挿入時に、照明用光源30が、コンクリートからなる凹凸の孔56の内壁に当たって破損する虞がなく、破損させずに孔56を通過させることができる。
また、照明部用カバー34は光を拡散する部材から形成され、照明用光源30からの光は照明部用カバー34により拡散され、照明部14の周囲全周にほぼ均等に照射されるため、内壁5004を明瞭に撮像する上で有利となる。
【0020】
また、
図7に示すように、ロッド36の表面と撮像部12に対向する照明部用フレーム32の箇所(端面32Aー1)は、光の反射を抑えるための処理が施されているため、照明用光源30からの光がそれらの箇所で反射された反射光が撮像光学系24に入射することがなく、内壁5004を明瞭に撮像する上で有利となる。
また、電源ケーブル1602、信号ケーブル1604は、ロッド36に沿わせて配置されているため、
図7に示すように、内壁5004の画像を遮るケーブル1602、1604の面積を小さくでき、広範囲の内壁5004を撮像する上で有利となっている。
また、ロッド36に沿わせたそれらケーブル1602、1604の表面は、光の反射を抑えるための処理が施されているので、照明用光源30からの光がそれらの箇所で反射された反射光が撮像光学系24に入射することがなく、内壁5004を明瞭に撮像する上で有利となる。
【0021】
また、照明部14は、挿入用撮像装置10の軸心に沿った長さを有しているので、周囲の箇所のより広い範囲をより明るく照明でき、内壁5004を明瞭に撮像する上で有利となる。
また、撮像部12の反対側に位置する照明部14の端部に、細長形状の挿入用部材38が着脱可能に連結される連結部40が設けられているので、挿入用撮像装置10を長い孔56に挿入する挿入作業を簡単に行なう上で有利となる。
【0022】
挿入用撮像装置10の用途は、前記の実施の形態の用途に限定されず、例えば、様々な狭い空間の内部を撮像する場合など、その他の用途に広く適用される。
また、挿入用撮像装置10を下方に垂らして使用する場合には、挿入用部材38として可撓可能なワイヤなども使用可能となる。