特許第5662096号(P5662096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5662096-防音継手管 図000003
  • 特許5662096-防音継手管 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662096
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】防音継手管
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/02 20060101AFI20150108BHJP
【FI】
   F16L55/02
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-220730(P2010-220730)
(22)【出願日】2010年9月30日
(65)【公開番号】特開2012-77766(P2012-77766A)
(43)【公開日】2012年4月19日
【審査請求日】2013年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106771
【氏名又は名称】シーシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直嗣
(72)【発明者】
【氏名】東福 麻央
(72)【発明者】
【氏名】後藤 快嗣
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第00/60272(WO,A1)
【文献】 特開2001−214996(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1584460(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲管部と、連結部とを有する継手管本体と、吸音層及び遮音層から構成され、前記継手管本体の外周に配置される防音層とを備える防音継手管であって、
前記連結部に位置する吸音層の厚みは、前記曲管部に位置する吸音層よりも薄く構成され、前記吸音層は、前記曲管部のみに設けられる内周吸音層と、前記曲管部から前記連結部にわたって設けられる外周吸音層とを備えていることを特徴とする防音継手管。
【請求項2】
前記曲管部に位置する吸音層の厚みは、5〜30mmの範囲であり、かつ、前記連結部に位置する吸音層の厚みは、前記曲管部に位置する吸音層の厚みを100としたとき、20〜60%となる厚みであることを特徴とする請求項1に記載の防音継手管。
【請求項3】
前記防音層は、前記吸音層が前記遮音層により挟み込まれてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防音継手管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音層を継手管本体の外周に備える防音継手管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管体の外周から順に吸音層及び遮音層を配置した防音管体が知られている。この防音管体では、吸音層及び遮音層が積層された防音構造により、管体内を流通する流体により発生する音が漏れることを抑制する防音効果が得られるようになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−308071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、曲管部を有する防音継手管では、内部を通じる流体の流動方向が変化するため、配管構造において防音継手管の部位では、騒音が発生し易くなる。防音継手管の部位における防音効果を高めるには、吸音材の厚みを増大させることが有効である。ところが、吸音材の厚みを増大させるに伴って、防音継手管の外径が大きくなる。これにより、防音継手管に連結される防音管の外周面と、防音継手管の外周面との段差が大きくなる。このような段差が生じると、例えば配管施工時に他の部材が段差に引っ掛かり易くなったり、段差を覆うようにジョイントテープを巻装する際に、巻き難くなったりするおそれがある。このように防音継手管では、防音効果を高めることにより、連結作業が煩雑になるおそれがある。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、防音性能を高めるとともに、連結作業を円滑に行うことのできる防音継手管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の防音継手管は、曲管部と、連結部とを有する継手管本体と、吸音層及び遮音層から構成され、前記継手管本体の外周に配置される防音層とを備える防音継手管であって、前記連結部に位置する吸音層の厚みは、前記曲管部に位置する吸音層よりも薄く構成され、前記吸音層は、前記曲管部のみに設けられる内周吸音層と、前記曲管部から前記連結部にわたって設けられる外周吸音層とを備えていることを要旨とする。
【0007】
本発明は、継手管本体の連結部が直線状をなすため、曲管部に比して騒音が発生し難いという仮説の下、曲管部に位置する吸音層の厚みに対して、連結部の吸音層の厚みを薄くしても、防音性能は維持されることを見出すことでなされたものである。この発明では、連結部に位置する吸音層の厚みは、曲管部に位置する吸音層よりも薄く構成している。すなわち、曲管部に位置する吸音層を厚くすることで防音継手管の防音性能を高め、かつ、連結部では防音層を含む外径を小さくすることが可能となる。
【0008】
また、曲管部に位置する吸音層の厚みと連結部に位置する吸音層の厚みとを上記のように調整することが容易となる。
請求項2に記載されるように、前記曲管部に位置する吸音層の厚みは、5〜30mmの範囲であり、かつ、前記連結部に位置する吸音層の厚みは、前記曲管部に位置する吸音層の厚みを100としたとき、20〜60%となる厚みであることが好ましい。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の防音継手管において、前記防音層は、前記吸音層が前記遮音層により挟み込まれてなることを要旨とする。
この構成によれば、防音継手管の防音性能を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防音性能を高めるとともに、連結作業を円滑に行うことのできる防音継手管が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における防音継手管を防音直管に連結した状態を示す断面図。
図2】騒音レベルの測定環境を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示されるように、防音継手管11は、継手管本体12と、その外周に配置される防音層13とを備えて構成されている。
【0013】
継手管本体12は、曲管部12aと連結部12bとを有してなり、連結部12bは、防音直管31が連結されるように構成されている。継手管本体12は、各種硬質材料や軟質材料から形成されるとともに、その内部を流体が流通する筒状をなしている。継手管本体12を形成する材料としては、特に限定されず、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂材料が挙げられる。継手管本体12の具体例としては、例えば、JIS K 6739(2007)に記載されている。本実施形態の継手管本体12は、「90°大曲がりエルボ(LL)」である。
【0014】
曲管部12aは、例えば45°又は90°の角度(本実施形態では90°の角度)で湾曲する部位である。この曲管部12aの両端には、連結部12bが設けられている。これら連結部12bの外径は、曲管部12aの外径よりも大きく形成されるとともに、防音直管31を構成する直管本体32が挿入される内径を有している。連結部12bには、直管本体32が挿入及び接着されることで、直管本体32、継手管本体12、及び直管本体32の順に連続した配管が構成される。
【0015】
防音層13は、内周遮音層14、吸音層15、及び外周遮音層16から構成され、この順に継手管本体12の外周面から配置されている。
本実施形態の防音層13は、内周遮音層14及び外周遮音層16により吸音層15が挟み込まれた構成である。この構成により、例えば外周遮音層16及び吸音層15からなる防音層13よりも、防音効果を高めることが容易となる。
【0016】
内周遮音層14及び外周遮音層16は、遮音性能を高めるという観点から、例えば1.5以上の比重を有していることが好ましい。内周遮音層14及び外周遮音層16の面密度の合計は、1.5〜25kg/mの範囲であることが好ましい。この面密度の合計が1.5kg/m以上であることで、優れた防音効果が得られ易くなる。一方、面密度の合計が25kg/m以下であることで、内周遮音層14及び外周遮音層16を継手管本体12に装着する際の作業性が確保され易くなる。
【0017】
内周遮音層14及び外周遮音層16を構成する遮音材としては、高分子材料に充填材を含有させた材料が好適である。高分子材料としては、例えば合成樹脂、エラストマー、及びゴムから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。合成樹脂としては、例えばオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。エラストマーとしては、例えばオレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー等が挙げられる。ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム等が挙げられる。高分子材料の中でも、遮音材に可撓性が付与されることで、継手管本体12の外周に沿った形状に変形することが容易であるという観点から、少なくともエラストマー又はゴムを含むことが好ましい。充填材としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化チタン、バライト、鉄粉、酸化亜鉛、グラファイト等が挙げられる。遮音材には、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、粘着剤等の添加剤を含有させることもできる。
【0018】
吸音層15は、曲管部12aのみに設けられる内周吸音層15aと、曲管部12aから連結部12bにわたって設けられる外周吸音層15bとから構成されている。すなわち、曲管部12aに位置する吸音層15は、内周吸音層15a及び外周吸音層15bを積層した構成であるとともに、連結部12bに位置する吸音層15は、外周吸音層15bのみから構成されている。こうした内周吸音層15a及び外周吸音層15bの配置により、連結部12bに位置する吸音層15の厚みは、曲管部12aに位置する吸音層15よりも薄く構成されている。
【0019】
連結部12bに位置する吸音層15、及び曲管部12aに位置する吸音層15の厚みは、所望される防音性能に応じて適宜設定される。連結部12bに位置する吸音層15の厚みは、曲管部12aに位置する吸音層15の厚みを100としたとき、20〜60%程度とされる。曲管部12aに位置する吸音層15の厚みは、例えば、5〜30mmの範囲に設定される。また、連結部12bに位置する防音層13の厚みは、曲管部12aに位置する防音層13の厚みを100としたとき、30〜70%程度とされる。
【0020】
内周吸音層15a及び外周吸音層15bは、所定の厚みを有する吸音材を継手管本体12の外周に巻き付けることで形成することができる。
吸音層15を形成する吸音材は、連続気泡体から構成される。連続気泡体としては、発泡樹脂材料、繊維系材料、これらの複合材料が挙げられる。発泡樹脂材料としては、例えばウレタン系発泡体、ポリオレフィン系発泡体等が挙げられる。繊維系材料としては、例えば各種不織布、グラスウール、ロックウール等が挙げられる。吸音材としては、加工が容易であるという観点から、発泡樹脂材料から形成されることが好ましい。発泡樹脂材料の発泡倍率は、吸音性能及び形状安定性を高めるという観点から、10〜50倍であることが好ましい。なお、吸音材の比重は、例えば0.01〜0.5の範囲であることが好ましく、0.02〜0.3の範囲であることがより好ましい。
【0021】
遮音材、及び吸音材は、接着剤、粘着剤、粘着テープ、シュリンクフィルム等の周知の保持手段により、継手管本体12の外周に保持させることができる。本実施形態の防音継手管11では、防音層13の外周にシュリンクフィルムが設けられている。
【0022】
本実施形態の防音継手管11は、次のように製造される。まず、遮音材を継手管本体12に巻き付けた後、粘着テープにより仮止めすることで内周遮音層14を形成する。次に、内周吸音層15aを形成するための吸音材を巻き付ける。そして、外周吸音層15bと外周遮音層16とを予め積層させた積層体を準備しておき、その積層体を巻き付けることで、内周吸音層15aを内周遮音層14との間に挟持させる。なお、積層体は、吸音材と遮音材とを接着又は粘着させることで形成される。続いて、積層体を粘着テープで仮止めした後、その外周をチューブ状のシュリンクフィルムで被覆する。次に、所定の温度まで加熱することで、シュリンクフィルムを収縮させて継手管本体12に各層を保持させる。
【0023】
なお、防音継手管11の製造方法は、上述した方法に限定されるものではなく、遮音材、及び吸音材をそれぞれ個別に巻き付けて、順次、保持手段により保持させてもよい。
次に、防音継手管11に連結される防音直管31、及び配管構造について説明する。
【0024】
防音直管31は、直管本体32と、その外周に配置される防音層33とを備えている。防音層33は、吸音層34及び遮音層35から構成されている。直管本体32は、防音層33が配置される本体部32aと、連結部12bに挿入される挿入部32bとから構成されている。挿入部32bは、防音層33が配置されずに外面が露出した構成となっている。この挿入部32bは、連結部12bに挿入されるとともに接着剤で接着されることで防音直管31は連結部12bに連結される。直管本体32を形成する材料は、上記の継手管本体12と同様のものが用いられる。直管本体32の具体例としては、例えば、JIS K 6741(2007)に記載されている。吸音層34を構成する吸音材、及び遮音層35を構成する遮音材の材質は、上記の吸音材及び遮音材の材質と同様のものを用いることができる。
【0025】
このような防音直管31では、防音継手管11の曲管部12aよりも流動が乱れ難いため、曲管部12aよりも騒音が発生し難い。従って、防音直管31の防音層33は、曲管部12aに配置される防音層13よりも、薄く構成することが可能である。防音直管31の防音層33の厚みは、曲管部12aに配置される防音層13の厚みを100としたとき、30〜70%程度とされる。
【0026】
ここで、防音継手管11では、曲管部12aに要求される防音性能に合わせて、防音継手管11の全体の防音材の厚みを設定した場合、連結部12bの防音層を含む外径は、本体部32aの防音層を含む外径に対して過剰に大きくなる。すなわち、配管構造において、防音直管31の外周面と、防音継手管11の外周面との段差が大きくなる。この点、本発明者らは、継手管本体12の連結部12bが直線状をなすため、曲管部12aに比して騒音が発生し難いという仮説の下、曲管部12aに位置する吸音層15の厚みに対して、連結部12bの吸音層の厚みを薄くしても、防音性能は維持されることを見出している。こうした知見から、本実施形態の防音継手管11では、連結部12bに位置する吸音層15の厚みは、曲管部12aに位置する吸音層15よりも薄く構成されている。すなわち、曲管部12aに位置する吸音層15を厚くすることで防音継手管11の防音性能を高め、かつ、連結部12bでは防音層13を含む外径を小さくすることができる。
【0027】
このような防音継手管11、及びそれを用いた配管構造は、例えば液体、気体等の流体の輸送に適用される。ここで、住宅の排水を輸送する排水管においては、その排水に伴う音により住宅の静寂性が著しく阻害されるおそれがある。この点、本実施形態の防音継手管11、及びそれを用いた配管構造では、そうした住宅の排水に伴う音漏れを抑制する住宅用として好適に用いることができる。
【0028】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)本実施形態の防音継手管11では、連結部12bに位置する吸音層15の厚みは、曲管部12aに位置する吸音層15よりも薄く構成されている。これにより、防音直管31の外周面と、防音継手管11の外周面との段差を小さくすることができる。このため、例えば、配管施工時に他の部材が段差に引っ掛かることを回避し易くなる。また、上記の段差が小さいことから防音直管31の防音層33と防音継手管11の防音層13との境界部位に、ジョイントテープTを巻き付ける作業が容易となる。一方、曲管部12aにおいては、所定の厚さの吸音層15が設けられることで、防音効果を高めることができる。従って、防音性能を高めるとともに、連結作業を円滑に行うことのできる防音継手管11が提供される。
【0029】
(2)曲管部12aに位置する吸音層15は、内周吸音層15aと外周吸音層15bとから構成されている。このため、曲管部12aに位置する吸音層15の厚みと、連結部12bに位置する吸音層15の厚みとを上記のように設定することが容易である。
【0030】
(3)防音層13は、吸音層15が内周遮音層14及び外周遮音層16により挟み込まれた構成とされている。この構成によれば、防音性能を高めることが容易となる。従って、吸音層15が過剰に厚くなることを回避しつつも、防音性能を高めることができるようになる。
【0031】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・前記曲管部12aに位置する吸音層15は、内周吸音層15a及び外周吸音層15bの二層から構成されているが、三層以上から構成されてもよい。また、連結部12bに位置する吸音層15は、複数層から構成されてもよい。
【0032】
・前記吸音層15を一層から構成することもできる。すなわち、連結部12bに位置する部位のみを薄く形成した吸音材を用いることで、連結部12bに位置する吸音層15の厚みを、曲管部12aに位置する吸音層15よりも薄く構成してもよい。
【0033】
・前記内周吸音層15a及び外周吸音層15bの材質(材料の種類、比重等)は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
・前記内周遮音層14、及び外周遮音層16の少なくとも一方を省略してもよい。この場合、所望の防音性能を得ることが容易であるという観点から、内周遮音層14を省略することが好ましい。
【0034】
・前記内周遮音層14、及び外周遮音層16の材質(材料の種類、比重等)は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
・防音直管31の防音層33の構成は、特に限定されず、吸音層34及び遮音層35の二層から構成してもよいし、吸音層又は遮音層を複数の層から構成してもよい。例えば、吸音層を遮音層で挟み込んだ三層の構成であってもよい。
【0035】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)最外層が、シュリンクフィルムから構成されている防音継手管。この構成によれば、防音層を継手管本体に保持させることができるとともに防音継手管の見栄えが良好になる。
【0036】
(ロ)本体管と、吸音層及び遮音層から構成され、本体管の外周に配置される防音層とを備える防音直管に前記防音継手管を連結した配管構造であって、前記防音直管の防音層の厚みは、前記防音継手管の曲管部に位置する防音層の厚みよりも薄く構成されている配管構造。
【0037】
(ハ)前記配管構造において、防音直管及び防音継手管の最外層がシュリンクフィルムから構成されている配管構造。この構成によれば、防音直管の外周面と、防音継手管の外周面との段差が小さくなり、かつシュリンクフィルムで覆われているため、見栄えの良い配管構造を提供することができる。
【実施例】
【0038】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を具体的に説明する。
実施例1では、内周吸音材を曲管部のみに設けた防音継手管を作製した。実施例2では、内周遮音材を省略した以外は、実施例1と同様に防音継手管を作製した。比較例1では、内周吸音材を連結部に設けた以外は、実施例1と同様に防音継手管を作製した。比較例2では、内周吸音材を連結部に設けた以外は、実施例2と同様に防音継手管を作製した。参考例1では、内周吸音材を設けずに構成した以外は、実施例1と同様に防音継手管を作製した。
【0039】
各例の遮音材及び吸音材の厚みを表1に示している。各例の防音継手管を用いて騒音レベルの測定を行った。図2には、測定環境の概略を示している。
この測定環境では、排水源となるトイレ51から排出部52まで配管が設けられている。配管は、防音直管53と防音継手管54とを接続することで構成されている。配管は、床、壁、及び天井で囲まれる居住空間の外側に沿って設けられている。
【0040】
トイレ51から排水を流したときの居住空間における騒音をマイクMで集音し、騒音レベルを騒音計(小野測器株式会社製、LA−5120)で測定する。なお、マイクMは、床からの距離A=1.3m、壁からの距離B=1mとなるように設置されている。
【0041】
各例の防音継手管の騒音レベルは、表1に示されるように、同じ防音層を有する防音直管に連結して測定した。騒音レベルの測定結果を表1に併記している。
【0042】
【表1】
表1に示されるように、実施例1の防音継手管は、比較例1の防音継手管と同等の騒音レベルであった。また、実施例2の防音継手管は、比較例2の防音継手管と同等の騒音レベルであった。この結果から、曲管部に位置する吸音層の厚みに対して、連結部の吸音層の厚みを薄くしても、防音性能は維持されることが分かる。
【0043】
ここで、実施例1の連結部における吸音材の厚みは、比較例1の連結部における吸音材の厚みよりも薄い。すなわち、実施例1の連結部における吸音層の厚みは、比較例1の連結部における吸音層の厚みよりも薄く構成されている。すなわち、実施例1の連結部における吸音層の厚みは、比較例1に比して防音直管の防音層の厚みに近づくため、実施例1の上記段差は、比較例1よりも小さくなる。同様に、実施例2においても、上記段差は、比較例2よりも小さくなる。なお、参考例1では、比較例1に対して吸音層の厚みが薄いため、比較例1よりも防音性能が劣っていることが分かる。
【符号の説明】
【0044】
11…防音継手管、12…継手管本体、12a…曲管部、12b…連結部、13…防音層、14…内周遮音層、15…吸音層、15a…内周吸音層、15b…外周吸音層、16…外周遮音層。
図1
図2