(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2シフトパターンの厚さT4は、前記ハーフシフトパターンの厚さT3または第1シフトパターンの厚さT3の1/2倍となることを特徴とする請求項1に記載の位相シフトフォトマスク製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、微細パターンの解像度を改善することができるように、遮光層を薄膜化したハーフトーン型位相シフトフォトマスクブランクとハーフトーン型位相シフトフォトマスク及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明のある観点によれば、本発明のフォトマスク製造方法は、透明基板上にシフト層、遮光層及び第1レジスト層が積層されたフォトマスクブランクを準備する工程と、前記第1レジスト層を現像して前記遮光層を露出させるパターン領域Pと前記遮光層を露出させないブラインド領域Bとを定義する第1レジストパターンを形成する工程と、前記第1レジストパターンをエッチングマスクとして前記遮光層をエッチングし、前記シフト層を選択的に露出させて遮光パターンを形成する工程と、前記第1レジストパターンを除去する工程と、前記遮光パターンをエッチングマスクとして前記露出したシフト層をエッチングし、前記透明基板の表面を露出させないハーフシフトパターンを形成する工程と、前記遮光パターン及び前記ハーフシフトパターン上に第2レジスト層を形成する工程と、前記第2レジスト層を現像して前記パターン領域が露出する第2レジストパターンを形成する工程と、前記第2レジストパターンをエッチングマスクにより前記遮光パターンを除去し、前記ハーフシフトパターンを露出する工程と、前記第2レジストパターンを除去する工程と、前記遮光パターンをエッチングマスクにより前記ハーフシフトパターンを部分エッチングしてブラインド領域Bの第1シフトパターンよりも厚さを薄くする第2シフトパターンを形成する工程と、を含む。
【0006】
前記ハーフシフトパターンを形成する工程は、前記ハーフシフトパターンによって定義されるハーフシフト開口において、エッチング対象物の前記シフト層がハーフエッチングされる工程を意味し、前記ハーフエッチングされることは前記シフト層が完全にはエッチングされないことを意味し、前記完全にエッチングされないことは前記透明基板が露出されないことを意味する。
【0007】
前記ハーフシフトパターンを形成する工程は、前記ハーフシフトパターンによって定義される前記ハーフシフト開口でエッチングせず、残留部分が第1シフトパターンの厚さT3と第2シフトパターンの厚さT4との差tの厚さ程度である。
【0008】
前記第2シフトパターンを形成する工程は、前記第2シフトパターンの厚さT4が、前記ハーフシフトパターンの厚さT3または第1シフトパターンの厚さT3よりも厚さtだけさらに薄くなる。
【0009】
前記第2シフトパターンを形成する工程は、前記第2シフトパターンによって定義される前記第2シフトパターン開口でエッチングせず、また残留部分が存在せず、前記透明基板が露出される。
【0010】
前記第2シフトパターンの厚さT4は、前記ハーフシフトパターンの厚さT3または第1シフトパターンの厚さT3の1/2倍である。
【0011】
本発明の別の観点によれば、本発明のフォトマスク製造方法は、透明基板の全面にシフト層を蒸着する工程と、前記シフト層全面に遮光層を蒸着する工程と、前記遮光層全面に第1レジスト層を塗布する工程と、前記第1レジスト層に第1露光及び現像工程により、ブラインド領域Bとパターン領域Pとに区分される第1レジストパターンを形成する工程と、前記第1レジストパターンをエッチングマスクとする前記遮光層のエッチング工程により遮光パターンを形成する工程と、前記第1レジストパターンを除去する工程と、前記遮光パターンをエッチングマスクとする前記シフト層のハーフエッチング工程によりハーフシフト開口を限定するハーフシフトパターンを形成する工程と、前記第2レジスト層を積層する工程と、前記第2レジスト層に第2露光及び現像工程に介して、前記パターン領域Pだけを全部オープンする第2レジストパターンを形成する工程と、前記第2レジストパターンをエッチングマスクとしてエッチング工程を行うことで、パターン領域Pの遮光パターンを除去する工程と、前記第2レジストパターンを除去する工程と、前記ブラインド領域Bの遮光パターンをエッチングマスクとして部分エッチング工程を行うことで、ブラインド領域Bの第1シフトパターンの厚さT3とパターン領域Pの第2シフトパターンの厚さT4がそれぞれ異なるように形成する工程と、を含む。
【0012】
前記ハーフシフトパターンを形成する工程においてエッチング終了時点は、ハーフエッチング工程によりリセスされるハーフシフト開口の深さDが第2シフトパターンの厚さT4と一致する時点(D=T4)あるいはリセスされて残留高さHがハーフシフトパターンの厚さT3と第2シフトパターンの厚さT4との差tの厚さと一致する時点(H=T3−T4=t)である。
【0013】
前記第2シフトパターンを形成する工程においてエッチング終了時点は、前記ハーフシフトパターンの厚さT3が厚さT4に減少して前記ハーフシフトパターンが第2シフトパターンとなり、前記ハーフシフト開口の厚さT3が完全に除去されて前記ハーフシフト開口が第2シフト開口となる。
【0014】
前記シフトパターンを形成する工程においてエッチング終了時点は、エッチング工程を行いながら形成するハーフシフト開口の底面において前記透明基板が露出される時点である。
【0015】
本発明のさらに別の観点によれば、本発明のフォトマスクブランクは、露光光に対して透過性を有する透明基板と、前記透明基板上に形成され、中央のパターン領域Pと周辺のブラインド領域Bとに区分され、前記ブラインド領域Bの厚さが前記パターン領域Pの厚さよりもさらに厚く、前記パターン領域Pを介して露光光を位相シフトするシフトパターン及び前記ブラインド領域Bのシフトパターン上に形成され、露光光に対して遮光性を有する遮光パターンとを含むことができる。
【0016】
前記パターン領域Pにおいて前記シフトパターンは、前記露光光に対して1〜30%の透過率を有し、前記シフトパターンと前記シフトパターンによって定義されるシフト開口との間で位相シフト効果のために前記露光光の位相差は180゜を維持し、前記ブラインド領域Bで前記シフトパターンは、遮光効果のために光学密度(OD)が2.5以上確保される。
【0017】
前記ブラインド領域Bのシフトパターンの厚さはパターン領域Pのシフトパターンの厚さの1.5〜2.5倍である。
【0018】
前記シフトパターンと遮光パターンとに用いられる物質の種類によってブラインド領域Bの光学密度(OD)を確保するための前記各パターンの厚さは変化し、前記ブラインド領域Bにおいて、前記遮光パターンの厚さとシフトパターンの厚さを合わせて少なくとも1,090Å以上確保される。
【0019】
前記ブラインド領域Bにおいて前記遮光パターンの厚さは、100〜160Åである。
【0020】
前記シフトパターンはMoSiON系列で構成され、遮光パターンはCr系列で構成され、波長λが193nmである露光光の条件で、前記ブラインド領域Bにおける前記MoSiONの厚さは1,320Åであり、前記パターン領域Pにおいて前記MoSiONの厚さは660Åであり、前記Crの厚さは160Åである。
【0021】
前記ブラインド領域Bの光学密度(OD)は、波長λが193nmである露光光の条件で、3.0を確保することができる。
【0022】
本発明のさらに別の観点によれば、本発明のフォトマスクブランクは、Qz系列の基板と、930〜1,320Åの厚さで前記Qz基板上に積層されるMoSiON系列のシフト層と、100〜160Åの厚さで前記シフト層上に積層されるCr系列の遮光層と、1000〜1200Åの厚さで前記遮光層上に積層されるレジスト層と、を含むことができる。
【0023】
前記シフト層と前記遮光層とを合わせた厚さは、光学密度(OD)が3.0以上に確保されるように1,090Å以上とすることができる。
【0024】
前記レジスト層は、パターン形成する際、前記パターンの縦横比が1:2.5以下とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成によれば、次のような効果が期待できる。
【0026】
第一、ブラインド領域Bにおいてシフトパターンの厚さは、従来と比べてさらに厚くなっていて、光学密度(OD)が3.0以上確保される。パターン領域Pにおいてシフトパターンの厚さはそのまま維持することができ、位相差は180゜を実現することができる。
【0027】
第二、ブラインド領域Bにおいてシフトパターンを厚膜化することで、光学密度(OD)はそのまま確保され、結果的に遮光パターンは薄膜化される。
【0028】
第三、遮光パターンを薄膜化することで、マスク機能を行うレジスト厚さもさらに薄膜化され、パターンの解像度が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係るハーフトーン型位相シフトフォトマスクの構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るSRAFパターンがさらに備えられたハーフトーン型位相シフトフォトマスクの構成を示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るブラインド領域BにおいてMoSiON及びCrの厚さと光透過率との関係を示すグラフである。
【
図4】本発明の一実施形態に係るブラインド領域BにおいてMoSiON及びCrの厚さと光学密度(OD)との関係を示すグラフである。
【
図5】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクブランクの構成を示す断面図である。
【
図6a】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す断面図である。
【
図6b】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す断面図である。
【
図6c】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す断面図である。
【
図6d】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す断面図である。
【
図6e】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す断面図である。
【
図6f】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す断面図である。
【
図6g】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す断面図である。
【
図6h】ハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の技術的思想によるハーフトーン型位相シフトフォトマスクブランクとハーフトーン型位相シフトフォトマスク及びその製造方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態に係るハーフトーン型位相シフトフォトマスクの構成を示す断面図であり、
図2は本発明の一実施形態に係るSRAFパターンをさらに備えたハーフトーン型位相シフトフォトマスクの構成を示す断面図であり、
図3は本発明の一実施形態に係るブラインド領域BにおいてMoSiON及びCrの厚さと光透過率との関係を示すグラフであり、
図4は本発明の一実施形態に係るブラインド領域BにおいてMoSiON及びCrの厚さと光学密度(OD)との関係を示すグラフである。
【0032】
図1に示すように、フォトマスク100は、平面図において、その中央に配置されるパターン領域Pと、その周辺に配置されるブラインド領域Bと、を含む。パターン領域Pは、ウエハに転写される回路パターン(例えば、コンタクトパターンや配線パターン)のようなメインパターン126を含む。ブラインド領域Bは、フォトマスク100を露光装置に整列する整列手段(図示せず)などを含むことができる。
【0033】
さらに、
図1に示すように、フォトマスク100は、縦断面において、露光光に対して透過性を有する透明基板110と、露光光に対して遮光性を有する遮光パターン142と、透明基板110と遮光パターン142との間に介在し、所定の割合で露光光を透過させるシフトパターン124、126とを含む。シフトパターン124、126は、ブラインド領域Bの第1シフトパターン124と、パターン領域Pの第2シフトパターン126と、を含む。
【0034】
一方、ブラインド領域Bは、露光時に、フォトマスク100周りに露光光が透過されないように透過率を0%とすることで、ウエハ上に精密なパターンを形成する機能を行う。したがって、ブラインド領域Bの光学密度(OD)は、露光時に、ウエハ上に不必要な光が透過されないようにするために、少なくとも2.5以上とすることができ、安定的に3.0とすることができる。
【0035】
また、繰り返し使用や周期的な洗浄によりブラインド領域Bの薄膜ロス(loss)が不可避的に発生するため、その厚さが少しずつ薄くなっていき、光学密度(OD)の確保が困難となる場合がある。例えば、露光光の波長λが193nmの場合、2.5以上の光学密度(OD)を確保するために、ブラインド領域Bにおける遮光パターン142の厚さと第1シフトパターン124の厚さとを合わせて1,090Å以上にしなければならない。
【0036】
一方、ブラインド領域Bにおける遮光パターン142の厚さは160Åを超えないようにすることが好ましい。
【0037】
図2に示すように、メインパターン126aの解像度を高めるために、サブレゾリューションアシストフィーチャ(sub resolution assist feature:SRAF)をさらに用いることができる。このSRAFパターン126bは限界解像度以下の補助パターンとして、光近接効果(OPE)を補正する機能を有する。
【0038】
半導体素子の集積度を向上させるため、デザインルールが小さくなるに伴って、露光時のメインパターン126aの形成が最も重要となる。しかしながら、メインパターン126aの閾値(CD)の幅よりもSRAFパターン126bの閾値(CD)の幅がより小さいために、SRAFパターン126bの形成が最も重要である。SRAFパターン126bの解像度を高めることはますます難しくなってくる。
【0039】
このように、光近接効果(OPE)による疎密偏差を解消するために、SRAFパターン126bの形成は必須である。しかし、デザインルールが小さくなり、またSRAFパターン126bはメインパターン126aの半分程度にその閾値(CD)の幅が小さくなるため、現在のフォトマスク製作技術ではパターン形成は限界に達している。したがって、フォトマスク製作時に、SRAFパターン126bが安定的に形成されるように多様な露光条件を設定することが最も重要である。
【0040】
上述のように、ブラインド領域Bにおいて光学密度(OD)を2.5以上に確保するためには、全体領域に厚い遮光層を用いればよいが、厚い遮光層をエッチングするためには、それと比例して厚いレジスト層を用いなければならない。
【0041】
ところが、厚いレジストパターン(
図6aの152参照)の場合、例えば、SRAFパターン126bの形成時にその縦横比が1:2.5(bottom:height)以上である場合、SRAFパターン126bが崩壊しやすい。特に、45nmパターン形成工程においてその現象は著しくなる。よって、第1レジスト層(
図5の150参照)の厚さT1を厚くすることにも限界がある。第1レジスト層150の厚さT1が1500Åを超えると、微細パターン形成は難しくなる。SRAFパターン126bの縦横比を1:2.5以下にするために、第1レジスト層150の厚さT1は1,000〜1,200Å範囲において決定される。
【0042】
このように、薄膜レジストの要求を充足させるためには、遮光層(
図5の140参照)の厚さT2も一緒に減少させるしかない。よって、遮光層140の厚さT2は、100〜160Åの範囲において決定される。
【0043】
そこで、遮光パターン142の厚さT2は減少されなければならないのに対して、ブラインド領域Bの全体厚さ(T2+T3)は増加されるという、相反する問題点が発生する。この2つの矛盾した課題を解決するためには、少なくともブラインド領域Bで遮光パターン142の厚さT2は減少させ、第1シフトパターン124の厚さT3は増加させなければならない。第1シフトパターン124の厚さT3は、少なくとも930Å以上とすべきである。
【0044】
勿論、第1及び第2シフトパターン124、126は、上記ブラインド領域Bとパターン領域Pとで、その厚さT3、T4は互いに相違していなければならない。第2シフトパターン126の厚さT4は、第1シフトパターン124と違って720Åを超えないことが好ましい。すなわち、露光光に対して1〜30%の透過率を有する第2シフトパターン126と、シフトパターン126によって限定される第2シフト開口134との間に露光光が90〜270゜の位相差を維持させるために、第2シフトパターン126の厚さT4は660Å程度で決定される。
【0045】
さらに、上述のように、半導体素子が高集積化され、デザインルールが微細化されるに伴って、メインパターン126a及びSRAFパターン126bも、それに比例して微細化、薄膜化するために、このような薄膜化要求によって第2シフトパターン126の厚さは720Å→590Å→480Åと漸進的に薄くなっている。特に、第2シフトパターン126にMoSiONが用いられ、また透明基板に石英が使用される条件において位相差を180゜に実現するためには、第2シフトパターン126は660Åの厚さを満たさなければならない。
【0046】
以下、第1シフトパターン124と遮光パターン142とに用いる物質の種類によって光学密度(OD)を確保するための各パターンの厚さが変化するため、一実施形態ではシフトパターン124、126にMoSiONを用い、遮光パターン142にCrを使用する条件において、光学密度(OD)と各パターン厚さとの関係を考察することができる。
【0047】
例えば、第1シフトパターン124としてMoSiONを用い、遮光パターン142としてCrを用いる場合、波長λが193nmである露光光の条件において、光透過率の下記式によりMoSiONの厚さD及びCrの厚さdによる光学密度(OD)が計算される。
【0050】
MoSiONの屈折率nは2.343であり、減殺定数kは0.586であり、Crの屈折率nは1.477であり、減殺定数kは1.762であるため、式1を用いて光透過率を計算すると、
図3のようなグラフで示すことができる。また、式2を用いて光学密度(OD)を計算すると、
図4のようなグラフで示すことができる。
【0051】
図4に示すように、MoSiONとCrとの厚さを適切に変更することで、ブラインド領域Bにおける光学密度(OD)の調節が可能である。例えば、MoSiONの厚さが1,200Åにおいて、Crの厚さを100Å→160Å→180Å→200Åに増やせば、光学密度(OD)は2.5から3.0に増加することがわかる。逆に、Crの厚さが160Åにおいて、MoSiONの厚さを1,200Å→1,300Åに増やせば、光学密度(OD)は2.7から3.0に増加することがわかる。特に、MoSiONの厚さは、通常に用いられる660Åの2倍である1,320Åを用いると、Crの厚さは160Åの条件でも光学密度(OD)は3以上に確保することができる。
【0052】
このように、ブラインド領域BにおけるMoSiONの厚さT3は1,320Åになり、パターン領域PにおけるMoSiONの厚さT4は660Åになれば、ブラインド領域BにおいてMoSiONの厚さT3がパターン領域PにおけるMoSiONの厚さT4よりも2倍以上厚くなるため、ブラインド領域Bにおいては光学密度(OD)を3以上確保しながらパターン領域Pでは180゜の位相差を実現することができる。
【0053】
すなわち、本発明の一実施形態によれば、このような相反した要求をすべて解決するために、パターン領域Pでは微細パターン形成のために第2シフトパターン126の厚さT4を薄膜化しながら、ブラインド領域Bでは第1シフトパターン124の厚さT3を増加させることで、光学密度(OD)を最適の状態に維持することができる。
【0054】
以下、本発明に係るハーフトーン型位相シフトフォトマスクブランクとハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法について、図面を参照して具体的に説明する。
【0055】
図5はハーフトーン型位相シフトフォトマスクブランクの構成を示す縦断面図であり、
図6aないし
図6hはハーフトーン型位相シフトフォトマスクの製造方法を示す縦断面図である。
【0056】
図5に示すように、フォトマスクブランク102は、透明基板110と、透明基板110上部に積層されたシフト層120と、シフト層120上に積層された遮光層140と、遮光層140上に積層された第1レジスト層150と、を含む。図示してないが、遮光層140上に反射防止層ARLがさらに含まれている。
【0057】
透明基板110は結晶質であって、露光光を透過することができる透明なQz(石英)あるいはガラスとすることができる。
【0058】
シフト層120は、透明基板110上に所定の露光光を透過させるために、窒化珪化モリブデン(MoSiN)、窒化炭化珪化モリブデン(MoSiCN)、窒化酸化珪化モリブデン(MoSiON)、窒化酸化炭化珪化モリブデン(MoSiCON)などのような物質で構成することができる。シフト層120は、MoSiONを用いる場合、光学密度(OD)の確保のために930〜1320Åの厚さに形成される。
【0059】
遮光層140には、クロム(Cr)、炭化クロム(CrC)、窒化クロム(CrN)、窒化炭化クロム(CrCN)などが用いられる。遮光層140は、Crが用いられた場合、薄膜レジスト層150の実現のために、100〜160Åの厚さに形成される。
【0060】
第1レジスト層150は、ポジティブあるいはネガティブタイプの感光膜が用いられる。パターンの解像度を改善し、パターンの微細化を高めるために1,000〜1,200Åの厚さに形成される。
【0061】
図6aに示すように、第1レジスト層150に対して、電子ビームを用いて第1露光及び現像工程を行う。これにより、パターン領域Pの一部のみが選択的に除去される第1レジストパターン152が形成される。第1レジストパターン152は、第1レジスト開口156を限定し、コンタクト形成のために複数のホールタイプに形成されるか、または配線形成のためにラインエンドスペースタイプに形成される。
【0062】
図6bに示すように、第1レジストパターン152をエッチングマスクとして遮光層140を乾式エッチングする。これにより、シフト層120を選択的に露出する遮光パターン142が形成される。
【0063】
図6cに示すように、第1レジストパターン152が除去され、また洗浄される。
【0064】
図6dに示すように、遮光パターン142をハードマスクとしてシフト層120がハーフエッチングされる。これにより、ハーフシフト開口132を限定するハーフシフトパターン122が形成される。ここで、ハーフエッチングの程度は、エッチング対象物であるシフト層120が完全にエッチングされない位の程度を意味する。よって、ハーフエッチングの程度は、ハーフシフト開口132ではエッチングせず、残留部分がブラインド領域Bの第1シフトパターン124の厚さT3とパターン領域Pのシフトパターン126の厚さT4との差tとすることができる。
【0065】
ハーフシフトパターン122は第1レジストパターン152と同様に、所定のコンタクトパターン、または配線パターンの形態として形成することができる。このとき、ハーフシフトパターン122は、後続工程で形成される第2シフトパターン126の厚さT4よりもtの厚さ分だけ厚く形成することで、厚さT3となる。したがって、ハーフシフト開口132は透明基板110を露出せず、透明基板110からtの厚さ分さらに厚く形成される。
【0066】
これにより、エッチング終了時点を適切に設定することで、シフト層120の一部がリセスされる程度、すなわち、ハーフエッチングの程度が決定される。リセス終了時点は、エッチング工程によりリセスされるハーフシフト開口132の深さDがパターン領域Pにおいて後続工程で形成される第2シフトパターン126の厚さT3と一致する時点(D=T3)であり、リセスされた後の残留高さHが、ハーフシフトパターン122の厚さT3と後続工程の第2シフトパターン126の厚さT4との差に相当するtと一致する時点(H=T3−T4=t)である。エッチング工程でエッチングプロセスタイムを選択して検出する技術は、周知であり詳細な説明は省略する。
【0067】
本発明の一実施形態において、ハーフエッチングの程度がシフト層120の厚さの1/2であれば、ハーフシフト開口132の深さDとリセス後の残留高さHとが同一となり、第2シフトパターン126の厚さT4はハーフシフトパターン122の厚さT3の2倍となる。このようになると、ブラインド領域Bにおける第1シフトパターン124の厚さT3は、パターン領域Pにおける第2シフトパターン126の厚さT4の2倍となる条件を有することになり、ブラインド領域Bにおいて光学密度(OD)が3.0以上確保され、パターン領域Pにおいて位相差が180゜実現される。そして、図面では、便宜上、ハーフエッチングの程度が1/2として示されている。
【0068】
図6eに示すように、第2レジスト層(図示せず)を積層し、パターン領域Pをオープンするフォトリソグラピ工程が行われる。すなわち、第2レジスト層に、第2露光及び現像工程により第2レジスト開口166を定義する第2レジストパターン162が形成される。
【0069】
図6fに示すように、第2レジストパターン162をエッチングマスクとしてエッチング工程を行うことで、パターン領域Pの遮光パターン142が除去される。
【0070】
図6gに示すように、第2レジストパターン162が除去される。しかし、ブラインド領域Bの遮光パターン142はそのまま残存する。
【0071】
図6hに示すように、ブラインド領域Bの遮光パターン142をエッチングマスクとしてエッチング工程を行うことで、パターン領域Pにおいてハーフシフトパターン122の全体的な高さは低くなる。これにより、パターン領域Pに第2シフトパターン126が形成される。すなわち、パターン領域Pが全体的に厚さt程度除去されることで、ハーフシフトパターン122の厚さT4は第2シフトパターン126の厚さT3に減少し、ハーフシフト開口132の厚さT3は完全に除去されることで、第2シフト開口134が形成され、透明基板110が露出される。
【0072】
エッチング終了時点を適切に設定すれば、ハーフシフト開口132が完全にリセスされる程度を決定することができる。エッチング工程においてエッチング終了時点は、エッチング工程を進行しながら形成されるハーフシフト開口132の底面において透明基板110が露出される時点である。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。