(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記残容量表示制御手段及び前記異常表示制御手段は、当該二次電池パックが電動工具に装着されているときに、該電動工具の操作スイッチが操作されると、前記表示素子の点灯状態を制御して前記二次電池の残容量若しくは前記異常を表示することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の二次電池パック。
前記残容量表示制御手段及び前記異常表示制御手段は、それぞれ、前記二次電池の残容量若しくは前記異常の表示を開始すると、その後、予め設定された残容量表示時間若しくは異常表示時間が経過するまで表示を継続し、残容量表示時間若しくは異常表示時間が経過すると表示を終了することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の二次電池パック。
前記異常表示制御手段は、前記異常検出手段により前記異常が検出されると、前記残容量表示制御手段による残容量表示よりも優先して、異常表示を行うことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の二次電池パック。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[電動工具全体の構成]
図1は、本発明が適用された実施形態の電動工具の側面図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の電動工具は、所謂ドライバドリルとして構成された電動工具本体(以下単に本体ともいう)10と、本体10に着脱可能に装着されて、本体10に直流電源を供給するための二次電池パック40とを備える。
【0037】
本体10は、モータハウジング14と、モータハウジング14の前方に位置するギアハウジング16と、ギアハウジング16の前方に位置するドリルチャック18と、モータハウジング14の下方に位置するハンドグリップ20とを備えている。
【0038】
モータハウジング14は、ドリルチャック18を回転駆動させる駆動力を発生する駆動モータM1(
図3参照)を収容している。
ギアハウジング16は、駆動モータM1の駆動力をドリルチャック18に伝達するギア機構(図示せず)を収容している。
【0039】
ドリルチャック18は、当該ドリルチャック18の前端部に工具ビット(図示せず)を着脱自在に装着する装着機構(図示せず)を備えている。
ハンドグリップ20は、電動工具の使用者が当該ハンドグリップ20を片手で把持可能に成形されている。そして、ハンドグリップ20の上部前方には、電動工具の使用者が駆動モータM1を駆動/停止するためのトリガスイッチ22が設けられている。
【0040】
また、ハンドグリップ20の下端部には、二次電池パック40を着脱可能に本体10に装着ための二次電池パック装着部24が設けられている。この二次電池パック装着部24は、電動工具の使用者が二次電池パック40を本体10の前方に摺動させることで、二次電池パック40を二次電池パック装着部24から離脱できるように構成されている。
【0041】
つまり、
図2に示すように、二次電池パック40の上部には、本体10の二次電池パック装着部24や、充電器(図示せず)に接続するためのコネクタ部42が形成されている。また、コネクタ部42には、二次電池パック40と電気的に接続するための電源端子部44及び接続端子部46が設けられている。
【0042】
一方、二次電池パック40は、本体10の二次電池パック装着部24や図示しない充電器の二次電池パック装着部に装着するためのコネクタ部42が形成されたケース(
図2参照)内に、コネクタ部42を介して充放電可能な二次電池50を収納したもの(
図3参照)である。
【0043】
そして、二次電池パック40は、コネクタ部42を介して本体10に装着することで、コネクタ部42に設けられた電源端子部44及び接続端子部46を介して、本体10の内部回路と電気的に接続され、本体10に直流電源を供給できるようになる(
図3参照)。
【0044】
また同様に、二次電池パック40は、コネクタ部42を介して図示しない充電器に装着することで、電源端子部44及び接続端子部46を介して、充電器側の充電回路と電気的に接続され、充電器から二次電池50に充電できるようになる。
【0045】
また、
図2に示すように、二次電池パック40のケースのコネクタ部42と異なる面(本実施形態では本体10に装着した際、本体10の後方を向く後端面)には、二次電池50の残容量や異常を表示するための表示部86が設けられている。
【0046】
この表示部86は、LEDからなる4つの表示素子81,82,83,84を一列に配置することにより構成されており、その配列方向一端側には、表示部86への残容量若しくは異常状態の表示を指令するための表示スイッチ80が設けられている。
[電動工具本体10の回路構成]
次に、
図3は、二次電池パック40を本体10に装着した際に、二次電池パック40と本体10とで形成される駆動モータM1制御用の回路を表す回路図である。
【0047】
図3に示すように、本体10には、二次電池パック40の電源端子部44に接続するための端子として、正極側端子32A、負極側端子32Bが備えられ、同じく接続端子部46に接続するための端子として、信号端子34Aが備えられている。
【0048】
正極側端子32Aは、メインスイッチSW1及び正極側電源ラインL1Aを介して、駆動モータM1の一端に接続されており、負極側端子32Bは、駆動モータM1への通電制御用のトランジスタQ1及び負極側電源ラインL1Bを介して、駆動モータM1の他端に接続されている。
【0049】
本実施形態では、駆動モータM1は、ブラシ付き直流モータにて構成されており、メインスイッチSW1がオン状態であるとき、トランジスタQ1が二次電池パック40からの入力信号によりオンされることにより、通電されて、回転する。
【0050】
なお、駆動モータM1には、トランジスタQ1のターンオフ時に負極側電源ラインL1Bに発生した高電圧を正極側電源ラインL1Aに戻すためのダイオード(所謂フライホイールダイオード)D1が接続されている。
【0051】
また、メインスイッチSW1は、上述したトリガスイッチ22と連動してオン・オフ状態が切り換えられるものであり、トリガスイッチ22が引かれるとメインスイッチSW1がオンし、トリガスイッチ22が放されるとメインスイッチSW1がオフする。
【0052】
また、トランジスタQ1には、Nチャネル型MOSFETが用いられている。
次に、本体10には、内部回路駆動用の電源電圧を生成する制御用電源回路36と、二次電池パック40との間で信号を入出力する入出力回路38とが備えられている。
【0053】
制御用電源回路36は、ツェナーダイオードZD1と、コンデンサC1とを備えている。そして、ツェナーダイオードZD1のカソードは、抵抗R1を介して正極側電源ラインL1Aに接続されており、ツェナーダイオードZD1のアノードは、本体10のグランドに接地されている。
【0054】
また、コンデンサC1は、電解コンデンサからなる。そして、コンデンサC1の正極側は、ツェナーダイオードZD1のカソードとともに、抵抗R1を介して、正極側電源ラインL1Aに接続され、コンデンサC1の負極側は、本体10のグランドに接地されている。
【0055】
なお、本体10のグランドには、負極側端子32Bが接続されており、本体10に二次電池パック40が装着された際には、この負極側端子32Bを介して、二次電池パック40の負極側電源ラインL2B(延いては二次電池50の負極側端子52B)に接続される。
【0056】
また、メインスイッチSW1がオン状態であるとき、正極側電源ラインL1Aには、正極側端子32Aを介して、二次電池パック40の正極側電源ラインL2A(延いては二次電池50の正極側端子52A)に接続される。
【0057】
従って、制御用電源回路36では、メインスイッチSW1がオンされているときに、正極側電源ラインL1Aから、抵抗R1を介してツェナーダイオードZD1のアノードに二次電池電圧(例えば直流36V)が印加され、ツェナーダイオードZD1によって所定の一定電圧(例えば直流5V)に降圧される。
【0058】
そして、コンデンサC1は、その降圧された直流電圧により充電され、コンデンサC1の両端電圧は、本体10の内部回路を動作させるための電源電圧Vccとして、各種内部回路に供給される。
【0059】
次に、入出力回路38は、トランジスタQ2と、抵抗R2,R3,R4,R5とを備える。
トランジスタQ2は、NPN型バイポーラトランジスタにて構成されており、そのベースは、抵抗R3を介して、信号端子34Aに接続されるとともに、抵抗R4を介して、グランドに接地されている。
【0060】
また、信号端子34Aには、抵抗R2を介して電源電圧Vccが印加され、トランジスタQ2のコレクタにも、抵抗R5を介して電源電圧Vccが印加されている。また、トランジスタQ2のコレクタは、トランジスタQ1のゲートにも接続されており、トランジスタQ2のエミッタは、グランドに接地されている。
【0061】
抵抗R2,R3,R4の抵抗値は、メインスイッチSW1がオンされてから電源電圧Vccが所定電圧に達したときにトランジスタQ2がオンし、信号端子34Aの電位が電源電圧Vcc近傍のハイレベルになるように設定されている。
【0062】
そして、トランジスタQ2がオン状態であるときには、トランジスタQ1のゲートがトランジスタQ2を介してグランドに接地されることから、トランジスタQ1はオフ状態となって、駆動モータM1への通電経路を遮断する。
【0063】
また、二次電池パック40の内部回路(後述するトランジスタQ4)により、信号端子34Aがグランドに接地されると、トランジスタQ2はオフ状態となる。そして、この状態では、抵抗R5を介してトランジスタQ1のゲートに電源電圧Vccが印加されることから、トランジスタQ1はオン状態となって、駆動モータM1への通電経路を形成する。
【0064】
なお、本実施形態では、トランジスタQ2のコレクタがトランジスタQ1のゲートに直接接続されるが、トランジスタQ2のコレクタは、トランジスタQ1をスイッチングするための駆動回路を介して、トランジスタQ1のゲートに接続してもよい。
[二次電池パック40の回路構成]
一方、二次電池パック40には、電源端子部44に設けられた正極側端子44A及び負極側端子44Bと、接続端子部46に設けられた3つの信号端子46A,46B,46Cと、二次電池50と、制御回路60とが備えられている。
【0065】
正極側端子44Aには、正極側電源ラインL2Aを介して二次電池50の正極側端子52Aが接続され、負極側端子44Bには、負極側電源ラインL2Bを介して二次電池50の負極側端子52Bが接続されている。
【0066】
そして、二次電池パック40を本体10に装着した際、正極側端子44Aは、本体10の正極側端子32Aと接続され、負極側端子44Bは、本体10の負極側端子32Bと接続され、信号端子46Aは、本体10の信号端子34Aに接続される。
【0067】
なお、信号端子46B,46Cは、二次電池パック40を充電器に装着した際、充電器側の接続端子部に接続されるものであり、二次電池パック40を本体10に装着した際には、開放状態となる。
【0068】
二次電池50は、正極側端子52Aと負極側端子52Bとの間に、複数(例えば10個)の二次電池セルを直列接続することにより構成されており、駆動モータM1を駆動するための駆動電圧(例えば、直流36V)を発生する。
【0069】
なお、二次電池セルは、例えば、単体で3.6Vの直流電圧を発生するリチウムイオン二次電池にて構成される。このため、二次電池50は、高出力可能であり、例えば、出力可能な放電電流は10A以上である。
【0070】
制御回路60は、電流測定回路62と、電圧測定回路64と、温度測定回路66と、スイッチ操作検出回路68と、充電器検出回路72と、
図2に示した表示スイッチ80及び表示部86と、主制御ユニット(Main Control Unit :MCU)70と、トランジスタQ4と、を備えている。
【0071】
ここで、電流測定回路62は、正極側電源ラインL2A若しくは負極側電源ラインL2Bに流れる電流を検出するためのものであり、その電流に応じた電圧値を有する電流検出信号をMCU70に出力する。
【0072】
また、電圧測定回路64は、二次電池50を構成する各二次電池セルの電圧を順番に測定し、測定電圧に応じた電圧値を有する電圧検出信号をMCU70に出力する。
また、温度測定回路66は、二次電池50周囲に配置されるサーミスタを含み、サーミスタを介して二次電池温度を測定して、その測定温度に応じた電圧値を有する温度検出信号をMCU70に出力する。
【0073】
次に、スイッチ操作検出回路68は、本体10のトリガスイッチ22が操作されたことを検出するためのものであり、トランジスタQ3と、抵抗R6,R7,R8とを備えている。
【0074】
トランジスタQ3は、NPN型バイポーラトランジスタにて構成されており、そのベースは、抵抗R6を介して、信号端子46Aに接続されるとともに、抵抗R7を介して、二次電池パック40におけるグランドに接地されている。また、トランジスタQ3のエミッタは、グランドに接地されている。
【0075】
なお、二次電池パック40のグランドは、負極側電源ラインL2Bに接続されている。このため、二次電池パック40が本体10に装着された際には、二次電池パック40と本体10のグランドが同電位となり、これら各グランドは二次電池50の負極とも同電位になる。
【0076】
また、トランジスタQ3のコレクタは、MCU70に接続されると共に、抵抗R8を介して、二次電池パック40に設けられた制御用電源回路(図示せず)からの電源電圧Vdd(例えば、直流5V)の出力経路に接続されている。
【0077】
なお、制御用電源回路は、二次電池50から電源供給を受けて一定の電源電圧Vddを生成し、二次電池パック40内の各種電子回路に電源供給を行うものであり、例えば、スイッチング電源回路等で構成されている。
【0078】
一方、トランジスタQ4は、Nチャネル型MOSFETにて構成されており、そのドレインは、トランジスタQ3のベースが抵抗R6を介して接続される信号端子46Aに接続されている。また、トランジスタQ4のソースは、グランドに接地され、トランジスタQ4のゲートは、MCU70に接続されている。
【0079】
このため、トランジスタQ4は、MCU70からの出力信号(後述する放電制御信号)にてオン・オフされ、トランジスタQ4のオフ時には、信号端子46Aが開放状態となる。
【0080】
従って、二次電池パック40が本体10に装着されて、トリガスイッチ22が操作された際(メインスイッチSW1:オン)、トランジスタQ4がオフ状態であれば、本体10の信号端子34Aから二次電池パック40の信号端子46Aに、二次電池パック40内の電源電圧Vccに対応したハイレベルの信号が入力され、スイッチ操作検出回路68内のトランジスタQ3がオン状態となって、スイッチ操作検出回路68からMCU70への入力信号はローレベルとなる。
【0081】
また、二次電池パック40が本体10に装着されても、トリガスイッチ22が操作されなければ(メインスイッチSW1:オフ)、本体10の信号端子34Aはローレベル(グランド電位)となるため、スイッチ操作検出回路68内のトランジスタQ3はオフ状態となって、スイッチ操作検出回路68からMCU70への入力信号はハイレベルとなる。
【0082】
次に、充電器検出回路72は、二次電池パック40が充電器に装着されて、充電器から信号端子46Cにハイレベル(例えば直流5V)の信号が入力されたときに、その旨を表す検出信号を入力するものであり、スイッチ操作検出回路68と同様に構成されている。
【0083】
つまり、充電器検出回路72は、信号端子46Cが開放状態にあるときには、プルアップ抵抗を介して、電源電圧Vddに対応したハイレベルの信号をMCU70に入力し、充電器から信号端子46Cにハイレベルの信号が入力されると、MCU70への信号経路に接続されたトランジスタがオン状態となって、信号経路をグランドに接地し、MCU70への出力をローレベルにする。
【0084】
このため、MCU70側では、スイッチ操作検出回路68からの入力信号に基づき、二次電池パック40が装着された本体10側でトリガスイッチ22が操作されたことを検知でき、充電器検出回路72からの入力信号に基づき二次電池パック40が充電器に装着されたことを検知できる。
【0085】
また、MCU70は、CPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ、入出力(I/O)ポート、A/D変換器等からなる周知のマイクロコンピュータにて構成されており、ROMに記憶された各種プログラムに従って二次電池50の充・放電及び状態表示のための各種制御処理を実行する。
[MCU70による表示制御]
次に、このように二次電池パック40内のMCU70にて実行される各種制御処理のうち、二次電池50の残容量や異常を表示するために実行される表示制御処理について、
図4に示すフローチャートに沿って説明する。
【0086】
この表示制御処理は、MCU70においてメインルーチンの一つとして繰り返し実行される処理であり、処理が開始されると、まずS110にて、電流測定回路62及び電圧測定回路64からの検出信号(換言すれば二次電池50に流れた電流及び二次電池電圧)に基づき二次電池50の残容量を算出する、残容量算出処理を実行する。
【0087】
また、続くS120では、電流測定回路62、電圧測定回路64及び温度測定回路66からの検出信号に基づき、下記の(1)〜(5)に示す二次電池50の異常判定を行う。
(1)電流測定回路62にて測定された放電電流が、駆動モータM1のロック時に流れるロック電流に達しているか否かを判定する「ロック電流判定」。
(2)電圧測定回路64にて測定された二次電池電圧が、予め設定された過放電判定用の閾値よりも低下したか否かを判定する「過放電判定」。
(3)電流測定回路62にて測定された放電電流の積算値が過負荷判定用の閾値を超えたか否かを判定する「過負荷判定」。
(4)温度測定回路66にて測定された二次電池温度が予め設定された高温判定用の閾値を超えたか否かを判定する「高温判定」。
(5)電圧測定回路64にて測定された二次電池電圧が正常範囲から外れているか否か等に基づき、二次電池50が故障しているか否かを判定する「故障判定」。
【0088】
ここで、上記5つの異常判定結果には、
図5に例示するように、その判定結果を表示する際の表示優先度や、表示部86における表示素子81〜84の点灯パターンが予め設定されている。
【0089】
つまり、「ロック電流判定」に伴う異常表示は、表示優先度が最も低く(優先度:1)、その表示パターンは、2個の表示素子81,82を短い周期で点滅(早点滅)させるように設定されている。
【0090】
また、「故障判定」に伴う異常表示は、表示優先度が最も高く(優先度:3)、その表示パターンは、4個の表示素子81〜84を、「ロック電流判定」時よりも長い周期で点滅(遅点滅)させるように設定されている。
【0091】
また、「過放電判定」、「過負荷判定」及び「高温判定」に伴う異常表示の表示優先度は、「ロック電流判定」と「故障判定」との間の中間値(優先度:2)に設定されている。
【0092】
そして、「過放電判定」の表示パターンは、1個の表示素子81を、「故障判定」時と同じ周期で遅点滅させるように設定され、「過負荷判定」の表示パターンは、2個の表示素子81、82を「故障判定」時と同じ周期で遅点滅させるように設定され、「高温判定」の表示パターンは、3個の表示素子81〜83を「故障判定」時と同じ周期で遅点滅させるように設定されている。
【0093】
なお、「ロック電流判定」に伴う異常表示と、他の異常判定に伴う異常表示とでは、表示素子の点滅周期が異なるが、これは、駆動モータM1がロック状態となった際には、使用者が操作スイッチとしてのトリガスイッチ22の操作を中止して、メインスイッチSW1をオフさせれば、駆動モータM1のロック状態を解除できるからである。
【0094】
つまり、上述の異常判定がなされたときには、MCU70は、二次電池保護のために、放電制御信号をローレベルにして、トランジスタQ4をオフさせることで、本体10のトランジスタQ2をオン状態、トランジスタQ1をオフ状態にして、二次電池50から駆動モータM1への放電を停止させる。
【0095】
そして、この保護動作が、「過放電判定」、「過負荷判定」、「高温判定」若しくは「故障判定」に伴い実施されたときには、二次電池パック40が本体10に装着された状態で速やかに正常復帰させることができないことから、異常状態の判定結果は、二次電池パック40が本体10から外され充電器に装着されるまでMCU70のメモリに保存され、異常状態を解除できない。
【0096】
しかし、「ロック電流判定」による異常は、使用者がトリガスイッチ22の操作を中止して、駆動モータM1のロック状態を解除すれば、速やかに正常復帰することができるため、MCU70は、「ロック電流判定」時には二次電池保護のために二次電池50から駆動モータM1への放電を停止させるものの、その後メインスイッチSW1がオフされると、その保護動作を終了する。
【0097】
そこで、本実施形態では、このように使用者のスイッチ操作で速やかに正常復帰可能な「ロック電流判定」と、他の異常判定とで、異常表示の際の点滅周期を異なる周期に設定することにより、使用者が、その点滅周期から速やかに正常復帰可能な異常をより簡単に検知できるようにしているのである。
【0098】
また、二次電池50の残容量表示を行う際の表示素子81〜84の点灯パターンについても、
図5に示すように予め設定されている。
つまり、二次電池50の残容量が「0〜25%」のときには、点灯させる表示素子を1個(表示素子81)とし、二次電池50の残容量が「25%〜50%」のときには、点灯させる表示素子を2個(表示素子81、82)とし、二次電池50の残容量が「50%〜75%」のときには、点灯させる表示素子を3個(表示素子81〜83)とし、二次電池50の残容量が「75%〜100%」のときには、全ての表示素子(表示素子81〜84)を点灯させるように設定されている。
【0099】
次に、S120にて、二次電池50の異常判定が実施されると、今度は、S130に移行して、上記S120にて二次電池50の異常が検出されたか否かを判断する。
そして、上記S120にて二次電池50の異常が検出されていなければ、S140に移行して、二次電池パック40に設けられている表示スイッチ80が使用者により操作(押下)されたか否かを判断する。
【0100】
S140にて、表示スイッチ80は操作(押下)されていないと判断されると、当該表示制御処理を一旦終了し、逆に、表示スイッチ80は操作(押下)されたと判断されると、S150に移行する。
【0101】
また、S150では、S110にて算出した二次電池50の残容量と、
図5に示す表示素子81〜84の点灯パターンを表すデータとに基づき、二次電池50の残容量に対応した表示部86の点灯パターンを設定すると共に、その表示時間として予め設定された残容量表示時間(例えば、3秒)を設定し、S160に移行する。
【0102】
一方、S130にて、二次電池50の異常が検出されていると判断された場合には、S170に移行し、現在、表示部86が表示状態であるか否かを判断する。
そして、S170にて、現在、表示部86が表示状態であると判断されると、S210に移行して、今回検出した異常内容の表示優先度(検出異常優先度)は、現在表示中の表示優先度(表示内容優先度)よりも高いか否かを判断する。
【0103】
S210にて、今回検出した異常内容の表示優先度が、現在表示中の表示優先度よりも高いと判断された場合には、S200に移行し、今回検出した異常内容の表示優先度が、現在表示中の表示優先度と同じ又は低いと判断された場合には、当該表示制御処理を一旦終了する。
【0104】
次に、S170にて、現在、表示部86が表示状態ではないと判断された場合には、S180に移行して、二次電池パック40に設けられている表示スイッチ80が使用者により操作(押下)されたか否かを判断する。
【0105】
そして、S180にて、表示スイッチ80は操作(押下)されていないと判断されると、S190に移行し、逆に、表示スイッチ80は操作(押下)されたと判断されると、S200に移行する。
【0106】
S190では、二次電池パック40が装着された本体10側でトリガスイッチ22が操作されて、本体10のメインスイッチSW1がオフ状態からオン状態に切り換えられているか否かを判断する。
【0107】
そして、S190にて、本体10側のメインスイッチSW1のオフ状態からオン状態への切り換えが判定されなければ、当該表示制御処理を一旦終了し、逆に、本体10側のメインスイッチSW1のオフ状態からオン状態への切り換えが判定された場合には、S200に移行する。
【0108】
S200では、S120にて今回検出された二次電池50の異常内容と、
図5に示す表示素子81〜84の点灯パターンを表すデータとに基づき、二次電池50の異常内容に対応した表示部86の点灯パターンを設定すると共に、その表示時間として予め設定された異常表示時間(例えば、10秒)を設定し、S160に移行する。
【0109】
そして、S160では、S150又はS200で設定された表示部86の点灯パターン及び点灯時間に従い、表示素子81〜84の何れか若しくは全てを、その点灯時間の間、点灯又は点滅させることで、二次電池50の残容量又は異常を表示する、表示素子の点灯処理を起動し、当該表示制御処理を一旦終了する。
[実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の二次電池パック40には、本体10に装着した際に本体10の後方を向く後端面に、二次電池50の残容量や異常を表示するための表示部86と表示スイッチ80が設けられている。
【0110】
そして、表示スイッチ80を操作(押下)すると、二次電池パック40に内蔵されたMCU70が、表示部86を構成する4つの表示素子81〜84の点灯個数を制御することにより、二次電池50の残容量を表示する。
【0111】
また、MCU70は、二次電池50の残容量だけでなく、二次電池50の各種異常を検出するように構成されており、二次電池50の異常状態を検出しているときに、表示スイッチ80が操作(押下)されるか、或いは、本体10のトリガスイッチ22が操作されると、表示部86を構成する4つの表示素子81〜84を用いて、その検出した異常内容を、残容量の表示よりも優先して表示する。
【0112】
このため、本実施形態の二次電池パック40によれば、異常表示専用の表示装置を設けることなく(換言すれば、二次電池パック40の大型化を招くことなく)、二次電池パック40単体で二次電池50の異常表示を行うことができる。
【0113】
また、使用者は、電動工具本体10や充電器に二次電池パック40を装着することなく、二次電池50の異常を検知できることから、使用者にとって使い勝手のよい二次電池パックを提供できる。
【0114】
また、二次電池50の残容量や異常状態の表示時間は、予め設定された残容量表示時間若しくは異常表示時間に制限されているので、これらの表示時間を、使用者が表示内容を確認するのに要する時間に制限して、これらの表示によって二次電池50の電力が不必要に消費されるのを防止できる。
【0115】
また本実施形態では、二次電池50の異常を表示する際には、表示素子81〜84の点灯パターンから、異常内容を識別できるように、異常内容に応じて点灯パターンを設定し、しかも、二次電池パック40を充電器に装着することなく正常復帰し得る「ロック電流」を判定したときには、他の異常判定時とは点滅間隔が異なる点灯パターンを設定するようにされている。
【0116】
このため、使用者は、点滅している表示素子81〜84の数やその点滅周期から、二次電池50の異常内容を検知でき、しかも、本体10の操作(具体的にはトリガスイッチ22の操作停止)によって速やかに正常復帰し得る異常内容(駆動モータM1のロック)を一目で識別することができるようになる。
【0117】
ここで、本実施形態では、
図4に示した表示制御処理のS110にて実行される残容量算出処理が、本発明の残容量検出手段に相当し、同じくS140〜S160の一連の処理が、本発明の残容量表示制御手段に相当し、同じくS120にて実行される異常状態検出処理が、本発明の異常検出手段に相当し、同じくS130,S170〜S210及びS160の一連の処理が、本発明の異常表示制御手段に相当し、このうち、S190の処理が、本発明の判定手段に相当する。
[変形例]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて、種々の態様をとることができる。
【0118】
例えば、上記実施形態では、二次電池50の異常判定として、「ロック電流判定」、「過放電判定」、「過負荷判定」、「高温判定」及び「故障判定」を行うものとして説明したが、二次電池50を構成する各二次電池セルの電圧から二次電池セル毎に異常判定を行う「二次電池セル異常判定」、充電器から二次電池50への過充電により二次電池電圧が正常範囲を超えたことを判定する「過充電判定」、二次電池パック40の内部回路の故障により生じる異常を判定する「制御回路故障判定」等を、更に実施するようにしてもよく、或いは、これら各異常判定の中から選択される複数の異常判定を実施するようにしてもよい。
【0119】
また、上記実施形態では、LEDからなる4つの表示素子81〜84の点灯個数や点灯パターンを切り換えることで、二次電池50の残容量及び異常を表示するよう構成された二次電池パック40について説明したが、本発明の二次電池パックは、例えば、点灯時の色を、赤,緑,青というように変更可能な表示素子を1個だけ設け、その表示素子の点灯時の色や点灯状態(点灯・点滅、点滅間隔等)を切り換えることで、二次電池の残容量や異常状態を表示するように構成してもよい。
【0120】
また、上記実施形態では、本発明をドライバドリルに適用した場合について説明したが、ドライバドリル以外の電動工具に本願発明を適用してもよい。