(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の信号線のうち前記半導体膜に重なる部分と前記第2の信号線のうち前記半導体膜に重なる部分との距離は、前記第1の信号線と前記第2の信号線との間の距離のうち最小の距離より1.2倍以上大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の静電破壊の対策に用いられる双方向ダイオードや配線間の抵抗素子は、基板上の2つの導電層とそれらの間にある半導体層とを用いて形成されている。もちろんこれらの素子が形成されるまでは静電破壊を防ぐことはできないので、例えば上層側の導電層をスパッタリングで形成する工程で発生する静電破壊は防げない。また回路設計上の制約も大きかった。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであって、その目的は、双方向ダイオードや抵抗素子を設けるより簡易な構成で静電破壊を防ぐことのできる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下
の通りである。
【0008】
(1)絶縁基板と、前記絶縁基板の上に第1の信号線と第2の信号線とが形成された第1の導電層と、前記第1の導電層の上層に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の上層に設けられ、前記第1の信号線および第2の信号線と平面的に重なる半導体膜が形成された半導体層と、を含み、前記第1の信号線のうち前記半導体膜に重なる部分と前記第2の信号線のうち前記半導体膜に重なる部分との距離は、前記第1の信号線と前記第2の信号線との最小の距離より大きい、ことを特徴とする表示装置。
【0009】
(2)(1)において、前記第1の信号線のうち前記半導体膜に重なる部分と前記第2の信号線のうち前記半導体膜に重なる部分との距離は、前記第1の信号線と前記第2の信号線との最小の距離より1.2倍以上大きい、ことを特徴とする表示装置。
【0010】
(3)(1)または(2)において、前記半導体膜の上面に接する導電膜が設けられる第2の導電層をさらに含む、ことを特徴とする表示装置。
【0011】
(4)(1)から(3)のいずれかにおいて、それぞれが画素電極と画素スイッチとを含む複数の画素回路をさらに含み、前記第1の信号線は前記画素スイッチのゲート電極に接続され、前記第2の信号線は前記画素電極との間で発生する電界を液晶に印加するコモン電極と接続される、ことを特徴とする表示装置。
【0012】
(5)(1)から(3)のいずれかにおいて、前記第1の信号線および前記第2の信号線のうち少なくとも一方は、前記絶縁基板上に設けられる端子であって外部と接続するための端子とは接続されない、ことを特徴とする表示装置。
【0013】
(6)絶縁基板と、前記絶縁基板の上に第1の信号線と第2の信号線とが形成された第1の導電層と、前記第1の導電層の上層に設けられた絶縁層と、前記絶縁層の上層に設けられ、前記第1の信号線および第2の信号線と平面的に重なる半導体膜が形成された半導体層と、を含み、前記半導体膜のうち前記第1の信号線と平面的に重なる第1の部分、前記第2の信号線と平面的に重なる第2の部分、および前記第1の部分と前記第2の部分との間にある第3の部分の上面に接する導電膜は形成されない、ことを特徴とする表示装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、双方向ダイオードや抵抗素子を用いて配線間を接続するより簡易な構成で静電破壊を防ぐことのできる表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。出現する構成要素のうち同一機能を有するものには同じ符号を付し、その説明を省略する。以下では、表示装置の例として、IPS(In-Plane-Switching)方式の液晶表示装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0017】
本発明の実施形態に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルを含む。液晶表示パネルは、アレイ基板と、当該アレイ基板と対向し、カラーフィルタが設けられたフィルタ基板(対向基板とも呼ばれる)と、両基板に挟まれた領域に封入された液晶材料と、アレイ基板に取付けられたドライバ集積回路と、を含んでいる。アレイ基板及びフィルタ基板は、いずれもガラス基板などの絶縁基板である。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る液晶表示パネルの等価回路を示す回路図である。液晶表示パネルのアレイ基板上には、マトリクス状に配置され表示領域を構成する複数の画素回路PXと、表示領域内を図中の左右方向に延びる複数のゲート線GLおよびコモン線CLと、表示領域内を図中上下方向に延びる複数のドレイン線DLと、が配置される。配置される画素回路PXの数は液晶表示装置の解像度に対応している。本実施形態の例では解像度が240×400であり、さらに赤、青、緑をそれぞれ表示するとともに横方向に並ぶ3つの画素回路PXにより1つの画素を表示する。よって液晶表示パネルの表示領域内には720×400の画素回路PXが並んでいる。なお、アレイ基板のうち表示領域の外側の部分を額縁領域という。
【0019】
ドレイン線DLは、画素回路PXの列ごとに設けられ、ゲート線GLおよびコモン線CLは、画素回路PXの行ごとに設けられる。n番目のゲート線をGL
nと、n番目のコモン線をCL
nと、m番目のドレイン線をDL
mと記す。表示領域内には画素回路PXの行数にあわせてGL
1からGL
400の400本のゲート線GLと、CL
1からCL
400の400本のコモン線CLとが設けられている。さらに表示領域の外側にはダミーのコモン線CL
0およびCL
401が設けられている。また表示領域内には画素回路PXの列数にあわせて720本のドレイン線DLが設けられている。さらに表示領域の外側にダミーのドレイン線DL
0およびDL
721が設けられており、電気的にはそれぞれドレイン線DL
1およびDL
720に接続されている。なお、ゲート線GL、ドレイン線DL、コモン線CLはそれぞれ表示領域のある側の端の外側から内側へ延び、そしてその反対側の端から外側へと延びている。
【0020】
各画素回路PXは画素容量CPと画素スイッチTRとを含む。画素容量CPは画素電極とコモン電極と、画素電極およびコモン電極に挟まれた液晶によって構成されている。画素スイッチTRは薄膜トランジスタであり、そのソース電極は画素電極に接続され、ドレイン電極はこの画素回路PXに対応するドレイン線DLに接続される。なお、画素スイッチTRのような薄膜トランジスタでは構造上は極性が定まっておらず、ソースおよびドレイン電極はその薄膜トランジスタを流れる電流の向きと薄膜トランジスタがnチャネル型かpチャネル型かとによって定まる。よってドレイン線DLに接続される方をソース電極とし、画素電極に接続される方をドレイン電極としてもよい。コモン電極はこの画素回路PXに対応するコモン線CLに接続される。コモン電極と画素電極との間には画素容量CPに溜まった電荷に応じた電界が発生し、その電界によって液晶層を透過する光の偏光の度合いが変化し、それにより各画素回路は階調を表示する。
【0021】
額縁領域のうち表示領域の左側および右側のそれぞれには、アース線VGLが図中上下方向に延びている。各ゲート線GLは表示領域の左側と右側とでアース線VGLと平面的に交差している。またその交差する部分のそれぞれに対応して双方向ダイオードBDが設けられている。双方向ダイオードBDは対応する交差部分を構成するゲート線GLとアース線VGLとを接続するように設けられている。2本のアース線VGLは互いに接続され、それらのアース線は液晶パネルの外部から所定の電位を供給する端子にも接続されている。表示領域の左側のアース線VGLのさらに左側と、表示領域の右側のアース線VGLのさらに右側とには、コモン共通線CLIが図中上下方向に延びている。各コモン線CLは表示領域の左側と右側とでアース線VGLと平面的に交差し、さらにコモン共通線CLIに接続される。コモン共通線CLIは液晶パネルの外部からコモン電位を供給する端子に接続されている。また額縁領域のうち表示領域の上側には図中左右方向にドレイン放電線DDLが延びている。ドレイン放電線DDLは各ドレイン線DLと交差しており、各ドレイン線DLとドレイン放電線DDLとは双方向ダイオードBDを介して接続されている。ドレイン放電線DDLは双方向ダイオードBDを介してコモン共通線CLIに接続されている。
【0022】
図2は、液晶表示パネルの額縁領域の構造の例を示す部分平面図である。特に表示領域の左側の部分を拡大した図である。また
図3は
図2のA−A切断線における断面図である。コモン共通線CLIは額縁領域を図中上下方向に延びている。ゲート線GLは図中左右方向に延びており、表示領域の外側のコモン共通線CLIの手前まで達している。またゲート線GLは
図2の上下方向に延びるアース線VGLと平面的に交差している。アース線VGLとゲート線GLとが交差する箇所の周辺には、双方向ダイオードBDが画素回路PXの各行に対して1つずつ設けられている。双方向ダイオードBDはダイオード接続の状態となる薄膜トランジスタ(以下では放電トランジスタという)を2つ組み合わせることで形成され、一方はアース線VGLの図中左側、他方はアース線VGLの図中右側に配置される。左側の放電トランジスタのゲート電極は、ゲート線GLのうちアース線VGLと交差する部分のすぐ左の部分と接続され、またこの放電トランジスタのドレイン電極に接続されている。右側の放電トランジスタのゲート電極は、層間乗り換え構造を介してアース線VGLに接続され、また層間乗り換え構造を介してこの放電トランジスタのドレイン電極に接続されている。
【0023】
コモン共通線CLIに近いゲート線GLの端部は拡がっておりその形状は矩形である。アレイ基板を平面的にみてコモン共通線CLIより端側(図中左側、以下では外側と記載する)にはゲート線GLのそれぞれに対応して設けられる400本のゲート接続線GLAが図中上下方向に延びている。コモン共通線CLIを乗り越えるブリッジ配線BLによって、ゲート線GLと対応するゲート接続線GLAとが接続される。
【0024】
表示領域の左端にはドレイン線DL1が上下方向に延びており、その左側をダミーのドレイン線DL0が延びている。ドレイン線DL1とダミーのドレイン線DL0との間には画素回路PXの行ごとにコモン電極接続端子CTが設けられている。コモン電極接続端子CTの平面的形状は矩形であり、その左右にあるダミーのドレイン線DL0およびドレイン線DL1との間隔は一定であり、その上下に配置されるゲート線GLとの間隔も一定である。コモン電極接続端子CTとコモン共通線CLIとは、左右方向にまっすぐに伸びるコモン接続線CLAによって接続されている。表示領域の内においては2本のゲート線GLと2本のドレイン線DLとに囲まれる領域に画素回路PXが配置されており、平面的にみてその領域の左下部分に画素スイッチTRが設けられている。
【0025】
画素スイッチTRのドレイン電極は画素回路PXに対応するドレイン線DLに接続され、画素スイッチTRのソース電極は画素回路PXの画素電極に接続される。
図2ではドレイン電極はドレイン線DLの一部となっている。またアース線VGLの左側の放電トランジスタのドレイン電極は同層のブリッジ配線BLと接続されており、ソース電極は同層のアース線VGLと接続されている。アース線VGLの右側の放電トランジスタのドレイン電極は同層のアース線VGLと接続され、ソース電極は層間乗り換え構造を介してその図中上側に隣接するゲート線GLと接続されている。
【0026】
ここで、ゲート線GL、コモン共通線CLI、コモン電極接続端子CT、コモン接続線CLAおよび放電トランジスタのゲート電極は、絶縁基板SUB上の第1の導電層に形成されている。第1の導電層の上層には、SiNのゲート絶縁膜により形成される第1の絶縁層I1が設けられており、その上層に設けられる半導体層には、ブリッジ半導体膜BSと、チャネル半導体膜CSと、配線間半導体膜MSとが形成される。半導体層の半導体膜は本実施形態では非晶質シリコン(aSi)によって形成されている。また半導体層の上層に設けられる第2の導電層(ソースドレイン層)には、ドレイン線DLと、アース線VGLと、放電トランジスタや画素スイッチTRのソース電極およびドレイン電極と、ブリッジ配線BLと、が形成されている。
【0027】
ブリッジ半導体膜BSは、平面的にみてコモン共通線CLIと、ゲート線GLの端部と重なっている。より具体的にはブリッジ半導体膜BSはコモン共通線CLIと交差する方向である図中左右方向に延びており、コモン共通線CLIより外側から、コモン共通線CLIを超えてゲート線GLの端部の一部まで延びている。一方、ブリッジ半導体膜BSの下側にはコモン共通線CLIと交差して図中左右方向に延びるブリッジ配線BLが延びており、その左端はゲート接続線GLAと接続される。ブリッジ半導体膜BSとゲート線GLの端部とが重なる部分の右側に隣接して層間乗り換え構造があり、ブリッジ配線BLの右端の部分と透明電極を介して接続されている。ブリッジ配線BLの右端の部分は、左側の放電トランジスタのチャネル半導体膜CSの一端と接続されている。ゲート接続線GLAには外部と接続される端子からゲート線GLを駆動する信号が供給される。
【0028】
コモン共通線CLIとブリッジ配線BLとが平面的に重なる部分には、その2層の配線の間に配線間半導体膜MSが設けられている。これは、配線間半導体膜MSの上面に接するブリッジ配線BLの断線を防ぐために形成されており、配線間半導体膜MSは平面的にみてブリッジ配線BLとコモン共通線CLIとが重なる領域を外側に一定幅拡げた形状に、さらに下層にコモン共通線CLIがなく上層にブリッジ配線BLがある部分にでっぱりを設けた形状となっている。このでっぱりは、ブリッジ配線BLの断線を防ぐために設けられている。なお、
図2の例では、配線間半導体膜MSとブリッジ半導体膜BSとが平面的に接しており、見かけ上は一体になっている。配線間半導体膜MSは、他にもゲート線GL、コモン接続線CLAとアース線VGLとが平面的に交差する箇所や、ドレイン線DLとゲート線GLとが交差する箇所などにも形成されている。チャネル半導体膜CSは、放電トランジスタや画素スイッチTRごとに設けられており、そのゲート電極と平面的に重なり、また両端部の上面はそれらのドレイン電極およびソース電極に接している。
【0029】
ソースドレイン層の上層には層間絶縁膜が形成される第2の絶縁層I2が設けられ、その上層に透明電極膜TEが設けられている。透明電極膜TEはITO(Indium Tin Oxide)によって形成される。透明電極膜TEは画素電極、コモン電極線CE、および層間乗り換え構造などに用いられている。層間乗り換え構造は具体的には第2の絶縁層I2から第1の導電層内の電極膜(例えばゲート線GL)の上面に達するコンタクトホールと、その隣にあり第2の絶縁層I2から第2の導電層内の電極膜(例えばブリッジ配線BL)の上面に達するコンタクトホールと、第2の絶縁層の上層に形成されそれらのコンタクトホールの底部で第1および第2の導電層の電極膜に接する透明電極膜TEとによって構成される。またコモン電極接続端子CTはその層にあるコモン電極線CEに接続されている。なお、コモン電極線CEとコモン電極接続端子CTとコモン接続線CLAとは、
図1のコモン線CLに相当する。またコモン共通線CLIとコモン線CLは同一の層で電気的に接続される状態で形成される配線であり、1つの配線とみなすこともできる。
【0030】
図4はブリッジ半導体膜BSとゲート線GLおよびコモン共通線CLIとの関係を模式的に説明する図である。ゲート線GLとブリッジ半導体膜BSとの間には静電容量C1が発生しており、コモン共通線CLIとブリッジ半導体膜BSとの間には静電容量C2が発生している。この構造をaSiブリッジ構造と呼ぶ。
図5は、aSiブリッジ構造の等価回路を示す図である。コモン共通線CLIとゲート線GLとの間で静電容量C1およびC2が直列する状態となっており、またこの構造によって、コモン線CLとゲート線GLとが関係していることがわかる。ここで、
図4に示すようにブリッジ半導体膜BSとゲート線GLおよびコモン共通線CLIとの間にある第1の絶縁層I1は薄膜であり非常に薄い。よって静電破壊が起きるより低い電位差でも、ブリッジ半導体膜BSとゲート線GLの間およびブリッジ半導体膜BSとコモン共通線CLIの間で、第1の絶縁層I1を介して電流が流れる。見方を変えればaSiブリッジ構造は高抵抗素子として作用する。これにより、製造時にゲート線GLあるいはコモン線CLに溜まった電荷はaSiブリッジ構造によって放電され、ゲート線GLとコモン線CLとの間の静電破壊を防ぐことができる。またブリッジ半導体膜BSを形成すれば第2の導電層の導電膜が形成される前でも効果が得られるので、第2の導電層の製造途中の静電破壊も防ぐことができる。
【0031】
ここで、aSiブリッジ構造が存在する箇所におけるゲート線GLとコモン共通線CLIとの距離、より具体的にはゲート線GLのうちブリッジ半導体膜BSに重なる部分とコモン共通線CLIのうちブリッジ半導体膜BSに重なる部分との距離は、aSiブリッジ構造が無いと仮定した場合に静電破壊が起きない距離とする方が望ましい。少なくともゲート線GLとコモン接続線CLAおよびコモン電極接続端子CTとの最小の距離より広い方がよく、できれば最小の距離より1.2倍以上である方がよい。なお、aSiブリッジ構造はゲート線GLとコモン共通線CLIとの間だけでなく、他の配線の間にも適用できる。また半導体膜は2本の配線と平面的に重なるだけでなく、3本以上の配線と重ねてもよい。
【0032】
一方で、aSiブリッジ構造は静電破壊が起きやすい配線の間に形成すればよく、その位置は静電破壊が起きやすい箇所でなくてもよく、また形状の自由度も高い。これにより、従来の方法では対策をとれない配線に対しても静電破壊を防止する対策が可能となる。例えば、製造工程において液晶表示パネルの外部にアースをして静電破壊を防ぐことが行われている。これは絶縁基板SUB上に端子を設け、製造工程中にその端子に外部のアース配線を接続し、アース配線から基準となる電位を供給することによって行われる。この構造からわかるように端子と接続されない配線(フローティング配線)はアースできない。しかし上述のブリッジ構造を用いれば、このようなフローティング配線に対しても効果を得ることができる。
【0033】
ここで、ブリッジ半導体膜BSの上面にソースドレイン層の電極膜SDMが接するような構造であっても静電破壊を防ぐ効果が得られる。
図6は、ブリッジ半導体膜BSとゲート線GLおよびコモン共通線CLIとの関係の他の例を模式的に説明する図である。
図4に示す例と異なり、平面的にみてブリッジ半導体膜BSのうちゲート線GLと重なる第1の部分、コモン共通線CLIと重なる第2の部分、および第1の部分と第2の部分との間にある第3の部分の3つの部分の上面に接するソースドレイン層の導電膜SDMが形成される。ただし、配線間の抵抗を高くするという意味では、上述のソースドレイン層の導電膜SDMが形成されない方がよい。
【0034】
以下ではこのような液晶表示装置の製造工程の概要について説明する。はじめに、絶縁基板SUB上に、ゲート線GLやコモン共通線CLIを含む第1の導電層を形成する。ここで、絶縁基板SUBは、例えばガラス基板などの透明基板である。この工程では、ゲート線GL等になる金属、例えばモリブデン、タングステン、タンタル等の高融点金属やその合金を成膜し、ホトリソグラフィおよびエッチングによりパターニングし、ゲート線GL等が形成される。
【0035】
次に、第1の導電層の電極膜を被覆するように第1の絶縁層I1が形成される。第1の絶縁層I1は、たとえば窒化シリコンであり、CVD法などによって成膜される。そして連続して非晶質シリコン(aSi)を含む半導体層を成膜する。次に、半導体層をホトリソグラフィおよびエッチングによりパターニングし半導体膜を形成する。例えばエッチングの手法としてフルオロカーボン系などのガスによるプラズマイオンを用いる。
【0036】
次に、例えばアルミニウム等の金属またはその合金をスパッタリングにより成膜し第2の導電層の金属膜を形成する。その後、ホトリソグラフィおよびエッチングにより、アース線VGL等を形成する。次に、第2の絶縁層I2として例えば窒化シリコンをCVD法により成膜する。その後、コンタクトホール等を形成した後に透明電極膜TEを成膜およびパターニングし、さらにその上に絶縁膜を成膜し、コンタクトホール等を形成する。その後、画素電極を形成することで、IPS方式の画素回路や額縁領域の回路が形成される。
【0037】
なお、本発明が適用されるのはIPS方式の液晶表示装置には限られない。TN(Twisted Nematic)方式やVA(Vertical Alignment)方式の液晶表示装置等にも適用することができる。基板上の配線間において同様の静電破壊が発生しうる一方で、薄膜トランジスタを含む構成であればそれらの配線と重なる半導体膜を形成できるからである。またその半導体膜は非晶質シリコンでなくてもよい。