【実施例】
【0028】
まず、本実施例に係る車載システム10の構成について
図2および
図3を用いて説明する。
図2は、本実施例に係る車載システム10の構成の概要を示す図であり、
図3は、本実施例に係る車載システム10の構成を示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、本実施例に係る車載システム10は、ナビマイコン11と、オーディオマイコン12と、スイッチ13と、DC−DCコンバータ(レギュレータ)14a、14bとを備えている。また、車載システム10には、ディスプレイ20が接続されている。
【0030】
ナビマイコン11は、車両の現在位置を含むルート情報、地図情報などをディスプレイ20へ表示し、また、音声ガイドによってルート案内や地図案内などを報知する等と言った各種ナビゲーション機能を実現するために、ナビゲーション装置を構成する各構成要素を制御する処理を行う処理部である。
【0031】
また、車載システム10には、バッテリ23から、B/U(常時バックアップ電源)21ラインと、ACC(アクセサリ電源)22ラインで電源を供給されている。なお、B/U21ラインはバッテリ23直結の電源ラインでイグニッションスイッチ24の操作位置に関係なく常時電力が供給され、ACC(アクセサリ電源)22ラインは、イグニッションスイッチの操作位置がACC位置(車載機の電源オン位置)、あるいはオン位置(エンジンオン位置)で電力が供給される。なお、ここでは、電源の流れを破線で示す。
【0032】
オーディオマイコン12は、ラジオやCD(Compact Disc)などの音声を再生し、また、ナビマイコン11からの音声ガイドを出力する等と言った各種オーディオ機能を実現するために、オーディオ装置を構成する各構成要素を制御する処理を行う処理部である。さらに、オーディオマイコン12は、DC−DCコンバータ14b等を制御する等して、ナビマイコン11へ電源の供給制御を行い、また、車載システム10へ電源の供給制御を行う処理を併せて行う。
【0033】
なお、
図2ではオーディオマイコン12によるナビマイコン11の制御部分を主に記載しており、ナビゲーション装置やオーディオ装置を構成する各構成要素等については省略している。
【0034】
スイッチ13は、短押し(所定時間以下の継続(押下)操作)されたことによって、オーディオ機能の電源をオン/オフする操作ボタンである。また、スイッチ13は、ナビマイコン11のフリーズ状態からの復帰を指示する復帰操作を受け付ける操作ボタンの機能も併せて備える。なお、本実施例では、このスイッチ13が長押し(所定時間以上の継続(押下)操作)されたことによって、オーディオマイコン12は、ナビマイコン11の電源をオン/オフする。
【0035】
DC−DCコンバータ14a、14bは、電圧変換器であり、DC−DCコンバータ14aは、バッテリ23から、B/U21、ACC22を介して供給される電力を、その電圧をオーディオマイコン12の動作電圧に変換してオーディオマイコン12へ電源供給する。
【0036】
また、DC−DCコンバータ14bは、DC−DCコンバータ14aから供給される電力を、その電圧をナビマイコン11の動作電圧に変換してナビマイコン11へ電源供給する。そして、このDC−DCコンバータ14bは、オーディオマイコン12によってかかる動作が制御される。
【0037】
ディスプレイ20は、ナビゲーション情報やオーディオ情報等、各種情報を表示するもので、液晶表示パネル等により構成される。たとえば、ディスプレイ20は、オーディオマイコン12からナビマイコン11経由で、カーナビの復帰処理が行われる通知を受け付けたならば、その旨を表示する。
【0038】
また、ディスプレイ20は、ナビゲーション情報として車両の現在位置を含むルート情報、地図情報などを表示し、オーディオ情報としてCDなどの再生操作を行う場合には、アルバム名や曲名などのCDに関する情報などを表示する。
【0039】
なお、ディスプレイ20は、車内LAN(Local Area Network)を制御する図示しないCAN(Controller Area Network)マイコン経由で、オーディオマイコン12と接続されている。
【0040】
また、ここでは、車載システム10に備えるスイッチ13と、ディスプレイ20とは別体とする構成としたが、ディスプレイ20とスイッチ13とが一体となった構成としてもよい。その他の構成の詳細については
図9を用いて後述する。
【0041】
つづいて、上記したような車載システム10の詳細な構成について
図3を用いて説明する。
図3は、本実施例に係る車載システム10の構成を示すブロック図である。
【0042】
本実施例に係る車載システム10は、通信I/F(インターフェース)15と、記憶部16とをさらに備えており、記憶部16は、作動情報16aを記憶する。また、ナビマイコン11は、復旧部11aと、画像処理部11bとを備えており、オーディオマイコン12は、ナビ検知部12aと、受付部12bと、復帰部12cと、減衰部12dと、報知部12eと、更新部12fとをさらに備えている。なお、オーディオマイコン12には、スピーカ30が接続されている。
【0043】
また、復旧部11a、画像処理部11b、ナビ検知部12a、受付部12b、復帰部12c、減衰部12d、報知部12e、更新部12fは、ナビマイコン11、あるいはオーディオマイコン12のプログラムに基づく処理により実現する機能(ブロック)であるが、ここでは動作を分かり易くするため、これら各機能部が動作、あるいは処理するといった表現で説明する。
【0044】
ナビ検知部12aは、ナビマイコン11がフリーズ状態か否かを検知する処理を行う処理部である。たとえば、ナビマイコン11へ応答要求を行って所定時間内にナビマイコン11からの応答がないことによってナビマイコン11がフリーズ状態となったことを検知する。
【0045】
また、ナビ検知部12aは、カーナビがフリーズ状態となったことを検知した場合に、その旨を復帰部12cへ通知する処理を併せて行う。
【0046】
受付部12bは、スイッチ13が長押しされたことを検知することによって復帰操作を受け付ける処理を行う処理部である。たとえば、受付部12bは、キーマトリックススキャンといった手法によって他スイッチとともに所定のスイッチ13の状態を検知し、所定の閾値を超えた時間、継続してスイッチ13が押下されたことを検知した場合に、長押しされたと判定し、復帰操作を受け付ける。なお、本実施例では、継続してスイッチ13が押下された時間を「押下時間」と記載することとする。
【0047】
また、押下時間の閾値は、ユーザによって変更できることとしてもよい。ここで、押下時間の変更画面について
図4を用いて説明しておく。
図4は、押下時間の変更画面を示す図である。
【0048】
カーナビのメニュー画面から、「押下時間変更」といったメニューが選択された場合、車載システム10は、
図4に示したような「押下時間変更画面」をディスプレイ20へ表示する。そして、ユーザ操作によって設定された時間に押下時間の閾値を変更する。
【0049】
なお、ここでは、直接押下時間の閾値を入力することができる画面を例示したが、複数の押下時間候補を表示し、そこから設定する時間を選択する方法や、閾値時間に渡って継続して押下操作する旨を表示し、その際にユーザが実際に押下操作した継続時間を閾値に設定する方法を採用してもよい。
【0050】
また、長押し判定の閾値の設定は、「復帰操作」の判定に対してだけでなく、他のスイッチ(長押し操作と短押し操作で選択される動作が異なるスイッチ)に対する判定にも共通に設定される。
【0051】
図3に戻り車載システム10の構成についての説明を続ける。復帰部12cは、カーナビがフリーズ状態となり、かつ、復帰操作を受け付けた場合に、カーナビの復帰処理を行う処理部である。
【0052】
具体的には、復帰部12cは、まず、減衰部12dへ、出力用の音量を無音状態(以下、「ミュート」と記載する)となるよう指示する。そして、復帰部12cは、ナビマイコン11および必要に応じて車載システム10の所定箇所への電源の供給を一旦止め、その後、ナビマイコン11および車載システム10の当該所定箇所への電源を供給する。
【0053】
このように、本実施例では、ナビマイコン11への電源供給を止めてナビマイコン11をリセットする。つまり、通常のイグニッションキーによるACCオフによる電源遮断と同等の動作となるので、ナビマイコン11のリセット端子へのリセット信号供給や、バックアップラインも含めた電源遮断のような過剰なリセット(保護されたデータの初期化や周辺機器の認識動作等も伴った深いリセット)にはならず、早期の復帰、またフリーズ前の状態に近い状態への復帰が可能となる。
【0054】
復帰部12cは、このようにナビマイコン11および車載システム10の電源を一旦遮断し、再度投入することによりナビマイコン11を再起動させ、この再起動によりフリーズ状態となったカーナビを復帰させる。また、復帰部12cは、カーナビの復帰処理を行う際、その旨を報知部12eへ報知する処理を併せて行う。
【0055】
減衰部12dは、復帰部12cから出力用の音量をミュートとする指示を受け付けたならば、スピーカ30を駆動する電力増幅器のゲインを0にする、あるいはスピーカ30への音響信号伝達経路を遮断すると言った制御を行い、音声がスピーカ30から出力されないようにする。
【0056】
なお、音声再生系の各種回路で突然電源が切れた場合、たとえば、「ブツッ」といったユーザに対して不快感を与える音(以下、「ボツ音」と記載する)が発生してしまう。ナビマイコン11の電源が切れた場合も、ナビゲーション関係の音声系の回路(例えば音声案内のための回路)も電源遮断の影響を受け、「ボツ音」が発生することがある。
【0057】
したがって、上述したように、電源の供給を止める時点で、出力用の音量を抑える(たとえば無音とする)、つまりミュート状態としておくことによって、「ボツ音」の発生を防止することができる。
【0058】
報知部12eは、復帰部12cによってカーナビの復帰処理が行われる通知を受け付けたならば、その旨のディスプレイ20への表示をさせるよう画像処理部11bへ通知する処理を行う処理部である。また、報知部12eは、カーナビの復帰処理が行われる通知を受け付けたならば、スピーカ30からの音声出力によりユーザへ報知する処理を併せて行う。
【0059】
ここで、報知部12eが報知する報知画面の詳細について
図5を用いて説明しておく。
図5は、ナビマイコン11の復帰処理の報知画面を示す図である。
【0060】
報知部12eは、復帰部12cによってカーナビの復帰処理が行われている間、復帰処理中であるメッセージをディスプレイ20へ表示する。たとえば、
図5の(A)に示したように、報知部12eは、「カーナビ リセット中です」といったメッセージを表示し、ステータスバーによって復帰処理の進行状況を表示することとしてもよい。
【0061】
ここで、受付部12bによって復帰操作を受け付けた場合であっても、カーナビがフリーズ状態となっていないこともある。たとえば、カーナビがスクリーンセーバーの作動中や、スタンバイ状態またはスリープ状態となっていた際に、フリーズ状態と間違い誤ってスイッチ13が長押しされた場合も考えられる。
【0062】
このため、報知部12eは、受付部12bによって復帰操作を受け付け、かつ、カーナビがフリーズ状態ではない場合には、
図5の(B)に示したように、フリーズ状態ではない旨をディスプレイ20へ表示する。また、この場合には、復帰動作、つまりリセット処理は行わない。
【0063】
なお、ここでは、復帰処理の開始、復帰処理中、および、フリーズ状態ではない旨をディスプレイ20へ報知することとしたが、音声ガイドやビープ音(ブザー音:マイコンにより音声周波数帯の連続パルス信号を生成し、スピーカ等の音声変換器に供給することにより発生)などによってスピーカ30へ出力することとしてもよい。
【0064】
図3に戻り車載システム10の構成についての説明を続ける。報知部12eは、カーナビがフリーズ状態となった際に、その旨を報知する処理を併せて行う。
【0065】
たとえば、報知部12eは、スイッチ13やディスプレイ20のバックライトの色を変更、または、点滅させることによってフリーズ状態となったことを報知する。あるいは、報知部12eは、カーナビのディスプレイ20を含むパネル部分のチルト角を変化させることによって、フリーズ状態となったことを報知させてもよい。
【0066】
更新部12fは、ナビマイコン11がフリーズ状態となった原因を通信I/F15を介して外部の装置(製造元のサービスセンターのサーバ等)へ問い合わせ、原因に基づいてナビマイコン11のソフトウエアの更新処理を行う処理部である。なお、ナビマイコン11のソフトウエアの更新処理の詳細については
図6および
図8を用いて後述する。
【0067】
DC−DCコンバータ14bは、電圧変換器であり、バッテリ23からその電圧をナビマイコン11の動作電圧に変換してナビマイコン11へ電源供給する。そして、このDC−DCコンバータ14bは、オーディオマイコン12によってかかる動作、たとえば変換電圧出力のオン/オフ等が制御される。なお、ここでも、電源の流れを破線で示す。
【0068】
通信I/F15は、無線電波等を送受信する図示しないアンテナに接続されており、無線通信を行うための通信デバイスで構成され、外部の装置と車載システム10との間で、光通信や、電波通信等によってデータの送受信を行う。
【0069】
記憶部16は、イグニッションがオフの間もバッテリから電源供給が行われることで記憶内容が保持されるスタンバイRAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリおよびハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部16は、作動情報16aを記憶する。
【0070】
作動情報16aは、ナビマイコン11やオーディオマイコン12における最新の作動状態を示す情報であり、ナビマイコン11がフリーズ状態となる直前の状態にナビマイコン11、そして必要に応じてオーディオマイコン12を復旧させるために使用される。
【0071】
たとえば、作動情報16aとして、フリーズ状態となる直前のカーナビにおける地図の縮尺、目的地、および、検索ルート情報を記憶させてもよいし、また、再生中のラジオなどのチャンネルや、再生中のCDの曲名等を記憶させてもよい。
【0072】
また、作動情報16aとして、上記の項目をその動作時刻や操作時刻と共に記録、つまり動作・操作履歴等のログ情報を記憶し、カーナビがフリーズ状態となった原因の究明に利用できるようにしてもよい。
【0073】
復旧部11aは、復帰部12cによる復帰処理によってナビマイコン11が再起動された際、作動情報16aに基づいてナビマイコン11がフリーズ状態となる前の状態に復旧する処理を行う処理部である。
【0074】
画像処理部11bは、報知部12eからカーナビの復帰処理が行われる通知を受け付けたならば、その旨をディスプレイ20表示する。
【0075】
つぎに、オーディオマイコン12の更新部12fが実行するナビマイコン11の更新処理の詳細について
図6を用いて説明する。
図6は、ナビマイコン11の更新処理を説明するための図である。
【0076】
図6に示すように、通信I/F15は、無線電波等を送受信するアンテナに接続されており、外部の装置である管理装置40とデータの送受信を行う。なお、管理装置40は、ナビマイコン11のソフトウエアや不具合などの情報を管理している装置である。
【0077】
車載システム10の更新部12fは、作動情報16aに記憶されるログ情報を管理装置40へ送信し、ナビマイコン11がフリーズ状態となった原因を問い合わせる。一方、管理装置40は、車載システム10から受信したログ情報に基づいてかかる原因を診断し、診断結果を車載システム10へ送信する。
【0078】
そして、更新部12fは、管理装置40から受信したナビマイコン11がフリーズ状態となった原因に基づき、ナビマイコン11のソフトウエアの更新が必要な場合に、管理装置40などからソフトウエアをダウンロードし、ナビマイコン11のソフトウエアを更新する。これにより、車載システム10は、同じ原因によって再度ナビマイコン11がフリーズ状態となることを防止することができる。
【0079】
なお、ナビマイコン11がフリーズ状態となった原因を管理装置40が診断することとしたが、更新部12fがかかる原因を診断することとしてもよい。また、更新部12fがかかる原因に基づいてナビマイコン11のソフトウエアの更新を行うこととしたが、ソフトウエアの更新が必要なことを報知し、ユーザの手作業によってソフトウエアの更新が行われるようにしてもよい。
【0080】
また、ナビマイコン11がフリーズ状態となった際に、ナビマイコン11のソフトウエアの更新処理を行うこととしたが、かかるタイミングに限定されるものではない。
【0081】
たとえば、更新部12fは、定期的にソフトウエアのバージョン番号、リリース日時、または、更新日時などを管理装置40へ送信することによってナビマイコン11のソフトウエアを更新することとしてもよい。
【0082】
このように、車載システム10は、ナビマイコン11のソフトウエアを更新しておくことによって、ナビマイコン11がフリーズ状態となることを防止することができる。また、オーディオマイコン12が上述してきたナビマイコン11の更新処理を行うこととしたが、ナビマイコン11が行うこととしてもよい。なお、フリーズ状態の発生に伴いソフトウエアの更新を行う場合には、フリーズ状態の発生やソフトウエア更新の適用状態をフラグ処理等により記憶する必要がある。
【0083】
つぎに、オーディオマイコン12が実行するナビマイコン11の復帰処理の詳細について
図7を用いて説明する。
図7は、復帰処理手順の概要を示すフローチャートである。なお、この処理は車載システム動作中に繰り返し実行される。
【0084】
まず、ナビ検知部12aは、ナビマイコン11がフリーズしているか否かを検知し(ステップS101)、ナビマイコン11がフリーズしていることを検知した場合に(ステップS101,Yes)、報知部12eは、その旨を報知する(ステップS102)。
【0085】
一方、ナビ検知部12aは、ナビマイコン11がフリーズしていない場合には(ステップS101,No)、一連の本復帰処理を終了する。なお、この処理は繰り返し実行されるので、結果、ナビマイコン11がフリーズしているか否かの検知処理は継続される。
【0086】
受付部12bは、ナビマイコン11の復帰を指示する復帰操作を受け付けたか否かを判定し(ステップS103)、復帰操作を受け付けたと判定した場合(ステップS103,Yes)、報知部12eは、音声ガイドやビープ音などによって復帰処理が開始される旨を報知する(ステップS104)。
【0087】
また、受付部12bは、復帰操作を受け付けていないと判定した場合(ステップS103,No)、一連の本復帰処理を終了する。なお、この処理は繰り返し実行されるので、結果、復帰操作を受け付けるまで、ステップS103の判定処理は継続されることとなる。
【0088】
つづいて、減衰部12dは、出力音量をミュートとし(ステップS105)、復帰部12cは、ナビマイコン11および車載システム10の電源を一旦オフにしてから(ステップS106)、再度電源をオンにして(ステップS107)、オーディオマイコン12が実行する一連の本復帰処理を終了する。
【0089】
なお、車載システム10の電源を一旦オフにしてから再度電源をオンにするまでの時間は、充分にリセットがかかる時間、つまり電源回路における容量成分による残留電荷が放電されて、車載システム10のこの残留電荷によるオン状態が解消される時間よりも長い時間にする必要がある。
【0090】
つぎに、オーディオマイコン12が実行するナビマイコン11のソフトウエアの更新処理の詳細について
図8を用いて説明する。
図8は、更新処理手順の概要を示すフローチャートである。なお、この処理は、ナビマイコン11のフリーズからの復帰後に実行されるが、また、定期的に、ユーザの更新操作時等に実行してもよい。
【0091】
まず、更新部12fは、作動情報16aに記憶されるログ情報を管理装置40へ送信し(ステップS201)、ナビマイコン11がフリーズ状態となった原因を問い合わせる。そして、更新部12fは、管理装置40によって診断された診断結果を受信する(ステップS202)。
【0092】
その後、更新部12fは、受信した診断結果に基づいてナビマイコン11の更新が必要であるか否かを判定し(ステップS203)、更新が必要な場合に(ステップS203,Yes)、管理装置40からナビマイコン11の更新用ソフトウエアをダウンロードする(ステップS204)。
【0093】
そして、更新部12fは、ダウンロードしたソフトウエアによってナビマイコン11を更新し(ステップS205)、オーディオマイコン12が実行する一連の更新処理を終了する。
【0094】
一方、ステップS203で、更新部12fは、更新が必要ではないと判定した場合は(ステップS203,No)、処理を終了する。
【0095】
ところで、これまでは、車載システム10にナビマイコン11の復帰操作を受け付けるスイッチ13を備え、さらに、ディスプレイ20が接続されている構成としたが、このような構成に限定されるものではない。
【0096】
そこで、以下では、車載システムの構成の変形例について説明することとする。
図9は、変形例に係る車載システム100の構成を示すブロック図である。
【0097】
ここで、
図9に示すように、車載システム100に接続されるディスプレイ200にナビマイコン110の復帰操作を受け付けるスイッチ210を備える点で、
図2に示した構成とは異なる。
【0098】
具体的には、ディスプレイ200は、操作部と表示部とが一体となった表示装置であり、たとえば、押圧感知により入力を受け付け、かつ表示も兼ねるタッチパネル式の液晶ディスプレイを用いることとしてもよい。
【0099】
また、車載システム100は、車内LAN(Local Area Network)を制御するCANマイコン170をさらに備えており、ディスプレイ200は、スイッチ210を制御するスイッチマイコン220と、ディスプレイ200への表示を制御するディスプレイ(DISP)マイコン230とをさらに備える。
【0100】
スイッチマイコン220は、カーナビがフリーズ状態となった際、スイッチ210が長押しされたことを検知することによって復帰操作を受け付け、ナビマイコン110の復帰指示を車載システム100へ通知する。
【0101】
一方、車載システム100に備えるオーディオマイコン120は、CANマイコン170を介してスイッチマイコン220からのナビマイコン110の復帰指示を受け付けたならば、ナビマイコン110の復帰処理を行う。
【0102】
また、DC−DCコンバータ140は、バッテリ23からその電圧をナビマイコン110の動作電圧に変換してナビマイコン110へ電源供給する。そして、このDC−DCコンバータ140は、オーディオマイコン120によってかかる動作が制御される。
【0103】
なお、オーディオマイコン120が実行するナビマイコン110の復帰処理については、
図3を用いて既に説明したので、ここでの説明を省略する。以下に、スイッチマイコン220からのナビマイコン110の復帰指示の一例について、具体的に説明する。
【0104】
たとえば、スイッチマイコン220とCANマイコン170とは、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)といったシリアル信号とパラレル信号とを相互に変換する集積回路によって接続される。
【0105】
そこで、スイッチマイコン220は、復帰操作を受け付けた場合に、所定時間、たとえば、100m秒ローレベルのシリアル信号をCANマイコン170経由でオーディオマイコン120へ出力する。
【0106】
また、オーディオマイコン120は、100m秒ローレベルのシリアル信号を受信したならば、ナビマイコン110の復帰指示を受け付けたと判定し、ナビマイコン110の復帰処理を行うこととなる。
【0107】
なお、ここで、カーナビがフリーズ状態となり、かつ、所定時間を経過しても復帰操作が行われなかった場合に、CANマイコン170は、オーディオマイコン120に対してナビマイコン110の復帰指示を行う。
【0108】
具体的には、CANマイコン170は、オーディオマイコン120に対してシリアル信号の送信を途絶することによってナビマイコン110の復帰を指示する。
【0109】
一方、オーディオマイコン120は、CANマイコン170から受信するシリアル信号がローレベルを維持している場合に、シリアル信号が途絶されたと判定し、ナビマイコン110の復帰処理を行う。このように、オーディオマイコン120は、受信する信号に基づいてナビマイコン110の復帰指示が、復帰操作によるものであるか否かを判定する。
【0110】
図9に示したように、車載システム100に接続されるディスプレイ200にナビマイコン110の復帰操作を受け付けるスイッチ210を備えることとしたので、比較的操作し易い位置にあるディスプレイ近傍のスイッチ操作によってフリーズ状態を解消できるので、走行中等の操作が困難な状態であってもユーザによって容易にフリーズ状態を解消することができる。
【0111】
なお、図示しないが、車載システムとディスプレイとが一体となるような構成でもよい。たとえば、ナビマイコンとディスプレイとは、オーディオマイコン経由で接続され、オーディオマイコンが、スイッチが長押しされたことによってナビマイコンの復帰操作を受け付けるような構成としてもよい。
【0112】
上述してきたように、本実施例では、車両に搭載されるカーナビがフリーズ状態となった場合、ボタンを長押しするなど所定の操作によってナビマイコンの復帰操作を受け付け、ナビマイコンの復帰処理を行うこととしたので、走行中であっても利便性を損なうことなく適切にフリーズ状態を解消することができる。