(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記情報出力制御部は、割り込み情報の出力中に他の割り込み情報の割り込みが発生した場合において、出力中の割り込み情報に設定されている優先度の値が上記他の割り込み情報に上記初期値として設定された優先度の値以上である場合には、上記出力中の割り込み情報の出力を継続するように制御することを特徴とする請求項6に記載の割り込み制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による割り込み制御装置1を備えた車載システム10の概略構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の車載システム10は、割り込み制御装置1、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4、アンプ5、スピーカ6およびディスプレイ7を備えている。割り込み制御装置1、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4、アンプ5およびディスプレイ7は、車内LAN等のバス8を介してネットワーク接続されている。
【0018】
割り込み制御装置1は、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3およびメータ警告発生装置4にて発生する割り込み音声の出力を制御するものである。この割り込み制御装置1は、2つ以上の割り込み音声の割り込みが重複して発生したときに、それら割り込み音声の出力を調停する機能を有している。その調停の具体的な内容については、
図2を用いて後述する。
【0019】
ナビゲーション装置2は、車両の走行案内を行うものである。すなわち、ナビゲーション装置2は、自立航法センサやGPS(Global Positioning System)受信機などを用いて車両の現在位置を検出し、その近傍の地図データを記録媒体から読み出してディスプレイ7の画面上に表示する。そして、画面上の所定箇所に自車位置を示す自車位置マークを重ね合わせて表示することにより、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0020】
また、ナビゲーション装置2は、道路交通情報センタから送られてくる道路交通情報を受信して、刻々と変化する道路状況(渋滞状況や規制状況などを含む)を適時、ディスプレイ7の画面上に表示する。また、刻々と変化する道路状況を音声メッセージとして適時出力する。
【0021】
さらに、ナビゲーション装置2は、地図データを用いて現在地から目的地までを結ぶ最もコストが小さな経路を探索し、その探索した経路を誘導経路として地図画面上で他の道路とは色を変えて太く描画する。また、車両が誘導経路上の案内交差点に一定距離内に近づいたときに交差点拡大図をディスプレイ7に表示したり、進行方向を案内する経路誘導の音声メッセージをスピーカ6から適時出力したりすることにより、運転者を目的地まで案内する。
【0022】
ナビゲーション装置2が適宜出力する道路状況の音声メッセージや、経路誘導の音声メッセージは、何れも割り込み音声である。これらの割り込み音声は、割り込み制御装置1に供給され、必要に応じて調停の制御を受けた上で、アンプ5を介してスピーカ6から出力される。
【0023】
障害物警告発生装置3は、車両周囲に存在する障害物を検出し、障害物警告を発生する。例えば、障害物警告発生装置3は、車両周囲の画像を撮影するカメラを備え、当該カメラにて撮影された画像に対して画像認識処理を行うことにより、車両周囲に存在する障害物を検出する。あるいは、障害物警告発生装置3は、ミリ波レーダや超音波レーダなどのレーダを備え、電波を照射したときの反射波を捉えることにより、車両周囲に存在する障害物を検出する。障害物警告発生装置3は、車両周囲の障害物を検出したときは、障害物警告の音声メッセージを発生して割り込み制御装置1に供給する。
【0024】
メータ警告発生装置4は、車両の各種メータで測定される情報に関して運転者に警告すべき状況になったことを検出し、メータ警告を発生する。例えば、メータ警告発生装置4は、車速が所定速度を超えたことを検出し、メータ警告の1つであるスピード警告を発生する。また、メータ警告発生装置4は、ガソリン残量が所定量より少なくなったことを検出し、メータ警告の1つであるガソリン残量警告を発生する。メータ警告発生装置4は、スピード警告やガソリン残量警告などのメータ警告を発生したときは、当該メータ警告の音声メッセージを割り込み制御装置1に供給する。
【0025】
障害物警告発生装置3が適宜発生する障害物警告の音声メッセージや、メータ警告発生装置4が適宜発生するメータ警告の音声メッセージも、何れも割り込み音声である。これらの割り込み音声は、割り込み制御装置1に供給され、必要に応じて調停の制御を受けた上で、アンプ5を介してスピーカ6から出力される。
【0026】
図2は、本実施形態による割り込み制御装置1の機能構成例を示すブロック図である。割り込み制御装置1は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有し、これらによって実現する機能構成として、優先度設定部11、音声出力部12および音声出力制御部13を備えている。
【0027】
優先度設定部11は、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3およびメータ警告発生装置4にて発生される複数の割り込み音声に対してそれぞれ優先度を設定する。この優先度設定部11は、音声出力部12により割り込み音声の出力が開始された後、割り込み音声の出力が終了するまでの間の期間において、値を上げるように優先度を可変設定する。
【0028】
より具体的には、優先度設定部11は、音声出力部12により割り込み音声の出力を開始するときに、その割り込み音声の種類に応じた優先度の初期値を設定する。その後、割り込み音声の出力が終了するまでの間の期間において、当該初期値から値を上げていくように優先度を可変設定する。なお、割り込み音声の種類に応じた優先度の初期値は、例えばテーブル情報として優先度設定部11があらかじめ保持している。
【0029】
図3は、優先度設定部11により割り込み音声に対して設定される優先度の例を示す図である。
図3(a)はガソリン残量警告の音声メッセージ(割り込み音声)に対して設定される優先度、
図3(b)は経路誘導の音声メッセージに対して設定される優先度、
図3(c)は障害物警告の音声メッセージに対して設定される優先度の例をそれぞれ示している。
【0030】
図3(a)に示すように、優先度設定部11は、音声出力部12によりガソリン残量警告の音声メッセージの出力を開始するときに(発話開始のタイミング)、当該ガソリン残量警告に応じた優先度の初期値として“2”を設定する。その後、優先度設定部11は、音声出力部12により音声メッセージの出力が開始されてから当該音声メッセージの出力が終了するまでの期間の途中から、当該音声メッセージの出力が終了する(発話終了のタイミング)までの間に、優先度の値を線形状に上げていく。
【0031】
図3(b)に示すように、優先度設定部11は、音声出力部12により経路誘導の音声メッセージの出力を開始するときに(発話開始のタイミング)、当該経路誘導に応じた優先度の初期値として“4”を設定する。その後、優先度設定部11は、音声出力部12により音声メッセージの出力が開始されてから当該音声メッセージの出力が終了するまでの期間の途中から、当該音声メッセージの出力が終了する(発話終了のタイミング)までの間に、優先度の値を線形状に上げていく。
【0032】
なお、経路誘導の音声メッセージは、案内交差点から300m手前の地点、50m手前の地点、10m手前の地点など複数の地点において出力される。経路誘導の割り込み音声に関する優先度の初期値は、何m手前の地点で行う割り込み音声かに応じて異ならせるのが好ましい。具体的には、案内交差点に近い地点で発生させる割り込み音声ほど優先度の初期値を大きくする。
【0033】
図3(c)に示すように、優先度設定部11は、音声出力部12により障害物警告の音声メッセージの出力を開始するときに(発話開始のタイミング)、当該障害物警告に応じた優先度の初期値として“10”を設定する。この優先度の値は、優先度設定部11が設定し得る値の中で最も大きい値である。障害物警告の音声メッセージの優先度に関しては、優先度設定部11は、発話開始から発話終了までの全期間において、優先度を最高値の“10”に設定する。このようにするのは、障害物警告の音声メッセージは他の音声メッセージと比べて、出力すべき割り込み音声として緊急度が最も高いからである。
【0034】
なお、優先度設定部11は、割り込み音声の種類に応じた優先度の初期値に加え、優先度の値を上げていく上昇開始タイミング、上昇開始タイミングから割り込み音声の出力が終了する発話終了タイミング(=優先度の上昇を停止させる上昇終了タイミング)までの時間、当該上昇終了タイミングにおける最終的な優先度の値をテーブル情報として保持している。優先度設定部11は、音声出力部12により割り込み音声の出力が開始された後、上昇開始タイミングになったことを検知して、優先度の値を初期値から上昇終了タイミングにおける最終的な値まで線形的に上げていく。
【0035】
音声出力部12は、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3およびメータ警告発生装置4にて割り込み音声として発生される音声メッセージを入力し、必要に応じて音声出力制御部13による調停を受けた上で、バス8を介してアンプ5に音声メッセージを出力する。
【0036】
すなわち、音声出力部12は、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4の何れかにより1つの割り込み音声が発生しているときは、その割り込み音声を入力してそのままアンプ5に出力する。一方、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4により2つ以上の割り込み音声が重複して発生したときは、音声出力部12は、当該2つ以上の割り込み音声のうち、それぞれに設定された優先度に従って音声出力制御部13により調停された何れか1つの割り込み音声を選択的にアンプ5に出力する。
なお、音声出力部12は、特許請求の範囲に記載の出力部に相当する。
【0037】
音声出力制御部13は、本発明の情報出力制御部に相当するものであり、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4の何れかにより2つ以上の割り込み音声の割り込みが重複して発生したときに、当該2つ以上の割り込み音声に対して優先度設定部11により設定された優先度に従って、より優先度の値が大きい割り込み音声を優先して出力するように音声出力部12を制御する。
【0038】
すなわち、ある割り込み音声を音声出力部12が出力しているときに、他の割り込み音声が発生した場合、音声出力制御部13は、現在出力中の割り込み音声に対して優先度設定部11により設定されている優先度と、他の割り込み音声に対して優先度設定部11により初期値として設定された優先度とを比較する。そして、より優先度の値が大きい割り込み音声を優先して出力するように音声出力部12を制御する。
【0039】
例えば、現在出力中の割り込み音声に設定されている優先度の方が高い場合、音声出力制御部13は、現在出力中の割り込み音声を優先して出力するように音声出力部12を制御する。そして、現在出力中の割り込み音声の出力が終了した後に、他の割り込み音声の出力を開始するように音声出力部12を制御する。
【0040】
一方、他の割り込み音声に設定された優先度の方が高い場合、音声出力制御部13は、現在出力中の割り込み音声の出力を中断し、他の割り込み音声を優先して出力するように音声出力部12を制御する。そして、他の割り込み音声の出力が終了した後に、中断した割り込み音声の出力を最初から行うように音声出力部12を制御する。
【0041】
また、現在出力中の割り込み音声に設定されている優先度と、他の割り込み音声に初期値として設定された優先度とが同じ値である場合、音声出力制御部13は、現在出力中の割り込み音声の出力を継続するように音声出力部12を制御する。そして、現在出力中の割り込み音声の出力が終了した後に、他の割り込み音声の出力を開始するように音声出力部12を制御する。
【0042】
次に、上記のように構成した本実施形態による割り込み制御装置1の動作を説明する。
図4は、本実施形態による割り込み制御装置1の動作例を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートは、車載システム10に対して電源が投入されたときに開始する。
【0043】
図4において、音声出力部12は、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4の何れかにて割り込み音声が発生したか否か、すなわち、上記装置2〜4の何れかより割り込み音声の音声メッセージを入力したか否かを判定する(ステップS1)。
【0044】
ここで、割り込み音声が発生したと判断した場合、音声出力部12はその旨を優先度設定部11に通知する。この通知を受けた優先度設定部11は、発生した割り込み音声に対してその種類に応じた優先度の初期値を設定する(ステップS2)。そして、音声出力部12は、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4の何れかより入力した割り込み音声の音声メッセージを、バス8を介してアンプ5に出力する(ステップS3)。
【0045】
その後、音声出力部12は、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4の何れかにて他の割り込み音声が発生したか否かを判定する(ステップS4)。他の割り込み音声が発生したと判断した場合、処理はステップS9に遷移する。一方、他の割り込み音声が発生していないと判断した場合、優先度設定部11は、ステップS2で初期値として設定した優先度の値を上げていく上昇開始タイミングになったか否かを判定する(ステップS5)。まだ上昇開始タイミングになっていない場合、処理はステップS4に戻る。
【0046】
一方、上昇開始タイミングになったと判断した場合、優先度設定部11は、優先度の値を初期値から上昇終了タイミングにおける最終値に向けて線形的に上げていく(ステップS6)。その後、優先度設定部11は、音声出力部12による割り込み音声の出力が終了したか否か、つまり、優先度の上昇終了タイミングになったか否かを判定する(ステップS7)。
【0047】
ここで、まだ上昇終了タイミングになっていないと判断した場合、つまり、割り込み音声の優先度を上昇させている途中の段階である場合、音声出力部12は、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4の何れかにて他の割り込み音声が発生したか否かを判定する(ステップS8)。他の割り込み音声が発生していない場合、処理はステップS6に戻り、割り込み音声の出力中における優先度の上昇を続行する。
【0048】
一方、他の割り込み音声が発生したと判断した場合、優先度設定部11は、当該他の割り込み音声に対してその種類に応じた優先度の初期値を設定する(ステップS9)。そして、音声出力制御部13は、現在出力中の割り込み音声についてステップS2またはステップS6で設定された優先度の値と、他の割り込み音声についてステップS9で設定された優先度の初期値とを比較し(ステップS10)、現在出力中の割り込み音声の優先度が他の割り込み音声の優先度以上になっているか否かを判定する(ステップS11)。
【0049】
なお、優先度を上昇させる上昇開始タイミングになる前に他の割り込み音声が発生してステップS4からステップS9に遷移した場合、現在出力中の割り込み音声の優先度は初期値のままである。一方、上昇開始タイミングを経過した後に他の割り込み音声が発生してステップS8からステップS9に遷移した場合、現在出力中の割り込み音声の優先度は上昇過程における何れかの値である。ステップS11では、このような現在出力中の割り込み音声に関する優先度の値が、新たに発生した他の割り込み音声に関する優先度の初期値以上になっているか否かを判定する。
【0050】
ここで、現在出力中の割り込み音声の優先度が他の割り込み音声の優先度以上になっていると判断した場合、音声出力制御部13は、現在出力中の割り込み音声を継続して出力するように音声出力部12を制御する(ステップS12)。このとき、音声出力部12は、現在出力中の割り込み音声の出力が終了した後に他の割り込み音声を出力するために、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3またはメータ警告発生装置4の何れかより入力した他の割り込み音声の音声メッセージを一時的に保存しておく。
【0051】
次に、優先度設定部11は、現在出力中の割り込み音声に関して、優先度の値を上げていく上昇開始タイミングを既に経過しているか否かを判定する(ステップS13)。優先度を上昇させる上昇開始タイミングになる前に他の割り込み音声が発生してステップS4からステップS9に遷移した場合は、まだ上昇開始タイミングを経過していない。この場合、処理はステップS5に戻る。一方、上昇開始タイミングを経過した後に他の割り込み音声が発生してステップS8からステップS9に遷移した場合は、既に上昇開始タイミングを経過している。この場合、処理はステップS6に戻る。
【0052】
上記ステップS11において、現在出力中の割り込み音声の優先度が他の割り込み音声の優先度以上になっていないと判断した場合、音声出力制御部13は音声出力部12を制御して、現在出力中の割り込み音声の出力を中断し(ステップS14)、他の割り込み音声を優先して出力させる(ステップS15)。このとき、音声出力部12は、他の割り込み音声の出力が終了した後に、中断した割り込み音声の出力を最初から行うために、現在出力中の割り込み音声の音声メッセージを一時的に保存しておく。その後、処理はステップS4に戻る。この場合、音声出力部12は、他の割り込み音声の出力中に、更に別の割り込み音声が発生したか否かを判定する。
【0053】
上記ステップS7において、音声出力部12による割り込み音声の出力が終了した、つまり、優先度の上昇終了タイミングになったと判断した場合、音声出力部12は、続いて出力すべき他の割り込み音声が存在するか否かを判定する(ステップS16)。他の割り込み音声の音声メッセージが音声出力部12に保存されている場合、音声出力部12は、出力すべき他の割り込み音声が存在すると判断し、当該他の割り込み音声を出力する(ステップS17)。その後、処理はステップS4に戻る。
【0054】
一方、出力すべき他の割り込み音声が存在しないと判断した場合、音声出力部12は、出力を中断した割り込み音声が存在するか否かを判定する(ステップS18)。中断した割り込み音声の音声メッセージが音声出力部12に保存されている場合、音声出力部12は、中断した割り込み音声が存在すると判断し、当該割り込み音声を最初から出力する(ステップS19)。その後、処理はステップS4に戻る。なお、出力すべき他の割り込み音声も中断した割り込み音声も存在しない場合、処理はステップS1に戻る。
【0055】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、音声出力部12により割り込み音声の出力が開始された後、当該割り込み音声の出力が終了するまでの期間において、優先度設定部11が割り込み音声の優先度の値を上げていく。そして、割り込み音声の出力中に他の割り込み音声が発生したときには、音声出力制御部13が、当該2つ以上の割り込み音声に対して設定された優先度に従って、より優先度の値が大きい割り込み音声を優先して出力するように制御するようにしている。
【0056】
このように構成した本実施形態の割り込み制御装置1によれば、割り込み音声の出力がいったん開始されると、出力中の割り込み音声の優先度が高くなっていく。そのため、割り込み音声の出力中に他の割り込み音声が発生した場合に、出力中の割り込み音声に設定された優先度の初期値が他の割り込み音声の優先度の初期値より低くても、出力中の割り込み音声の方が優先度が高くなる状態を作り出すことができる。
【0057】
例えば、
図5に示すように、最初にメータ警告発生装置4においてガソリン残量警告の割り込み音声が発生したとする。この場合、優先度設定部11は、
図3(a)のように優先度を可変設定する。例えば、ガソリン残量警告の割り込み音声の内容が「ガソリンが少なくなっています」というものであったとすると、最初の“ガ”の音声を出力するときが発話開始タイミング、最後の“す”の音声を出力するときが発話終了タイミングとなる。優先度設定部11は、この発話開始タイミングと発話終了タイミングとの間の途中にある上昇開始タイミングから優先度を上げ始め、上昇終了タイミング(=発話終了タイミング)で優先度の上昇を停止させる。
【0058】
仮に、ガソリン残量警告の割り込み音声について優先度を上昇させている過程において、ナビゲーション装置2において経路誘導の割り込み音声が新たに発生したとする。この場合、優先度設定部11は、経路誘導の割り込み音声に対して優先度の初期値を設定する。
図3(b)に示したように、経路誘導の割り込み音声に関する優先度の初期値は“4”である。
【0059】
図5の例では、経路誘導の割り込み音声が発生した時点で、ガソリン残量警告の割り込み音声の優先度が“4”より大きくなっている。そのため、ガソリン残量警告の割り込み音声の出力を中断することなく、最後まで継続して出力することができる。経路誘導の割り込み音声に関しては、ガソリン残量警告の割り込み音声の出力が終了した後に出力する。このように、本実施形態によれば、割り込み音声の出力が中断される状況を少なくして、ユーザに与えるストレス(中断によるストレスおよび再出力によるストレス)を小さくすることができる。
【0060】
なお、出力中の割り込み音声の優先度が高くなった状態でも、それよりも他の割り込み音声の方が優先度が高ければ、当該他の割り込み音声の方が優先して出力されることになる。例えば、
図5の例において、経路誘導の割り込み音声ではなく、障害物警告の割り込み音声が同じタイミングで発生したとする。この場合、優先度設定部11は、障害物警告の割り込み音声に対して優先度の初期値を設定する。
図3(c)に示したように、障害物警告の割り込み音声に関する優先度の初期値は“10”である。
【0061】
この場合、障害物警告の割り込み音声が発生した時点で、ガソリン残量警告の割り込み音声の優先度が“4”より大きくなっていても、ガソリン残量警告の割り込み音声の出力を中断し、障害物警告の割り込み音声を優先して出力することができる。このように、本実施形態によれば、優先度の高い割り込み音声については、適時の出力タイミングを逸しないようにすることもできる。
【0062】
以上のように、本実施形態の割り込み制御装置1によれば、優先度の高い割り込み音声については適時の出力タイミングを逸しないようにしつつ、割り込み音声の出力が中断される状況を少なくしてユーザに与えるストレスを小さくすることができる。
【0063】
なお、上記実施形態では、音声出力部12により割り込み音声の出力が開始された後、割り込み音声の出力が終了するまで(発話開始タイミングから発話終了タイミングまで)の期間の途中に設定した上昇開始タイミングから優先度の値を上げていく例について説明した。この上昇開始タイミングは任意に設定することが可能であるが、例えば、割り込み音声の出力が終了する時間(発話終了タイミング)から第
2の所定時間前のタイミングとすることが可能である。この場合の第
2の所定時間は、割り込み音声の種類に応じて異なる値としてもよいし、同じ値としてもよい。
【0064】
このようにすれば、割り込み音声の出力が終了する間際に優先度が高くなっていくので、特に割り込み音声の出力終了間際の中断および再出力を少なくして、ユーザに与えるストレスを小さくすることができる。また、現在出力中の割り込み音声の方が優先度が高くなった場合に出力を後回しにされる他の割り込み音声に関しても、出力が遅れる時間はそれほど長くならないので、出力タイミングが遅れることによる影響を少なくすることができる。例えば、
図5の例で、「50m先、右です」という経路誘導の割り込み音声の出力が遅れる時間はわずかなので、その遅れ時間の間に車両が50m以上走行して案内交差点を通過してしまうということは避けることができる。
【0065】
また、音声出力部12により割り込み音声の出力が開始された直後から優先度の値を上げていくようにしてもよい。すなわち、発話開始タイミングと優先度の上昇開始タイミングとを一致させてもよい。このようにすれば、割り込み音声の出力が終了する間際に限らず、割り込み音声の出力が開始された後の中断および再出力を少なくして、ユーザに与えるストレスを小さくすることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、優先度の値を線形状に上げていく例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6に示すように、優先度の値を階段状に上げていくようにしてもよい。この場合の階段の数は、1つでも良いし複数でも良い。階段状に上昇させる優先度の最終値は、障害物警告の割り込み音声に対して設定される優先度の最高値よりも小さくしておくのが好ましい。これは、割り込み音声の出力終了間際でも、緊急度の高い障害物警告の割り込み音声を優先して出力させるためである。
【0067】
また、上記実施形態では、発話終了タイミングと優先度の上昇終了タイミングとが一致する例について説明したが、発話終了タイミングよりも早い時間に上昇終了タイミングを設定してもよい。この場合、上昇終了タイミングから発話終了タイミングまでの優先度は、上昇終了タイミングで設定した優先度の最終値を維持する。
図6のように優先度を階段状に上げていくパターンは、発話終了タイミングよりも早い時間に優先度の上昇終了タイミングを設定する一例である。
【0068】
また、発話終了タイミングよりも早い時間に上昇終了タイミングを設定する場合において、当該上昇終了タイミングより後の優先度の値を下げるようにしてもよい。例えば、
図7に示すように、優先度設定部11は、音声出力部12により割り込み音声の出力が開始されてから割り込み音声の出力が終了するまでの期間において、割り込み音声の発話終了タイミングが近づくにつれて値が大きくなるように優先度を線形状または階段状に上げていく。そして、割り込み音声の出力が終了する時間から第
1の所定時間前のタイミングで優先度の値を下げる。例えば、優先度を初期値に戻す。
【0069】
この場合の第
1の所定時間は、割り込み音声の種類に応じて異なる値とするのが好ましい。例えば、「ガソリンが少なくなっています」というガソリン残量警告の割り込み音声に関しては、最後の「います」の部分が発話される時間を第
1の所定時間として設定する。また、「50m先、右です」という経路誘導の割り込み音声に関しては、最後の「です」が発話される時間を第
1の所定時間として設定する。
【0070】
ガソリン残量警告の「います」、経路誘導の「です」の部分は、それをユーザが聞かなくても殆ど支障がない瑣末な部分である。逆に、ガソリン残量警告の「ガソリンが少なくなって」、経路誘導の「50m先、右」の部分は、それをユーザが聞かなければ音声メッセージとして意味を成さなくなってしまう重要な部分である。上述の瑣末な部分に関して優先度を下げれば、重要な部分に関しては現在出力中の割り込み音声を優先して出力する一方、瑣末な部分については後から発生する他の割り込み音声の方を優先して出力するようにすることができる。
【0071】
なお、現在出力中の割り込み音声の瑣末な部分の出力を中断し、後から発生する他の割り込み音声の方を優先して出力した場合、中断した割り込み音声の再出力は行わなくてもよい。割り込み音声の音声メッセージの重要な部分は既に出力済みで、それを聞いたユーザは音声メッセージの内容を十分に理解しているからである。
【0072】
そこで、発話終了タイミングよりも第
1の所定時間だけ早いタイミングから発話終了タイミングまでの間に、現在出力中の割り込み音声に設定されている優先度(下げられた小さい値)よりも高い優先度が設定された他の割り込み音声が発生した場合、音声出力制御部13は、現在出力中の割り込み音声の出力を中断し、他の割り込み音声の出力を行うように音声出力部12を制御するとともに、他の割り込み音声の出力が終了した後に、中断した割り込み音声の再出力を行わないように音声出力部12を制御するのが好ましい。
【0073】
このような制御を行うために、音声出力制御部13は、現在出力中の割り込み音声をどのタイミングで中断したかを判定する。そして、発話終了タイミングよりも第
1の所定時間だけ早いタイミングから発話終了タイミングまでの間に中断したと判断した場合は、例えば、中断した割り込み音声の音声メッセージを音声出力部12に保持せずに消去する。
【0074】
なお、上記実施形態では、割り込み制御装置1が音声出力部12の機能を有する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、音声出力部12の機能をナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4のそれぞれが有していてもよい。
【0075】
この場合、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4は、発生した割り込み音声の音声メッセージを割り込み制御装置1に出力する代わりに、発生した割り込み音声の内容を表す割り込み情報を割り込み制御装置1に通知する。割り込み制御装置1は、この割り込み情報に基づいて割り込み音声の出力の調停を行い、その調停結果をナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4に出力する。ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4は、この調停結果に応じて、音声メッセージをバス8を介してアンプ5に出力する。
【0076】
また、上記実施形態では、割り込み音声の例として道路状況の音声メッセージ、経路誘導の音声メッセージ、障害物警告の音声メッセージ、スピード警告の音声メッセージ、ガソリン残量警告の音声メッセージを挙げて説明したが、割り込み音声の種類はこれに限定されない。
【0077】
また、上記実施形態では、複数の割り込み音声に対してそれぞれ設定された優先度に従って当該割り込み音声の出力を制御する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の割り込み画像に対してそれぞれ設定された優先度に従って当該割り込み画像の出力を制御するようにしても良い。
【0078】
例えば、ナビゲーション装置2が適宜出力する道路状況画像や交差点拡大図等は、割り込み画像である。また、障害物警告発生装置3が車両周囲の障害物を検出したときに、障害物警告の割り込み画像を発生する場合もある。さらに、メータ警告発生装置4が車両の各種メータで測定される情報に関して運転者に警告すべき状況を検出したときに、メータ警告の割り込み画像を発生する場合もある。
【0079】
そこで、ナビゲーション装置2、障害物警告発生装置3、メータ警告発生装置4がこれらの割り込み画像を割り込み制御装置1に供給し、必要に応じて調停の制御を受けた上で、ディスプレイ7に出力するようにすることが可能である。この場合にも、上記実施形態を適用することができる。なお、割り込み画像に上記実施形態を適用する場合、割り込み音声の発話開始タイミングを割り込み画像の表示開始タイミングに置き換え、発話終了タイミングを表示終了タイミングに置き換える。
【0080】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。