特許第5662286号(P5662286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662286
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20150108BHJP
   F16K 31/524 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   F16K31/06 305L
   F16K31/06 305Z
   F16K31/524 Z
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-199943(P2011-199943)
(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公開番号】特開2013-61019(P2013-61019A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2013年5月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 仁也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 敦史
(72)【発明者】
【氏名】井藤 勝之
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表平08−510542(JP,A)
【文献】 特開昭57−043072(JP,A)
【文献】 実公昭45−007561(JP,Y1)
【文献】 実開昭53−119628(JP,U)
【文献】 特開昭62−224785(JP,A)
【文献】 特開2006−057644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06−31/11,
F16K 31/44−31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定鉄心及び可動鉄心を有するアクチュエータ部を備える電磁弁において、
揺動軸を中心に軸支され揺動するシーソー式レバー部材を有すること、
前記シーソー式レバー部材は、第1弁及び第2弁と別体で構成されていること、
前記第1弁及び前記第2弁は、ダイアフラム弁体及び前記アクチュエータ部の本体の内壁に接しながら摺動する、柱形状で上部に溝が形成され、前記溝に係合棒が取り付けられた支持部材を有すること、
前記ダイアフラム弁体は弁座に当接する弁座当たり部と変形可能な膜部を有すること、
前記膜部が変形し前記第1弁は第1弁座に垂直に当接し、前記第2弁は第2弁座に垂直に当接すること、
前記第1弁及び前記第2弁は、前記支持部材の外周が前記アクチュエータ部の本体の内壁と接することによりガイドされるため、前記第1弁は前記第1弁座に垂直に当接し、前記第2弁は前記第2弁座に垂直に当接すること、
前記シーソー式レバー部材は、前記第1弁及び前記第2弁の前記係合棒と係合していること、
を特徴とする電磁弁。
【請求項2】
固定鉄心及び可動鉄心を有するアクチュエータ部を備える電磁弁において、
揺動軸を中心に軸支され揺動するシーソー式レバー部材を有すること、
前記シーソー式レバー部材は、第1弁及び第2弁と別体で構成されていること、
前記第1弁及び前記第2弁は、ダイアフラム弁体及び柱形状の支持部材を有すること、
前記ダイアフラム弁体は弁座に当接する弁座当たり部と変形可能な膜部を有すること、
前記膜部が変形し前記第1弁は第1弁座に垂直に当接し、前記第2弁は第2弁座に垂直に当接すること、
前記支持部材の一端には傘部が形成されていること、
前記第1弁及び前記第2弁は、前記支持部材の胴体中央部及び前記傘部が所定の距離をもって、各々が前記ダイアフラム弁体を固定する固定部材の内壁と接することによりガイドされるため、前記第1弁は第1弁座に垂直に当接し、前記第2弁は前記第2弁座に垂直に当接すること、
前記シーソー式レバー部材は、前記アクチュエータ部方向の前記第1弁及び前記第2弁の面に当接していること、
を特徴とする電磁弁。
【請求項3】
請求項1又は2に記載する電磁弁において、
前記ダイアフラム弁体は、前記第1弁に第1ダイアフラム弁体として形成され、前記第2弁に第2ダイアフラム弁体として形成されていること、
を特徴とする電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定鉄心及び可動鉄心を有するアクチュエータ部を備える電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より流体の流れ方向を制御することが可能な小型電磁弁に、図5に示す特許文献1の小型電磁弁100がある。
小型電磁弁100は、第1ばね部材126により付勢される第1押圧部材121を有するアクチュエータ部120と、第2ばね部材125により付勢される第2押圧部材124を備えるパイロット弁部130を有する。
パイロット弁部130は、レバー式ダイアフラム弁体101を有する。レバー式ダイアフラム弁体101は、ダイアフラム部102とレバー部103が一体成型されている。レバー式ダイアフラム弁体101は、端部133が本体110の下面と弁体固定部105の上面とに狭持されることにより、固定されている。レバー式ダイアフラム弁体101の中心には、揺動軸135が挿入され、揺動軸135の端部は、図示しない壁面に回転可能に保持されている。レバー式ダイアフラム弁体101は、本体110と弁体固定部105に狭持され、その中心は揺動軸135により固定されているため、揺動運動をする。レバー式ダイアフラム弁体101は、第1弁座154の軸線上にある第1押圧面106を備える。また、第2弁座155の軸線上にある第2押圧面107を備える。
【0003】
アクチュエータ部120が非通電状態であるとき、第1ばね部材126のバネ力により付勢され第1押圧部材121が、第1押圧面106を押圧した状態にある。レバー式ダイアフラム弁体101は、第1弁座154に当接した状態にある。
アクチュエータ部120が通電状態にあるとき、可動鉄心109が固定鉄心104に吸引され、第1ばね部材126によるバネ力が働かない状態となり、第1押圧部材121は移動し第1押圧面106を押圧しない状態となる。反対に、第2押圧部材124は、第2ばね部材125のバネ力により付勢され第2押圧面107を押圧した状態となる。レバー式ダイアフラム弁体101は、第2弁座155に当接した状態となる。
以上のように、レバー式ダイアフラム弁体101は、揺動運動により第1弁座154又は第2弁座155に当接又は離間する。第1弁座154又は第2弁座155に当接又は離間することにより、第3連通路156に流れる流体を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−57644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の特許文献1の小型電磁弁100には、以下の問題があった。
特許文献1のレバー式ダイアフラム弁体101は、レバー部103とダイアフラム部102が一体に成形され、揺動軸135により支点を与えられている。そのため、ダイアフラム部102は回動運動する構造となる。ダイアフラム部102が回動運動することにより、ダイアフラム部102は第1弁座154又は第2弁座155の軸線に対して斜めに当たる。ダイアフラム部102が弁座に対して斜めに当たることにより接触箇所毎に摩耗量が異なり、全周にわたり均一の摩耗量でなくなる。全周にわたり均一の摩耗量とならないと、摩耗箇所から漏れが発生するため問題となる。また、摩耗量が大きいことによりレバー式ダイアフラム弁体101の耐久性が悪くなるため問題となる。
【0006】
また、ダイアフラム部102が弁座に対して斜めに当たることにより、シール力が不均一となるため、シール性能の低い部分が存在する問題が生じる。従来技術においては、シール性能の低い部分に適切なシール力を与えるため、ダイアフラム部102に対して必要以上のシール力を与えなければならなかった。そのため、シール力を与えるためのバネ力が必要となり、それ以上の吸引力を出すため電力消費量が多くなるため問題となる。さらに、シール力を必要以上に与えることにより摩耗量が増えるため問題となる。
また、レバー部103とダイアフラム部102が一体に成形されているため、弁閉時には第1弁座154又は第2弁座155の周りの流体圧力によりダイアフラム部102が引っ張られる。ダイアフラム部102が引っ張られることにより、シール力の強度が低下するため問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、ダイアフラム弁体とレバー部材を別体とし、かつ、ダイアフラム部を弁座に垂直に押し当てることのできる電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電磁弁は、以下の構成を有する。
(1)固定鉄心及び可動鉄心を有するアクチュエータ部を備える電磁弁において、揺動軸を中心に軸支され揺動するシーソー式レバー部材を有すること、前記シーソー式レバー部材は、第1弁及び第2弁と別体で構成されていること、前記第1弁及び前記第2弁は、ダイアフラム弁体及び前記アクチュエータ部の本体の内壁に接しながら摺動する、柱形状で上部に溝が形成され、前記溝に係合棒が取り付けられた支持部材を有すること、前記ダイアフラム弁体は弁座に当接する弁座当たり部と変形可能な膜部を有すること、前記膜部が変形し前記第1弁は第1弁座に垂直に当接し、前記第2弁は第2弁座に垂直に当接すること、前記第1弁及び前記第2弁は、前記支持部材の外周が前記アクチュエータ部の本体の内壁と接することによりガイドされるため、前記第1弁は前記第1弁座に垂直に当接し、前記第2弁は前記第2弁座に垂直に当接すること、前記シーソー式レバー部材は、前記第1弁及び前記第2弁の前記係合棒と係合していること、を特徴とする。
【0009】
(2)固定鉄心及び可動鉄心を有するアクチュエータ部を備える電磁弁において、揺動軸を中心に軸支され揺動するシーソー式レバー部材を有すること、前記シーソー式レバー部材は、第1弁及び第2弁と別体で構成されていること、前記第1弁及び前記第2弁は、ダイアフラム弁体及び柱形状の支持部材を有すること、前記ダイアフラム弁体は弁座に当接する弁座当たり部と変形可能な膜部を有すること、前記膜部が変形し前記第1弁は第1弁座に垂直に当接し、前記第2弁は第2弁座に垂直に当接すること、前記支持部材の一端には傘部が形成されていること、前記第1弁及び前記第2弁は、前記支持部材の胴体中央部及び前記傘部が所定の距離をもって、各々が前記ダイアフラム弁体を固定する固定部材の内壁と接することによりガイドされるため、前記第1弁は第1弁座に垂直に当接し、前記第2弁は前記第2弁座に垂直に当接すること、前記シーソー式レバー部材は、前記アクチュエータ部方向の前記第1弁及び前記第2弁の面に当接していること、を特徴とする。
【0012】
(1)又は(2)に記載する電磁弁において、前記ダイアフラム弁体は、前記第1弁に第1ダイアフラム弁体として形成され、前記第2弁に第2ダイアフラム弁体として形成されていること、が好ましい。
【発明の効果】
【0013】
上記電磁弁の作用及び効果について説明する。
固定鉄心及び可動鉄心を有するアクチュエータ部を備える電磁弁において、揺動軸を中心に軸支され揺動するシーソー式レバー部材を有すること、シーソー式レバー部材は、第1弁及び第2弁と別体で構成されていることにより、シール力の分散を防止することができる。すなわち、シーソー式レバー部材と第1弁及び第2弁を別体とすることにより、第1弁及び第2弁を第1弁座及び第2弁座に垂直に当接させることができる。第1弁及び第2弁が第1弁座及び第2弁座に対して垂直に当接することにより、シール力を均一に与えることができる。そのため、シール性能の低下を防止することができる。シール性能を向上させることができるため、電磁弁を高圧状態で使用することが可能となる。
また、第1弁及び第2弁を第1弁座及び第2弁座に垂直に当接させることにより、弁座面の全周にわたり均一に弁を当接できるので、各部分に掛かる力が均一になるため、摩耗量を均一にできる。そのため、斜めに当接し当接箇所の一部の摩耗量が大きくなることがないので、弁の耐久性を向上させることができる。
【0014】
また、第1弁及び第2弁が第1弁座及び第2弁座に対して垂直に当接させることができるため、弁座面の全周にわたり均一に弁を当接できるためシール力を必要以上に与える必要がない。そのため、消費電力を小さくすることができる。
【0015】
第1弁及び第2弁は、ダイアフラム弁体を有すること、ダイアフラム弁体は弁座に当接する弁座当たり部と変形可能な膜部を有すること、膜部が変形し第1弁は第1弁座に垂直に当接し、第2弁は第2弁座に垂直に当接することにより、ダイアフラム弁体が引っ張られることによるダイアフラム弁体が第1弁座及び第2弁座を押圧する押圧力の低下を防止することができる。すなわち、ダイアフラム弁体は弁体部及び膜部を有する。そのため、弁体部が引っ張られても、膜部が引っ張りを吸収することができるため押圧力の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る電磁弁1(ノーマルクローズ)のうち第2弁が第2弁座に当接した閉弁時の断面図である。
図2】第1実施形態に係る電磁弁1(ノーマルクローズ)のうち第1弁が第1弁座に当接した開弁時の断面図である。
図3】第1実施形態に係るシール荷重の推移を表した機能試験図である。
図4】第1実施形態に係る作動電流の推移を表した機能試験図である。
図5】従来技術に係る小型電磁弁100の断面図である。
図6】第2実施形態に係る電磁弁200の断面図である。
図7】第2実施形態に係るダイアフラム弁体の上面図である。
図8】第2実施形態に係る図7に示すダイアフラム弁体のZZ断面図である。
図9】第2実施形態に係る図6に示す本体弁部をVV方向から見た上方図である。
図10】第2実施形態に係る支持部材の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、第1実施形態に係る電磁弁の一実施の形態について図面を参照して説明する。
<電磁弁の全体構成>
図1には、本発明に係る電磁弁1(ノーマルクローズ)のうち第2弁34が第2弁座55に当接した閉弁時の断面図を示す。図2には、本発明に係る電磁弁1(ノーマルクローズ)のうち第1弁31が第1弁座54に当接した閉弁時の断面図を示す。
図1に示すように、電磁弁1は、アクチュエータ部2、本体弁部7により構成されている。本体弁部7の上部にアクチュエータ部2が固定されている。
【0018】
[アクチュエータ部の構成]
図1に示すように、アクチュエータ部2は、カバー21に覆われている。カバー21の側面には、配線28が接続されている。アクチュエータ部2は、中空円筒状コイルボビン26に導線が巻かれたコイル22が形成され、コイルボビン26の中空部の一端には、固定鉄心23が固設され、他端には可動鉄心24が非磁性体であるカラー25により摺動可能に保持されている。可動鉄心24の先端には、押圧部材29を備える。押圧部材29には、復帰ばね27の一端が係合されており、復帰ばね27の他端はカラー25に係合されている。可動鉄心24は、コイル22に対して非通電時には、復帰ばね27の付勢力により、固定鉄心23とは反対側へ付勢される。可動鉄心24の先端の押圧部材29は、シーソー式レバー部材40を押圧する。
【0019】
図1に示すシーソー式レバー部材40は横長の略直方体形状をしている。シーソー式レバー部材40のうち、第1弁31に当接する部分には、第1押圧部41が形成されている。シーソー式レバー部材40のうち、第2弁34に当接する部分には、第2押圧部42が形成されている。第1押圧部41及び第2押圧部42は、略直方体形状から突出した凸形状である。シーソー式レバー部材40の、端部を端部43とする。
シーソー式レバー部材40の中心には、揺動軸45が挿入され、揺動軸45の端部は、図示しない壁面に固定されている。シーソー式レバー部材40の中心は揺動軸45により固定され、シーソー式レバー部材40の端部43は、押圧部材29により押圧されることにより、シーソーのように揺動運動をする。シーソー式レバー部材40は、揺動運動により第1弁31又は第2弁34を押圧し、第1弁31を第1弁座54に対して当接離間させ、又は、第2弁34を第2弁座55に当接離間させる。それにより、第1流路71又は第2流路72から第3流路77、78へ流れる流体制御することができる。
揺動軸45の中心軸は、第1押圧部41と第1弁31の当接する当接面、及び第2押圧部42と第2弁34が当接する当接面が同じ水平位置に位置する場合の水平位置面と同じ水平位置に位置することが好ましい。それにより、揺動軸45が小さい力で第1弁31及び第2弁34を移動させることができる。
【0020】
第1弁31は、第1ダイアフラム弁体32及び第1支持部材33を有する。
第1ダイアフラム弁体32は、第1弁座54に対して当接離間する弁体部321と、そこから外側に張り出した膜部322と、膜部322の周縁に形成された環状の固定部323とを有して形成されたものである。そして、固定部323が本体弁部7と固定部材73とによって挟み込まれ、第1ダイアフラム弁体32が本体弁部7に対して固定されている。
【0021】
第1支持部材33は本実施形態においては略円筒形状をなす。第1支持部材33の一端は、第1ダイアフラム弁体32の中心に固定される固定部331が形成されている。また、他端は第1押圧部41と当接する第1当接部332が形成されている。第1当接部332の中心に第1押圧部41の中心点が来るように位置する。中心点が当接することによりトルクを円筒軸心方向に対して伝えることができ第1支持部材33のブレを防止することができるためである。また、中心点は最もトルクを伝えることができる部分であるため、小さなトルクで移動させることができ、省エネルギーに役立つ。第1当接部332の外周には傘部333が形成されており傘部333の下面には第1付勢部材37の一端が固定されている。第1付勢部材37の他端は固定部材73に固設されている。第1付勢部材37は、第1支持部材33を図1及び図2中上方へ付勢され第1押圧部41に当接する。
【0022】
第2弁34は、第2ダイアフラム弁体35及び第2支持部材36を有する。
第2ダイアフラム弁体35は、第2弁座55に対して当接・離間する弁体部351と、そこから外側に張り出した膜部352と、膜部352の周縁に形成された環状の固定部353とを有して形成されたものである。そして、固定部353が本体弁部7と固定部材73とによって挟み込まれ、第2ダイアフラム弁体35が本体弁部7に対して固定されている。
【0023】
第2支持部材36は本実施形態においては略円筒形状をなす。第2支持部材36の一端は、第2ダイアフラム弁体35の中心に固定される固定部361が形成されている。また、他端は第2押圧部42と当接する第2当接部362が形成されている。第2当接部362の中心に第2押圧部42の中心点が来るように位置する。中心点が当接することによりトルクを円筒軸心方向に対して伝えることができ第2支持部材36のブレを防止することができるためである。また、中心点は最もトルクを伝えることができる部分であるため、小さなトルクで移動させることができ、省エネルギーに役立つ。第2当接部362の外周には傘部363が形成されており傘部363の下面には第2付勢部材38の一端が固定されている。第2付勢部材38の他端は固定部材73に固設されている。第2付勢部材38は、第2支持部材36を図1及び図2中上方へ付勢され第2押圧部42に当接する。
【0024】
[本体弁部の構成]
図1に示すように、本体弁部7の上面7Aには第1弁室58A及び第2弁室58Bが形成されている。第1弁室58Aは、第1弁孔61を介して第1流路71と連通する。また、第2弁室58Bは、第2弁孔62を介して第2流路72と連通する。
第1弁室58Aの中心には第1流路71に連通する第1弁孔61が形成されている。第1弁孔61の周辺部には第1ダイアフラム弁体32が当接離間する第1弁座54が形成されている。さらに、第1弁室58Aには第3流路77が連通している。
第2弁室58Bの中心には第2流路72に連通する第2弁孔62が形成されている。第2弁孔62の周辺部には第2ダイアフラム弁体35が当接離間する第2弁座55が形成されている。さらに、第2弁室58Bには第3流路78が連通している。
【0025】
<電磁弁の作用・効果>
はじめに、図1を用いて、ノーマルクローズ状態の電磁弁1について説明をする。
図1に示すように、アクチュエータ部2へ非通電状態であるため、可動鉄心24は、復帰ばね27の付勢力により第2弁座55側へ付勢されている。そのため、可動鉄心24の押圧部材29がシーソー式レバー部材40の端部43を押圧する。シーソー式レバー部材40は、押圧部材29の方へ揺動され、第2弁34を押圧することで第2弁34が第2弁座55に当接する。そのため、第2弁孔62は塞がれた状態になる。一方、第1弁座54は第1弁31が離間した状態にある。
図示しない供給源から第1流路71へ流体が流入する。流体は、第1弁孔61、第1弁室58Aに通り、第3流路77へと流入する。
【0026】
図1に示す状態で、アクチュエータ部2を通電状態とすると、図2に示すように、固定鉄心23に磁界が発生し可動鉄心24を吸引する。可動鉄心24を吸引する力は、復帰ばね27が可動鉄心24を第2弁座55側へ付勢する力よりも大きいため、可動鉄心24は、固定鉄心23に吸引される。それにより、押圧部材29を押圧する復帰ばね27の付勢力は作用しなくなる。そのため、第2付勢部材38により、シーソー式レバー部材40は、第1押圧部41の方へ揺動され、第1弁31を第1弁座54に当接させ、第1弁孔61を塞ぐ。一方、第2弁座55は第2弁34が離間した状態にある。
図示しない供給源から第2流路72へ流体が流入する。流体は、第2弁孔62、第2弁室58Bに通り、第3流路77へと流入する。
【0027】
シーソー式レバー部材40を用いることによる効果を以下に説明する。
本実施形態においては、シーソー式レバー部材40と第1弁31及び第2弁34とを別体とすることで、第1弁31を第1弁座54及に、第2弁34を第2弁座55に対して水平に当接させることができる。すなわち、第1弁31及び第2弁32はシーソー式レバー部材40と別体としているため、第1弁31及び第2弁34が第1弁座54及び第2弁座55に対して斜めに当接するのを防止することができる。第1弁31及び第2弁34は、第1弁座54及び第2弁座55に対して垂直の位置に配置されている。第1弁31及び第2弁34はシーソー式レバー部材40と別体であるため垂直位置のまま、第1弁座54及び第2弁座55に対して移動することができる。よって、第1弁31を第1弁座54及び、第2弁34を第2弁座55に対して水平に当接させることができる。
【0028】
第1弁31を第1弁座54及に、第2弁34を第2弁座55に対して水平に当接させることができるため、第1弁31及び第2弁34が第1弁座54及び第2弁座55の全周に対して均等に力を付与することができる。そのため、シール力の分散を防止することができ、シール性能を向上させることができる。シール性能を向上させることができるため、電磁弁1を高圧の状態で使用することも可能となる。
また、電磁弁1は、第1弁31及び第2弁34及びシーソー式レバー部材40が全て別体となり分離しているため、組立時において上部から入れていくだけで組み立てることができるため製造が容易であるため、製造時間が短縮され製造コストを低減することができる。
【0029】
第1弁31は、ダイアフラム弁体32を有すること、ダイアフラム弁体32は、第1弁座54に当接する弁座当たり部である弁体部321と変形可能な膜部322を有する。そのため、膜部322が変形することにより、弁体部321は第1弁座54に対して垂直に当接することができる。すなわち、膜部322が流体圧力により引っ張られた場合であっても、膜部322は独立していることからその引張力を吸収することができる。また、弁体部321も独立している。そのため、膜部322が引っ張られた場合であっても弁体部321は影響を受けることなく第1弁座54に当接することができる。
なお、第1弁31について説明をしたが、第2弁34についても同様の構成を有するため上記した同様の作用効果を有する。
【0030】
[漏れ始め圧に対する効果]
図3に、電磁弁の作動回数と漏れ始め圧の関係を示す。ここで漏れ始め圧とは、電磁弁の弁と弁座との間から流体の漏れが始まる圧力を意味する。
図3に示す、白抜きの四角形状で表した本実施形態の電磁弁1の実験機1の結果を実線P1で示す。また、白抜きの三角形状で表した本実施形態の電磁弁1の実験機2の結果を実線P2で示す。
また、黒三角形状で表した図5に示す従来技術の小型電磁弁100の実験機1の結果を破線Q1で示す。黒四角形状で表した従来技術の小型電磁弁100の実験機2の結果を破線Q2で示す。黒丸形状で表した従来技術の小型電磁弁100の実験機3の結果を破線Q3で示す。
【0031】
図3に示すように、従来技術の小型電磁弁100を示す破線Q1、Q2、Q3については、作動回数が0回においては、レバー式ダイアフラム弁体101に対して流体の圧力により膜部が引っ張られることがない。また、従来技術の小型電磁弁100のレバー式ダイアフラム弁体101はダイアフラム部102とレバー部103が一体となっているため弁座に対する押圧力は強い。そのため、漏れ始め圧は約0.9MPaと高くなっている。
しかし、作動を始めると従来技術の小型電磁弁100における漏れ始め圧は急激に下がる。具体的には作動回数が20万回における破線Q120では、0.9MPaから0.67MPaに漏れ始め圧が下がっている。破線Q220では、0.9MPaから0.63MPaに漏れ始め圧が下がっている。破線Q320では、0.9MPaから0.4MPaに漏れ始め圧が下がっている。
【0032】
さらに、破線Q1は作動回数が約40万回における破線Q140の約0.5MPaまで漏れ始め圧が下がり続ける。その後回復し破線Q150では約0.65MPaの漏れ始め圧となる。破線Q2も同様に作動回数が約40万回における破線Q240の約0.5MPaまで漏れ始め圧が下がり続ける。その後回復し破線Q250では約0.55MPaの漏れ始め圧となる。また、破線Q3は作動回数が約40万回における破線Q340の約0.4MPaまで下がり続け、破線Q350では約0.45MPaの漏れ始め圧となる。
以上より従来技術における小型電磁弁100の漏れ始め圧は、作動回数により最大約0.9MPaから最低約0.4MPaまでと大きく変化し一定のシール力を保つことができなかった。また、小型電磁弁100の仕様では最低漏れ始め圧の最も低い破線Q320の約0.4MPaを基準とするため、当該小型電磁弁100は高圧状態で使用することができなかった。
【0033】
図3に示すように本実施形態の電磁弁1の実験機の結果である実線P1及びP2は、作動回数が0回においては、第1弁31及び第2弁34の膜部322及び352に対する流体の圧力による引っ張りがない。実線P1は、作動回数が0回においては約0.7MPaである。実線P2は、作動回数が0回においては約0.6MPaである。
また、本実施形態の電磁弁1の実験機は現在も実験継続中であるが、作動回数が20万回において漏れ始め圧が、実線P120は約0.65MPaであり、実線P220は約0.55MPaである。作動回数が40万回において漏れ始め圧が、実線P140は約0.6MPaであり、実線P240は0.55MPaである。作動回数が60万回において漏れ始め圧が実線P160及び実線P260は約0.55MPaである。
【0034】
作動回数60万回において、実線P1及びP2の漏れ始め圧力はともに0.55MPaである。したがって、本実施形態の電磁弁1においては作動回数が60万回に至っても、作動回数0回と比較して漏れ始め圧力の下げ幅は約0.15MPa以下であることが確認できた。その理由は、シーソー式レバー部材40と第1弁31及び第2弁34が別体となっているためである。別体となっていることにより、第1弁31及び第2弁34に掛かる押圧力が分散することがない。そのため、シール荷重を均等に長期間にわたって与えることができる。
【0035】
以上より本実施形態における電磁弁1の漏れ始め圧は、作動回数により最大約0.7MPaから最低約0.55MPaまでと変化が小さい。そのため、従来技術と比較して一定のシール力を保つことができる。また、電磁弁1の仕様では最低漏れ始め圧の最も低い実線P160の約0.55MPaを基準とするため、高圧状態で長期間使用することができる。したがって、本実施形態においては、シール力を安定させ繰り返し動作回数を増加させることができる。
【0036】
[作動電力に対する効果]
図4に、電磁弁の作動回数と作動電流の関係を示す。ここで作動電流とは、電磁弁の弁を弁座に当接させるために必要とされる電力をいう。図4に示す、白抜きの四角形状で表した本実施形態の電磁弁1の実験機1の結果を実線R1で示す。また、白抜きの三角形状で表した本実施形態の電磁弁1の実験機2の結果を実線R2で示す。
また、黒三角形状で表した従来技術の小型電磁弁100の実験機1の結果を破線S1で示す。黒四角形状で表した従来技術の小型電磁弁100の実験機2の結果を破線S2で示す。黒丸形状で表した従来技術の小型電磁弁100の実験機3の結果を破線S3で示す。
【0037】
図4に示すように、従来技術の小型電磁弁100を示す破線S1、S2、S3については、作動回数が0回においては、作動させるための作動電流が約50mAとなる。作動電流が多く必要となるのは、従来技術の小型電磁弁100はダイアフラム部102とレバー部103を同動作させなければならない。そのため、作動させる部品点数が多くなるための作動電流を多く必要とする。また、従来技術の小型電磁弁100ではシールを均一に行うためシール力を余分に与える必要があることから作動電力が多く必要とされるためである。
【0038】
破線S1は作動回数が20万回における破線S120は約55mAであり、40万回における破線S140は約55mAであり、50万回における破線S150は約60mAである。また、破線S2は作動回数が20万回における破線S220は約50mAであり、40万回における破線S240は約47mAであり、50万回における破線S250は約49mAである。また、破線S3は作動回数が20万回における破線S320は約50mAであり、40万回における破線S340は約51mAであり、50万回における破線S350は約54mAである。
【0039】
図4に示すように本実施形態の電磁弁1の実験機の結果である実線R1及びR2は、作動回数が0回においては、作動させるための作動電流が約40mAとなる。作動電流が従来技術の小型電磁弁100と比較して約20%少なくて済むのは、作動させる部品がシーソー式レバー部材40のみでよいからである。そのため、本実施形態においては作動させる部品が少ないため作動電流が約40mAと低く済む。
また、シーソー式レバー部材40と第1弁31及び第2弁34が別体で構成されているため、第1弁31及び第2弁34を第1弁座54及び第2弁座55に対して垂直に当接させることができる。そのため、シールを均一に行うことができるためシール力を余分に与える必要がないことから作動電流を少なくすることができる。
【0040】
また、本実施形態の電磁弁1の実験機は現在も実験継続中であるが、作動回数60万回においては、実線P1及びP2の作動電流は約45mAである。したがって、電磁弁1を用いることにより、作動電流は作動回数が0回の約40mAのときから約5パーセント増えただけとなる。そのため、本実施形態における電磁弁1では、60万回作動させたとしても、作動電流を小さいまま作動させることができる。
【0041】
以上より従来技術における小型電磁弁100の作動電流は、作動回数により最大約60mAの作動力を必要とする。また、最低でも約47mAの作動力を必要とする。本実施形態の電磁弁1では、最大でも作動回数60万回の約45mAであるため、従来技術の最低作動力の約47mAよりも小さい力で作動させることができる。したがって、省電力により電磁弁1を作動させることができる。
また、電磁弁1は、工場においては数100以上設置されているところもある。そのため、1つの電磁弁が作動電力を小さくすることができれば、工場全体においては大きな省エネルギー化を図ることができる。
【0042】
次に、第2実施形態に係る電磁弁200の一実施の形態について図面を参照して説明する。
第2実施形態に係る電磁弁は、第1実施形態に係る電磁弁と比較して、シーソー式レバー部材、第1弁、第2弁、及び本体弁部以外に異なるところがない。そのため、第2実施形態においては、シーソー式レバー部材240、第1弁231、第2弁234、本体弁部207を説明することにより、その他の説明を割愛する。なお、第2実施形態ではその他の説明を割愛するが、第1実施形態と同様の作用及び効果を有する。図6に示すように、第2実施形態のうち第1実施形態と同様の構成を有する部分は、第1実施形態の電磁弁1の符号を200番台としたものとする。
【0043】
<電磁弁の全体構成>
図6には、本発明に係る電磁弁200の断面図(一部側面図)を示す。電磁弁200は、シーソー式レバー部材240により、第1弁231を第1弁座254に、第2弁234を第2弁座255に対して当接させることができる。
シーソー式レバー部材240は、略長方形の平板形状であり、表面240Aが略円筒形状の第1弁231及び第2弁234の周壁231A及び234Aに当接するように形成されている。シーソー式レバー部材240には、表面240Aから裏面に対して第1弁231の係合棒233Bと係合する係合凹部241が形成されている。また、表面240Aから裏面に対して第2弁234の係合棒236Bと係合する係合凹部242が形成されている。シーソー式レバー部材240の表面240Aの中心には、揺動軸245が挿入されている。シーソー式レバー部材240は、揺動軸245を中心に揺動することができる。本実施形態においては、シーソー式レバー部材240を一つ使用しているが、略円筒形状の第1弁231及び第2弁234の周壁231A及び234Aの表と裏と両面に対して取り付けることもできる。
【0044】
図7に、ダイアフラム弁体230の上面図を示す。図8に、図7に示すダイアフラム弁体230のZZ断面図を示す。図9に、図6に示す本体弁部207をVV方向から見た上方図を示す。図10に、第1支持部材233の一部断面図を示す。
図6に示すように、第1弁231は、ダイアフラム弁体230及び第1支持部材233を有する。第1支持部材233は本実施形態においては略円筒形状をなす。第1支持部材233の一端は、復帰ばね227と係合する可動鉄心224と当接しており、他端はダイアフラム弁体230と嵌合している。図10に第1支持部材233の一部断面図を示す。第1支持部材233のダイアフラム弁体230との嵌合部には第1嵌合凹部233Aが形成されている。第1嵌合凹部233Aがダイアフラム弁体230の第1嵌合凸部232Aと嵌合することにより第1支持部材233とダイアフラム弁体230が連動して動く。第1支持部材233の中心軸から径方向に伸ばした径線上にシーソー式レバー部材240と係合する係合棒233Bが形成されている。係合棒233Bはシーソー式レバー部材240の係合凹部242と係合する。それにより第1支持部材233の動きとシーソー式レバー部材240の動きが連動する。
【0045】
図6においては、シーソー式レバー部材240の係合凹部241、242と第1弁231の係合棒233Bと第2弁234の係合棒236Bが係合することにより両部材が係合し、第1弁231及び第2弁234が完全同期としている。なお、シーソー式レバー部材230と第1弁231と第2弁234の係合は、例えば、シーソー式レバー部材230に係合棒を設け、第1弁231と第2弁234に係合凹部を設けることもできる。第2実施形態におけるシーソー式レバー部材と第1弁及び第2弁の関係は、シーソー式レバー部材が第1弁及び第2弁の周壁において係合している形状であれば係合方法は問わない。
【0046】
図6に示すように、第2弁234は、ダイアフラム弁体230及び第2支持部材236を有する。第2支持部材236は本実施形態においては略円筒形状をなす。第2支持部材236の一端は、第2付勢部材238係合しており、他端はダイアフラム弁体230と嵌合している。第2支持部材236は、図10に示す第1支持部材233と同様の構成及び作用効果を有する。
【0047】
図6及び図9に示すように、本体弁部207には、第1流路271、第2流路272及び第3流路279が形成されている。本体弁部207の上面207Aには、第1弁室258A及び第2弁室258Bが形成されている。第1弁室258Aに対して第1流路271が連通する周辺部には第1弁座254が形成されている。また、第2弁室258Bに対して第2流路272が連通する周辺部には第2弁座255が形成されている。第3流路279は、第1弁室258A及び第2弁室258Bの間に形成されているため、双方の弁室に対して連通した状態にある。第3流路279の周辺にはダイアフラム弁体230を係止する係止部280が形成されている。
【0048】
図7及び図8に示すように、ダイアフラム弁体230の上面には、第1嵌合凸部232A及び第2嵌合凸部235Aが形成されている。第1嵌合凸部232Aの同軸心上には、第1弁座254と当接する第1弁体部232Bが形成されている。第2嵌合凸部235Aの同軸心上には、第2弁座255と当接する第2弁体部235Bが形成されている。第1弁体部232B及び第2弁体部235Bの間には、中心係止部230Cが形成されている。中心係止部230Cは、アクチュエータ部202の下面及び本体弁部207の係止部280に挟み込まれることにより中心部に固定される。中心係止部230Cは第3流路279の両サイドに形成された係止部280により係止され、その中心部は係止されない。そのため、中心の第3流路279は第1弁室258A及び第2弁室258Bと連通した状態にある。ダイアフラム弁体230の外周には、本体弁部207とアクチュエータ部202との間に固定される固定部230Dが形成されている。
【0049】
図6においては、第1支持部材233の第1嵌合凹部233Aとダイアフラム弁体230の第1嵌合凸部232A、及び第2支持部材236の第2嵌合凹部236Aとダイアフラム弁体230の第2嵌合凸部235Aが嵌合することにより固定することとしている。なお、第1支持部材233、第2支持部材236とダイアフラム弁体230の固定は、例えば、接着剤等により両部材を固定することもできる。また、例えば、第1支持部材233及び第2支持部材236に嵌合凸部を設け、ダイアフラム弁体230側に嵌合凹部を設けることもできる。
【0050】
<電磁弁の作用・効果>
図6に示すように、アクチュエータ部202へ非通電状態であるため、可動鉄心224は、復帰ばね227の付勢力により第1弁座254側へ付勢されている。そのため、可動鉄心224が第1弁231の端部を押圧し、第1弁231が第1弁座254に当接し、第1流路271は塞がれた状態になる。一方、第2弁234は第2弁座255から離間した状態にある。
図示しない供給源から第1流路271へ流体が流入する。流体は、第1弁座254が塞がれているため、第1流路271から第1弁室258A、第3流路279、第2弁室258Bに流入することがない。
【0051】
図6に示す状態で、アクチュエータ部202を通電状態とすると、固定鉄心223に磁界が発生し可動鉄心224を吸引する。可動鉄心224を吸引する力は、復帰ばね227が可動鉄心224を第1弁座254側へ付勢する力よりも大きいため、可動鉄心224は、固定鉄心223に吸引される。それにより、可動鉄心224を押圧する復帰ばね227の付勢力は作用しなくなる。そのため、付勢部材238により、シーソー式レバー部材240は、第2弁234の方へ揺動され、第2弁234を第2弁座255に当接させ、第2流路272を塞ぐ。一方、シーソー式レバー部材240が第2弁座255側へ移動するため第1弁231は上昇し、第1弁座255は離間した状態となる。
図示しない供給源から第1流路271へ流体が流入する。流体は、第1流路271、第1弁室258A、第3流路279へと流入する。
【0052】
シーソー式レバー部材240を用いることによる効果を以下に説明する。
第2実施形態においては、シーソー式レバー部材240と第1弁231及び第2弁234とを別体とすることで、第1弁231を第1弁座254に、第2弁234を第2弁座255に対して水平に当接させることができる。すなわち、第1弁231及び第2弁234はシーソー式レバー部材240と別体としているため、第1弁231及び第2弁234が第1弁座254及び第2弁座255に対して斜めに当接するのを防止することができる。第1弁231及び第2弁234は、第1弁座254及び第2弁座255に対して垂直の位置に配置されている。第1弁231及び第2弁234はシーソー式レバー部材240と別体であるため垂直位置のまま、第1弁座254及び第2弁座255に対して移動することができる。よって、第1弁231を第1弁座254及び、第2弁234を第2弁座255に対して水平に当接させることができる。
【0053】
第1弁231を第1弁座254及に、第2弁234を第2弁座255に対して水平に当接させることができるため、第1弁231及び第2弁234が第1弁座254及び第2弁座255の全周に対して均等に力を付与することができる。そのため、シール力の分散を防止することができ、シール性能を向上させることができる。シール性能を向上させることができるため、電磁弁200を高圧の状態で使用することも可能となる。
【0054】
第1弁231及び第2弁234は、ダイアフラム弁体230を有すること、ダイアフラム弁体230は、弁座に当接離間する第1弁体部232B及び第2弁体部235Bと、変形可能な膜部233C及び235Cを有する。そのため、膜部233C及び235Cが変形することにより、第1弁体部232Bは、第1弁座254に垂直に当接することができる。さらに、第2弁体部235Bは、第2弁座255に対して垂直に当接することができる。すなわち、膜部233C及び235Cが流体圧力により引っ張られた場合であっても、膜部233C及び235Cは独立していることからその引張力を吸収することができる。また、第1弁体部232B及び第2弁体部235Bも独立している。そのため、膜部233C及び235Cが引っ張られた場合であっても第1弁体部232B及び第2弁体部235Bは影響を受けることなく第1弁座254及び第2弁座255に当接することができる。
さらに、ダイアフラム弁体230が第1弁及び第2弁に対して別体でないことにより製造が容易であり、組立も容易になる。
【0055】
第1実施形態の電磁弁1では、3つの付勢部材である復帰ばね27、第1付勢部材37及び第2付勢部材38を使用していたのと比較して、第2実施形態の電磁弁200では、復帰ばね227及び付勢部材238が2つである点で異なる。付勢部材が1つ少ないことにより、力のバランスを取ることが容易になる。そのため、製造時に容易に製造することができるため製造時間が短くなり電磁弁1と比較してコストを低減することができる。
また、付勢部材が少なくなることにより構造が簡単になり容易に製造することができるため、コストを低減することができる。
【0056】
また、シーソー式レバー部材240が、第1弁231の周壁231A及び第2弁234の周壁234Aに係合していることにより、第1弁231及び第2弁234は完全同期することができる。すなわち、第2弁234は、通電時には付勢部材238の力により第2弁座255方向に付勢される。そのとき、第1弁231はシーソー式レバー部材240により係合しているため、第1弁231はアクチュエータ部202側へと付勢される。第1実施形態の電磁弁1のように、シーソー式レバー部材40が第1弁31及び第2弁32と係合していない場合には、第1付勢部材37の付勢力が弱くなった場合には、第2弁32の閉まりが悪くなる。それにより、電磁弁1の開弁及び閉弁時の精度が悪くなる。それに対して、シーソー式レバー部材240は第1弁231及び第2弁234と係合しており動きが同期するため、付勢部材238の付勢力が弱くなったとしても、付勢部材238の付勢力により第1弁231を押し上げることができる。
【0057】
その他、第1実施形態における、漏れ始め圧に対する効果、作動電力に対する効果については第2実施形態においても同様の作用効果を奏する。
【0058】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、電磁弁1及び電磁弁200をノーマルオープンタイプ又はノーマルクローズタイプとすることができる。
例えば、第3流路77、78から第1流路71又は第2流路72へ流体を流すこともできる。同様に第3流路277〜第1流路271又は第2流路272へ流体を流すこともできる。
例えば、本実施形態における電磁弁1及び電磁弁200は、医療分析に使用することができる。また、その他の凡用の電磁弁にも応用化をすることができる。
【0059】
第1実施形態においてはダイアフラム弁体を第1弁及び第2弁に対してそれぞれ別個に設置している。他方第2実施形態においてはダイアフラム弁体を第1弁及び第2弁に対して一体のダイアフラム弁体を使用している。なお、第1実施形態における電磁弁1に対して一体のダイアフラム弁体を使用することもでき、また、第2実施形態における電磁弁200に対して別個のダイアフラム弁体を使用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1,200 電磁弁
2,202 アクチュエータ部
23,223 固定鉄心
24,224 可動鉄心
31,231 第1弁
34,234 第2弁
45,245 揺動軸
40,240 シーソー式レバー部材
54,254 第1弁座
55,255 第2弁座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10