(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
先ず、図面、より詳しくは、
図1を参照すると、本発明の一実施例に従う構成100の図が示されている。例示と説明の目的のため、
図1の例としての構成100は1つのシステムを表しており、このシステムは、衛星放送ネットワークから受信されたオーディオ信号及び/又はビデオ信号を含む各信号を複数のユーザ、例えば、バス、列車、飛行機、地下鉄、船舶、及び/又は、その他の移動体上の乗客等に配信して再生するのに使用できる。しかし、当業者であれば、本発明の原理が、家庭やオフィスに於けるようなその他の種類の構成とシステムにも適用でき、また、その他の種類のネットワーク(例えば、ケーブル、地上波、インターネット等)から各信号を受信するような構成とシステムにも適用できることは、直感的に分かるであろう。
【0010】
図1に示されているように、構成100には、アンテナ10、複数の衛星放送チューナ装置20、パケット・プロセッサ30、主要制御ブロック60、切り換えブロック70、及び、複数の乗客シート80が含まれている。パケット・プロセッサ30には、複数のバッファ35、入力側休止制御器40、フラッシュ・ハード・ディスク・ドライブ(HDD)45、出力側休止制御器50、及び、高速シリアル出力ポート55が含まれている。説明を明確にする為、
図1には、構成100に関連する特定の通常の各要素、例えば、特定の制御信号、電力信号、及び/又は、その他の要素が示されていないものもある。
【0011】
動作時に於いて、オーディオ信号及び/又はビデオ信号を含む各信号が、アンテナ10により受信され、衛星放送チューナ装置20に供給される。該衛星放送チューナ装置20は、各々、種々の周知の各信号処理、即ち、チューニング、アナログ・デジタル変換、復調、前方誤り訂正、及び/又は、その他の処理を含む各信号処理を行うことによって、デジタルのオーディオ信号及び/又はビデオ信号の各ストリーム化パケットをパケット・プロセッサ30内の対応するバッファ35に供給する。
図1の例としての構成100には、8個の衛星放送チューナ装置20が含まれているが、この個数は、実際には設計の選択を含む各要因に従って変わることがある。パケット・プロセッサ30は、種々のデジタル・パケット処理を行うように機能する。本発明の原理に従えば、パケット・プロセッサ30は、信号喪失の各期間を検出して、信号の受信部分が継続して再生されることを可能にする一方、信号喪失期間に失われた信号部分がスキップされるようにする機能を有する。
【0012】
また、パケット・プロセッサ30は、信号喪失状態が生じた際に、信号喪失期間の持続時間に関する通知を含めて、各ユーザが通知されるようにすることを可能にする。このようにして、パケット・プロセッサ30は、信号の配信及び再生の際に、信号喪失状態がマスキングされることを可能にすることによって、本明細書に於いて前述した特定の諸問題の解決に寄与する。パケット・プロセッサ30の動作に関しては、本明細書に於いて後程更に詳細に述べる。パケット・プロセッサ30の各出力は、主要制御ブロック60に供給される。該主要制御ブロック60は、フィルタとして作用し、各ユーザ入力に応答して、切り換えブロック70を介して各シート80の各ユーザに対して要求されたオーディオ信号及び/又はビデオ信号を供給する。一実施例に従えば、シート80の各々には、或いは、各々の組のシート80には、受信されたオーディオ信号及び/又はビデオ信号を復号化して処理し、最終的に一人又は複数のユーザに出力する機能を有する自己のセット・トップ・ボックス又はその他の装置が設けられており、更に、チャンネル変更コマンド及び/又はその他のユーザ・コマンドのようなユーザ入力を受け付けるキーパッド、リモコン及び/又はその他の入力素子のようなユーザ入力手段が設けられていても良い。
【0013】
図2を参照すると、
図1のパケット・プロセッサ30内に含まれている入力側休止制御器40を更に詳細に例示する図が示されている。
図2に於いて、各入来シリアル・データ・パケットが、ブロック110で受信されるに従って、バイト整列されて、各々のパケットが何時始まるかを示す特別の開始ビットによってフラグを立てられる。ブロック112に於いて開始フラグが見つかる度に、ブロック114に於いて、入来タイムスタンプ・カウンタ122から供給される2バイトのタイムスタンプ・データ(IN_timestamp又は(IT))がパケット・ヘッダに加えられる。また、ブロック114に於いて、該当する場合には、システム制御ブロック120から供給される信号喪失(LOS)フラグもパケット・ヘッダに加えられることもある。該LOSフラグについては、本明細書に於いて後程更に詳細に述べる。ブロック114から出力された各パケットは、ブロック116に於けるファーストイン・ファーストアウト(FIFO)メモリに格納され、次いで、フラッシュHDDインタフェース・ブロック118を介してフラッシュHDD45(
図1参照)に書き込まれる。
【0014】
一実施例に従えば、システム制御ブロック120によって実行されるソフトウェアが、ナビゲーション・テーブルを構成する。この構成に際して、設定時間間隔を用いて、入来タイムスタンプ・カウンタ122によって生成されるIN_timestamp(IT)と、このデータが開始するフラッシュHDD45(
図1参照)内のメモリ・アドレスとを記録する。これにより、一旦、遅延が判ると、当該データへの高速アクセスが可能になる。
図2には送出タイムスタンプ・カウンタ124も含まれており、該送出タイムスタンプ・カウンタ124は、各々のパケットが何時フラッシュHDD45に書き込まれるかを示す2バイトの送出タイムスタンプ(OUT timestamp又は(OT))を生成する。送出タイムスタンプ・カウンタ124は、入来タイムスタンプ・カウンタ122と類似している。これらの2つのカウンタ122と124との主な用途の違いは、送出タイムスタンプ・カウンタ124内のオフセットが、格納データについてリアルタイム出力リファレンス57(
図1参照)を提供するのに使用される点である。
【0015】
図3を参照すると、
図1のパケット・プロセッサ30内に含まれている入力側休止制御器40を更に詳細に例示する別の図が示されている。
図3のこの図には、上述した
図2の幾つかのブロックと同一か、或いは、それらに類似した数個のブロックが含まれている。これらの共通のブロックは、
図2及び
図3に於いて、同一の参照番号で表されている。
図3の1つの主要な特徴は、信号喪失の各期間を検出する機能を有するLOS検出論理回路130である。
図3に示されているように、LOS検出論理回路130は、入来間隔カウンタ132、LOS閾値レジスタ134、及び、比較器136を備えている。入来間隔カウンタ132は、カウント動作を行って対応カウント値を生成する機能を有し、新たなデータ・パケットが到来する度にクリアされる。LOS閾値レジスタ134は閾値を出力する機能を有し、該閾値は設計の選択に従って設定されても良い。
【0016】
比較器136は、入来間隔カウンタ132によって生成されたカウント値(即ち、値A)と、LOS閾値レジスタ134から出力された閾値(即ち、値B)とを比較する機能を有する。一実施例に従えば、入来間隔カウンタ132によって生成されたカウント値(即ち、値A)がLOS閾値レジスタ134から出力された閾値(即ち、値B)より大きい時に、LOSフラグが生成される。
図2に於いて既に示されているように、このLOSフラグは、システム制御ブロック120から出力され、ブロック114に於いてパケット・ヘッダに加えられて、予め規定された期間の信号喪失が検出されたことを示すように構成しても良い。
【0017】
図4を参照すると、
図1のパケット・プロセッサ30内に含まれている出力側休止制御器50を更に詳細に例示する図が示されている。
図4に示されているように、フラッシュHDD45から読み出された入来データは、フラッシュHDDインタフェース・ブロック210を介してブロック212で受信される。休止遅延が判ると、システム制御ブロック120のナビゲーション・テーブルを使用して、当該データについて、フラッシュHDD45内の適切な読み出しアドレスを見つけるように構成しても良い。この間も、入来データが間断なくフラッシュHDD45に格納されるように構成しても良い。所望のデータがフラッシュHDD45からストリーミングされ、その各パケットが入来パケット・バイト・カウンタ・ブロック218によってカウントされる。ブロック214に於いて入来パケット・データが新たなパケットであると判定されると、ブロック216に於いて、設定された開始フラグが17番目のビットとして加えられ、当該パケットがショー・アヘッド(show−ahead)FIFOブロック220に格納される。この種のFIFOは、次の読み出しサイクルについてのデータを出力バスに出すので、読み出し動作のみでFIFOデータ値をラッチできる。また、これには、開始ビット(即ち、この例ではビット17)が「1」に等しい時はいつでも、システム制御ブロック120が入来タイムスタンプ(IN_timestamp)を認識できるといった非常に有効な特徴がある。
【0018】
次のデータ・パケットは、システム制御器120が送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)と入来タイムスタンプ(IN_timestamp)とを比較するまで、ショー・アヘッドFIFOブロック220から読み出されない。開始フラグが「1」であり、両方のタイムスタンプが等しい場合に、次のパケットが読み出される。これにより、データが受信された時に判明した元のビット・レートが再現されるので、後段の一部のバッファ(図示せず)がオーバフローすることはない。一旦、両方のタイムスタンプ値が等しくなれば、状態機械(ステート・マシン)ブロック222が、当該パケット全体についての読み出し動作を有効にし、入来タイムスタンプ(IN_timestamp)が送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)よりも大きいか、或いは、等しくなるまで、フローを再度停止させる。また、
図4に於いて、ブロック214で、設定されたLOSフラグが検出されると、システム制御ブロック120は、この状態を知らされ、それに応答して、入来タイムスタンプ(IN_timestamp)を送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)に等しくなるように設定する。
【0019】
休止制御器40及び50によって実施されるシステム及び装置を含む上述の本発明は、一時的な信号喪失状態をマスキングして、最新のシステムに於いて生じるブランクの画面、或いは、フリーズした画面を見せないようにすることによって、各ユーザの見る体感及び/又は聞く体感を改善できる。最新のシステムでは、信号が途絶されると、ユーザは、「信号喪失」と表示されたブランクの画面、或いは、フリーズした画像を見ることがある。本発明は、休止機能回路と、予め規定された信号喪失期間を検出できる検出器を備えた回路とを組み合わせることによって、信号の受信部分がディスプレイ上で継続して再生されることを可能にし、当該信号の、検出された信号喪失期間に失われた部分がスキップされるようにすることによって、信号喪失状態をマスキングすることが出来る。本明細書で説明する各実施例は、喪失データを復元するものではなく、見る人/聞く人が所定の出力メッセージ(例えば、「信号喪失」メッセージ)を見る/聞く必要がないように、或いは、フリーズした画像を何秒も、或いは、何分もの間、見る必要がないように、喪失データをスキップできるものである。本発明の創意に富む原理は、送信装置に於いて、或いは、信号受信経路内の任意の箇所に於いて、信号喪失を検出するのに使用できる。
【0020】
本明細書で説明する本発明は、少なくとも、(i)任意の予め規定された期間、例えば、1〜2分から1〜2時間まで、或いは、それ以上の期間に亘って、オーディオ・コンテンツ及び/又はビデオ・コンテンツを含むデジタル・データをバッファリングする機能を有する休止用システム、即ち、一時的記憶用システム、(ii)信号が、瞬間的な喪失も含めて、任意の予め規定された期間に亘って失われたか否かを検出する手段、(iii)信号喪失の検出によって、休止ポインタの位置を変更して、喪失された期間に亘ってスキップする手段、及び/又は、(iv)視聴者に対して、検出された信号喪失状態を知らせるメッセージ、例えば、信号喪失状態が一定期間発生してデータが失われたが、この期間は、視聴者の便宜のために、スキップされたことを知らせるメッセージを伝える信号を供給する手段、である各特徴の組み合わせを如何に連係して働かせるかを開示するものである。
【0021】
本発明を実際に実施するシステムは、幾つかの要素、例えば、当該システムについての周波数、停止の長さ等を考慮して設計すべきである。例えば、フラッシュHDD45(
図1参照)は、ユーザ(例えば、乗客等)が当該システムを使用している期間、少なくとも一般的な信号喪失に対応できるサイズにすることが望ましい場合がある。また、例えば、列車、バス、及び、飛行機に於けるような信号再生場所を含む公衆システムは、1時間毎に、或いは、12時間毎に、リブートされるような機能を備えていることがあり、これによりメモリ(例えば、
図1のフラッシュHDD45)の必要サイズを低減できる場合がある。これらの公衆システムも、アナウンス期間中に信号配信を途絶させるような各種アナウンスを受け易いことがある。
【0022】
次に、本明細書に記載の本発明の原理と、それにより解決される各問題とを更により良く理解できるように、本発明の少なくとも1つの実施例についての全般的動作をより詳細に説明する。
【0023】
少なくとも1つの実施例に従えば、本システムは、次の如く動作する。本システムは、オーディオ・コンテンツ及び/又はビデオ・コンテンツを、ユーザがそれにアクセスする前に、受信し始める。これは、
図1のフラッシュHDD45が、本システムのリセット直後にアクティブな状態になり、ユーザが受信されたオーディオ・コンテンツ及び/又はビデオ・コンテンツの視聴を開始できる前の予め規定された期間(例えば、5分間等)についての当該コンテンツによる充満を開始することを意味する。尚、フラッシュHDD45は、1つのサービス全体に対して1つの休止用バッファとして機能できるか、或いは、チャンネル毎に休止機能を提供する複数の個別の休止用バッファを備えていても良い。
【0024】
図3のLOS検出論理回路130が、フラッシュHDD45が満たされつつある間、信号喪失状態を検出するために入来データをモニタする。殆ど全てのビデオ・サービスについて、特定のデータ・レートが設定間隔に亘って見込まれる。例えば、多くの衛星放送信号のビデオ番組については毎秒3メガビット、或いは、ATSC信号については毎秒20メガビットが見込まれる。
図3のLOS検出論理回路130のような信号喪失検出器は、送信装置に配置でき、或いは、信号受信経路の任意の箇所に配置できる。例えば、このような検出器は、信号の喪失全体を示すことが出来る
図1の各衛星放送チューナ装置20内に、或いは、ある期間に亘って各パケットの到来をモニタしてルーティングできるパケット送信多重分離プロセッサ(図示せず)内に、或いは、新たなデータの到来が無い為にデータ書き込みバッファが空になった場合を検出するシステム制御ブロック120の各メモリ制御器内に、組み込まれても良い。実際に使用される検出器のタイプは、システム・レベルで規定すべきである。これは、多数の番組のうちの1つの番組だけが喪失されることもあれば、全ての番組が喪失されることもある為である。フラッシュHDD45を制御して、1つのシステム休止用バッファ全体、或いは、個々の番組レベルに設けられ得る個々の休止用バッファをスキップできる。
【0025】
本明細書に於いて既に述べているように、
図3のLOS検出論理回路130は、信号喪失状態が検出された時に、LOSフラグを生成する。フラッシュHDD45は、入来信号が得られた際にその信号を格納するだけであり、信号喪失期間中は、新たな格納は生じない。この期間中は、システム制御ブロック120のメモリ書き込み機能の作用は必要ない。一方、システム制御ブロック120のメモリ読み出し機能は、内容変更される必要がある。これは、当該機能が、通常は、タイムスタンプによって制御されており、そして、要求されているタイムスタンプ済みデータが、当該期間中は得られない為である。既に
図2に示されているように、パケット・プロセッサ30には、相関的な各タイムスタンプを提供する入来タイムスタンプ・カウンタ122と送出タイムスタンプ・カウンタ124とが含まれている。システム制御ブロック120は、不連続性が見つかると、フラッシュHDD45内の次の有効なタイムスタンプへ前方にジャンプする機能を有している。若しこの特徴が無ければ、当該システムは、信号喪失期間が含まれる受信されたままの信号喪失中断を再生してしまうことになる。
【0026】
例示と説明の便宜上、フラッシュHDD45は、オーディオ及び/又はビデオがユーザに対して出力される5分前に、満たされていると仮定する。この例では、入来タイムスタンプ(IN_timestamp)が10分3秒を示し、送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)が5分3秒を示していると仮定する。入来信号が1分間失われる場合、入来タイムスタンプ(IN_timestamp)は先へ進むが、フラッシュHDD45へのデータの書き込みは無い。1分後に、入来タイムスタンプ(IN_timestamp)は11分3秒であるが、10分3秒のタイム・マークと11分3秒のタイム・マークとの間には、データは無い。信号が再来すると、当該データはフラッシュHDD45に再び格納され始め、各入来タイムスタンプは、11分3秒のタイム・マークの後になる。送出タイムスタンプ・カウンタ124は、10分3秒のタイム・マークに到達するまで、継続して前に進み、データを送出する。送出タイムスタンプ・カウンタ124は、この到達点から増え続けて10分4秒になるが、得られるデータは無く、従って、該カウンタが11分3秒のタイム・マークに到達するまで、何も送出されない。11分3秒のタイム・マークで、データが再び送出され始める。従って、ユーザに対して信号喪失を再生したことになる。
【0027】
上述した問題の解決策には、少なくとも2つの異なる手法が含まれても良い。1つの手法は、フラッシュHDD45に於ける次のデータの入来タイムスタンプ(IN_timestamp)をモニタすることである。若し次の入来タイムスタンプ(IN_timestamp)が当該データについての予め規定された閾値よりも、例えば1秒分、大きければ、比較器136は、LOSフラグをシステム制御ブロック120に送る(
図3参照)。上述した例では、送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)が10分3秒であり、且つ、次の利用可能データが11分3秒である場合、特別な状態にフラグが立てられる。このフラグが検出されると、システム制御ブロック120は、送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)を次のタイムスタンプ済みデータに更新して、ユーザに対して1分間の信号喪失を再現することなく、フラッシュHDD45内の次のデータが直ぐに再生されるようにすることが出来る。この更新後に、当該システムは通常通りにデータを再生し続けるが、フラッシュHDD45は現時点で僅か4分先だけしか進んでいない。若し当該システム信号喪失が休止用バッファ開始遅延よりも長い期間に亘ると、ユーザは信号喪失を見ることになり、当該システムは従来通りに動作し続けることになる。
【0028】
上述した問題に対する別の手法は、LOS検出論理回路130に、マーカ・ビットとして付加されるLOSフラグ、即ち、データが不連続であり、送出タイムスタンプ・カウンタ124の送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)を直ちに変更する必要があることを示す特別なフラグを生成させることである。これは、遥かにより明確な手法であるが、タイムスタンプ・ヘッダに新たなビットを必要とする。若し各々の放送チャンネルがフラッシュHDD45内に自己の休止用バッファを有しておれば、任意のチャンネル上の如何なる信号喪失も補償でき、従って、ユーザはブランクの画面を見ずに済む。これは、あるチャンネル上の信号喪失がその他のチャンネルとは完全に無関係となる場合がある同一の公衆システムに於いてローカルなシステムと衛星放送システムとが混在することのあるマルチメディア・システムについて、有効となり得る。
【0029】
上述した休止用機能、信号喪失検出器、及び、喪失データのマスキングの使用は、一般消費者向けの用途については概ね有効であるが、セキュリティの用途では望ましくない場合がある。換言すれば、セキュリティ・カメラが監視中のシステムの一部である場合、特別なメッセージを表示することによって、信号がリアルタイムでないことを示すか、或いは、何らかの対策を講じてセキュリティ・カメラの入来データを送出タイムスタンプでマークすることによって、再生が即時であり遅延しないように構成しても良い。さもなければ、セキュリティ・カメラが実際の行動をマスキングして、その結果、犯罪が監視者(例えば、セキュリティの職員)に見られないことがあり得る。
【0030】
本発明のもう1つの特徴は、ユーザに対して、入来データが失われたが、コンテンツはユーザの視聴の快適さの為に進められたことを示すオン・スクリーン表示(OSD)のメッセージ、或いは、その他のタイプのメッセージを伝えることである。このユーザ通知には、多数の目的、即ち、タイム・リファレンスに瞬時の変更があることを説明する目的、コンテンツの喪失に因り重要な情報が失われた為に残りの番組の意味が分からなくなる場合にそのコンテンツの喪失を説明する目的、セキュリティのモニタリングの場合にデータが失われてマスキングされたことをユーザに通知する目的、及び、オペレータが複数のビデオ・セグメントを一緒に切り取る際に、ビデオ及び/又はオーディオに生じるかもしれない不揃い等について、オペレータを援助する目的がある。
【0031】
例えば、ある番組が、ダイエットに関するものであり、健康的な生活のための重要な各ステップを列挙して、何を避けるべきであるか、そして、何を避けるべきでないかを示しているとする。若しあるセグメントが失われると、健康的な生活のための重要な各ステップは、何の説明もなしに、避けるべき項目を列挙するのみになるかもしれない。もう1つの例として、2つの相異なるコマーシャルの電話番号を挙げると、1番目のコマーシャルが徐々にその電話番号に至る途中、信号が喪失されたことにより、ディスプレイが誤って2番目のコマーシャルの電話番号を示すことがある。本発明の本特徴に従えば、ユーザは、信号喪失期間中に失われた信号部分をスキップするか否かを選択するオプションが(例えば、OSDメニュー等を介して)提供され得る。若しユーザが信号喪失期間中に失われた信号部分をスキップしないことを選択した場合、その信号喪失期間中に失われた信号部分は、デフォルトの信号に置き換えられても良い。
【0032】
若しユーザがパーソナル・ビデオ・レコーダ(PVR)を使用している場合、当該番組は、リアルタイムよりも数分後、数時間後、或いは、数日後になることがある。若しその番組の格納中に雨による減衰が生じた場合、ユーザは、その雨による減衰が生じた期間の間、「信号喪失」メッセージを見るか、或いは、何の信号も見ないことがある。本発明に従えば、ユーザは、一部のコンテンツが失われたことを通知されるが、画面がブランクになる混乱を伴う期間を体験するのではなく、連続した番組を体験することが出来る。
【0033】
本発明のもう1つの特徴に従えば、フラッシュHDD45内に十分なデータが無い場合、例えば、バッファ長が、予め規定された閾値より短い場合は、データが、その通常速度よりも遅い速度で再生されても良い。後に、バッファ長が、予め規定された閾値以上になった時に、再生速度を通常速度に戻しても良い。この予め規定された閾値は、例えば、ユーザによって、手動で設定されても良いし、或いは、バッファ長が当該閾値に満たない周波数を特定するシステムによって、自動的に設定されても良い。本発明の本特徴に従えば、フラッシュHDD45内に格納されている受信データ・セグメントの数を特定して、この数に基づいて再生速度を調整する。例えば、この数がある閾値より少ない場合、再生速度を低減して、通常速度より低くする。逆に、この数が閾値以上である場合、再生速度を通常速度に維持する。
【0034】
雨による減衰が生じた場合は、例えば、10秒の遅延で十分に雨による減衰の事象を飛び越せることがある。この場合、ビデオ及び/又はオーディオは、フラッシュHDD45についての所望のバッファ時間が回復されるまで、若干低減された速度で再生されても良い。そして、若し信号喪失が生じた場合は、バッファを使い果たして、信号喪失期間を飛び越しても良い。当該事象の後も、所望のバッファ時間が回復されるまでは、低減された再生速度が再度生じることがある。また、当該システムの履歴を見ることが可能である。若し当該システムに於いて十分な雨による減衰の飛び越し期間が得られないことが頻繁に生じている場合には、所望のバッファ時間が自動的に増大されるように構成しても良い。更に、フラッシュHDD45についての所望のバッファ時間は、時節に基づいて調整されるようにしても良い。サービス・プロバイダが、例えば、ある地域について、或いは、個々の顧客(例えば、自己の衛星放送受信アンテナを数本の木の後方に設置しているユーザ等)について、何件の顧客苦情を受けているかに基づいて、フラッシュHDD45についての所望のバッファ時間を調整しても良い。再生速度は、十分なバッファ時間が無くなる危険を覚悟の上で、ある番組の終了が近づいた時に加速しても良く、その結果、ユーザは、引き続き放送される次の番組に遅れずに済むことが出来る。
【0035】
図5を参照すると、本発明の一実施例に従う各スキップを例示するフローチャート500が示されている。
図5の各スキップは、例えば、パケット・プロセッサ30のシステム制御ブロック120にプログラミングされたソフトウェアの機能を表すことが出来る。
図5の各スキップは、一例に過ぎず、決して本発明を制限するものではない。
【0036】
ステップ510に於いて、信号喪失状態をマスキングするサービスが有効にされる。一実施例に従えば、該サービスは、オーディオ信号及び/又はビデオ信号を含む各信号が、複数のユーザ、例えば、バス、列車、飛行機、地下鉄、船舶、及び/又は、その他の移動体上の乗客に配信されて再生されるネットワークで利用可能である。該サービスは、家庭やオフィスに於けるネットワークのようなその他のネットワークでも利用可能である。該サービスは、ステップ510に於いて、例えば、
図1に示されるシステムのようなシステムへの1つ以上の所定ユーザ入力に応答して、有効にされる。一旦、該サービスがステップ510に於いて有効にされると、デジタル・データが、
図1のフラッシュHDD45のようなバッファ・メモリへ直接ストリーミングすることを開始するが、システム・ユーザ(例えば、乗客等)へはストリーミングしない。
【0037】
ステップ520に於いて、1つ以上のユーザ出力が提供される。一実施例に従えば、1人以上のシステム・ユーザが、ステップ510に於いて該サービスが有効にされた所定時間後(例えば、5分後、1時間後等)に、再生出力(例えば、オーディオ出力及び/又はビデオ出力)の受信を開始する。この遅延によって、
図1のフラッシュHDD45がデジタル・データの蓄積を開始できる。この遅延は、
図2に於いて、送出タイムスタンプ・カウンタ124を、入来タイムスタンプ・カウンタ122の入来タイムスタンプ(IN_timestamp)値よりも上記所定時間に対応する分量だけ小さい送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)値で、プログラミングすることによって、可能にされても良い。
【0038】
ステップ530に於いて、該システムは、休止入力と信号喪失状態を監視する。一実施例に従えば、
図2及び
図3のシステム制御ブロック120は、ユーザからの休止信号入力と信号喪失状態を示すLOSフラグとを検出できる。休止信号入力が検出されない場合、データは、フラッシュHDD45へ直接ストリーミングされ続けて、後に1人以上のユーザに遅延して供給される。休止信号入力が検出された場合、システム制御ブロック120は、送出タイムスタンプ・カウンタ124からの現在の送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)値を休止開始時間として記憶して、休止モードを開始する。若し信号喪失状態が検出されると、信号喪失モードが開始される。以下、これら両モードについて説明する。
【0039】
ステップ540に於いて、休止モードが開始する。一実施例に従えば、休止モード期間中、入来データ・ストリームがフラッシュHDD45に格納される。また、休止入力信号を供給した当該ユーザ端末(例えば、セット・トップ・ボックス等)が、休止モードが開始されており、ユーザ端末へのデータ・ストリーミングが停止されていることを示すメッセージを受信する。若しユーザが休止モードを終了する別の入力信号を供給すると、システム制御ブロック120は、入来タイムスタンプ・カウンタ122からの入来タイムスタンプ(IN_timestamp)値を休止終了時間として記憶して、休止モードを終了する。若しユーザが休止モードを終了する別の入力信号を供給しなければ、休止モードは継続する。
【0040】
ステップ550に於いて、休止モードが終了する。一実施例に従えば、休止モードが終了すると、システム制御ブロック120は、前回記憶された休止開始時間(即ち、休止モード開始時点での送出タイムスタンプ・カウンタ124からの送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)値)を調べて、休止開始時間で始まるデータについてのフラッシュHDD45内のアドレスを特定する。入来データは、休止モード期間中と同様に、継続して格納される。また、ステップ550に於いて、システム制御ブロック120は、送出タイムスタンプ・カウンタ124を、休止開始時間に対応する送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)値でプログラミングして、フラッシュHDD45からのデータがユーザにストリーミングされることを可能にする。
【0041】
ステップ560に於いて、サービス喪失モードが開始する。一実施例に従えば、システム制御ブロック120が、信号喪失状態を示すLOS検出論理回路130からのLOSフラグを検出すると、ステップ560に於いてサービス喪失モードが開始する。サービス喪失モード期間中、フラッシュHDD45への入来データは停止しているが、ユーザにはデータが継続してストリーミングされ続ける。
【0042】
ステップ570に於いて、サービス喪失モードが終了する。一実施例に従えば、LOS検出論理回路130が信号の復帰を検出した時に、ステップ570に於いてサービス喪失モードが終了する。一旦そうなると、システム制御ブロック120は、フラッシュHDD45に送られる最初の復帰データ・パケットにLOSフラグを設定する。また、フラッシュHDD45とユーザへのデータ・ストリーミングは継続して行われる。
【0043】
ステップ580に於いて、再生マスク・モードが開始する。一実施例に従えば、設定されたLOSフラグがフラッシュHDD45から供給されるデータ・パケットから検出されると、システム制御ブロック120は、このパケットについて、送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)を入来タイムスタンプ(IN_timestamp)に等しくなるように設定する(
図4参照)。これにより、データ再生が信号喪失期間をスキップして、オーディオ及び/又はビデオがユーザに対して継続して再生されるように、再生マスク・モードが開始する。また、再生マスク・モード期間中、ユーザは、入来信号の一部が喪失されたことを通知される(例えば、OSDメッセージ等を介して通知される)。また、ユーザは、信号喪失期間の持続時間も知らされても良い。
【0044】
ステップ590に於いて、再生マスク・モードが終了する。一実施例に従えば、再生マスク・モードの終了によって、当該システムは、送出タイムスタンプ(OUT_timestamp)を用いてフラッシュHDD45からデータを読み出すことによって、通常の動作を継続し、従って、各データ・パケットが適切な時間に出力される。この通常動作は、休止入力信号と信号喪失状態の何れかが検出されるまで、継続する。若し休止入力信号が検出されると、休止モードが上述の如く開始される。若し信号喪失状態が検出されると、信号喪失モードが上述の如く開始される。上述した動作は、信号喪失状態をマスキングするサービスが有効にされている限り(ステップ510参照)、継続する。
【0045】
本明細書に於いて説明されたように、本発明は、信号配信再生ネットワークに於いて信号喪失状態をマスキングする方法と装置を提供する。本発明を好ましい目的を有するものとして説明したが、本発明は、本開示事項の意図と範囲を超えずに、更に変更を加えることが出来る。従って、本出願は、本発明の全般的な原理を用いる本発明の任意の変形、用途、或いは、適応形態を対象として含むものである。更に、本出願は、その特許請求の範囲内に在り、且つ、本発明が属する技術分野に於いて周知の手法、或いは、慣用の手法を用いて実施される本開示事項から発展したものも対象として含むものである。
本発明の好ましい実施形態を以下に示す。
付記1.信号を受信するステップと、
前記信号の喪失期間を検出するステップと、
前記信号の受信部分が継続して再生されることを可能にし、前記信号の前記期間中に喪失された部分がスキップされるようにするステップと、
を備えた方法。
付記2.付記1に記載の方法であって、前記信号の一部が喪失されたことを、前記スキップされるようにするステップ時に、ユーザに通知するステップを更に備えた、前記方法。
付記3.付記2に記載の方法であって、前記通知するステップが前記期間の持続時間を示すことを含む、前記方法。
付記4.付記1に記載の方法であって、前記信号が複数のセグメントを含み、前記方法が、各々の受信セグメントをバッファに格納するステップを更に備え、各々の格納されたセグメントにはタイム・マークが含まれている、前記方法。
付記5.付記4に記載の方法であって、前記タイム・マークを前記各々の受信セグメントに付加するステップを更に備えた、前記方法。
付記6.付記2に記載の方法であって、
前記信号の前記期間中に喪失された前記部分をスキップするか否かを前記ユーザが選択できるようにするステップを更に備える方法であり、
若し前記ユーザが前記信号の前記期間中に喪失された前記部分をスキップしないことを選択した場合、前記スキップされるようにするステップには、前記信号の前記期間中に喪失された前記部分をデフォルトの信号に置き換えることが含まれている、前記方法。
付記7.付記1に記載の方法であって、前記信号にはオーディオ・コンテンツとビデオ・コンテンツの少なくとも一方が含まれている、前記方法。
付記8.付記4に記載の方法であって、
前記バッファに格納された前記受信セグメントの数を特定するステップと、
前記数に従って、前記スキップされるようにするステップ時の再生速度を調整するステップと、
を更に備えた、前記方法。
付記9.付記8に記載の方法であって、前記調整するステップには、
前記数が閾値よりも小さい場合、前記再生速度を低減して通常速度よりも低くするステップと、
前記数が前記閾値以上の場合、前記再生速度を前記通常速度に維持するステップと、
が含まれている、前記方法。
付記10.信号を受信する手段と、
前記信号の喪失期間を検出する手段と、
前記信号の受信部分が継続して再生されることを可能にし、前記信号の前記期間中に喪失された部分がスキップされるようにする手段と、
を備えた、装置。
付記11.付記10に記載の装置であって、前記信号の一部が喪失されたことをユーザが前記再生時に通知される、前記装置。
付記12.付記11に記載の装置であって、前記期間の持続時間について前記ユーザが更に通知される、前記装置。
付記13.付記10に記載の装置であって、前記信号が複数のセグメントを含み、前記装置が、各々の受信セグメントを格納する手段を更に備え、各々の格納されたセグメントにはタイム・マークが含まれている、前記装置。
付記14.付記13に記載の装置であって、前記タイム・マークを前記各々の受信セグメントに付加する手段を更に備えた、前記装置。
付記15.付記11に記載の装置であって、
前記信号の前記期間中に喪失された前記部分をスキップするか否かを前記ユーザが選択できるようにする手段を更に備える装置であり、
若し前記ユーザが前記信号の前記期間中に喪失された前記部分をスキップしないことを選択した場合、前記信号の前記期間中に喪失された前記部分がデフォルトの信号に置き換えられる、前記装置。
付記16.付記10に記載の装置であって、前記信号にはオーディオ・コンテンツとビデオ・コンテンツの少なくとも一方が含まれている、前記装置。
付記17.付記13に記載の装置であって、前記格納する手段に格納された前記受信セグメントの数に従って、前記再生時に、再生速度が調整される、前記装置。
付記18.付記17に記載の装置であって、
前記数が閾値よりも小さい場合、前記再生速度が通常速度よりも低くなるように低減され、
前記数が前記閾値以上の場合、前記再生速度が前記通常速度に維持される、前記装置。
付記19.オーディオ・コンテンツとビデオ・コンテンツの少なくとも一方を含む信号を受信する機能を有する入力と、
前記信号の喪失期間を検出する機能を有する検出器と、
前記信号の受信部分が継続して再生されることを可能にし、前記信号の前記期間中に喪失された部分がスキップされるようにする機能を有する制御器と、
を備えた装置。
付記20.付記19に記載の装置であって、前記信号の一部が喪失されたことをユーザが前記再生時に通知される、前記装置。
付記21.付記20に記載の装置であって、前記期間の持続時間について前記ユーザが更に通知される、前記装置。
付記22.付記19に記載の装置であって、前記信号が複数のセグメントを含み、前記装置が、各々の受信セグメントを格納する機能を有するメモリを更に備え、各々の格納されたセグメントにはタイム・マークが含まれている、前記装置。
付記23.付記20に記載の装置であって、
前記信号の前記期間中に喪失された前記部分をスキップするか否かを前記ユーザが選択し、
若し前記ユーザが前記信号の前記期間中に喪失された前記部分をスキップしないことを選択した場合、前記信号の前記期間中に喪失された前記部分がデフォルトの信号に置き換えられる、前記装置。
付記24.付記22に記載の装置であって、前記メモリに格納された前記受信セグメントの数に従って、前記再生時に、再生速度が調整される、前記装置。
付記25.付記24に記載の装置であって、
前記数が閾値よりも小さい場合、前記再生速度が通常速度よりも低くなるように低減され、
前記数が前記閾値以上の場合、前記再生速度が前記通常速度に維持される、前記装置。