特許第5662314号(P5662314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5662314-保護コーティングおよび方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662314
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】保護コーティングおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 28/00 20060101AFI20150108BHJP
   C23C 26/00 20060101ALI20150108BHJP
   C22C 5/04 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   C23C28/00 B
   C23C26/00 C
   C22C5/04
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-525013(P2011-525013)
(86)(22)【出願日】2009年8月28日
(65)【公表番号】特表2012-501384(P2012-501384A)
(43)【公表日】2012年1月19日
(86)【国際出願番号】US2009004926
(87)【国際公開番号】WO2010024940
(87)【国際公開日】20100304
【審査請求日】2012年8月28日
(31)【優先権主張番号】61/190,488
(32)【優先日】2008年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ビスワズ,サミル
(72)【発明者】
【氏名】カラジャベルリアン,スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】マッティングリー,ウィリアム ビー サード
【審査官】 深草 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0057275(US,A1)
【文献】 特開昭62−212228(JP,A)
【文献】 特表2005−517815(JP,A)
【文献】 特開平05−247569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 24/00−30/00
B32B 1/00−43/00
C03B 5/42−5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)貴金属である第1の金属を含む第1の表面を有する第1の層と、
(ii)前記第1の層の第1の表面に直接結合する第2の金属の酸化物を含み、前記第1の層の第1の表面の少なくとも一部を被覆する、第2の層と、
を備えた装置であって、
(A)前記第1の層と前記第2の層との接触面が、実質的に複雑に入り組んでおり、高密度であり、かつ、不規則なトポグラフィーを有し、
(B)前記第2の金属が、高温において、前記第1の金属の第1の表面に堆積する際に、前記第1の金属と合金を形成す
装置。
【請求項2】
記第2の金属が、Si、ZrおよびAlのうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1の層がPtを含み、
前記第2の層がAl23から本質的になる
ことを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記第2の層が、実質的にO2不透過性であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記第1の層と前記第2の層との接触面が、少なくとも1.50のコンボリューション指数を有することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記第2の層が、μm〜0μmの厚さを有することを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
酸化雰囲気に曝露される際に、高温において、装置における第1の金属を含む第1の層の第1の表面を酸化から保護する方法であって、
(a)前記第1の金属の第1の表面の少なくとも一部に、第2の金属を含む前駆体層を提供し、ここで、前記第2の金属が、形成条件下で、前記第1の金属と合金を形成する能力を有し、前記第1の金属が貴金属であり、
(b)前記前駆体層を高温において酸化雰囲気に曝露することにより、前記第2の金属の酸化物を含む第2の層を形成する、
各工程を有してなる方法。
【請求項8】
前記金属がPtを含み、
前記第2の金属が、Al、SiおよびZrのうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程(a)において、前記前駆体層がμm〜20μmの厚さを有することを特徴とする請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
工程(b)の終了時に、前記第1の層と前記第2の層との接触面が、実質的に高密度であり、かつ、不規則なトポグラフィーを有することを特徴とする請求項7〜9いずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、「ガラス供給システムの内部パッシベーション(INTERNAL PASSIVATION OF GLASS DELIVERY SYSTEMS)」という発明の名称で2008年8月29日に出願した米国仮特許出願第61/190488号の優先権を主張し、その内容は、参照することによってその全体を信頼され、本明細書に取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、金属の保護コーティングおよび方法に関する。特に、本発明は、貴金属のための酸化物保護コーティングおよび、それらのコーティングの形成方法に関する。本発明は、例えば、酸化雰囲気下、高い動作温度におけるガラス供給システムの白金成分のパッシベーションおよび保護に有用である。
【背景技術】
【0003】
例えば、高温が重要なプロセス成分の分解を引き起こすか、または加速させてしまいかねないような厳しい熱環境で行われるプロセスの間に生じうる、成分損傷の軽減を目的とした方法および組成物の開発が、近年、注目を集めている。これらのプロセス成分への損傷は、費用が嵩み、それに続いて、他の潜在的に不利なプロセス問題を生じうる。
【0004】
厳しい熱環境で行われる典型的なプロセスとして、例えば、特許文献1(Dockerty)および特許文献2(Dockerty)に記載されるオーバーフロー・ダウンドロー・フュージョン法などのガラス製造方法がある。多くのガラス製造装置は、貴金属などの耐久性の不活性材料でできているが、それでもなお、高いプロセス動作温度は、成分が酸化および熱応力に晒される厳しい環境を生じさせうる。例えば電子ディスプレーのためのガラスは、貴金属の供給、保持、および形成装置を用いた加工を行うことができる。このようなガラス加工技術に用いられる温度は、貴金属部分のむき出しの表面を酸化するのに十分に高く、順に還元されて金属粒子を形成しうる、揮発性の貴金属酸化物を生成する。還元金属粒子は、このような方法で生産されたガラスに、汚染物質の内包物を形成する場合がある。特に、非常に高いガラス品質(滑らかさ、均質性など)が要求される半導体用途では、このような汚染物質に対する耐性は低い場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,338,696号明細書
【特許文献2】米国特許第3,682,609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のガラス製造法および他の方法に関連する前述の問題および他の欠点に対処することが必要とされている。本開示の組成物および方法は、これらの要求および他の要求を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の幾つかの態様が本明細書に開示される。態様は、互いに重複しても、重複しなくてもよいことが理解されるべきである。よって、1つの態様の一部は、別の態様の範囲に含まれる場合があり、逆もまた同様である。
【0008】
各態様は、1つ以上の実施の形態によって例証され、これは、同様に、1つ以上の特定の実施の形態を含みうる。実施の形態は、互いに重複しても、重複しなくてもよいことが理解されるべきである。よって、1つの実施の形態の一部、またはそれらの特定の実施の形態は、別の実施の形態、またはそれらの特定の実施の形態の範囲内に含まれても含まれなくてもよく、逆もまた同様である。
【0009】
本発明の第1の態様は、
(i)第1の金属を含む第1の表面を有する第1の層と、
(ii)前記第1の層の第1の表面に直接結合する第2の金属の酸化物を含み、前記第1の層の第1の表面の少なくとも一部を被覆する、第2の層と、
を備えた装置であって、ここで:
(A)前記第1の層と前記第2の層との接触面が、実質的に高密度であり、かつ、不規則なトポグラフィーを有し、
(B)前記第2の金属が、高温において、前記第1の金属の第1の表面に堆積する際に、前記第2の金属が、前記第1の金属と合金を形成する能力を有する、
装置に関する。
【0010】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、(C)第2の金属と、不活性基板によって支持された第2の層と実質的に等しい厚さを有する第1の金属との混合物からなる金属膜の主表面の一方を、1000℃から第1の金属の融解温度までの範囲の温度で、十分な時間、空気に曝露させる場合に、前記金属膜が、完全に酸化されて、前記不活性基板上に高密度の酸化物膜を形成することができる。
【0011】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、第1の金属は貴金属を含み、第2の金属はAl、ZrおよびSiのうち少なくとも1つを含む。
【0012】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、前記第1の層はPtを含み、前記第2の層はAl23から本質的になる。
【0013】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、前記第1の層と前記第2の層との接触面は、少なくとも1.50のコンボリューション指数を有し、ある特定の実施の形態では少なくとも1.55であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.60であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.65であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.70であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.75である。
【0014】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、第2の層は、約5μm〜約80μmの厚さを有し、ある特定の実施の形態では約10μm〜約70μmであり、ある特定の他の実施の形態では約20μm〜約60μmであり、ある特定の実施の形態では約20μm〜約50μmであり、ある特定の他の実施の形態では約25μm〜約45μmであり、ある特定の他の実施の形態では約30μm〜約40μmである。
【0015】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、装置は、溶融ガラス供給システムの構成要素である。
【0016】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、装置は、ガラス溶融システムの微細管である。
【0017】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、装置は、溶融ガラスがせん断応力に晒される撹拌チャンバである。
【0018】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、装置は、撹拌チャンバの被覆である。
【0019】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、装置は、電力を伝達するための電気フランジなどのフランジである。
【0020】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、第2の層は、さもなければO2含有雰囲気に曝露される、装置の曝露表面の本質的にすべての領域を被覆する。あるさらに具体的な実施の形態では、装置の外表面は、第2の層で被覆される。
【0021】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、第2の層は、PtO2などの第1の金属の酸化物に対し、実質的に不透過性である。
【0022】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、第2の層は、実質的にO2不透過性である。
【0023】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、第2の層は、金属状態にある第2の金属を実質的に含まない。
【0024】
本発明の第1の態様のある特定の実施の形態では、第2の層および第1の層は、それらの接触面において、インターロック特性を形成する。
【0025】
本発明の第2の態様は、酸化雰囲気に曝露される際に、高温において、装置における第1の金属を含む第1の層の第1の表面を酸化から保護する方法に関し、
(a)前記第1の金属の第1の表面の少なくとも一部に、第2の金属を含む前駆体層を提供し、ここで、前記第2の金属が、前記前駆体層を提供する条件下で、前記第1の金属と合金を形成する能力を有し、
(b)前記前駆体層を高温において酸化雰囲気に曝露することにより、前記第2の金属の酸化物を含む第2の層を形成する、
各工程を有してなる。
【0026】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、第1の金属はPtを含む。
【0027】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、第1の金属はPtを含み、第2の金属は、Al、SiおよびZrのうち少なくとも1つを含む。
【0028】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(a)において、前駆体層は、約7μm〜約120μmの厚さを有し、ある特定の実施の形態では約10μm〜約100μmであり、ある特定の他の実施の形態では約15μm〜約80μmであり、ある特定の他の実施の形態では約20μm〜約60μmであり、ある特定の実施の形態では約20μm〜約50μmであり、ある特定の他の実施の形態では約25μm〜約45μmであり、ある特定の他の実施の形態では約30μm〜約40μmである。
【0029】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(b)の終了時に、前記第1の層と前記第2の層との接触面は、実質的に高密度であり、かつ、不規則なトポグラフィーを有する。
【0030】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(b)において、第2の層は、第1の層と第2の層との接触面が、少なくとも1.50のコンボリューション指数を有するように形成され、ある特定の実施の形態では少なくとも1.55であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.60であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.65であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.70であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.75である。
【0031】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(a)は、CVD、パック・セメンテーション、スラリー・コーティング、スパッタリング、電気めっきなどのうち、少なくとも1つを含む。
【0032】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(b)は、予熱段階で行われる。
【0033】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、装置が動作システムに組み込まれる場合には、工程(b)は、その場(in-situ)で行われる。さらに具体的な実施の形態では、動作システムは、ガラス溶融および/または供給システムである。
【0034】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(b)の終了時に、第2の層は、約5μm〜約80μmの厚さを有し、ある特定の実施の形態では約10μm〜約70μmであり、ある特定の他の実施の形態では約20μm〜約60μmであり、ある特定の実施の形態では約20μm〜約50μmであり、ある特定の他の実施の形態では約25μm〜約45μmであり、ある特定の他の実施の形態では約30μm〜約40μmである。本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(a)において、提供される前駆体層は、本質的に、第1の金属および第2の金属の混合物からなる。
【0035】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(b)において、高温は、1000℃から第1の金属の融解温度の範囲である。
【0036】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(b)の終了時に、高温は、1000℃から前駆体層の融解温度の範囲である。
【0037】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(b)において、前駆体層における第2の金属は、それらの酸化物に完全に転換される。
【0038】
本発明の第2の態様のある特定の実施の形態では、工程(b)において、前駆体層は、溶融した第2の金属が第1の金属上を著しく流れることなく、第2の金属の酸化が生じるように、ある温度上昇速度で、高温に至るまで加熱される。
【0039】
本発明の第3の態様は、先に概略的に説明し、以下にさらに詳細に説明する本発明に従った装置を使用することによる、板ガラスの製造方法に関する。
【0040】
本発明の第3の態様のある特定の実施の形態では、装置は、撹拌チャンバ、極細管(finer)、フランジ、または接続管を備える。
【0041】
本発明の1つ以上の態様の1つ以上の実施の形態は、次の利点の1つ以上を有する。第1に、金属構造物の外表面に高密度の耐熱性の保護コーティングを形成して、有害な酸化から保護することができる。第2に、複雑な形状を有する表面にコーティングを形成することができる。第3に、比較的低費用でコーティングを形成することができる。第4に、コーティングは、第1の金属層と第2の酸化物保護層の間に高い界面結合強度を有しうる。
【0042】
本開示の追加の実施の形態は、一部には、詳細な説明および添付の特許請求の範囲に記載され、一部には、詳細な説明から導かれ、または、本開示の実施によって理解できよう。前述の概要および以下の詳細な説明は、典型的かつ単に説明のためのものであって、開示する、および/または、特許請求の範囲に記載する本発明を制限しないことが理解されるべきである。
【0043】
本明細書に取り込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の特定の例を示すものであり、解説と一緒に、本開示の原理を、限定することなく、説明する役割をする。類似の参照番号は、図面全体を通して、同一の要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】金属Alを含む前駆体層を備えたPt−Rh金属片の断面100の走査電子顕微鏡画像。
図2】完全に酸化されたAl23層を有する1つのPt−Rh金属片の断面の走査電子顕微鏡画像。
図3】基板上に予め形成したAl23の層を除去した後のPt−Rh基板の表面の走査電子顕微鏡画像。
図4】本発明のある特定の実施の形態に従って処理したPt−Rh基板上の情報を獲得するための画像の収集および解析法。
図5】本発明のある特定の実施の形態に従って処理したPt−Rh基板上の情報を獲得するための画像の収集および解析法。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示の次の記述は、現在知られている最良の実施の形態における本発明の可能な教示として提供される。この目的を達成するため、当業者は、本開示の有益な結果を得つつ、本明細書に記載される開示のさまざまな実施の形態に対し、多くの変更をなしうることを認識および理解するであろう。本開示の望ましい利益の一部は、他の特徴を利用することなく、本開示の特徴の一部を選択することによって得ることができることも、明らかであろう。したがって、当業者は、本開示に対し多くの変更および適合が可能であり、特定の状況下ではそれが望ましくさえあり、本開示の一部であることを理解するであろう。よって、以下の説明は、本開示の原理の実例として提供され、それらに限定されない。
【0046】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、多くの用語について言及されるが、それらは次の意味を有するように定義されるべきである:
範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表される。このように範囲が表される場合、別の例には、1つの特定の値から、および/または、別の特定の値までが含まれる。同様に、先行詞「約」を用いて、値が近似値として表現される場合、その特定の値が別の実施の形態を形成することが理解されよう。さらには、各範囲の終点が、別の終点と関係する場合、及び、別の終点とは独立している場合の両方において、重要であるということも理解されよう。
【0047】
例えば、特定の金属成分が開示され、論じられ、かつ、その金属成分に対してなされうる多くの変更について論じられる場合、特に明記されない限り、その金属成分および可能な変更の個々及びすべての組合せ及び順列が明確に意図されている。したがって、金属成分の種類A、B、Cが開示されると同時に、金属成分の種類D、E、Fが開示され、また、A−Dを含む金属成分の組合せ例、あるいは例えば金属合金が開示されており、各々については個々に列挙されていない場合でも、各々が個別に、及び集合的に意図された意味の組合せ、A−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fが開示されているとみなされる。同様に、これらの任意の部分集合または組合せについても、開示されている。したがって、例えば、A−E、B−F、およびC−Eの下位群は開示されているとみなされる。この概念は、限定はしないが、開示される組成物の製造及び使用方法における工程を含む、本願のすべての態様に適用される。したがって、行われうるさまざまな付加的工程が存在する場合、これらの付加的工程の各々が、開示される方法についての任意の特定の実施の形態で、または、実施の形態を組み合わせて行うことができるものと理解されたい。
【0048】
本明細書では、成分の「重量%」または「重量パーセント」または「重量によるパーセント」とは、明確にそれに反する記述がない限り、百分率で表された成分を含む組成物の、全重量に対する成分の重量の比のことをいう。
【0049】
本明細書では「コンボリューション指数」という用語は、材料の第1の層と材料の第2の層の間の接触面のトポグラフィーを説明する。コンボリューション指数(CI)は、次のように定義される:
CI = Lc/Ls
ここで、Lcは、約1μmの解像度スケールで測定した、材料の第1の層の中心平面に実質的に垂直な面で接触面をカットすることによって得られる、接触面上の2点を結ぶ曲線部分の長さであり;Lsは同一の2点を結ぶ直線部分の長さである。コンボリューション指数の測定のプロトコルについては、以下に詳細に説明する。よって、完璧に平らな接触面はCI=1となり、CI値が高くなると、接触面のトポグラフィーは、より不規則になる。測定の解像度は、最終的なCI値に影響を与える可能性があるため、本願では、Lcは約1μmの解像度スケールで測定することを理解されたい。「不規則なトポグラフィー」とは、接触面が少なくとも1.48のコンボリューション指数を有することを意味する。CI値が高くなると、第1の層と第2の層の接触面積が大きくなり、したがって、第1の層と第2の層の接着がより強力になる。
【0050】
本明細書では、実質的に高密度の接触面とは、1μmの解像度スケールで観察した場合に、実質的に空隙を含まない接触面を意味する。
【0051】
I.本発明の装置
先に簡単に説明したように、本発明の装置は、
(i)第1の表面を有する第1の金属を含む第1の層と、
(ii)前記第1の層の第1の表面に直接結合する第2の金属の酸化物を含み、前記第1の層の第1の表面の少なくとも一部を被覆する、第2の層と、
を備え、ここで:
(A)前記第1の層と前記第2の層との接触面が、実質的に高密度であり、かつ、不規則なトポグラフィーを有し、
(B)前記第2の金属が、高温において、前記第1の金属の第1の表面に堆積する際に、前記第2の金属が、前記第1の金属と合金を形成する能力を有する。ある特定の実施の形態では、第1の金属および第2の金属は、さらに、次の条件を満たす:
(C)第2の金属を含む金属膜の主表面の1つと、不活性基板によって支持された第2の層と実質的に等しい厚さを有する第1の金属とが、1000℃から前記第1の金属の融点の間の高温において空気に曝露される場合、前記金属膜における第2の金属は、実質的に完全に酸化されて、前記不活性基板上に高密度の酸化物膜を形成することができる。
【0052】
本発明の装置は、独立型の装置または大規模システムの一部でありうる。よって、例えば装置は、流体または反応媒体を入れるための容器でありうる。上記の2つの層に加えて、装置は、第1または第2の層に隣接した追加の層を含みうる。例えば、装置は、第2の層の上に隣接して、第2の層の少なくとも一部を被覆する第3の層を備えていて差し支えない。別の例では、装置は、さらに、第1の層の第2の表面の上に隣接して、第1の層の少なくとも第2の表面を被覆する第4の層を含んでいてもよい。装置は、第1および第2の層とは別に、他の機能的成分をさらに含みうる。
【0053】
1つの実施の形態では、本発明の装置は、ガラス溶融物などの高温の流体を運ぶための導管を備えており、この導管は、第2の金属の酸化物の第2の層で被覆された第1の金属で作られた壁を備える。このような導管は、例えば、極細管(finer)、ガラスの溶融および供給システムの異なるステーション間の接続管などでありうる。別の実施の形態では、本発明の装置は、ガラス溶融物などの高温流体が攪拌および均質化される容器を備える。
【0054】
例えば上述のようなガラス流体を取り扱う装置などの装置が高温において動作するように適合された実施の形態では、第1の金属は、貴金属を有利に含む。貴金属は、酸化に対する高温抵抗、およびガラス流体などの材料による浸食について知られている。よって、第1の層の第1の表面の反対側は、装置が動作できるように設計されており、本発明の装置の第1の層は、高温流体との接触が可能でありうる。例えば、装置にガラス溶融物を取り扱うための極細管(finer)が備わっている場合、極細管の壁は、PtまたはPt−Rh合金で構成されて差し支えなく、その内表面は、その通常動作の間に、ガラス溶融物を含むことができ、外表面はAl23コーティングで被覆されている。よって、第1の層は、単一の金属、または複数の金属の組合せで構成されうる。
【0055】
しかしながら、貴金属は通常は非常に高価であり、したがって、第1の層は可能な限り薄くなるように設計される。加えて、PtおよびRhなどの貴金属であっても、500℃より高い温度では、とりわけ、次のメカニズムによって、酸化の影響を受けやすいことが知られている:
Pt(固体)+ O2(気体)←→ PtO2(気体) (1)
Rh(固体)+ O2(気体)←→ RhO2(気体) (2)
酸化は、その後のPtO2ガスの解離および、比較的低温の表面上での微粒子Ptの凝縮を原因として、金属の損失、金属壁の薄層化、およびガラス溶融物中のPt内包物を生じさせるが、これらはすべて、非常に好ましくない。本発明の装置における第2の金属の酸化物の第2の層は、装置が暴露される雰囲気からのO2の拡散を抑制する働きをし、それによって、例えば1500℃を超えるであろうガラス極細管の通常の動作温度などの高温においても、上記反応(1)を抑制することができる。
【0056】
両方の金属が500℃を超えるような高温において接触できる場合には、第2の金属は、金属状態にあるときには、金属状態にある第1の金属と合金を形成することができる。合金化能力は、本発明の装置の第1の層と第2の層との、複雑な入り組んだ接触面の形成を可能にする。合金は、上述のように、さまざまなモル百分率における2種類の金属の混合物または組合せでありうることに留意すべきである。実際に、第1の金属および第2の金属は、所定の合金化条件下で、多様な種類の合金を形成しうる。例えば、第1の金属であろうPtは、2種類の金属が互いに接触可能な800℃などの高温において、第2の金属であろうAlと、PtxAlyで表されるさまざまな組成で合金を形成することができる。さらには、上述の通り、第1の層は複数の金属の組合せ(例えばPt−Rh合金など)を含みうる。このような事例では、第1の金属(例えばPt)に加えて、第1の層に含まれる他の金属も、同様に高温において、第2の金属と合金を形成する能力を有しうるが、本発明ではそのように機能することは必要とされていない。
【0057】
第2の金属の酸化物を含む第2の層は、第1の層の第1の表面の少なくとも一部を被覆し、例えば、高温、第1の層の第1の表面に対して浸食性の流体、または、第1の層の第1の表面との相溶性の要件を満たさない追加の層に曝露される場合など、第1の層の第1の表面が第1の層の正常動作条件下で反応性である雰囲気に曝露されたであろう環境から、第1の層の第1の表面の被覆部分を、少なくとも部分的に隔離する。
【0058】
本発明の装置が例えば1000℃を超えるような高温において機能するように設計されている実施の形態では、第2の層の酸化物が耐熱性の材料であることが望ましい。例えば、ガラスの溶融および供給システムの極細管は、1500℃の高温で動作することができる。PtおよびPt−Rh合金は、極細管の壁の適切な候補材料である。極細管の壁の外表面を被覆する第2の層のための適切な酸化物は、例えば、Al23、ZrO2、MgO、TiO2、SiO2など、ならびに、それらの混合物および組合せでありうる。ある特定の実施の形態では、Al23およびZrO2が特に望ましい。本願では、説明の便宜のため、Siを、予定される第2の金属の群に含める。
【0059】
第1の層と第2の層との強固な接着を得るため、および、少ない動作サイクルの後に第1の層と第2の層の間の層間剥離を防止するため、第1の層の単一または複数の金属および第2の層の酸化物は、実質的に同様の熱膨張率(CTE)を有することが望ましい。Pt、Pt−RhおよびAl23は、通常のガラス製造条件下において、類似したCTEを有する。
【0060】
ある特定の実施の形態では、第2の層が実質的に高密度であること、すなわち、1μmより大きい空隙および亀裂を本質的に含まないことが非常に望ましい。ある特定の実施の形態では、第2の層が、500nmより大きい空隙および亀裂を本質的に含まないことが望ましい。ある特定の他の実施の形態では、第2の層が、300nmより大きい空隙および亀裂を本質的に含まないことが望ましい。ある特定の実施の形態では、第2の層が、100nmより大きい空隙および亀裂を本質的に含まないことが望ましい。第2の層がより高密度になると、層を通過する流体(例えばO2または他の気体など)の拡散速度は遅くなり、第1の層の第1の表面に、さらに効果的に、分離および保護をもたらす。
【0061】
2含有雰囲気からPtを含む第1の層を保護するため、第2の層が、PtO2を大量に漏出するであろう空隙および亀裂を本質的に含まないことが非常に望ましい。上述のように、PtおよびO2は、次の反応(1)を被る:
Pt(固体)+ O2(気体)←→ PtO2(気体) (1)
PtO2は、O2よりもはるかに大きい分子サイズを有し、よって、体積抵抗がより空間的な第2の層を通じて拡散する。よって、第2の層における空隙および亀裂がO2の速い拡散を可能にするが、PtO2の拡散を実質的に抑制する場合には、反応(1)は急速に均衡に達し、よって、さらなる酸化およびPtの損失を防ぐであろう。したがって、本発明のある特定の実施の形態では、第2の層が非常に高密度であって、動作条件下で、第1の金属の酸化物を通過する気相の拡散を実質的に抑制することが非常に望ましい。よって、第1の層がPtを含む場合には、第2の層(Al23層など)が、装置の正常動作条件下でPtO2の自由拡散を可能にするであろう空隙および亀裂を本質的に含まないことが望ましい。ある特定の実施の形態では、正常動作条件下におけるO2の拡散を抑制するように、第2の層が空隙および亀裂を本質的に含まないことがさらに望ましい。
【0062】
ある特定の実施の形態では、第2の層が、金属状態にある第2の金属を本質的に含まないこと、すなわち、第2の層における第2の金属が実質的に完全に酸化されることが望ましい。このように完全に酸化された第2の層は、装置の正常動作条件下で安定である。それにもかかわらず、ある特定の実施の形態では望ましいであろう、第2の層における第2の金属の一部が金属状態にあることは排除されない。金属状態にある第2の金属の一部が、工程(b)の終了時に、第2の層の下に金属などの混合物を形成することは排除されない。それらの実施の形態では、第2の層が流体に曝露されるように設計される場合には、流体に曝露される第2の層の少なくとも表面が完全に酸化されることが非常に望ましい。残りの金属状態にある第2の金属は、特に第1の層に隣接した領域において、動作の間に消費された第2の層の一部を補充することができ、したがって、ある特定の実施の形態では望ましい。しかしながら、他の実施の形態では、金属状態にある第2の金属が第1の金属と合金化する能力に起因して、装置の動作の間に、第2の金属が第1の層のバルク内に深く拡散し、第1の層の脆弱化を引き起こす場合があり、したがって、望ましくない。
【0063】
先に簡単に説明したように、本発明の装置における第1の層と第2の層との接触面は、実質的に複雑に入り組んでいる。よって、接触面が第1の層のメジアン面に実質的に垂直な面によってカットされて、断面を得る場合、1μmの解像度スケールにおけるでこぼこした曲線を、例えば電子顕微鏡などによって観察することができる。ある特定の実施の形態では、第1の層と第2の層との接触面の高いコンボリューション指数は、本発明を、先行技術でコーティングされた金属のものと識別する、顕著な特徴である。本発明の装置における第1および第2の層の接触面は、少なくとも1.48のコンボリューション指数を有し、ある特定の実施の形態では少なくとも1.50であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.60であり、ある特定の他の実施の形態では少なくとも1.70であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.80である。
【0064】
当然ながら、第2の層が厚みを増すと、そこを通過する流体の拡散に対し、より大きい抵抗を提供できる。しかしながら、コーティングの厚みの増大は、形成にさらに費用がかかり、ある特定の実施の形態では、不必要でありうる。第2の層の厚さは、第1の層から離れた第2の層の表面から、第1の層の第1の表面までの平均最短距離として定義される。したがって、ある特定の実施の形態では、第2の層は、最大で80μmの厚さを有し、ある特定の他の実施の形態では最大で60μmであり、ある特定の他の実施の形態では最大で50μmであり、ある特定の他の実施の形態では最大で40μmであり、ある特定の実施の形態では最大で30μmである。拡散に対する抑制の閾値を得るため、第2の層の厚さは、ある特定の実施の形態では少なくとも5μmであることが望ましく、ある特定の実施の形態では少なくとも10μmであり、ある特定の実施の形態では少なくとも20μmであり、ある特定の実施の形態では少なくとも30μmである。
【0065】
第1の層と第2の層の入り組んだ接触面は、ある特定のインターロック特性を含みうる、すなわち、第1の層のある特定の部分が第2の層内に突き出る、および/または、第2の層のある特定の部分が第1の層内に突き出る。このようなインターロック特性は、2つの層間の強固な接着にとって特に望ましい。1μm規模のインターロック特性は、第2の層の酸化物の直接的な化学蒸着などの従来のコーティング方法の使用によって形成することは容易ではない。従来のコーティング方法の利用によって形成することは特に困難であるが、本発明によって得ることが可能な、空隙を本質的に含まないインターロック特性は、同時に備えることができる、界面接着強度の高さと流体(O2など)拡散性の低さに起因して、非常に望ましい。ある特定の実施の形態では、第1の金属の突出部分が、第1の層を備えたバルクに直接接続すること、および/または、第2の層の酸化物の突出部分が、第2の層の酸化物のバルクに直接接続することが望ましい。第1の層と第2の層のこのような連続構造は、第1の層と第2の層の間の結合強度を強化する。それにもかかわらず、ある特定の実施の形態では、第2の層における第2の金属の酸化物のバルクにおいて、第1の金属のバルクと直接結合していない、第1の金属のある特定の離散粒子が存在することを排除するものではない。ある特定の実施の形態では、第2の層の下に、第2の金属の酸化物のある特定の離散的な島状部が形成され、第1の金属のバルク内に捕捉されることを排除するものではない。
【0066】
第1および第2の層の接触面における高いコンボリューション指数は、2つの層間に広い接触面積を提供し、よって、2つの層間の接着を大幅に強化する。インターロック特性は、存在する場合には、さらに、結合形成を改善する。
【0067】
本発明の装置における第2の層の保護コーティングの存在により、第1の層の酸化および損失を低減することができる。第1の金属がPtなどの貴金属を含む実施の形態では、これらの保護の結果として、装置寿命の大幅な延長および資本の節約につながる。
【0068】
他方では、ガラス製造方法におけるPt酸化が、低温領域におけるPtO2の解離およびPt金属粒子の凝縮に起因して、ガラス溶融物内に入り込み、望ましくない欠陥を形成しうるPt内包物を、最終的なガラス内に生じうることが知られている。よって、本発明の装置は、ガラス製造システムにおいて適切に用いられる場合には、ガラス品質も高めることができる。
【0069】
図1は、金属Alを含む前駆体層を有する1つのPt−Rh金属片の断面100の走査電子顕微鏡画像を示している。図1におけるこの断面の構造および組成について、以下にさらに詳細に説明する。
【0070】
図2は、以下に説明する本発明の金属化処理を使用することによって調製した、完全に酸化されたAl23層を有する1つのPt−Rh金属片の断面の走査電子顕微鏡画像を示している。
【0071】
図3は、基板上に予め形成したAl23層を除去した後のPt−Rh基板の表面の走査電子顕微鏡画像である。この画像は、Pt−Rh層の第1の表面の入り組んだ特徴を明らかにしている。
【0072】
II.装置の製造方法
本発明の第2の態様は、酸化雰囲気に曝露される際に、高温において、装置における第1の金属を含む第1の層の第1の表面を保護する方法を対象とし、
(a)前記第1の金属の第1の表面の少なくとも一部の上に、金属状態にある第2の金属を含む前駆体層を提供し、ここで、前記第2の金属は、前記前駆体層が提供される条件下で、前記第1の金属と合金を形成する能力を有し;
(b)前記前駆体層を高温において酸化雰囲気に曝露することにより、前記第2の金属の酸化物を含む第2の層を形成する、
各工程を有してなる。
【0073】
工程(a)は、スパッタリング、化学蒸着、スラリー堆積などを行い、前記金属状態にある第2の金属の前駆体層を形成する工程を含んで差し支えない。工程(a)の間に、第2の金属が第1の層に入り込み、第1の金属が前駆体層に入り込み、接触面に同時に、第1の金属の勾配と第2の金属の勾配を形成する。ある特定の実施の形態では、前駆体層の少なくとも上部が第2の金属を本質的に含まないことが望ましく、第2の金属は第1の層の全厚を貫通しないことが望ましい。ある特定の他の実施の形態では、前駆体層は、その厚さ全体にわたり、第1の金属と第2の金属の混合物を含む。例えば、本質的にPtxAlyからなる前駆体層は、AlがPt基板の表面に堆積する場合に形成されうる。
【0074】
第1の金属がPtまたはPt−Rhであり、第2の金属がAlである場合には、スパッタリング、従来の化学蒸着、スラリー堆積などによって、Al層を堆積させることができる。PtおよびAlは、PtxAlyで表される合金を形成することが知られていることから、接触面は、さまざまなPt/Alモル比を有するPt−Alの混合物である。
【0075】
第1の金属、第1の層、および第2の金属に関しては、本発明の装置について先に述べた通りでありうる。よって、第1の金属はPtまたはPt−Rh合金などの貴金属であって差し支えなく、第2の金属は、Al、Zr、Ti、Si、Mg、およびそれらの混合物および組合せなどであってよい。
【0076】
前駆体層の厚さは、第1の層から離れた前駆体層の表面から、第2の金属の濃度が無視できる第1の層の第1の表面までの平均最短距離として定義される。よって、前駆体層の厚さは、ある程度は、第2の層の酸化物の最終的な第2の層の所望の厚さによって決定される。前駆体層の厚さは、特に、第1の金属がPtを含み、第2の金属がAlを含む場合には、ある特定の実施の形態では120μm以下であることが望ましく、ある特定の実施の形態では100μm以下であり、他の実施の形態では80μm以下であり、他の実施の形態では、60μm以下であり、他の実施の形態では、50μm以下であり、他の実施の形態では、40μm以下である。それにもかかわらず、十分な厚さの第2の金属の酸化物の第1の層を形成するためには、前駆体層の厚さは、ある特定の実施の形態では、少なくとも20μmであることが望ましい。よって、工程(a)において、前駆体層は、ある特定の実施の形態では約20μm〜約60μmの厚さを有し、ある特定の他の実施の形態では20μm〜約50μmであり、ある特定の他の実施の形態では約25μm〜約45μmであり、ある特定の他の実施の形態では約30μm〜約40μmである。
【0077】
工程(a)において、前駆体層は、従来の化学蒸着、プラズマ助長化学蒸着、スラリー堆積、スパッタリング、電気めっきなど、さまざまな技法を使用して形成することができる。さまざまな前駆体層の厚さは、これらのさまざまな技法を使用して達成することができるが、ある特定の方法が、所定の厚さを有する金属コーティングを作るのに最も適している場合があることが理解されよう。よって、第2の層の最初の金属層が厚すぎて、第2の金属の第2の層へと完全に酸化されない場合、第2の金属が堆積したままの前駆体層を、例えば化学機械研磨の工程などの薄層化の工程に供し、第2の金属層の厚さを所望の範囲まで低減することが望ましいであろう。Al含有金属層を、Ptを含むものなど、第1の金属の上に直接形成するのに特に望ましい方法は、スラリー堆積である。これらの方法は、結果的に、薄層化の工程を必要とせずに、20〜60μmの範囲の実質的に均一な厚さを有する、実質的に高密度のAl−Pt合金層を生じることができる。
【0078】
ある特定の実施の形態では、工程(a)は、工程(b)の前に、堆積後の熱処理の工程を有していてもよい。工程(b)の前に、第1の金属と第2の金属を含む混合物を形成することは、本発明の装置における高いコンボリューション指数を有する接触面の形成にとって非常に望ましい。ある特定の薄層堆積方法は、第1の金属と第2の金属の混合物または金属間化合物が、非常に遅い速度で形成される温度で行われる。接触面が堆積温度よりも高い温度まで加熱される、堆積後の熱処理は、工程(b)の前に、前駆体層における金属混合物の形成を促進しうる。例えば、500℃未満で行われる従来のAl CVD法は、結果的にPt−Rh合金基板上にPtが不足した前駆体Al層を生じ、約1000℃での堆積後の熱処理がAlおよびPtの金属間化合物の形成を助長することが判明した。
【0079】
使用する方法にかかわらず、工程(a)において、第1および第2の金属の合金が形成されることが望ましい。よって、第1の層と前駆体層の接触面は、第1の金属および第2の金属の勾配を含み、その範囲は、無視できるレベルの第2の金属を含む一方の端における領域から、合金または混合物が存在する中間領域まで、および、最低レベルの第1の金属を含む反対端における領域にまで及ぶ。よって、第1の金属がPtであり、第2の金属がAlである、ある特定の実施の形態では、接触面は、本質的にPtからなる第1の層から、Pt・Alで表すことができる中間領域まで、および、本質的にAlからなる領域にまで及ぶ。第1の金属がPtであり、第2の金属がAlである、別の実施の形態では、接触面は、本質的にPtからなる第1の層の表面から、Pt・Alで表すことができる中間領域まで、および、本質的にAl2Ptからなる反対端における領域にまで及ぶ。前駆体層がそれらの厚さ全体にわたってPtおよびAlの混合物を含む後者の実施の形態は、Al2Ptの融解温度がAlと比較して著しく高いことから、特に有利でありうる。
【0080】
本発明の方法の工程(b)では、前駆体層は、高温においてO2含有雰囲気に曝露される。例えば、工程(b)におけるこれらの酸化は、空気中、800℃より高い温度など、500℃を上回る温度で行うことができ、例えば、1500℃より高い温度が挙げられる。前駆体層は、このような条件下で第2の層へと酸化される。一例として、第1の金属がPtからなり、第2の金属がAlからなる実施の形態を挙げる。Al含有前駆体層の表面領域におけるアルミニウムは、最初にAl23へと酸化される。次いで、O2はAl23層を通過して拡散し、その下にある金属Alを酸化する。
【0081】
第1の金属がPtであり、第2の金属がAlである実施の形態の場合には、第2の金属は、金属状態にある場合に、高温においてO2を含む第1の金属より高い反応性を有することが望ましい。このような状況下では、工程(b)において、O2が第2の金属上に形成された酸化物の層を通過して拡散し、第1の金属原子が接触面の中間域に達するときに、第1の金属は、第2の金属の還元効果に起因して、還元金属の状態を保つ。よって、工程(b)では、第2の金属が優先的に酸化される。特定の理論に縛られることは意図しないが、第2の金属の酸化物は、上部の酸化物層を有する前駆体層において、凝集する傾向があり、金属状態にある第1の金属は、第1の層のバルクと凝集する傾向にあり、よって、最終的には、高密度の実質的に空隙を含まない第2の層を、第1の層の実質的に連続する第1の表面上に隣接して形成すると考えられる。また、工程(b)では、前駆体層における第1の金属の凝集および第2の金属の酸化物は、実質的に無作為的に生じ、工程(b)の終了時に、結果的に、第1の層と第2の層との接触面のでこぼこした不規則なトポグラフィーを生じると考えられる。ある特定の実施の形態では、μm規模におけるインターロック特性が結果的に形成される。本発明の装置に関して先に述べたように、このようなでこぼこの接触面およびインターロック特性は、第1の層への第2の層の強力な付着の一因となる。
【0082】
当然ながら、前駆体層が厚くなると、金属Alがすべて酸化される前に形成されるであろうAl23層も厚くなり、所定のO2分圧およびO2温度において、厚いAl23層を通じて拡散し、その下にある残りのAl金属に達することが、より難しく、時間がかかるようになる。したがって、望ましい厚さは、上述の前駆体層の範囲である。
【0083】
第2の金属が、酸化条件下で、安定な酸化物へと実質的に完全に酸化されることは、ある特定の実施の形態では非常に望ましい。このような完全な酸化の結果として、形成された装置の通常動作の間にはそれ以上酸化されない、安定な第2の層を生じる。しかしながら、ある特定の実施の形態では、第2の層が、第2の金属の酸化物に加えて、金属状態にある、無視できない量の第2の金属を含むことを排除するものではない。第1の層の構造強度が重要であり、第1の金属層に入り込み、残存している第2の金属が第1の層の強度を過度に損ないかねない用途では、工程(b)において、前駆体層における第2の金属のすべてが酸化されることが非常に望ましい。第1の金属と残りの第2の金属の合金化によって生じる構造強度の脆弱化が耐えられる、または無視できるような実施の形態では、残りの第2の金属は、通常の摩耗および裂傷など、工程条件によって損なわれうる第2の層の完全性をおそらくは修復または維持できるであろうその後の工程において、装置の動作の間にさらに酸化されうることから、工程(b)の終了時に、ある量の第2の金属が第1の金属と合金化された状態を保持できることが望ましいであろう。
【0084】
本発明の装置に関して先に述べたように、工程(b)において、第1の層と第2の層との接触面は、実質的に高密度であり、かつ、不規則なトポグラフィーを有することが望ましい。
【0085】
本発明の装置に関して先に述べたように、工程(b)において、第2の層は、第1の層と第2の層との接触面が、少なくとも1.50のコンボリューション指数を有するように形成されることが望ましく、ある特定の実施の形態では少なくとも1.55であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.60であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.65であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.70であり、ある特定の実施の形態では少なくとも1.75である。
【0086】
ある特定の実施の形態では、工程(b)の終了時に、第2の金属の酸化物を含む、このように形成された第2の層は、その高密度性に起因して、O2の拡散を有効に抑制し、第1の金属をさらに酸化することができる。ある特定の他の実施の形態では、工程(b)の終了時において、このように形成された第2の層は、O2透過性でありうるが、それにもかかわらず、第1の金属のガス状の酸化物に対し、実質的に不透過性である。例えば、第2の金属がAlであり、第1の金属がPtである場合、PtO2の著しく大きい分子サイズに起因して、Al23層は、O2よりもPtO2の拡散に対してはるかに顕著に抑制する層として作用し、連続的な酸化およびPt金属の漏出を効果的に抑制することができる。したがって、Al23などの第2の金属の酸化物は、第1の金属の酸化に対する保護層としての働きをする。
【0087】
本発明の方法のある特定の実施の形態では、工程(b)において、高温は、1000℃から第1の金属の融解温度の範囲である。前駆体層に含まれる第2の金属が、第1の層の上の高密度コーティングへと酸化される場合、完全な第2の金属の酸化のために所望される、酸化物層を通じたO2の拡散を促進するためには、高温が望ましいことが判明した。それにもかかわらず、酸化工程は、第1の層の融解を生じないことが望ましい。前駆体層が、第1の金属と第2の金属の金属間化合物などの混合物から本質的になる、ある特定の他の実施の形態では、工程(b)において、高温は、1000℃から前駆体層における混合物の溶融温度までの範囲であることが望ましい。というのも、前駆体層がその溶融温度よりも高い温度に加熱される場合に、材料が融解して第1の層の表面に流れ、第2の金属の酸化物の連続的かつ実質的に高密度の層を形成する工程を損ないかねないからである。
【0088】
ある特定の実施の形態では、工程(b)において、第1の金属上に溶融金属が著しく流れることなく、第2の金属の酸化が生じるように、前駆体層は、ある温度上昇速度で、高温まで加熱されることが望ましい。第1の金属がPtであり、第2の金属がAlである実施の形態では、Alは、約1000℃において、合金の形成によってPtを浸透させる傾向があることが判明した。第1の金属バルクへの実質的な浸透を生じさせずに、AlがすぐにAl23へと酸化される、約1500℃という非常に高い酸化温度は、有益であろう。しかしながら、堅牢なAl23コーティングを得るためには、金属間化合物の形成が必要とされる。酸化工程における大幅な温度上昇は、堅牢な高密度の酸化物層の形成にとって有益であると考えられる。
【0089】
本発明の方法のある特定の実施の形態では、工程(b)は、本発明の装置が形成され、動作システムに組み込まれる前に、予熱段階において行われる。例えば、装置が、本発明の方法によって作られたAl23で被覆されたPt微細管である実施の形態では、微細管は、Al−Pt合金の層で被覆されたPt管を高温において、酸化工程に供することによって、ガラス製造システムに取り付ける前に、完全に作製して差し支えない。
【0090】
他方では、本発明の装置が、O2含有雰囲気下、高温で動作するように設計される場合、装置は、動作システムの導入において、その場(in-situ)で形成されて差し支えない。例えば、装置が、本発明の方法で作られた、Al23で被覆されたPt微細管である実施の形態では、次の工程に従って、その場(in-situ)で作製されうる:
(1)Alを含む層をPt管の外表面に堆積し、
(2)工程(1)から得られた管をガラス溶融システムに取り付け、
(3)管が空気中で高温まで加熱されるように、ガラス溶融システムを予熱し、それによって、前駆体Al含有層が酸化されて、第2の層を形成する。
【0091】
III.ガラスの製造方法
本発明の第3の態様は、本発明の装置を使用するガラス製造方法である。ガラス製造方法は、
(1)バッチ材料を溶融タンク内で溶融し、ガラス溶融物を得て、
(2)前記ガラス溶融物を、導管を通じて後続の工程に供給し、
(3)前記ガラス溶融物を調整し、
(4)前記ガラス溶融物を所望の形態へと成形する、
各工程を有しうる。(1)〜(4)のあらゆる工程において、本発明の装置を1つ以上、採用することができる。例えば、工程(1)において、ガラス溶融タンクのある特定の成分は、本発明に従って作られた、Al23および/またはZrO2層で被覆された貴金属であって差し支えなく;工程(2)では、供給システムは、Al23および/またはZrO2で被覆された外表面を有するPt−Rh管であって差し支えなく;工程(3)では、極細管または撹拌チャンバは、本発明の装置であって差し支えなく;フュージョンドロー、フロート、またはスロットドロー、または他の形成方法を含みうる工程(4)では、フュージョン・ダウンドロー法におけるアイソパイプなどの装置は、ある程度または全体的に、Al23および/またはZrO2で被覆されたPtを含む本発明の装置でありうる。
【0092】
次の非限定的な例によって、本発明をさらに例証する。
【実施例】
【0093】
試験したすべてのPt−Rh金属片は、Rhを約20重量%含んでいた。
【0094】
20重量%のRhを含む一連の清潔なPt−Rh金属片を調製し、その後、スラリー堆積法またはCVD法を用いて、本発明の方法に従ってAl−Pt金属間化合物でコーティングした。その後、得られた、Al−Ptアルミナイドで被覆されたPt−Rh金属片を観察および/または試験した。次に、アルミめっきを施したPt−Rh金属片を、空気中、約1450℃で約72時間酸化した。その後、得られた、Al23でコーティングしたPt−Rh金属片を、観察および/または試験した。
【0095】
図1は、金属Alを含む前駆体層を有する1つのPt−Rh金属片の断面100の走査電子顕微鏡画像を示している。前駆体層、第1の層および接触面の組成は、任意の適切なキャラクタリゼーション法を通じて決定することができる。電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を備えた走査電子顕微鏡(SEM)は、例えば、前駆体層および/またはバルク金属成分内の所定の位置における組成を究明するために用いることができる。図1を参照すると、103は、サンプルの断面の調製を補助するために加えた、Niでめっきした層であり、装置の一部ではない;105、107、109、111aおよび111bは、前駆体層のさまざまな主要相であり、それぞれ、さまざまな濃度の成分およびさまざまな物理的構造を有し、113は、バルクPt−Rh金属である。さまざまな位置における、EPMAから決定される組成を下記表1に記載した。
【表1】
【0096】
図2は、本発明のアルミニウム化−酸化方法によって調製された、完全に酸化されたAl23層201を含むPt−Rh基板の断面の走査電子顕微鏡画像である。この図において、203はバルクPt−Rh金属であり、205は、画像化するための断面の調製を補助するために形成された、マウント材料の層である。
【0097】
図3は、基板上に予め形成したAl23層を除去した後のPt−Rh基板表面の走査電子顕微鏡画像である。この画像は、Pt−Rh層の第1の表面の入り組んだ性質を顕わにしている。
【0098】
各コーティングされた金属片の、樹脂によって保護された断面を、画像化のために準備した。準備した断面のSEC写真を得た。約20枚のこれらの画像を収集し、各金属片について解析した。コンボリューションの程度を定量化するため、「コンボリューション指数」を次のように測定し、計算した。
【0099】
後方散乱させた画像を、20kVで動作するJEOL 6610 SEMに収集した。
【0100】
金属片全体が見えるように、低倍率(~10×〜25×)の画像を最初に撮影した。約10枚の画像を、金属片の上方および下方境界から得た。位置を選択後、SEM画像の焦点を合わせ、金属片が、確実に視野に対して水平に方向付けられるように調整した。後方散乱させた電子画像を、可能な最高画素解像度で、150倍で撮影した。
【0101】
NIH ImageJプログラムを使用して画像を解析した(http://rsbweb.nih.gov/ij/)。必要に応じて、Pt−Rh領域とAl23またはZrO2コーティングとの輝度における際立った相違が確実になるように、輝度およびコントラストを調整した。画像に対し、他の操作は行わなかった。Pt−Rh領域は純粋な黒(画素値0)となって表れ、残りの画像は純粋な白(画素値255)になるように、画像を2値化した。「魔法の杖(自動選択)」ツールを使用して、Pt−Rh領域を選択し、その周囲の長さを測定した。周囲の長さから水平および垂直の長さを減じ、入り組んだ接触面の長さを得た。
【0102】
データ品質および統計的有意性を維持するために、(i)すべての画像を同一倍率:150倍で撮影し;(ii)画像を撮影する位置を無作為に選択した;(iii)各サンプルについて、かなりの数の画像(~20)を撮影し;(iv)接触面のコンボリューションが明瞭になるように、最高解像度で画像を撮影し;(v)JPEG圧縮に起因する画像アーチファクトを回避するため、ロスレスTIFFフォーマットで画像を撮影し;(vi)境界を正確に認識し、小規模の起伏が無視されないことを確実にするように、画像解析の際、画像を目視で確認した。
【0103】
図4は、サンプルのコンボリューション指数を得るための画像処理のプロセスの流れを示している。ステップ4.1において、Pt−Rh領域および酸化物領域401を含めた、サンプルの断面のSEM画像を得る。ステップ4.2では、画像のPt−Rh領域を画像全体から分離し、2値化する。ステップ4.3では、Pt−Rh領域ABCDAの周囲の長さLpおよび3つの直辺L1、L2およびL3を測定する。次に、入り組んだ接触面Lcの長さを次のように計算する:
Lc = Lp − L1 − L2 − L3
次いで、コンボリューション指数CIを次のように計算する:
CI = Lc/Ls =(Lp − L1 − L2 − L3)/L2
【0104】
4つの比較例のそれぞれに、さまざまな起源から得た、プラズマスプレー法によって直接堆積させたZrO2で被覆したPt−Rh金属片を評価した。図5は、本発明に従った1つの典型的なサンプルの接触面の画像を示している(E1、画像5.1Aおよび5.1Bに対応)、および4つの比較例(CE1、画像5.2Aおよび5.2Bに対応;CE2、画像5.3Aおよび5.3Bに対応;CE3、画像5.4Aおよび5.4Bに対応;およびCE4、画像5.5Aおよび5.5Bに対応)。左欄には大きい画像が含まれており(すなわち、画像5.1A、5.2A、5.3A、5.4Aおよび5.5A)、右欄には、左欄の画像に示す長方形で囲まれた領域の拡大画像が含まれている(すなわち、それぞれ、5.1A、5.2A、5.3A、5.4Aおよび5.5Aに対応する、画像5.1B、5.2B、5.3B、5.4Bおよび5.5B)。
【0105】
画像の分析結果を表IIにまとめた。
【表2】
【0106】
アルミナでコーティングしたPt−Rh金属片は、プラズマスプレー・ジルコニアでコーティングした金属片と比較して、さらに複雑な接触面を有する。
【0107】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本発明にさまざまな変更および代替がなされうることは、当業者にとって明らかであろう。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にあることを条件として、本発明の変更および変形にも及ぶことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5