【実施例】
【0040】
以下、本発明の具体的な説明のための一例を挙げて説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
【0041】
以下、本発明におけるフィルムの物性は次の方法によって測定した。
【0042】
1)熱収縮率
フィルムを20cm×20cmの正方向に裁断してフィルムの縦方向(MD)及び横方向(TD)の長さを測定した後、これを150℃のオーブンで無荷重状態で30分間熱収縮させた後、熱収縮されたフィルムの縦方向(MD)及び横方向(TD)の長さを測定し、縦方向(MD)及び横方向(TD)の熱収縮率を下記式1によって求めた。
【0043】
<式1>
熱収縮率(%)={(収縮前の長さ−収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100
【0044】
2)最大収縮応力
テストライト(MKV Shrinkage−Force Tester、Testrite Ltd)を利用して150℃で3分間、時間による縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)の収縮応力を測定し、この際、各方向毎の最大収縮応力を試料の断面積で除して、下記式2によって最大収縮応力値を求めた。
【0045】
この際、試料の幅は15mm、長さは400mmにし、試料を平らに固定するために初期荷重は0.007Kg/mm
2を与えた。
【0046】
<式2>
最大収縮応力=最大収縮応力の測定値(Kg)/試料の断面積(幅×厚さ;mm
2)
【0047】
例)最大収縮応力の測定値:10N(1.02Kg=10/9.8Kg)
試料の断面積:1.5mm
2(試料の幅15mm、厚さ100μmの場合)
最大収縮応力(Kg/mm
2)=1.02Kg/1.5mm
2=0.68Kg/mm
2
【0048】
3)強度、伸度
フィルムを幅15mmにし、標点距離(Gauge Length)を50mmにし、引張速度(Cross head−up speed)を500mm/minにして、引張試験機(Instron社、Tensile Test Machine)を利用してフィルムの縦方向(MD)及び横方向(TD)に対する引張特性を測定した。
【0049】
4)光学的特性の評価(ヘイズ測定)
測定方法は、ASTM D−1003を基準に測定し、ポリエステルフィルムの二つの周辺部、一つの中心部から無作為に7個の部分を抽出した後、各5cm×5cmのサイズに切り出して、ヘイズ測定機(日本電色社NDH300A)に入れて、555nm波長の光を透過させて下記式3で計算した後、最大/最小値を除いた平均値を算出した。
【0050】
<式3>
ヘイズ(%)=(全体散乱光/全体透過光)×100
【0051】
[実施例1]
テレフタル酸100モル%、グリコール成分としてエチレングリコールを124モル%、触媒として3酸化アンチモンを酸成分に対して0.05モル用いて、直接エステル化法によって縮重合した固有粘度0.64dl/gのポリエステルを製造した後、これを275℃で溶融圧出して急速冷却することにより、未延伸シートを製造した。
【0052】
前記未延伸シートを、連続的に縦方向(MD)に移送されるローラー群(MDO:Machine Direction Organization)で予熱を経て、760℃に加熱されたIRヒーター区間を通過しながら2.5倍、650℃に加熱されたIRヒーター区間を通過しながら1.3倍延伸して、総3.25倍に縦方向(MD)延伸を行った。
【0053】
縦方向(MD)延伸を経た直後、テンターに移送し、次いで125℃の予熱区間を経て150℃で幅に対して3.5倍延伸させた後、230℃で熱処理を行った直後、210℃に加熱された一つの区間で横方向(TD)に4.2%の緩和(Relaxation)を適用し、同時に縦方向(MD)に4%の緩和(Relaxation)を適用することにより、125μm厚さのフィルムを製造した。
【0054】
このように製造されたフィルムの熱収縮率、最大収縮応力、強度、伸度及びヘイズを測定して、下記表2に示した。
【0055】
[実施例2〜4]
前記実施例1と同一の方法で未延伸シートを製造し、縦方向(MD)の延伸倍率、IRヒーター区間温度、熱処理温度、縦方向(MD)緩和(Relaxation)率、横方向(TD)緩和(Relaxation)率、緩和区間の数、緩和温度及び緩和区間で縦方向(MD)と横方向(TD)の緩和(Relaxation)率勾配を異にしてフィルムを製造し、これに対する詳細条件は表1に示し、製造されたフィルムの特性を表2に示した。
【0056】
[比較例1]
縦方向(MD)延伸を経た直後、テンターに移送して横方向(TD)延伸した後、210℃に加熱された区間で縦方向(MD)に6%緩和させた後、次いで210℃に加熱された区間で横方向(TD)に4.2%緩和したことを除き、前記実施例1と同一の方法で製造されたフィルムの特性を表2に示した。
【0057】
[比較例2]
横方向(TD)延伸後、210℃に加熱された区間で縦方向(MD)に緩和せずに、横方向(TD)のみに4.2%緩和したことを除き、前記実施例1と同一の方法で製造されたフィルムの特性を表2に示した。
【0058】
[比較例3]
熱処理区間の温度を245℃にしたことを除き、前記比較例2と同一の方法で製造したフィルムの特性を表2に示した。
【0059】
[比較例4]
縦方向(MD)の緩和率を0.8%にしたことを除き、前記実施例1と同一の方法で製造したフィルムの特性を表2に示した。
【0060】
【表1】
【0061】
前記表1において、MD(またはTD)方向緩和率、MD(またはTD)方向緩和率勾配、緩和区間温度の意味は以下の通りである。
【0062】
−MD(またはTD)方向緩和率:MD(またはTD)方向に与えられる総緩和率
【0063】
−MD(またはTD)方向緩和率勾配:MD(またはTD)方向に適用された総緩和率を、緩和区間で適用された比率で除して適用する。
例)「MD方向緩和率6%、MD方向緩和率勾配3/2/1
&TD方向緩和率4.2%、TD方向緩和率勾配2.1/1.4/0.7」の意味
;縦方向(MD)に総6%の緩和率を適用するにあたり、3区間に分けて、1区間では3%、2区間では2%、3区間では1%の緩和率を適用して総6%の緩和率を縦方向(MD)に適用し、横方向(TD)に総4.2%の緩和率を適用するにあたり、3区間に分けて、1区間では2.1%、2区間では1.4%、3区間では0.7%の緩和率を適用して総4.2%の緩和率を横方向(TD)に適用する。
【0064】
−緩和区間温度:縦方向(MD)と横方向(TD)の緩和率が適用された区間の温度
【0065】
【表2】
【0066】
前記表2に示すように、本発明によるフィルムは、縦方向(MD)の収縮率が0.5%以下(150℃、30分)で、縦方向(MD)の最大収縮応力が0.20Kg/mm
2以下(150℃、3分、初期荷重0.007Kg/mm
2)で、横方向(TD)の最大収縮応力が0.05Kg/mm
2以下(150℃×3分、初期荷重0.007Kg/mm
2)であることが分かる。
【0067】
しかし、比較例は、縦方向(MD)に緩和させた後、次いで横方向(TD)に緩和させた比較例1の場合、縦方向(MD)の収縮率が0.8%であり、このようなフィルムを利用してプリズムフィルムを製造する場合、熱による変形によって皺の発生を誘発して平滑性が低下する。