(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662350
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】高周波スイングチョーク
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20150108BHJP
H01F 41/12 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F17/04 N
H01F41/12 C
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-548725(P2011-548725)
(86)(22)【出願日】2010年2月9日
(65)【公表番号】特表2012-517696(P2012-517696A)
(43)【公表日】2012年8月2日
(86)【国際出願番号】EP2010051578
(87)【国際公開番号】WO2010089413
(87)【国際公開日】20100812
【審査請求日】2012年10月10日
(31)【優先権主張番号】102009008110.0
(32)【優先日】2009年2月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】レルゲン, ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】カルダレッリ, ヘルベルト−マウリツィオ
【審査官】
五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−124034(JP,A)
【文献】
特開2005−176599(JP,A)
【文献】
特表2005−507554(JP,A)
【文献】
特開平5−21230(JP,A)
【文献】
特開平4−359502(JP,A)
【文献】
特開2004−259794(JP,A)
【文献】
特開2006−310648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ少なくとも1つのコイル(1,1')を備える、長手方向で隣り合って配設された少なくとも2つのロッドコア(5,5')を備えた高周波スイングチョークであって、
前記2つのロッドコアのコイル(1,1')は直列に接続されており、
前記コイル(1,1’)は、複数のコイル層(2,2’)で配設された導線を備え、当該導線は単線が互いに撚り合わされたリッツ線で実装されていることを特徴とする高周波スイングチョーク。
【請求項2】
前記少なくとも2つのコイル(1,1')の巻回方向は、互いに反対向きであることを特徴とする請求項1に記載の高周波スイングチョーク。
【請求項3】
前記高周波スイングチョークの磁気回路は、少なくとも1つの空隙を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の高周波スイングチョーク。
【請求項4】
前記空隙は、前記隣り合って配設された2つのロッドコア(5,5')のコイルが無い領域(8,8')で少なくとも2つの部分空隙(7,7')に分割されていることを特徴とする請求項3に記載の高周波スイングチョーク。
【請求項5】
前記ロッドコア(5,5')の一部は、長手方向にコイル(1,1')で包囲されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の高周波スイングチョーク。
【請求項6】
前記ロッドコア(5,5')の長手方向の長さの少なくとも50%は、コイル(1,1')で包囲されていることを特徴とする請求項5に記載の高周波スイングチョーク。
【請求項7】
前記コイル(1,1')はプラスチックからなる保護層を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の高周波スイングチョーク。
【請求項8】
前記コイル(1,1')の開放端は、半田付け可能な電気接続部となっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の高周波スイングチョーク。
【請求項9】
前記ロッドコア(5,5')は、最大で当該ロッドコア(5,5')の飽和磁化の3分の1に当たる最大磁束密度を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の高周波スイングチョーク。
【請求項10】
前記ロッドコア(5,5')は、フェライトを含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の高周波スイングチョーク。
【請求項11】
前記複数のコイル層(2,2')はそれぞれ、前記コイル(1,1')の全長にわたって、前記コイル(1,1')のコイル軸(3)までの一定の距離(d)を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の高周波スイングチョーク。
【請求項12】
前記高周波スイングチョークは、キャスティング材で覆われていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の高周波スイングチョーク。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の高周波スイングチョークをキャスティングする方法であって、
請求項1乃至12のいずれかに記載の高周波スイングチョークの前記ロッドコア(5,5')およびコイル(1,1')をキャスティングケース(9)に固定する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記キャスティングケース(9)は、キャスティングされた高周波スイングチョークの外形を画定する内側形状(10)を有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の方法において
前記高周波スイングチョークは、モールドの際に前記キャスティングケース(9)に保持され、硬化したキャスティング材によって固定されることを特徴とする方法。
【請求項16】
方形波の第n次高調波(nは3以上の奇数)で励起されるLC直列共振回路に用いられる、請求項1乃至12のいずれかに記載の高周波スイングチョークを含む回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波
スイングチョー
クに関する。
【背景技術】
【0002】
高周波
スイングチョー
クは、特許文献1により公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1405322号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、コア損失の少ない高周波
スイングチョー
クを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、本発明に係る、請求項1に記載した高周波
スイングチョー
クによって解決される。また、この高周波
スイングチョー
クの好ましい態様は、請求項2以下に記載されている。
【0006】
本発明
は、高周波スイングチョークに
関し、
この高周波スイングチョークは、少なくとも2つの、長手方向で隣り合って配設されたロッドコアを
備える。本発明の好ましい態様によれば、これらのロッドコアは互いに概ね平行に配置される。
【0007】
これらのロッドコ
アはそれぞれ、少なくとも1つのコイル
を備える。
これらのロッドコアは
それぞれ、コイルの長さを
越えて突き出るような長さを有するのが好ましい
。ロッドコアの各端部には、コイルが
無い領域が存在するのが好ましい。
【0008】
上記複数のロッドコアに巻回されるコイルは、直列に接続するのが好ましい。
【0009】
本発明の一態様によれば、上記少なくとも2つのコイルの巻回方向は、互いに反対向きにする。2つの隣り合うコイルによって誘起される磁場の
流れ方向は、互いに反対向きであるのが好ましい。
【0010】
高周波
スイングチョー
クが3つ以上のコイル
を備える、
本発明のもう1つの態様では、隣り合う2つのコイ
ルは、互いに反対向き
の巻回方向を有することが好ましい。
これらのコイルによって誘起される磁場の
流れ方向は、交互に反対向きとなるのが好ましい。
【0011】
作動中に本発明に係る高周波
スイングチョーク
のスイングチョークに誘起される磁場は、少なくとも1つの閉じた磁気回路を形成する。
【0012】
1つの実施形態では、高周波
スイングチョー
クの磁気回路は、少なくとも1つの空隙を
備える。
【0013】
1つの実施形態では、この高周波
スイングチョー
クの空隙は、少なくとも2つの
部分空隙に分割されてい
る。これらの
部分空隙は、少なくとも2つの隣り合うロッドコア
の、コイルが
無い端部の領域に存在するのが好ましい。
【0014】
本発明の一態様によれば、ロッドコアの軸方向にわたる一部だけにコイルが巻回される。
【0015】
本発明の他の態様によれば、ロッドコアの軸方向にわたる少なくとも50%にコイルが巻回される。
【0016】
本発明に係る高周波
スイングチョーク
の少なくとも2つのロッドコアは、それぞ
れロッドコア
の長さの50%にわたって、コイル
で包囲されるのが好ましい。
【0017】
本発明の
高周波スイングチョークの一態様によれば、
これらのコイルは異なる長さを有する。ここで、コイルの長さとは、巻回された状態におけるコイルの
長手方向の長さを意味する。
【0018】
ロッドコアとコイルをそれぞれ3つ備える
、本発明の高周波スイングチョークの一態様において、2つのコイルの長さを同一とし、残り1つのコイルをこれよりも長くまたは短く
してよい。
なお、3つのコイルの長さをそれぞれ異ならせ
てもよい。3つのロッドコアを隣り合わせて配置する態様の場合、中央のロッドコアは、外側2つのロッドコアよりも長くするのが好ましい。
【0019】
本発明の一態様によれば、高周波
スイングチョー
クに用いられるコイルは、プラスチックからなる保護層を有する。
【0020】
前記プラスチックからなる保護
被覆は、ロッドコアのコイルが巻回されていない端部には設けない方が好ましい。
しかしながら、本発明の他の態様においては、ロッドコアのコイルを巻回しない端部にも、保護
被覆を設ける
ことができる。
少なくとも高周波スイングチョークの接続端子は、接続可能とするために、少なくとも部分的に保護
被覆を設けないのが好ましい。
【0021】
本発明の一態様によれば、コイルが巻回されないロッドコアの端部は、半田付け可能
な接続部
として形成される。本発明の他の態様によれば、高周波
スイングチョー
クの電気的接続のため、すなわち電気接続端子のための半田付け用突起部、あるいは他の手段をコイルの端部
に設ける。
【0022】
本発明の一態様に係る高周波
スイングチョー
クにおいては、
好ましくはロッドコアの
飽和磁化の最大
1/3で、
このロッドコアの磁束密度の最大値となる。
【0023】
本発明の
高周波スイングチョークの一態様によれば、ロッドコアの磁気的に有効な長さの少なくとも50%は、
このチョーク
の磁場の形成に
使われる。
【0024】
本発明の一態様によれば、ロッドコアは、フェライトを含有する。また、ロッドコアは、他の好適な物質も含むことができる。
【0025】
本発明の一態様によれば、ロッドコアに巻回されるコイルは、
複数のコイル層を備え、これらのコイル層は、それぞれコイルの全長にわたって、コイル軸までの
一定の距離
を有する。
【0026】
本発明の一態様によれば、高周波
スイングチョー
クは、キャスティング材中
で被覆される。
【0027】
本発明に係る高周波
スイングチョー
クは、大きな空隙を含む、閉じた磁気回路を
備える。これまでに説明した高周波
スイングチョー
クにおいては、この磁気回路の空隙は、コイル
の外に存在した。このような構成にすると、
漂遊磁場によ
る損失を抑えることができる。
【0028】
上記
の高周波
スイングチョー
クの構成により、
2つのEコアを有するチョー
クと比較して、ロッドコアに
必要な、僅かにのみ変調されるフェライト
材料が少なくて済
む。チョーク
用のフェライ
トのロッドコア
においては、コア損失は、ロッドコアの磁化に伴って、少なくとも2次関数的
に、最大で3次関数
的に増加する。これに対して
、空隙
あるいは空路は、コア損失
が無い。
ロッドコアの最適化により、本発明
の高周波
スイングチョー
クは、他のチョー
クに比べて最小
のコア損失限
となる。
【0029】
上記の高周波
スイングチョー
クは、巻回数が多い少なくとも2つのコイルと、2つの
部分隙に分割され
た少なくとも1つの大きな空隙と、相対的に短くかつフェライトを含有するロッドコアとを備える。このような構成にすると、フェライトを含有するロッドコアにおける最大磁束密度は、このロッドコアの飽和磁化よりも
大幅に低く保たれる。すなわち、最大磁束密度
における飽和磁化は、最大
磁気飽和の約3分の1である。このような本発明に係る高周波
スイングチョー
クは、
相対的に小さな熱損失
を有する。
【0030】
高いインダクタンスが必要となる用途においては、
本発明の高周波
スイングチョー
クが有利であるが、これはコイル巻回数が多い
ためである。
【0031】
本発明の一態様によれば、高周波
スイングチョー
クのロッドコアには、
従来のコイルを用いる。
【0032】
コイルを構成するすべてのコイル層は、一体的に巻回するのが好ましい。
【0033】
コイルの構造に関しては、本出願人の出願に係るドイツ国特許出願公開第102008016488号明細書の内容を参照されたい。この明細書の内容は、すべて、本願明細書において引用する。
【0034】
本発明に係る高周波
スイングチョー
クのこのようなコイル構造
は、高周波領域においても、
スキン効果や近接効果によるコア損失が少ない。
【0035】
本発明に係る高周波
スイングチョー
クは、上記のコイル構造を有するため、直列共振回路において使用されたときには、コイルの全長にわたって高電圧が分布する。また、この高周波
スイングチョー
クは、その構造により、コイルのどの箇所においても、コイルの巻回数に基づいて定まる点弧電圧よりも高いターン電圧が生じることはない。
【0036】
本発明
の高周波
スイングチョーク
の一態様によれば、これらのロッドコアは、
それぞれ直径が11mm、長さが35mmである。
これらのロッドコア
は、それぞれ19mm
の長さのコイルを備える。コイルは、内径が13mmであり、8
層の導線からなる。
これらの導線は、
リッツ線で実装され、それぞれ8本の撚り合わされた直径が0
.07mmの
単線で構成されている。
これらのコイルの巻き数は、それぞれ55回である。
ここで示す値は、あくまでも例示である。本発明に係る高周波
スイングチョー
クは、この特定の態様に限定されるものではない。
【0037】
本発明によれば、上記高周波
スイングチョー
クにキャスティングを施すためのキャスティング装置も提供される。このキャスティング装置は、キャスティングケースを備える。ここで、キャスティングケースは、高周波
スイングチョー
クのロッドコアとコイルが内部で固定されるよう
に形成されている。また、キャスティングケースは、直列に接続される部品が同一のインダクタンスをもつよう、キャスティングの間、ロッドコアとコイルを所定の位置に保持する保持手段の対を少なくとも2つ備える。
【0038】
上記キャスティングケースの内側の輪郭は、キャスティングを施され
た高周波
スイングチョー
クの外形を定めうるものとなっているのが好ましい。
【0039】
ロッドコアに部分放電や
アーキングが生じないようにするため、キャスティングケースに貯留した液状のプラスチックまたは樹脂中に、本発明の高周波
スイングチョー
クを浸漬するか、またはキャスティングケースに収めた本発明の高周波スイングチョークに、液状のプラスチックまたは樹脂を注ぎ入れる。この目的のため、高周波
スイングチョー
クは、上記のキャスティング装置内に固定し、さらに真空チャンバ内で、キャスティング材中に浸漬および/または封入する。この浸漬および/または封入中、コイルを構成する導線の束と束の間に存在する空気は、すべてキャスティング材によって置き換えられるようにするのが好ましい。このキャスティングによって、ロッドコアにおける部分放電または
アーキングが効果的に
避けられまたは
低減される。
【0040】
本発明に係る高周波
スイングチョー
クの構造
により、
またこれを液状のプラスチックまたは樹脂中への浸漬、および/またはキャスティング材
で封入
することにより、
この高周波スイングチョークはコア損失をほとんど生じない。すなわち、本発明に係る高周波
スイングチョー
クが共振中に生じるコア損失は、効果的に
低減される。
【0041】
本発明の高周波
スイングチョー
クは、高周波
スイングチョー
クの高
Q値を用いた大きな変調が要求される
、LC直列共振回路を含む回路
装置に用いるのが好ましい。
ここで、本発明の高周波
スイングチョー
クは、
少なくとも第3
次高調波
を含む奇数次高調波で励起されることが好ましい。方形
波の第3次高調波
を用いた励起においては、
印加された基本波の振幅の3分の1に当たる電圧しか利用されない
ので、本発明
の高周波
スイングチョーク
は、LC直列共振回路において動作中に、
その高Q値に基づいて大きい電圧を
発生する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、2つのロッドコアを備える高周波
スイングチョーク
の構造を模式的
に示す図である。
【
図2】
1つのロッドコ
アを巻回するコイルの構造を示す模式図である。
【
図3】
コイルの
構造の一部の
断面を模式的
に示す図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る、3つのロッドコアを備える高周波共振
スイングチョー
クを示す模式的な側面図である。
【
図5】本発明に係る、2つのロッドコアを備える高周波
スイングチョー
ク用のキャスティング装置
の構造を模式的
に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
上述した本発明について、添付の図面および
以下の実施形態により詳細に説明する。
【0044】
添付の図面は、実際のものと等縮尺と解すべきではない。むしろ、説明の便宜のため、一部をあえて拡大・縮小したり、変形したりして描いている。互いに同一の要素、または同一の機能を担う要素には、複数の図面にわたって、同一の符号を付してある。
【0045】
図1は、本発明の一実施形態に係る、2つの整列したロッドコア5,5'を有する高周波
スイングチョーク
の構造を模式的
に示す図である。ロッドコア5,
5'は、それぞれコイル1,1'
を備える。
これらのコイル1,1'は、導線
ブリッジ6を介して直列に接続されている。
これらのロッドコア5,5'は、それぞれ、コイル1,1'
のない
開放端8,8'も有している。高周波
スイングチョー
クの磁気回路は、この
開放端8,8'
の領域において
それぞれ空隙を有する。この空隙は、
ロッドコア5,5'の開放端8,8'のそれぞれにおいて、2つの
部分空隙7,7'に分割されている。この
高周波スイングチョークの磁場の
流れ方向は、
本実施形態では、ロッドコア5,5'の各
開放端8,8'において、矢印で示してある。
ここに示す実施形態では、
この流れ方向は、反時計回りである
。この高周波
スイングチョー
クの電気的接続のために、
この高周波スイングチョークは、接続端子11,11'を備えている。
【0046】
図2は、例えば
図1に示す高周波
スイングチョー
クに用いられているコイル1の
構造を模式的
に示す図である。コイル1を構成する5つのコイル層のうち2つにだけ符号を付してある。コイル1は、共通のコイル軸3の回りに巻回された複数のコイル層
2,2’からなっている。最も内側のコイル層(第1のコイル層)2からコイル軸3までの距離dは、コイル1全
長にわたって同
じ大きさである。また、
他のそれぞれのコイル層
2’のコイル軸3への距離も同様に、コイル1’の全長に渡り概ね一定である。コイル1
の内径はD1であり、コイル1の
全長にわたって
概ね同じ大きさである。
1つの巻回面のコイル層
2,2’は、
均等に重なって配設されるのが好ましい。
それぞれのコイル層を、
一緒に巻回すると、
これらのコイル層は、
直接重なることとなる。各コイル層は、コイル1の
全長にわたって
互いに平行に
配設され、かつ並列に接続される。コイル
層2,2’の端部には接続端子4,4'が設けられ、各コイル層
2,2’は、この接続端子4,4'
によって、互いに電気的に接続
されている
。コイル1
は、接続端子4,4'を介して
、電気的に接続する
ことができる。コイル層
2,2’が巻回されていることにより、コイル1は十分な安定性を有しているため、
巻回ボビンやコイル
ボビンを追加しなくても
作製することができる。コイル1のコイル軸3には、フェライトを含むロッドコア5が挿入されている。
【0047】
図2においては、コイルの一部に符号Aを付してあるが、この部分は、
図3において拡大して表されている。
【0048】
図3は、
図2に示すコイルの一部を取り出して描いたものである。コイル層は、
図3においては、それぞれ、捩られた導線の束からなるものとして描かれている。各導線の束は、互いに捩り合わされた約12本の導線からなっている。しかし、コイル層は、ただ1本の円柱状導線、断面方形の角柱状導線、その他の形状の導線から構成することもできる。各コイル層は、その下のコイル層の上に正確に配置される。最も内側の第1のコイル層2からコイル軸までの距離は、コイル1の軸方向全体にわたって概ね等しい。第1のコイル層の上には、このコイル層と共通のコイル軸の回りに巻回される第2のコイル層が、第1のコイル層と密接して設けられている。
【0049】
図4は、本発明の他の実施形態に係る、互いに隣り合わせに並べた3つのロッドコア5,5',5"を備える高周波
スイングチョー
クの構造を模式的
に示す図である。中央に位置するロッドコア5'は、他の2つの外側に位置するロッドコア5,5"よりも
寸法が大きい。ロッドコア5,5',5"には、それぞれ、コイル1,1',1"
を備えている。また、コイル1,1',1"は、導線6,6'を介し
て直列に接続されている。
高周波スイングチョークのコイル1,1',1"は、
この高周波スイングチョークの隣り合う2つの
コイルの巻回方向が互いに反対向きにな
るように配設されている
。上方の2つのロッドコア5,5'からなる磁気回路は、反時計回りに進む。他方、下方の2つのロッドコア5',5"からなる磁気回路は、時計回りに進む。中央のロッドコア5'においては、上記2つの磁気回路が重畳する。導線
ブリッジ6,6'を介して中央のコイル1'と接続されていないコイル1およびコイル1"の
開放コイル端には、この高周波
スイングチョー
クの電気的接続
のための接続端子11,11'が設けられている。
【0050】
図5は、本発明に係る高周波
スイングチョー
クのキャスティング装置
の構造を模式的
に示す図である。このキャスティング装置は、キャスティングケース9を備えている。一方、キャスティングケース9は、
バスタブのような形状を有しており、少なくとも4つの側壁と底板を備え、上に向かって開放している。キャスティングケース9の内側の輪郭10は、キャスティングを施される高周波
スイングチョー
クの形状と補形をなす。キャスティングケース9には、2つのロッドコア5,5'をもつ高周波
スイングチョー
クが収められている。ロッドコア5,5'には、それぞれコイル1,1'が
配設されている。ロッドコア5,5'およびコイル1,1'は、キャスティングの間は、キャスティングケース9によって保持され、ついで、
硬化したキャスティング材によって固定される。キャスティングが終了した高周波
スイングチョー
クは、この後、キャスティングケースから取り外され、キャスティングケースは、次の高周波
スイングチョー
クにキャスティングを施すために用いられる。
【0051】
上記の実施形態においては、本発明に係る限られた数の構成例しか記載しなかったが、本発明は、これらに限られるものではない。
複数のロッドコアを備える高周波
スイングチョー
クや、1つのロッドコアに
複数の互いに離間
したコイルを
備えた高周波
スイングチョー
クも、原理的には可能である。
【0052】
本発
明は、上記
で示した要素の
数に限られない。
【0053】
本発明の内容は、上記特定の実施形態に限定されるものではない。一方、上記実施形態における種々の特徴は、技術的に有用である限り、本発明の技術的範囲内で任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0054】
1,1',1" コイル
2,2' コイル層
3 コイル軸
4 接続端子
5,5',5" ロッドコア
6,6' 導線の束
7,7' 小空隙
8,8' ロッドコア5の自由端
9 キャスティングケース
10 キャスティングケース9の内側の輪郭
11,11' 接続端子
A コイルの一部
d 最も内側のコイル層からコイル軸3までの距離
D1 コイル1の全体的な内径