特許第5662362号(P5662362)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662362
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】光学制御器を有するスピンコーター
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/08 20060101AFI20150108BHJP
   G02B 1/10 20150101ALN20150108BHJP
【FI】
   B05C11/08
   !G02B1/10 Z
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-45667(P2012-45667)
(22)【出願日】2012年3月1日
(62)【分割の表示】特願2009-523088(P2009-523088)の分割
【原出願日】2007年8月24日
(65)【公開番号】特開2012-152736(P2012-152736A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2012年3月1日
(31)【優先権主張番号】60/823,695
(32)【優先日】2006年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/843,779
(32)【優先日】2007年8月23日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504175051
【氏名又は名称】トランジションズ オプティカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス エム. マイナー
(72)【発明者】
【氏名】リサ マリー チトロ
(72)【発明者】
【氏名】ハング グエン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ アール. スージー
【審査官】 土井 伸次
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−232219(JP,A)
【文献】 特開2004−290857(JP,A)
【文献】 特開2005−203440(JP,A)
【文献】 特開平10−156265(JP,A)
【文献】 特開昭59−211226(JP,A)
【文献】 特開平08−236435(JP,A)
【文献】 特開2005−116553(JP,A)
【文献】 特表平08−510053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 11/00 − 11/10
B05C 9/12
B05D 1/40
G02B 1/10
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンコーターシステムであって、
コーティングされるべき加工片を内部に受容するように適合されたスピンコーティングボウルであって、該コーティングされるべき加工片は、該スピンコーティングボウル内で回転するように設置され、該スピンコーティングボウルが、実質的に閉じた頂部および側部、ならびに該スピンコーティングボウルの底に面する部分の加工片アクセス開口部を備える、スピンコーティングボウル;
該スピンコーティングボウルの面を囲む光源の環状アレイであって、光学制御のために該スピンコーティングボウルの内部を照射するように構成されており、該光源の環状アレイが、該スピンコーティングボウルの面の少なくとも一部分を通して光を拡散させ、該スピンコーティングボウルの内部を照射するように構成されており、該光源の環状アレイが、該スピンコーティングボウルの内部から、少なくとも該スピンコーティングボウルの面の一部分だけ間隔を空けており、これによって、該一部分が該光源のための拡散器を形成する、光源の環状アレイ;および
該加工片アクセス開口部の内外に移動するように構成されている回転式加工片保持チャックを備える、スピンコーターシステム。
【請求項2】
統合された映像システムをさらに備え、該映像システムは、前記スピンコーティングボウルの頂部に設置されたカメラを備える、請求項1に記載のスピンコーターシステム。
【請求項3】
再循環スピンコーターシステムであって、
コーティング材料の供給源;
コーティングされるべき加工片を内部に受容するように適合されたスピンコーティングボウルであって、該スピンコーティングボウルは、実質的に閉じた頂部、および該スピンコーティングボウルの底に面する部分の加工片アクセス開口部を備え、該コーティングされるべき加工片は、該スピンコーティングボウル内で回転するように設置され、該スピンコーティングボウルは、内部に再循環排液口を有し、該再循環排液口は、コーティング材料が前記スピンコーティングボウルから回収されることを可能にするように構成されており、そして回収された該コーティング材料を該コーティング材料の供給源に戻すように構成されている、スピンコーティングボウル;
該コーティング材料の供給源に結合されるように適合されたコーティングノズル;
内側壁の上端に付随する湿潤流体チャンバであって、該湿潤流体チャンバは、少なくとも該ノズルの作動中に、側壁湿潤流体を該スピンコーティングボウルの内側壁に分配するように構成されている、湿潤流体チャンバ;ならびに
該スピンコーティングボウルの内部を照射するための光源の環状アレイであって、該光源の環状アレイが、該スピンコーティングボウルの面の少なくとも一部分を通して光を拡散させ、該スピンコーティングボウルの内部を照射するように構成されており、該光源の環状アレイが、該スピンコーティングボウルの内部から、少なくとも該スピンコーティングボウルの面の一部分だけ間隔を空けており、これによって、該一部分が該光源のための拡散器を形成する、光源の環状アレイ;
該加工片アクセス開口部の内外に移動するように構成されている回転式加工片保持チャックを備える、再循環スピンコーターシステム。
【請求項4】
前記再循環排液口が、前記加工片アクセス開口部を囲む環状トラフ、および前記コーティング材料の供給源に結合されて該環状トラフまで延びる少なくとも1つの排液開口部を備える、請求項に記載の再循環スピンコーターシステム。
【請求項5】
前記スピンコーティングボウルが、発散内側壁を備え、該発散内側壁は、半径方向外向きの方向に発散して該スピンコーティングボウルの上端から下端まで延び、前記湿潤流体チャンバが、前記コーティング材料の供給源に結合された該内側壁の上端の周りの環状チャンバであり、これによって、前記コーティング材料がまた側壁湿潤流体を形成する、請求項に記載の再循環スピンコーターシステム。
【請求項6】
前記コーティングノズルが、少なくとも2つの作動可能な位置を備え、該作動可能な位置が、前記コーティング材料を前記スピンコーティングボウル内の加工片の方へと分配し得るように構成された第一の作動可能なコーティング位置、およびコーティング材料を回収されるように前記再循環排液口に直接分配するように構成された第二の作動可能なパージ位置である、請求項に記載の再循環スピンコーターシステム。
【請求項7】
加工片の配向を決定するために、前記スピンコーティングボウル内の加工片の画像を捕捉するように構成されたカメラをさらに備える、請求項に記載の再循環スピンコーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2006年8月28日に出願された、発明の名称「RECIRCULATION SPIN COATER WITH MINIMAL COATING MATERIAL LOSS AND OPTICAL CONTROLS AND METHOD
OF SPIN COATING」の米国特許出願番号60/823,695の利益を主張する。
【0002】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、スピンコーターおよびスピンコーティングの方法に関する。より特定すると、本発明は、コーティング材料の損失が最少であり、光学制御器を有する再循環スピンコーター、ならびにスピンコーティングの方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景情報)
基材加工片に均一なコーティングを効率的に提供するためのスピンコーティングプロセスおよび関連するスピンコーティング機は、周知である。特に、レンズおよびウエハは、完成したレンズおよびウエハのコーティングの適用のために、スピンコーティングプロセスを使用している。
【0004】
米国特許出願公開第20030079679号は、支持テーブルにより支持されたウエハW上に化学液体を滴下するためのスピンコーターを開示し、ここで、アームの前端部は、化学液体を排出するためのノズルを備え、そしてこのアームは、駆動モータによって水平に回転可能である。
【0005】
米国特許出願公開第20020197400号は、自己洗浄コーティングカップを備える、ウエハ上に液体材料をコーティングするためのスピンコーター、およびスピンコーターを自己洗浄するための方法を開示する。このスピンコーターは、円形のコーティングカップ、このカップ内に配置されたウエハ台、この台の上方のコーティング材料分配ノズル、この台を回転させるためのモータ手段、およびこのカップの側壁の上縁に隣接して設置された溶媒分配手段から構成されている。この溶媒分配手段は、側壁の内部表面に洗浄溶媒を分配して、この側壁にかかったあらゆる液体コーティング材料を溶解してすすぎ、固化したコーティング材料による固体汚染物質の形成を防止するためのものである。
【0006】
米国特許出願公開第20020112662号は、スピンコーターのための廃液分離および回収システムを開示し、このシステムは、排出気流を発生させるための排出気流発生器を備える。
【0007】
米国特許出願公開第20070107657号は、基材をスピンコーティングするためのデバイスを開示する。米国特許出願公開第20070076301号は、スピンコーティングによって光学レンズを着色するためのプロセスを開示し、このプロセスは、(i)レンズ表面の少なくとも1つのゾーンの温度を少なくとも2℃上昇または下降させる工程、および(ii)同時に、または連続的に、揮発性溶媒を含む着色コーティングをスピンコーティングによってこのレンズの表面全体にわたって堆積させる工程を包含する。
【0008】
米国特許出願公開第20040072450号は、プロセス溶液を基材上にスピンコーティングするために有用な方法および装置を開示し、この方法および装置は、プロセス溶液の圧力(例えば、ディスペンサからのプロセス溶液の分配の開始または終了に関連する圧力)を検出するための圧力センサを組み込む。いくつかの好ましい方法および装置は、分配ライン内のフォトレジスト、現像液、水、溶媒、またはクリーナーの圧力を測定する。いくつかの好ましい方法および装置は、断続的な平行制御方法を包含するプロセス制御システムを組み込む。
【0009】
米国特許出願公開第20020108561号は、コーティング材料をウエハ上にスピンコーティングする際に使用するための装置および方法を開示する。この装置は、ウエハを支持し得る回転可能なチャック、およびボウルを備え、このボウルは、内部領域を規定する底部および側部を有し、この底部は、開口部を備え、この開口部を通して、このチャックが移動可能であり、そしてこのボウルから分離可能である。
【0010】
米国特許第6,352,747号は、湾曲した表面(特に、レンズ)のスピンおよびスプレーコーティングプロセスを開示する。光学レンズをコーティングするためのプロセスおよび機械を開示する、米国特許第6,326,054号および同第6,129,042号もまた参照のこと。
【0011】
基材上に均一なコーティングを生成するための方法が、多数の特許に開示されている。米国特許第3,494,326号は、密封された区画、および回転するレンズの領域に圧力差を提供するための手段を備える、スピンコーティング機械を記載する。この圧力差に起因する、回転するレンズの周囲の空気の制御された除去および流れは、報告によれば、特定の細長いレンズ形状に均一なコーティングを提供し得る。
【0012】
米国特許第5,094,884号は、矩形または長方形の開口部を有する分配ノズルを使用することによって、基材上に流体材料の均一な層を適用するための装置を記載する。この流体材料は、このノズルがこの基材の周囲縁部から内向きに、半径方向経路に沿って移動する間に分配される。
【0013】
米国特許第5,246,499号は、プラスチックの眼用レンズに引っかき傷防止コーティングを適用するためのコーティングシステムを記載する。このシステムのコーティングステーションは、ノズルを有するコーティングアームアセンブリを備え、このノズルは、回転するレンズの上方を半径方向内向きおよび外向きに移動して、コーティング溶液を適用し得る。
【0014】
米国特許第5,514,214号は、UV硬化性モノマーを眼用レンズまたは鋳型の表面に適用するための装置および方法を記載する。この基材は、高速で回転しながらUV硬化性溶液をスプレーされ、均一なコーティングを達成する。次いで、コーティングされた基材は、硬化チャンバに移動され、このレンズまたは鋳型の上でモノマーを重合させる。
【0015】
特許文献1は、近位ディスペンサを使用して廃棄物を最少にする、基材をコーティングする方法を記載する。この近位ディスペンサは、基材の5mm〜10mm上方に配置されたノズルから、ストリームの形態で液体コーティングを分配する。
【0016】
特許文献2は、多焦点レンズ要素をコーティングするための装置を記載する。コーティング溶液は、レンズが幾何学的中心からずれた軸の周りで回転させられる間に、傾斜され得るノズルを使用して適用される。
【0017】
特許文献3は、流体コーティングが回転している基材上に滴下される間に所定の角度で基材を位置決めするための手段を有する、スピンコーティングデバイスを記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,571,560号明細書
【特許文献2】米国特許第5,685,908号明細書
【特許文献3】米国特許第5,766,354号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
既存のスピンコーターは、コーティング材料の損失を効果的には最少にしない。既存のスピンコーターは、引き続く処理のために加工片の位置を効果的に検討しない。このことは、特定の光学レンズの製造のために特に重要である。既存のスピンコーターは、スピンコーター制御(特に、実質的に閉じたスピンコーター環境内で)を効果的に検討しない。閉じた環境を有する既存のスピンコーターは、全てのコーティング材料を充分には検討しない。本発明の目的は、一般に、スピンコーターおよびスピンコーティングの方法を改善すること、上で議論された先行技術の欠点に取り組むこと、ならびに効率的な費用効果的様式でこれらを行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の要旨)
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、1つの指示物に特別に明白に制限されない限り、複数の指示物を含むことが留意される。本明細書の目的で、他に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される任意のパラメータを表すすべての数字は、全ての例において、用語「約」により修飾されると理解されるべきである。本発明中のすべての数字範囲は、記載される数字範囲内の全ての数値および全ての数値の範囲を含む。本発明の広い範囲を記載する数字範囲およびパラメータは、近似であるが、可能な限り正確に報告されている。
【0021】
本明細書中に提供されるような本発明の種々の実施形態および実施例は、本発明の説明であり、本発明を制限せず、本発明の範囲に関する限定ではないと理解される。
【0022】
上記目的のうちの少なくとも1つに取り組む、本発明の1つの実施形態によれば、再循環スピンコーターシステムは、コーティング材料の供給源、コーティングされるべき加工片を内部に受容するように適合されたスピンコーティングボウル(このスピンコーティングボウルは、実質的に閉じた頂部およびスピンコーティングボウルの底の面する部分の加工片アクセス開口部を備える)、コーティング材料の供給源に結合されるように適合されたコーティングノズル、ならびに内側壁の上端に付随する湿潤流体チャンバを備える。コーティングされるべき加工片は、スピンコーティングボウル内で回転するように設置され、このスピンコーティングボウルは、内部に再循環排液口を有し、この再循環排液口は、コーティング材料がスピンコーティングボウルから回収されることを可能にするように構成されており、そして回収されたコーティング材料をコーティング材料の供給源に戻すように構成されている。湿潤流体チャンバは、少なくともノズルの作動中に、側壁湿潤流体をスピンコーティングボウルの内側壁に分配するように構成されている。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、スピンコーターシステムは、コーティングされるべき加工片を内部に受容するように適合されたスピンコーティングボウル、およびこのスピンコーティングボウル内の加工片の画像を捕捉するために構成された映像システムを備える。コーティングされるべき加工片は、このスピンコーティングボウル内で回転するように設置される。
【0024】
本発明の1つの実施形態によれば、スピンコーターシステムは、コーティングされるべき加工片を内部に受容するために適合されたスピンコーティングボウル、およびこのスピンコーティングボウルの面を囲む光源の環状アレイを備える。コーティングされるべき加工片は、このスピンコーティングボウル内で回転するように設置され、そして光源の環状アレイは、光学制御のために、スピンコーティングボウルの内部を照射するように構成されている。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、再循環スピンコーターシステムは、コーティング材料の供給源、スピンコーティングボウル、およびコーティングノズルを備える。このスピンコーティングボウルは、コーティングされるべき加工片を内部に受容するように適合され、そして実質的に閉じた頂部、およびこのスピンコーティングボウルの底に面する部分の加工片アクセス開口部を備える。コーティングされるべき加工片は、このスピンコーティングボウル内で回転するように設置される。このスピンコーティングボウルは、内部に再循環排液口を有し、この再循環排液口は、コーティング材料がスピンコーティングボウルから回収されることを可能にするように構成され、そして回収されたコーティング材料をコーティング材料の供給源に戻すように構成されている。コーティングノズルは、コーティング材料の供給源に結合されるように適合される。このコーティングノズルは、少なくとも2つの作動可能位置(スピンコーティングボウル内の加工片にコーティング材料を分配するように構成された第一の回転可能位置、およびコーティング材料を回収されるように再循環排液口に分配するように構成されてた第二の作動可能位置)を備える。
本願発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
スピンコーターシステムであって、
コーティングされるべき加工片を内部に受容するように適合されたスピンコーティングボウルであって、上記コーティングされるべき加工片は、上記スピンコーティングボウル内で回転するように設置される、スピンコーティングボウル;および
上記スピンコーティングボウルの内部の画像を捕捉するように構成された映像システム、を備える、スピンコーターシステム。
(項目2)
上記スピンコーティングボウルの内外に移動するように構成された回転式加工片保持チャックをさらに備え、上記回転式加工片保持チャックは、上記加工片を保持するための減圧カップ、および上記チャックを正確な回転配向に位置決めするように構成された制御器を備える、項目1に記載のスピンコーターシステム。
(項目3)
コーティング材料の供給源および上記コーティング材料の供給源に結合されるように適合されたコーティングノズルをさらに備え、上記スピンコーティングボウルが、実質的に閉じた頂部および側部、ならびに上記スピンコーティングボウルの底に面する部分の加工片アクセス開口部を備え、上記チャックは、上記加工片アクセス開口部の内外に移動するように構成されている、項目1に記載のスピンコーターシステム。
(項目4)
上記スピンコーティングボウルの内部を照射するように構成された少なくとも1つの光源をさらに備える、項目3に記載のスピンコーターシステム。
(項目5)
上記光源が、上記スピンコーティングボウルの面を囲む光源の環状アレイを備える、項目4に記載のスピンコーターシステム。
(項目6)
上記光源の環状アレイが、上記スピンコーティングボウルの面の少なくとも一部分を通して光を拡散させ、上記スピンコーティングボウルの内部を照射するように構成されている、項目5に記載のスピンコーターシステム。
(項目7)
上記映像システムが、上記加工片の回転配向を決定するように構成されている、項目6に記載のスピンコーターシステム。
(項目8)
回転式加工片保持チャックをさらに備え、上記回転式加工片保持チャックは、上記スピンコーティングボウルの内外に移動するように構成されており、上記回転式加工片保持チャックは、上記加工片を保持するための減圧カップ、および上記チャックを正確な回転配向に位置決めするように構成された制御器を備える、項目7に記載のスピンコーターシステム。
(項目9)
上記映像システムが、上記スピンコーティングボウルの頂部に設置されたカメラを備える、項目3に記載のスピンコーターシステム。
(項目10)
スピンコーターシステムであって、
コーティングされるべき加工片を内部に受容するように適合されたスピンコーティングボウルであって、上記コーティングされるべき加工片は、上記スピンコーティングボウル内で回転するように設置される、スピンコーティングボウル;および
上記スピンコーティングボウルの面を囲む光源の環状アレイであって、光学制御のために上記スピンコーティングボウルの内部を照射するように構成されている、光源の環状アレイ、
を備える、スピンコーターシステム。
(項目11)
上記スピンコーティングボウルが、実質的に閉じた頂部および側部、ならびに上記スピンコーティングボウルの底に面する部分の加工片アクセス開口部を備え、チャックが、上記加工片アクセス開口部の内外に移動するように構成されている、項目10に記載のスピンコーターシステム。
(項目12)
上記光源の環状アレイが、上記スピンコーティングボウルの面の少なくとも一部分を通して光を拡散させ、上記スピンコーティングボウルの内部を照射させるように構成されている、項目10に記載のスピンコーターシステム。
(項目13)
統合された映像システムをさらに備え、上記映像システムは、上記スピンコーティングボウルの頂部に設置されたカメラを備える、項目10に記載のスピンコーターシステム。
(項目14)
再循環スピンコーターシステムであって、
コーティング材料の供給源;
コーティングされるべき加工片を内部に受容するように適合されたスピンコーティングボウルであって、上記スピンコーティングボウルは、実質的に閉じた頂部、および上記スピンコーティングボウルの底に面する部分の加工片アクセス開口部を備え、上記コーティングされるべき加工片は、上記スピンコーティングボウル内で回転するように設置され、上記スピンコーティングボウルは、内部に再循環排液口を有し、上記再循環排液口は、コーティング材料が上記スピンコーティングボウルから回収されることを可能にするように構成されており、そして回収された上記コーティング材料を上記コーティング材料の供給源に戻すように構成されている、スピンコーティングボウル;
上記コーティング材料の供給源に結合されるように適合されたコーティングノズル;ならびに
内側壁の上端に付随する湿潤流体チャンバであって、上記湿潤流体チャンバは、少なくとも上記ノズルの作動中に、側壁湿潤流体を上記スピンコーティングボウルの内側壁に分配するように構成されている、湿潤流体チャンバ、
を備える、再循環スピンコーターシステム。
(項目15)
上記再循環排液口が、上記加工片アクセス開口部を囲む環状トラフ、および上記コーティング材料の供給源に結合されて上記環状トラフまで延びる少なくとも1つの排液開口部を備える、項目14に記載の再循環スピンコーター。
(項目16)
上記スピンコーティングボウルが、発散内側壁を備え、上記発散内側壁は、半径方向外向きの方向に発散して上記スピンコーティングボウルの上端から下端まで延び、上記湿潤流体チャンバが、上記コーティング材料の供給源に結合された上記内側壁の上端の周りの環状チャンバであり、これによって、上記コーティング材料がまた側壁湿潤流体を形成する、項目14に記載の再循環スピンコーター。
(項目17)
上記コーティングノズルが、少なくとも2つの作動可能な位置を備え、上記作動可能な位置が、上記コーティング材料を上記スピンコーティングボウル内の加工片の方へと分配し得るように構成された第一の作動可能なコーティング位置、およびコーティング材料を回収されるように上記再循環排液口に直接分配するように構成された第二の作動可能なパージ位置である、項目1に記載の再循環スピンコーター。
(項目18)
上記スピンコーティングボウルの内部を照射するための光源の環状アレイをさらに備える、項目14に記載の再循環スピンコーター。
(項目19)
加工片の配向を決定するために、上記スピンコーティングボウル内の加工片の画像を捕捉するように構成されたカメラをさらに備える、項目18に記載の再循環スピンコーター。
(項目20)
上記光源のアレイが、上記スピンコーティングボウルの内部から、少なくとも上記スピンコーティングボウルの面の一部分だけ間隔を空けており、これによって、上記位置が上記光源のための拡散器を形成する、項目19に記載の再循環スピンコーター。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のこれらおよび他の利点は、添付の図面と一緒に考慮される、好ましい実施形態の説明において明らかになる。図面において、同じ参照番号は全体にわたって同じ要素を表す。
図1図1は、本発明による1つの非限定的な実施形態に従う、コーティング環境を制御する再循環スピンコーターの一部分の側面断面図である。
図2図2は、図1の再循環スピンコーターの概略図である。
図3図3は、本発明の改変した非限定的な実施形態に従う再循環スピンコーターの斜視図である。
図4図4Aおよび図4Bは、加工片の装填中および取り外し中の、本発明によるスピンコーターの加工片保持チャックとスピンコーティングボウルとの相対位置を図示する。
図5図5Aおよび図5Bは、加工片の配向付けのためのサンプル加工片画像を図示する。
図6図6は、本発明による1つの非限定的な実施形態に従う再循環スピンコーターの一部分の側面断面図である。
図7図7は、本発明による1つの非限定的な実施形態に従う再循環スピンコーターの一部分の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(好ましい実施形態の説明)
図1図2は、本発明の1つの実施形態に従う、閉じた溶媒リッチ環境中でコーティング材料の損失を最少にする、再循環スピンコーター10の1つの実施形態を図示する。
【0028】
このスピンコーターは、コーティングされるべき加工片14を内部に受容するために適合されたスピンコーティングボウル12を備える。スピンコーティングボウル12は、実質的に閉じた頂部16、および基部または底部18を備え、この基部または底部は、スピンコーティングボウル12の底に面する部分に加工片アクセス開口部20を有する。これにより、実質的に閉じた閉塞された環境が、スピンコーティングボウル12内に提供され、これは、直接の周囲の光に曝露されない溶媒リッチ環境を維持するために有用であり、特定のコーティング材料の損失を最少にすることを補助する。
【0029】
スピンコーティングボウル12は、内部に再循環排液口22を有し、この再循環排液口は、コーティング材料がスピンコーティングボウル12から回収されることを可能にするように構成される。再循環排液口22は、加工片アクセス開口部20を囲む環状トラフ24、および環状トラフ24まで延びる少なくとも1つの排液開口部26を備える。トラフ24は、傾斜した面を備え、この面は、受容した流体をトラフ24の底部に方向付けて集める。トラフ24はまた、排液開口部26の方へと環状の方向に傾斜して、スピンコーティングボウル12を通る流体の循環をさらに補助し得るが、ほとんどのコーティング材料の充分な再循環は、トラフ24の実質的に水平な底部により達成される。この形状は、一般に、製造がいくらか容易である。
【0030】
スピンコーティングボウル12は、基部または底部18に、ほぼ平坦な発散内側壁28を備え、この壁は、図示されるように、半径方向外向きの方向に発散し、スピンコーティングボウル12の上端から下端まで延びる。発散側壁28は、作動中にコーティングされる加工片14から除去されたコーティング材料がかかることを最小にすることを補助し得、これにより、回収されるコーティング材料の量が増加し、そして加工片14上のコーティングに対するあらゆる不利な影響を最小にし得る。平坦な発散側壁28が図示されるが、発散凸状構成、発散凹状構成、またはこれらの組み合わせもまた、発散側壁28について設計され得る。
【0031】
側壁28は、作動中にその表面に沿った流体の流れ(側壁湿潤流体と呼ばれる)を有するように設計され、スピンコーティングボウル12内の溶媒リッチ環境を維持し、そして加工片14から除去されたコーティング材料が側壁28との接触の際に結晶化または固化することを防止する。これらの特徴は、一緒になって、再循環プロセスにおけるコーティング材料の損失を最少にする。発散側壁28の角度は、側壁28の表面に沿った表面層流について可能にされる角度より大きくない。湿潤流体の表面張力は、図示されるように、いくらかの発散の程度を可能にする。代表的に、発散の程度は、およそ0°〜30°である。
【0032】
発散側壁28が図示および記載されるが、実質的に垂直な側壁28、収束する側壁28(ほぼ平坦、凸状、凹状またはこれらの組み合わせ)あるいは発散/収束の組み合わせでさえも、本発明によるスピンコーター10の作動に有意に影響を与えることなく設計され得る。最適な側壁設計は、コーティング材料の回収を最大にしながら、製造のための経済的に合理的な構成を依然として維持する設計である。図示される発散壁28は、これらの目的を達成すると考えられる。
【0033】
湿潤流体チャンバ30が、内側壁28の上端に付随し、湿潤流体チャンバ30は、側壁湿潤流体をスピンコーティングボウル12の内側壁28の表面に分配するように構成される。湿潤流体チャンバ30は、内側壁28の上端の周りの環状チャンバであり、環状の出口堰32がチャンバ30の外周および側壁28を囲み、これによって、環状チャンバ30は、側壁湿潤流体を受容してスピンコーティングボウル12の内側壁28に分配するように構成される。側壁湿潤流体は、再循環排液口22の方に方向付けられる。
【0034】
スピンコーター10において、側壁湿潤流体は、コーティング材料と同じであり、このことにより、回収されたコーティング材料を、排液口22において回収された湿潤流体から分離する必要性が回避される。しかし、コーティング材料とは別の側壁湿潤材料(例えば、溶媒キャリア)が、スピンコーター10を通って流れるコーティング材料の量を最少にするために使用され得る。コーティング材料とは異なる側壁湿潤流体が使用される場合、分離プロセスが流体回収ループに追加される必要があり、このようなプロセスは、壁を濡らすためおよび加工片14をコーティングするために同じ材料を使用するスピンコーター10においては、必要とされない。同じ材料の使用はまた、一般に、除去されたコーティング材料の所望されない結晶化または固化を防止することを補助すると考えられる。
【0035】
スピンコーティングボウル12は、3つの組み立てられた部品として図示されるが、任意の好都合な数が、ボウル12を効果的に形成するために使用され得る。例えば、頂部16は、図示されるように、別のキャップ部材34を有し、ボウル12の内部に容易にアクセスするために中心キャップ部材34を除去することを可能にする。キャップ部材34は、特定のコーティング材料が閉じた環境を必要としない場合(例えば、直接の光がコーティング材料に不利な影響を与えない場合、および/または排気を増加させるために特定のコーティング材料について頂部が開いたボウル12が好ましい場合)除去され得る。頂部16は、例えば、図6および図7に示されるように、一部品の構造体であり得る。さらに、図6および図7に示されるように、頂部16の内側表面は、排液口22(または排液口22に流すチャンバ30)の方へと傾斜し得、その結果、チャンバ内に集まったものが、この頂部の傾斜した表面に沿って流れてひとまとまりになる傾向があり、一旦、この集まったものが頂部16から滴下すると(このような集まった滴が頂部16から滴下する場合)、この材料は加工片を避けて排液口22に方向付けられる。
【0036】
任意の従来の材料が、ボウル12を形成するために使用され得る。コーティング材料の粘着を最小にする材料が望ましい。Delrin材料が、ボウル12の構築のために認容可能であることが見出された。半透明な材料は、図3に関連して記載されるように、光学制御およびこのような光学制御のために必要な照射のために有利であることが見出された。このような半透明な材料は、依然として、直接の周囲の光が光感受性のコーティング材料に不利な影響を与えることを充分に防止する。白色Delrinなどの半透明材料は、ボウルの構築のために特に有用であることが見出されたが、これらの特性に適う他の材料もまた認容可能である。所望のボウル材料を用いて効果的に製造するための材料の利用可能性および能力もまた、重要な材料選択基準である。
【0037】
スピンコーター10は、コーティングノズル40を備え、このコーティングノズルは、制御弁44を通してコーティング材料の供給源42に接続される。上で議論されたように、湿潤流体チャンバ30もまた、制御弁46を通してコーティング材料の供給源42に結合される。制御弁44および46は、コーティング材料の所望の流れが、コーティングノズル40および湿潤流体チャンバ30に方向付けられることを可能にする。選択されたコーティング材料に関して、湿潤流体チャンバ30への流れが提供されず、そして制御弁46がコーティング操作の間閉じられることが可能である。フィルタアセンブリ48が、排液口22に結合され、汚染物質(例えば、部分的に固化したコーティング材料)を回収されたコーティング材料から除去する。回収された材料を処理する他の要素が、必要に応じて追加され得る(例えば、側壁コーティング流体がコーティング流体と異なる場合、分離デバイス)。排液口22は、回収されたコーティング材料を、フィルタアセンブリ48を通してコーティング材料の供給源42に戻す。ポンプ50が、コーティング材料を、コーティング材料の供給源42から制御弁44および46へと供給する。
【0038】
コーティング材料の供給源42は、概略的に図示されるように、レザバタンク構造体であり得るが、排液口22から(フィルタアセンブリ48およびポンプ50を通って)制御弁44および46までの管材料または導管もまた、コーティング材料の供給源42であるために充分な構造体を形成し、その結果、別のレザバが必要とされず、これによって、トラフ24は、所望の予備コーティング材料体積を保持するために使用され得る。コーティング材料の供給源42を形成する別のレザバタンクは、このシステムにコーティング材料を容易に充填または供給することを可能にする。レザバタンクは、図示されるように、フィルタアセンブリ48とポンプ50との間、またはポンプ50の後ろであって弁44および46の前にさえも提供され得、この場合、「重力供給」システム(または別のポンプ)が、コーティング材料をレザバから弁44および46へと移動させるために使用される。
【0039】
コーティングノズル40は、環状チャンバ30の上方の位置で、ボウル12の側壁を通って延びる。図示されるように、ノズル40は、頂部16の側壁形成要素を通って延びる。ノズル40および弁44は、モータ駆動式スライド52に設置され、ここで、コーティングノズル40は、少なくとも2つの作動可能位置(スピンコーティングボウル12内の加工片14にコーティング材料を分配するように構成された第一の作動可能コーティング位置、およびコーティング材料を、回収されるようにトラフ24を越えて再循環排液口22に直接分配するように構成された第二の作動可能パージ位置(想像で示される))を備える。排液出口開口部26は、ノズル40のパージ位置と整列するように構成され得る。
【0040】
ノズル40は、図示される2つの位置の間の任意の位置でもまた作動し得る。特定のコーティングまたはコーティングプロセスは、コーティングプロセス中に、半径方向に移動するノズル40を所望し得、このことは、側壁アクセスコーティングノズル40を用いて容易に達成される。ノズル40が側壁からボウル12の内側に入ることにより、閉じたボウル12を用いてさえも、側部52を通る単純なノズル移動機構が可能である。代替の、好ましくは単純な移動もまた可能である。例えば、ノズル40は、ある位置と別の位置とで旋回する半径方向アームを形成し得る。このような旋回配置において、モータおよび制御器と一緒に、ボウル12の外側の旋回点を有することが有利であり得る。ノズル40が旋回し、そしてボウル12の側壁を通って延びる場合、この旋回移動に適応するために、側壁のスロットが存在することが必要である。あるいは、旋回ノズル40の構成について、ノズル40は、分配遠位端が旋回軸からずれた状態で、旋回軸に沿って頂部16を通って垂直にボウル12内に延び得る。
【0041】
パージ位置に移動する場合、少なくともノズル40が加工片14の半径方向縁部を通って移動する際に、そしてトラフ24の上方に来るまで、弁44が流れを遮断し、コーティング材料の損失を最少にすることが予測される。
【0042】
パージ位置は、ノズル40が、任意の有意な時間量にわたってノズル40を通るコーティング材料の流れを停止させることを最小にすることを可能にする(一般に、ノズル40をパージ位置まで移動させるために必要な時間のみ停止される)。ノズル40を通るこの連続的(または実質的に連続的)な流れは、コーティング材料がノズル40内で固化すること(これは、コーティングプロセスに不利な影響を与え、そしてコーティング材料の損失を増加させる)を防止する。上記湿潤流体チャンバ30は、少なくとも選択されたコーティング材料のためのノズル40の作動中に、側壁湿潤流体をスピンコーティングボウル12の内側壁28に分配するように構成される。
【0043】
スピンコーター10は、回転式加工片保持チャック60を備え、この回転式加工片保持チャックは、図4Aおよび図4Bに概略的に示されるように、加工片アクセス開口部を通ってスピンコーティングボウル12の内外へと移動するように構成される。回転式加工片保持チャック60は、加工片14を従来の様式で保持するための減圧カップ62を備える。チャック60は、従来の様式で作動し、そして図4Aおよび図4Bに一般的に示されるように、ボウル12の内外へと移動する。
【0044】
加工片14およびチャック60がボウル12内に位置する場合に、排気マニホルド64がチャック60を囲み、そしてアクセス開口部に結合する。排気マニホルド64は、導管68を通して減圧源(図示せず)に結合される。頂部16は、少なくとも1つの通気口66を備える。通気口66および排気マニホルド64は、閉じたボウル12の環境中においてさえも、コーティング中に任意の所望の空気の流れまたは内部の通気が生じることを可能にする。この構造は、閉じた環境内でよりよい性能を有するコーティング材料(例えば、光感受性コーティング材料)であって、排気によって提供される高度に通気される環境をまた好むコーティング材料のために特に有利であり得る。通気口66は、非使用中には閉じられ得るか(例えば、閉鎖可能な弁または圧力駆動式弁)、あるいは通気を必要としないコーティング材料については、キャップ部材が、通気口66を有さない部材で置き換えられ得る。さらに、特定のコーティング材料は、排気マニホルドを作動させずに、閉じたボウル内で開いた通気口66のみの使用により利益を得ることができる。さらに、排気マニホルド64は、通気口66なしで(例えば、キャップ部材34が取り外された状態で(すなわち、開いたボウルの構成で))利用され得る。減圧源の制御は、ボウルの内部を通る所望の流れを制御する。
【0045】
図3は、本発明による改変されたスピンコーター10を図示する。改変されたスピンコーター10は、1つ以上のカメラ70をボウル12内に備え、これらのカメラは、光学制御のために、内部の画像を撮影し得る。これらのカメラは、映像制御システムの大部分を形成する。これらのカメラは、Cognex CCD Insight Inspectionカメラ、または他の適切な映像検査カメラ、または制御のための光学走査設備でさえあり得る。これらのカメラは、制御器72に結合される。制御器72はまた、スピンコーター10の他の局面の作動を制御して、作動を統合する。従って、制御器72は、コーティングノズル40、制御弁44および46、スライド52、ポンプ50、減圧源(排気マニホルド64とチャック60との両方のため)、チャックの運動および回転機構(図示せず)、ならびにスピンコーター10の他の作動可能な構成要素に結合される。
【0046】
カメラ70および付随する光学制御器の適切な作動のために、ボウル12の内部は、充分に照射されなければならない。照射のレベルおよび量は、利用される特定のカメラ70に依存する(例えば、これらのカメラは、IR光またはUV光で作動し得る)。ボウル12は、その外側表面に溝74を備え、照射光76のアレイが溝74内に設置される。光76は、LED光(例えば、赤色LED光源を使用するCSC LED光リング)である。この実施形態を用いると、光76が内部を照射し得るようにボウル12が半透明材料から形成されることが重要になる。上記のように、白色Delrin材料は、ボウル12を形成するために適切である。光76の前のボウル12の面(溝74と境界を接する)は、光拡散器として働き、ボウルの内部のより均一な照射を提供し、そして光学制御作動を改善する。光拡散器としてのボウル材料の使用はまた、コーティング材料に干渉しない特殊なホルダに光を設置する必要がないという利点を提供する。
【0047】
カメラ70または他の光学走査デバイスは、広範な種々の光学制御を可能にする。例えば、加工片14が光学レンズである場合、コーティングされた物品(例えば、コーティングされたレンズ)の引き続く処理のための加工片の配向を知ることが、特に有用であり得る。スピンコーティングボウル12内での加工片の配向を決定することは、引き続く配向付け工程および配向付けデバイスを排除し得る。カメラ70は、回転識別レーザエッチングマーク78を有する光学レンズ(例えば、眼鏡のレンズ)の形態の加工片14の画像を撮影することが可能であり、図5Aおよび図5B(これらの図は、エッチングされるレンズのサンプル画像の代表である)に示されるようなレンズ上のマーク78の角度位置に無関係に、この制御器に、加工片14の位置確認および回転位置の識別を行わせる。レンズをレーザエッチングするプロセスは、公知であるので、本明細書中に記載されない。加工片14(特に、光学レンズ)は、レンズの回転位置が決定された後に、チャック60によって所望の回転配向まで回転させられ得る。あるいは、加工片移動機構(図示せず)(例えば、ロボットローダー)が、この決定された位置を使用して、引き続く工程において、適切な加工片の配向付けのためにこのローダーを適切に位置決めし得る。
【0048】
カメラ70は、上記のような加工片14の配向付けに限定されず、閉じたボウル12内のほとんど全ての活動を評価および制御するために利用されて、プロセス全体の自動化を補助し得る。非限定的な代表的な例として、映像システムが、加工片14上のコーティング材料の深さ、加工片14上のコーティング層の均一性、分配ノズルの機能(例えば、オフであるかオンであるかの確認、所望の速度または所望のストリームで流しているか否かの確認)、ボウルの内部の機能(例えば、側壁28が湿潤流体で均一にぬれているか否か)、ノズルの位置(例えば、半径方向位置および垂直位置の確認)、加工片の位置(回転位置に加えて)、ならびにボウルの内部の汚染物質を監視および制御するために使用され得る。別のカメラ70が、異なる作動制御のために使用され得るか、またはカメラは、複数の制御確認を実施し得る。本発明は、必要に応じて、ほとんど無限の種々の自動化およびプロセス制御構成において利用され得るプラットフォームを提供する。
【0049】
図6および図7は、本発明による改変されたスピンコーター10を図示する。上記のように、頂部16は、図6および図7に図示されるように、一片の構造体であり得る。図6図7のスピンコーター10は、図3に関して記載された、映像システムにより制御される、閉じた溶媒リッチな環境のスピンコーター10を提供する。図6および図7に図示されるさらなる構造または改変は、ボウルの上部が一片の構成であること、および頂部16の内側表面がチャンバ30の方へと傾斜しており(これは、材料を堰32および側壁に通して排液口22に方向付ける)、その結果、チャンバ内に集まった物がこの頂部の傾斜した表面に沿って流れてひとまとまりになる傾向があり、ここで、一旦、このまとまったものが頂部16から滴下すると、この材料が加工片を避けて最終的に排液口22に方向付けられることである。図6は、頂表面を横切って連続的な傾斜を図示し、一方で、図7は、円錐形の尖ったバージョンを図示する。他の傾斜した構成が、もちろん、この概念の範囲内において可能である。
【0050】
本発明のスピンコーター10は、既存のスピンコーターより優れた多数の利点を提供する。スピンコーター10は、コーティングが行われる環境に対するかなりの量の制御を提供し、そしてコーター10のコーティングの一貫性を改善する。この設計は、ノズルの高さに対する加工片の容易な改変を可能にし、その結果、代替のコーティング/加工片が、最小の変更で、コーター10において容易に利用され得る。
【0051】
記載されるようなスピンコーター10は、再循環スピンコーターシステムにおいて、コーティング材料の損失を最少にする方法を提供する。この方法は、A)再循環スピンコーターシステムを提供する工程であって、この再循環スピンコーターシステムは、コーティング材料の供給源、このコーティング材料の供給源に結合されるように適合されたコーティングノズル、ならびに側壁および再循環排液口を有するスピンコーティングボウルを有する、工程;B)コーティングされるべき加工片を回転するように設置し、そしてこの設置された加工片をスピンコーティングボウル内で動かす工程;C)コーティング材料をスピンコーティングボウル内の加工片の方へと分配するように、ノズルを方向付ける工程;ならびにD)少なくともこのノズルがコーティング材料を加工片の方へと分配している間に、湿潤流体の流れが側壁に沿って流れるように方向付ける工程を包含する。
【0052】
スピンコーター10はまた、コーティング材料を再循環させながら、そして実質的に連続的にコーティング材料を流しながら(これは、ノズルの作動中に材料の損失を最少にするように働く)、加工片をスピンコーティングする方法を提供する。この方法は、A)再循環スピンコーターシステムを提供する工程であって、この再循環スピンコーターは、コーティング材料の供給源、このコーティング材料の供給源に結合されるように適合されたコーティングノズル、および再循環排液口を有するスピンコーティングボウルを有し、このスピンコーティングボウルは、実質的に閉じた頂部および側部を備え、そしてこのスピンコーティングボウルの底に面する部分に加工片アクセス開口部を備える、工程;B)コーティングされるべき加工片を回転するように設置し、そしてこの設置された加工片をスピンコーティングボウル内で動かす工程;C)コーティング材料をスピンコーティングボウル内の加工片の方へと分配するようにノズルを方向付ける工程;D)加工片を回転させて材料をコーティングする工程;E)加工片のコーティング後、ノズルを通るコーティング材料の流れを停止させる工程;F)コーティング材料を回収されるように再循環排液口に直接分配することによって、ノズルをパージする工程;ならびにG)引き続く加工片について工程C〜工程Fを繰り返す工程を包含する。
【0053】
上記のようなスピンコーター10のさらなる利点は、スピンコーター内での加工片の回転整列の方法であり、この方法は、A)スピンコーターシステムを提供する工程であって、このスピンコーターシステムは、スピンコーティングボウル、およびこのスピンコーティングボウル内の加工片の画像を捕捉するように構成された映像システムを有する、工程;B)コーティングされるべき加工片を回転するように設置し、そしてこの設置された加工片をスピンコーティングボウル内で動かす工程;C)コーティング材料をコーティングノズルを通してスピンコーティングボウル内の加工片へと供給し、このスピンコーティングボウル内でこの加工片を回転させる工程;D)スピンコーティングボウル内の加工片の画像を得る工程;ならびにE)スピンコーティングボウル内の加工片の回転位置を決定する工程を包含する。
【0054】
記載されたように、映像制御システムは、単に、加工片の配向付けに限定されず、これによって、本発明のスピンコーター10は、以下の工程を包含する方法における、スピンコーターシステムのための光学制御を提供する:A)スピンコーターシステムを提供する工程であって、このスピンコーターシステムは、スピンコーティングボウル、このスピンコーティングボウルを照射するための少なくとも1つの光源、および光学制御を提供するための映像システムを有する、工程;B)コーティングされるべき加工片を回転するように設置し、そしてこの設置された加工片をスピンコーティングボウル内で動かす工程;C)スピンコーティングボウルの内部を光源で照射する工程;ならびにD)照射されたボウルの内部に対して映像ベースのシステムを使用して、加工片の回転配向、加工片上のコーティング材料の深さ、加工片上のコーティング層の均一性、分配ノズルの機能、ボウルの内部の機能、ノズルの位置、加工片の位置、および汚染物質のうちの少なくとも1つを制御する工程。
【0055】
本発明の特定の実施形態が説明の目的で上に記載されたが、本発明の細部の種々のバリエーションが、添付の特許請求の範囲において規定される本発明から逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって規定されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7