【実施例】
【0043】
本発明とその利点を、以下の具体例によってさらに説明する。
モノマーの合成
本発明に用いられるモノマーは例示にすぎない。使用するモノマーは、得られるポリマーが下記一般式を満たす限り、任意のものでよい。
【0044】
【化35】
【0045】
典型的なモノマー及びポリマーの合成をスキーム1〜6に示す。
【0046】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【0047】
例1:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)アントラキノン(化合物1)の合成
2,6−ジヒドロキシアントラキノン(100.0g、0.42モル)と2−エチルヘキシルブロミド(165.0g、0.86モル)を1LのDMFに溶かした。この溶液に、無水K
2CO
3(120.0g、0.87モル)を添加した。反応を一晩中90℃に加熱した。DMFの大部分を除去し、500mLの水を添加した。反応をエーテルで抽出し(3×400mL)、ブラインで洗浄し(1×200mL)、そしてMgSO
4で乾燥させた。溶媒を除去し、その粗生成物をメタノールから再結晶したところ、黄色い粉末状生成物125.21g(収率65%)が得られた。
【数1】
【0048】
例2:4−ブロモ−2−t−ブチルジメチルシリルオキシメチルベンゼン(化合物2)の合成
1Lの丸底フラスコに、4−ブロモベンジルアルコール(100.0g、0.53モル)、イミダゾール(91.0g、1.34モル)、t−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMS−Cl)(96.5g、0.64モル)及び100mLのDMFを添加した。反応混合物を窒素下、室温において一晩中攪拌した。反応を水に注ぎ込み、エーテルで3回抽出し、有機相を一緒にして水で3回洗浄し、そしてMgSO
4で乾燥させた。溶媒を除去した後、生成物を明黄色液体として154g(収率62%)得た。
【数2】
【0049】
例3:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,10−ジ(4−ヒドロキシメチルフェニル)アントラセン(化合物3)の合成
化合物2(67.2g、0.22モル)を300mLの無水THFに溶かし、−78℃に冷却した。この溶液に、n−BuLi(2.5Mヘキサン溶液、86mL、0.22モル)を、温度が−60℃より低く維持されるようにゆっくりと添加した。添加後、その橙黄色溶液を−78℃で1時間攪拌した。化合物1(30.0g、0.065モル)を200mLの無水THFに溶かし、上記冷却溶液に滴下した。TLC分析が反応の完了を示した。反応を徐々に温め、HI溶液(57%水溶液、145g、0.65モル)をゆっくり添加して反応を停止させると共にTBDMS基を脱保護した。濃褐色の反応を10分間加熱還流させ、そして溶媒の大部分を減圧下で除去した。次いで、反応混合物を塩化メチレンで3回抽出した。有機相を一緒にして飽和メタ重亜硫酸溶液、水及びブラインで洗浄し、そしてMgSO
4で乾燥させた。粗生成物が褐色の粘性油として得られ、これをシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に20:80エーテル:ヘキサンを用いて精製した。純粋な生成物が明緑黄色固体として20.2g(収率48%)得られた。
【数3】
【0050】
例4:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,10−ジ(4−ブロモメチルフェニル)アントラセン(化合物4)の合成
化合物3(4.40g、6.8ミリモル)を25mLの無水THFに溶かし、0℃に冷却した。PBr
3(1.3mL、17ミリモル)を滴下した。反応を室温で一晩中攪拌した後、水で停止させ、塩化メチレンで抽出した。有機相を一緒にしてブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に15:85CH
2Cl
2:ヘキサンを用いて精製したところ、3.90gの黄色結晶(収率74%)が得られた。
【数4】
【0051】
例5:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,10−ジ(4−メチレンジエチルホスフェートフェニル)アントラセン(化合物5)の合成
化合物4(3.80g、4.9ミリモル)とトリエチルホスファイト(95mL、29ミリモル)とを50mLの丸底フラスコに入れて、100℃に4時間加熱した。室温まで冷却した後、生成物をヘキサンから再結晶化させたところ、3.94gのクリーム色の針状微結晶が得られた(収率90%)。
【数5】
【0052】
例6:2,6−ビス(2−エチルヘキシルオキシ)−9,10−ジ(4−ホルミルフェニル)アントラセン(化合物6)の合成
化合物3(10.0g、0.015モル)を180mLの塩化メチレンに溶かし、そしてピリジニウムクロロクロメート(PCC)(8.0g、0.037モル)を添加した。反応を室温で一晩中攪拌した。反応を100mLの水で停止させ、1時間攪拌した。濃褐色の反応混合物をセライトパッドで濾過し、そして塩化メチレンで3回抽出した。有機相を一緒にして希HCl、水及びブラインで洗浄し、そしてMgSO
4で乾燥させた。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に1:1CH
2Cl
2:ヘキサンを用いて精製したところ、純粋な生成物が明黄色結晶として7.0g(収率70%)得られた。
【数6】
【0053】
例7:2,5−ビス(ジフェニルアミノ)−3,6−ジヒドロテレフタル酸ジメチル(化合物7)の合成
スクシニロコハク酸ジメチル(DMSS、50g、0.22モル)を丸底フラスコに入れた。溶媒としてアニリン(100mL)を過剰量使用し、反応混合物を100℃に2時間加熱したところ、その間に溶液から固形分が析出した。TLC分析(CH
2Cl
2:ヘキサン/1:1)によりDMSSの存在が示されたので、反応温度を120℃に上昇させ、さらに4時間攪拌した。反応を冷却し、EtOHを添加した。生成物を真空濾過で収集した。粗生成物を別のEtOHで洗液がほぼ無色になるまで洗浄した。生成物を炉で乾燥させたところ、橙色固体82g(定量的収量)が得られた。
【数7】
【0054】
例8:2,5−ビス(ジフェニルアミノ)テレフタル酸ジメチル(化合物8)の合成
化合物7(80g、0.21モル)をCH
2Cl
2に溶かして穏やかに加熱したところ、溶液の色が暗赤色になった。TLC(CH
2Cl
2:ヘキサン/1:1)を用いて反応を監視した。出発原料がすべて消失したら、CH
2Cl
2をロータリーエバポレータで部分的に除去し、EtOHで埋め合わせた。CH
2Cl
2のすべてが除去されたら、赤色固体を熱いうちに真空濾過で収集し、そしてEtOHで洗液がほぼ無色になるまで洗浄した。生成物を集めて炉で乾燥させたところ、73gの赤色固体(収率92%)が得られた。
【数8】
【0055】
例9:N,N,N’,N’−テトラフェニル2,5−ジアミノテレフタル酸ジメチル(化合物9)の合成
化合物8(40g、0.11モル)、ヨードベンゼン(200mL、1.79モル)、K
2CO
3(20g、0.14モル)及び銅(1.4g、0.022モル)を丸底フラスコにN
2下で入れた。混合物を185℃に24時間加熱した。TLC(CH
2Cl
2:ヘキサン/1:1)で反応の完了が示された。反応を冷却し、CH
2Cl
2を添加した。濾過してCH
2Cl
2で洗浄した後、濾液を濃縮し、懸濁液を得た。EtOHを添加して得られた析出物を濾過して集め、EtOHで洗浄した。生成物を炉で乾燥させたところ、黄色固体45g(収率80%)が得られた。
【数9】
【0056】
例10:1,4−ジヒドロキシメチル−2,5−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)ベンゼン(化合物10)の合成
還流凝縮器を具備した丸底フラスコにN
2下でLiAlH
4(6.4g、0.17モル)を入れた。そのフラスコに無水THF(400mL)を装填し、懸濁液を0℃に冷却した。化合物9(40g、0.076モル)を少しずつ60分かけて添加した。混合物を15分間で室温まで温め、その後45分間還流させた。TLC(CH
2Cl
2:ヘキサン/1:1)で反応の完了が示された。反応を0℃に冷却し、水で慎重に停止させた。30分攪拌した後、エーテルを添加した。水層をエーテルで4回抽出した。有機相を一緒にしてNa
2SO
4で乾燥させ、そして濃縮したところ褐色固体が得られた。この固体をトルエンから再結晶化させたところ、黄色固体34g(収率95%)が得られた。AA8790−138;4.36(s,4H,ベンジリック)、7.00−7.50(m,22H,芳香族);M.p.208−210℃;FD−MS:m/z472(M
+)
【0057】
例11:2,5−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)テレフタルジカルボキシアルデヒド(化合物11)の合成
ピリジニウムクロロクロメート(PCC、30g、0.064モル)と無水CH
2Cl
2(350mL)をN
2下のフラスコに入れた。化合物10を少しずつ添加したところ、その間に混合物が黒色になった。TLC(CH
2Cl
2:ヘキサン/1:1)は、90分後に出発原料の消失を示し、その間に新規の赤色スポットが出現した。反応混合物の全体をガラス濾過器のセライトパッドで濾過した。濾過器をCH
2Cl
2で洗液がほぼ無色になるまで十分に洗浄した。濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2:ヘキサン/1:1)で精製した。カラムの純粋画分を濃縮した後、ヘキサンを添加し、そして生成物を真空濾過で集めて別のヘキサンで洗浄した。生成物を炉で乾燥させたところ、暗赤色の結晶性固体21.5g(収率72%)が得られた。
【数10】
【0058】
例12:1,5−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物12)の合成
500mLの丸底フラスコに1,5−ジヒドロキシナフタレン(15.0g、0.094モル)、炭酸カリウム(27.2g、0.2モル)、臭化n−ヘキシル(32.5g、0.2モル)及び200mLのDMFを添加した。反応を一晩中90℃に加熱し、室温に冷却し、そして700mLの水に注ぎ込んだ。暗褐色の析出物を濾過し、メタノールで洗浄した。粗生成物をメタノールで還流し、次いで濾過したところ、明緑色の固体25.2g(収率80%)が得られた。
【数11】
【0059】
例13:1,5−ビス(ブロモメチル)−4,8−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物13)の合成
化合物12(10.0g、0.030モル)とパラホルムアルデヒド(1.92g、0.064モル)を10mLの酢酸とHBr酢酸溶液(33%酢酸溶液、12.3mL、0.064モル)とに溶かした。反応を50℃に5時間加熱して室温に冷却した。緑がかった析出物を濾過し、水、メタノールで洗浄し、そして乾燥した。粗生成物をヘキサンから再結晶化したところ、オフホワイト色の針状結晶14.7g(収率94%)が得られた。
【数12】
【0060】
例14:4,8−ビスヘキシルオキシ−1,5−ビス(メチレンジエチルホスフェート)ナフタレン(化合物14)の合成
50mLの丸底フラスコに化合物13(9.0g、0.017モル)とトリエチルホスファイト(7.5mL、0.044モル)を添加した。混合物を100℃に4時間加熱した後、室温に冷却した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に10:90アセトン:塩化メチレンを用いて精製したところ明褐色の固体が得られ、これをヘキサンから再結晶化して純粋生成物をオフホワイト色の針状結晶として6.5g(収率59%)得た。
【数13】
【0061】
例15:2,6−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物15)の合成
2,6−ジヒドロキシナフタレン(30.0g、0.19モル)と臭化n−ヘキシル(97.5g、0.59モル)とを、400mLのDMF中、炭酸カリウム(81.6g、0.59モル)の存在下、90℃で一晩中反応させた。反応を700mLの水に注ぎ込み、析出物を濾過し、水及びメタノールで洗浄し、そして乾燥した。粗生成物をメタノールから再結晶化したところ、明灰色の固体41.3g(収率67%)が得られた。
【数14】
【0062】
例16:1,5−ビス(ブロモメチル)−2,6−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物16)の合成
化合物15(9.0g、0.030モル)とパラホルムアルデヒド(1.87g、0.062モル)を40mLの酢酸とHBr酢酸溶液(30%酢酸溶液、12.4mL、0.062モル)とに溶かした。反応を50℃に5時間加熱した後、室温に冷却した。粗生成物をヘキサンから再結晶化し、オフホワイト色の針状結晶9.0g(収率58%)を得た。
【数15】
【0063】
例17:2,6−ビス(ヘキシルオキシ)−1,5−ビス(メチレンジエチルホスフェート)ナフタレン(化合物17)の合成
50mLの丸底フラスコに化合物16(8.0g、0.16モル)とトリエチルホスファイト(13mL、0.078モル)を添加した。混合物を100℃に4時間加熱した。過剰分のトリエチルホスファイトを留去した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に10:90アセトン:塩化メチレンを用いて精製したところ、明橙色の固体が得られ、これをヘキサンから再結晶化させてオフホワイト色の針状結晶5.0g(収率51%)を得た。
【数16】
【0064】
例18:2,6−ジブロモ−1,5−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物18)の合成
1,5−ジヒドロキシナフタレン(20.0g、0.125モル)を400mLの酢酸に溶かし、0℃に冷却した。この溶液に臭素(40.1g、0.250モル)を滴下した。滴下後1時間、反応を室温で攪拌し、そして氷浴で冷却した。結晶を濾過して集め、水で洗浄し、乾燥したところ、明灰色の固体状2,6−ジブロモ−1,5−ジヒドロキシナフタレン36.1g(収率90%)が得られた。生成物(36.0g、0.114モル)を、320mLのメタノール中、ナトリウムメトキシド(13.0g、0.24モル)及びヨードヘキサン(50.0g、0.24モル)と混合した。混合物を一晩中還流した後、室温に冷却した。暗色固体を集め、水及びメタノールで洗浄し、そして乾燥した。粗生成物を塩化メチレンに溶かしてシリカゲルの短パッドを通して暗色の極性不純物を除去した。その後、生成物をメタノールから再結晶化して白色のフレーク状結晶25.5g(収率60%)を得た。
【数17】
【0065】
例19:1,6−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン−2,6−ジカルボキシアルデヒド(化合物19)の合成
化合物18(13.0g、0.027モル)を110mLの無水THFに溶かし、乾燥窒素下で−78℃に冷却した。この溶液に、nBuLi溶液(2.5Mヘキサン溶液、32mL、0.080モル)を温度が−60℃よりも低く維持されるようにゆっくりとシリンジから添加した。添加後、溶液を−78℃で1時間攪拌した。無水DMF(17mL、0.21モル)をシリンジから添加した。反応を室温で一晩中攪拌した。反応を水で停止させ、エーテルで抽出した(3×100mL)。有機相をブラインで洗浄し、そしてMgSO
4で乾燥した。溶媒を除去した後、粗生成物をヘキサンから再結晶化して6.72gの生成物(収率65%)を明黄色粉末として得た。
【数18】
【0066】
例20:1,5−ビス(ヘキシルオキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン(化合物20)の合成
30mLのメタノールと20mLの塩化メチレンに0℃で水素化ホウ素ナトリウム(1.90g、50ミリモル)を添加した。混合物を10分間攪拌し、そしてジアルデヒド化合物19(3.25g、8.4ミリモル)を10mLの塩化メチレンに溶かしたものを添加漏斗からゆっくりと添加した。反応を室温で一晩中攪拌した後、30mLの1M KOHで停止させ、30分攪拌した。反応を塩化メチレンで3回抽出し、水で洗浄し、そしてMgSO
4で乾燥した。粗生成物はオフホワイト色の固体であり、次の段階で使用するのに十分な純度であった。収量は2.91g(収率88%)であった。
【数19】
【0067】
例21:2,6−ビス(ブロモメチル)−1,5−ビス(ヘキシルオキシ)ナフタレン(化合物21)の合成
ジアルコール化合物20(2.90g、7.5ミリモル)を15mLの無水THFに溶かして0℃に冷却した。この溶液に、PBr
3(1.7mL、18ミリモル)を5mLのTHFに溶かして添加した。反応を室温で一晩中攪拌し、水で停止させ、そしてエーテルで抽出した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に5:95エーテル:ヘキサンを用いて精製したところ、明黄色結晶2.61g(収率68%)が得られた。
【数20】
【0068】
例22:1,5−ビス(ヘキシルオキシ)−2,6−ビス(メチレンジエチルホスフェート)ナフタレン(化合物22)の合成
ジブロモ化合物21(2.50g、4.9ミリモル)とトリエチルホスファイト(2mL、12ミリモル)を混合して100℃に4時間加熱した。粗生成物をヘキサンから再結晶化して白色結晶を得、さらにその母液をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に20:80アセトン:ヘキサンを用いて精製した。全体収量は2.34g(収率76%)であった。
【数21】
【0069】
例23:9,9’−ジヘキシルフルオレン(化合物23)の合成
フルオレン(23.0g、0.14モル)を200mLの無水THFに溶かして−78℃に冷却した。この溶液にn−BuLi(2.5Mヘキサン溶液、65mL、0.16モル)を添加し、その赤色溶液を低温で1時間攪拌した。この溶液に、臭化n−ヘキシル(27.4g、0.17モル)を20mLのTHFに溶かして添加した。反応を低温で2時間攪拌し、そしてまたn−BuLi(2.5Mヘキサン溶液、65mL、0.16モル)を再度添加して反応を1時間攪拌した。その後、臭化n−ヘキシル(27.4g、0.17モル)を添加して反応を一晩中攪拌しておいた。緑色の反応を水で停止させ、黄色溶液をエーテルで抽出した。有機相を一緒にしてMgSO
4で乾燥した。粗生成物を減圧蒸留で精製したところ、純粋生成物42.3g(収率93%)が透明な粘性油として得られた。
【数22】
【0070】
例24:2,7−ビス(ブロモメチル)−9,9’−ジ(ヘキシル)フルオレン(化合物24)の合成
化合物23(15.0g、0.045モル)とパラホルムアルデヒド(13.5g、0.45モル)を90mLの30%HBr酢酸溶液に溶かした。反応を70℃で一晩中攪拌した。その混合物を200mLの水に注ぎ込み、塩化メチレンで抽出した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液にヘキサンを用いて精製し、11.2gの淡黄色粘性油を得た。
【数23】
【0071】
例25:2,7−ビス(シアノメチル)−9,9’−ジ(ヘキシル)フルオレン(化合物25)の合成
化合物24(6.85g、0.013モル)を50mLのアセトニトリルに溶かした。この溶液に炭酸カリウム(4.55g、0.033モル)、ジメチルシアノヒドリン(3.0mL、0.033モル)及び0.15gのクラウン−18−6を添加した。反応を室温で一晩中攪拌した。反応を水で希釈し、エーテルで抽出した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に10:90酢酸エチル:ヘキサンを用いて精製し、純粋生成物を白色結晶として2.8g(収率51%)得た。
【数24】
【0072】
例26:3−(2−エチルヘキシル)チオフェン(化合物26)の合成
三口丸底フラスコに乾燥したマグネシウム屑(10.2g、0.42モル)と40mLの無水THFを入れた。ヨウ素結晶を添加してGrignard反応を開始させた。次いで、臭化2−エチルヘキシル(79.0g、0.41モル)を100mLの無水THFに溶かしてマグネシウム屑に滴下した。滴下後、反応を1時間加熱還流させ、その後室温に冷却し、そして100mLのTHFで希釈した。別のフラスコに、3−ブロモチオフェン(50.0g、0.31モル)、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(1.7g、0.003モル)及び100mLのTHFを添加して、氷浴で冷却した。上記Grignard試薬を上記溶液にカニューレから添加した。室温で一晩中攪拌した後、反応を2N HClで停止させ、エチルエーテルで抽出した。有機相を一緒にしてブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液にヘキサンを用いて精製したところ、27.5gの純粋生成物が明黄色液体として得られた(収率46%)。
【数25】
【0073】
例27:2,5−ビス(ブロモメチル)−3−(2−エチルヘキシル)チオフェン(化合物27)の合成
化合物26(7.0g、0.036モル)とパラホルムアルデヒド(2.57g、0.086モル)を3mLの酢酸及びHBr溶液(30%酢酸溶液、0.088モル、18mL)に溶かした。反応を窒素下、室温で一晩中攪拌した。反応を200mLのエチルエーテルで希釈し、水、飽和NaHCO
3溶液及びブラインで洗浄した。溶媒を除去した後、9.6gの明褐色油状物が得られた(収率70%)。これはほぼ純粋であったため、さらに精製することなく次の段階で使用した。
【数26】
【0074】
例28:2,5−ビス(メチレンジエチルホスフェート)−3−(2−エチルヘキシル)チオフェン(化合物28)の合成
化合物27(9.6g、0.025モル)とトリエチルホスファイト(10.8mL、0.063モル)を100mLの丸底フラスコに入れて100℃に4時間加熱した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで溶離液に25:75アセトン:ヘキサンを用いて精製したところ、明黄色油状物9.0g(収率72%)が得られた。
【数27】
【0075】
ポリマーの合成
例29:Horner-Emmons反応の一般手順
等モル量のジカルボキシアルデヒドモノマーとジホスフェートモノマーとを窒素下の無水THFに溶解した。この溶液に2.5当量のNaHを添加した。反応を窒素下、室温で一晩中攪拌した。少量のベンズアルデヒドを添加してホスフェート末端基を末端封鎖した。ポリマーをメタノール中で析出させ、濾過し、クロロホルムに再溶解させ、そしてメタノールから2回析出させた。得られたポリマーを45℃で一晩かけて真空乾燥した。
【0076】
例30:Knoevenagel反応の一般手順
等モル量のジカルボキシアルデヒドモノマーとジシアノモノマーとを窒素下の無水THFとt−ブチルアルコールの1:1混合溶媒に溶解した。この溶液に触媒量のカリウムt−ブトキシドを添加した。反応を窒素下、室温で一晩中攪拌した。ポリマーをメタノール中で析出させ、濾過し、クロロホルムに再溶解させ、そしてメタノールから2回析出させた。得られたポリマーを45℃で一晩かけて真空乾燥した。
【0077】
ELデバイスの製造及び性能
例31
本発明の要件を満たすELデバイスを以下のように構築した。有機EL媒体は単層のポリマー薄膜を有する。
a)インジウム錫酸化物(ITO)を被覆したガラス基板を、市販の洗剤中で超音波処理し、脱イオン水でリンスし、トルエン蒸気で脱脂処理し、そして紫外線とオゾンに2〜3分間暴露した。
b)ポリマーのトルエン溶液(溶媒30mLに30mg溶かしたもの)を2μmのテフロン製フィルターで濾過した。次いで、そのポリマー溶液をITO上に回転速度を制御しつつスピンコーティングした。ポリマー薄膜の厚さを500〜700オングストロームとした。
c)当該ポリマー薄膜の上に、MgとAgを原子比10:1で含む厚さ2000オングストロームのカソード層を付着させた。
【0078】
上記序列によりELデバイスの付着を完了した。次いで、デバイスを、周囲環境から保護するため、ドライグローブボックスにおいて気密封止した。
表1に、本発明により製造したポリマーの特性をまとめる。合成したポリマーは高いT
g及びT
dを示す。希釈溶液から吸収及び発光スペクトルを得、ポリマーの固体薄膜からフォトルミネセンス(PL)を得、そしてITO/ポリマー/Mg:Ag系ELデバイスからELスペクトルを得た。ELデバイスの製作は例31に説明した。
図4及び
図5に、ポリマー22及び17の吸収、発光、PL及びELスペクトルをそれぞれ示す。
図6に、ポリマー22のELデバイスの電圧―電流特性を示す。
【0079】
【表1】
【0080】
a:重量平均分子量(トリクロロベンゼン中ポリスチレン標品を用いたサイズ排除クロマトグラフィーで測定)
b:溶液中で測定
c:測定なし