(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662404
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】廃カーペットのリサイクル方法及びそのリサイクル方法により得た資源を原料として製造される再生カーペット
(51)【国際特許分類】
B09B 3/00 20060101AFI20150108BHJP
D04H 11/00 20060101ALI20150108BHJP
D04H 1/498 20120101ALI20150108BHJP
A47G 27/02 20060101ALI20150108BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20150108BHJP
B29B 17/04 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
B09B3/00 Z
D04H11/00ZAB
D04H1/498
A47G27/02 Z
B09B5/00 Z
B29B17/04
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-232242(P2012-232242)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-83475(P2014-83475A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2013年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000171399
【氏名又は名称】根来産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117374
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真一
(72)【発明者】
【氏名】根来 孝式
(72)【発明者】
【氏名】佐野 洋文
【審査官】
岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−172619(JP,A)
【文献】
特開2004−143620(JP,A)
【文献】
特開2000−061941(JP,A)
【文献】
特開2004−113384(JP,A)
【文献】
特開2001−062832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
B09B 5/00
B29B 17/00
A47G 27/02
D04H 1/498
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃カーペットを所定大きさの繊維又は繊維塊に解繊し、切断する工程と、前記解繊後及び/又は切断後の繊維又は繊維塊から短繊維及びラテックス粉末を分離する工程とを備える第1工程と、
前記第1工程で解繊し切断した繊維を開繊し、ウェブシートを形成する工程と、前記工程で形成したウェブシートに別途フェルトを加えてニードルパンチを行い再生カーペットの原料となる積層フェルトを形成する工程とを備える第2工程と、
前記第2工程の開繊時に分離・脱落した繊維にPETフレークを加えて溶融しペレットを形成する工程と、前記工程で形成したペレットに別途ペレットを加えて溶融し、紡糸延伸し再生カーペットの原料となるパイル糸を形成する工程とを備える第3工程と、
前記第1工程で分離した短繊維及びラテックス粉末をラテックスに添加し再生カーペットの原料となる調合ラテックスを形成する工程と備える第4工程と、
を備えることを特徴とする廃カーペットのリサイクル方法。
【請求項2】
請求項1に記載の第1工程乃至第4工程を備え、
さらに、前記第3工程で形成したパイル糸を基布にタフトする工程と、前記第4工程で形成した調合ラテックスを塗布する工程と、前記調合ラテックスを塗布した基布に前記第2工程で形成したフェルトを裏張りする工程と、前記工程で裏張りしたカーペットを縫製する工程とを備える第5工程と、
を備えることを特徴とする廃カーペットのリサイクル方法
【請求項3】
前記第1工程は、廃カーペットを略200mm以下の繊維又は繊維塊に解繊する工程と、前記略200mm以下の繊維又は繊維塊から略2mm未満の短繊維及びラテックス粉末を分離する工程と、前記繊維又は繊維塊を略100mm以下の繊維に切断する工程と、前記略100mm以下の繊維から略2mm未満の短繊維及びラテックス粉末を分離する工程とを備え、
前記第2工程は、前記略100mm以下の繊維にポリエステル綿を加えて開繊し、ウェブシートを形成する工程と、前記ウェブシートにフェルトを加えて積層シートを形成する工程と、前記積層シートにニードルパンチを行い再生フェルトを製造する工程を備え、
前記第3工程は、前記第2工程における開繊時に分離した略2mm乃至30mmの短繊維にPETフレークを加えて、溶融し冷却し裁断しペレットを製造する工程と、前記ペレットに別途ペレットを加えて、溶融し紡糸延伸しパイル糸を製造する工程を備え、
前記第5工程は、前記第3工程で形成したパイル糸を基布にタフトする工程と、前記基布に前記第4工程で形成した調合ラテックスを塗布する工程と、前記基布に前記第2工程で製造したフェルトを裏張りし、再生カーペットを製造する工程を備える
こと特徴とする請求項2に記載の廃カーペットのリサイクル方法
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の廃カーペットのリサイクル方法により得た再生カーペットの原料を用いて製造される再生カーペットであって、前記廃カーペットの原料比率の総和が10重量%以上であることを特徴とする再生カーペット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃カーペットのリサイクル方法及びそのリサイクル方法により製造される再生カーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、繊維廃材は年間数百万トン排出されているが、リサイクル率は約10%足らずであり、繊維廃材の有効利用が急務とされている。なかでも、廃カーペットは極僅かはリサイクルされているが、その殆どが廃材として焼却処理されている。そこで、前記廃カーペットを100%利用した資源の確保とCO2排出量の削減が要望されている。
【0003】
この点に関し、従来、例えば、タフテッド布帛屑を再生しカーペットにリサイクルする製造方法として、出願人が提示する特開平9−21050号(特許文献1)に記載のものが公知である。前記公報に記載されたタフテッド布帛屑を再生しカーペットにリサイクルする製造方法は、タフテッド布帛の製造工程でできるタフテッド布帛屑を反毛機に通して得られる反毛繊維ウェブを、新生繊維ウェブを表面層とし、不織布を裏面層として形成されるニードルパンチングカーペットの中間層として形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−21050号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記製造方法において再生されるのは、タフテッド布帛の製造工程でできるタフテッド布帛屑のみであり、前記のように望まれている廃カーペットを100%リサイクルするという観点からは、十分とは言えない。また、前記製造方法により製造されるカーペットはニードルパンチングフェルトカーペットであり、より需要の多いタフテッドカーペットにリサイクルされるものではない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、廃カーペットを90%以上リサイクルするリサイクル方法を提供し、前記廃カーペットを高効率に利用して再生カーペットを製造し資源の確保を図ることにある。
【0007】
また、本願発明の他の目的は、廃カーペットを焼却して排出されるCO2量をなくし、再度カーペットの原料として再利用することでCO2排出量の削減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る廃カーペットのリサイクル方法は、廃カーペットを所定大きさの繊維又は繊維塊に解繊し、切断する工程と、前記解繊後及び/又は切断後の繊維又は繊維塊から短繊維及びラテックス粉末を分離する工程とを備える第1工程と、前記第1工程で解繊し切断した繊維を開繊し、ウェブシートを形成する工程と、前記工程で形成したウェブシートに別途フェルトを加えてニードルパンチを行い再生カーペットの原料となる積層フェルトを形成する工程とを備える第2工程と、前記第2工程の開繊時に分離・脱落した繊維又は繊維塊にPETフレークを加えて溶融しペレットを形成する工程と、前記工程で形成したペレットに別途ペレットを加えて溶融し、紡糸延伸し再生カーペットの原料となるパイル糸を形成する工程とを備える第3工程と、前記第1工程で分離した短繊維及びラテックス粉末をラテックスに添加し再生カーペットの原料となる調合ラテックスを形成する工程と備える第4工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る廃カーペットのリサイクル方法にあっては、廃カーペットを90%以上リサイクルすることができ、前記廃カーペットを高効率に利用した資源の確保とCO2排出量の削減ができる。
【0010】
請求項2に係る廃カーペットのリサイクル方法は、請求項1に記載の第1工程乃至第4工程を備え、さらに、前記第3工程で形成したパイル糸を基布にタフトする工程と、前記第4工程で形成した調合ラテックスを塗布する工程と、前記調合ラテックスを塗布した基布に前記第2工程で形成したフェルトを裏張りする工程と、前記工程で裏張りしたカーペットを縫製する工程とを備える第5工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る廃カーペットのリサイクル方法にあっては、廃カーペットを90%以上リサイクルし、それを原料として再生カーペットを製造することができ、前記廃カーペットを高効率に利用した資源の確保とCO2排出量の削減ができる。
【0012】
請求項3に係る廃カーペットのリサイクル方法は、請求項2に記載の廃カーペットのリサイクル方法において、前記第1工程は、廃カーペットを略200mm以下の繊維又は繊維塊に解繊する工程と、前記略200mm以下の繊維又は繊維塊から略2mm未満の短繊維及びラテックス粉末を分離する工程と、前記繊維又は繊維塊を略100mm以下の繊維に切断する工程と、前記略100mm以下の繊維から略2mm未満の短繊維及びラテックス粉末を分離する工程とを備え、前記第2工程は、前記略100mm以下の繊維にポリエステル綿を加えて開繊し、ウェブシートを形成する工程と、前記ウェブシートにポリエステルフェルトを加えて積層シートを形成する工程と、前記積層シートにニードルパンチを行い再生フェルトを製造する工程を備え、前記第3工程は、前記第2工程における開繊時に分離した略2mm乃至30mmの短繊維にPETフレークを加えて、溶融し冷却し裁断しペレットを製造する工程と、前記ペレットに別途ペレットを加えて、溶融し紡糸延伸しパイル糸を製造する工程を備え、前記第5工程は、前記第3工程で形成したパイル糸を基布にタフトする工程と、前記基布に前記第4工程で形成した調合ラテックスを塗布する工程と、前記基布に前記第2工程で製造したフェルトを裏張りし、再生カーペットを製造する工程を備えること特徴とする。
【0013】
請求項3に係る廃カーペットのリサイクル方法にあっては、廃カーペットを90%以上リサイクルし、それを原料として再生カーペットを製造することができ、前記廃カーペットを高効率に利用した資源の確保とCO2排出量の削減ができる。
【0014】
請求項4に係る再生カーペットは、請求項2又は請求項3に記載の廃カーペットのリサイクル方法により得た再生カーペットの原料を用いて製造される再生カーペットであって、前記廃カーペットの原料比率の総和が10重量%以上であることを特徴とする。
【0015】
請求項4に係る再生カーペットにあっては、廃カーペットを90%以上リサイクルし、それを高い比率で原料とする再生カーペットを製造することができ、前記廃カーペットを高効率に利用した資源の確保とCO2排出量の削減ができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の廃カーペットのリサイクル方法によれば、廃カーペットを所定大きさの繊維又は繊維塊に解繊し、切断する工程と、前記解繊後及び/又は切断後の繊維又は繊維塊から短繊維及びラテックス粉末を分離する工程とを備える第1工程と、前記第1工程で解繊し切断した繊維を開繊し、ウェブシートを形成する工程と、前記工程で形成したウェブシートに別途フェルトを加えてニードルパンチを行い再生カーペットの原料となる積層フェルトを形成する工程とを備える第2工程と、前記第2工程の開繊時に分離・脱落した繊維又は繊維塊にPETフレークを加えて溶融しペレットを形成する工程と、前記工程で形成したペレットに別途ペレットを加えて溶融し、紡糸延伸し再生カーペットの原料となるパイル糸を形成する工程とを備える第3工程と、前記第1工程で分離した短繊維及びラテックス粉末をラテックスに添加し再生カーペットの原料となる調合ラテックスを形成する工程と備える第4工程と、を備えるので、廃カーペットを90%以上リサイクルすることができ、前記廃カーペットを高効率に利用した資源の確保とCO2排出量の削減ができる。
【0017】
請求項2に記載の廃カーペットのリサイクル方法によれば、請求項1に記載の第1工程乃至第4工程を備え、さらに、前記第3工程で形成したパイル糸を基布にタフトする工程と、前記第4工程で形成した調合ラテックスを塗布する工程と、前記調合ラテックスを塗布した基布に前記第2工程で形成したフェルトを裏張りする工程と、前記工程で裏張りしたカーペットを縫製する工程とを備える第5工程と、を備えるので、廃カーペットを90%以上リサイクルし、それを原料として再生カーペットを製造することができ、前記廃カーペットを高効率に利用した資源の確保とCO2排出量の削減ができる。
【0018】
請求項3に記載の廃カーペットのリサイクル方法によれば、請求項2に記載の廃カーペットのリサイクル方法において、前記第1工程は、廃カーペットを略200mm以下の繊維又は繊維塊に解繊する工程と、前記略200mm以下の繊維又は繊維塊から略2mm未満の短繊維及びラテックス粉末を分離する工程と、前記繊維又は繊維塊を略100mm以下の繊維に切断する工程と、前記略100mm以下の繊維から略2mm未満の短繊維及びラテックス粉末を分離する工程とを備え、前記第2工程は、前記略100mm以下の繊維にポリエステル綿を加えて開繊し、ウェブシートを形成する工程と、前記ウェブシートにポリエステルフェルトを加えて積層シートを形成する工程と、前記積層シートにニードルパンチを行い再生フェルトを製造する工程を備え、前記第3工程は、前記第2工程における開繊時に分離した略2mm乃至30mmの短繊維にPETフレークを加えて、溶融し冷却し裁断しペレットを製造する工程と、前記ペレットに別途ペレットを加えて、溶融し紡糸延伸しパイル糸を製造する工程を備え、前記第5工程は、前記第3工程で形成したパイル糸を基布にタフトする工程と、前記基布に前記第4工程で形成した調合ラテックスを塗布する工程と、前記基布に前記第2工程で製造したフェルトを裏張りし、再生カーペットを製造する工程を備えるので、廃カーペットを90%以上リサイクルし、それを原料として再生カーペットを製造することができ、前記廃カーペットを高効率に利用した資源の確保とCO2排出量の削減ができる。
【0019】
請求項4に記載の再生カーペットによれば、請求項2又は請求項3に記載の廃カーペットのリサイクル方法により得た再生カーペットの原料を用いて製造される再生カーペットであって、しかも、前記廃カーペットの原料比率の総和が10重量%以上であるので、廃カーペットを90%以上リサイクルし、それを高い比率で原料とする再生カーペットを製造することができ、前記廃カーペットを高効率に利用した資源の確保とCO2排出量の削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る再生カーペットの製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】再生カーペットの製造工程(第1工程)を示す概略図である。
【
図3】再生カーペットの製造工程(第2工程)を示す概略図である。
【
図4】再生カーペットの製造工程(第3工程)を示す概略図である。
【
図5】再生カーペットの製造工程(第4工程)を示す概略図である。
【
図6】再生カーペットの製造工程(第5工程)を示す概略図である。
【
図7】再生カーペットの製造工程(第1工程)を示す流れ図である。
【
図8】再生カーペットの製造工程(第2工程)を示す流れ図である。
【
図9】再生カーペットの製造工程(第3工程)を示す流れ図である。
【
図10】再生カーペットの製造工程(第4工程)を示す流れ図である。
【
図11】再生カーペットの製造工程(第5工程)を示す流れ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る廃カーペットのリサイクル方法及びそのリサイクル方法により得た資源を原料として製造される再生カーペットを製造するための実施例について、図面に従って説明する。
【0022】
図1は本発明に係る再生カーペットの製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、本発明に係る再生カーペットRCPは、廃カーペットCPをリサイクルし、資源を形成する第1工程10乃至第4工程40(廃カーペットのリサイクル方法)と、前記第1工程乃至前記第4工程40で形成した資源を使用して前記再生カーペットRCPを形成する第5工程50を経て製造される。
【0023】
すなわち、前記再生カーペットRCPは、廃カーペットCPを解繊し、その後切断し、適宜大きさの繊維(以下「繊維C」という。」)とすると共に、前記解繊及び切断後に微小の短繊維及びラテックス粉末(以下「ラテックス粉末等RLP」という。)を分離する第1工程10と、前記第1工程10で解繊、切断された繊維Cにカーディング処理及びニードルパンチ処理等を施して、再生フェルトFを形成する第2工程20と、前記第2工程におけるカーディング処理の際に脱落・分離した繊維D(以下「繊維D」という。」)にPETフレーク31を加えて、再生ペレットGを形成し、前記再生ペレットGをさらに再生パイル糸Hに形成する第3工程30と、前記第1工程10で分離したラテックッス粉末RLPと新生ラテックスLTXを混合して調合ラテックスRLXを形成する第4工程40とにより、前記廃カーペットCPを(1)繊維C(第2工程で再生フェルトFの原料となる。)と(2)繊維D(第3工程で再生パイル糸Hの原料となる。)と(3)ラテックス粉末等RLP(第4工程で調合ラテックスRLXの原料となる。)の3種にリサイクルされるのである。
【0024】
そして、さらに、(a)前記第3工程で形成した再生パイル糸Hを基布51にタフティングし、(b)その後、前記基布51の裏側に前記第4工程で形成した調合ラテックスRLXを塗布する工程と、(c)前記基布51にさらに前記第2工程20で形成した再生フェルトFを裏張りし、その後縫製を行なう第5工程50を経て前記再生カーペットRCPが製造されるのである。なお、前記第4工程40は、時系列的に前記第3工程30の次に行われなくとも、前記第1工程10から前記第5工程50における工程の間に行われれば良い。
【0025】
以下、前記第1工程10乃至第5工程50について詳細に説明する。
【0026】
図2は再生カーペットの製造工程(第1工程)を示す概略図であり、
図3は再生カーペットの製造工程(第2工程)を示す概略図であり、
図4は再生カーペットの製造工程(第3工程)を示す概略図であり、
図5は再生カーペットの製造工程(第4工程)を示す概略図であり、
図6は再生カーペットの製造工程(第5工程)を示す概略図である。
【0027】
また、
図7は再生カーペットの製造工程(第1工程)を示す流れ図であり、
図8は再生カーペットの製造工程(第2工程)を示す流れ図であり、
図9は再生カーペットの製造工程(第3工程)を示す流れ図であり、
図10は再生カーペットの製造工程(第4工程)を示す流れ図であり、
図11は再生カーペットの製造工程(第5工程)を示す流れ図である。
【0028】
前記第1工程10は、
図2及び
図7に示すように、先ず適宜大きさに切断した廃カーペットCPを、コンベア11により反毛機12に搬入し、おおよそ200mm以下の繊維又は繊維塊A(以下、「繊維等A」という)まで解繊する。
【0029】
次に、前記繊維等Aを、集塵機14により、第1風抜塔13内部に送り込ませて、前記第1風抜塔13内部に設けた衝突板13aに衝突させると共に上昇する繊維等Aを下方に落下させる落下板13bにより落下させることにより、前記繊維等Aからおおよそ2mm未満の短繊維及びラテックス粉末等RLP(以下、「ラテックス粉末等RLP」という。)を分離させて、さらに第1振動コンベア15より、前記ラテックス粉末等RLPを移動させながら振るいにかけて分離させ、下方に設けた収容部に収容する。
【0030】
次に、前記繊維等Aを、内部に回転する複数の粉砕刃16aを備える粉砕機16に搬入し、前記粉砕刃16aにより粉砕を行い、前記粉砕刃16aと排出口間に設けた多孔板(図示せず)の口径を最適化して、おおよそ100mm以下の繊維B(以下、「繊維B」という。)まで粉砕処理する。
【0031】
そして、前記粉砕機16から排出された前記繊維Bを、前記集塵機14により、第2風抜塔17内部に送り込ませて、前記第2風抜塔17内部に設けた衝突板17aに衝突させると共に上昇する繊維Bを下方に落下させる落下板13bにより落下させることにより、前記繊維Bから、さらにラテックス粉末等RLPを分離させて、さらに第2振動コンベア18より、前記ラテックス粉末等RLPを移動させながら振るい落とし、下方に設けた収容部に収容し、前記繊維Bを、おおよそ2mm〜100mmの繊維C(以下、「繊維C」という。)に粉砕する。
【0032】
以上の第1工程10により、前記廃カーペットCPから、前記繊維Cと前記ラテックス粉末等RLPとを得るのである。
【0033】
なお、前記第1工程において、前記ラテックス粉末等RLPを分離する工程を、前記解繊後と前記切断後に配置したが、どちらか一方に配置しても良い。
【0034】
前記第2工程20は、
図3及び
図8に示すように、前記第1工程10で得た繊維Cを通常の再生PET綿21と混合し、コンベア23によりカード機24に搬入し、開繊し、ウェブシートEを形成するカーディング処理を行う。そして、前記カーディング処理時に脱落する、おおよそ2〜30mmの繊維D(以下、「繊維D」という。)を分離し収容する。
【0035】
そして、前記ウェブシートEに通常の再生PETフェルト25を積層し、ニードルパンチ機26により、ニードルパンチ処理を行い、再生フェルトFを製造するのである。
【0036】
前記第3工程30は、
図4及び
図9に示すように、前記第2工程20で得た前記繊維Dを、PETボトルを小片に粉砕し形成したPETフレーク31と混合し、溶融押出機32により押出成型し、水冷槽33により冷却を行い、裁断機34によって小片に裁断し、再生ペレットGを形成するのである。
【0037】
そして、さらに、前記再生ペレットGを濃色ペレット35と混合し色彩を調整し、溶融押出機36により溶融押出処理を行い、紡糸37、延伸処理38を経て、再生パイル糸Hを形成するのである。
【0038】
前記第4工程40は、
図5及び
図10に示すように、前記第1工程10で分離したラテックス粉末等RLPを新生ラテックスLTXと混合させ、前記ラテックスLTXに配合されている炭酸カルシウムの一部代替として添加して、調整ラテックスRLXを形成するのである。なお、前記第4工程40は、前述のとおり、時系列的に前記第3工程30の次に行われなくとも、前記第1工程10から前記第5工程50における工程の間に行われれば良い。
【0039】
前記第5工程50は、
図6及び
図11に示すように、前記第3工程で得られた再生パイル糸Hを、タフト機52により基布51にタフティングし、前記タフティングされた基布51の裏面に、前記調整ラテックスRLXを塗布する処理53を行い、さらに、前記基布51に前記第2工程で得られた再生フェルトFを裏張りする工程54を経て、縫製を行い、最終的に再生カーペットRCPを製造するのである。
【0040】
以上のように、前記第1工程乃至第4工程により、前記廃カーペットCPを、大まかに、前記繊維C、前記繊維D及び前記ラテックス粉末等RLPの3種に分別してリサイクル資源とし、さらに、前記繊維Cを原料として前記再生防音フェルトを形成し、前記繊維Dを原料として再生パイル糸Hを形成し、前記ラテックス粉末等RLPを調整ラテックスRLXの増量剤として使用することにより、前記廃カーペットCPの90%以上を、前記再生カーペットRCPの原料とすることができるのである。
【0041】
図12は再生カーペットの断面模式図である。
【0042】
すなわち、以上のように製造された再生カーペットRCPにおいては、
図12に示すように、前記基布51にタフティングされた再生パイル糸H、前記基布51の裏に塗布された調合ラテックスRLX及び前記基布51の裏面に裏張りされた再生フェルトの原料の一部として、夫々前記廃カーペットCPからリサイクルされる資源である、2〜30mmの繊維D、2〜100mmの繊維C、ラテックス粉末等RLXが使用されている。
【0043】
そして、前記廃カーペットCPからリサイクルした各原料比率の総和が、前記再生カーペットRCPの10重量%以上となるように、前記各原料配分の最適化を行うのである。
【0044】
以上の第1工程10乃至第4工程40に示される廃カーペットCPのリサイクル方法及びそのリサイクル方法により得た資源を原料として再生カーペットをする場合においては、前記廃カーペットは90%以上リサイクルされるので、焼却されることはなく、また前記廃カーペットを高効率に利用するので、その結果としてCO2排出量の削減を図ることができる。
【0045】
なお、前記廃カーペットのリサイクル方法により得られる資源は、前記再生カーペットRCPの原料として使用される他、自動車等の防音材、防振材又はプランター、ベンチ及び車止め等の合成樹脂成型品の原料の一部として使用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
10 再生カーペット製造の第1工程
11 コンベア
12 反毛機
13 第1風抜塔
13a 衝突板
13b 落下板
14 第1振動コンベア
15 第2振動コンベア
16 粉砕機
16a 粉砕刃
17 第2風抜塔
17a 衝突板
17b 落下板
18 第2振動コンベア
20 再生カーペット製造の第2工程
21 再生PET綿
23 コンベア
24 カード機
25 再生PETフェルト
26 ニードルパンチ機
30 再生カーペット製造の第3工程
31 再生PETフレーク
32 溶融押出機
33 水冷槽
34 裁断機
35 濃色ペレット
36 溶融押出機
37 紡糸
38 延伸
40 再生カーペット製造の第4工程
50 再生カーペット製造の第5工程
51 基布
52 タフト機
53 ラテックス塗布処理
54 裏張り処理
A 略200mm以下の繊維又は繊維塊
B 略100mm以下の繊維
C 略2mm〜100mmの繊維
D 略2〜30mmの繊維
E ウェブシート
F 再生フェルト
G 再生ペレット
H 再生パイル糸
CP 廃カーペット
RLP 略2mm未満の短繊維及びラテックス粉末
LTX 新生ラテックス
RLX 調合ラテックス
RCP 再生カーペット