【実施例】
【0071】
3-アミノピロリジン-2-オン及び3-アミノテトラヒドロピリジン-2-オンは、2,4-ジアミノ酪酸及びオルニチンの直接的な脱水によって合成できる [Synthesis, 1978, 614-616]。代わりに、7-員ラクタムに用いられたジアミノエステルの塩基介在環化 [J. Org. Chem., 1979, 44, 4841-4847] は、5-員及び6-員 [J. Med. Chem., 2003, 360-370] ラクタムの合成に適用できる。アミノラクタムの単一エナンチオマーが必要な場合には、これらの経路は、鏡像異性的に純粋な出発物質に基いて行うことができ、立体化学を保持しながら進行できる。
【0072】
実施例 1: (S)-3-(1'-アダマンタンカルボニルアミノ)-テトラヒドロピリジン-2-オン:
(S)-3-アミノ-テトラヒドロピリジン-2-オン 塩酸塩 (2 mmol) 及びNa
2CO
3 (6 mmol) の水 (25 ml) 溶液を、アダマンタン-1-カルボニルクロリド (2 mmol) のジクロロメタン (25 ml) 溶液に周囲温度で加え、反応を18時間攪拌した。次いで、有機層を分離し、水相を更なるジクロロメタンで抽出した。併せた有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下に除いた。残渣をCH
2Cl
2/へキサンから再結晶し、ラクタムをアモルファス固体として得た(237 mg, 43%); ν
max/cm
-1 3330, 3175 (NH), 1655, 1683 (CO), 1500 (NH); δ
H (400 MHz, CDCl
3) 6.59 (1H, br d, J 4.5, NH), 6.51 (1H, br s, NH), 4.15 (1H, dt, J 10, 5.5, C
HNH), 3.35-3.24 (2H, m, C
H2NH), 2.57-2.48 (1H, m, ラクタムCH
2), 1.99 (3H, br s, 3 x アダマンタンCH), 1.92-1.17 (8H, m, 2 x ラクタムCH、及び6 x アダマンタンCH
2), 1.73-1.61 (6H, m, 6 x アダマンタンCH
2) 及び1.45 (1H, tt, J 12.5, 8.5, ラクタムCH); δ
c (100 MHz, CDCl
3) 178.2, 172.2 (CO), 50.3 (NH
CHCO), 41.5 (CH
2N), 40.6 (
CCO), 39.1 (3 x CH
2アダマンタン), 36.5 (3 x CH
2アダマンタン), 28.1 (3 x CHアダマンタン), 27.0, 21.0 (CH
2ラクタム); m/z (MNa
+ C
16H
24N
2O
2Naの理論値 299.1735), 299.1739, (MH
+ C
16H
24N
2O
2の理論値 277.1916) 277.1919。
【0073】
実施例 2: (S)-3-(1'-アダマンタンカルボニルアミノ)-ピロリジン-2-オン:
(S)-3-アミノ-ピロリジン-2-オン 塩酸塩 (2 mmol) 及びNa
2CO
3 (6 mmol) の水 (25 ml) 溶液を、アダマンタン-1-カルボニルクロリド (2 mmol) のジクロロメタン (25 ml) 溶液に周囲温度で加え、反応を18時間攪拌した。次いで、有機層を分離し、水相を更なるジクロロメタンで抽出した。併せた有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下に除いた。残渣をCH
2Cl
2/へキサンから再結晶し、ラクタムをアモルファス固体として得た(179 mg, 34%);ν
max/cm
-1 3423, 3233 (NH), 1693, 1664 (CO), 1495 (NH); δ
H (400 MHz, CDCl
3) 6.81 (1H, br s, NH), 6.25 (1H, br s, NH), 4.25 (1H, ddd, J 10.5, 8.5, 5, C
HNH), 3.41-3.28 (2H, m, C
H2NH), 2.81-2.71 (1H, m, C
H2CH
2N), 2.01 (3H, br s, 3 x アダマンタンCH), 1.90-1.77 (7H, m, C
H2CH
2N、及び6 x アダマンタンCH
2) 及び1.73 (3H, br d, J 12.5, アダマンタンCH
2), 1.65 (3H br d,J 12.5, アダマンタンCH
2), δ
c (100 MHz, CDCl
3) 178.7, 176.2 (CO), 50.7 (NH
CHCO), 40.6 (
CCO), 39.4 (CH
2N), 39.1 (3 x CH
2アダマンタン), 36.4 (3 x CH
2アダマンタン), 30.3 (CH
2ラクタム), 28.1 (3 x CHアダマンタン); m/z (MNa
+ C
15H
22N
2O
2Naの理論値 285.1579) 285.1577。
【0074】
実施例 3:(S)-3-(2',2'-ジメチルドデカノイルアミノ)-テトラヒドロピリジン-2-オン:
(S)-3-アミノ-テトラヒドロピリジン-2-オン 塩酸塩 (2 mmol) 及びNa
2CO
3 (6 mmol) の水 (25 ml) 溶液を、2,2-ジメチル-ドデカノイルクロリド (2 mmol) のジクロロメタン (25 ml) 溶液に周囲温度で加え、反応を18時間攪拌した。次いで、有機層を分離し、水相を更なるジクロロメタンで抽出した。併せた有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下に除いた。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(EtOAc: ヘキサン 1:3〜MeOH :EtOAc 1:19)で精製し、ラクタムを無色粘性固体として得た (501 mg, 77%);ν
max/cm
-1 3375 (NH), 1637, 1620 (CO), 1548 (NH); δ
H (400 MHz, CDCl
3) 6.62 (1H, br d, J 4.5, NH), 6.34 (1H, br s, NH), 4.17 (1H, dt, J 11.5, 5.5, C
HNH), 3.35-3.24 (2H, m, C
H2NH), 2.59-2.51 (1H, m, ラクタムCH
2), 1.93-1.84 (2H, m, 2 x ラクタムCH), 1.53-1.40 (3H, m, ラクタムCH、及び2 x 側鎖CH
2), 1.30-1.16 (16H, m, (CH
2)
8), 1.15 (3H, s, CH
3), 1.14 (3H, s, CH
3) 及び0.84 (3H, t, J 7, CH
2C
H3); δ
c (100 MHz, CDCl
3) 178.2, 172.2 (CO), 50.5 (NH
CHCO), 42.1 (
CCO), 41.5, 41.4, 31.9, 30.1, 29.6 (x 2), 29.5, 29.3, 27.0 (CH
2), 25.3, 25.2 (CH
3) 24.7, 22.6, 21.0 (CH
2) 及び14.1 (CH
3); m/z (MNa
+ C
19H
36N
2O
2Naの理論値は347.2674) 347.2677, (MH
+ C
19H
36N
2O
2の理論値は325.2855) 325.2863。
【0075】
実施例 4: (S)-3-(2',2'-ジメチルドデカノイルアミノ)-ピロリジン-2-オン:
(S)-3-アミノ-ピロリジン-2-オン 塩酸塩 (2 mmol) 及びNa
2CO
3 (4 mmol) の水 (25 ml) 溶液を、2,2-ジメチル-ドデカノイルクロリド (2 mmol) のジクロロメタン (25 ml) 溶液に周囲温度で加え、反応を18時間攪拌した。次いで、有機層を分離し、水相を更なるジクロロメタンで抽出した。併せた有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下に除いた。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(EtOAc: ヘキサン 1:3〜MeOH :EtOAc 1:19)で精製し、ラクタムを無色粘性固体として得た (437mg, 70%);ν
max/cm
-1 3317 (NH), 1704, 1636 (CO), 1531 (NH); δ
H (400 MHz, CDCl
3) 6.75 (1H, br s, NH), 6.28 (1H, br d, J 4.5, NH), 4.23 (1H, ddd, J 10.5, 8.5, 5, C
HNH), 3.41-3.28 (2H, m, C
H2NH), 2.82-2.73 (1H, m, ラクタムCH
2), 1.85 (1H, dq, J 12.5, 9.5, ラクタムCH
2), 1.50-1.43 (2H, m, 2 x 側鎖CH
2), 1.30-1.17 (16H, m, (CH
2)
8), 1.15 (3H, s, CH
3), 1.14 (3H, s, CH
3) 及び0.84 (3H, t, J 7, CH
2C
H3); δ
c (100 MHz, CDCl
3) 178.7, 176.1 (CO), 50.9 (NH
CHCO), 42.0 (
CCO), 41.3, 39.4, 31.9, 30.2, 30.1, 29.6 (x 2), 29.5, 29.3 (CH
2), 25.3, 25.2 (CH
3) 24.7, 22.6 (CH
2) 及び14.1 (CH
3); m/z (MNa
+ C
18H
34N
2O
2Naの理論値は333.2518) 333.2503、(MH
+ C
18H
34N
2O
2の理論値は311.2699) 311.2693。
【0076】
実施例 5:(S)-3-(1'-メチルシクロヘキサンカルボニル)アミノ-テトラヒドロピリジン-2-オン:
(S)-3-アミノ-テトラヒドロピリジン-2-オン 塩酸塩 (2 mmol) 及びNa
2CO
3 (6 mmol) の水 (25 ml) 溶液を、1-メチルシクロヘキサンカルボニルクロリド (2 mmol) のジクロロメタン (25 ml) 溶液に周囲温度で加え、反応を18時間攪拌した。次いで、有機層を分離し、水相を更なるジクロロメタンで抽出した。併せた有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下に除いた。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(EtOAc: ヘキサン 1:3〜MeOH :EtOAc 1:19)で精製し、ラクタムを無色粘性固体として得た (199 mg, 42%);ν
max/cm
-1 3335, 3269 (NH), 1650, 1621 (CO), 1529 (NH); δ
H (500 MHz, CDCl
3) 6.65 (1H, br d, J 5, NH), 6.59 (1H, br s, NH), 4.18 (1H, dt, J 11.5, 5.5, C
HNH), 3.30 (2H, td, J 6.5, 2.5, C
H2NH), 2.52 (1H, ddt, J 13, 5.5, 4.5, ラクタムCH
2), 1.92-1.83 (4H, m, 2 x ラクタムCH及び2 x シクロヘキサンCH
2), 1.55-1.23 (9H, m, ラクタムCH及び8 x シクロヘキサンCH
2) 及び1.11 (3H, s, CH
3); δ
c (125 MHz, CDCl
3) 178.0, 172.3 (CO), 50.4 (NH
CHCO), 42.6 (CH
3C quat), 41.5, 35.6, 35.5, 27.0 (CH
2), 26.3 (CH
3), 25.7, 22.8 (CH
2), 20.9 (CH
2); m/z (MNa
+ C
13H
22N
2O
2Naの理論値は261.1579) 261.1570。
【0077】
実施例 6: (S)-3-(1'-メチルシクロヘキサンカルボニ)アミノ-ピロリジン-2-オン:
(S)-3-アミノ-ピロリジン-2-オン 塩酸塩 (2 mmol) 及びNa
2CO
3 (4 mmol) の水 (25 ml) 溶液を、1-メチルシクロヘキサンカルボニルクロリド (2 mmol) のジクロロメタン (25 ml) 溶液に周囲温度で加え、反応を18時間攪拌した。次いで、有機層を分離し、水相を更なるジクロロメタンで抽出した。併せた有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下に除いた。残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(EtOAc: ヘキサン 1:3〜MeOH :EtOAc 1:19)で精製し、ラクタムをアモルファス固体として得た (276 mg, 62%);ν
max/cm
-1 3321 (NH), 1698, 1633 (CO), 1526 (NH); δ
H (400 MHz, CDCl
3) 6.98 (1H, br s, NH), 6.34 (1H, br s, NH), 4.26 (1H, ddd, J 10.5, 8.5, 5, C
HNH), 3.41-3.26 (2H, m, C
H2NH), 2.79-2.67 (1H, m, C
H2CH
2N), 1.92-1.77 (3H, m, C
H2CH
2N及び2 x シクロヘキサンCH
2), 1.58-1.18 (8H, m, 8 x シクロヘキサンCH
2) 及び1.12 (3H, s, CH
3); δ
c (100 MHz, CDCl
3) 178.6, 176.3 (CO), 50.9 (NH
CHCO), 42.6 (
CCO), 39.4, 35.5 (x2), 30.0 (CH
2), 26.2 (CH
3), 25.7, 22.8 (x2) (CH
2); m/z (MH
+ C
12H
21N
2O
2の理論値は225.1603) 225.1596, (MNa
+ C
12H
21N
2O
2Naの理論値は247.1422) 147.1417。
【0078】
実施例 7: (S)-3-(1'-フェニルシクロヘキサンカルボニル)アミノ-テトラヒドロピリジン-2-オン:
(S)-3-アミノ-テトラヒドロピリジン-2-オン 塩酸塩 (2 mmol) 及びNa
2CO
3 (6 mmol) の水 (25 ml) 溶液を、1-フェニルシクロヘキサンカルボニルクロリド (2 mmol) のジクロロメタン (25 ml) 溶液に周囲温度で加え、反応を12時間攪拌した。次いで、有機層を分離し、水相を更なるジクロロメタン (2 x 25 ml) で抽出した。併せた有機層をNa
2SO
4上で乾燥し、減圧下に除いた。残渣をヘキサンから結晶化して精製し、ラクタムを固体として得た (327 mg, 54%);ν
max/cm
-1 3283, 3196 (NH), 1663, 1650 (CO), 1516 (NH); δ
H (500 MHz, CDCl
3) 7.43-7.35 (2H, m, Ph), 7.35-7.26 (2H, m, Ph), 7.24-7.17 (1H, m, Ph), 6.48-5.73 (2H, br m, NH), 4.09 (1H, dt, J 11, 5.5, C
HNH), 3.30-3.17 (2H, m, C
H2NH), 2.52-2.37 (1H, m, ラクタムCH), 2.33-2.21 (2H, m, シクロヘキサンCH), 2.05-1.76 (4H, m, ラクタム環CH及びシクロヘキサンCH), 1.65-1.48 (5H, m, シクロヘキサン CH), 及び1.43-1.27 (2H, m, ラクタム環CH及びシクロヘキサンCH); δ
C (125 MHz, CDCl
3) 175.8, 171.8 (CO), 143.8 (イプソ-Ph), 128.6 (オルト-又はメタ-Ph), 126.6 (パラ-Ph), 126.4 (オルト-又はメタ-Ph), 50.8 (NHCHCO), 50.5 (C quat), 41.4 (NCH
2), 34.8, 34.4, 26.7, 25.8, 23.0 (x2), 21.0 (CH
2); m/z (MH
+ C
18H
25N
2O
2の理論値は301.1916) 301.1905, (MNa
+ C
18H
25N
2O
2Naの理論値は323.1735) 323.1725。
【0079】
本発明の生成物の薬理学的試験
MCP-1誘導白血球遊走の阻害
アッセイ原理
本発明の化合物の生物活性は、ボイデン・チャンバー及び関連するトランスウェル(transwell)遊走アッセイ、アガロース下での遊走アッセイ及び直接的な目に見えるチャンバー、例えばダン・チャンバーを含むがこれらに限定されない、in vitroでの白血球遊走の幅広い範囲の機能性アッセイを用いて証明することができる。
【0080】
例えば、ケモカイン(しかし他の化学遊走物質ではない)への反応における白血球遊走の阻害を証明するために、Neuroprobe(Gaithersburg, MD, USA)製の96-ウェル型マイクロトランスウェルアッセイ系を使用した。原則的に、このアッセイは、多孔性膜によって分離される2つのチャンバーからなる。化学遊走物質は下方の区画に置かれ、細胞は上方の区画に置かれる。37℃で、ある期間インキュベーションした後、細胞は、化学遊走物質の方へ移動し、下方の区画内の細胞数は、(一連の対照に対して)化学遊走物質の活性に比例する。
【0081】
このアッセイは、様々な白血球集団を用いて使用することができる。例えば、新たに調製したヒト末梢血の白血球が使用できる。代わりに、多形核細胞又はリンパ球もしくは単球を含む白血球亜集団は、当業者に周知の方法、例えば、密度勾配遠心沈殿法又は磁性粒子分離法を用いて調製することができる。代わりに、ヒト末梢血の白血球のモデルとして広く確認されている不死細胞株が使用できる。不死細胞株としては、単球のモデルとしてのTHP-1細胞及び未処理のT細胞のモデルとしてのジャーカット細胞を含むがこれらに限定されない。
【0082】
アッセイの様々な条件は、ケモカイン-誘導白血球遊走の阻害を証明することができるが、具体的な例を本明細書に示す。
【0083】
材料
トランスウェル遊走系は、Neuroprobe(Gaithersburg, MD, USA)製である。使用したプレートは、ChemoTxプレート(Neuroprobe 101-8)であり、30μlの透明プレート(Neuroprobe MP30)である。ゲイ平衡塩類溶液はシグマ(Sigma G-9779)から購入した。脂肪酸無しのBSAは、シグマ(Sigma A-8806)から購入した。MTT、すなわち3-(4,5-ジメチルシアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミドは、シグマ(Sigma M-5655)から購入した。フェノールレッドを含まないRPMI-1640は、シグマ(Sigma R-8755)から購入した。白血球細胞集団として、THP-1細胞株(欧州細胞カルチャーコレクション)を使用した。
【0084】
試験プロトコール
MCP-1誘導白血球遊走について本発明の化合物を試験するために、以下の手法を用いた。
第1に、上方区画に置くことになる細胞懸濁液を調製した。THP-1細胞を遠心(770 x g; 4分)でペレット化し、ゲイ平衡塩類溶液、1 mg/ml BSA(GBSS + BSA)で洗浄した。次いで、この洗浄を繰り返し、細胞を再度ペレット化し、その後、例えば、標準的なヘモサイトメーターを用いてカウントするために、少量のGBSS + BSAに再懸濁した。
【0085】
次いで、細胞が4.45 x 10
6細胞/mlのGBSS + BSAの最終濃度であるように、GBSS + BSAの体積を存在する細胞数によって調整した。このことは、プレートの上方チャンバー内に置くことになる溶液の各25μl中に100,000 THP-1細胞が存在することを確実にする。
【0086】
MCP-1誘導遊走を阻害する能力について単一化合物を試験するために、2つのロットの細胞を調製する必要がある。THP-1細胞の4.45 x 10
6細胞/mlの懸濁液を2つのポットに分割した。1つのポットには、好適な最終濃度で、好適なビヒクル中で、試験下のインヒビターを加えた(例えば、1% DMSO以下の中で、1μMで)。第2のポットには、GBSS + BSAと、必要に応じてビヒクル(例えば、1% DMSO以下)とを等量で加え、対照とした。
【0087】
次に、下方区画に置くことになる化学遊走物質溶液を調製した。MCP-1は、GBSS + BSAで希釈し、25 ng/mlの最終濃度とした。細胞懸濁液について、これを2つのポットに分割した。1つのポットには、細胞懸濁液に加えたのと同じ最終濃度で、試験化合物を加え、一方、他のポットには、GBSS + BSAと、必要に応じてビヒクル(例えば、1% DMSO以下)とを等量で加えた。
【0088】
下方区画用の溶液中のMCP-1の最終濃度及び上方区画中の細胞の最終濃度を決めるときに、試験化合物を添加するために加えなければならない液体量を考慮する必要があることに留意されたい。
【0089】
下方ウェル用の化学遊走物質溶液及び上方チャンバー用の細胞溶液を調製した後、遊走チャンバーを組み立てなければならない。好適な化学遊走物質溶液の29μlをチャンバーの下方ウェルに入れた。各条件について少なくとも3点測定でアッセイを行う必要がある。下方チャンバーの全てを満たした後、多孔性膜(prous membrane)を製造者の教示に従ってチャンバーに適用した。最後に、好適な細胞溶液の25μlを各上方チャンバーに適用した。蒸発を防ぐために、容器全体をプラスチックの蓋で覆った。
【0090】
組み立てたチャンバーを37℃、5% CO
2で、2時間インキュベートした。GBSS + BSA中での細胞の懸濁液もまた、同一の条件下に、チューブ中でインキュベートした:これらの細胞は、各条件下で下方チャンバーに遊走した細胞数を決定するための曲線を作成するために使用することになる。
【0091】
インキュベーションの最後に、液体細胞懸濁液を、上方チャンバーから静かに除き、20μlの氷冷20 mM EDTAのPBSを上方チャンバーに加え、器具を40℃で15分間インキュベートした。この方法は、望ましくない膜に細胞を接着させ、下方チャンバーに落とすことができる。
【0092】
このインキュベーション後に、フィルターを注意深く、GBSS + BSAでフラッシュし、EDTAを洗い落とし、次いでフィルターを除いた。
【0093】
各条件下で下方チャンバーに遊走した細胞数は、直接的なカウント、蛍光もしくは放射性マーカーによる標識化、又はバイタル色素の使用による、を含む多数の方法によって測定することができる。典型的には、我々は、バイタル色素MTTを使用した。3μlのストックMTT溶液を各ウェルに加え、次いで、プレートを、37℃で、細胞内のデヒドロゲナーゼ酵素が溶解性MTTを分光光度法で定量化できる不溶性ブルーホルマザンに変換する時間である、1〜2時間インキュベートした。
【0094】
並行して、8-点標準曲線を設定した。各上方チャンバーに加えた細胞数(100,000)から開始して、GBSS + BSAで2-倍に段階希釈して濃度を下げ、細胞をプレートに25μlで加え、3μlのMTTストック溶液を加えた。標準曲線プレートを遊走プレートの横でインキュベートした。
【0095】
このインキュベーションの最後に、沈殿したホルマザン生成物を邪魔しないように注意して、下方チャンバーから液体を注意深く除いた。空気乾燥を短時間行った後、ブルー色素を溶解するために、20μlのDMSOを各下方チャンバーに加え、595 nmでの吸収を96-ウェルプレートリーダーを用いて測定した。次いで、各ウェルの吸収を、各下方チャンバー内の細胞数を見積もるために標準曲線に挿入した。
【0096】
MCP-1が25 ng/mlで存在する下方区画に到達した平均細胞数から、MCP-1を加えないウェル中の下方区画に到達した平均細胞数を差し引くことによって、MCP-1刺激遊走を決定した。
【0097】
試験物質の影響は、試験物質の様々な濃度の存在又は非存在下で起こるMCP-1-誘導遊走を比較することによって計算した。典型的には、遊走阻害は、物質の存在によって阻害された総MCP-1誘導遊走のパーセンテージとして表した。ほとんどの物質について、用量-反応グラフは、様々な異なった化合物濃度(典型的には、1nM〜1μMの範囲、又は低活性化合物の場合にはより高い濃度)で起こるMCP-1誘導遊走の阻害を決定することによって作成した。次いで、各化合物の阻害活性は、MCP-1-誘導遊走を50%減少させるために必要な化合物濃度(ED
50濃度)として表した。
【0098】
結果
実施例1〜7の化合物を試験し、この試験では、100 nM以下のED
50を有することが明らかになった。
【0099】
エナンチオ選択性
シリーズの2つの異なったメンバーの内の(アミノラクタム環の3位における)(S)-及び(R)-鏡像異性体を合成して、生物活性がエナンチオ選択性を示すか否かを決定した。
【0100】
MCP-1誘導THP-1細胞遊走のインヒビターとしての化合物各々の用量-応答曲線は、トランスウェル遊走アッセイを用いて決定することができた。
【0101】
In vivoでの抗-炎症剤としての本発明の化合物の適用のためには、2つの鏡像異性体のラセミ混合物又は化合物の純粋な(R)-鏡像異性体よりもむしろ、化合物の純粋な(S)-鏡像異性体を用いることが好ましい。