(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662522
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】無線通信の直交サブチャネルにおける電力制御
(51)【国際特許分類】
H04L 27/18 20060101AFI20150108BHJP
H04J 11/00 20060101ALI20150108BHJP
H04W 52/24 20090101ALI20150108BHJP
【FI】
H04L27/18 Z
H04J11/00 A
H04W52/24
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-126912(P2013-126912)
(22)【出願日】2013年6月17日
(62)【分割の表示】特願2010-502110(P2010-502110)の分割
【原出願日】2008年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-225900(P2013-225900A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2013年7月17日
(31)【優先権主張番号】60/909,006
(32)【優先日】2007年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596008622
【氏名又は名称】インターデイジタル テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラバカール アール.チトラプ
(72)【発明者】
【氏名】ベロウズ アギリ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ジー.ディック
【審査官】
彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−312231(JP,A)
【文献】
米国特許第04736170(US,A)
【文献】
D. A. Hill, et al.,Carrier detection of unbalanced QPSK direct sequence signals,Military Communications Conference Proceedings, 1999. MILCOM 1999. IEEE,米国,1999年,Vol. 1,Pages 437 - 441
【文献】
NOKIA,Voice Capacity Evolution with Orthogonal Sub Channel,3GPP TSG GERAN #33, GP-070214,KR,2007年 2月,Pages 1 - 8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/18
H04J 11/00
H04W 52/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の物理リソース上で複数のユーザに対する送信を多重化する方法において、
第1の無線送受信ユニット(WTRU)および第2のWTRUへ送信されることになるデータを処理するステップと、
前記データを、同一のタイムスロットの中で同一の物理リソースを使用して、前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUへ送信するステップであって、前記第1のWTRUは、同相サブチャネルおよび直交サブチャネルの第1のものに割り当てられ、前記第2のWTRUは、前記同一の物理リソース上で前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネルの第2のものに割り当てられ、前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネル上の送信電力は、独立に制御される、送信するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネルの間の前記送信電力の比は、所定の範囲内に制限されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネル上の前記送信電力は、各サブチャネル上の信号電力レベル、雑音レベル、および干渉レベルの少なくとも1つに基づいて、適応的に制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記同一の物理リソースに割り当てられた前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUは、前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUのチャネル状態に基づいて、選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記同一の物理リソースに割り当てられた前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUは、前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUの所要電力レベルに基づいて、選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
目標電力値が前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネルに対して、それぞれ、設定され、前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネルの間の電力バランスを支えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のWTRUを、他の物理リソースに再割り当てするステップと、
第3のWTRUを、前記第2のWTRUが割り当てられていたサブチャネルに割り当てるステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記物理リソースは、時分割多重アクセス(TDMA)リソースであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
同一の物理リソース上で複数のユーザに対する送信を多重化する装置において、
第1の無線送受信ユニット(WTRU)および第2のWTRUへ送信されることになるデータを処理し、前記データを、同一のタイムスロットの中で同一の物理リソースを使用して、前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUへ送信するよう構成されたプロセッサであって、前記第1のWTRUは同相サブチャネルおよび直交サブチャネルの第1のものに割り当てられ、前記第2のWTRUは、前記同一の物理リソース上で前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネルの第2のものに割り当てられ、前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネル上の送信電力は、独立に制御されるようさらに構成されたプロセッサ
を備えたことを特徴とする装置。
【請求項10】
前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネルの間の前記送信電力の比は、所定の範囲内に制限されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネル上の前記送信電力は、各サブチャネル上の信号電力レベル、雑音レベル、および干渉レベルの少なくとも1つに基づいて、適応的に制御されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記同一の物理リソースに割り当てられた前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUは、前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUのチャネル状態に基づいて、選択されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記同一の物理リソースに割り当てられた前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUは、前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUの所要電力レベルに基づいて、選択されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネルに対して、それぞれ、目標電力値が設定され、前記同相サブチャネルおよび前記直交サブチャネルの間の電力バランスを支えることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記第2のWTRUは、他の物理リソースに再割り当てされ、第3のWTRUは、前記第2のWTRUが割り当てられていたサブチャネルに割り当てられることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記物理リソースは、時分割多重アクセス(TDMA)リソースであることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
直交サブチャネル(OSC:Orthogonal Sub−channel)の概念と、GSM EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN:GSM EDGE Radio Access Network)セルの音声容量を増大させるために直交サブチャネルをどのように使用できるかが、他の者たちによって開示されている(GSMはモバイル用グローバルシステム(Global System for Mobile)であり、EDGEは広域展開用増強データレート(Enhanced Data rates for Global Evolution)である)。OSC方式では、基地局(BS)は、ダウンリンク用に4相シフトキーイング(QPSK:Quadrature Phase−Shift Keying)変調を使用し、この変調は、2人のユーザからの音声データを多重化する。多重化は、ガウシアン最小シフトキーイング(GMSK:Gaussian Minimum Shift Keying)を使用する従来の移動局(MS)がそれぞれのデータを受信できるように行われる。
【0003】
一例として、
図1は、8相シフトキーイング(8PSK:Eight Phase Shift Keying)コンスタレーション(constellation)のサブセットとして選択されたQPSKコンスタレーションを示している。最上位ビット(MSB:most significant bit)と最下位ビット(LSB:least significant bit)が、2つの「直交」サブチャネルIおよびQを定義し、これらのビットは、(OSC0,OSC1)として表される。各サブチャネルは、DL方向において、2人のユーザの音声信号を伝送する。GMSKのみに対応したMSは、個々のサブチャネルを検出することができる。
【0004】
これらの先行するOSC案は、ダウンリンク電力制御が最も弱いリンクの状態を基準として使用できることも規定する。例えば、そのような手法では、より弱い直交サブチャネルがIである場合、電力制御は、サブチャネルIが最小許容電力レベルを達成するまで、サブチャネルIおよびQの両方が等しく増加されるように調整される。この手法は、QPSKコンスタレーションの形状を円形に維持し、4つのコンスタレーション点のすべてを等距離に保ち、それが最良の受信機復号結果をもたらす最大のセパレーションを提供するという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この手法の難点は、最も弱いリンクではないサブチャネル(すなわち、この例ではサブチャネルQ)において、必要とするより大きな電力が使用されることである。結果として、サブチャネル間の干渉が増大してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マルチユーザ通信用の方法および装置は、ユーザに指定された各サブチャネルに対する独立した電力制御を含む。修正QPSK変調マッピング(modified QPSK modulation mapping)が、2人のユーザに対して実行され、各ユーザは、直交サブチャネルに割り当てられる。この電力制御方法は、各サブチャネルにおける送信電力と、各サブチャネル間の干渉を最小化する。
【0007】
より詳細な理解は、例として与えられ、添付の図面と併せて理解される、好ましい実施形態についての以下の説明から得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明により、各サブチャネルにおける送信電力と、各サブチャネル間の干渉を最小化する電力制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】8相シフトキーイング(8PSK)コンスタレーションのサブセットとして選択され、直交サブチャネルを定義する、QPSKコンスタレーションを示す図である。
【
図2】ダウンリンク信号の直交サブチャネル電力制御を用いる無線通信のブロック図である。
【
図3A】独立電力制御を用いる修正QPSK変調用の直交サブチャネルIおよびQコンスタレーションを示す図である。
【
図3B】独立電力制御を用いる修正QPSK変調用の直交サブチャネルIおよびQコンスタレーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
これ以降言及される場合、「無線送受信ユニット(WTRU)」という用語は、限定することなく、ユーザ機器(UE)、移動局、固定もしくは移動加入者ユニット、ページャ、セルラ電話、携帯情報端末(PDA)、コンピュータ、または無線環境で動作可能な他の任意のタイプのユーザデバイスを含む。これ以降言及される場合、「基地局」という用語は、限定することなく、ノードB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、または無線環境で動作可能な他の任意のタイプのインタフェースデバイスを含む。
【0011】
図2は、第1の実施形態の方法を実行するように構成されたプロセッサ202を含む、基地局201を示している。プロセッサ202は、通信ネットワーク231経由のユーザ251、252からのデータを処理して、無線ダウンリンク信号215上でWTRU 211およびWTRU 221に送信する。ダウンリンク信号215の容量を増大させるため、プロセッサ202によって無線リソースをマップすることができ、それによって、同じタイムスロットで送信される2人のユーザ251、252からの音声またはデータ信号は、対象とする受信機WTRU 211、221によって個別に検出することができる。修正QPSK変調は、直交サブチャネルIおよびQを使用するダウンリンク信号215に適用される。
【0012】
図3Aおよび
図3Bは、修正QPSK変調に従って、直交サブチャネルIおよびQをマップするためのコンスタレーションの例を示しており、電力制御は、各サブチャネルIおよびQにおいて独立に調整される。
図3Aでは、コンスタレーション301は、サブチャネルI上で独立に上方へ電力調整を行い、サブチャネルQにはゼロ電力調整を適用した結果、Q軸に沿った長方形である。あるいは、サブチャネルIにおける電力制御調整の増加分がサブチャネルQにおける増加分よりも相対的に大きいのであれば、Qサブチャネル上で何らかの電力制御調整を独立に行うこともできる。
【0013】
反対に、
図3Bでは、コンスタレーション302は、I軸に沿った長方形であり、これは、独立の電力制御調整の増加分が、サブチャネルIよりもサブチャネルQでより大きい場合の結果である。
【0014】
または、サブチャネルIおよびQのどちらかを減少させる電力制御調整を行うこともできる。
【0015】
適応電力制御は、修正QPSK変調の長方形コンスタレーションが、サブチャネルIに関する独立の電力制御パラメータαとサブチャネルQに関する独立の電力制御パラメータβに従って変化し得るように、サブチャネルIおよびQに独立に適用される。例えば、この実施形態による修正QPSKの4つのコンスタレーション点は、表1に示されるように表すことができる。
【0017】
電力制御パラメータαおよびβは、以下の限界内で設定される定数であり、
0<α≦1
0<β≦1
ここで、αおよびβは、0に接近し過ぎないように保たれる。これらのパラメータαおよびβは、2つの直交サブチャネルIおよびQ信号各々の相対電圧振幅を表し、ここで、αは、サブチャネルIの電力P
Iの平方根に比例し、βは、サブチャネルQの電力P
Qの平方根に比例する。2つのサブチャネルIおよびQについて送信される総電力がPに等しい場合、サブチャネルIの電力P
Iは、以下のように、すなわち、
P
I=α
2P
になり、サブチャネルQの電力P
Qは、
P
Q=β
2P
になる。
【0018】
実際的な実装上の問題が、α/βの比率が限界内に収まるように制約することがある。例えば、この比率の1つの範囲は、
【0020】
とすることができ、これは、2つのサブチャネルIおよびQの間の相対電力が4以上、すなわち等価的に6dB以上になるべきではないという実際的な制約を表す。正確な制約は、アナログ/デジタル変換プロセス(analog to digital process)の量子化分解能(quantization resolution)を含むが、それに限定されない、実際的な実装上の問題によって決定される。
【0021】
したがって、
図3Aおよび
図3Bに示されたコンスタレーション例は各々、選択された電力制御パラメータに依存する、多くの可能なバリエーションのうちの1つを示している。プロセッサ202は、典型的な電力制御フィードバック方式に従って、検出された受信チャネル品質に応じて、電力制御パラメータαおよびβを決定する。1つの例は、WTRU 211のプロセッサ212が、受信信号215において多重誤り(multiple error)を検出したと判定し、それに応答して、チャネル品質インジケータ(CQI:channel quality indicator)を基地局201に報告しようと決定することを含む。CQIに基づいて、基地局201のプロセッサ202は、WTRU 211に割り当てられたサブチャネルIにおいて独立に電力を増加させる電力制御パラメータαを選択する。
【0022】
開ループベースの方式または閉ループベースの方式を含む様々な電力制御技法が、直交サブチャネルIおよびQに適用できる。また、電力制御適応のタイムスケールは、最適に選択することができる。電力制御適応の基準は、任意の組み合わせで、信号電力レベル、雑音レベル、または干渉レベルを含むことができる。
【0023】
電力制御適応の基準は、ダイナミックレンジ問題を考慮することもできる。例えば、WTRU 211などの受信機が著しく異なる電力レベルで到着した2つの信号を処理しなければならない場合に発生し得る、よく知られた信号捕捉問題(signal capture problem)を防止するために、2つのサブチャネルIおよびQが電力レベルにおいて十分に近いことを保証するような対策がとられる。特に、捕捉問題は、WTRU 211受信機において、受信サブチャネルIおよびQの間の大きな電力レベルオフセットによってA/D変換器のダイナミックレンジが影響され得るA/D変換中に発生し得る。電力レベルの適切なバランスの維持は、単独または組み合わせて用いられる以下の2つの技法によって、すなわち、(1)スケジューリングおよびチャネル割り当てプロセス中に、必要送信電力レベルに過度な相違のある2つのサブチャネルIおよびQを、WTRU 211および221に割り当てることを回避する技法と、(2)個々の目標電力レベルを、適切なバランスをサポートする値に設定する技法によって達成することができる。任意選択的に、移動局のための増強ダイナミックレンジ能力を指定する(すなわち、A/D変換器においてビット数を増やす)ことによって、付加的なより大きなダイナミックレンジを達成することもできる。
【0024】
基地局201によって適用されるOSC変調の一部として、基地局201またはそれが属する基地局システム(BSS:Base Station System)が現在のチャネル状態に基づいて多重化を動的に変更できるリンク適応が、受信機WTRU 211およびWTRU 221を多重化するために実行される。例えば、WTRU 211が基地局201の非常に近くに位置し、WTRU 221が基地局201から相対的に遠くに位置し、サブチャネルが同じタイムスロットに多重化されるシナリオを取り上げる。内部閾値と履歴(hysteresis)を使用して、基地局201は、多重化タイムスロットからWTRU 221の情報を割り当て直し、代わりにWTRU 211の情報を基地局201のより近くに位置している別のWTRUの情報と多重化することを選択することができる。これは、「パッキング/アンパッキング(Packing/Unpacking)」などの手順を利用する、単純なセル内ハンドオーバ(Intra−Cell Handover)手順によって達成することができる。代替的な選択肢として、基地局201は、WTRU 221を別のタイムスロットの単独ユーザとして有することを選択することができる。
【0025】
上で説明された修正QPSK変調方法は、以下のようにパケット交換(PS:packet−switched)ドメインに関係する。PSドメインでは、データは、パケットデータチャネル(PDCH:Packet Data Channel)などのチャネル上で交換される。PDCHの一例は、単一搬送波内のタイムスロットである。タイムスロットは、各々がデータの1つまたは複数のビットを伝送する多数の変調シンボルで構成される、無線バースト(radio burst)を伝送する。これらのビットのすべてがPDCHに属する。本発明との関連では、ダウンリンクの各シンボルに関連するビットは、WTRU 211およびWTRU 221などの多数のユーザに割り当てられる。例えば、修正QPSKのMSBおよびLSB(すなわち(MSB,LSB))は、以下のように、すなわち、MSBはWTRU 211に、LSBはWTRU 221に割り当てられる。それに対応して、アップリンクでは、WTRU 211およびWTRU 221は、同じタイムスロットおよび同じ搬送波周波数で送信するが、異なる(好ましくは直交する)トレーニング系列を使用する。この実施形態では、PDCHの定義は、本明細書で直交PDCH(O−PDCH)と呼ばれる、そのような直交サブチャネルにまで拡張される。上の例では、ダウンリンクおよびアップリンクの両方において、2つの直交サブチャネルに関して、2つのO−PDCHが定義される。
【0026】
この実施形態の実施として、WTRU 211またはWTRU 221は、ダウンリンクにおいて、直交サブチャネルIまたはQを使用して、パケットタイミング制御チャネル(PTCCH:Packet Timing Control Channel)を受信することができる。これの1つの利点は、基地局201が、PTCCH用に別個のチャネルを割り当て、PTCCH送信のために利用可能な機会ができるまで、PTCCH情報の送信を遅延させる必要がないことである。代わりに、PTCCH情報は、IおよびQサブチャネルで直ちに伝送し、WTRU 211、221によって遅延なく受信することができる。WTRU 211、221によるアップリンク送信の場合、(例えば、WTRU 211、221が従来のデバイスである場合)通常のPDCHが使用できる。代替として、O−PDCHが、アップリンク用に定義され、それによって、サブチャネルIおよびQの各々が、異なるデータストリームを伝送することができ、または一方のサブチャネルが、データ情報を伝送し、他方が、音声または制御情報を伝送することもできる。
【0027】
2つ以上のタイムスロットから構成されるO−PDCHでは、1つまたは複数のタイムスロットが、直交サブチャネルIおよびQを伝送することができ、一方、他のタイムスロットは、通常のPDCHチャネルをサポートする。
【0028】
ダウンリンク215において、WTRU 221から多重化されたWTRU 211を一意的に識別するため、基地局201は、サブチャネルIおよびQを使用して、それぞれWTRU 211およびWTRU 221に2つの異なる情報ブロックを送信することができる。同じタイムスロット内では、各情報ブロックは、サブチャネルIまたはQに対応する一時フロー識別(TFI:Temporary Flow Identity)をヘッダ内に含む。
【0029】
アップリンク225の信号内では、WTRU 211は、アップリンク状態フラグ(USF:uplink state flag)パラメータおよび/またはTFIに基づいたリソースのスケジューリングによって、WTRU 221から一意的に識別することができる。リソースのスケジューリングは、2つの異なるUSF値を、一方の値を各サブチャネルで、WTRU 211およびWTRU 221に送信するために、直交サブチャネルIおよびQを使用して、基地局201によって実行することができる。WTRU 211およびWTRU 221は、アップリンクにおいて情報を送信する場合、対応するTFIの一意的なマッピングとサブチャネル番号(例えば0または1)によって一意的に識別される。基地局プロセッサ202は、WTRU 211およびWTRU 221の信号の一意的な識別を可能にする、一意的なTFIとサブチャネル番号を受信アップリンクにおいて検出する。
【0030】
最後に、リンク適応は、様々な変調および符号化方式(MCS:modulation and coding scheme)クラスの間で適応的に変更することによって、各O−PDCHに適用することができる。信頼性の高いデータ送信のために、増加的冗長性(incremental redundancy)を伴う自動再送要求(ARQ:Automatic Repeat Request)と、伴わない自動再送要求が適用できる。
【0031】
QPSK変調に関して実施形態が説明されたが、他の可能な変形は、電力制御パラメータ選択および調整によるサブチャネルの独立電力制御をコンスタレーションが反映できる、8PSK、16QAM、および32QAMを含むが、それらに限定されない、より高次の変調を利用することができる。
【0032】
実施形態
1.無線通信における電力制御のための、基地局によって実施される方法であって、
通信用のダウンリンクチャネル内に少なくとも2つの直交サブチャネル(OSC)を確立するステップと、
各サブチャネルにおける送信電力を独立に制御するステップと
を備える方法。
2.前記送信電力制御は、適応的に実行される実施形態1に記載の方法。
3.送信電力を制御する前記ステップは、信号電力レベル、雑音レベル、または干渉レベルの少なくとも1つを含む基準を使用して適応的に実行される実施形態1または2に記載の方法。
4.第1の無線送受信ユニット(WTRU)のための情報と第2のWTRUのための情報とをダウンリンク信号の共通タイムスロット上で多重化するステップであって、その際、第1のOSCは前記第1のWTRUに割り当てられ、第2のOSCは前記第2のWTRUに割り当てられるステップと、
チャネル状態を監視するステップと、
前記第2のWTRUのための前記情報を前記多重化共通タイムスロットから別のタイムスロットに割り当て直すステップと
をさらに備える実施形態1〜3のいずれかに記載の方法。
5.第3のWTRUが、前記第2のWTRUよりも前記基地局のより近くに位置し、前記第2のWTRUのための前記情報の前記割り当て直しに続いて、前記第1のWTRUのための情報を第3のWTRUの情報と多重化するステップをさらに含む実施形態4に記載の方法。
6.OSCが、パケット交換(PS)ドメインにおけるデータ交換のために使用される実施形態1〜5のいずれかに記載の方法。
7.前記OSCは、パケットデータチャネル(PDCH)として使用され、直交パケットデータチャネル(O−PDCH)として定義される実施形態6に記載の方法。
8.前記PDCHは、単一搬送波内のタイムスロットを含む実施形態6または7に記載の方法。
9.OSCが、ダウンリンク方向においてパケットタイミング制御チャネル(PTCCH)として使用され、前記OSCは、アップリンク方向においてPDCHとして使用される実施形態6〜8のいずれかに記載の方法。
10.OSCが、ダウンリンク方向においてパケットタイミング制御チャネル(PTCCH)として使用され、通常のPDCHが、アップリンク方向において使用される実施形態8に記載の方法。
11.前記O−PDCHは、2つ以上のタイムスロットを含み、
直交サブチャネルIおよびQを伝送する少なくとも1つのタイムスロットと、PDCHチャネルをサポートする他のタイムスロットと
をさらに含む実施形態7〜10のいずれかに記載の方法。
12.アップリンクにおいて第1のWTRUと第2のWTRUを一意的に識別するための、基地局によって実施される方法であって、
2つの異なる情報ブロックを前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUに送信するためにダウンリンクにおいて直交サブチャネルIおよびQを使用するステップであって、各ブロックは、対応する一時フロー識別(TFI)を含む、ステップと、
前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUに割り当てられた前記サブチャネルを識別する番号を有する対応するTFIの一意マッピングによって、前記アップリンクにおいて前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUの各々を別々に識別するステップと
を含む方法。
13.前記ダウンリンクにおいて直交サブチャネルを使用して、アップリンク状態フラグ(USF)の2つの異なる値を前記WTRUに送信することによって、前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUに対してリソースをスケジューリングするステップをさらに含む実施形態12に記載の方法。
14.様々な変調および符号化方式(MCS)クラスの間で適応的に変更することによって、各PDCHをリンクするステップをさらに含む実施形態12または13に記載の方法。
15.通信用チャネル内に少なくとも2つの直交サブチャネル(OSC)を確立するように構成され、それによって、送信電力が各サブチャネルにおいて独立に制御されるようにする、プロセッサ
を含む基地局。
16.前記プロセッサは、適応的電力制御を実行するように構成される実施形態15に記載の基地局。
17.前記適応的電力制御は、信号電力レベル、雑音レベル、または干渉レベルの少なくとも1つを含む基準を使用して実行される実施形態15または16に記載の基地局。
18.前記プロセッサは、
第1の無線送受信ユニット(WTRU)のための情報と第2のWTRUのための情報とをダウンリンク信号の共通タイムスロット上で多重化し、その際、第1のOSCは前記第1のWTRUに割り当てられ、第2のOSCは前記第2のWTRUに割り当てられるようにし、
チャネル状態を監視し、
前記第2のWTRUのための情報を前記多重化共通タイムスロットから別のタイムスロットに割り当て直す
ように構成された実施形態15〜17のいずれかに記載の基地局。
19.第3のWTRUが前記第2のWTRUよりも前記基地局のより近くに位置している場合、前記プロセッサは、前記ダウンリンク信号上で前記第1のWTRUを前記第3のWTRUと多重化するように構成される実施形態18に記載の基地局。
20.OSCが、パケット交換(PS)ドメインにおけるデータ交換のために使用される実施形態15〜19のいずれかに記載の基地局。
21.前記OSCは、パケットデータチャネル(PDCH)として使用され、直交パケットデータチャネル(O−PDCH)として定義される実施形態20に記載の基地局。
22.前記PDCHは、単一搬送波内のタイムスロットを含む実施形態20または21に記載の基地局。
23.前記プロセッサは、ダウンリンク方向においてOSCをパケットタイミング制御チャネル(PTCCH)として使用し、アップリンク方向においてOSCをPDCHとして受信する実施形態22に記載の基地局。
24.前記プロセッサは、ダウンリンク方向においてOSCをパケットタイミング制御チャネル(PTCCH)として使用し、アップリンク方向においてPDCHを受信する実施形態22に記載の基地局。
25.前記プロセッサは、2つ以上のタイムスロットを含むように前記O−PDCHを定義し、直交サブチャネルIおよびQを伝送するための少なくとも1つのタイムスロットを定義する一方で、通常のPDCHチャネルをサポートするように他のタイムスロットを定義する実施形態21〜24のいずれかに記載の基地局。
26.アップリンク(UL)およびダウンリンク(DL)の両方において第1のWTRUおよび第2のWTRUを一意的に識別するように構成され、それによって、2つの異なる情報ブロックが、ダウンリンクにおいてOSCを使用して前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUに送信され、各ブロックは、前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUに割り当てられた前記サブチャネルを識別する番号を有する対応する一時フロー識別(TFI)の一意マッピングによって、前記アップリンクにおいて前記第1のWTRUおよび前記第2のWTRUが一意的に識別されるように、対応するTFIを含む、プロセッサ
を含む基地局。
27.前記プロセッサは、様々な変調および符号化方式(MCS)クラスの間で適応的に変更することによって、各PDCHをリンクするように構成された実施形態26に記載の基地局。
【0033】
上では特徴および構成要素が特定の組み合わせで説明されたが、各特徴または構成要素は、他の特徴および構成要素を伴わずに単独で使用することができ、または他の特徴および構成要素を伴うもしくは伴わない様々な組み合わせで使用することができる。本明細書で提供された方法またはフローチャートは、汎用コンピュータまたはプロセッサによる実行のための、コンピュータ読取り可能記憶媒体内に含まれる、コンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアで実施することができる。コンピュータ読取り可能記憶媒体の例は、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよび着脱可能ディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、ならびにCD−ROMディスクおよびデジタル多用途ディスク(DVD)などの光媒体を含む。
【0034】
適切なプロセッサは、一例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、他の任意のタイプの集積回路(IC)、および/または状態機械を含む。
【0035】
ソフトウェアと連携するプロセッサは、無線送受信ユニット(WTRU)、ユーザ機器(UE)、端末、基地局、無線ネットワークコントローラ(RNC)、または任意のホストコンピュータで使用される無線周波トランシーバを実施するために使用することができる。WTRUは、カメラ、ビデオカメラモジュール、ビデオフォン、スピーカフォン、バイブレーションデバイス、スピーカ、マイクロフォン、テレビトランシーバ、ハンズフリーヘッドセット、キーボード、Bluetooth(登録商標)モジュール、FMラジオユニット、液晶表示(LCD)ディスプレイユニット、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイユニット、デジタル音楽プレーヤ、メディアプレーヤ、ビデオゲームプレーヤモジュール、インターネットブラウザ、および/または任意の無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)もしくは超広帯域(UWB)モジュールなどの、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実施されるモジュールと併せて使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、一般的に無線通信システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
201 基地局
211、221 WTRU
231 ネットワーク
251、252 ユーザ