特許第5662555号(P5662555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5662555回転スピンドルでクランプチャックをセンタリングするためのセンタリング装置、およびこれに付属するロック装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662555
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年1月28日
(54)【発明の名称】回転スピンドルでクランプチャックをセンタリングするためのセンタリング装置、およびこれに付属するロック装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/12 20060101AFI20150108BHJP
   B23B 31/02 20060101ALI20150108BHJP
【FI】
   B23Q3/12 A
   B23B31/02 C
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-501735(P2013-501735)
(86)(22)【出願日】2011年3月16日
(65)【公表番号】特表2013-523465(P2013-523465A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2011054000
(87)【国際公開番号】WO2011120811
(87)【国際公開日】20111006
【審査請求日】2013年9月5日
(31)【優先権主張番号】102010041054.3
(32)【優先日】2010年9月20日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】202010014139.7
(32)【優先日】2010年4月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506117714
【氏名又は名称】シュンク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト スパン−ウント グライフテクニック
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一
(72)【発明者】
【氏名】シュレイダー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ホルシュタイン アレクサンダー
【審査官】 村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第01/076815(WO,A1)
【文献】 国際公開第01/076814(WO,A1)
【文献】 特開昭63−074508(JP,A)
【文献】 特開平10−071512(JP,A)
【文献】 実開平06−039339(JP,U)
【文献】 実開平03−019608(JP,U)
【文献】 特開平08−090315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/00 − 31/39
B23Q 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の回転スピンドル(12)の取り付け区域(16)でクランプチャック(14)をセンタリングするためのセンタリング装置(100)において、前記取り付け区域(16)にはクランプチャック(14)側の対応テーパ区域(35)と対応するテーパ区域(33)が設けられており、それにより前記テーパ区域(33)および/または前記対応テーパ区域(35)が軸方向で弾性的に可撓に構成されており、それにより前記対応テーパ区域(35)に前記テーパ区域(33)が当接した後に前記クランプチャック(14)が軸方向力に基づいて少なくとも限定的にさらに軸方向へ変位可能であり、それは前記クランプチャック(14)が定義されたストッパ(114)に当接するまで行われ、
前記テーパ区域(33)および/または前記対応テーパ区域(35)は互いに平行に延びる環状に構成された壁部区域(102)により形成され、且つ
それぞれの前記壁部区域(102)の上面と下面(106および108)は断面で見て中心長軸(31)に向かって楔形に延びるように構成されていることを特徴とするセンタリング装置(100)。
【請求項2】
それぞれの前記壁部区域(102)の間隔(a)とその半径方向長さ(b)との比率は1より小さく、好ましくは1:2から1:8の範囲内にあり、好ましくは1:3から1:5の範囲内にあることを特徴とする、請求項に記載のセンタリング装置(100)。
【請求項3】
それぞれの前記壁部区域(102)の上面(106)と下面(108)は5°から20°の範囲内、好ましくは8°から12°の範囲内、さらに好ましくは10°の楔角(α)をなしていることを特徴とする、請求項に記載のセンタリング装置(100)。
【請求項4】
それぞれの前記壁部区域の前記上面(106)と前記下面(108)は中心長軸に対して垂直に延びるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンタリング装置(100)。
【請求項5】
前記テーパ区域(33)ないし前記対応テーパ区域(35)は平行に重なって位置するディスクプレート(116)により形成され、その自由端面(118)が前記対応テーパ区域(35)ないし前記テーパ区域(33)に当接することが意図され、前記ディスクプレート(116)はそれ自体としてそれぞれ環状に構成されており、中央の穴を有していることを特徴とする、請求項1〜のうちいずれか1項に記載のセンタリング装置(100)。
【請求項6】
個々の前記ディスクプレート(116)は0.1mmから1mmの範囲内、好ましくは0.3mmから0.7mmの範囲内、さらに好ましくは約0.5mmの厚みを有していることを特徴とする、請求項に記載のセンタリング装置(100)。
【請求項7】
設けられる前記ディスクプレート(116)の枚数は5から20の範囲内、好ましくは8から15の範囲内、さらに好ましくは10から12の範囲内であることを特徴とする、請求項5または6に記載のセンタリング装置(100)。
【請求項8】
機械の回転スピンドル(12)の取り付け区域(16)にクランプチャック(14)をロックするためのロック装置(10)において、請求項1〜のうちいずれか1項に記載のセンタリング装置を有しており、前記取り付け区域(16)にはロック位置のときに軸方向に作用する引込力によって前記クランプチャック(14)を前記取り付け区域(16)に向かって付勢するロック手段(66)が設けられているロック装置(10)
【請求項9】
前記ロック手段(66)はクランプスライダとして構成されており、これらのクランプスライダは回転部材(46)を介して相互に運動結合されており、それにより前記回転部材(46)が回転すると前記クランプスライダが半径方向位置を変えて、前記取り付け区域(16)に前記クランプチャック(14)をロックするための半径方向外側または半径方向内側のロック位置へと変位可能であるようになっていることを特徴とする、請求項に記載のロック装置(10)。
【請求項10】
前記取り付け区域(16)はチャック収容区域(44)を有しており、回転チャック(14)は前記チャック収容区域(44)へ挿入するためのクランプ区域を有しており、前記ロック手段(66)および/または前記クランプ区域(34)は引込斜面を有しており、それにより前記ロック手段(66)がロック位置へ変位すると前記クランプチャック(14)が前記取り付け区域(16)に向かって付勢されるようになっていることを特徴とする、請求項8または9に記載のロック装置(10)。
【請求項11】
回転部材(46)を回転させるために、前記回転部材(46)と運動結合され、前記回転部材(46)に対して接線方向に変位可能な、調節ねじ(50)を介して操作可能である制御手段(48)が設けられていることを特徴とする、請求項9または10に記載のロック装置(10)。
【請求項12】
回転部材(46)は制御曲面(68)ないし制御カムを含んでおり、前記ロック手段(66)は前記制御曲面(68)ないし前記制御カムと対応する制御カム(72)ないし制御曲面を有していることを特徴とする、請求項9,10または11に記載のロック装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に機械の回転スピンドルの取り付け区域でクランプチャックをセンタリングするためのセンタリング装置に関する。さらに本発明は、これに付属するロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クランプチャックでは、加工されるべき工作物がクランプされる。加工されるべき工作物の種類に応じて、さまざまに異なるクランプチャックを機械に設け、ないしはこれを取り替えることが必要になる場合がある。本発明により、一方では確実なセンタリングを可能にするとともに、他方では回転スピンドルへのクランプチャックの定義された当接を可能にする、特に回転スピンドルの取り付け区域でクランプチャックをセンタリングするためのセンタリング装置を提案することが意図される。
【0003】
センタリング装置としては、たとえばテーパ部とこれに付属する対応テーパ部が知られている。しかしテーパ部と対応テーパ部を設けることは、テーパ部と対応テーパ部とのテーパ面が互いに当接したときに、特にスピンドル側のストッパへのクランプチャックの平坦な当接が可能になるのは、そもそもそれが可能であるとしても、テーパ区域ないしクランプチャックとこれに付属するストッパとの正確なアライメントが実現される場合に限られるという欠点がある。このことは実際上は可能にするのが難しいため、公知のシステムは通常は幾何学的に余剰寸法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1275468号
【特許文献2】欧州特許第1295675号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べた種類のセンタリング装置を提供することであり、幾何学的な余剰寸法が排除されるとともに、たとえば回転スピンドルにクランプチャックが確実な機能で、かつ高い繰り返し精度で配置される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の構成要件を備えるセンタリング装置によって解決される。
【0007】
すなわち本発明によるセンタリング装置は、取り付け区域にはクランプチャック側の対応テーパ区域と対応するテーパ区域が設けられており、それによりテーパ区域および/または対応テーパ区域が軸方向で弾性的に可撓に構成されており、それにより対応テーパ区域にテーパ区域が当接した後にクランプチャックが軸方向力に基づいて少なくとも限定的にさらに軸方向へ変位可能であり、それはクランプチャックが特に取り付け区域側のストッパに当接するまで行われることを特徴としている。決定的に重要なのは、クランプチャックと取り付け区域が互いに接近運動するときに、クランプチャックが取り付け区域に当接する前に、テーパ区域が対応テーパ区域と接触することである。テーパ区域および/または対応テーパ区域の可撓性に基づき、クランプチャックがロックされるときにこれが軸方向に撓むことができ、それによって取り付け区域ないし回転スピンドルのストッパへの、回転チャックの定義された完全な当接を実現することができ、幾何学的な余剰寸法が生じることがない。特に、クランプチャックは対応するストッパに均等に当接することができる。
【0008】
しかしながら本発明は、回転式のクランプチャックだけに限定されるものではなく、定置のシステムも対象としている。
【0009】
このときと取り付け区域は、特に回転スピンドルのようなコンポーネントまたはモジュールによって直接形成されていてよく、または、コンポーネントもしくは回転スピンドルに配置された取り付け装置によって形成されていてよい。
【0010】
テーパ区域および/または対応テーパ区域は互いに平行に延びる環状に構成された壁部区域によって形成されるのが好ましい。このとき壁部区域は、接合方向に対して実質的に横向きに延びる平面に位置しているのが好ましい。このとき壁部区域は、それぞれ付属のコンポーネントと一体的に結合されていてよい。特に、壁部区域は切込みによって具体化されていてよい。
【0011】
それぞれの壁部区域の間隔とその半径方向長さとの比率は1より小さいのが好ましく、好ましくは1:2から1:8の範囲内にあり、好ましくは1:3から1:5の範囲内にある。このような比率に基づき、テーパ区域および/または対応テーパ区域の限定された弾性的な可撓性を実現することができる。これは特に、各区域が金属材料でできている場合である。余剰寸法を排除するためには、1/100mmから1/10mmの範囲内の弾性的な可撓性があれば十分であることが判明している。
【0012】
さらに、それぞれの壁部区域の上面と下面が断面で見て中心長軸に向かって楔形に延びるように構成されていると好ましい場合がある。楔形は、半径方向内側に位置している壁部区域の領域が比較的小さい材料厚みを有しており、それによって弾性的な可撓性が増すという利点がある。
【0013】
このとき、それぞれの壁部区域が5°から20°の範囲内、好ましくは8°から12°の範囲内、さらに好ましくは10°の範囲内の楔角をなしていると好ましい。このような角度範囲は好都合な弾性特性につながることが判明している。
【0014】
上記の追加または代替として、それぞれの壁部区域の上面または下面は中心軸に対して垂直に延びるように配置されることが考えられる。その帰結としても、壁部区域の良好な弾性変形性につながる幾何学的に好都合な比率が得られる。
【0015】
本発明のさらに別の構成では、テーパ区域ないし対応テーパ区域は平行に重なって位置するディスクプレートにより形成されることが考えられ、その半径方向外側に位置している自由端面が、対応テーパ区域ないしテーパ区域に当接することが意図される。互いに重なって位置するディスクプレートに基づき、これらのディスクプレートはロック位置のときにほぼ平行に弾性的に撓んで変形する。ディスクプレートの比較的小さい厚みに基づき、弾性的な可撓性が軸方向で保証され、半径方向では非常に高い剛性が与えられる。この意味で、それによって高い半径方向の剛性を、それにもかかわらず好都合な軸方向の可撓性で実現できるという利点がある。
【0016】
ディスクブレーキを配置するとき、テーパ状の外套面を得るために、下側または上側のディスクプレートの外径を、上側または下側のディスクプレートの外径よりも小さくすることが必要である。そして、一番上と一番下のディスクプレートの間に位置するディスクプレートは、わずかに増加または減少していく外径を有しており、その結果、全体としてテーパ状の外套面が生じることになる。正確にテーパ状の外套面を得るために、ディスクプレートの外側に位置する自由端面を後加工することが考えられる。
【0017】
個々のディスクプレートは0.1mmから1.5mmの範囲内、特に0.3mmから0.7mmの範囲内、さらには特に約0.5mmの厚みを有しているのが好ましい。
【0018】
さらに、設けられるディスクプレートの枚数は5から20の範囲内、好ましくは8から15の範囲内、さらに好ましくは10から12の範囲内である。
【0019】
ディスクプレートはそれ自体としてそれぞれ環状に構成されており、各ディスクプレートを保持するためのボルトが中に係合する中央の穴を有している。そして個々のディスクプレートはそれぞれ異なる直径を有しており、これらの直径はテーパの方向でそれぞれ減少または増加していく。
【0020】
冒頭に述べた課題は、本発明によるセンタリング装置を有する、特に機械の回転スピンドルの取り付け区域にクランプチャックをロックするためのロック装置によっても解決され、取り付け区域には、ロック位置のときに軸方向に作用する引込力によってクランプチャックを取り付け区域に向かって付勢するロック手段が設けられている。
【0021】
それにより、たとえば回転スピンドルにクランプチャックをロックするときに、クランプチャックを軸方向でコンポーネントないし回転スピンドルに向かって付勢する適当な引込力が提供されることが保証される。したがってセンタリング中に、テーパ区域および/または対応テーパ区域が軸方向で弾性的に変形し、その結果、クランプチャックは取り付け区域側のストッパに当接することができる。
【0022】
このときロック手段としては、特にクランプスライダが設けられていてよく、これらのクランプスライダは回転部材を介して相互に運動結合されており、それにより、回転部材が回転するとクランプスライダが半径方向位置を変えて、取り付け区域にクランプチャックをロックするための半径方向外側または半径方向内側のロック位置へと変位可能であるようになっている。このことは、1つの部材すなわち回転部材を操作するだけで、複数のクランプスライダを相応に動かすことができるという利点がある。
【0023】
さらに、取り付け区域がチャック収容区域を有しており、回転チャックはチャック収容区域へ挿入するためのクランプ区域を有しており、ロック手段および/またはクランプ区域は引込斜面を有しており、それにより、ロック手段がロック位置へ変位するとクランプチャックが取り付け区域に向かって付勢されるようになっていると好ましい。したがって、ロック手段の変位に基づいて引込力が提供される。このとき、クランプ区域は特にクランプリングとして構成されていてよく、チャック収容区域はチャック収容リングとして構成されていてよい。
【0024】
回転部材を回転させるために、回転部材と運動結合され、回転部材に対して接線方向に変位可能な、調節ねじを介して操作可能である制御手段が設けられていてよい。このとき制御手段と調節ねじの配置は、調節ねじが回転すると制御手段が回転部材に対して接線方向に動くようになっている。そして回転部材と制御手段との運動結合に基づき、回転部材はその中心長軸を中心として回転する。したがってそれにより、それぞれのクランプ区域を互いに同期した運動で変位させることができ、1つのコンポーネントすなわち調節ねじしか操作しなくてよい。
【0025】
クランプスライダと回転部材を運動結合するために、回転部材が制御曲面ないし制御カムを含んでおり、クランプスライダは制御曲面ないし制御カムと対応する制御カムないし制御曲面を有していることが考えられる。このとき制御曲面は、特に、半径方向に延びる線に対して斜めに配置されていてよい。力増幅のために、制御曲面が湾曲して延びるように配置されていてもよい。
【0026】
その他の詳細および好ましい実施形態は、本発明のさまざまな実施例が詳しく記述されて解説される以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】取り付け区域を備えるロック装置を示す縦断面図である。
図2】クランプチャックへの図1の取り付け区域を示す正面図である。
図3図1に示す取り付け区域をモジュールとして示す図である。
図4a図3に示す取り付け区域を示すさまざまな図面である。
図4b図3に示す取り付け区域を示すさまざまな図面である。
図4c図3に示す取り付け区域を示すさまざまな図面である。
図5a図3に示す取り付け区域を示すさまざまな図面である。
図5b図3に示す取り付け区域を示すさまざまな図面である。
図5c図3に示す取り付け区域を示すさまざまな図面である。
図6】引張管および引張アダプタとともに図3の取り付け区域を示す断面図である。
図7図6に相当する解放位置の断面図である。
図8a】取り付け区域の本体を示すさまざまな図面である。
図8b】取り付け区域の本体を示すさまざまな図面である。
図8c】取り付け区域の本体を示すさまざまな図面である。
図9a】取り付け装置の回転部材を示すさまざまな図面である。
図9b】取り付け装置の回転部材を示すさまざまな図面である。
図10】取り付け区域のクランプスライダを示すさまざまな図面である。
図11a】は取り付け区域の引張アダプタを示すさまざまな図面である。
図11b】は取り付け区域の引張アダプタを示すさまざまな図面である。
図12】回転スピンドルのクランプリングを示すさまざまな図面である。
図13a】引張管と引張アダプタを省いているがクランプチャック収容部は含んでいる、図6に相当する断面図である。
図13b図13aの拡大部分図である。
図14a】別の実施形態を示す図13aに相当する断面図である。
図14b図14aの拡大部分図である。
図15a】別の実施形態を示す図13aに相当する断面図である。
図15b図15aの拡大部分図である。
図16a】別の実施形態を示す図13aに相当する断面図である。
図16b図16aの拡大部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1には、機械側の回転スピンドル12と、クランプチャック14と、クランプチャック14が回転スピンドル12に取り付けられる取り付け装置16の形態の取り付け区域とを含む、取り付けシステムとも呼ぶことができるロック装置10が示されている。さらに、チャック側の引張アダプタ20を介してクランプピストン22を軸方向に操作する機械側の引張管18が設けられている。クランプピストン22は、互いに接近および離反するように可動の、図2の図面に明らかに見ることができるチャックジョー24と運動結合されている。この運動結合は、クランプピストン22の軸方向スライドが、機械的なアクチュエータ26を介して、互いに接近ないし離反するチャックジョー24の半径方向運動を惹起するようになっている。したがって引張管18の軸方向運動を介して、クランプチャック14ないしそのチャックジョー24を動力操作することができる。
【0029】
取り付け装置16は中心領域に中央の貫通部29を有している。中心軸は符号31を付して表されている。
【0030】
図1から明らかなとおり、取り付け装置16は取り付けねじ28を介して回転スピンドル12にフランジ接合されている。取り付け装置16をセンタリングするために、取り付け装置は、スピンドル側の外側テーパ部32と協働作用する内側テーパ部30を有している。取り付け装置16でクランプチャック14をセンタリングするために、取り付け装置16は、チャック側の対応テーパ区域35と協働作用するテーパ区域33を有している。テーパ区域33と対応テーパ区域35が、センタリング装置100を形成する。
【0031】
クランプチャック14は、取り付け装置16のほうを向く側に、環状に構成されたチャック収容区域36に係合するクランプリング34を有している。同じく図1から明らかなとおり、クランプリング34は取り付けねじ38によってクランプチャック収容部40にねじ止めされている。
【0032】
図3では、取り付け装置16が別個のモジュールとして図示されている。これを見るとわかるとおり、取り付け装置16は取り付けねじ28を収容する本体42を有している。さらに、内側テーパ部30も同じく本体により形成される。
【0033】
特に図3,4および5から明らかなように、本体42は回転スピンドル12のほうを向く側に、回転リングの形態の回転部材46が中で回転可能なように支承されて配置されたリング収容部44を有している。回転部材46を回転させるために、回転部材46と運動結合された制御手段が制御ピストン48の形態で設けられている。特に図5cから明らかなように、制御ピストン48は接線方向で調節ねじ50に沿って変位可能である。調節ねじ50は、制御ピストン48の雌ねじ54と協働作用するスピンドルねじ山52を有しており、それにより、調節ねじ50が回転すると、制御ピストン48が調節ねじ50の長手方向に動くようになっている。制御ピストン48を位置決めするために、制御ピストン48には視認スライダ56が設けられており、その位置を、本体に設けられた視認窓58を通して視覚的に認識可能である。
【0034】
調節ねじ50はその自由にアクセス可能な端部に、調節ねじ50を回すために特に手動回転可能なスパナを挿入可能である操作区域60を有している。回転部材46と制御ピストン48を運動結合するために、回転部材46は、制御ピストン側のカム64が係合するカム切欠き62を有している。
【0035】
回転部材46は、クランプスライダ66の形態のロック手段と運動結合されており、それにより、回転部材46が回転するとクランプスライダ66が半径方向の位置を変えて、半径方向外側のロック位置から半径方向内側の解放位置へと移行可能であるようになっている。図4a,4bおよび4cには、クランプスライダ66の半径方向外側のロック位置が示されている。図5a,5bおよび5cには、クランプスライダ66の半径方向内側の解放位置が示されている。
【0036】
回転部材46をクランプスライダ66と運動結合するために、回転部材46はクランプスライダ66のほうを向く上面に、制御曲面68の形態の切欠きを有している。回転部材46を単独部品として示す図9aおよび9bには、これらの制御曲面68を明らかに見ることができる。制御曲面68は、それぞれ若干湾曲した軸70を有しており、これらの軸は、その力増幅が半径方向外側のロック位置に向かって行われるようになっている。図10に単独部品として示されているクランプスライダ66は、回転部材46のほうを向く側に、それぞれ制御曲面68と協働作用する制御カム72をそれぞれ有している。クランプスライダ66は、それ自体で半径方向へ変位可能なように、本体42に支承されている。このことは、特に、それぞれのクランプスライダ66のための案内溝74を明らかに見ることができる図8cを見ると明らかである。
【0037】
図8から明らかなように、本体42は内側に位置する周回するリング壁75を有しており、このリング壁は、半径方向内側に位置する側では中央の貫通部29を区切るとともに、半径方向外側に位置する側では環状のチャック収容区域36を区切っている。案内溝74はリング壁75を貫いて延びており、それにより、クランプスライダ66は位置に応じて、一方では中央の貫通部29の領域に係合し(解放位置)、他方ではチャック収容区域36に係合する(ロック位置)。
【0038】
クランプスライダ66は、半径方向内側に位置する区域76と、半径方向外側に位置する区域78とを有している。図4bから明らかなように、断面で見てv字型に構成された半径方向外側の区域78は引込斜面79を有しており、ロック位置のとき、同じくv字型の断面を有する、クランプリング34に設けられた周回する環状溝80に係合する。環状溝80は、特に、クランプリング34が単独部品として示されている図12aと12bに明らかに見ることができる。引込斜面79に基づき、クランプスライダ66が半径方向外側のロック位置に変位すると、クランプチャック14は取り付け装置16に向かって付勢される。それにより、ロック位置のときに取り付け装置16でのクランプリング36の確実なロックが実現される。
【0039】
クランプスライダ66が半径方向内側に位置する解放位置にある図5bから明らかなように、区域78は環状溝80から押し出され、それにより、クランプチャック14をクランプリング34とともに取り付け装置16から取り出すことができる。
【0040】
取り付け装置16が組み付けられた状態のとき、本体42は、図1から明らかなように引張アダプタ20を取り囲む。図1では、クランプスライダが位置しておらず、したがって図示もされない切断平面が選択されている。
【0041】
図6図7には、単独部品としての取り付け装置16が引張管18および引張アダプタ20の一区域とともに、クランプスライダ66を見ることができる断面で示されている。図6はロック位置を示している。クランプチャック側のクランプリング34は、クランプスライダ66を介して、取り付け装置16にロックされて保持されている。図6図7、および引張アダプタ20を単独部品として示す図11から明らかなように、引張アダプタ20は引張管18のほうを向く側に、引張アダプタ20と一体的に構成されて半径方向へ弾性的に可撓の舌部区域の形態の結合区域82を有している。舌部区域は軸方向に延びており、半径方向へ弾性的に可撓である。舌部区域はその自由端の領域に、半径方向外側を向くラグ84を有している。このラグ84は、図1および図6から明らかにわかるとおり、周回する溝として構成された引張管側の対応区域86に係合する。舌部区域は、クランプスライダ66が半径方向内側の解放位置にあるとき、図7から明らかなとおり半径方向内側に向かって弾性的に変形するように、引張アダプタ20に配置されている。この変形は、ラグ84が対応区域86から押し出されて、引張アダプタ20をクランプチャック14とともに軸方向に取り出すことができる程度まで行われる。したがってクランプスライダ66は二重の機能を有している。一方では、その区域78がクランプリング34から押し出され、他方では、舌部区域82を操作して、そのラグ84が対応区域86から押し出されるようにする。このようにしてクランプチャック14を取り外すことができる。
【0042】
各図面に示す実施例では、舌部区域82を含んでいる結合区域は引張アダプタ20に配置されており、対応区域は引張管18に配置されている。本発明によると、結合区域が引張管18に配置されていてもよく、対応区域が引張アダプタ20に配置されていてもよい。その場合、クランプスライダ66が引張管側の結合区域を操作して、引張アダプタ20を含めたクランプチャックの取り外しを可能にするように配置を行わなければならない。
【0043】
上述した取り付け装置16ないしロック装置10の全体は、ただ1つのねじの調節によって、すなわち調節ねじ50の位置調節によって、クランプチャック14を交換可能であるという利点を有している。調節ねじ50を位置調節することで、一方ではクランプスライダ66とクランプリング34の間のロックが解除され、他方では引張管18と引張アダプタ20との結合が解除される。
【0044】
図13aに示す断面は図6の断面と基本的に一致しており、図13aでは、引張管と引張アダプタは図示されていない。図6とは異なり、図13aではクランプリング34が取り付けられたクランプチャック側のクランプチャック収容部40が図示されている。
【0045】
図13aおよび13bから明らかなとおり、ロック装置10は、取り付け装置側にテーパ区域33およびクランプチャック側に対応テーパ区域35を含むセンタリング装置100を有している。
【0046】
特に図6図13aおよび13bを見ると明らかなように、テーパ区域33は、互いに実質的に平行に延びる壁部区域102で構成されている。図13に示す実施形態では、全部で2つの環状に周回する壁部区域が設けられている。壁部区域102は本体42と一体的に構成されている。壁部区域102は、本体42へ切込み104を刻設することによって具体化されていてよい。特に図13bを見ると明らかなとおり、壁部区域102はそれぞれ上面106と下面108を有している。上面は下面と平行に延びていてよい。ただし図13bからわかるように、上面106と下面108は断面で見て中心長軸に向かって楔形に延びるように構成されている。上面106と下面108は、10°の範囲内の楔角αをなしている。下面108は中心長軸31に対して実質的に垂直に延びている。上面106は相応に傾いている。本発明によると、上面106が中心長軸に対して垂直に延びており、下面108が相応に傾いていることも考えられる。両方の面が中心長軸31に対して相応に傾いて延びていることも、同じく考えられる。半径方向外側に位置している壁部区域102の外套面110は、円錐状の湾曲した平面に位置している。脚部領域112では、壁部区域102が本体42に移行している。
【0047】
クランプチャック14ないしそのクランプチャック収容部40は、テーパ区域33に対応するように構成された対応テーパ区域35を有している。この構成は、クランプチャック14が軸方向へ取り付け装置16に接近するように動いたとき、まず最初に壁部区域102の外套面110が対応テーパ区域35に当接するようになっている。対応テーパ区域35に外套面110が当接してから、クランプチャック14をさらに軸方向へ動かすことができ、これは、クランプチャック14ないしそのクランプチャック収容部40が、取り付け装置16ないしその本体42に当接するまで行われる。そのために、取り付け装置16ないしその本体42はストッパ114を備えている。ストッパ114は、クランプチャック14のほうを向いている、本体42の環状に周回する端面に形成されている。特に図8aを見ると、このストッパ114が明らかにわかる。
【0048】
クランプチャック14が軸方向で取り付け装置16に向かって付勢される引込力は、冒頭で説明したとおり、クランプスライダ66のロック位置への変位を通じて提供される。
【0049】
テーパ区域33ないしその壁部区域102の軸方向への弾性的な可撓性に基づき、取り付け装置116のストッパ114へのクランプチャック14の定義された当接を保証することができる。これに加えて、機能の確実なセンタリングを行うことができる。
【0050】
図14aおよび14bに示す実施形態では、テーパ区域33ではなく対応テーパ区域35が、軸方向へ相応に可撓である、互いに平行に延びる壁部区域102を有している。テーパ区域33はこれとは異なり、閉じた表面を有している。図14bに明らかに見ることができる壁部区域102に基づき、対応テーパ区域35にテーパ区域33が当接した後に、クランプチャック14がストッパ114に当接するまで、軸方向の引込力に基づいてクランプチャックが少なくとも限定的にさらに軸方向へ変位可能であることがここでも実現される。
【0051】
特に図13bおよび図14bを見ると明らかなように、個々の壁部区域102の相互間隔aと、その半径方向の長さbとの比率は1:2から1:5の範囲内にある。その帰結として、壁部区域102の好ましい弾性特性がもたらされる。
【0052】
図15の実施形態では、テーパ区域33は互いに平行に位置するディスクプレート116で形成されている。半径方向外側に位置しているディスクプレートの自由端面118は、対応テーパ区域35に当接する役目をする。個々のディスクプレート116は環状ディスクで形成されており、これらが本体42のボルト区域120の上に装着されて、固定ナット122を介して本体42で保持される。個々のディスクプレート116は、ボルト区域120が係合する中央の穴を有している。個々のディスクプレート116の外径は、全体としてテーパ状の外套面を形成するために、軸方向内側から軸方向外側に向かって若干減少していく。正確に円錐状の外套面を得るために、本体42の上に配置されたディスクプレート116の外套面を後加工することが考えられる。
【0053】
図16では、図15の場合とは異なり、ディスクプレート116がテーパ区域33にではなく対応テーパ区域35に設けられている。ディスクプレート116は同じく環状ディスクで構成されており、ここではテーパ状の外套面は、半径方向内側に位置しているディスクプレート116の端面で形成される。ディスクプレート116はそのために、クランプチャック本体に設けられた切欠き124へ挿入され、そこで固定リング126により固定される。
【0054】
図15図16から明らかなとおり、ディスクプレート116は0.5mmから1mmの厚みを有している。全体として、相上下して位置するおよそ15枚のディスクプレート116が設けられている。ディスクプレート116は、半径方向で力が作用したときに、比較的形状安定的であるという利点をもたらす。軸方向で力が作用したとき、ディスクプレートには比較的曲げ柔軟性がある。それにより、対応テーパ区域35ないしテーパ区域33がディスクプレート116の相応の端面に当接した後、クランプチャック14ないしクランプチャック収容部40がストッパ114に当接する程度まで、ディスクプレートが軸方向へ弾性的に変形することが実現される。


図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図14a
図14b
図15a
図15b
図16a
図16b