(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662566
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】成形部品
(51)【国際特許分類】
B29C 65/56 20060101AFI20150115BHJP
F02K 3/06 20060101ALI20150115BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
B29C65/56
F02K3/06
F02C7/00 C
F02C7/00 D
F02C7/00 E
F02C7/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-512408(P2013-512408)
(86)(22)【出願日】2012年4月25日
(86)【国際出願番号】JP2012061105
(87)【国際公開番号】WO2012147802
(87)【国際公開日】20121101
【審査請求日】2013年10月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-98337(P2011-98337)
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 敬
(72)【発明者】
【氏名】重成 有
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 宏一
(72)【発明者】
【氏名】田中 崇
(72)【発明者】
【氏名】石榑 忠寛
【審査官】
鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−128249(JP,A)
【文献】
特開2008−68626(JP,A)
【文献】
特開2000−117844(JP,A)
【文献】
特開平8−290480(JP,A)
【文献】
特開平7−9481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00−65/82,70/00−70/68
B64D 29/06
F01D 25/24
F02C 7/00
F02K 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と強化繊維との複合材料を構成材料とし、締結具を用いて相手部品に突き合わせた状態で締結可能な成形部品において、
部品本体と、
前記部品本体の少なくとも一端側に湾曲した湾曲部を介して一体形成され、前記締結具を挿通させるための挿通穴が形成され、前記相手部品に突き合わせ可能なフランジと、
前記フランジの突き合わせ側の反対側の外面から前記湾曲部の小径側の曲面を経由して前記部品本体の外面の一端側にかけて追加して一体的に設けられ、前記フランジの前記挿通穴に整合しかつ前記締結具を挿通させるための通孔が形成された追加パッドとを具備し、
前記追加パッドの外面側に前記締結具の一部を支持可能であってかつ前記部品本体の外面に対して垂直でかつ平坦な締結座面が機械加工によって形成され、前記追加パッドの外面側に平坦な面を得るために機械加工された加工エリアのエリア端は、前記湾曲部を越えて前記部品本体側に位置づけられることを特徴とする成形部品。
【請求項2】
前記追加パッドにおける前記部品本体側の端部に先端方向に向かって徐々に薄くなるスロープが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の成形部品。
【請求項3】
前記追加パッドは、第1追加パッドであって、前記通孔は、第1通孔であって、
前記フランジの突き合わせ側の外面に追加して一体的に設けられ、前記フランジの前記挿通穴に整合しかつ前記締結具を挿通させるための第2通孔が形成された第2追加パッドを具備し、
前記第2追加パッドの外面側に前記相手部品に突き合わせ可能であってかつ前記部品本体の外面に対して垂直でかつ平坦な突き合わせ面が機械加工によって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成形部品。
【請求項4】
前記部品本体、前記フランジ、及び前記湾曲部は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と炭素繊維との複合材料により構成され、前記第1追加パッド及び前記第2追加パッドは、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とガラス繊維との複合材料により構成されていることを特徴とする請求項3に記載の成形部品。
【請求項5】
航空機エンジンに用いられかつ前記航空機エンジンにおける複数のファンブレードを覆うものであって、
前記部品本体が筒状を呈しており、前記フランジが環状を呈していることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の成形部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機エンジンに用いられるファンケース等、締結具を用いて相手部品に突き合わせた状態で締結可能な成形部品に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機エンジンに用いられるファンケースについて簡単に説明する。
【0003】
ファンケースは、航空機エンジンにおける複数のファンブレードを覆うものであって、通常、チタン合金等の金属を構成材料としている。また、ファンケースは、締結ボルト及びナットからなる締結具を用いて、相手部品に突き合わせた状態で締結可能である。
【0004】
図4に示すように、ファンケースは、部品本体としての筒状のケース本体
120を具備しており、ケース本体
120は、ケース軸方向へ延びている。また、ケース本体
120の少なくとも一端側には、相手部品に突き合わせ可能なフランジ110が湾曲した湾曲部115を介して一体形成されており、フランジ
110には、締結具(締結ボルト)を挿通
させるための挿通穴112が形成されている。そして、フランジ
110の突き合わせ側の反対側の外面には、ケース本体
120の外周面に対して垂直でかつ平坦な締結座面111が機械加工によって形成されており、締結座面111は、締結具の一部(締結ボルトの頭部又はナットの底面)を支持可能である。ここで、ファンケースと相手部品との締結強度を十分に確保するために、フランジ110の挿通穴112の中心、換言すれば、締結座面111の中心をケース本体
120の外周面から大きく離隔しないようにしており、それに伴い、機械加工された加工エリア113のエリア端(エリア終端)114が湾曲部115の小径側の曲面に位置づけられる。
【0005】
本発明に関連する技術はたとえば米国公開特許第2008−0118683号である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
航空機エンジンの分野において、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と強化繊維との複合材料(FRP)が軽量で高強度を有する素材として注目されており、FRPをファンケースの構成材料として適用する試みがなされている。
【0007】
フランジ110の締結面はボルト締結するために、エンジン軸に対する垂直度、平面度、表面粗さ等によって規定される所定の表面状態が要求される。しかし、フランジ素材が鍛造金属や成形された複合材料のままではかかる表面状態を実現することが困難であるためさらに機械加工する必要がある。
【0008】
ところが、複合材料の場合には機械加工により繊維を切ってしまうという問題がある。すなわち、複合材料は繊維構造により剛性および強度を確保しているため、繊維が一部でも切れると強度等が大きく低下するという問題がある。
【0009】
また、ファンケースは相手部品と組立精度確保のため締結部を機械加工で最終形状に仕上げており、FRPを構成材料とするファンケースについては、最終形状に仕上げた後に、超音波トランスデューサ(超音波プローブ)130を用いて超音波探傷検査を行い、機械加工に起因する層間剥離等の内部欠陥がないことを確認する必要がある。
【0010】
すなわち、層が湾曲するフランジ部では特に応力が集中しやすく層間剥離検査において特に重要な検査箇所である。超音波検査は対象物に対して音波を入射し、通過または反射した音波を計測するが、この際に対象物表面に段差や不連続があると音波が散乱して正確な測定が困難になる。
【0011】
より具体的には、
図4に示すように、加工エリア113のエリア端114が湾曲部115の小径側の曲面に位置していると、加工エリア113のエリア端114が滑らかな面(この場合は、湾曲部115の小径側の曲面)に対する加工段差(加工ミスマッチ)になり易く、超音波トランスデューサ130から湾曲部115に向かって発信された超音波USWの反射波が散乱されて、ファンケースに対する超音波探傷検査の検査精度を高いレベルまで確保することが困難になるという問題がある。
【0012】
なお、前述の問題は、FRPを構成材料とするファンケースだけでなく、FRPを構成材料とする種々の成形部品においても発生するものである。
【0013】
本発明によれば、複合材料の繊維強度を低下させず、高精度の超音波検査を可能とする成形部品を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の技術的側面によれば、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と強化繊維との複合材料を構成材料とし、締結具を用いて相手部品に突き合わせた状態で締結可能な成形部品(積層部品)において、部品本体と、前記部品本体の少なくとも一端側に湾曲した湾曲部を介して一体形成され、前記締結具を挿通
させるための挿通穴が形成され、前記相手部品に突き合わせ可能なフランジと、前記フランジの突き合わせ側の反対側(締結座面側)の外面から前記湾曲部の小径側の曲面を経由して前記部品本体の外面の一端側にかけて追加して一体的に設けられ、前記フランジの前記挿通穴に整合しかつ前記締結具を挿通
させるための通孔が形成された追加パッドと、を具備する。さらに、前記追加パッドの外面側に前記締結具の一部を支持可能であってかつ前記部品本体の外面に対して垂直でかつ平坦な締結座面が機械加工によって形成され、
前記追加パッドの外面側に平坦な面を得るために機械加工された加工エリアのエリア端(エリア終端)
は、前記湾曲部を越えて前記部品本体側に位置していることを特徴とする。
【0015】
なお、「成形部品」とは、航空機エンジンに用いられるファンケースに限られず、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と強化繊維との複合材料を構成材料とした種々の成形部品を含む意である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】
図3は、航空機エンジンの模式断面図である。
【
図4】
図4は、発明が解決しようとする課題を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について
図1A、
図1B、
図2、及び
図3を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向をそれぞれ指してある。
【0018】
図2及び
図3に示すように、本発明の実施形態に係る筒状のファンケース1は、航空機エンジン3に用いられ、航空機エンジン3における複数のファンブレード5を覆うものであって、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と強化繊維との複合材料(FRP)を構成材料としている。
【0019】
また、ファンケース1は、締結ボルトBとナットNからなる複数の締結具7を用いて、航空機エンジン3におけるエンジンカウル9(相手部品の一例)及びリアケース11(相手部品の一例)に突き合わせた状態で締結可能になっている。
【0020】
ファンケース1は、部品本体としての筒状のケース本体13を具備しており、このケース本体13は、ケース軸方向(前後方向)へ延びている。また、ケース本体13の前端側(一端側)には、エンジンカウル9の相手フランジ15に突き合わせ可能な環状のフロントフランジ17が湾曲したフロント湾曲部19を介して一体形成されており、このフロントフランジ17には、締結ボルトBを挿通可能な複数(1つのみ図示)のフロント挿通穴17hが周方向に間隔を置いて形成されている。
【0021】
更に、ケース本体13の後端側(他端側)には、リアケース11の相手フランジ21に突き合わせ可能な環状のリアフランジ23が湾曲したリア湾曲部25を介して一体形成されており、このリアフランジ23には、締結ボルトBを挿通可能な複数(1つのみ図示)のリア挿通穴23hが周方向に間隔を置いて形成されている。
【0022】
ここで、ケース本体13、フロントフランジ17、フロント湾曲部19、リアフランジ23、及びリア湾曲部25は、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,又はポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂と炭素繊維(強化繊維の一例)との複合材料により構成され、具体的には、熱硬化性樹脂を含浸させた共通の炭素繊維の織物(図示省略)及びロービング(図示省略)によって成形されている。なお、ケース本体13等が熱硬化性樹脂と炭素繊維との複合材料により構成される代わりに、ポリエーテルエーテルケトン,ポリフェニレンスルファイド等の熱可塑性樹脂と炭素繊維との複合材料により構成されるものであっても構わない。
【0023】
図1A及び
図2に示すように、フロントフランジ17の突き合わせ側の反対側の外面からフロント湾曲部19の小径側の曲面を経由してケース本体13の前端側にかけて、環状の第1フロント追加パッド27が追加して一体的に設けられている。また、第1フロント追加パッド27におけるケース本体13側の端部(端面)には、先端方向に向かって徐々に薄くなる第1フロントスロープ27sが形成されている。
【0024】
更に、第1フロント追加パッド27には、締結ボルトBを挿通可能な複数(1つのみ図示)の第1フロント通孔27hが周方向へ間隔を置いて形成されており、各第1フロント通孔27hは、対応するフロント挿通穴17hに整合している。そして、第1フロント追加パッド27の外面側には、環状でかつ平坦なフロント締結座面27fが機械加工によって形成されており、フロント締結座面27fは、締結ボルトBの頭部を支持可能であってかつケース本体13の外面に対して垂直である。
【0025】
そして、第1フロント追加パッド27の外面側に
平坦な面を得るために機械加工された加工エリアPAは、第1フロント追加パッド27におけるフロントフランジ17側の端面からケース本体13側の端面まで延びて
おり、加工エリアPAのエリア端(エリア終端)PAeは、フロント湾曲部19を越えてケース本体13側に位置している。
【0026】
フロントフランジ17の突き合わせ側の外面には、環状(円盤状)の第2フロント追加パッド29が追加して一体的に設けられている。また、第2フロント追加パッド29におけるケース本体13側の端部(端面)には、先端方向に向かって徐々に薄くなる第2フロントスロープ29sが形成されている。
【0027】
更に、第2フロント追加パッド29には、締結ボルトBを挿通可能な複数の第2フロント通孔29hが周方向へ間隔を置いて形成されており、各第2フロント通孔29hは、対応するフロント挿通穴17hに整合している。更に、第2フロント追加パッド29の外面側には、環状でかつ平坦なフロント突き合わせ面29fが機械加工によって形成されており、フロント突き合わせ面29fは、エンジンカウル9の相手フランジ15に突き合わせ可能であってかつケース本体13の外面に対して垂直である。
【0028】
なお、第2フロント追加パッド29の外面側に機械加工された加工エリアPAは、第2フロント追加パッド29におけるフロントフランジ17側の端面からケース本体13側の端面まで延びてあって、加工エリアPAのエリア端PAeは、フロント湾曲部19の手前側に位置している。
【0029】
同様に、
図1B及び
図2に示すように、リアフランジ23の突き合わせ側の反対側の外面からリア湾曲部25の小径側の曲面を経由してケース本体13の後端側にかけて、環状の第1リア追加パッド31が追加して一体的に設けられている。また、第1リア追加パッド31におけるケース本体13側の端部(端面)には、先端方向に向かって徐々に薄くなる第1リアスロープ31sが形成されている。更に、第1リア追加パッド31には、締結ボルトBを挿通可能な複数の第1リア通孔31hが周方向へ間隔を置いて形成されており、各第1リア通孔31hは、対応するリア挿通穴23hに整合している。
【0030】
そして、第1リア追加パッド31の外面側には、環状でかつ平坦なリア締結座面31fが機械加工によって形成されており、リア締結座面31fは、ナットNの底面を支持可能であってかつケース本体13の外面に対して垂直である。そして、第1リア追加パッド31の外面側に
平坦な面を得るために機械加工された加工エリアPAは、第1リア追加パッド31におけるリアフランジ23側の端面からケース本体13側の端面まで延びて
おり、加工エリアPAのエリア端PAeは、リア湾曲部25を越えてケース本体13側に位置している。
【0031】
リアフランジ23の突き合わせ側の外面には、環状(円盤状)の第2リア追加パッド33が追加して一体的に設けられている。また、第2リア追加パッド33におけるケース本体13側の端部(端面)には、先端方向に向かって徐々に薄くなる第2リアスロープ33sが形成されている。更に、第2リア追加パッド33には、締結ボルトBを挿通可能な複数の第2リア通孔33hが周方向へ間隔を置いて形成されており、各第2リア通孔33hは、対応するリア挿通穴23hに整合している。更に、第2リア追加パッド33の外面側には、環状でかつ平坦なリア突き合わせ面33fが機械加工によって周方向に間隔を置いて形成されており、リア突き合わせ面33fは、リアケース11の相手フランジ21に突き合わせ可能であってかつケース本体13の外面に対して垂直である。
【0032】
なお、第2リア追加パッド33の外面側に機械加工された加工エリアPAは、第2リア追加パッド33におけるリアフランジ23側の端面からケース本体13側の端面まで延びてあって、加工エリアPAのエリア端PAeは、リア湾曲部25の手前側に位置している。
【0033】
ここで、第1フロント追加パッド27、第2フロント追加パッド29、第1リア追加パッド31、及び第2リア追加パッド33は、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,又はポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂とガラス繊維(強化繊維の一例)との複合材料により構成され、具体的には、熱硬化性樹脂を含浸させかつガラス繊維からなる織物(図示省略)によって成形されている。すなわち、GFRP(ガラス繊維複合材料)は、CFRP(炭素繊維複合材料)に比べて加工および加工後の検査が容易であり、電気伝導によるボルトとの間の電触がない。
【0034】
なお、第1フロント追加パッド27等が熱硬化性樹脂とガラス繊維との複合材料により構成される代わりに、ポリエーテルエーテルケトン,ポリフェニレンスルファイド等の熱可塑性樹脂とガラス繊維との複合材料により構成されるものであっても構わない。
【0035】
フロントフランジ17の突き合わせ側の反対側の外面からケース本体13の外面の前端側にかけて環状の第1フロント追加パッド27が追加して一体的に設けられ、第1フロント追加パッド27の外面側
に平坦なフロント締結座面27fが機械加工によって形成されると共に、フロントフランジ17の突き合わせ側の外面に環状の第2フロント追加パッド29が追加して一体的に設けられ、第2フロント追加パッド29の外面側
に平坦なフロント突き合わせ面29fが機械加工によって形成されている。したがって、ケース本体13、フロントフランジ17、及びフロント湾曲部19に対する機械加工を極力なくすか又は極力少なくして、ファンケース1を仕上げることができる。
【0036】
同様に、リアフランジ23の突き合わせ側の反対側の外面からケース本体13の外面の後端側にかけて環状の第1リア追加パッド31が追加して一体的に設けられ、第1リア追加パッド31の外面側
に平坦なリア締結座面31fが機械加工によって形成されると共に、リアフランジ23の突き合わせ側の外面に環状の第2リア追加パッド33が追加して一体的に設けられ、第2リア追加パッド33の外面側
に平坦なリア突き合わせ面33fが機械加工によって形成されている。したがって、リアフランジ23及びリア湾曲部25に対する機械加工を極力なくすか又は極力少なくして、ファンケース1を仕上げることができる。
【0037】
また、第1フロント追加パッド27の外面側に平坦なフロント締結座面27fが機械加工によって形成され、第1フロント追加パッド27の外面側に機械加工された加工エリアPAのエリア端PAeがフロント湾曲部19を越えてケース本体13側に位置しているため、応力が特定箇所に集中せず、機械加工によってファンケース1を最終形状に仕上げる際に、ファンケース1の前側部分(フロント湾曲部19側)に加工段差(加工ミスマッチ)が発生することを極力なくすことができる。特に、第1フロント追加パッド27におけるケース本体13側の端部に第1フロントスロープ27sが形成されているため、応力がさらに拡散されてファンケース1の前側部分における加工段差の発生率をほぼ0にすることができる。
【0038】
同様に、第1リア追加パッド31の外面側に平坦なリア締結座面31fが機械加工によって形成され、第1リア追加パッド31の外面側に機械加工された加工エリアPAのエリア端PAeがリア湾曲部25を越えてケース本体13側に位置しているため、ファンケース1の後側部分(リア湾曲部25側)に加工段差が発生することを極力なくすことができる。特に、第1リア追加パッド31におけるケース本体13側の端部に第1リアスロープ31sが形成されているため、ファンケース1の後側部分における加工段差の発生率をほぼ0にすることができる。
【0039】
従って、本発明の実施形態によれば、ファンケース1の前側部分及び後側部分に加工段差が発生することを極力なくすことができるため、超音波トランスデューサ(
図4参照)からフロント湾曲部19及びリア湾曲部25等に向かって発信された超音波の反射の乱れを抑えて、ファンケース1に対する超音波探傷検査の検査精度を高いレベルまで十分に確保することができる。
【0040】
ケース本体13等に対する機械加工を極力なくすか又は極力少なくして、ファンケース1を仕上げることができるため、不良品の発生率を減らして、ファンケース1の生産性を大幅に向上させることができる。
【0041】
本発明の特徴によると、フランジの突き合わせ側の反対側の外面から部品本体の外面の一端側にかけて追加パッドが追加して一体的に設けられ、追加パッドの外面側に平坦な締結座面が機械加工によって形成されているため、部品本体、フランジ、及び湾曲部に対する機械加工を極力なくすか又は極力少なくして、成形部品を仕上げることができる。
【0042】
また、前記追加パッドの外面側に平坦な締結座面が機械加工によって形成され、機械加工された加工エリアのエリア端が湾曲部を越えて部品本体側に位置しているため、機械加工によって成形部品を最終形状に仕上げる際に、成形部品に加工段差(加工ミスマッチ)が発生することを極力なくすことができる。
【0043】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、ファンケース1に適用した技術的思想をファンケース1以外の成形部品に適用する等、その他、適宜の変更を行うことにより、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【0044】
(米国指定)
本国際特許出願は米国指定に関し、2011年4月26日に出願された日本国特許出願第2011−098337号について米国特許法第119条(a)に基づく優先権の利益を援用し、当該開示内容を引用する。