(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1分離部及び前記第2分離部は、いずれも凸部を含み、前記ラビリンスが形成された状態において、前記第1分離部の凸部及び前記第2分離部の凸部は、前記第1シャッタ板の回転軸に平行な方向に沿った通路を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の成膜装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。以下に説明する部材、配置等は発明を具体化した一例であって本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変できることは勿論である。本発明に係る成膜装置の適用はスパッタリング装置に限定されるものではなく、真空容器内でシャッタ装置により蒸着材料を選択できる各種PVD装置に適用可能である。
【0014】
(第1の実施形態)
図1〜6に基づいて本発明の第1の実施形態に係る成膜装置を説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る成膜装置の縦断面図である。成膜装置1は、真空容器51の内部に4つのターゲット電極35〜38(36、37は図示を省略)が設けられたスパッタリング成膜装置であり、基板Wを保持する基板ホルダー3、任意のターゲットTを基板Wに曝すことのできるシャッタ装置4を備えている。シャッタ装置4はターゲットTと基板Wの間に配置されている。
【0015】
なお、
図1において、成膜装置1の内部を所要の真空状態にするための真空排気ユニット、ターゲット電極35〜38に電力を供給するためのユニット、ゲートバルブGVを介して基板ホルダー3上の基板Wを交換する基板搬送装置、プロセスガス導入ユニットなどのプラズマを生成するためのユニット等の図示は省略されている。
【0016】
基板ホルダー3は、成膜装置1の底面部の中央に回転自在に設けられており、基板Wを水平状態で保持することができる。基板Wへのスパッタ成膜の際には基板Wは回転状態で保持する。4つのターゲット電極35〜38は、成膜装置1の真空容器51の天井部52に傾斜した状態で取り付けられている。
【0017】
真空容器51の上部である天井部52にはターゲット電極ホルダー61が設けられている。ターゲット電極ホルダー61は、ターゲット電極を保持する取り付け部61aが4箇所に設けられた部材である。ターゲット電極ホルダー61は真空容器51の蓋としての機能も有している。本実施形態では、取り付け部61aが天井部52と一体に構成されているが、真空容器51の一部に取り付け部61aを設ける構成であってもよい。
【0018】
取り付け部61aに保持されたターゲット電極には、成膜処理に用いられる被成膜物質がボンディングされたターゲットTを基板Wの方向に向けて保持することができる。なお、ターゲット電極のターゲットTを保持する部分をターゲット取り付け面とする。
【0019】
図1には断面に位置する2つのターゲット電極のみが図示されている。傾斜して設けられたターゲット電極35〜38のそれぞれには、それらの下方に水平に配置された基板Wの上面に対して対向するようにターゲットTを配置することができる。ターゲットTには成膜処理に用いられる被成膜材料がボンディングされている。
【0020】
ここで、ターゲットTと基板とが対向する状態とは、ターゲット電極が基板周辺に向けて配置されている状態や、
図1に図示したようにターゲットTのスパッタ面が傾斜して基板34に向けられている状態も含むものとする。また、基板に形成される多層膜デバイスとしては、LED、MRAM、TMRヘッド、アドバンスド(改良型)GMRなどが挙げられる。形成される多層膜デバイスの膜構成に応じて成膜装置1のターゲット電極に搭載されるターゲットの種類も変更される。
【0021】
ここで、
図2〜6に基づいてシャッタ装置4の構造を説明する。
図2はシャッタ装置4を構成する部材のうち上部シールド板13、第1シャッタ板15、第2シャッタ板17の斜視図である。
図3はシャッタ装置4を構成する部材のうち上部シールド板13、第1シャッタ板15、第2シャッタ板17を上方から見た模式図である。
図3では、分離部(第2分離部)71と分離部(第1分離部)72の上方から見た位置関係が明確になるように、本来上方からは見えない分離部71を破線で示した。
【0022】
シャッタ装置4は、上部シールド板(シールド部材)13、第1シャッタ板(第1シャッタ部材)15、第2シャッタ板(第2シャッタ部材)17を主要な構成要素としている。第1シャッタ板15と第2シャッタ板17は、二重回転シャッタのシャッタ板として構成されている。シャッタ装置4によって各シャッタ板(15,17)を所定位置に位置決めすることで、4つのターゲット電極35〜38のそれぞれに搭載されたターゲットTのうちスパッタ成膜に使用されるターゲットTを基板Wに臨ませることができる。
【0023】
上部シールド板13は、ターゲット電極ホルダー61に取り付けられる部材であり、ターゲット電極ホルダー61への膜付着を防ぐ部材である。上部シールド板13を配置しない場合はターゲット電極ホルダー61の基板側の表面が第1シャッタ板15と対向する。第1シャッタ板15と第2シャッタ板17は、二重回転シャッタのシャッタ板として構成されている。なお、上部シールド板13,第1シャッタ板15,第2シャッタ板17はいずれも上方に凸の湾曲形状を有している。
【0024】
上部シールド板(シールド部材)13は、ターゲット電極ホルダー61の基板ホルダー3側に設けられた防着シールド板であり、ターゲットTからスパッタされた物質がターゲット電極ホルダー61に付着するのを防ぐことができる。上述のようにターゲット電極ホルダー61には4つの取り付け部61a形成されている。取り付け部61aのそれぞれにはターゲット電極Cが保持される。各ターゲット電極Cは、ターゲットTが取り付けられる面(取り付け面)を有し、上部シールド板13には、各ターゲット電極のターゲット取り付け面に対向する領域のそれぞれに開口13aが形成されている。上部シールド板13の2つの面のうち第1シャッタ板15に対向する面には、上部シールド板13の開口13aと開口13aとの間に、分離部71が設けられている。分離部71は、例えば、凸部でありうる。
【0025】
第1シャッタ板(第1シャッタ部材)15は、上部シールド板13の基板ホルダー3側に、回転可能に設けられたシャッタ板であり、回転軸15bを回転させることにより第1シャッタ板15の回転角度を制御することができる。第1シャッタ板15は、2つのターゲット電極のターゲット取り付け面に対向する領域に開口15aが形成されている。第1シャッタ板15の2つの開口15aは回転軸15bに対して対称の位置に形成されている。
【0026】
回転軸15bは第1駆動装置21によって駆動される。第1駆動装置21は、回転軸15bをターゲット電極ホルダー61に対して相対的に回転及び上下移動させるための構成であり、回転軸15bを介して第1シャッタ板15を回転させたり上下移動させたりすることができる。第1駆動装置21は、例えば、回転軸15bを回転および上下移動させるモータ、及びモータを制御するコントローラを含みうる。第1駆動装置21は、回転軸15bを上下方向に移動させることで上部シールド板13と第1シャッタ板15との距離を操作することができる。第1シャッタ板15の2つの面のうち上部シールド板13に対向する面には、第1シャッタ板15の開口15aと開口15aとの間に、分離部72が設けられている。分離部72は、例えば、凹部でありうる。各凹部は、
図6に例示されるように、平行に配置された2つの凸部72a(二重の凸部72a)と、2つの凸部72aによって挟まれた低部72bを含みうる。
【0027】
第2シャッタ板(第2シャッタ部材)17は、第1シャッタ板15の基板ホルダー3側に回転可能に設けられたシャッタ板であり、回転軸17bを回転させることにより第2シャッタ板17の回転角度を制御することができる。回転軸15bと回転軸17bとは独立して回転制御可能に構成されている。第2シャッタ板17は、3つのターゲット電極のターゲット取り付け面に対向する領域にそれぞれ開口17aが形成されている。また、第2シャッタ板17の3つの開口17aのうち回転軸17bに対して対称な位置に形成されている2つは、第1シャッタ板15に形成された2つの開口15aに対向して配置できるように形成されている。
【0028】
なお、第2シャッタ板17の開口17aの数は3つに限定されるものではないが、第1シャッタ板15の開口15aの数以上の開口を有すると好適である。同様に、第1シャッタ板15の開口15aの数は3つ以上の複数であっても良い。
【0029】
回転軸17bは第2駆動装置22によって駆動される。第2駆動装置22は、回転軸17bをターゲット電極ホルダー61に対して相対的に回転及び上下移動させるための構成であり、回転軸17bを介して第2シャッタ板17を回転させたり上下移動させたりすることができる。第2駆動装置22は、例えば、回転軸17bを回転および上下移動させるモータ、及びモータを制御するコントローラを含みうる。回転軸17bおよび回転軸15bを同一スピードで同時に上下移動させると、第1シャッタ板15と第2シャッタ板17との隙間の大きさは変わらない。
【0030】
本実施形態では、分離部71は、第1シャッタ板15に向けて上部シールド板15から突き出した4つの線状部分である。各分離部71は、隣り合う開口13aの間の位置に配置されている。換言すると、複数の分離部71は、2つの分離部71によって開口13aを挟むように配置されている。複数の分離部71は、上部シールド板13の中心から放射状に延びている。本実施形態では分離部71が上部シールド板13に取り付けられているが、上部シールド板13を有さない構成においては容器51若しくはターゲット電極ホルダー61に分離部71が設けられうる。また、それぞれの開口13aの周囲にその全周に渡ってラビリンスを形成できるように、開口13aを全周に渡って囲むように分離部71を設けてもよい。
【0031】
分離部72は、前述のように、上部シールド板13(ターゲット電極側)に向けて第1シャッタ板15から突き出した二重の凸部72aを含みうる、分離部72は、各開口15aの周方向の両側にそれぞれ配置されている。換言すると、2つの分離部72によって開口15aが挟まれている。二重の凸部72aは、例えば、2つの板状部材を平行に配置して構成されてもよいし、一枚の板状部材を断面がU字状になるように塑性変形させて構成されてもよいし、他の方法で構成されてもよい。
【0032】
本実施形態では、複数の分離部72が第1シャッタ板15の回転軸15bを中心に放射状に取り付けられているが、それぞれの開口15aの周囲にその全周に渡ってラビリンスを形成できるように、開口15aを全周に渡って囲むように分離部72を設けてもよい。
【0033】
分離部72を構成する二重の凸部72aの隙間に分離部71を構成する凸部が挿入されるように第1シャッタ板15を上昇させることで、分離部71と分離部72とでラビリンスを形成することができる。
図3中の符号80a,80b,80cはマークであり、第1シャッタ板15、第2シャッタ板17の回転角度の基準位置を示している。
【0034】
本実施形態の特徴的な構成について
図4A〜6に基づいて説明する。
図4Aは
図3のI−I線を通過するシャッタ装置4の断面図、
図4Bは
図3のII−II線を通過するシャッタ装置4の断面図である。
図5はII−II線を通過する断面を含むシャッタ装置4の斜視図(斜視断面図)、
図6は形成されたラビリンス部分の断面図である。なお、
図4,5中ではターゲット電極35〜38のうち任意のターゲット電極を符号Cで、任意のターゲットを符号T(T1〜T4)で示した。そして、説明簡略のためにターゲット電極ホルダー61、上部シールド板13、第1シャッタ板15、第2シャッタ板17をいずれも平行に構成したものとして図示している。
【0035】
図4Aは、左側に位置する一方のターゲットTだけがスパッタ成膜がなされる際の第1シャッタ板15と第2シャッタ板17の配置である。具体的には、一方のターゲットTに対向する位置には、第1シャッタ板15に開口15aが位置し、他方のターゲットTに対向する位置は第1シャッタ板15によって閉鎖されている。また、両方のターゲットTに対向する位置の第2シャッタ板17はどちらも開口17aによって開放されている。
【0036】
第2駆動装置22によって駆動される第1シャッタ板15の上下方向の位置は、回転可能位置(下方位置、即ち基板ホルダー3に近い位置)と回転禁止位置(上方位置、即ちシールド板63に近い位置))とを含む。第1シャッタ板15が回転可能位置(下方位置)に配置された状態では、第1シャッタ板15を回転させても分離部71と分離部72とが接触せず、第1シャッタ板15は任意の回転位置を取ることができる。一方、第1シャッタ板15が回転禁止位置(上方位置)に配置された状態では、第1シャッタ板15を回転させると分離部が分離部71に接触するので、第1シャッタ板15を回転させることができない。
【0037】
図4A,4B,5は第1シャッタ板15と第2シャッタ板17が回転可能位置(基板ホルダに近い位置)に配置されていて、分離部71と分離部72とが所定距離以上離間している状態を示している。所定距離とは、分離部71と分離部72とが上下方向(分離部71と分離部72とが接近又は離間する方向)に離れ、後述する通路73が形成されない位置関係をいうものとする。
【0038】
しかし、
図6に示すように、第1シャッタ板15を回転禁止位置(上部シールド板63に近い位置)に移動させた状態では、分離部72を構成する二重の凸部72aの隙間に分離71を構成する凸部の先端が挿入されて、分離部71と分離部72とでラビリンスが形成される。すなわち、分離部71と分離部72とで形成されたラビリンスによって、1つのターゲットTからスパッタされた原子が、上部シールド板13と第1シャッタ板15の隙間を通過して他のターゲットTに到達することを低減することができる。
【0039】
ここで、ラビリンスについて
図6に基づいて説明する。ラビリンスとは、分離部72と分離部71との間に形成される、少なくとも1つの屈曲部を有する隙間のことである。例えば、スパッタ粒子が通過する際にシャッタ板の回転軸に平行な方向に移動しなければ通過できないような通路73は、ラビリンスを形成する。換言すると、スパッタ粒子が分離部72と分離部71との隙間を通過する際に直進を妨げられる場合、該隙間はラビリンスを構成する。一例において、通路73の幅73Wは1mmでありうる。通路73の幅73Wが狭いほど、また、通路73の距離73Lが長いほどスパッタ粒子の通過を妨げる効果が高い。
【0040】
ラビリンスの部分では粒子が通過できる隙間が狭いため、スパッタされた粒子はラビリンスの部分を越えて移動することが困難になる。また、ラビリンスは入り組んだ構造に限定されない。分離部71と分離部72がいずれも単純な凸状若しくは板状部材で、これら部材を接近して配置した際に、これらの部材間に形成される隙間がスパッタ粒子の通過を妨げる部分を有する場合にもラビリンスが形成されているものとする。
【0041】
分離部71と分離部72とでラビリンスを形成するためには、第1シャッタ板15を上昇させるとき(閉鎖位置)の回転位置が制御されるべきである。本実施形態においては、第1シャッタ板15の回転位置を検出するため、マーク80a,80b(
図3参照)が一致した位置の第1シャッタ板15の回転角度を検出し、第1シャッタ板15を駆動する第1駆動装置21のコントローラに基準位置として記憶させる。例えば、第1シャッタ板15を駆動する第1駆動装置21を構成するモータとして回転角度を検出する機能を有するモータを使用することによって第1シャッタ板15の回転角度を検出することができる。
【0042】
ラビリンスを形成する際には、分離部71と分離部72とは接触しない位置関係であると望ましい。これは、分離部71と分離部72とが接触するとパーティクルが発生しうるためである。本実施形態では、分離部72を構成する二重の凸部72aの隙間は分離部71を構成する凸部の厚さよりも大きな寸法とされており、また、ラビリンスを形成する際には、分離部72を構成する二重の凸部72aの間の底部72bに対して分離部71を構成する凸部の先端が接触しないように第1シャッタ板15の上下方向の位置が設定されている。
【0043】
本実施形態によれば、上部シールド板13と第1シャッタ板15との隙間に、分離部71と分離部72とによってラビリンスを形成することができる。このため、1つのターゲットTからスパッタされた原子が、上部シールド板13と第1シャッタ板15の隙間を通過して他のターゲットTに到達すること(コンタミネーション)を効果的に防ぐことができる。
【0044】
上述した分離部71と分離部72とによって形成されるラビリンスは、上部シールド板13と第1シャッタ板15との間に形成されるため、シャッタ装置4から第2シャッタ板17を取り除いた構成であっても、他の隣り合うターゲット間でのコンタミネーションの発生を防ぐことができる。
【0045】
分離部71と分離部72は粒子の移動を防ぐことできれば、本実施形態で記載した構造に限られない。例えば、分離部72と分離部71の配置を逆にしてもよいことはもちろんである。また、第1シャッタ板15を上昇させた位置で互いの隙間が嵌り合うように形成した2つの凹部材で、分離部72および分離部71を置き換えてもよい。
【0046】
さらに、第1シャッタ板15を上昇させたときにラビリンスとしての隙間を形成できる2つの凸部で、分離部72および分離部71を置き換えてもよい。2つの凸部で分離部72および分離部71を置き換える場合は、第1シャッタ板15を上昇させたときに、第1シャッタ板15の回転軸に平行な方向に沿って延びる隙間が形成されると望ましい。
【0047】
(第2の実施形態)
図7A,7B,8に基づいて本発明の第2の実施形態に係る成膜装置について説明する。
図7Aは
図3のI−I線に相当する位置を通過するシャッタ装置54の断面図、
図7Bは
図3のII−II線に相当する位置を通過するシャッタ装置54の断面図である。
図8はII−II線に相当する位置を通過する断面を含むシャッタ装置54の斜視図(斜視断面図)である。第1の実施形態と同様の部材、配置等には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0048】
本実施形態のシャッタ装置54では、凸部を含む分離部82が第1シャッタ板(第1シャッタ部材)65に設けられ、凹部を含む分離部81(第2凸部)がターゲット電極ホルダー61側に設けられている。凸部を含む分離部82は、第2シャッタ板(第2シャッタ部材)67側にも張り出している。具体的には、本実施形態では、ターゲット電極CのターゲットTを囲む部分に凹部を含む分離部81が形成されている。本実施形態では、第1シャッタ板65に対して相対的に第2シャッタ板67を上昇させることができる。
【0049】
第1シャッタ板65を上昇させると、第1シャッタ板65に設けられた凸部を含む分離部82が、凹部を含む分離部81の隙間に挿入されたラビリンスが形成される。また、第2シャッタ板67を第1シャッタ板65に対して相対的に上昇させると、第2シャッタ板67の開口17aの内側に、第1シャッタ板65の第2シャッタ板67側に張り出している凸部を含む分離部82の下部側が挿入される。このため、ターゲットTからスパッタされた粒子が第1シャッタ板65と第2シャッタ板67との間の空間に入り込むことが低減される。
【0050】
分離部81は、カソード電極Tに取り付けられたシールド板に形成することができる。このため、コンタミネーションを起こす可能性のある粒子が第1シャッタ板65の上部側に侵入することを低減することができ、上部シールド板63をなくしても効果的にコンタミネーションを防ぐことができる。また、下方側に延長された分離部82によって、第1シャッタ板65と第2シャッタ板67との隙間に粒子が入り込むことを低減することができる。さらに、粒子が広がる範囲が狭いためメンテナンスが容易である。
【0051】
(第3の実施形態)
図9A,9Bに基づいて本発明の第3の実施形態に係る成膜装置について説明する。
図9Aは
図3のI−I線に相当する位置を通過するシャッタ装置64の断面図、
図9Bは
図3のII−II線に相当する位置を通過するシャッタ装置64の断面図である。第1の実施形態と同様の部材、配置等には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。本実施形態のシャッタ装置64では、第2シャッタ板67の複数の開口のうちの一部の開口に蓋体75が取り付けられている。
【0052】
第1シャッタ板65に対して相対的に第2シャッタ板67を上昇させると、使用しないターゲットT2の基板ホルダー側を蓋体75で塞ぐことができる。このため、基板ホルダー側の空間から飛来する粒子がターゲットT2に付着することを低減することができる。本実施形態によれば、第1シャッタ板65の上部側や、第1シャッタ板65と第2シャッタ板67の隙間に粒子が入り込むことを低減するのみならず、基板ホルダー側からの粒子がターゲットT2に付着することまで防ぐことができる。このため、コンタミネーションを防止する効果が極めて高い。
【0053】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0054】
本願は、2011年9月9日提出の日本国特許出願特願2011−196790を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。