特許第5662594号(P5662594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5662594媒体中に圧力波を発生させるための可動制御ロッドを有する圧力波発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662594
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】媒体中に圧力波を発生させるための可動制御ロッドを有する圧力波発生装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 3/08 20060101AFI20150115BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20150115BHJP
   F42B 6/00 20060101ALI20150115BHJP
   F15C 3/16 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   B01J3/08 H
   B06B1/06 Z
   F42B6/00
   F15C3/16
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-554758(P2013-554758)
(86)(22)【出願日】2012年2月8日
(65)【公表番号】特表2014-518527(P2014-518527A)
(43)【公表日】2014年7月31日
(86)【国際出願番号】CA2012000133
(87)【国際公開番号】WO2012113057
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2014年4月9日
(31)【優先権主張番号】61/446,965
(32)【優先日】2011年2月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511190568
【氏名又は名称】ジェネラル フュージョン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】マキルレイス ロン
(72)【発明者】
【氏名】センガー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー ダーシー
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン ダグラス エイチ
(72)【発明者】
【氏名】コストカ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ベル クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】ジンドラー ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ラベルジュ ミッシェル ジョルジュ
【審査官】 神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−022675(JP,A)
【文献】 特開昭50−120100(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0198486(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 3/08
B06B 1/06
B01J 19/00−19/32
B25D 1/00−17/32
F15C 3/16
F16J 1/00−1/24
F16J 7/00−10/04
F42B 6/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体において圧力波を発生するための圧力波発生装置であって、
第1の表面と、第2の表面と、前記第1の表面と前記第2の表面の間の長手方向軸を有する可動ピストンであって、前記ピストンの前記長手方向軸に沿って、前記第1の表面から少なくとも部分的に前記第2の表面に向かって延びるガイドを備えた、可動ピストンと、
内腔、第1の端部、及び第2の端部を有する筐体であって、前記ピストンが前記筐体の前記内腔の内部に少なくとも部分的に配置され、前記ピストンが前記筐体の前記内腔の内部を前記第1の端部から前記第2の端部に向かって前記ピストンの前記長手方向軸に平行な方向に沿って可動である、筐体と、
第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びる制御ロッドであって、前記制御ロッドの前記第2の端部は、前記ガイド内に挿入され、前記ガイド内を移動することができるように構成された、制御ロッドと、
前記内腔内における前記ピストンの移動中、前記ガイドから前記制御ロッドの前記第2の端部が外れることを阻止するように、前記ガイド内で前記制御ロッドの前記第2の端部を保持する手段と、
前記筐体の前記第2の端部に摺動可能に収容される変換器であって、前記ピストンと前記変換器の衝突の際に、前記ピストンの動きの運動エネルギーの一部を前記媒体における圧力波に変換するように構成された、変換器と、
前記可動ピストンを前記変換器に向かって加速するように構成された推進力発生装置と、を備え、
前記ピストンと前記変換器の衝突の際、前記制御ロッドの前記第2の端部が前記ガイド内を前記ピストンの前記第2の表面に向かって移動する、
ことを特徴とする圧力波発生装置。
【請求項2】
前記ガイドは、前記ピストンの前記長手方向軸に沿って前記第1の表面から前記第2の表面に向けて部分的に延びることを特徴とする、請求項1に記載の圧力波発生装置。
【請求項3】
前記ガイドは、前記ピストンの前記第1の表面における入口から第2の空洞まで延びる第1の空洞を備え、前記第2の空洞は、前記ガイドの前記第1の空洞から延びており、前記ガイドの長手方向に直交する方向における前記第1の空洞の断面積は、前記ガイドの長手方向に直交する方向における前記第2の空洞の断面積より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の圧力波発生装置。
【請求項4】
前記ガイドは、前記第1の空洞と前記第2の空洞の間に腰部をさらに備え、前記ガイドの長手方向に直交する方向における前記腰部の断面積は、前記第1の空洞の断面積より大きく、前記第2の空洞の断面積より小さいことを特徴とする、請求項3に記載の圧力波発生装置。
【請求項5】
前記制御ロッドの前記第2の端部を保持する手段は、
前記制御ロッドの前記第2の端部に取外し可能に取付けられる保持具を備え、
前記保持具は、前記保持具を前記ガイド内に挿入することを可能にする第1の向きを有し、前記保持具は、前記ガイド内に配置されたとき、第2の向き回転することができ、
前記保持具は、前記第2の向きにあるとき、前記ガイドから外れないように阻止される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の圧力波発生装置。
【請求項6】
前記ガイドは、前記ピストンの前記第1の表面において入口を有し、前記入口は入口断面積を有し、前記保持具は、前記第1の向きにあるとき前記ガイドの長手方向に直交する方向における第1の断面積及び前記第2の向きにあるとき前記ガイドの長手方向に直交する方向における第2の断面積を有し、前記保持具の前記第1の断面積は、前記入口面積より小さく、前記保持具の前記第2の断面積は、前記入口面積より大きいことを特徴とする、請求項5に記載の圧力波発生装置。
【請求項7】
前記制御ロッドの前記第2の端部と前記保持具との位置を固定するように構成されたロックをさらに備えることを特徴とする、請求項5に記載の圧力波発生装置。
【請求項8】
前記ピストンとは独立して前記制御ロッドを減速するように構成された緩衝器システムをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の圧力波発生装置。
【請求項9】
前記緩衝器システムは、
開口部を有しかつ流体を含むチャンバを備え、
前記制御ロッドの前記第1の端部は、前記変換器に向かう前記ピストンの移動中に、前記開口部を通して前記チャンバに入るように構成された緩衝器要素を備え、前記チャンバ内の前記流体は、前記ピストンが前記変換器に向かって移動すると前記緩衝器要素に抵抗力を与え、
前記緩衝器要素が前記チャンバ内で移動すると、前記チャンバから前記流体を流出させる1つ又はそれ以上の開口部を備える、
ことを特徴とする、請求項8に記載の圧力波発生装置。
【請求項10】
前記推進力発生装置は、前記ピストンを静止状態から前記変換器に向かって移動させるための初期推進力を印加するように構成された第1の動力発生装置と、前記ピストンを前記変換器に向けて加速するための付加的な推進力を印加するように構成された第2の動力発生装置を備えることを特徴とする、請求項1に記載の圧力波発生装置。
【請求項11】
前記第2の動力発生装置は、前記筐体に接続され前記可動ピストンに流体圧力を印加するための流体を貯留するように構成された圧力容器を備え、
前記筐体は、前記筐体の前記第1の端部の近くに配置された1つ又はそれ以上の流体ポートを備え、
前記ピストンは、前記ピストンが前記筐体の前記第1の端部に配置されると前記流体ポートを閉鎖し、前記ピストンが前記第1の動力発生装置の推進力によって前記筐体の前記第1の端部から離れて前記変換器に向かって移動すると前記流体ポートを開いて前記第2の動力発生装置との流体連通を提供する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の圧力波発生装置。
【請求項12】
前記変換器は、前記筐体の一部と接触して前記筐体の前記内腔内部への前記媒体の流入を阻止するシールを形成するように構成されたテーパ部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の圧力波発生装置。
【請求項13】
前記筐体の前記第2の端部に配置され、前記ピストンと前記変換器との衝突及び前記変換器の位置を検知するように構成された衝突検知システムをさらに備え、
前記衝突検知システムは、前記変換器の表面に対して付勢された遠位端を有するピンと、前記ピンにおける運動及び前記変換器の前記位置を検知するためのセンサとを備える、ことを特徴とする、請求項1に記載の圧力波発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、媒体中に圧力波を発生させるための圧力波発生装置に関する。
本出願は、2011年2月25日出願の「PRESSURE WAVE GENERATOR WITH MOVABLE CONTROL ROD FOR GENERATING A PRESSURE WAVE IN A MEDIUM」と題する米国特許仮出願第61/446,965号に対する35U.S.C.§119(e)に基づく優先権の利益を主張するものであり、その全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
低温又は低圧力において引き起こすことが困難な種々の化学反応を、高温高圧下では迅速且つ効率的に生成することができる。圧力波発生装置を用いて圧力波を生成し、これを用いて媒体を圧縮し、圧力波エネルギーの一部分を媒体に移転し、圧力波エネルギーの集中により媒体中にエネルギーを生成し、及び/又は媒体において化学反応若しくは物理変化を引き起すことができる。媒体は、固体でも液体でも気体でもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0163130号
【発明の概要】
【0004】
圧力波発生装置の種々の実施例及び圧力波発生装置を使用する種々の方法が提供される。種々の実施形態において、本方法及び発生装置を用いて、反応チャンバ内へ向けられる高強度圧力波を発生させ、増幅し、及び/又は使用して、チャンバ内の媒体における化学反応又は物理反応を開始し又は効率を高めることができる。例えば、本方法及び発生装置の実施形態を用いて、媒体の温度、圧力、エネルギー、及び/又は密度を高めることができるので、低い温度、圧力、エネルギー、及び/又は密度において達成することが困難又は不経済である反応を、本明細書で説明する方法及び発生装置の実施形態によってもたらされる高い温度、圧力、エネルギー、及び/又は密度において、より迅速及び/又は効率的に行うことができる。
【0005】
一態様において、媒体に結合された変換器とピストンの衝突中、ピストン内を前方に移動する制御ロッドを備えた、ピストンを有する圧力波発生装置が提供される。
【0006】
別の態様において、圧力波発生装置は、ピストン内のガイド内を移動又は摺動することができる制御ロッドを含む。圧力波発生装置は、ピストンと独立して制御ロッドを減速するように構成された緩衝器システムを含む。
【0007】
さらに別の態様において、圧力波発生装置には、高圧気体を直接ピストンの背後に噴射してピストンの移動を開始するための一連のバルブを備えた、ピストン発射及び駆動機構を備える。ピストンが圧力波発生装置筐体の内腔に沿って移動すると、ピストンは筐体内の気体ポートを露出又は開放し、これにより、付加的な高圧気体が噴射され、ピストンに付加的な運動力が印加され、媒体に結合された変換器に向かってピストンが加速される。
【0008】
一態様において、圧力波発生装置は、第1の表面及び第2の表面、並びに第1の表面と第2の表面の間の長手方向軸を有する可動ピストンを備える。ピストンは、ピストンの長手方向軸に沿って第1の表面から少なくとも部分的に第2の表面に向かって延びるガイドを備える。圧力波発生装置は、内腔、第1の端部、及び第2の端部を有する筐体も備え、ピストンは、少なくとも部分的に筐体の内腔の中に配置される。ピストンは、筐体の内腔の中を、第1の端部から第2の端部に向かって、ピストンの長手方向軸に平行な方向に移動することができる。圧力波発生装置は、第1の端部から第2の端部まで長手方向に延びる制御ロッドも備え、制御ロッドの第2の端部は、ガイド内に挿入され、内腔中のピストンの移動中にガイドから外れずにガイド内を移動できるように構成される。圧力波発生装置は、筐体の第2の端部に摺動可能に収容された変換器も備えることができる。変換器は、媒体と結合するよう構成し、変換器とピストンの衝突の際にピストンの運動エネルギーの一部分を媒体における圧力波に変換するように適合させることができる。圧力波発生装置は、可動ピストンを変換器に向かって加速するように構成された推進力発生装置も備えることができ、ピストンと変換器が衝突すると、制御ロッドの第2の端部がガイド内をピストンの第2の表面に向かって移動する。
【0009】
別の態様において、ガイドは、ピストンの第1の表面から、ピストンの第2の表面から離間された内側端まで長手方向に延びる。ガイドは、ピストンの第1の表面の入口から第2の空洞まで延びる第1の空洞を備える。第2の空洞は,ガイドの第1の空洞から延び、第1の空洞の断面積は、第2の空洞の断面積より小さい。ガイドは、第1の空洞と第2の空洞の間の腰部をさらに備えることができ、腰部の断面積は、第1の空洞の断面積より大きく、第2の空洞の断面積より小さい。
【0010】
一態様において、圧力波発生装置は、制御ロッドの第2の端部に取外し可能に取付けることができる保持具をさらに備えることができる。保持具は、保持具をガイド内に挿入することを可能にする第1の配向を有することができ、保持具は、ガイド内に配置されると、第2の配向に移動することができ、保持具は、第2の配向にあると、ガイドから外れないようにされる。保持具は、第1の配向にあるとき第1の断面積を有し、第2の配向にあるとき第2の断面積を有する。ガイドは、ピストンの第1の表面に入口を有し、入口は入口断面積を有する。保持具の第1の断面積は、入口面積より小さく、保持具の第2の断面積は、入口面積より大きいものとすることができる。圧力波発生装置は、制御ロッドの第2の端部を保持具に固定するように構成されたロックをさらに備える。ロックは、ロックピンを備えることができる。
【0011】
一態様において、圧力波発生装置は、ピストンと独立して制御ロッドを減速するように構成された緩衝器システムも含むことができる。緩衝器システムは、開口部を有するチャンバを備えることができ、チャンバは流体を含む。制御ロッドの第1の端部は、変換器に向かうピストンの移動中、開口部を通してチャンバに入るように構成された緩衝器要素を備えることができ、チャンバ内の流体は、ピストンが変換器に向かって移動すると、緩衝器要素に抵抗力を与える。緩衝器要素は、チャンバへの開口部の断面積より小さい断面積を有し、チャンバ内の流体は、緩衝器要素がチャンバ内で移動すると、チャンバから流出することができる。緩衝器システムは、緩衝器要素がチャンバ内で移動すると流体がチャンバから流出できるように、1つ又はそれ以上の開口部を含むことができる。1つ又はそれ以上の開口部は、制御ロッドに所望量の減速又は抵抗力を与えるように構成することができる。
【0012】
別の態様において、推進力発生装置は、ピストンを静止状態から変換器に向かって移動させる初期推進力を印加するように構成された第1の動力発生装置を備える。推進力発生装置は、第2の動力発生装置も備えることができる。第2の動力発生装置は、筐体に接続され、可動ピストンに流体圧力を印加するための流体を貯留するように構成された圧力容器を備えることができ、筐体は、筐体の第1の端部の近くに配置された1つ又はそれ以上の流体ポートを備える。ピストンは、ピストンが筐体の第1の端部に配置されると流体ポートを閉じ、ピストンが第1の動力発生装置の推進力によって筐体の第1の端部から離れて変換器に向かって移動すると、流体ポートを開いて第2の動力発生装置との流体連通を提供するように構成することができる。
【0013】
一態様において、変換器は、筐体の一部と接触して媒体が筐体の内腔に流入するのを阻止するシールを形成するように構成されたテーパ部分を含む。
【0014】
さらに別の態様において、圧力波発生装置は、筐体の第2の端部に配置され、変換器とピストンの衝突を検知するように構成された衝突検知システムをさらに備えることができる。衝突検知システムは、変換器の表面に対して偏向された遠位端を有するピンと、ピンの移動を検知するセンサとを備えることができる。
【0015】
一態様において、ピストンシステムが開示される。ピストンシステムは、圧力波発生装置の実施形態と共に使用することができる。ピストンシステムは、第1の表面及び第2の表面、並びに第1の表面から第2の表面まで延びるピストン軸を有するピストンを備えることができる。ピストンは、ピストン軸に沿って第1の表面から少なくとも部分的に第2の表面に向かって長手方向に延びるガイドをさらに備えることができる。ピストンシステムは、第1の端部及び第2の端部を有するロッドも含むことができる。ロッドの第2の端部は、ガイド内に配置し、ロッドの第1の端部がガイドの外にとどまる間、ガイド内を移動するように適合させることができる。ピストンシステムは、ロッドの第2の端部をガイド内に保持し、ロッドの第2の端部がガイドから外れるのを阻止するように適合された保持具も含むことができる。
【0016】
一態様において、ガイドは、ピストンの第1の表面にある入口から、第2の空洞まで延びる第1の空洞を備え、第2の空洞は第1の空洞からガイドの内側端まで延びる。内側端はピストンの第2の表面から離間することができ、第1の空洞の断面積は、第2の空洞の断面積より小さい。
【0017】
別の態様において、保持具は、ロッドの第2の端部に取外し可能に取付けることができる。保持具は、保持具をガイド内に挿入することを可能にする第1の配向を有することができ、ガイド内に配置されると第2の配向に移動することができる。保持具は、第2の配向にあって、かつロッドに取付けられると、ロッドの第2の端部がガイドから外れるのを阻止又は防止することができる。
【0018】
さらに別の態様において、ガイドは、ピストンの第1の表面に入口を有し、入口は入口断面積を有する。保持具は、第1の配向にあるとき第1の断面積、及び第2の配向にあるとき第2の断面積を有する。保持具の第1の断面積は、入口面積より小さく、保持具の第2の断面積は、入口面積より大きいとすることができる。ピストンシステムは、ロッド及び保持具を第2の配向に固定するように構成されたロックをさらに備えることができる。
【0019】
一態様において、圧力波発生装置は、媒体に結合されるように構成された変換器と、ピストン内に内側端を有するガイド空洞を有する可動ピストンとを備える。制御ロッドは、第1の端部と第2の端部の間を延び、第2の端部は、可動ピストン内のガイド空洞内に配置されて可動である。制御ロッドの第2の端部は、ピストンの移動中、ガイド空洞内に保持されるように構成することができる。圧力波発生装置は、可動ピストンを変換器に向けて加速するように構成された推進力発生装置を含むことができる。ピストンと変換器が衝突すると、制御ロッドの第2の端部はガイド空洞の内側端に向かって移動する。
【0020】
別の態様において、制御ロッドの第2の端部は、配向可能な保持具を備え、保持具は、保持具をガイド空洞内に挿入することを可能にする第1の配向と、保持具がガイド空洞から外れることを阻止する第2の配向とを有する。
【0021】
別の態様において、推進力発生装置は、可動ピストンに流体圧力を印加する流体を貯留するように構成された第1の空洞と、少なくとも部分的に真空にされて第1の空洞から流体を受入れるように構成された第2の空洞とを備えた、第2の動力発生装置を備える。可動ピストンは、受入れられた流体の流体圧力に応じて第2の空洞内を変換器に向かって加速するように構成することができる。推進力発生装置は、静止状態からピストンの移動を開始するための推進力を印加するように構成された第1の動力発生装置をさらに備える。
【0022】
一態様において、圧力波発生装置は、変換器に向かうピストンの移動の少なくとも一部分に対して制御ロッドを減速する減衰力を印加するように構成された緩衝器システムをさらに備える。緩衝器システムは、流体を含有する空洞を備え、制御ロッドは、ピストンの移動の少なくとも一部分の間、空洞に入るように構成された1つ又はそれ以上の緩衝器要素を備えることができる。空洞内の緩衝器要素にかかる流体抵抗が減衰力を提供することができる。
【0023】
上述の態様及び実施形態に加えて、図面の参照及び以下の詳細な説明の検討により、さらに別の態様及び実施形態が明らかとなるであろう。
【0024】
図面を通して、言及される要素の対応関係を示すために参照数字が再使用される可能性がある。図面は、本明細書において説明される例示的実施形態を図示するために提供され、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ガイドとガイド内を摺動可能な制御ロッドとを有する可動ピストンを有する圧力波発生装置の一つの実施形態の概略断面図である。例示の圧力波発生装置は、制御ロッド緩衝器システム及びピストン発射システムを含む。
図1A】保持具を有するピストンガイドの一つの実施形態を概略的に示す断面図である。この図は、保持具がピストンガイド内に挿入される前のピストンガイドを示す。
図1B】ピストンガイド内の保持具に取付けられた制御ロッドの一つの実施形態の概略断面図である。
図2】ピストンが始動位置にある圧力波発生装置の一つの実施形態を概略的に示す断面図である。
図3】ピストンが前方に移動し(例えば、図2の始動位置から離れて)、ピストンに付加的推進力を印加することができる開放した気体ポートを示す、圧力波発生装置の一つの実施形態を概略的に示す断面図である。
図4】変換器の一つの実施形態を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
概要
媒体に圧力波を発射するためには、例えば、媒体表面に対する直接機械的衝撃の印加、デトネーション、爆発、電気火花、強力放射ビーム、振動及び増幅機構など種々の方法を用いることができる。
【0027】
圧力波発生装置の例は、同一出願人による特許文献1に記載され、同文献の全体が引用により本明細書に組み入れられる。同文献は、媒体に圧力波(又は複数の圧力波)を発生させるための圧力波発生装置の例について記載する。同文献に記載されている例示的な圧力波発生装置、発生装置の構成要素、又は発生装置を動作させる方法のいずれかを、本明細書で説明する圧力波発生装置及び方法の実施形態において使用することができる。圧力波を用いて媒体を圧縮し、媒体の温度、圧力、エネルギー、及び/又は密度を上昇させることができる。圧力波は、媒体に結合された変換器に対する加速したピストンの機械的衝突によって発生させることができる。変換器は、可動ピストンの運動エネルギーを少なくとも部分的に媒体における圧力波に変換することができる。集束する媒体内の材料を密封し圧縮することができる高エネルギー圧力波を得るために、場合によりピストン位置及び衝突時間の相当に正確なタイミング及び制御を用いる必要がある。
【0028】
幾つかの実施において、ピストン衝突及びタイミングの制御は、ピストンに推進力及び制動力を印加すること、及びピストン位置を監視することによって行うことができる。衝突タイミングを制御する1つの可能な方法は、ピストンに取付けられた剛性ロッドを用いることである。ロッドは、例えばブレーキによって与えられる制動力を印加することができる表面を与える。さらに、ピストンロッドを用いてピストン位置を監視することができる。幾つかの実施において、変換器に衝突する際のピストンの比較的急激な減速は、例えば、ロッドの座屈、取付け位置の剪断、又は反発による張力破壊などロッドの損傷を引き起す可能性がある。
【0029】
従って、本開示は、幾つかの実施において、衝突の際の制御ロッドの損傷を減少させることができる圧力波発生装置及びピストンの実施形態を提供する。
【0030】
圧力波発生装置の実施例
図面を参照すると、図1に圧力波発生装置10の一つの実施形態の概略断面図を示す。圧力波発生装置10は、円筒型筐体15、第1の端部16及び第2の端部17により定まる内腔15aを有する円筒型筐体15と、筐体の内腔15a内で可動のピストン11と、筐体の第2の端部17に配置された変換器14とを含む。筐体15の第2の端部17は、開放端部として、その中に変換器14を摺動可能に収容することができる。筐体15の第1の端部16は、少なくとも部分的に閉じることができる。内腔15aは内腔軸15bに沿って長手方向に延びることができる。ピストン11は、第1の表面11aから第2の表面11cへの方向に沿って延びる長手方向ピストン軸11bを有することができる。第2の表面11cは、変換器14に面する。ピストン11は、内腔15a内を第1の端部16から第2の端部17の変換器14に向かって、内腔軸15bに沿って可動である。ピストンの長手方向軸11bは、ピストン11が内腔15a内をピストン軸11bに平行な方向に沿って移動するように、内腔軸15bと概ね同一直線とすることができる。
【0031】
筐体15の内腔15aは、ポンプシステム(図示せず)で排気して少なくとも部分的に真空領域を形成することができる。幾つかの実施において、内腔は、ポンプシステムで少なくとも部分的に排気して、内腔内の圧力を周囲圧力に比べて低減させることができる。変換器14は、ピストン11による衝突の際に筐体の第2の端部17に対して軸方向に僅かに移動させることができる。変換器14は、筐体の内腔15aに面する内側衝突表面14aと、固体、液体、気体、又はプラズマなどの媒体に結合することができる外側表面14bとを備える。変換器14は、ピストン11が衝突した際に変換器が媒体内に外れることを防止する保持機構18をさらに含む(図4に示す例示的変換器も参照)。筐体15は、第1の端部16の近傍において円筒型筐体15の周りに形成され、ピストンの内腔15aがそれを通して圧力容器20と連通する、複数の流体ポート19を含むことができる。圧力容器20は、加圧流体(例えば、気体)を貯留することができ、この流体がポート19を通って流れ、ピストン11を内腔軸15b(又はピストン長手方向軸11b)に沿って変換器14に向かって加速して、ピストンの第2の表面11cを変換器14の衝突表面14aに衝突させることができる。ピストン11と変換器14の衝突が、変換器14を内腔軸15bに沿って媒体内へ移動させ、それにより媒体において圧力波が生成される。
【0032】
図示した実施形態において、ピストン11及び変換器14は略円筒型であり、円筒型内腔15a内に嵌合する。これは限定事項ではなく、他の実施形態においては、ピストン11、変換器14、及び/又は内腔15aは他の形状(例えば、多角形等の他の断面形状)を有することができる。
【0033】
ピストン11は、制御ロッド13を少なくとも部分的にガイド12内に挿入できるように構成できる、ガイド12を備えることができる。図示した実施形態において、ガイド12は、第1の表面11aから第2の表面11cに向かってピストン本体を部分的に貫通し延びる中央の細長い空洞を備える。ピストンガイド12は、制御ロッド13の遠位(又は第2の)端13aを受け、制御ロッド13をガイド12内で移動又は摺動できるようにする。制御ロッド13の近位(又は第1の)端13bは、ガイド12の外に留まる。ガイド12は、ピストン本体内で一定の長さまで延びることができる。幾つかの実施において、ガイド12は、ピストン11本体の略全体を通って(例えば、第2の表面11cまで完全に)延びることができる。他の実施において、ガイド12は、ピストン本体内で、ピストン本体全体の長さよりは小さいが、種々の深さまで延びることができる。ガイド12の長さは、ピストン11が変換器14と衝突する際に、ピストン11が内腔15a内部を移動する間ガイド12から外れずに、ロッド13がガイド内を摺動又は移動するのに十分な経路を提供するように、選択することができる。
【0034】
幾つかの実施において、ピストン11は、直径約300mm、質量約100kg、及び長さ約180mmの略円筒型の本体を有することができる。ピストン11は、金属等の剛性材料から形成することができる。ガイド12は、ピストンの円筒型本体内に同心状に配置され、ガイド開口部の直径約50mm及び長さ約140mmの細長い空洞とすることができる。ガイド12は、円筒型、円錐型又は任意の他の断面を有することができる。図示した実施形態において、ガイド12は、略球状の部分(例えば、半球状)である形状を有する内側端21を有し、ガイド12の内側端21への応力集中を削減する又は最小化する。例えば、多角形等の他の断面形状のガイドを用いることができ、内側端(又はガイドの他の部分)は、図1に示したものとは異なる形状(例えば、平坦、円錐など)とすることができる。
【0035】
図1Aは、保持具22を有するピストンガイド12の一つの実施形態を概略的に示す断面図である。図1Aは、保持具22がピストンガイド12の中に挿入される前のピストンガイド12を示す。図1Bは、制御ロッド13の遠位端13aがピストンガイド12内部の保持具22aに取付けられた、ピストン11の一つの実施形態の略断面図である。図1A及び図1Bに概略的に示した実施形態において、ガイド12は,第1の空洞12aに隣接する第2の空洞12bを備える。ガイド12の内側端21は第2の空洞12bの遠位端に配置される。第2の空洞12bは、腰部12cで狭くなり、第2の空洞12bより小さい断面積を有する第1の空洞12aに隣接する。第1の空洞12aは、ピストン11の表面11aにおいて入口開口部104を有する。図示した実施形態において、入口104は円形状を有するが、制御ロッド13を受けるように構成された任意の他の形状を用いることができる。
【0036】
一つの実施において、入口104は、直径約30mmの円形とすることができる。第2の空洞12bは、約50mmの直径及び約120mmの長さを有し、一方、第1の空洞12aは、約30mmの直径及び約15mmの長さを有することができる。腰部12cは、鋭角を避けるように湾曲面を有することができる。
【0037】
図1A及び図1Bに示すように、圧力波発生装置10は、制御ロッド13の一部をガイド12内に保持するための保持具22をさらに備えることができる。一つの実施形態において、保持具は、ロッド13の一部をガイド12内に保持し、ロッドの一部がガイド内を略自由に移動できるようにするが、ロッド13の遠位端13aがガイド12の外に、すなわちピストン11から外れることを防ぐ、成形ナット22aとすることができる。
【0038】
保持具22の実施形態を図1A及び図1Bに概略的に示す。図1Aにおいて、保持具22は、制御ロッド13を挿入して固定することができる開口部103を有する半球状本体101を備えた成形ナット22aを備える。成形ナット22aは、取り外され、それにより2つの対向する平坦面102を形成する、2つの部分を有することができる。成形ナット22aは、ガイド22及び入口104に対する成形ナット22aの配向に応じて2つの異なる断面を有することができる。第1の配向(例えば、図1Aを参照)において、成形ナット22aは、ガイド12の壁に面する開口部103を有する横向きであり、そのため成形ナットの断面は第1の空洞12a(及び入口開口部104)の断面より小さく、ナット22aを、入口開口部104及び第1の空洞12aを通して挿入し(第1の配向にあるとき)次いで第2の空洞12bに挿入することができる。成形ナット22aが第2の空洞12b内にあると、ナット22aを、開口部103が入口104に面する(例えば、図1Bを参照)第2の配向に回転させて、その断面が第1の空洞12a及び入口開口部104の断面より大きくすることができる。従って、成形ナット22aが、第2の空洞12b内で第2の配向にあるとき、ナット22aは、入口開口部104を通ってガイド12から出ないよう防止される。
【0039】
図1Aは、成形ナット22aが入口104を通してガイド12内部に挿入される前のガイド12に対する保持具22の配向を概略的に示す。二つの対向する平坦面102が、成形ナット22aを、入口104を通して第1の空洞12aさらに第2の空洞12bに挿入するための隙間を得る助けとなる。ひとたびナット22aがガイド12の第2の空洞12bに入ると、ナットを回転させて、開口部103を入口104に向けて、制御ロッドを保持具22に接続することができる。成形ナット22aは、ナットの遠位端の形状がガイドの内側端21の形状に略一致するように成形することができる(図1Bを参照)。
【0040】
図1Bは、成形ナット22a、及び、ナット22aに取付けられ、かつピストンガイド12内に挿入された制御ロッド13の遠位端13aを概略的に示す。ナット22aが図1Bに示す位置にあるとき、ナット22aの断面は、第2の空洞12bの断面より僅かに小さいため、ナット22aは、第2の空洞12b内で略自由に移動することができる。ナット22aの断面は、第1の空洞12aの断面(及び/又は開口部104)より大きいので、圧力波発生装置の動作中、ナット22aはガイド12から出ないように阻止される。保守作業のために、ナット22aから制御ロッドを取り外すことによりガイド12からナット22aを取り外し、ナット22aを回転させて、入口104を通して空洞12b、空洞12aから取り外すことができる。一つの実施において、ナット22aを空洞12b、12a及び開口部104を通して挿入又は取り出すために、ナット22aを回転させるように設計された工具を用いてナット22aを回転させることができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、保持具22は、制御ロッド13及び保持具22を固定位置に固定するためのロックをさらに備えることができる。ロックは、制御ロッド13上の狭い溝に配置されるロックピン(例えば、ロックワイヤ)106を含むことができる(例えば、図1Bを参照)。ロックピン106は、成形ナット22aの開口部103の近傍において保持具22に形成された開口部105を貫通する(例えば、図1Aを参照)ように適合させて、制御ロッド13が保持具22に締結されると、ロックピン106を開口部105と位置合せすることができる。ロックピン106は、開口部105を貫通することができ、それにより制御ロッド13をナット22aに対して略固定位置に固定することができる。例えば、ひとたび保持具22がロッドの第2の端部13aに締結(例えば、ねじ止め)されると、ロックピン106は開口部105を貫通し、それにより、保持具22及びロッド13の位置を固定するので、保持具22が緩んでロッド13から外れるのが防止される。幾つかの実施形態において、複数のロックを用いることができる。他の実施形態において、異なるロック機構を用いて、制御ロッド13及び保持具22を略固定位置に固定することができる。
【0042】
幾つかの取付け方法において、保持具22は、ピストンガイド12内に挿入され、次いで開口部103が入口開口部104に面するまで約90度回転される。次に制御ロッド13が開口部103内に挿入され保持具22に締結され(例えば、ねじで)、ロックピン106が開口部105と位置合せされてその中に挿入され、制御ロッド13及び保持具22の位置を固定する。ロッド13が固定され保持具にロックされると、ロッド13(及び保持具22)は、ガイド12の第2の空洞12b内で移動又は摺動できるが、保持具22の断面サイズにより、保持具22及び制御ロッド13の遠位端13aが、第1の空洞又は開口部104を通ってガイド12から出ることが実質的に防止される。従って、制御ロッド13の遠位端13aは、ガイド12の長さに沿って移動できるが、ガイド12からずれるか又は外れることは阻止される。
【0043】
図1に示す例示的な圧力波発生装置をさらに参照すると、ピストンガイド12内で遠位端13aと対向する、制御ロッド13の近位端13bは、緩衝器システム24内へ移動するとピストンとして作用するように構成された円板23に接続することができる。他の実施形態において、1つ又はそれ以上の(円板等の)緩衝器要素を制御ロッド13の長さに沿ってガイド12の外部に(円板23に加えて又は代替として)配置して、緩衝器システム24においてロッド13を減速させることができる。緩衝器システム24は、ピストン11の移動とは独立して制御ロッド13を減速することができ、それにより、ロッド13にかかる応力を低減する又は最小化することができる。緩衝器システム24は、(例えば、図1に概略的に示すような)空気圧緩衝器、油圧緩衝器、及び/又は電磁緩衝器/ブレーキを含むことができる。空気圧又は油圧緩衝器には、制御ロッドの減速を調整してロッド13にかかる応力を低減する又は最小化することができる、調整可能バルブ25を取付けることができる。幾つかの実施において、緩衝器システム24は、円板23が緩衝器システムに入る入口開口部を有する円筒型本体を含むことができる。別の実施形態において、緩衝器システム24は、円錐形に成形することができる(図1を参照)。緩衝器システム24の長さ及び/又は断面積は、制御ロッド13に所望の減速又は減衰力を提供するように(円板23のサイズ等の他の要因の中で)選択することができる。
【0044】
幾つかの実施において、緩衝器システム24は、緩衝器システム24の長さに沿って変化するプロファイルを有することができる。例えば、緩衝器システム24は、第1の部分が略円筒型で、第1の部分に隣接する第2の部分がベル形状を有する本体を有することができる。緩衝器システム24の第1の部分は、エラストマー材料、可塑性材料、又は剛性ゴム材料、又は任意の他の耐衝撃材料で作成された入口を有することができる。かかる材料の使用は、円板23が緩衝器システム24の入口に衝突すると、入口は壊れずに降伏するという点で有利であり得る。円板23は、緩衝器システム24の入口にあると、気体が緩衝器システム24(例えば空気圧緩衝器システム)から流出することができる隙間を提供するサイズ及び形状にすることができる。例えば、円板23は、緩衝器システム24への入口の断面積より僅かに小さい断面積を有することができる。緩衝器システム24は、幾つかの場合、緩衝器システム24の長さに沿って配置された少なくとも1つの付加的な開口部をさらに備え、それを通って気体が緩衝器システム24から流出することができる。一つの実施において、異なる数又はサイズの開口部を緩衝器システム24内の種々の位置に配置又は形成し、緩衝器システム24から気体を流出させて、制御ロッド13を減速するために印加される減衰力を制御又は加減することができる。
【0045】
1つの例示的な操作方法において、内腔の閉止端16に近いピストン11の始動位置において、保持具22及び制御ロッド13は、それ自体の始動位置にある。保持具22及び制御ロッド13の遠位端13aは、ガイド12の内側端21から離間することができる。ピストン11を前方に加速して変換器14に衝突させることができる。ピストン11と変換器14の衝突の際、保持具22を有する制御ロッド13の遠位端13aは、ガイド12内部を前方に移動し、それにより、ロッド13に対する応力を減らすことができる。制御ロッド13の遠位端13aがガイド12内で前方に移動すると、円板23は、緩衝器システム24内を前方に移動する。空気圧緩衝器システムにおいて、円板23の移動が緩衝器システム24内の気体(例えば,空気)を圧縮し、制御ロッド11を減速させる。従って、緩衝器システム24は、ロッド13を減速するように機能し、ロッドにかかる応力を低減又は最小化する。
【0046】
一つの実施形態において、緩衝器システム24は、例えば、圧電調整可能バルブ等の高速調整可能バルブを備え、これを衝突タイミング制御機構29の一部分として用いることができる。高速調整可能バルブを用いて、変換器と衝突する前にロッド13に対する力を調整し、それにより、変換器14と衝突する前のピストンの移動の最終部分(例えば、円板23が緩衝器システム24に入るときの移動の部分の間)のピストン速度を変えることができる。
【0047】
ひとたび、ピストン11が内腔の端部16に近い始動位置に戻ると、制御ロッド13は、その始動位置に戻るための力を印加することによってガイド12内の始動位置に戻すことができ、ロッド13の遠位端13a及び保持具22は、ガイド12の内側端21から離間される。
【0048】
幾つかの実施において、ピストン11の変換器14への衝突のタイミングは、制御システム29によって制御することができる。制御システム29は、1つ又はそれ以上のプロセッサ、コントローラ、又は汎用若しくは専用コンピューティングハードウェアを含むことができる。圧力波発生装置10は、制御ロッド13に制動力を印加するためのブレーキ26を備えることができる。例えば、ブレーキ26は、磁気渦電流ブレーキ、摩擦ブレーキ、圧電制御可能ブレーキなどを含むことができる。制御ロッド13は、制御システム29が、光学システムを用いて位置エンコーダ28によりロッドのマーキング27を読み取ることにより、ピストンの位置を監視することができるように、マーキング27をさらに含むことができる。エンコーダ28は、ピストンの位置に関する信号を制御システム29に送ることができる。
【0049】
種々の実施において、制御システム29は、ピストン11と変換器14の間の衝突のタイミングを制御すること及び/又は発生装置10内部のピストンの移動の少なくとも一部に対するピストン11の速度及び/又は位置を制御することができる。一つの実施において、制御システム29は、エンコーダ28からピストン位置の信号を入力として受取ることができ、出力信号を、ブレーキ26及び/又はピストン発射システム200(例えば、図2を参照)の一部であるバルブ30に送ることができる。例えば、制御システム29は、ピストン11の1つ又はそれ以上の以前の発射の制御情報にアクセスすることができ、かかる制御情報を用いてピストン11の続く発射の制御パラメータを調整することができる。制御情報は、例えば、ピストンの軌道、発射システムの遅延、発生装置10内部の気体圧力、筐体15内の摩擦の測定値又は決定値、衝突時における変換器14に対するピストン11の位置などを含むことができる。制御システム29は、例えば、発射タイミング、気体圧力、変換器/ピストンの位置などを調整して、衝突力及び/又は衝突時間を調整することができる。制御システム29は、制御情報を恒久的に又は他の方式で格納するために用いることができる1つ又はそれ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含むか又はそれらと連通することができる。例えば、制御システム29は、制御情報を格納する揮発性又は不揮発性記憶デバイスと連通する物理的コンピューティングデバイスを含むことができる。
【0050】
種々の型式のブレーキシステムを用いて、ロッド13に制動力を印加することができる。引用によりその全体が本明細書に組み入れられる同一出願人による特許文献1は、圧力波発生装置10の実施形態において用いることができるブレーキシステムの幾つかの実施形態について記載している。例えば、ブレーキ26は、圧電作動摩擦ブレーキ、ソレノイド作動摩擦ブレーキ、(例えば、渦電流を用いる)電磁ブレーキなどを含むことができる。幾つかの実施形態において、ブレーキ26には、所望の制動力を予荷重することができる。他の実施形態において、ブレーキ26の予荷重力は、例えば、ロードセル(図示せず)によって正確に測定し制御することができる。一つの実施において、ロードセルは、ブレーキシューに接続しかつ電圧駆動装置と電気的に連通することができる圧電アクチュエータを備えることができる。ボルトをアクチュエータに接続し、ボルトを締めることによってブレーキに予荷重することができる。圧電アクチュエータが圧搾又は圧縮されると、アクチュエータは、電流(電圧)を発生する。アクチュエータによって発生した電圧の測定は、ブレーキの予荷重力の測定値を提供ことができる。ピストン位置及び制動力の正確な測定及び制御により、制御システム29による衝突タイミング及び/又は衝突力の正確な制御を可能にできる。幾つかの実施において、制御システムは、衝突タイミングを約±10μsの精度で制御することができる。
【0051】
圧力波発生装置10を操作する幾つかの方法において、連続する「発射」においてピストン11が変換器に繰返し衝突させられる。発射のタイミング、ピストンの速度(又は運動エネルギー又は運動量)などの較正が望ましい場合がある。幾つかの場合、ピストン11の変換器14に対する連続する発射を較正するために、ピストン11が変換器14に衝突する瞬間を正確に決定することができる。衝突の力は、ピストン又はピストン筐体の1つ又はそれ以上の表面に対して相当の負荷を発生させる場合がある。かかる負荷を用いて、変位又は加速の測定により衝突タイミングを検知することができる。幾つかの場合、測定精度は、音響経路のばらつきによって影響される場合がある。例えば、衝突センサがピストン筐体15の上部に配置され、衝突力がピストン筐体の下部に初めに印加され又は受けられる場合、筐体15の上部にある衝突センサは、圧力信号がピストン11又は筐体15を横切って伝搬するまで衝突による信号を受取らない。例証的な一つの例として、直径300mmの鋼製ピストン及び鋼体内で5km/sの音速においては、筐体15の上部のセンサ表示の遅れは約60μsとなり得る。従って、圧力波発生装置10の幾つかの実施形態では、衝突の際に変換器14の半径方向の拡張を検知することができる衝突検知センサ31が用いられる。かかる衝突検知センサ31は、ピストンの衝突時の変換器の位置、及びその初期位置(衝突前の位置)への復帰を監視するための位置センサとして用いられるようにさらに構成できる。幾つかの実施形態においては、複数の衝突検知センサ31を用いることができる。
【0052】
衝突検知センサ31は、変換器14を収容する筐体15の一部、例えば変換器座400(例えば、図4を参照)上に配置して、変換器14と連通することができる。図1は、筐体15の上部への、衝突検知センサ31の例示的な配置を概略的に示す。衝突検知センサ31は、ピン及び加速度計又はピンにおける移動を検知することができる任意の他のセンサを含むことができる。ピンは、例えばバネ等の付勢要素により変換器14に対して予荷重することができる。機械的バネ、気体差圧、又は気体ストラットを付勢要素として用いることができる。衝突検知センサ31は、変換器14を大気から略密封するためのシールをさらに含むことができる。付勢要素が気体差圧センサを備える実施形態において、シールはオプションとすることができる。衝突検知センサ31は、変換器14の(例えば、変換器14が座400の初期位置に戻る際)位置を示すためのスイッチをさらに含むことができる。幾つかの実施において、衝突検知器は、センサ31(加速度計及び/又は位置スイッチ)が過熱するのを防ぐための冷却システムを備えることができる。
【0053】
衝突検知センサ31内のピンは、十分に高い音速と、生じる応力に耐える能力とを有し、変換器14の半径方向の拡張を加速度計に伝達することができる金属又は任意の他の材料から形成することができる。ピストン11の衝突の際に、変換器14を横断する圧力波を検知するために、ピンは、変換器14に向かって延び、ピンの遠位端は変換器14に接触する必要がある。他の実施形態において、衝突検知センサ31は、変換器14の半径方向の拡張を検知できるセンサを備えることができる。衝突検知センサ31は、変換器の表面上に直接配置できる、光センサ又は容量性センサを含むことができる。
【0054】
図2は,ピストン筐体15に取付けられた圧力容器20を備える圧力波発生装置10の一つの実施形態の断面図を概略的に示す。図2において、ピストン11は内腔15aの第1の端部近傍の始動位置に示される。圧力容器20は、締結機構202(例えば、ボルト)を用いてピストン筐体の第1の端部16に締結することができ、圧力容器20内の流体(例えば、気体)は、ポート19を通してピストンの内腔15aと流体連通することができる(例えば、図1及び図3を参照)。加圧気体貯留槽203及び制御バルブ208は、加圧気体を圧力容器20内に供給することができる。ピストン11を変換器14に向かって発射するための種々の可能な方法は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる同一出願人による特許文献1に記載されている。
【0055】
圧力波発生装置10の幾つかの実施において、ピストン動作(発射)の開始のタイミングを正確に測定又は制御して変換器14との衝突のタイミング(衝突)の制御を改善することができる。幾つかのかかる実施において、ピストンに推進力を与えるための高費用効率かつ容易な制御方法は、加圧気体を用いることによる。ピストン11を変換器14に向かって発射及び加速する1つの例示的な方法において、圧力容器20が初期圧力にする一方、ピストンは、制御ロッドに制動力を印加する(例えば、ブレーキ26により)ことにより静止位置に保たれる。発射時に、制動力は急速に(幾つかの実施形態において圧電ブレーキアクチュエータを用いる場合、数マイクロ秒の単位)解放され、加圧気体の力がピストン11を変換器14に向かって加速することができる。かかる特定の実施形態において、ブレーキパラメータが正確に予測されないと、加圧気体駆動装置が時期尚早の発射を引き起す場合がある。また、幾つかのかかる実施形態は、発射時のピストン背後の容積の増加がピストンを押す圧力を急速に低下させる傾向があるので、ピストンの運動を僅かに減速させる傾向があり得る。
【0056】
従って、圧力波発生装置10の特定の実施形態では、空気圧(パフ)バルブ30等の一連の時限式バルブを備え、高圧気体をピストン背後の比較的小さい容積36(例えば、図1及び図2を参照)に直接噴射し、ピストン11に印加する初期推進力を調整するために用いることができる、発射システム200を採用する。バルブ30は、独立して調整される気体供給源205(例えば、加圧空気)と連通することができる。他の実施形態において、気体供給源205は、一次気体供給源(加圧気体貯留槽203など)とすることができる。一つの実施形態において、圧力容器20内の加圧気体を用いて容積36に高圧気体を供給することができる。独立した気体供給源205を各パフバルブ30に対して調整し、幾つかの実施において数十マイクロ秒以内での開放同期を達成することができる。パフバルブ30は、チャネル210を通して加圧気体をピストン背後の小容積36内に噴射することができる。図1及び図2に概略的に示すように、容積36は、ピストンの背面11aと筐体の第1の端部16との間に形成された比較的小さな隙間とすることができる。操作の一つの方法において、最初の発射気体圧力を容積36内に導入することができる一方、ピストンは、制御ロッド(図2には示さず)に制動力を印加することによって静止位置に保持される。発射の際、制動力を解放すると、容積36内の加圧気体は、ピストン11の移動を開始するための初期推進力を提供することができる。容積36の加圧気体は、ピストン11に初期推進力を印加して一組の気体ポート19(例えば、図3を参照)を通過させ、このポートを通して圧力容器20内に貯留された追加の加圧気体をピストン11に印加してピストン11を変換器14に向かって加速することができる。かかる実施形態において、ピストン11は、気体ポート19のバルブとして作用して圧力容器20を開き、ピストン11が気体ポート19を通過した後にピストン11の背面に追加の推進力を導入する。
【0057】
例えば、発射システム200は、気体を約100psi(1psi=1ポンド毎平方インチ≒6,895パスカル)で容積36内に噴射し、ピストン11を速度約2m/sでピストンの内腔を通って前方へ移動させ始めるための、4つのバルブ30を含むことができる。ひとたびピストン11が気体ポート19を通過すると、圧力容器20から約350psi又はそれ以上の高圧気体がピストン11の背後の容積に入り、ピストンを約30乃至100m/sの速度に加速する。
【0058】
一つの実施形態において、発射システム200は、ピストン11に初期推進力を提供するための、より少数又はより多数のバルブ30を備えることができる。別の実施形態において、バルブ30は、各々のバルブ30がピストン11の背後に噴射する気体の量を制御する独立バルブタイミングコントローラ209に接続することができる。噴射された加圧気体は、図3に示すように、ピストン11が円筒型内腔を前方に移動して気体ポート19を通過するのに十分な推進力を提供する。
【0059】
異なる実施において、異なる型式のバルブ又は発射機構を、異なる圧力で利用してピストン11に初期推進力を印加することができる。他の実施形態において、直接作動圧電装置、バネ駆動機構、慣性駆動機構(例えば、はずみ車又は類似のデバイス)、又は熱アクチュエータを用いて発射制御を行うことができる。
【0060】
幾つかの操作方法において、圧力波発生装置10が始動位置にあると、ピストン11は、図1及び図2に概略的に示す、ピストン11が気体ポート19を覆う位置にあることができる。従って、始動位置にある間、ピストン11は、気体が気体ポート19を通って筐体15の内腔に入ることを阻止する。制御システム29は、信号をブレーキ26に送信して、制御ロッド13に制動力を印加することができる。制御システム29は、信号をバルブコントローラ209に送信して、バルブ30を開くように指令することができる。所望の時間において、制御システム29は、ブレーキ26に信号を送信して制動力を減少(又は除去)させることができる。ピストン11は、図3に示すように、気体ポート19を通過して移動を開始し、圧力容器20内に貯留された加圧気体が気体ポート19を通過してピストン11を変換器14に向かって加速させることを可能にする。ピストン11が変換器14に衝突すると、その運動エネルギーの少なくとも一部を変換器に移行する。衝突の際、変換器は弾性的に圧縮され、少なくとも部分的に媒体内に軸方向に移動し、従って、ピストンの運動エネルギーを少なくとも部分的に媒体における圧力波に変換する。ピストン11の衝突中、制御ロッド13(及び/又は保持具22)の遠位端は、ガイド12内を前方に移動又は摺動して、衝突中に発生するロッドに対する応力を減らすことができる。緩衝器システム24は、ピストン11と独立して制御ロッド13を減速し、ロッドに対する応力を低減又は最小化することができる。
【0061】
固体構成要素(例えば、ピストン11及び変換器14)からの応力波の媒体への伝搬は、媒体における圧力波を提供することができる。かかる応力波が変換器へのピストンの大きな衝突速度(例えば、場合により約10m/sより大きい速度)に関連づけられると、かかる波は、発生装置10の幾つかの実施において1GPaを越える場合がある局所圧力を発生させることができる。かかる圧力は、変換器14の媒体内への移動、並びに圧力波が変換器を横切る際の変換器の半径方向の拡張によって発生し得る。半径方向の拡張は、変換器の側面に沿って配置された媒体の一部が「ジェット」として射出させることができる。かかる「ジェット」は、発生装置10内の変換器14の近傍に用いられたシールを損傷する場合がある。また、シールは、特定の実施形態において生成される高圧により劣化する場合がある。
【0062】
図4は、圧力波発生装置10の筐体15の内腔の端部17に対する一次シールとして作用することができるように成形された変換器14の一つの実施形態の断面図を示す。変換器14は、筐体15において変換器の座壁400の一部として形成された表面402に面する表面401を備える。変換器14の表面401は、傾斜表面(1つ又はそれ以上の傾斜部分)又は丸みを付けた若しくは湾曲した表面を含むことができる。座壁400の表面402は、対応するテーパ平坦表面又は丸みを付けた若しくは湾曲した表面を含むことができる。変換器14の表面401は、座壁の表面402に略係合するように設計することができる。一つの実施形態において、表面402は、ピストン筐体壁の一部とすることができる。表面401と表面402の構成は、特定の実施形態の発生装置の動作中、変換器14とその座面400との間の空間に閉じ込められる、媒体の少なくとも一部を押し出し又は射出できる、一次シールを提供することができる。ピストンによる衝突に続いて、変換器が座面400における始動位置に戻ると、媒体の一部を押し出され又は射出することができる。
【0063】
別の実施形態において、さらに二次シール403を用いることができる。二次シールは、媒体への曝露、高温、高圧及び変換器14の僅かな動きによって生じる摩擦力に対応できる材料で作成することができる。一つの実施において、シール403は、追加的に潤滑装置として機能することができる。一次及び二次シールの両方を用いる実施形態の可能性のある利点とは、一次シールを使用しない実施形態と比較して、二次シールがより低い圧力に曝されるように、一次シールは、二次シールが曝される圧力を制限できることである。従って、かかる実施形態においては、シール材料がより低い圧力に曝されるので、二次シール用に広範なシール材料を用いることができる。例えば、二次シール403は、例えば、EGCEnterprises社(オハイオ州チャードン)から入手可能なGRAFOIL(登録商標)シール、又はGRAFOIL(登録商標)金型形成リングなどの、可撓性グラファイトシールを含むことができる。
【0064】
また、かかる特定の実施形態において、変換器14は、座400の表面402上の変換器の外側表面401によって形成される一次の金属対金属シールと、二次の円周シール403を提供することができる。かかる特定の実施形態は、得られたシール形状が圧力を増加させても所望のシーリングを提供するように、例えば、二つの相当に硬い構成要素(例えば、金属の変換器及びその金属座)の間の一次シールを作成する等の、幾つかの機能を提供することができる。また、変換器に対する媒体の圧力が、シールに付勢して、圧力が上昇してもシールの安定性を増すことができる。
【0065】
図4に示す変換器14の実施形態は、変換器14が(例えば、ピストン11の衝突の際)前方に移動すると、その側部容積を拡張させて、変換器の側部に沿った媒体の貫入を遅くすることができる。一つの実施において、排出システム(図示せず)を設けて一次シール(例えば、表面401と402によって形成される金属対金属シール)及び/又は二次シールを通って貫入する任意の媒体を除去することができる。排出システムは、排出システム内の任意の媒体を示し、従って一次及び/又は二次シールの漏れを示すセンサをさらに備えることができる。図4に概略的に示した構成は、媒体のジェットの形成を妨げることができる、二次シール403への媒体経路における1つ又はそれ以上の曲がり又は角度を設けることができる。
【0066】
変換器14は、ピストン11が衝突する際に、変換器が媒体内に外れることを防ぐ保持機構18により変換器の座400内に固定することができる。保持機構18は、図4に示すように変換器本体に接続された保持リングを含むことができる。保持リングの外縁部を座400に形成された管状溝の中に配置することができる。変換器14が座400内に挿入されると、保持リングの外縁部は溝18aに入り、ピストンによる衝突後に座400から変換器が外れることが阻止又は防止される。幾つかの実施において、保持リングは、変換器の外径内に形成された逃げ溝内に配置することができる。一つの実施形態において、少なくとも2つの部分を有する分割保持リングを保持機構18の構成要素として用いることができる。さらに、1つ又はそれ以上のシール及び/又は軸受を保持機構18に設けて変換器14を座400内に固定することができる。
【0067】
変換器14及び媒体は、通常異なる材料(又は、例えば、固体及び液体など異なる材料の相)を含むので、媒体に面する変換器の表面14bにおける音響インピーダンスの不整合が起こり得る。インピーダンス不整合は、ピストン衝突表面11cに向かって戻る音響エネルギーの反射を引き起しかねず、これにより変換器14が少なくとも部分的に媒体から跳ね返される場合がある。変換器14の実施形態は、媒体に対する音響インピーダンス整合を改善することができる。例えば、図4に概略的に示す変換器14の実施形態は、媒体と相互作用する大きな面積を与えるテーパ端部405を備え、これにより圧力波伝達の効率を改善し、反射音響エネルギーを減らすことができる。図4に示す実施形態は、種々の硬質表面401、402、400、及び18を備え、これらに対して変換器14を、圧力波発生装置10の動作中の正確なタイミング制御のために、配置することができる。本明細書で開示する圧力波発生装置10において用いることができる変換器の追加的な実施形態は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる同一出願人による特許文献1に記載されている。種々の曲率の表面401又は402を用いることができる。また、広範な材料を用いて変換器及び/又は変換器の座を作成することができる。例えば、衝突に耐えるのに十分な強度を有する任意の鍛造鋼を用いて変換器14及びピストン11を作成することができる。
【0068】
圧力波発生装置の使用例
圧力波発生装置の実施形態を用いて、圧力波を任意の(例えば、固体、液体、気体及び/又はプラズマ等)好適な媒体に伝達することができる。幾つかの実施において、圧力波発生装置は、刻印、型押し、屈曲、フランジ成形、圧印、打抜き、穴あけ、又は例えば金属などの作業物質(例えば、金属加工)のためのプレス機として使用することができる。幾つかの実施において、媒体は、液体、気体、又は液体と気体の混合物を含むことができる。かかる幾つかの実施において、媒体は、液体鉛又は液体鉛とリチウムの混合物などの液体金属を含む。圧力波発生装置を用いて媒体において圧力波を発生させ、圧力波は、媒体の圧力、温度、エネルギー、及び/又は密度を上昇させ、媒体における化学反応速度を上昇させることができる。例えば、圧力波発生装置の実施形態を用いて、気体動力のエンジン(例えば、蒸気エンジン)のピストンを制御することができる。
【0069】
本明細書で開示する圧力波発生装置の実施形態を用いて、音響エネルギーの集中により生じ得る他のエネルギー形態を生成することができる。かかるエネルギー形態は、局所的ホットスポット、紫外線(UV)放射、X線、医療用同位体、中性子、核融合及び音響エネルギー変換及び集中の副生成物を生成するために用いることができる。例えば、圧力波発生装置の幾つかの実施形態を使用して、媒体(液体鉛又は液体鉛リチウムなど)を含む核反応チャンバ内の圧力を上昇させて、核反応速度を十分に上昇させ、中性子生成又は核融合反応を行わせることができる。
【0070】
本開示の具体的な要素、実施形態及び用途を示し説明したが、特に前述の教示に鑑み、本開示の範囲から逸脱することなく改変を行うことができるので、本開示の範囲はそれらに限定されないことを理解されたい。従って、例えば、本明細書で開示したいずれの方法又はプロセスにおいても、方法/プロセスを構成する行為又は操作は、任意の好適な順序で実行することができ、必ずしも開示されたいずれかの特定の順序に限定されない。要素及び構成要素は、種々の実施形態において、さまざまに構成又は配置し、組み合せ、及び/又は削除することができる。上述の種々の特徴及びプロセスは、互いに独立して用いる又は種々に組み合せることができる。可能な組合せ及び副組合せの全てが本開示の範囲に入ることを意図する。本開示全体における「幾つかの実施形態」、「一つの実施形態」などに対する言及は、その実施形態に関連して説明された具体的特徴、構造、ステップ、プロセス、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本開示全体における「幾つかの実施形態において」、「一つの実施形態において」などの語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態について言及するものではなく、1つ又はそれ以上の同じ又は異なる実施形態について言及する場合がある。実際に、本明細書で説明した新規の方法及びシステムは、他の様々な形態で具体化することができ、さらに、本明細書で説明した本発明の趣旨から逸脱することなく、本明細書で説明した実施形態の形態に、様々な削除、追加、置換、等価物、再構成、及び変更を行うことができる。
【0071】
実施形態の種々の態様及び利点を適切な所で説明した。かかる態様又は利点の全てをいずれかの特定の実施形態において達成することができるとは限らないことを理解されたい。従って、例えば、種々の実施形態は、本明細書で教示した利点又は一群の利点を達成又は最適化する様式で実行できるが、本明細書で教示又は示唆したような他の態様又は利点を必ずしも達成するとは限らないことを認識されたい。
【0072】
具体的に明記されない限り又は使用される文脈において別に理解されない限り、本明細書で用いる条件付き用語、例えば、とりわけ「できる(can)」、「あり得る(could)」、「可能性がある(might)」、「場合がある(may)」、「例えば(e.g.)」などは、一般的に、特定の特徴、要素及び/又はステップを、特定の実施形態は含むが、他の実施形態は含まないことを意味することを意図する。従って、かかる条件付き言語は、一般的に、特徴、要素及び/又はステップが1つ又はそれ以上の実施形態に対して多少なりとも必要とされること、又は、1つ又はそれ以上の実施形態が、オペレータ入力又はプロンプティングの有無に関わらず、これらの特徴、要素及び/又はステップがいずれかの特定の実施形態内に含まれるか又はそこにおいて実行されるかを判断するための論理を必ず含むことを意味することを意図するものではない。いずれの単一の特徴又は一群の特徴も、いずれかの具体的な実施形態に対して必要又は必須というわけではない。「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、「有している(having)」などの用語は、同義であり包括的に拡張可能な様式で用いられ、付加的な要素、特徴、行為、操作などを排除するものではない。また、「又は(or)」という用語は包括的意味(排他的意味ではない)で用いられ、例えば要素のリストを接続するように用いられるとき、この「又は」という用語は、リスト内の1つ、幾つか、又は全ての要素を表す。
【0073】
例えば、語句「X、Y及びZの少なくとも1つ」等の接続語は、一般的に、具体的に明記されない限り、項目、項などがX、Y又はZのいずれかであり得ることを伝えるために用いられるような文脈で理解される。従って、かかる接続語は、特定の実施形態が少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、及び少なくとも1つのZがそれぞれ存在することを要件とすることを意味することを一般的に意図しない。
【0074】
本明細書で説明した実施形態の例示的な計算、シミュレーション、結果、グラフ、値、及びパラメータは、開示した実施形態を例証することを意図し、限定することは意図しない。本明細書で説明した例証的実施例とは異なる他の実施形態を構成し、及び/又は、操作することができる。実際に、本明細書で説明した新規の方法及び装置は、様々な他の形態で具体化することができ、さらに、本明細書で開示した本発明の趣旨から逸脱することなく、本明細書で説明した方法及びシステムの形態に、様々な省略、代替及び変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
10:圧力波発生装置
11:ピストン
11a:ピストンの第1の表面(背面)
11b:長手方向ピストン軸
11c:ピストンの第2の表面(衝突表面)
12:ガイド(ピストンガイド)
12a:ガイドの第1の空洞
12b:ガイドの第2の空洞
12c:ガイドの腰部
13:制御ロッド
13a:制御ロッドの遠位(又は第2の)端
13b:制御ロッドの近位(又は第1の)端
14:変換器
14a:変換器の衝突表面
14b:変換器の外表面
15:円筒形筐体(ピストン筐体)
15a:筐体の内腔
15b:内腔軸
16:筐体の第1の端部(内腔の閉鎖端)
17:筐体の第2の端部
18:保持機構
18a:溝
19:流体ポート(気体ポート)
20:圧力容器
21:ガイドの内側端
22:保持具
22a:保持具(成形ナット)
23:円板
24:緩衝器システム
25:調整可能バルブ
26:ブレーキ
27:マーキング
28:位置エンコーダ
29:衝突タイミング制御機構(制御システム)
30:空気圧パフバルブ
31:衝突検知センサ
36:ピストン背後の容積
101:成形ナットの半球状本体
102:成形ナットの平坦表面
103:成形ナットの開口部
104:入口開口部
105:保持具内の開口部
106:ロックピン
200:ピストン発射システム
202:締結機構
203:加圧気体貯留槽
205:気体供給源
208:制御バルブ
209:バルブタイミングコントローラ
210:チャネル
400:変換器座
401:変換器の表面
402:変換器座壁の表面
403:二次シール
405:テーパ端部
図1
図1A
図1B
図2
図3
図4