(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る鉱山機械の管理システムが適用される現場を示す図である。鉱山機械の管理システム1は、鉱山機械の運行を管理したり、生産性又は鉱山機械のオペレータの操作技術等を評価したり、ダンプトラックの予防保全及び異常診断等をしたりする。このため、管理システム1は、ダンプトラック20が走行した経路を特定し、経路情報として蓄積する。以下、走行経路とはダンプトラック20が走行する経路と停止する場所とを含めたものであるとする。以下においては、走行経路を適宜経路ともいう。
【0022】
鉱山機械とは、鉱山において各種作業に用いる機械類の総称である。本実施形態において、鉱山機械の一種の運搬車両として、砕石又は砕石の採掘時に発生した土砂若しくは岩石等を積荷として運搬するダンプトラック20を例とするが、本実施形態の鉱山機械はダンプトラック20に限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る鉱山機械は、砕石等を採掘する掘削機械として機能する油圧ショベル若しくは電気ショベル又はホイールローダであってもよい。本実施形態において、ダンプトラック20は、オペレータの操作によって走行したり、積荷を下ろしたりする有人の鉱山機械であるが、ダンプトラック20はこのようなものに限定されない。例えば、ダンプトラック20は、管理システム1によって運行が管理される無人のダンプトラックであってもよい。
【0023】
鉱山において、ダンプトラック20は、積込作業が行われる場所(以下、積込場)LPAで油圧ショベル等の積込機4によって岩石又は土砂等が積載される。そして、ダンプトラック20は、積荷の排出作業が行われる場所(以下、排土場)DPAで前記積載した岩石又は土砂等を排土する。ダンプトラック20は、積込場LPAと排土場DPAとの間を、経路Rg、Rrを走行して移動する。
【0024】
<鉱山機械の管理システムの概要>
鉱山機械の管理システム(以下、適宜管理システムという)1は、管理装置10が、鉱山機械としてのダンプトラック20の位置に関する情報を含む稼働情報を、無線通信によってダンプトラック20から収集するものである。管理装置10は、移動体であるダンプトラック20とは異なり、例えば、鉱山の管理施設に設置されている。このように、管理装置10は、原則として移動を考慮していないものである。管理装置10が収集する情報は、ダンプトラック20の稼働状態に関する情報(以下、適宜稼働情報という)であり、例えば、ダンプトラック20の位置に関する情報である位置情報(緯度、経度及び高度の座標)、走行時間、走行距離、エンジン水温、異常の有無、異常の箇所、燃料消費率及び積載量等のうちの少なくとも1つである。稼働情報は、主としてダンプトラック20の走行路マップ作成、走行路マッピング、運転評価、予防保全及び異常診断等に用いられる。したがって、稼働情報は、鉱山の生産性向上又は鉱山のオペレーションの改善といったニーズに応えるために有用である。
【0025】
管理装置10は、鉱山で作業するダンプトラック20の稼働情報を収集するために、アンテナ18Aを有する管理側無線通信装置18に接続されている。ダンプトラック20は、稼働情報を送信したり、管理装置10と相互通信を行ったりするために、車載無線通信装置とともにアンテナ28Aを有している。車載無線通信装置については後述する。この他に、ダンプトラック20は、GPS(Global Positioning System:全方位測位システム)衛星5A、5B、5Cからの電波をGPS用アンテナ28Bで受信し、自己位置を測位することができる。なお、自身の位置を計測するためには、GPS衛星に限らず他の測位用衛星によるものでもよい。すなわち、GNSS(全地球航法衛星システム:Global Navigation Satellite System)による位置計測ができればよい。
【0026】
ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波の出力は、鉱山全域をカバーできるほどの通信可能範囲を有していない。また、アンテナ28Aから送信する電波は、波長の関係から高い山などの障害物を越えて遠方まで送信することができない。もちろん、高出力の電波を出力できる無線通信装置を用いれば、このような通信障害が解消し、通信可能範囲は広がり通信不可能な場所をなくすことはできる。しかし、鉱山は広大であるため、中継器や通信装置のコストを抑える必要があること及び鉱山がある地域によっては整備された通信インフラを確保することが期待できないといった状況に対応する必要がある。このために、管理システム1は、無線LAN(Local Area Network)等の、限られた範囲内で情報通信網を形成できる無線システムを用いる。無線LANなどによれば、低コストで鉱山機械と管理施設(管理装置10)との相互通信を整えることは可能ではあるものの通信障害の問題を解決する必要がある。
【0027】
ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波の到達範囲は限られている。したがって、ダンプトラック20と管理装置10との距離が離れていたり、両者間に山M等の障害物が存在していたりすると、管理側無線通信装置18は、ダンプトラック20から送信される電波を受信することが困難になる。このため、管理システム1は、ダンプトラック20のアンテナ28Aから送信される電波を中継して、管理側無線通信装置18に送信する中継器3を有している。鉱山内の複数の所定箇所に中継器3を設置することにより、管理装置10は、自身から離れた位置で稼働しているダンプトラック20から、無線通信により稼働情報を収集することができる。
【0028】
中継器3から管理側無線通信装置18までの距離が遠い場合、中継器3と管理側無線通信装置18との間に、両者を中継するための中間中継器6が配置される。本実施形態において、中間中継器6は、中継器3と管理側無線通信装置18とを中継するのみであり、ダンプトラック20がアンテナ28Aから送信する電波を中継するものではない。本実施形態において、中間中継器6は、対応する中継器3以外からは電波を中継しないようになっている。例えば、
図1に示すように、給油所2の中継器3からの電波を中継するのは、1台の中間中継器6のみである。なお、中間中継器6は、
図1では、1つの中継器3と一対一の関係であるように表現しているが、一対一の関係に限定されるものではなく、各中間中継器6は、対応する複数の中継器3から送られる電波を中継することができる。
【0029】
中継器3の配置場所を中心とする周囲の所定領域(
図1では円形で示す領域)は、ダンプトラック20に搭載された第1無線通信装置(後述する車載無線通信装置27、
図3参照)が中継器3との間で相互に無線通信が可能な範囲、すなわち、通信可能範囲7である。通信可能範囲7に存在しているダンプトラック20は、中継器3等を介して管理側無線通信装置18と相互に無線通信することができる。
【0030】
管理装置10が無線通信によってダンプトラック20から稼働情報を収集する場合、ダンプトラック20が管理装置10に稼働情報等を送信中にダンプトラック20が走行して移動することによって、ダンプトラック20が通信可能範囲7から出てしまうことがある。その結果、ダンプトラック20は、第1無線通信装置が管理装置10に送信すべき稼働情報のすべてを送信する前に通信が中断してしまうことがある。
【0031】
通信の中断を回避するため、管理装置10が稼働情報等を受信している間、言い換えればダンプトラック20が稼働情報等を送信している間は、ダンプトラック20が通信可能範囲7内に存在することが好ましい。このため、ダンプトラック20が確実に通信可能範囲7内に存在するように、ダンプトラック20が停止している状態にある場所でダンプトラック20のアンテナ28Aからの電波を受信することが好ましい。したがって、ダンプトラック20が、確実に通信可能範囲7内に、ある程度の時間(送信すべき稼働情報等のすべてを送信できる程度の時間以上の時間)停車することが行われる場所で、ダンプトラック20から稼働情報等を中継器3に向けて送信するように制御することが好ましい。
【0032】
本実施形態では、例えば、給油所2に中継器3を設置する。給油所2では、ダンプトラック20のエンジンを駆動するための燃料を給油するために、ダンプトラック20はある程度の時間の停車をすることが見込まれる。このため、管理装置10が給油中のダンプトラック20から稼働情報等を確実に受信するための時間の間、ダンプトラック20は確実に通信可能範囲7内に存在した状態を維持することができる。その結果、管理装置10は、無線通信によってダンプトラック20から稼働情報等を確実に収集することができる。なお、鉱山は広大であるため、本実施形態では、給油所2以外にもダンプトラック20の移動経路の近傍に中継器3を配置して、稼働中のダンプトラック20から稼働情報を収集するようにする。次に、管理装置10について、より詳細に説明する。
【0033】
<管理装置>
図2は、本実施形態に係る鉱山機械の管理システムが有する管理装置の機能ブロック図である。管理装置10は、管理側処理装置12と、管理側記憶装置13と、入出力部(I/O)15とを含む。さらに、管理装置10は、入出力部15に、表示装置16と、入力装置17と、管理側無線通信装置18と、出力装置19とを接続している。管理装置10は、例えば、コンピュータである。管理側処理装置12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。管理側記憶装置13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ若しくはハードディスクドライブ等又はこれらを組み合わせたものである。入出力部15は、管理側処理装置12と、管理側処理装置12の外部に接続する表示装置16、入力装置17、管理側無線通信装置18及び出力装置19との情報の入出力(インターフェース)に用いられる。
【0034】
管理側処理装置12は、本実施形態に係る鉱山機械の管理方法を実行する。管理側処理装置12は、経路判定部12aと、勾配解析部12bと、領域特定部12cと、経路情報作成部12dと、経路解析部12eとを含む。判定部としての経路判定部12aは、ダンプトラック20が鉱山を実際に走行した経路を、既に存在する走行経路と一致するか否かを判定することにより、特定する。既に存在する前記走行経路は、ダンプトラック20が過去に走行した経路又は予め設定されている経路である。
【0035】
勾配解析部12bは、ダンプトラック20が走行した経路を解析し、勾配の所定の範囲毎に経路を分割する。領域特定部12cは、ダンプトラック20が積荷を積み込まれる積込場LPAの領域と積荷を下ろす排土場DPAの領域とを特定する。経路情報作成部12dは、ダンプトラック20が走行する経路の位置に関する情報としての経路情報を作成する。経路情報は、ダンプトラック20が所定の第1位置を出発し積荷(砕石又は砕石の採掘時に発生した土砂若しくは岩石等)を積み込む第2位置を経て積荷を下ろす第3位置まで移動するときの経路である第1の経路の、所定距離毎に存在する複数のノード及び隣接するノード同士を接続するリンクを含む情報である。経路解析部12eは、ダンプトラック20が走行した経路を解析し、例えば、同一の特性を有している部分を抽出したり、抽出した部分を統合したりする。前述した特性とは、勾配及び方位角等である。これらの機能は、管理側処理装置12がそれぞれに対応するコンピュータプログラムを管理側記憶装置13から読み込んで実行することにより実現される。
【0036】
管理側記憶装置13は、管理側処理装置12に各種の処理を実行させるための各種のコンピュータプログラムを記憶している。本実施形態において、管理側記憶装置13が記憶しているコンピュータプログラムは、例えば、本実施形態に係る鉱山機械の管理方法を実現して、ダンプトラック20が走行した経路を特定する経路特定用コンピュータプログラム、ダンプトラック20の稼働情報等を収集するための稼働情報収集用コンピュータプログラム、稼働情報等に基づいて各種解析を実現するコンピュータプログラム等である。
【0037】
管理側記憶装置13は、LP/DPデータベース14RD、経路別WPデータベース14WP、経路別特定区間データベース14SC、既登録経路データベース14CS及び稼働情報データベース14I等を記憶している。LP/DPデータベース14RDには、ダンプトラック20の積込場LPA及び排土場DPAの位置情報が記述されている。経路別WPデータベース14WPには、ダンプトラック20が走行した又は走行する経路の位置情報が記述されている。経路別特定区間データベース14SCには、ダンプトラック20が走行した又は走行する経路において同一の特性を有する部分としての特定区間の情報が記述されている。既登録経路データベース14CSは、鉱山で稼働するダンプトラック20が走行した経路又は鉱山においてダンプトラック20が走行すべき経路として予め設定された経路の位置情報を含む情報が記述されている。稼働情報データベース14Iには、ダンプトラック20から収集した稼働情報が記述されている。経路別WPデータベース14WP及び経路別特定区間データベース14SCは、位置情報の緯度、経度及び高度の座標の集合データを含んでいる。
【0038】
本実施形態において、管理装置10は、管理側記憶装置13に記憶されている第1の経路に含まれる位置情報と、ダンプトラック20の稼働中におけるダンプトラック20の複数の位置情報から得られた第2の経路の位置情報群とに少なくとも基づいて、第2の経路と、第1の経路とが同一であるか否かを判定する。このようにすることで、管理装置10は、ダンプトラック20が走行した経路である第2の経路を特定する。前述したように、第1の経路は、ダンプトラック20が所定の第1位置から走行を開始し、積荷を積み込む第2位置としての積込場LPAに移動し、積荷を下ろす第3位置としての排土場DPAに移動するときの経路である。第1経路の位置情報は、LP/DPデータベース14RD及び経路別WPデータベース14WPに記述されている。
【0039】
ダンプトラック20が走行を開始する所定の第1位置(以下、適宜走行開始位置という)は、例えば、排土場DPAである。ダンプトラック20の走行開始位置が排土場DPAである場合、ダンプトラック20が積込場LPAで積み込まれた積荷を排土する排土場DPAと走行開始位置とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0040】
表示装置16は、例えば、液晶ディスプレイ等であり、ダンプトラック20の位置情報又は稼働情報を収集する際に必要な情報を表示する。入力装置17は、例えば、キーボード、タッチパネル又はマウス等であり、ダンプトラック20の位置情報又は稼働情報を収集する際に必要な情報を入力する。管理側無線通信装置18は、アンテナ18Aを有しており、中継器3を介してダンプトラック20の車載無線通信装置27(
図3参照)との間で相互に無線通信を実行する。出力装置19は、例えば、印刷装置(プリンタ)である。出力装置19は、管理装置10が作成したレポート等を印刷して出力する。出力装置19は、さらに後述するレポート内容に応じた音声を出力するものであってもよい。次に、ダンプトラック20について、より詳細に説明する。
【0041】
<ダンプトラック>
図3は、ダンプトラック20の構成を示す図である。ダンプトラック20は、積荷を積載して走行し、所望の場所でその積荷を排出する。ダンプトラック20は、車両本体21と、ベッセル22と、車輪23と、サスペンションシリンダー24と、回転センサ25と、サスペンション圧力センサ(以下、適宜圧力センサという)26と、アンテナ28Aが接続された車載無線通信装置27と、GPS用アンテナ28Bが接続された位置情報検出装置(本実施形態ではGPS受信機)29と、車載情報収集装置30と、を有する。なお、ダンプトラック20は、上記構成以外にも一般的な運搬機が備えている各種の機構及び機能を備えている。なお、本実施形態では、リジッド式のダンプトラック20を例として説明するが、ダンプトラック20は、車体を前部と後部に分割しそれらを自由関節で結合したアーティキュレート式ダンプトラックであってもよい。
【0042】
ダンプトラック20は、ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下、適宜エンジン34Gという)がトルクコンバータ34TC及びトランスミッション34TMを介してドライブシャフト34DSを駆動することにより、車輪23を駆動する。このように、ダンプトラック20は、いわゆる機械駆動方式であるが、ダンプトラック20の駆動方式はこれに限定されるものではなく、いわゆる電気駆動方式であってもよい。ベッセル22は、積荷を積載する荷台として機能するものであり、車両本体21の上部に、昇降自在に配置されている。ベッセル22には、積荷として、採石された砕石又は岩若しくは土等が油圧ショベル等の積込機4によって積載される。
【0043】
車輪23は、タイヤとホイールで構成され車両本体21に、回転自在に装着されており、前述したように車両本体21から動力が伝達されることで駆動される。サスペンションシリンダー24は、車輪23と車両本体21との間に配置されている。車両本体21及びベッセル22、さらに積荷が積載された際における積荷の質量に応じた負荷が、サスペンションシリンダー24を介して車輪23に作用する。
【0044】
回転センサ25は、車輪23を駆動するドライブシャフト34DSの回転速度を検出することで車速を計測する。サスペンションシリンダー24は内部に作動油が封入されており、積荷の重量に応じて伸縮動作する。なお、圧力センサ26は、サスペンションシリンダー24に作用する負荷を検出する。圧力センサ26は、ダンプトラック20の各サスペンションシリンダー24に設置されており、その作動油の圧力を検出することで積荷の質量(積載量)を計測することができる。
【0045】
GPS用アンテナ28Bは、GPS(Global Positioning System)を構成する複数のGPS衛星5A、5B、5C(
図1参照)から出力される電波を受信する。GPS用アンテナ28Bは、受信した電波を位置情報検出装置29に出力する。位置情報検出部としての位置情報検出装置29は、GPS用アンテナ28Bが受信した電波を電気信号に変換し、自身の位置情報、すなわちダンプトラック20の位置を算出(測位)することによりダンプトラック20の位置情報を求める。位置情報は、ダンプトラック20の位置に関する情報であり、緯度、経度及び高度の座標である。時間の経過に基づいて位置情報検出装置29が取得した複数の位置情報が時系列で配列された複数の位置情報は、ダンプトラック20が走行した経路となる。
【0046】
車載無線通信装置27は、アンテナ28Aを介して
図1に示す中継器3又は管理施設のアンテナ18Aとの間で相互に無線通信を行う。車載無線通信装置27は、車載情報収集装置30に接続されている。このような構造により、車載情報収集装置30は、アンテナ28Aを介して各情報を送受信する。次に、車載情報収集装置30及びその周辺機器について説明する。
【0047】
<車載情報収集装置及びその周辺機器>
図4は、車載情報収集装置及びその周辺機器を示す機能ブロック図である。ダンプトラック20が有する車載情報収集装置30は、車載記憶装置31と、車載無線通信装置27と、位置情報検出装置29とが接続されている。車載情報収集装置30には、さらに、状態取得装置が接続されている。車載情報収集装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを組み合わせたコンピュータである。
【0048】
車載情報収集装置30は、鉱山機械としてのダンプトラック20の様々な稼働状態の情報を取得し、収集するための装置である。例えば、状態取得装置は、サスペンションシリンダー24に設置された圧力センサ26、その他の各種センサ類、エンジン制御装置32A、走行制御装置32B、油圧制御装置32C、運転者ID取得装置38及び傾斜センサ(傾斜計)39等である。車載情報収集装置30は、このような状態取得装置からダンプトラック20の様々な稼働状態の情報を取得し、取得したこれらの情報を稼働情報として収集する。
【0049】
例えば、車載情報収集装置30は、エンジン制御装置32Aから燃料噴射装置(FI)34Fの制御量を取得することにより、燃料噴射量を示す情報を取得することができる。燃料噴射量を示す情報によって、燃費に関する情報を得ることができる。また、車載情報収集装置30は、エンジン制御装置32Aを介してアクセル33Aの操作量を示す情報を取得することができる。ダンプトラック20の運転者によるアクセル33Aの操作量を示す情報により、ダンプトラック20の運転者の操作状態を把握することができる。また、車載情報収集装置30は、エンジン制御装置32Aから、エンジン(EG)34Gの回転速度、冷却水温度及び潤滑油圧力等といった各種情報を取得することができる。エンジン(EG)34Gの回転速度の情報は、図示しないエンジン(EG)34Gの出力軸に取り付けられた回転センサ等により検出された回転速度により取得され、冷却水温度及び潤滑油圧力等といった各種情報も、図示しない温度センサ又は圧力センサにより取得される。
【0050】
車載情報収集装置30は、走行制御装置32Bから走行装置37の各種情報を得ることができる。本実施形態において、ダンプトラック20は機械駆動方式であるため、走行装置37は、
図2に示すエンジン34Gによって駆動されるトルクコンバータTC及びトランスミッションTM及びこのトランスミッション34TMからの駆動力を
図3に示す車輪23に伝達するドライブシャフト34DSを含む。走行装置37の各種情報は、例えば、前述したトランスミッション34TMの速度段切替状態及び出力軸回転速度並びにドライブシャフト34DSの回転速度等である。また、車載情報収集装置30は、走行制御装置32Bを介してシフトレバー33Bの操作位置又は操作量を取得することにより、ダンプトラック20の運転者の操作状態を把握することができる。シフトレバー33Bは、運転者がダンプトラック20の前進、後進又は走行速度段の変更を走行制御装置32Bに対して指示する際に用いられるものである。
【0051】
さらに、車載情報収集装置30は、油圧制御装置32Cから作動油コントロールバルブ(CV)35の開閉状態を取得することができる。この例において、作動油コントロールバルブ35はベッセル22を昇降させるホイストシリンダー36(油圧シリンダ)に、エンジン34Gが稼働することにより駆動されるオイルポンプ(OP)34Pから吐出される作動油を供給したり、ホイストシリンダー36から作動油を排出したりする。このため、車載情報収集装置30は、作動油コントロールバルブ35の開閉状態に基づいて、ベッセル22の昇降状態を把握することができる。ベッセル22は、運転者がダンプレバー33Cを操作することにより昇降する。このため、車載情報収集装置30は、油圧制御装置32Cを介してダンプレバー33Cの操作量又は操作位置を取得することによっても、ベッセル22の昇降状態を把握することができる。
【0052】
車載情報収集装置30は、圧力センサ26が検出したサスペンションシリンダー24の作動油に作用する圧力を取得することにより、ベッセル22に積載された積荷の重量を把握することができる。ダンプトラック20の各車輪23に取り付けられた各サスペンションシリンダー24に備えられた圧力センサ26(車輪23が4輪の場合、4個の圧力センサ26)が示す計測値に基づいて、積荷の質量(積載量)を求めることができる。また、圧力センサ26が検出したサスペンションシリンダー24の作動油に作用する圧力の時間の経過による変化を見ることにより、ダンプトラック20のベッセル22に積荷が積載されているか、ベッセル22から排土中又は排土されたかを知ることができる。
【0053】
例えば、圧力センサ26が検出した圧力が上昇し、所定の値(例えば、ダンプトラック20の規定積載量の半分に相当する値)を超えた場合、積込場LPAで積荷を積み込まれていると判断することができる。また、圧力センサ26が検出した圧力が低下し、所定の値(例えば、ダンプトラック20の規定積載量の1/4に相当する値)を下回った場合、排土場DPAで排土している(あるいは排土された)と判断することができる。圧力センサ26が検出した圧力を用いることに加え、例えば、ダンプレバー33Cの操作状態(操作位置あるいは操作量)又はダンプトラック20の位置情報等を併用して、排土又は積載判定することにより、ベッセル22に対する積荷の積載の状態を判定する精度を向上させることができる。なお、ダンプレバー33Cの操作状態のみに基づいて排土作業の判断をしてもよい。
【0054】
運転者ID取得装置38は、ダンプトラック20の運転者を特定するための運転者IDを取得する装置である。ダンプトラック20は、複数の運転者により交代で運転されることがある。運転者IDは、例えば、個々の運転者のIDキー(個人識別情報が記憶された電子キー)又は個々の運転者のIDカード(個人識別情報が記憶されたカード)から取得することができる。この場合、運転者ID取得装置38は、磁気読み取り装置又は無線通信装置等が用いられる。また、運転者ID取得装置38として指紋認証装置を備え、予め記憶した運転者の指紋と、個々の運転者の指紋との指紋認証を行い、運転者IDを取得することもできる。また、個々の運転者が、入力装置で自身のID情報(暗証番号等の個人識別情報)を入力し、予め記憶されているID情報との照合によっても運転者IDを取得することができる。このように、運転者ID取得装置38は、IDキー又はIDカードの読み取り装置、指紋認証装置又はID情報入力装置等であり、ダンプトラック20の運転室内の運転席近傍に設けていてもよいし、運転者が運転室にアクセスする際に近づく車両本体21の任意の場所に設けてもよい。なお、鉱山の日々の生産計画にしたがって、各ダンプトラック20に搭乗する運転者の運転者IDが、管理装置10から無線通信でダンプトラック20に送信されることもある。この場合車載無線通信装置27が運転者ID取得装置38を兼ねることになる。運転者ID取得装置38が取得した運転者IDにより、どの運転者がダンプトラック20を運転しているかを特定することができる。
【0055】
傾斜センサ39は、ダンプトラック20の傾きを検出する。傾斜センサ39は、ダンプトラック20の前後方向の傾き及び幅方向の傾きを検出することができる。傾斜センサ39により、ダンプトラック20が走行している路面の勾配又は凹凸を検出することができる。
【0056】
車載記憶装置31は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ若しくはハードディスクドライブ等又はこれらを組み合わせて構成されている。車載記憶装置31は、車載情報収集装置30が稼働情報を収集するための命令が記述されたコンピュータプログラム及び鉱山機械の管理システム1を運用するための各種設定値等を記憶している。車載情報収集装置30は、前記コンピュータプログラムを読み出し、所定のタイミングで各状態取得装置から稼働情報を取得して、車載記憶装置31へ一時的に記憶させる。このとき、車載情報収集装置30は、同一項目の情報について平均値、最頻値又は標準偏差等を求める統計処理を施したりしてもよい。
【0057】
車載記憶装置31は、稼働情報として、位置情報、傾斜計情報、時間情報、排土情報、積込情報、燃費情報、操作履歴情報及びイベント情報等を記憶している。イベント情報は、異常運転情報、車両エラー情報及び特定運転操作情報等である。車載記憶装置31が記憶しているこれらの稼働情報は例示であり、稼働情報はこれらに限定されるものではない。位置情報、傾斜計情報、排土情報、積込情報、燃費情報、操作履歴情報及びイベント情報等は、これらが発生した(車載情報収集装置30が取得した)時間に対応付けて車載記憶装置31に記憶されている。車載情報収集装置30は、
図2に示す管理装置10からの要求を示す指令信号を、車載無線装置27を介して受信し、同じく車載無線通信装置27を介して、車載記憶装置31に記憶された稼働情報を管理装置10へ送信する。
【0058】
図5は、ダンプトラック20が走行した経路の一例を示す図である。ダンプトラック20は、
図5に示す排土場DPAで積荷を下ろした後、積込場LPAに向かって走行する。積込場LPAに到着したダンプトラック20は、油圧ショベル等の積み込み用の鉱山機械によって積荷がベッセル22に積み込まれる。積荷が積み込まれたダンプトラック20は、排土場DPAに向かって走行する。排土場DPAに到着したダンプトラック20は、排土場DPAで積荷を下ろす。このように、ダンプトラック20が所定の場所から積込場LPAに向かって出発し、積込場LPAで積荷を積み込まれた後、排土場DPAに到着して積荷を下ろすまでの一連の作業を、ダンプトラック20の運搬作業の1サイクルとする。ダンプトラック20が積込場LPAに向かって出発する所定の場所を第1位置といい、積込場LPAを第2位置、排土場DPAの積荷が下ろされる位置を第3位置という。本実施形態において、第1位置は、排土場DPA内の所定の位置であってもよいし、排土場DPAとは異なる所定の位置であってもよい。
【0059】
運搬作業の1サイクルにおいてダンプトラック20が走行する経路(以下、適宜実走行経路という)CSrのうち、ダンプトラック20が第1位置としての走行開始位置SPrから積込場LPAにおいて積荷の積込を受ける第2位置としての積込位置LPrに移動する経路を往路CSr1という。また、実走行経路CSrのうち、ダンプトラック20が第2位置としての積込位置LPrから、排土場DPAにおいて積荷を下ろす第3位置としての排土位置DPrに移動する経路を復路CSr2という。往路CSr1は、走行開始位置SPrを起点とし、積込位置LPrを終点とする。復路CSr2は、積込位置LPrを起点とし、排土位置DPrを終点とする。
【0060】
ダンプトラック20に搭載されている位置情報検出装置29は、ダンプトラック20が走行開始位置SPrを出発して積込位置LPrに到達し、その後、排土位置DPrに至るまでの間、ダンプトラック20の位置情報PIを求める。位置情報検出装置29は、例えば、所定時間(例えば、1秒)毎にダンプトラック20の現在の位置情報を取得し、車載記憶装置31に記憶させる。位置情報検出装置29によって得られた複数の位置情報PIの群(以下、適宜位置情報群という)は、ダンプトラック20の実走行経路CSrに含まれる。このため、実走行経路CSrは、複数の位置情報PIによって表現することができる。
【0061】
本実施形態において、実走行経路CSrは、既に他の又は自身のダンプトラック20が走行したか又は予め設定されていたかによって既に管理側記憶装置13に記憶(登録)されている第1の経路(以下、適宜既登録経路という)である場合もあるし、ダンプトラック20が初めて走行した経路である場合もある。
図2に示す管理側処理装置12は、本実施形態に係る経路特定処理を実行して、実走行経路CSrが既登録経路であるか、一部が既登録経路であるか又はまったく新規の経路であるか等を判定する。次に、本実施形態に係る鉱山機械の管理方法において、ダンプトラック20が走行した経路を特定する処理(経路特定処理)の一例を説明する。本実施形態において、経路特定処理は、
図2に示す管理装置10が備える管理側処理装置12が実行するが、
図4に示す車載情報収集装置30が実行してもよい。
【0062】
<経路特定処理の一例>
図6は、本実施形態に係る経路特定処理の手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る経路特定処理を実行するにあたり、ステップS101において、管理側処理装置12、より具体的には経路判定部12aは、管理側無線通信装置18、
図4に示す車載無線通信装置27及び位置情報検出装置29を介して、経路特定の対象であるダンプトラック20が走行した実走行経路CSrの位置情報PIを取得する。例えば、管理側処理装置12は、それぞれのダンプトラック20が走行した実走行経路CSrを、車載情報収集装置30を介して取得して管理側記憶装置13に記憶させておく。
【0063】
次に、ステップS102に進み、経路判定部12aは、取得した位置情報PIから、第1位置としての走行開始位置SPrに対応する第1位置情報、第2位置としての積込位置LPrに対応する第2位置情報及び第3位置としての排土位置DPrに対応する第3位置情報を抽出する。第1位置情報は、例えば、実走行経路CSrに含まれる位置情報PIのうち、最初の位置とすることができる。第2位置情報は、例えば、実走行経路CSrに含まれる位置情報PIのうち、圧力センサ26が検出したサスペンションシリンダー24の作動油の圧力に基づいて得られた積荷の積載量が所定値以上になった位置とすることができる。第3位置情報は、例えば、実走行経路CSrに含まれる位置情報PIのうち、
図4に示すダンプレバー33Cが排土側に操作された位置とすることができる。
【0064】
前述した積荷の積載量についての情報及びダンプレバー33Cが排土側に操作されたことの情報は、例えば、ダンプトラック20の車載情報収集装置30が収集したダンプトラック20の稼働情報に含まれる。例えば、管理側処理装置12は、積荷の積載量についての情報及びダンプレバー33Cが排土側に操作されたことの情報を、それぞれの位置情報PIに対応付けた上で、例えば、管理側記憶装置13に記憶させる。このようにすることで、ステップS102において、経路判定部12aは、走行開始位置SPr、積込位置LPr及び排土位置DPrを抽出することができる。
【0065】
次に、ステップS103に進み、経路判定部12aは、第1条件として、ステップS102で抽出した走行開始位置SPrに対応する第1位置情報、積込位置LPrに対応する第2位置情報及び排土位置DPrに対応する第3位置情報と、管理側記憶装置13のLP/DPデータベース14RDに記述されている既登録経路の積込位置(登録積込位置)LP及び排土位置DPとが一致するか否かを判定する。管理側記憶装置13のLP/DPデータベース14RDに記述されている情報は、ダンプトラック20が既に走行した実走行経路CSr、すなわち既登録経路に含まれる位置情報に基づき、管理側処理装置12、より具体的には経路情報作成部12dが生成した情報である。次に、管理側記憶装置13に記憶されている既登録経路の情報について説明する。
【0066】
図7は、既登録経路の情報を示す図である。既登録経路CSは、往路CS1と復路CS2とを含む。往路CS1の始点は走行開始位置SP1であり、終点は積込位置LP1である。復路CS2の始点は積込位置LP1であり、終点は排土位置DP1である。既登録経路CSは、複数のノードとしての走行開始位置SP1、積込位置LP1、排土位置DP1及び複数の通過位置WP1(WPsg)、WP2、・・・WP9(WPeg)、WP10(WPsb)、WP11、・・・WP18(WPeb)と、これらを接続するリンクLK1、LK2、・・・LK20とを含む。既登録経路CSにおいて、走行開始位置SP1は第1位置に対応し、積込位置LP1は第2位置に対応し、排土位置DP1は第3位置に対応する。
【0067】
それぞれのノード、すなわちそれぞれの走行開始位置SP1、積込位置LP1、排土位置DP1及び複数の通過位置WP1(WPsg)、WP2、・・・WP9(WPeg)等は、実走行経路CSrに含まれるそれぞれの位置情報PIに対応する。ノードは、既登録経路CS上の所定の緯度、経度及び高度の座標で示される場所である。それぞれのリンクLK1、LK2、・・・LK20は、隣接するノード同士を接続する。
図7に示す既登録経路CSの往路CS1は、走行開始位置SP1と、積込位置LP1と、両者の間に存在する複数の通過位置WP1、WP2、・・・WP9と、リンクLK1、LK2、・・・LK10とを含む。
【0068】
復路CS2は、積込位置LP1と、排土位置DP1と、両者の間に存在する複数の通過位置WP10、WP11、・・・WP18と、リンクLK11、LK12、・・・LK20とを含む。既登録経路CSは、ダンプトラック20が1サイクルの運搬作業を実行したときにおいて実際に走行した経路である。この場合、走行開始位置SP1は、ダンプトラック20が積込位置LP1へ向かう前に積荷を下ろした排土場(以下、適宜第1の排土場という)DPA0内で実際に積荷を下ろした排土位置DP0である。
【0069】
本実施形態において、排土場DPA0は、走行開始位置SP1を中心とした所定半径RDの範囲(第1の所定範囲又は排土側における第1の範囲)SPC1となる。同様に、排土場(以下、適宜第2の排土場という)DPA1は、積込位置LP1で積荷を積み込まれたダンプトラック20が積荷を下ろした排土位置DP1を中心とした所定半径RDの範囲(第2の所定範囲又は排土側における第1の範囲)である。また、積込場LPA1は、積込位置(登録積込位置)LP1を中心とした所定半径RLの範囲(第1の範囲又は積込側における第1の範囲)である。このように、本実施形態において、排土場DPA0、排土場DPA1及び積込場LPA1の形状は円形であるが、これには限定されない。
【0070】
すなわち、走行開始位置SP1の周囲の所定範囲(第1の所定範囲)SPC1が、排土場DPA0になる。同様に、積込位置LP1で積荷を積み込まれたダンプトラック20が積荷を下ろした排土位置DP1の周囲の所定範囲(第2の所定範囲)が、排土場(以下、適宜第2の排土場という)DPA1になる。また、積込位置LP1の周囲の所定範囲が、積込場LPA1となる。
【0071】
走行開始位置SP1(排土位置DP0)は、排土場DPA0を代表する代表位置であり、排土位置DP1は排土場DPA1を代表する代表位置である。後述するように、走行開始位置SP1(排土位置DP0)及び排土位置DP1は、ダンプトラック20から積荷が下ろされた位置の情報の蓄積に応じて変更される。積込位置LP1は、ダンプトラック20に積荷が積み込まれた位置の情報に応じて変更される。
【0072】
既登録経路CSは、所定距離毎にノード、すなわち通過位置WP1、WP2、・・・WP18が存在している。前述した所定距離は、例えば、100m毎であるが、本実施形態ではこれに限定されない。最も排土場DPA0に近い往路CS1の通過位置WP1(WPsg)は排土場DPA0の外側に設定され、最も排土場DPA1に近い復路CS2の通過位置WP18(WPeb)は排土場DPA1の外側に設定される。最も積込場LPA1に近い往路CS1の通過位置WP9(WPeg)は積込場LPA1の外側に設定され、最も積込場LPA1に近い復路CS2の通過位置WP10(WPsb)は積込場LPA1の外側に設定される。すなわち、既登録経路CSに含まれる通過位置WP1、WP2、・・・WP18は、排土場DPA0、DPA1及び積込場LPA1の外側に設定される。
【0073】
図7に示す例において、既登録経路CSは、複数の特定区間SC1、SC2、・・・SC17を有する。それぞれの特定区間SC1、SC2、・・・SC17は、既登録経路CS中、特性、例えば、方位及び勾配等がほぼ同一であると認められる部分である。既登録経路CS中の、互いに隣接するリンク同士の勾配差が所定値以内で、互いに隣接するリンク同士の方位差が所定値以内で、かつそのリンク同士の間に交差点となるノードを有さない部分を、複数のリンクを有する特定区間とする。例えば、特定区間SC5に含まれる隣接する3個のリンクLK5、LK6、LK7は、勾配がほぼ同一と見なせる範囲内、すなわち、互いに隣接するリンク同士の勾配差が所定値以内であり、かつ方位差が所定値以内で、かつその間に交差点を有していない。
図7において、特定区間SC5の中間のノード、すなわち通過位置WP5、WP6は白丸で示してあり、これらのノードは交差点ではない。特定区間SC12も特定区間SC5と同様である。また、隣接するリンク同士の勾配差及び方位差が前記条件を満たさないときには、該1個のリンクのみを特定区間とする。例えば、特定区間SC2はリンクLK2に相当するが、1個のリンクを有する特定区間とする。後述するように、本実施形態においては、特定区間毎に走行回数、走行時間及び稼働情報等が集計される。複数のダンプトラック20の稼働状態を評価する場合、特定区間SC1、SC2、・・・SC17を用いることにより、ダンプトラック20が走行する路面の状態を同一の条件として比較することができる。
【0074】
積込位置LP1及び排土位置DP0、DP1は、管理側記憶装置13が記憶しているLP/DPデータベース14RDに記述されている。LP/DPデータベース14RDには、積込位置LP1及び排土位置DP0、DP1の他、排土位置DP0、DP1を中心とした所定半径RDの範囲(排土場DPA0、DPA1)及び積込位置LP1を中心とした所定半径RLの範囲(積込場LPA1)の情報も記述されている。通過位置WP1、WP2、・・・WP18は、管理側記憶装置13が記憶している経路別WPデータベース14WPに記述されている。特定区間SC1、SC2、・・・SC17は、管理側記憶装置13に記憶されている経路別特定区間データベース14SCに記述されている。経路判定部12aは、ダンプトラック20の実走行経路CSrを特定するにあたり、LP/DPデータベース14RD及び経路別WPデータベース14WP等から情報を取得して、実走行経路CSrに含まれている位置情報PIと比較する。
【0075】
ステップS103において、経路判定部12aは、管理側記憶装置13のLP/DPデータベース14RDから既登録経路CSの積込位置LP及び排土位置DPを取得する。そして、経路判定部12aは、ステップS102で抽出した走行開始位置SPrに対応する第1位置情報、積込位置LPrに対応する第2位置情報及び排土位置DPrに対応する第3位置情報と、取得した既登録経路CSの積込位置LP及び排土位置DPとを比較する。本実施形態においては、排土位置DP(DP0、DP1)を中心とした所定半径RDの範囲内が排土場DPA0、DPA1となっている。また、積込位置LPを中心とした所定半径RLの範囲内が積込場LPA1となっている。このため、経路判定部12aは、例えば、ステップS102で抽出した走行開始位置SPrに対応する第1位置情報が、既に登録された排土場内、すなわちLP/DPデータベース14RDに記述された排土位置DP(
図7に示す例では排土位置DP0)を中心とした所定半径RDの範囲SPC1内に存在すれば、第1位置情報は、既にLP/DPデータベース14RDに登録されている排土位置DP0に一致すると判定する。同様に、経路判定部12aは、ステップS102で抽出した積込位置LPrに対応する第2位置情報が積込位置LP(
図7に示す例では積込位置LP1)を中心とした所定半径RLの範囲内に存在すれば、第2位置情報は、既にLP/DPデータベース14RDに登録されている積込位置LP1に一致すると判定する。また、経路判定部12aは、ステップS102で抽出した排土位置DPrに対応する第3位置情報が排土位置DP(
図7に示す例では排土位置DP1)を中心とした所定半径RDの範囲内に存在すれば、第3位置情報は、既にLP/DPデータベース14RDに登録されている排土位置DP1に一致すると判定する。
【0076】
ステップS102で抽出された走行開始位置SPrに対応する第1位置情報、積込位置LPrに対応する第2位置情報及び排土位置DPrに対応する第3位置情報と、管理側記憶装置13のLP/DPデータベース14RDに記述されている既登録経路CSの積込位置LP及び排土位置DPとが一致する場合(ステップS104、Yes)、経路判定部12aは、ステップS105において実走行経路CSrと同一の経路の候補を検索する。既登録経路データベース14CSには、既登録経路CSに含まれる、第1の排土場DPA0の排土位置DP0(走行開始位置SP1)、積込位置LP1、第2の排土場DPA1の排土位置DP1、通過位置WP1、WP2等及びリンクLK1、LK2等が、既登録経路CS毎に記述されている。経路判定部12aは、例えば、管理側記憶装置13の既登録経路データベース14CSから、ステップS102で抽出された走行開始位置SPr、積込位置LPr及び排土位置DPrと一致した排土位置DP及び積込位置LPを有している既登録経路CSを、実走行経路CSrと同一の経路の候補として抽出する。候補となる既登録経路CSは、複数抽出される場合もある。
【0077】
次に、経路判定部12aは、ステップS106において、経路の候補が存在するか否かを判定する。経路の候補が存在する場合、経路判定部12aは、ステップS107に進む。経路の候補が存在しない場合、経路判定部12aは、ステップS115に進む。ステップS107において、経路判定部12aは、実走行経路CSr及びステップS105で検索し、抽出した既登録経路CSにおいて、ダンプトラック20が走行した走行距離を計算する。走行距離は、往路CSr1と復路CSr2とでそれぞれ計算される。経路判定部12aは、実走行経路CSrの往路CSr1の走行距離として、走行開始位置SPrから積込位置LPrまでの距離を計算する。また、経路判定部12aは、実走行経路CSrの復路CSr2の走行距離として、積込位置LPrから排土位置DPrまでの距離を計算する。往路CSr1の走行距離と復路CSr2の走行距離との和が、実走行経路CSrの走行距離である。
【0078】
経路判定部12aは、既登録経路CSの往路CS1の走行距離を計算するにあたって、走行開始位置SP1を含む第1の排土場DPA0に最も近い通過位置WP1(WPsg)から積込位置LP1を含む積込場LPA1に最も近い通過位置WP9(WPeg)までの距離を計算する。また、経路判定部12aは、既登録経路CSの復路CS2の走行距離を計算するにあたって、積込位置LP1を含む積込場LPA1に最も近い通過位置WP10(WPsb)から排土位置DP1を含む第2の排土場DPA1に最も近い通過位置WP18(WPeb)までの距離を計算する。往路CS1の距離と復路CS2の距離との和が、既登録経路CSの走行距離である。候補となる既登録経路CSが複数抽出された場合、経路判定部12aは、それぞれの既登録経路CSに対して走行距離を計算する。
【0079】
実走行経路CSrの走行距離と既登録経路CSの走行距離との差の絶対値を距離差ΔLとしたとき、ステップS108において、経路判定部12aは、距離差ΔLと所定の閾値ΔLcとを比較する。その結果、第2条件として、距離差ΔLが所定の閾値ΔLc以下、すなわち距離差ΔLが所定の閾値ΔLcで規定される所定の範囲内であることが成立すれば(ステップS108、Yes)、経路判定部12aは、処理をステップS109に進める。
【0080】
本実施形態において、距離差の閾値ΔLcは限定されるものではないが、例えば、200m程度としている。鉱山において稼働するダンプトラック20は、例えば、同一の経路を走行する場合であっても、障害物を回避する等により、ダンプトラック20毎の走行距離が異なる場合がある。ΔLcを200m程度とすることにより、鉱山におけるダンプトラック20の実際の稼働状況を考慮して、距離差ΔLを判定することができる。
【0081】
ステップS109において、経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIと候補となる既登録経路CSの通過位置WPとが一致するか否かを判定する。より具体的には、経路判定部12aは、位置情報群としての実走行経路CSrに含まれる複数の位置情報PIが、既登録経路CSの走行開始位置SP1(排土位置DP0)と積込位置LP1との間に存在する複数のノードとしての通過位置WP1、WP2、・・・WP9及び積込位置LP1と排土位置DP1との間に存在する複数のノードとしての通過位置WP10、WP11、・・・WP18に一致するか否かを判定する。候補となる既登録経路CSが複数存在する場合、経路判定部12aは、既登録経路CS毎に通過位置WPと位置情報PIとの一致を判定する。
【0082】
図8は、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPとの一致を判定する方法を説明するための図である。
図8中の位置情報を示す符号PIに付されたj、j−1、j+1等(jは整数)は、複数の位置情報PIを区別するための符号である。複数の位置情報PIを区別する必要がない場合、単に位置情報PIと記載する。経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIと候補となる既登録経路CSの通過位置WPとの一致を判定する場合、通過位置WPの周囲の所定範囲WPC内に、複数の位置情報PIのうち少なくとも1つが存在するときに、位置情報PIと通過位置WPとは一致したと判定する。
図8に示す例では、実走行経路CSrの位置情報PIj−1、PIj、PIj+1が所定範囲WPC内に存在するので、経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIと候補となる既登録経路CSの通過位置WPとが一致すると判定する。本実施形態において、所定範囲WPは、通過位置WPを中心とした所定半径RWPの範囲である。すなわち、所定範囲WPCの形状は円形であるが、これには限定されない。
【0083】
ダンプトラック20は、鉱山で走行する場合、例えば、対面走行ですれ違えるように、ある程度の幅を有した走路を走行する。また、通過位置WPの座標及び位置情報PIは、GPSの計測位置誤差を有しているので、通過位置WP自体を用いて位置情報PIとの一致を判定すると、ダンプトラック20の走行時におけるGPSの計測位置の誤差等を許容できず両者はほとんど一致しなくなる可能性がある。本実施形態では、通過位置WPの周囲の所定範囲WPC内に位置情報PIが存在したときに第3条件が成立するようにしている。このため、経路判定部12aは、走路の幅及びダンプトラック20の走行時におけるGPSでの計測誤差等を考慮して、通過位置WPと位置情報PIとの一致を判定できる。所定半径RWPは、走路の幅及びダンプトラック20の走行時におけるGPSでの計測誤差等を考慮して決定される。本実施形態では、所定半径RWPは、例えば、15mから30m程度である。
【0084】
図9及び
図10は、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPとの一致を判定するための追加事項を説明するための図である。本実施形態において、通過位置WPの周囲の所定範囲WPC内に実走行経路CSrの位置情報PIがあるか否かに加えて、ダンプトラック20の進行方向及び積載状態の少なくとも一方を用いて位置情報PIと通過位置WPとの一致を判定してもよい。このようにすることで、経路判定部12aは、両者の一致をより精度よく判定することができる。
【0085】
図9に示す例は、ダンプトラック20の進行方向を用いて位置情報PIと通過位置WPとの一致を判定する例を示している。既登録経路CSの往路CS1は走行開始位置SP1から積込位置LP1に向かう経路であり、復路CS2は積込位置LP1から排土位置DP1に向かう経路である。往路CS1を走行するダンプトラック20の正常な進行方向Vaは、走行開始位置SP1から積込位置LP1に向かい、復路CS2を走行するダンプトラック20の正常な進行方向Vbは、積込位置LP1から排土位置DP1に向かう。異なるタイミングで取得された少なくとも2個の位置情報PIから、ダンプトラック20の進行方向Va、Vbを求めることができる。
【0086】
往路CS1に存在する既登録経路CSの通過位置WPaにおいて、ダンプトラック20の正常な進行方向Vaは、走行開始位置SP1から積込位置LP1に向かう。実走行経路CSrの位置情報が往路CS1の通過位置WPaの周囲における所定範囲WPCに存在する場合を考える。この場合、経路判定部12aは、実走行経路CSrに含まれる位置情報PIから求めた、通過位置WPaにおけるダンプトラック20の進行方向が、走行開始位置SP1から積込位置LP1に向かっていれば、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPaとが一致していると判定する。これに対して、経路判定部12aは、実走行経路CSrに含まれる位置情報PIから求めた、通過位置WPaにおけるダンプトラック20の進行方向が、積込位置LP1から排土位置DP1に向かっていると、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPaとは一致していないと判定する。後者は、往路CS1を走行するダンプトラック20の正常な進行方向ではないからである。
【0087】
次に、復路CS2について説明する。復路CS2に存在する既登録経路CSの通過位置WPbにおいて、ダンプトラック20の正常な進行方向Vbは、積込位置LP1から排土位置DP1に向かう。実走行経路CSrの位置情報が復路CS2の通過位置WPbの周囲における所定範囲WPCにある場合を考える。この場合、経路判定部12aは、実走行経路CSrに含まれる位置情報PIから求めた、通過位置WPbにおけるダンプトラック20の進行方向が、積込位置LP1から排土位置DP1に向かっていれば、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPbとが一致していると判定する。これに対して、経路判定部12aは、実走行経路CSrに含まれる位置情報PIから求めた、通過位置WPbにおけるダンプトラック20の進行方向が、走行開始位置SP1から積込位置LP1に向かっていると、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPbとは一致していないと判定する。後者は、復路CS2を走行するダンプトラック20の正常な進行方向ではないからである。
【0088】
このように、経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIから求めたダンプトラック20の進行方向が、既登録経路CSにおける正常な進行方向とは異なる場合、位置情報PIが通過位置WPの周囲の所定範囲WPC内に存在していても、両者は一致しないと判定する。その結果、経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPとの一致を、さらに精度よく判定することができる。
【0089】
図10に示す例は、ダンプトラック20の積載状態を用いて位置情報PIと通過位置WPとの一致を判定する例を示している。既登録経路CSの往路CS1及び復路CS2については上述した通りである。往路CS1は、積込位置LP1に向かう経路なので、往路CS1を走行するダンプトラック20は、通常は積荷を積載していない。復路CS2は、積込位置LP1から排土位置DP1に向かう経路なので、復路CS2を走行するダンプトラック20は、通常は積荷を積載している。このため、往路CS1を走行するダンプトラック20と復路CS2を走行するダンプトラック20とでは、積荷の大きさが異なる。すなわち、ダンプトラック20は、積載量によって往路CS1を走行しているか、復路CS2を走行しているかを判別することができる。積荷の積載量は、前述した通り、
図4に示すサスペンションシリンダー24の圧力センサ26の検出値から求められる。
【0090】
往路CS1に存在する既登録経路CSの通過位置WPaにおいて、ダンプトラック20は積荷を積載しない状態で積込位置LP1に向かう。実走行経路CSrの位置情報が往路CS1の通過位置WPaの周囲における所定範囲WPCにある場合を考える。この場合、経路判定部12aは、ダンプトラック20の積載量が予め定めた所定値以下である場合(
図10のE1)、すなわち積荷がない場合に実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPaとが一致していると判定する。これに対して、経路判定部12aは、ダンプトラック20の積載量が予め定めた所定値よりも大きい場合(
図10のF1)、すなわち積荷がある場合に実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPaとは一致していないと判定する。後者は、積込位置LP1に向かうにも関わらず、積荷を積載しているダンプトラック20であるため、往路CS1を逆走する又は既登録経路CSとは異なる経路を走行するダンプトラック20であると判断できるからである。
【0091】
次に、復路CS2について説明する。復路CS2に存在する既登録経路CSの通過位置WPbにおいて、ダンプトラック20は積荷を積載した状態で排土位置DP1に向かう。実走行経路CSrの位置情報が復路CS2の通過位置WPbの周囲における所定範囲WPCにある場合を考える。この場合、経路判定部12aは、ダンプトラック20の積載量が予め定めた所定値よりも大きい場合(
図10のF2)、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPbとが一致していると判定する。これに対して、経路判定部12aは、ダンプトラック20の積載量が予め定めた所定値以下である場合(
図10のE2)、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPbとは一致していないと判定する。後者は、排土位置DP1に向かうにも関わらず、積荷を積載していないダンプトラック20であるため、復路CS2を逆走する又は既登録経路CSとは異なる経路を走行するダンプトラック20であると判断できるからである。
【0092】
このように、経路判定部12aは、位置情報PIが通過位置WPの周囲における所定範囲WPC内に存在している場合において、ダンプトラック20の積載状態に基づいて、両者が一致するか否かを判定する。その結果、経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPとの一致を、さらに精度よく判定することができる。
【0093】
通過位置WPと位置情報PIとが一致した場合、経路判定部12aは、通過位置WPの周囲における所定範囲WPC内に存在する位置情報PIを用いて通過位置WPを補正する。この場合、経路判定部12aは、補正前の通過位置WPとの距離が最短となる位置情報PIを用いる。
図8に示す例では、所定範囲WPC内に複数の位置情報PIj−1、PIj、PIj+1が存在するが、これらのうち、補正前の通過位置WPとの距離が最短となる位置情報PIjが通過位置WPの補正に用いられる。通過位置WPを補正するにあたり、経路判定部12aは、例えば、通過位置WPと位置情報PIjとの距離Lminの中点を、補正後の通過位置WPnとする。経路判定部12aは、管理側記憶装置13の経路別WPデータベース14WPに記述されている補正前の通過位置WPを、補正後の通過位置WPnに書き換える。このようにすることで、経路別WPデータベース14WPが更新される。実走行経路CSrの位置情報PIjを用いて通過位置WPを補正することによって、実走行経路CSrの数が増加するにしたがって、通過位置WPの誤差を小さくすることができる。
【0094】
次に、ステップS110において、経路判定部12aは、第3条件として、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPとの一致率が所定の閾値MCc以上で、かつすべての特定区間SCにおいて特定区間SCの両端の通過位置が、実走行経路CSrの位置情報PIに一致するか否かを判定する。なお、第3条件は、少なくとも、実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPとの一致率が所定の閾値MCc以上であることを含んでいればよい。一致率は、実走行経路CSrが含む複数の位置情報PIと一致する既登録経路CSの通過位置WPの割合である。ダンプトラック20が走行する走路の状態、例えば、雨天であるか乾燥しているか又は障害物があるか否か等によって、同じ走路であってもダンプトラック20は一部を迂回して走行すること等がある。また、前述したように、GPSの計測誤差の問題もある。このため、本実施形態は、このような迂回及び計測位置の誤差を考慮して、所定の閾値MCcを用いて第3条件の成立を判定する。このようにすることで、経路判定部12aは、実際の走行のばらつき及び計測位置の誤差を考慮して、実走行経路CSrと既登録経路CSとが一致するか否かを判定することができる。
【0095】
実走行経路CSrの位置情報PIと一致した既登録経路CSの通過位置WPの数をN1、判断の対象となった既登録経路CSが有する通過位置WPの数をN2としたとき、一致率は、N1/N2となる。本実施形態において、所定の閾値MCcは、例えば、0.8から0.9程度であるが、これに限定されるものではない。例えば、所定の閾値MCcは、ダンプトラック20が走行する走路の状態(例えば、雨天であるか乾燥しているか等)又は形状(曲率又は勾配等の大きさ)等によって変更されてもよい。路面の状態によっては、同じ走路を走行する場合でも、ダンプトラック20は一部迂回等をして走行することがあるが、このようにすることで、経路判定部12aは、実際の走路を考慮して、第3条件の成立を判定することができる。
【0096】
図11は、特定区間における実走行経路CSrの位置情報PIと既登録経路CSの通過位置WPとの一致の判定を説明するための図である。
図11に示す特定区間SCは、ノードとしての通過位置WPa、WPb、WPc、WPd及びリンクLKa、LKb、LKcとを有している。特定区間SCの両端に存在する通過位置WPa、WPdを、特定区間位置SPt1、SPt2という。前述したように、特定区間SCは、既登録経路CS中、特性がほぼ同一と認められる部分なので、既登録経路CSの特定区間SCが実走行経路CSrの一部に一致すれば、一致した部分は同一の特性を有する可能性が極めて高いと判断できる。このため、本実施形態において、経路判定部12aは、すべての特定区間SCにおいて特定区間SCの特定区間位置SPt1、SPt2が、実走行経路CSrの位置情報PIに一致することで、第3条件が成立したと判定する。このようにすることで、実走行経路CSrと既登録経路CSとが一致するか否かの判定精度を向上させることができる。特定区間位置SPt1、SPt2と、実走行経路CSrの位置情報PIとが一致するか否かの判定は、通過位置WPと位置情報PIとが一致するか否かの判定と同様である。
【0097】
第3条件が成立した場合(ステップS110、Yes)、経路判定部12aは、実走行経路CSrが、既登録経路CSと同一であると判定する。この場合、経路判定部12aは、ステップS111において、経路情報、具体的には、管理側記憶装置13が記憶している既登録経路CSの経路情報を更新する。例えば、経路判定部12aは、同一と判定された既登録経路CSをダンプトラック20が走行した回数、時間及び稼働情報のうち、少なくともいずれか1つを更新する。回数は、現在の回数に対して1が追加される。このようにすることで、既登録経路CSを走行した回数を更新することができる。実走行経路CSrの特定区間SCと既登録経路CSの特定区間SCとが一致した場合又は新規の特定区間SCが作成された場合も、経路判定部12aは、経路情報、具体的には、管理側記憶装置13が記憶している既登録経路CSの経路情報を更新する。例えば、経路判定部12aは、同一と判定された特定区間SC又は新規に作成された特定区間SCをダンプトラック20が走行した回数、時間及び稼働情報のうち、少なくともいずれか1つを更新する。
【0098】
経路情報を更新するにあたり、経路判定部12aは、実走行経路CSrが複数の既登録経路CSと同一であると判定した場合、最も新しい既登録経路CSについて、ダンプトラック20が走行した回数、時間及び稼働情報のうち少なくともいずれか1つを更新する。排土場DPA及び積込場LPAの少なくとも一方が時間の経過とともに移動した結果、実走行経路CSrと既登録経路CSの通過位置WPとが一致しても、走行開始位置SPr、積込位置LPr及び排土位置DPrの少なくとも1つが一致しないことがある。このような場合、管理側処理装置12は、その実走行経路CSrの位置情報PIを用いて新たな経路情報を生成し、既登録経路CSとして管理側記憶装置13の既登録経路データベース14CS等に登録する。実走行経路CSrが複数の既登録経路CSと同一であると判定された場合、既登録経路CSには、既に使用されていない過去のものから現在使用されている最新のものまでが含まれている。このような場合、本実施形態のように、経路判定部12aが、最も新しい既登録経路CSについて、ダンプトラック20が走行した回数、時間及び稼働情報のうち、少なくともいずれか1つを更新することにより、現在使用されている最新の既登録経路CSの経路情報を更新することができる。
【0099】
例えば、通信の遅れによって、管理側処理装置12が実走行経路CSrの位置情報PIを取得するタイミングが遅くなることがある。このような場合、最新の情報で既登録経路CSを更新できない可能性がある。本実施形態において、経路情報を更新するにあたり、実走行経路CSrをダンプトラック20が走行した時間が、この実走行経路CSrと同一であると判断された既登録経路CSの最終更新時間よりも前である場合、経路判定部12aは、この実走行経路CSrと同一と判定された既登録経路CSをダンプトラック20が走行した回数及び時間を更新しない。このようにすることで、既登録経路CSは、最新の情報で更新されることになる。
【0100】
既登録経路CSの経路情報が更新されたら、ステップS112において、ステップS110で実走行経路CSrと同一であると判定された既登録経路CSのリンク毎に走行回数、走行時間及び稼働情報のうち少なくともいずれか1つを集計し、更新する。次に、
図6に示すステップS113において、管理側処理装置12の経路解析部12eは、ここまでの処理で得られた既登録経路CSの経路情報等に基づいて、特定区間SCを集計する。ステップS113の処理については後述する。次に、
図6に示すステップS104に戻って説明する。
【0101】
ステップS102で抽出された走行開始位置SPrに対応する第1位置情報、積込位置LPrに対応する第2位置情報及び排土位置DPrに対応する第3位置情報のうち、少なくともいずれか1つが、既登録経路CSの積込位置LP又は排土位置DPに一致しない場合(ステップS104、No)、実走行経路CSrと一致する既登録経路CSは存在しない。この場合、経路判定部12aは、ステップS114に処理を進める。ステップS114において、経路判定部12aは、一致しない位置の位置情報を新規の排土位置DP又は積込位置LPとして登録する。次に、排土位置DP及び積込位置LPの少なくとも一方の新規登録について、新規登録をしない場合とともに説明する。
【0102】
図12及び
図13は、排土位置DPを新規登録しない場合を説明するための図である。ステップS104において肯定(Yes)である場合、排土場DPA0の代表位置としての排土位置DP及び積込位置LPは新規登録されない。既登録経路CSの排土位置DP0(走行開始位置SP1)は、
図2に示す管理側記憶装置13のLP/DPデータベース14RD及び既登録経路データベース14CSに既に記述され、登録されている。
【0103】
図12及び
図13に示す例では、既に登録されている排土位置DP0(排土場DPA0の代表位置)を中心とした所定半径RDの範囲SPC1、すなわち排土場DPA0内に実走行経路CSrの走行開始位置SPrが存在している。このため、実走行経路CSrの走行開始位置SPrは、既に登録されている排土位置DP0に一致すると判定される。したがって、実走行経路CSrの走行開始位置SPrは、新しい排土位置DPnとしてはLP/DPデータベース14RDに登録されない。なお、実走行経路CSrの走行開始位置SPrは、排土位置DP0(排土場DPA0の代表位置)を中心とした所定半径RDの範囲SPC1内に積荷が下ろされた位置である。
【0104】
この場合、
図2に示す管理側処理装置12の領域特定部12cは、実走行経路CSrの走行開始位置SPrを用いて、既に登録されている排土位置DP0を補正する。領域特定部12cは、例えば、両者の中点を、補正後の排土位置DP0n(走行開始位置SP1n)とする。領域特定部12cは、管理側記憶装置13のLP/DPデータベース14RDに記述されている補正前の排土位置DP0を、補正後のDP0nに書き換える。このようにすることで、経路別LP/DPデータベース14RDが更新される。なお、
図7に示す排土場DPA1においても、排土場DPA0と同様に処理される。
【0105】
実走行経路CSrの走行開始位置SPrを用いて、既に登録されている排土位置DP0を補正するようにしているので、実走行経路CSrの走行開始位置SPrの数が蓄積されるにしたがって、排土位置DP0の誤差を小さくすることができる。また、排土場DPA0、DPA1は、積荷を下ろすことによって徐々に広がる傾向にある。このため、実走行経路CSrの走行開始位置SPr(
図7に示す排土場DPA1においては実走行経路CSrの排土位置DPr)を用いて排土位置DP0を補正することにより、補正後の排土位置DP0nを経路の特定に反映させることができる。次に、積込位置LP1を新規登録しない場合について説明する。
【0106】
図14及び
図15は、積込位置LPを新規登録しない場合を説明するための図である。既登録経路CSの積込位置LP1は、
図2に示す管理側記憶装置13のLP/DPデータベース14RD及び既登録経路データベース14CSに既に記述され、登録されている。
図14及び
図15に示す例では、既に登録されている積込位置LP1を中心とした所定半径RLの範囲、すなわち積込場LPA1内に実走行経路CSrの積込位置LPrが存在している。このため、実走行経路CSrの積込位置LPrは、既に登録されている積込位置LP1に一致すると判定される。したがって、実走行経路CSrの積込位置LPrは、新しい積込位置LPnとしてはLP/DPデータベース14RDに登録されない。
【0107】
この場合、領域特定部12cは、実走行経路CSrの積込位置LPrを用いて、既に登録されている積込位置LP1を補正する。領域特定部12cは、例えば、既に登録されている積込位置LP1を、実走行経路CSrの積込位置LPrに変更することで補正する。本実施形態では、便宜上、補正後の積込位置をLP1nとする。補正後の積込位置LP1nの周囲における所定範囲が、新たな積込場LPA1nとなる。既に登録されている積込位置LP1が補正された後においては、補正後の積込位置LP1nの周囲における所定範囲内に実走行経路CSrの積込位置LPrが存在するか否かで、実走行経路CSrの積込位置LPrと登録済みの積込位置LP1nとの一致が判定される。本実施形態において、積込場LPA1は、鉱脈に沿って常に移動するため、実走行経路CSrの積込位置LPrを用いて積込位置LP1を補正することにより、補正後、すなわち現在の積込位置LP1nを経路の特定に反映させることができる。
【0108】
積込場LPA1が鉱脈に沿って常に移動するような場合、積込位置LP1は、一定の期間かつ予め定められた移動距離の範囲内であれば、その範囲内で同一の積込場とされて、新規の積込位置は登録されないことが好ましい。
図14に示す例では、補正後の積込位置LP1nが一定の期間かつ予め定められた移動距離の範囲内であれば、補正の前後において同一の積込場と見なしているので、補正後の積込位置LP1nは新たに登録されないことになる。例えば、積込位置LP1が最初に登録された位置から前記所定の移動距離以上移動した場合、このときの走行経路の全体の走行距離が最初登録されたときの走行距離に比して過度に長くなってしまうので、同一の走行経路と見なすことが困難となってしまう。補正後の積込位置LP1nが前記所定の移動距離の範囲内であるとき、補正の前後において同一の積込場と見なしているため、積込位置LP1が鉱脈に沿って移動した場合であっても、走行距離全体が長くなったことにより同一の走行経路と見なすことが困難となることを回避できる。また、補正後の積込位置LP1nが一定の期間かつ所定の移動距離の範囲内であれば、補正の前後において同一の積込場と見なしているのは、一定の期間を過ぎた古い位置情報としての積込位置LP1nに基づいて一致判定をすることを回避するためである。
【0109】
図16及び
図17は、排土位置DPを新規登録する場合を説明するための図である。これらの図に示す例では、既に登録されている排土位置DP0(走行開始位置SP1)を中心とした所定半径RDの範囲SPC1、すなわち排土場DPA0の外に実走行経路CSrの走行開始位置SPrが存在している。この場合、経路判定部12aは、実走行経路CSrの走行開始位置SPrが、既に登録されている排土位置DP0に一致しないと判定する。すると、領域特定部12cは、実走行経路CSrの走行開始位置SPrの位置情報等を、新しい排土位置DPnとしてLP/DPデータベース14RDに登録する。
【0110】
新しい排土位置DPnが新規登録された後において、ステップS103における判定では、新規登録された新しい排土位置DPnも用いられる。すなわち、経路判定部12aは、排土位置DPnを中心とした所定半径RDの所定範囲SPC1n(排土場DPA0n)内に実走行経路CSrの走行開始位置SPrが存在するか否かによって、走行開始位置SPrと排土位置DPnとの一致を判定する。次に、積込位置LPを新規登録する場合について説明する。
【0111】
図18及び
図19は、積込位置LPを新規登録する場合を説明するための図である。これらの図に示す例では、既に登録されている積込位置LP1を中心とした所定半径RLの範囲、すなわち積込場LPA1の外に実走行経路CSrの積込位置LPrが存在している。この場合、経路判定部12aは、実走行経路CSrの積込位置LPrが、既に登録されている積込位置LP1に一致しないと判定する。すると、領域特定部12cは、実走行経路CSrの積込位置LPrの位置情報等を、新しい積込位置LPnとしてLP/DPデータベース14RDに登録する。
【0112】
新しい積込位置LPnが新規登録された後において、ステップS103における判定では、新規登録された積込位置LPnも用いられる。すなわち、経路判定部12aは、積込位置LPnを中心とした所定半径RLの所定範囲LPC1n内に実走行経路CSrの積込位置LPrが存在するか否かによって、積込位置LPrと積込位置LPnとの一致を判定する。
【0113】
既登録経路CSの第2位置に対応する積込位置LP並びに既登録経路CSの第1位置及び第3位置に対応する排土位置DPは、新しい積込位置LPn又は排土位置DPnがLP/DPデータベース14RDに登録される毎に数が増える。積込位置LP及び排土位置DPは、時間の経過とともに情報が古くなる。このため、本実施形態において、経路判定部12aは、積込位置LP及び排土位置DPがLP/DPデータベース14RDに登録されてから経過した期間が、所定の期間以内であるものを用いて、ステップS103の判定を行う。このようにすることで、経路判定部12aは、時々刻々と変化する鉱山の状態に対応して既登録経路CSの排土位置DP等と実走行経路CSrの排土位置DPr等とが一致するか否かを判定できるので、判定の精度が向上する。本実施形態において、所定の期間は特に限定されないが、例えば、数日から数週間とすることができる。所定の期間は、積込位置LPと排土位置DPとで異ならせてもよい。この場合、所定の期間は、積込位置LPの方が排土位置DPよりも短いことが好ましい。積込位置LPは、鉱床に沿って又は作業形態に応じて移動する傾向があるため、排土位置DPよりも位置の変化が早いからである。
【0114】
ステップS114で排土位置DP及び積込位置LPの少なくとも一方が新規登録されたら、管理側処理装置12は、処理をステップS115に進める。ステップS115において、経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIが既登録経路CSの通過位置WPに一致しているか否かの判定を、管理側記憶装置13の経路別WPデータベース14WPに記述され、既に登録されている通過位置WPに対して実行する。この判定は、実走行経路CSrの往路CSr1と復路CSr2とのそれぞれ別個に対して実行される。本実施形態において、この判定は、既に登録されているすべての通過位置WPに対して実行するが、必ずしもすべての通過位置WPに対して実行されなくてもよい。
【0115】
ステップS115が実行される前に、既にステップS104で否定(No)と判定されている。このため、実走行経路CSrと一致する既登録経路CSは存在しない。しかし、経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIと一致する、既登録経路CSの通過位置WPを抽出することで、実走行経路CSrのうち、既登録経路CSと一部一致している部分を抽出することができる。
【0116】
本実施形態において、経路判定部12aは、既に登録されているすべての通過位置WPに対して実走行経路CSrの位置情報PIが既登録経路CSの通過位置WPに一致しているか否かを判定するが、実走行経路CSrの周囲の所定範囲内に存在する通過位置WPのみを前述した判定の対象としてもよい。このようにすることで、判定の対象とする通過位置WPの数を低減することができるので、管理側処理装置12が判定処理に要する負荷が軽減される。
【0117】
図20−1は、実走行経路CSrの位置情報PIが一致する既登録経路CSの通過位置WPを抽出する処理を説明するための図である。
図20−1中の位置情報を示す符号PIに付されたk、k+1等(kは整数)は、複数の位置情報PIを区別するための符号である。複数の位置情報PIを区別する必要がない場合、単に位置情報PIと記載する。また、
図20−1中の通過位置を示す符号WPに付されたn、n+1等(nは整数)は、複数の通過位置WPを区別するための符号である。複数の通過位置WPを区別する必要がない場合、単に通過位置WPと記載する。
図20−1に示す例では、実走行経路CSrの一部が、既登録経路CSが有する複数の通過位置WPn−2、・・・WPn+2のうちの一部と一致している。具体的には、実走行経路CSrが有する複数の位置情報PIk、・・・PIk+6(kは整数)のうち位置情報PIk+2、PIk+3、PIk+4が、通過位置WPn−2、WPn−1、WPnの周囲における所定半径の所定範囲WPC内に存在する。
【0118】
図2に示す経路判定部12aは、実走行経路CSrの一部の位置情報PIk+2、PIk+3、PIk+4と一致する既登録経路CSの通過位置WPn−2、WPn−1、WPnを抽出する。次に、経路判定部12aは、実走行経路CSrの位置情報PIk+2、PIk+3、PIk+4を用いて、これらが一致した通過位置WPn−2、WPn−1、WPnを補正する。この補正については、前述した通りである。この補正が終了したら、経路判定部12aは、管理側記憶装置13の経路別WPデータベース14WPに記述されている補正前の値を補正後の値に書き換える。経路判定部12aは、対象となる通過位置WPすべてに対して実走行経路CSrの位置情報PIが一致するか否かを判定し、一致する通過位置WPを位置情報PIで補正したら、処理をステップS116に進める。ステップS116において、
図2に示す管理側処理装置12の経路情報作成部12dは、既登録経路CSの通過位置WPと一致しない部分に、新規に通過位置WPを作成する。
【0119】
図20−2は、新規に通過位置WPを作成する方法を説明するための図である。本実施形態において、経路情報作成部12dは、既存の通過位置WPの周囲における所定の大きさの通過位置除外半径RWexで囲まれる範囲WPex内に、新たな通過位置WPを生成することができない。すなわち、経路情報作成部12dは、既存の通過位置WPの周囲における所定の大きさの通過位置除外半径RWexで囲まれる範囲WPexの外に、新たな通過位置WPを生成する。通過位置除外半径RWexは、実走行経路CSrの位置情報PIが通過位置WPと一致するか否かを判定する際に用いられる所定半径RWPよりも大きい。本実施形態において、通過位置除外半径RWexは、50m程度であるがこれに限定されない。
【0120】
図20−2に示す例では、実走行経路CSrの位置情報PIk+5が、既登録経路CSの通過位置WPn+1の通過位置除外半径RWex内に存在する。このため、経路情報作成部12dは、位置情報PIk+5の位置に通過位置WPを作成しない。これに対して、実走行経路CSrの位置情報PIk+6は、既登録経路CSの通過位置WPn+1及び通過位置WPn+2の通過位置除外半径RWexの範囲(通過位置除外領域)内を除く領域、すなわち範囲外に存在する。このため、経路情報作成部12dは、位置情報PIk+6の位置に、新たな通過位置WPN1を作成する。
【0121】
経路情報作成部12dは、既登録経路CSの通過位置WPn+2の通過位置除外半径REexの範囲内を除く領域で、通過位置WPN1から所定距離離れた位置の位置情報PIk+7を用いて、新たな通過位置WPN1に隣接する次の新たな通過位置WPN2を作成する。経路情報作成部12dは、このようにして実走行経路CSrに含まれる位置情報PIから、新たな通過位置WPN1、WPN2等を作成して、管理側記憶装置13の経路別WPデータベース14WPに登録する。
【0122】
次に、
図12から
図19を用いて、排土位置DP及び積込位置LP近傍に新たな通過位置WPを作成する例又は作成しない例を説明する。
図12に示す例では、実走行経路CSrが既登録経路CSの通過位置WP1、WP2を中心とした所定半径RWPの所定範囲WPC内にあるため、通過位置WPは新規に作成されない。
図14に示す例でも、実走行経路CSrが既登録経路CSの通過位置WP7、WP8を中心とした所定半径RWPの所定範囲WPC内にあるため、通過位置WPは新規に作成されない。
【0123】
図16に示す例では、実走行経路CSrの位置情報PIsgrが既登録経路CSの通過位置WP1を中心とした所定半径RWPの所定範囲WPC内にある。このため、実走行経路CSrの位置情報PIsgrから新規の通過位置WPは作成されない。この場合、既登録経路CSの通過位置WP1は、実走行経路CSrの位置情報PIsgrを用いて補正される。
図18に示す例では、実走行経路CSrの位置情報PIegrが既登録経路CSの通過位置WP8を中心とした所定半径RWPの所定範囲WPC内にある。このため、実走行経路CSrの位置情報PIegrから新規の通過位置WPは作成されない。この場合、既登録経路CSの通過位置WP8は、実走行経路CSrの位置情報PIegrを用いて補正される。
【0124】
図12から
図19に示すように、既登録経路CS上に作成されている通過位置WP1、WP2等は、いずれも通過位置除外半径RWexの外側に作成されている。
図12、
図13、
図16及び
図17に示すように、経路情報作成部12dは、排土位置DP0(走行開始位置SP1)を中心とした所定の大きさの半径である通過位置除外半径RDexの範囲(排土側における第2の範囲、以下、適宜通過位置除外領域という)SPexの内側には、通過位置WPを作成しない。すなわち、経路情報作成部12dは、通過位置除外領域SPexの内側を除く領域に、通過位置WPを作成する。また、
図14、
図15、
図18及び
図19に示すように、経路情報作成部12dは、積込位置LP1を中心とした所定の大きさの半径である通過位置除外半径RLexの範囲(第2の範囲又は積込側における第2の範囲、以下、適宜通過位置除外領域という)LPexの内側には、通過位置WPを作成しない。通過位置除外半径RDexは排土場DPA0の所定半径RDよりも大きく、通過位置除外半径RLexは積込場LPA1の所定半径RLよりも大きい。
【0125】
積込場LPA及び排土場DPAの近傍は、通常は決められた走路となっていない。このため、実走行経路CSrと既登録経路CSの通過位置WPとの同一を判定する際には、積込場LPA及び排土場DPAの近傍は除外する。このため、本実施形態では、積込場LPAにおける通過位置除外領域LPex及び排土場DPAにおける通過位置除外領域SPexを設けている。
【0126】
図13に示す例では、実走行経路CSrの位置情報PIsgrが既登録経路CSの通過位置WP1を中心とした所定半径RWPの所定範囲WPC内にない。このため、実走行経路CSrの位置情報PIsgrから新規の通過位置WPsgrが作成される。この場合、新規の通過位置WPsgrは、排土位置DP0(走行開始位置SP1)を中心とした通過位置除外半径RDexの通過位置除外領域SPexの内側を除く領域に作成される。
図17に示す例でも、実走行経路CSrの位置情報PIsgrが既登録経路CSの通過位置WP1を中心とした所定半径RWPの所定範囲WPC内に存在しない。また、
図17に示す例は、実走行経路CSrの走行開始位置SPrが、新しい排土位置DPnとして登録されている。この場合、新しい排土位置DPnを中心とした通過位置除外半径RDexの通過位置除外領域SPexの内側を除く領域に、新規の通過位置WPsgrが作成される。この新規の通過位置WPsgrは、既登録経路CSの排土位置DP0を中心とした所定半径RDの範囲SPC1、すなわち排土場DPA0内に存在していてもよい。
【0127】
図15に示す例では、実走行経路CSrの位置情報PIegrが既登録経路CSの通過位置WP8を中心とした所定半径RWPの所定範囲WPC内にない。このため、実走行経路CSrの位置情報PIegrから新規の通過位置WPegrが作成される。この場合、新規の通過位置WPegrは、積込位置LP1を中心とした通過位置除外半径RLexの通過位置除外領域LPexの内側を除く領域に作成される。
図19に示す例でも、実走行経路CSrの位置情報PIegrが既登録経路CSの通過位置WP8を中心とした所定半径RWPの所定範囲WPC内に存在しない。また、
図19に示す例は、実走行経路CSrの積込位置LPrが、新しい積込位置LPnとして登録されている。この場合、新しい積込位置LPnを中心とした通過位置除外半径RLexの通過位置除外領域LPexの内側を除く領域に、新規の通過位置WPegrが作成される。この新規の通過位置WPegrは、既登録経路CSの積込位置LP1を中心とした所定半径RLの範囲、すなわち積込場LPA1内に存在していてもよい。
【0128】
このようにして、既登録経路CSの通過位置WPに一致しない実走行経路CSrの部分に、新規に通過位置WPが作成されたら、ステップS117において、実走行経路CSrに対応した位置情報PIを用いて作成された新規経路情報が、新たな経路として管理側記憶装置13の既登録経路データベース14CSに登録される。この場合、経路情報作成部12dは、ステップS116で新たに作成されて登録された通過位置WPをノードとして用いて、これらをリンクで接続することによって、実走行経路CSrに対応した経路情報を作成する。そして、経路情報作成部12dは、作成した実走行経路CSrに対応した経路情報を既登録経路データベース14CSに記述することにより、管理側記憶装置13に記憶させる。実走行経路CSrに対応した経路情報に含まれる通過位置WPは、少なくとも2個以上であればよいので、リンクは少なくとも1個あればよい。
【0129】
経路情報作成部12dは、既に登録されて存在し、かつ実走行経路CSrの位置情報PIと一致する通過位置WPが存在すればそれも用いて、実走行経路CSrに対応した経路情報を作成する。このようにすると、実走行経路CSrに対応した経路情報が、既に存在する経路情報の一部と一致する場合、一致する部分については、例えば、ダンプトラック20の走行回数等の記録を合算して集計することができる。その結果、ダンプトラック20の稼働状況を解析するにあたっては、より詳細に、かつ精度の高い解析が実現できる。
【0130】
実走行経路CSrに対応した新規の経路情報(以下、適宜新規経路情報という)が登録されたら、ステップS118において、
図2に示す管理側処理装置12の経路解析部12eは、ステップS117で作成した新規経路情報のリンク毎に走行回数、走行時間及び稼働情報のうち少なくともいずれか1つを計数する。登録された新規経路情報は、既登録経路になる。次に、ステップS119において、経路解析部12eは、ステップS117で作成した新規経路情報の一部の区間に一致する既登録の特定区間SCを、経路別特定区間データベース14SCから抽出する。例えば、既登録の特定区間SCの両端に存在する特定区間位置SPt1、SPt2が、新規経路情報に含まれる二箇所の通過位置WPとそれぞれ一致していれば、特定区間SCは、新規経路情報の二箇所の通過位置WPを両端部とする区間と一致する。
【0131】
新規経路情報の一部の区間に一致する既登録の特定区間SCは、新規経路情報の特定区間として用いられる。このようにすると、既に登録されて存在する特定区間SCと同一の特定区間については、例えば、ダンプトラック20の走行回数等の記録を合算して集計することができる。その結果、ダンプトラック20の稼働状況を解析するにあたっては、より詳細に、かつ精度の高い解析が実現できる。新規経路情報の一部の区間に一致する既登録の特定区間SCが抽出されたら、管理側処理装置12は、処理をステップS120に進める。ステップS120において、経路解析部12eは、新規経路情報のうち、既登録の特定区間SCと一致しない部分について、特定区間を新規に作成する。
【0132】
図21は、新規経路情報RINの一部において、特定区間SCを含む通過位置WP及びリンクLKの組合せの一例を示す図である。
図22は、特定区間SCを作成する方法の一例を説明するための図である。
図23は、特定区間SCを作成する際に用いる傾斜角度による分類を示す図である。
図24は、特定区間SCを作成する方法の一例を説明するための図である。
図22及び
図24のZ軸は、鉛直方向を示す。X軸及びY軸は、互いに直交し、かつそれぞれZ軸にも直交する軸である。経路解析部12eは、新規経路情報RINから特定区間SCを作成するにあたり、新規経路情報RIN中、互いに隣接するリンクLK同士の勾配の差が所定範囲以内で、互いに隣接するリンクLK同士の方位差が所定値以内で、かつその間に交差点を有さない部分を特定区間SCとする。
【0133】
図21に示す新規経路情報RINは、複数の通過位置WP1、WP2、・・・WP7と、複数のリンクLK1、LK2、・・・LK6とを含む。通過位置WP3、WP4、WP5及びリンクLK3、LK4が特定区間SCである。通過位置WP3、WP5が、特定区間位置SPt1、SPt2となる。
図22に示すように、リンクLKa、LKb、LKcが、それぞれ傾きSLPa、SLPb、SLPc(%)を有している。傾きSLPa、SLPb、SLPcを区別しない場合、単に傾きSPLという。隣接するリンク同士の傾きSPL(%)の差が所定の範囲内にある場合に、勾配が同一であると判定される。本実施形態においては、例えば、それぞれのリンクLKa、LKb、LKcの傾きSLPを5段階のレベルに分類し、レベルが同一であるものを勾配が同一であるとする。
図23に示すように、レベル1は、傾きSLPが−a(%)未満、レベル2は傾きSLPが−a(%)以上b(%)未満、レベル3は傾きSLPがb(%)以上c(%)以下、レベル4は傾きSLPがc(%)よりも大きくd(%)以下、レベル5は傾きSLPがd(%)よりも大きい。a、b、c、dの大きさは、特に限定されない。勾配の同一は、
図2に示す管理側処理装置12の勾配解析部12bによって判定される。経路解析部12eは、勾配解析部12bの判定結果に基づいて、特定区間SCを作成する。
【0134】
図24に示すように、隣接するリンクLKaとリンクLKbとの方位差β(度)が所定角γ以内である場合に、隣接するリンクLKaとリンクLKbとは同一の方向であると判断される。本実施形態において、所定角γは30度であるが、これに限定されるものではない。リンクLKa及びリンクLKbの方位は、それぞれのリンクの両端に存在する一対の通過位置WPa、WPb及び通過位置WPb、WPcの座標から求められる。
【0135】
本実施形態において、経路解析部12eは、ノードとしての通過位置WP1、WP2、・・・WP7に接続しているリンクLK1、LK2、・・・LK6の数に基づいて交差点を抽出して、新たな経路情報としての新規経路情報RINを生成する。具体的には、経路解析部12eは、3個以上のリンクが接続している1個の通過位置を交差点として抽出する。例えば、
図21に示す例では、通過位置WP3に3個のリンクLK2、LK3、LK6が接続している。このため、経路解析部12eは、通過位置WP3を交差点として抽出する。
図21に示す例では、リンクLK2、LK3、LK4はいずれも方位差が所定値以内であり、勾配も同一であるが、通過位置WP3が交差点であるため、通過位置WP3、WP4、WP5及びリンクLK3、LK4が特定区間SCとなる。このような方法により、ステップS120において、新規経路情報RINに特定区間SCが新規に作成される。
【0136】
その後、ステップS113において、経路解析部12eは、作成された特定区間SCを集計する。例えば、特定区間SC毎にダンプトラック20の走行回数、走行時間及び稼働情報のうち、少なくともいずれか1つが集計される。
【0137】
図25は、複数の経路情報CSa、CSb、CScにおいて、同一の通過位置WPを統合しない状態を示す図である。
図25に示す例において、経路情報CSaは、通過位置WPa1、WPa2、WPa3、WPa4、WPa5を含み、経路情報CSbは、通過位置WPb1、WPb2、WPb3、WPb4、WPb5を含み、経路情報CScは、通過位置WPc1、WPc2、WPc3、WPc4を含む。通過位置WPa2、WPb2は同一の位置であり、通過位置WPa3、WPb3、WPc2は同一の位置であり、通過位置WPa4、WPb4、WPc3は同一の位置である。
【0138】
同一の通過位置WPを統合しない場合、それぞれの経路情報CSa、CSb、CScにおいて同一の区間であっても異なる経路と判断されて、例えば、ダンプトラック20の稼働情報はそれぞれの経路情報CSa、CSb、CSc毎に集計される。このため、同一の区間の稼働情報を合算して集計することができない。また、同一の区間を走行したダンプトラック20の状態を比較したい場合、それぞれの経路情報CSa、CSb、CScから同一の区間における稼働情報を抽出して比較する必要があるため、処理に手間を要する可能性がある。
【0139】
図26は、複数の経路情報CSa、CSb、CScにおいて、同一の通過位置WPを統合した状態を示す図である。本実施形態では、前述したように、複数の経路情報CSa、CSb、CScの間において同一となる通過位置WPa2、WPb2、通過位置WPa3、WPb3、WPc2、通過位置WPa4、WPb4、WPc3を、それぞれ通過位置WPi1、通過位置WPi2、通過位置WPi3に統合する。このため、本実施形態においては、同一の区間の稼働情報を合算して集計することができる。その結果、ダンプトラック20の稼働状況を解析するにあたっては、より詳細に、かつ精度の高い解析が実現できる。また、本実施形態においては、同一の区間を走行したダンプトラック20の状態を比較したい場合には、統合された同一の区間における稼働情報を抽出すればよいので、容易に比較することができる。
【0140】
図27及び
図28は、特定区間SCの集計を説明するための図である。既登録経路が増加すると、通過位置WPに連結するリンクLKも増加する可能性がある。その結果、交差点が増えることになる。このため、本実施形態では、経路解析部12eが、定期的、例えば、一週間に一回又は一月に一回程度、特定区間SCの再計算を実行する。
【0141】
図27に示す例において、既登録経路としての経路情報CSaに、通過位置WPa1、WPa2、WPa3、WPa4及びリンクLKa1、LKa2、LKa3を含む特定区間SC1が作成されている。また、既登録経路としての経路情報CSbは、通過位置WPb1、WPb2、WPb3、WPb4及びリンクLKb1、LKb2、LKb3を含んでいる。経路情報CSbは、リンクLKb1とリンクLKb2とで方位差が所定値を超えているため、通過位置WPb2を境に、特定区間SC2と特定区間SC3とが作成されている。
【0142】
図27に示す例においては、経路情報CSaの通過位置WPa2と経路情報CSbの通過位置WPb2とが同一である。すると、両者には3個のリンクLKa1、LKa2、LKb1が接続していることになるので、この部分は交差点である。したがって、経路解析部12eは、特定区間SCを再計算することにより、
図28に示すように、経路情報CSa、CSbで同一の通過位置WPa2、WPb2、通過位置WPa3、WPb3及び通過位置WPa4、WPb4をそれぞれ統合して通過位置WPi2、WPi3、WPi4とする。そして、経路解析部12eは、3個のリンクLKa1、LKa2、LKb1が接続する通過位置WPi2を交差点であるとして、この部分で特定区間SCを分割する。
【0143】
その結果、経路情報CSa、CSbからは、通過位置WPi2、WPi3、WPi4及びリンクLKi1、LKi2を含む特定区間SC2と、通過位置WPb1、WPi2及びリンクLKb1を含む特定区間SC3と、通過位置WPa1、WPi2及びリンクLKa1を含む特定区間SC4とが再作成される。このように、本実施形態では、経路解析部12eが定期的に特定区間SCを再作成するので、実際の走行経路に即した特定区間SCを得ることができる。
【0144】
(第1変形例)
本実施形態の第1変形例に係る鉱山機械の管理方法の処理手順を説明する。第1変形例に係る鉱山機械の管理方法は、
図1に示す管理システム1、例えば、
図2に示す管理装置10が実現する。第1変形例に係る鉱山機械の管理方法は、候補の経路を抽出してから、候補の経路毎に通過位置WPの一致判定を実行した後、走行距離の判定を実行する。具体的には、
図6に示すフローチャートにおいて、管理側処理装置12は、ステップS105及びステップS106の後、ステップS106において肯定(Yes)のとき、ステップS109及びステップS110を実行する。ステップS110において肯定(Yes)のとき、次に、管理側処理装置12は、ステップS107及びステップS108を実行し、ステップS108において肯定(Yes)のとき、ステップS111を実行する。
【0145】
本変形例において、経路判定部12aは、ステップS107における実走行経路CSrの往路CSr1の走行距離を計算するにあたって、走行開始位置SPrからの所定半径RD分の距離及び積込位置LPrからの所定半径RL分の距離を除外する。また、経路判定部12aは、実走行経路CSrの復路CSr2の走行距離を計算するにあたって、排土位置DPrからの所定半径RD分の距離及び積込位置LPrからの所定半径RL分の距離を除外する。
【0146】
(第2変形例)
本実施形態の第2変形例に係る鉱山機械の管理方法の処理手順を説明する。第2変形例に係る鉱山機械の管理方法は、
図1に示す管理システム1、例えば、
図2に示す管理装置10が実現する。第2変形例に係る鉱山機械の管理方法は、まず、既存の通過位置WPに対して一致判定をしてから、積込位置LP及び排土位置DPの一致判定及び経路の候補を検索する。その後に、候補コースに対して経路毎の通過位置WPの一致判定を実行する。
【0147】
具体的には、
図6に示すフローチャートにおいて、管理側処理装置12は、ステップS102の次に、ステップS115を実行する。このとき、経路判定部12aは、ステップS115の処理を実行することによって抽出された、実走行経路CSrと一致する既存の通過位置WPを、
図2に示す管理側記憶装置13のワークスペースに一時的に記憶させる。
【0148】
次に、管理側処理装置12は、ステップS103、ステップS104、ステップS105及びステップS106をこの順に実行する。そして、管理側処理装置12は、ステップS106において肯定(Yes)のとき、ステップS109及びステップS110を実行し、ステップS110において肯定(Yes)のとき、次に、ステップS107及びステップS108を実行する。なお、管理側処理装置12は、ステップS106を実行し、ステップS106において肯定(Yes)のとき、次に、ステップS107及びステップS108を実行し、ステップS108において肯定(Yes)のとき、その次に、ステップS109及びステップS110を実行してもよい。本変形例において、ステップS109での通過位置WPの補正は行われない。ステップS109において、経路判定部12aは、ステップS115で抽出され、かつ前記ワークスペースに記憶された、実走行経路CSrと一致する既存の通過位置WPと、候補となる既登録経路CSの通過位置WPとの一致を判定することになる。
【0149】
本変形例は、実走行経路CSrの位置情報PIが既登録経路CSの通過位置WP、すなわち既存の通過位置WPに一致しているか否かが判定されてから(S115)、一致している実走行経路CSrの位置情報PIと候補となる既登録経路CSの通過位置WPとの一致が判定される(S109)。
【0150】
このように、ステップS115をステップS109の前に実行することにより、多数存在する実走行経路CSrの位置情報PIの中から、既存の通過位置WPと一致するものが抽出される。ステップS109において、経路判定部12aは、実走行経路CSrと一致する既存の通過位置WPに対してのみ、既登録経路CSの通過位置WPとの一致を判定すればよい。このため、本変形例は、先に既存の通過位置WPに対して一致判定をしてから、候補コースに対して一致判定をするので、候補コースの数が多い場合に、処理時間及びハードウェアの負荷を低減できる。
【0151】
以上、本実施形態においては、既登録経路CSの経路情報に含まれる複数の通過位置WPと、実走行経路CSrに含まれる複数の位置情報PIとが少なくとも用いられて、実走行経路CSrが既登録経路CSと同一であるか否かが判定される。このとき、本実施形態は、両者の間で走行開始位置と、積込位置と、排土位置とが一致すること、実走行経路CSrの位置情報と一致する通過位置WPが所定の割合以上であること及び既登録経路CSの走行距離と実走行経路CSrの走行距離との差が所定の範囲内である場合に、実走行経路CSrは既登録経路CSと同一であると判定する。このようにすることで、ダンプトラック20が走行した経路を区別して特定する際の精度を向上させることができる。また、本実施形態は、実走行経路CSrの位置情報と一致する通過位置WPが所定の割合以上であること及び既登録経路CSの走行距離と実走行経路CSrの走行距離との差が所定の範囲内であることを同一の条件としているので、給油又は寄り道等をしたことにより既登録経路CSと異なった場合の実走行経路CSrを区別することができる。本実施形態において、複数の位置情報PIを含む実走行経路CSrの周囲における所定範囲に存在する既登録経路CSの経路情報を比較すれば、広い鉱山の全域に存在するすべての既登録経路CSの経路情報と比較する必要がなくなる。その結果、ハードウェアの負荷を軽減することができるので好ましい。
【0152】
また、本実施形態は、通過位置WPの周囲における所定範囲に位置情報PIが存在するときに、通過位置WPと位置情報PIとが一致したと判定し、さらに、通過位置WPの周囲における所定範囲内に存在する位置情報PIを用いて通過位置WPを補正する。このようにすることで、本実施形態は、同一の通過位置WPを通過したダンプトラック20の走行回数が増加するにしたがって、通過位置WPの誤差を小さくすることができる。その結果、本実施形態は、ダンプトラック20が走行した経路を区別して特定する際の精度を向上させることができる。
【0153】
さらに、本実施形態は、積込場でダンプトラック20に積荷が積み込まれた位置、すなわち最新の積込位置の位置情報に基づいて既登録経路の積込位置を補正している。このため、積込位置が所定範囲内で移動しても、移動後の積込位置が登録される。このようにすることで、ダンプトラック20が走行した経路を区別して特定する際の精度を向上させることができる。
【0154】
また、本実施形態は、排土場DPAの代表位置、すなわち既登録経路の排土位置の周囲における所定範囲内にダンプトラック20から積荷が下ろされた排土位置DP1等の位置情報に基づいて、代表位置を補正する。このようにすることで、ダンプトラック20から積荷が下ろされる回数が増加するにしたがって、排土場DPAの代表位置の誤差を小さくすることができる。その結果、本実施形態は、ダンプトラック20が走行した経路を区別して特定する際の精度を向上させることができる。
【0155】
また、本実施形態は、既登録経路CSのノード及びリンクを含む経路情報中、互いに隣接するリンク同士の勾配差が所定値以内で、互いに隣接するリンク同士の方位差が所定値以内で、かつその間に交差点を有さない部分を特定区間SCとする。このように、本実施形態は、特定区間SCの作成において、互いに隣接するリンク同士の勾配差及び方位差のみならず、交差点の有無も用いるので、特定区間SCの作成精度が向上する。本実施形態は、このようにして作成された特定区間SCを複数の既登録経路CSから抽出することにより、特定区間SCを通過したダンプトラック20の稼働状況等を解析する際の精度を向上させることができる。
【0156】
以上、本実施形態を説明したが、前述した内容により本実施形態が限定されるものではない。例えば、位置情報と走行開始位置SP1との一致を判定する範囲SPC1、積込位置LP1との一致を判定する範囲(積込場LPA1)、排土位置DP1との一致を判定する範囲(排土場DPA1)及び通過位置WPとの一致を判定する範囲WPCの形状は、それぞれ所定半径の円として説明したが、本実施形態はこの形状に限定されない。例えば、それぞれの形状は円以外、例えば、楕円、矩形、多角形又は所定の大きさの領域を有する自由形状等であってもよい。また、排土位置DP0、DP1の近傍、積込位置LP1の近傍及び通過位置WPの近傍に、新たな通過位置WPを作成しないようにそれぞれ設けた通過位置除外領域の形状は、それぞれ所定半径の円として説明した。しかし、本実施形態はこのような形状に限定されない。それぞれの形状は、円以外の形状、例えば楕円、矩形、多角形又は所定大きさの領域を有する自由形状等であってもよい。さらに、本実施形態に係る鉱山機械の管理方法を実現するための手順は、本実施形態のフローチャートに記載した手順のみに限定されるものではなく、同一の作用効果が得られる場合には手順を変更してもよい。
【0157】
前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。本実施形態において、鉱山機械を操作する主体はオペレータであるか管理システムであるかは問わないが、有人の鉱山機械を対象とした場合、複数のオペレータ間における運転技術の比較又はオペレータの勤怠管理等に対して有効である。また、本実施形態は、管理システムが鉱山機械が走行した経路特定処理を実行したが、鉱山機械に搭載された車載の処理装置が経路特定処理を実行してもよい。
鉱山機械の管理システムは、鉱山で作業する鉱山機械に搭載されて、前記鉱山機械の位置に関する情報である位置情報を求める位置情報検出部と、前記鉱山機械が所定の第1位置を出発し積荷を積み込む第2位置を経て積荷を下ろす第3位置まで移動するときの経路である第1の経路の位置に関する情報であって、所定距離毎に存在するそれぞれのノードの位置と、前記位置情報検出部が求めた前記位置情報とが一致したか否かに少なくとも基づいて、複数の前記位置情報に対応した第2の経路と、前記第1の経路とが同一であることを判定する判定部と、を含み、前記判定部は、前記ノードの周囲の所定範囲に前記位置情報が存在するときに、前記ノードの位置と前記位置情報とが一致したと判定し、さらに、前記所定範囲内に存在する前記位置情報を用いて前記ノードの位置の位置を補正する。