特許第5662602号(P5662602)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5662602
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】送りねじ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   F16H25/24 A
   F16H25/24 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-27201(P2014-27201)
(22)【出願日】2014年2月17日
【審査請求日】2014年3月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】714001445
【氏名又は名称】城間 盛市
(72)【発明者】
【氏名】城間 盛市
【審査官】 広瀬 功次
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02947535(US,A)
【文献】 米国特許第02545879(US,A)
【文献】 米国特許第03797326(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20−25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送りねじ軸の回転運動を直線運動に運動変換する構成の送りねじ装置において、
前記送りねじ軸は、外径及び内径が軸方向に一様な断面円形の中空パイプと、前記中空パイプの外周面に、コイルばねを両端間の全長に亘り内径側に戻ろうとする弾性力を利用して圧嵌したことを特徴とする前記送りねじ軸を含む送りねじ装置。
【請求項2】
内輪および外輪の間に介在する複数の転動体とを備えた転がり軸受において、前記転がり軸受の外輪の外周面に前記コイルばね素線と嵌合する一周の環状溝を設けたのを溝付きベアリングとし、
前記送りねじ軸の軸方向に、前記溝付きベアリングの側面が直角とし、
且つ、この直角とすることでフレーム部材及び前記溝付きベアリングの内輪を貫通するボルトは前記送りねじ軸の軸方向と平行となり、その前記ボルトの軸方向に、前記溝付きベアリングを1個又は複数個配置可能とし、
前記送りねじ軸の前記コイルばね素線に、前記溝付きベアリングの溝部分が嵌合して前記送りねじ軸を回転可能に支持し、前記送りねじ軸の回転運動を直線運動に運動変換する構成を特徴とする請求項1記載の送りねじ装置。
【請求項3】
前記送りねじ軸の軸方向に、前記溝付きベアリングの側面が直角にして、前記送りねじ軸の前記コイルばねの素線に前記溝付きベアリングの溝の部分で嵌め合わせができる範囲内で、前記送りねじ軸の前記コイルばねを目的のピッチにした前記送りねじ軸を特徴とする請求項記載の送りねじ装置。
【請求項4】
前記送りねじ軸の軸方向に、回転ローラの側面が直角とし、
前記フレーム部材に支持された前記回転ローラの外周面で、前記送りねじ軸の前記コイルばね素線上に接して、前記送りねじ軸を回転可能に支持することを特徴とする請求項記載の送りねじ装置。
【請求項5】
前記送りねじ軸を、前記溝付きベアリング又は前記回転ローラを介し、弾性部材を具備して押圧する手段とし、前記送りねじ軸を回転可能に支持することを特徴とする請求項記載の送りねじ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易な構成で、位置決めができる送りねじ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御機器分野では、コンピュータと連動して動くメカニカルな部分において、描く、彫る、穴を開ける、切る、などをする場合、移動の際のスラスト荷重やラジアル荷重などの荷重によって構造が異なってくる。例えばプリンターの場合、インクとその噴射装置は軽量で、移動する時のスラスト荷重など軽い為、タイミングベルトで駆動できる。
【0003】
又、CNCフライスなどの3軸(X軸、Y軸、Z軸)必要とする装置の場合は、Z軸の周辺にモーター、又はソレノイド類など設置するため、移動の際のX軸及びY軸の運動変換部に受けるスラスト荷重やラジアル荷重が重くなり、それに対応できる送りねじ装置、或いはボールねじ装置が必要となる。
【0004】
現状では、送り距離が短くスラスト荷重やラジアル荷重が軽い場合は、タイミングベルトが幅広く用いられている。又、送り距離に関係なくスラスト荷重やラジアル荷重が比較的に重く精度が要求される場合は、複数個のボールが循環するナット形式のボールねじ装置が幅広く用いられ活用されている。
【0005】
その他の関連する特許文献1に、軸棒とコイルばねを組み合わせた送りねじ軸と運動変換部、特許文献2には回転運動を直線運動に変換する運動変換部が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−174713号公報
【特許文献2】特開2012−2264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のボールねじ装置は高品質を追求するあまり、もの作りの好きな個人及び中小零細企業主が、価格及び重量の面で、もの作りに挑戦しずらく、又、もの作りに対して発想が萎縮しないように、安価、軽量を兼ね備えたものも要求される。
【0008】
特許文献1の請求項1に、「軸棒に、内径が前記軸棒と略同一のコイルばねを外嵌して
なるねじ軸と、前記ねじ軸に螺合するとともに、前記ねじ軸に対して相対的に回転して、
直線移動する移動用ナットを備えた送りねじ装置において、」と記載されている。
軸棒に、内径が前記軸棒と略同一のコイルばねを外嵌した送りねじ軸の構成は、軸棒とコイルばねの接し方が緩く、コイルばね素線の線径が小さい場合は軸方向に外力が働けばズレ或いはブレが発生しやすく、精度を要求する位置決めを行う場合は不利となる。
【0009】
又、送りねじ軸の回転運動を直線運動に変換する運動変換方法は、移動用ナット内部でコイルばねの素線にピンを当接させて挟む方式を採用している。この場合、摩擦係数が高くなるなどの課題がある。
【0010】
特許文献2の回転直動変換機構の請求項1に、「ラックロッドに設けたねじ部に環状溝が噛み合うような軸角でねじり配置された公転ローラとを備え、」と記載され、運動変換部はねじ部のリード角に沿うように環状溝の形成されたローラで運動変換している。この場合、ねじ部のリード角の変更毎に公転ローラの軸となるシャフトの角度も変更せざる得ず、不利となり課題がある。
【0011】
本発明は,以上のような課題に鑑み、簡易な構成で、スムーズな送り動作と、精度を要求する位置決めもできる低コストで軽量な送りねじ装置の提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために, 本発明は主として次のような構成をする。
【0013】
請求1に記載の発明は、
送りねじ軸の回転運動を直線運動に運動変換する構成の送りねじ装置において、
送りねじ軸は、外径及び内径が軸方向に一様な断面円形の中空パイプと、その中空パイプの外周面に、コイルばねを両端間の全長に亘り内径側に戻ろうとする弾性力を利用して圧嵌した構成とする送りねじ装置。
【0014】
請求2に記載の発明は、
内輪および外輪の間に介在する複数の転動体とを備えた転がり軸受において、転がり軸受の外輪の外周面にコイルばね素線と嵌合する一周の環状溝を設けたのを溝付きベアリングとし、
送りねじ軸の軸方向に溝付きベアリングの側面が直角とし、
且つ、この直角とすることで、フレーム部材及び溝付きベアリングの内輪を貫通するボルトは送りねじ軸の軸方向と平行となり、そのボルトの軸方向に、溝付きベアリングを1個又は複数個配置可能とし、
送りねじ軸のコイルばね素線に、溝付きベアリングの溝部分が嵌合して送りねじ軸を回転可能に支持し、送りねじ軸の回転運動を直線運動に運動変換する構成の送りねじ装置。
【0016】
請求3に記載の発明は、
送りねじ軸の軸方向に、溝付きベアリングの側面が直角にして、送りねじ軸のコイルばねの素線に溝付きベアリングの溝の部分で嵌め合わせができる範囲内で、送りねじ軸のコイルばねを目的のピッチにした送りねじ軸で構成する送りねじ装置。
【0017】
請求4に記載の発明は、
送りねじ軸の軸方向に、回転ローラの側面が直角とし、フレーム部材に支持された回転ローラの外周面で、送りねじ軸のコイルばねの素線上に接して、送りねじ軸を回転可能に支持することを特徴することで、回転ローラの軸となるボルトの軸方向に、回転ローラを1個又は複数個配置可能にするとともに、回転ローラの軸となるボルトの軸方向と、送りねじ軸の軸方向と、平行にフレームに取り付けて送りねじ軸を回転可能に支持する構成となる。
【0019】
請求5に記載の発明は、
送りねじ軸を、溝付きベアリング又は回転ローラを介し、弾性部材を具備して押圧する
手段とし、送りねじ軸を回転可能に支持することを特徴とすることで、位置決め精度を向
上させると共に、バックラッシュを生じにくくする構成となる。
【発明の効果】
【0020】
請求1に記載の発明によれば、
中空パイプの外周面に、コイルばね両端間の全長に亘り圧嵌した送りねじ軸は、
例えばステンレス(材質SUS304WPB)のコイルばねの長さ約300mm、内径8.5mm、線径1.4mm、ピッチ6mmを、
中空パイプの長さ400mm、内径8.5mm、外径9.5mmの外周面に圧嵌すると、
素手では外すことはできない程の圧嵌力があり、両手親指の爪で軸方向に強く力を加えても殆どズレることはない(両端の約6mm程度は除く)為、そのまま送りねじ軸として使用してもよく、又、必要に応じて、コイルばねの両端での溶接か、両端のピン係合、或いは、両端部の接着剤での固着などで止められコストを抑えられる効果がある。
【0021】
と共に、中空パイプの外周面に、コイルばねを圧嵌することで送りねじ軸の軽量化ができる。且つ、溝付きベアリングを使用することで、スムーズな送り動作ができる。
【0022】
請求3に記載の発明によれば、
送りねじ軸の軸方向に、溝付きベアリングの側面が直角にして溝付きベアリングの溝の部分で嵌め合わせができる範囲内で、送りねじ軸のコイルばねを自由なピッチ又は、同一なピッチにした送りねじ軸ができる。
【0023】
又、送りねじ軸のコイルばねを自由ピッチにした送りねじ装置(図20図23参照)は、送りねじ軸の回転が一定でも送りのスピードをその場所場所で変化をもたせることができる。
【0024】
請求2及び請求4に記載の発明によれば、
送りねじ軸の軸方向に、溝付きベアリングの側面及び回転ローラの側面が直角としたことで、フレームに取り付けする溝付きベアリングの軸であるボルト又は、回転ローラの軸であるボルトは、送りねじ軸と平行にフレームに取り付けすることができる。と共に、フレームに取り付けする角度の調整作業をなくして生産性の良い送りねじ装置ができる。
【0025】
又、請求2の送りねじ軸の軸方向に、溝付きベアリングの側面が直角にすることで、
運動変換部のスラスト方向及びラジアル方向に受ける荷重が集中しないように溝付きベアリングの軸となるボルトの軸方向に分散調整が可能になり、送りねじ軸のコイルばねにピッチ毎、又は、ピッチ毎所定の間隔を空けて必要個数の溝付きベアリングを配置することで、スラスト荷重やラジアル荷重に対応し安定した送り動作ができる。
【0026】
又、請求4の送りねじ軸の軸方向に、回転ローラの側面が直角にすることで、送りねじ軸を回転可能に支持すると共に、ラジアル方向に受ける荷重が集中しないように回転ローラの軸となるボルトの軸方向に分散調整が可能になり必要個数の回転ローラを配置することで、ラジアル荷重に対応し安定した送り動作ができる。
【0027】
請求5に記載の発明によれば、
送りねじ軸を、溝付きベアリング又は回転ローラを介し、弾性部材を具備して押圧する手段とし、送りねじ軸を回転可能に支持することで、位置決め精度を向上させると共に、バックラッシュを生じにくくする効果がある。
【0028】
従来の送りねじ装置やボールねじ装置等の、軸のピッチ変更の必要性が生じた場合、軸も含めてナット部分の交換もしなければならないが、
本発明の自由ピッチの送りねじ装置(図20図23参照)では、溝付きベアリング一個で軸方向に運動変換してる為、新たにピッチを変更した送りねじ軸をそのまま交換可能で、経済的であると共に、自由ピッチと同一ピッチの送りねじ軸どちらでも使えるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例1の同一ピッチ用送りねじ装置の斜視図である。
図2】実施例1の同一ピッチ用送りねじ軸の正面図である。
図3】実施例1の送りねじ軸のコイルばねに嵌め合いする溝付きベアリングの角度を示す図である。
図4】(a)は送りねじ軸の両端のピン係合した拡大図、(b)はその左側面図である。
図5】送りねじ軸の両端部の接着剤で固着した拡大図である。
図6図4か、図5の施工後、両端部に更に熱収縮チューブを着設した図である。
図7】実施例1の同一ピッチ用送りねじ装置の正面図である。
図8】実施例1の同一ピッチ用送りねじ装置の背面図である。
図9】実施例1の同一ピッチ用送りねじ装置の左側面図である。
図10】実施例1の図7のB−B’線に沿う断面図である。
図11】実施例2の同一ピッチ用、溝付きベアリングのフレーム外付け送りねじ装置の正面図である。
図12】実施例2の同一ピッチ用、溝付きベアリングのフレーム外付け送りねじ装置の背面図である。
図13】実施例2の同一ピッチ用、溝付きベアリングのフレーム外付け送りねじ装置の左側面図である。
図14】実施例2の図11のF−F’線に沿う断面図である。
図15】実施例3の自由ピッチ用送りねじ軸の正面図である。
図16】実施例3の送りねじ軸のコイルばねに嵌め合いする溝付きベアリングの角度を示す図である。
図17】(a)送りねじ軸の両端のピン係合した拡大図、(b)はその左側面図である。
図18】送りねじ軸の両端部の接着剤で固着した拡大図である。
図19図17か、又は、図18の施工後、両端部に更に熱収縮チューブを着設した図である。
図20】実施例3の自由ピッチ用送りねじ装置の正面図である。
図21】実施例3の自由ピッチ用送りねじ装置の背面図である。
図22】実施例3の自由ピッチ用送りねじ装置の左側面図である。
図23】実施例3の図20のH−H’線に沿う断面図である。
図24】実施例1,2,3に係わる溝付きベアリングの溝部分の形状とコイルばねに嵌め合いする送りねじ軸の軸方向の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態の、順番に実施例1、2、3を記載し、また次に実施例1、2、3の共通部分を記載する。
【実施例1】
【0031】
図1は同一ピッチ用送りねじ装置の斜視図である。
フレーム(10)を貫通する軸方向に同一ピッチの送りねじ軸を回転可能に支持できるように、フレーム部材のボルト(13a,13b)にそれぞれ2個の軸支と兼用して運動変換する溝付きベアリングを配置し、
送りねじ軸を押圧する手段として、長穴ガイド(12)に貫通する押圧用中空パイプ(18)に、溝付きベアリング2個を配置して、弾性部材(此処では、ねじりバネとする)2個を具備し、同一ピッチの送りねじ軸を回転可能に支持して回転運動を直線運動に運動変換する構成の送りねじ装置である。
【0032】
実施例1の詳細を記載する。
【0033】
図2は同一ピッチ用送りねじ軸である。
この同一ピッチの送りねじ軸は、溝付きベアリング(図3の16)の側面が、軸方向に直角(図3のA)にして、溝付きベアリングの溝部分でコイルばねの素線を嵌め合いができる範囲内で、中空パイプ(1)にコイルばね(2)の内径側に戻ろうとする弾性力を利用して圧嵌した軸方向に同一なピッチにした送りねじ軸(図2)である。
【0034】
又、コイルばねは、送りねじ軸の軸方向の両端で中空パイプに、溶接か、コイルばね留めピン(図4(a)、(b)の3)でピン係合か、又は、接着剤で固着(図5の4)し、更に上から熱収縮チューブ(図6の5)を着設してもよい。
【0035】
図7図10において、フレーム(10)に取り付けるボルト(13a,13b)の2本にそれぞれ2個の溝付きベアリング(16a、16b、16c、16d)が座金(14)を介して配置され、フレームの送りねじ軸貫通口(11)を貫通する送りねじ軸を軸支と兼用して運動変換できるように、溝付きベアリングの溝部分でコイルばねの素線に嵌め合うように調整用座金(15)を増やしたり、減らしたり、あるいはコンマ数ミリ単位の幅の調整用座金を使用して微細な調整をして、ナット(17)で固定する。
【0036】
と共に、送りねじ軸を回転可能に支持できるように、
送りねじ軸を押圧する手段として、フレームの長穴ガイド(12)を貫通する押圧用中空パイプ(18)に、溝付きベアリング(16e,16f)が配置され、樹脂ワッシャー(21)を備えてフレームの間は長穴ガイドのガイド沿いに摺接するようにし、弾性部材(此処では、ねじりバネとする)(19a、19b)の先端の一方をばね貫通穴(20)に通し、もう一方はばね留め穴(22)に差し込みし、溝付きベアリング(16e,16f)は送りねじ軸のコイルばねの素線に嵌合させて送りねじ軸を押圧する手段とし、送りねじ軸の回転運動を直線運動に運動変換する構成とした。
【0037】
又、押圧する手段の溝付きベアリング(16e,16f)は、押圧用中空パイプ(18)の間での横ズレ防止の為、ピン留めか、又は接着剤で固着してもよい。
【0038】
スラスト荷重やラジアル荷重に対し更に強い送りねじ装置にする場合は、
ボルト(13a,13b)に、図7正面図のC及び図8背面図のDの部分にそれぞれ溝付きベアリングを1個または複数個追加配置してナットで固定し、及び送りねじ軸を押圧する押圧用中空パイプ(18)の図7のEの部分にも溝付きベアリングを1個または複数個追加配置し、押圧する弾性部材(此処では、ねじりバネとする)(19a、19b)を更に強くするなど、スラスト荷重やラジアル荷重に対し強化した送りねじ装置としてもよい。
【0039】
又、送りねじ軸を、押圧する手段の溝付きベアリング(16e,16f)は除き、図7のEの部分に回転ローラを配置して、押圧用中空パイプ(18)の間での横ズレ防止の為、ピン留めか、又は接着剤で固着してもよい。
【0040】
図8背面図の溝付きベアリング16c、16d、16e,16fは、送りねじ軸の回転負荷の具合によっては回転ローラでもよい。
【0041】
調整用座金(15)は長さ調節した金属スペーサーでもよい。
【0042】
樹脂ワッシャー(21)は長さ調節した樹脂スペーサーでもよい。
【実施例2】
【0043】
図11図14は同一ピッチ用送りねじ軸を使用し、溝付きベアリングをフレームの外付けにした送りねじ装置である。軸方向に溝付きベアリングの配置間隔を長くすることで安定感が増す構成とした。
【0044】
次に、実施例2の詳細を記載する。
【0045】
実施例2の同一ピッチ用送りねじ軸は上述の実施例1と同じなので、ここでの記載は省略する。
【0046】
図11図14において、フレーム(40)に取り付けるボルト(43a,43b)の2本にそれぞれ2個の溝付きベアリング(46a、46b、46c、46d)が座金(44)を介して配置され、フレームの送りねじ軸貫通口(41)を貫通する送りねじ軸を軸支と兼用して運動変換できるように、溝付きベアリングの溝部分で送りねじ軸のコイルばね素線に嵌め合うように調整用座金(45)を増やしたり、減らしたり、あるいはコンマ数ミリ単位の幅の調整用座金を使用して微細な調整をして、ナット(47)で固定する。
【0047】
と共に、送りねじ軸を回転可能に支持できるように、
送りねじ軸を押圧する手段として、フレームの長穴ガイド(図14の42)を貫通する押圧用中空パイプ(48)に、溝付きベアリング(46e,46f)が送りねじ軸のコイルばねの素線に嵌合するように配置され、樹脂ワッシャー(51)を備えてフレームの間は長穴ガイドのガイド沿いに摺接するようにし、溝付きベアリングが外れないようにスナップピン(53)でピン留めし、弾性部材(此処では、ねじりバネとする)(49a,49b)の先端の一方をばね貫通穴(50)に通し、もう一方はばね留め穴(52)に差し込みして送りねじ軸を押圧する手段とし、送りねじ軸の回転運動を直線運動に運動変換する構成とした。
【0048】
図12背面図の溝付きベアリング46c、46d、46e,46fは、送りねじ軸の回転負荷の具合によっては回転ローラでもよい。
【0049】
調整用座金(45)は長さ調節した金属スペーサーでもよい。
【0050】
樹脂ワッシャー(51)は長さ調節した樹脂スペーサーでもよい。
【実施例3】
【0051】
図15図23は自由ピッチ用送りねじ軸、及び送りねじ装置である。
フレーム部材に、溝付きベアリング1個と、回転ローラ5個をフレーム外側に配置して、フレームを貫通する自由ピッチの送りねじ軸を回転可能に支持し、回転運動を直線運動に運動変換する構成で、送りねじ軸の回転が一定でも送りのスピードをその場所場所で変化をもたせることができる送りねじ装置である。
【0052】
次に、実施例3の詳細を記載する。
【0053】
図15は自由ピッチ用送りねじ軸である。
この自由ピッチの送りねじ軸は、溝付きベアリング(図16の86)の側面が、送りねじ軸の軸方向に直角(図16のG)にして、溝付きベアリングの溝部分でコイルばねの素線を嵌め合いができる範囲内で、中空パイプ(70)にコイルばね(71)の内径側に戻ろうとする弾性力を利用して圧嵌した軸方向に自由なピッチにした送りねじ軸(図15)である。
【0054】
又、コイルばねは、送りねじ軸の軸方向の両端で中空パイプに、溶接か、コイルばね留めピン(図17(a)、(b)の72)でピン係合か、又は、接着剤で固着(図18の73)し、更に上から熱収縮チューブ(図19の74)を着設してもよい。
【0055】
図20図23において、図20の正面図に示すように、フレーム(80)に取り付けるボルト(83a)に、送りねじ軸を軸支と兼用して運動変換する溝付きベアリング(86)と、送りねじ軸の軸支用に回転ローラ(87a)をフレーム外側に配置し座金(84)介してナット(85)で固定する。又、図21の背面図に示すように、フレームに取り付けるボルト(83b)には、送りねじ軸の軸支用として回転ローラ(87b、87c)がフレーム外側に配置され座金を介してナット(85)で固定する。
【0056】
と共に、送りねじ軸を回転可能に支持できるように、
フレームの送りねじ軸貫通口(図22の81)を貫通する自由ピッチの送りねじ軸を押圧する手段として、フレームの長穴ガイド(図22の82)を貫通するボルト(83c)に、回転ローラ(87d、87e)がフレームの外側に配置され、樹脂ワッシャー(88)を備えてフレームの間は長穴ガイドのガイド沿いに摺接するようにゆるみ止めナット(91)で適度に締める。と共に、弾性部材(此処では、ねじりバネとする)(89a、89b)の先端の一方をボルトに嵌め合わせて止め輪などを使用して横ズレ防止し、もう一方はばね留め穴(90)に差し込みして送りねじ軸を押圧する手段とし、
溝付きベアリング(86)の溝部分で送りねじ軸のコイルばね素線に嵌め合うようにして自由ピッチの送りねじ軸を回転可能に支持して回転運動を直線運動に運動変換する構成とした。
【0057】
又、回転ローラ(87a、87b、87c、87d、87e)の幅は、送りねじ軸のコイルばねのピッチが長い場所でもコイルばねの素線上に1箇所以上接触する幅とする。
【0058】
次に、実施例1、2、3の共通部分を記載する。
【0059】
送りねじ軸について、中空パイプの外周面にコイルばね両端間の全長に亘り圧嵌した送りねじ軸は、
例えばステンレス(材質SUS304WPB)のコイルばねの長さ約300mm、内径
8.5mm、線径1.4mm、ピッチ6mmを、
中空パイプの長さ400mm、内径8.5mm、外径9.5mmの外周面に圧嵌すると、
素手では外すことはできない程の圧嵌力があり、両手親指の爪で軸方向に強く力を加えても殆どズレることはない(両端の約6mm程度は除く)為、そのまま送りねじ軸として使用してもよく、又、必要に応じて、コイルばね両端での溶接か、両端のピン係合、或いは、両端部の接着剤での固着してもよい構成とした。
【0060】
又、送りねじ軸は、中空パイプの外周面にコイルばねを両端間の全長に亘り圧嵌したものを送りねじ軸とするが、軸方向に長い場合は、補強する意味において、所定の間隔をあけて接着剤で固着してもよい。
【0061】
溝付きベアリングは、単体の転がり軸受の外周面にコイルばね素線と嵌合する一周の環状溝を設けたのを溝付きベアリングとする。
【0062】
溝付きベアリングの軸となるボルト又は回転ローラの軸となるボルトは、溝付きベアリングの側面及び、回転ローラの側面が送りねじ軸の軸方向に直角であれば、1個の溝付きベアリングに対して1個のボルト、又は、1個の回転ローラに対して1個のボルトとしてもよい。
【0063】
図24は溝付きベアリングの溝部分が、送りねじ軸のコイルばね素線に嵌め合いを示す図である。尚、図の符号は実施例1、2、3と共通する部分において、併用して記載した。
【0064】
溝付きベアリングの溝部分は、送りねじ軸のコイルばねの右巻き、左巻き、ピッチなど考慮し、図24で示す溝部分は縦方向に左右対称な溝形状が好ましい。
【0065】
実施例1と実施例2の押圧する手段の部材である押圧用中空パイプは、ボルトでもよい。
【0066】
溝付きベアリング及び回転ローラは、その軸となるボルトの間に、隙間がないようにスペーサーを設けてもよい。
【0067】
送りねじ軸を構成する中空パイプとコイルばねは鋼等などの金属製を使用するが、それ以上の強度、軽量、弾性等があればその材質を選択してもよい。
例えば、金属製の送りねじ軸の中空パイプは、より軽量なカーボンパイプなどでもよい。
【0068】
又、更なる軽量化するのであれば、フレーム材はカーボン角パイプ、溝付きベアリング又は回転ローラの軸であるボルトは中空パイプ、又は、カーボンパイプでもよい。
【0069】
溝付きベアリングと回転ローラは金属で構成されているが、送りねじ軸のコイルばねと接する外輪部分の材質は、より摺動性の高く、耐摩耗性などの機械的性質の良い材質であれば、それを選択してもよい。
例えば、MCナイロンやポリアセタールなどの合成樹脂がある。
【符号の説明】
【0070】
1 中空パイプ
2 コイルばね
3 コイルばね留めピン
4 接着剤
5 熱収縮チューブ
10 フレーム
11 送りねじ軸貫通口
12 長穴ガイド
13a、13b ボルト
14 座金
15 調整用座金
16a、16b、16c、16d、16e、16f 溝付きベアリング
17 ナット
18 押圧用中空パイプ
19a、19b 弾性部材(此処では、ねじりバネとする)
20 ばね貫通穴
21 樹脂ワッシャー
22 ばね留め穴
40 フレーム
41 送りねじ軸貫通口
42 長穴ガイド
43a、43b ボルト
44 座金
45 調整用座金
46a、46b、46c、46d、46e、46f 溝付きベアリング
47 ナット
48 押圧用中空パイプ
49a、49b 弾性部材(此処では、ねじりバネとする)
50 ばね貫通穴
51 樹脂ワッシャー
52 ばね留め穴
53 スナップピン
70 中空パイプ
71 コイルばね
72 コイルばね留めピン
73 接着剤
74 熱収縮チューブ
80 フレーム
81 送りねじ軸貫通口
82 長穴ガイド
83a、83b、83c ボルト
84 座金
85 ナット
86 溝付きベアリング
87a、87b、87c、87d、87e 回転ローラ
88 樹脂ワッシャー
89a,89b 弾性部材(此処では、ねじりバネとする)
90 ばね留め穴
91 ゆるみ止めナット
【要約】
【課題】簡易な構成で、送りねじ軸を軽量化し、低コストかつスムーズな位置決めができる送りねじ装置を提供する。
【解決手段】円筒形中空パイプ1の外周面に、コイルばね2の内径側に戻ろうとする弾性力を利用してコイルばね全長に亘り圧嵌したのを送りねじ軸とし、フレーム10を貫通する送りねじ軸を回転可能に支持できるように、フレーム部材のボルト13a,13bにそれぞれ2個のコイルばね素線と嵌合するように外周面に環状溝を設けた溝付きベアリングを運動変換用として配置し、又、送りねじ軸を押圧する手段として、長穴ガイド12に貫通する押圧用中空パイプ18に溝付きベアリング2個を配置し、ねじりばね2個を具備して送りねじ軸を回転可能に支持し、回転運動を直線運動に運動変換する構成の送りねじ装置。
【選択図】図1
図1
図2
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