【実施例1】
【0031】
図1は同一ピッチ用送りねじ装置の斜視図である。
フレーム(10)を貫通する軸方向に同一ピッチの送りねじ軸を回転可能に支持できるように、フレーム部材のボルト(13a,13b)にそれぞれ2個の軸支と兼用して運動変換する溝付きベアリングを配置し、
送りねじ軸を押圧する手段として、長穴ガイド(12)に貫通する押圧用中空パイプ(18)に、溝付きベアリング2個を配置して、弾性部材(此処では、ねじりバネとする)2個を具備し、同一ピッチの送りねじ軸を回転可能に支持して回転運動を直線運動に運動変換する構成の送りねじ装置である。
【0032】
実施例1の詳細を記載する。
【0033】
図2は同一ピッチ用送りねじ軸である。
この同一ピッチの送りねじ軸は、溝付きベアリング(
図3の16)の側面が、軸方向に直角(
図3のA)にして、溝付きベアリングの溝部分でコイルばねの素線を嵌め合いができる範囲内で、中空パイプ(1)にコイルばね(2)の内径側に戻ろうとする弾性力を利用して圧嵌した軸方向に同一なピッチにした送りねじ軸(
図2)である。
【0034】
又、コイルばねは、送りねじ軸の軸方向の両端で中空パイプに、溶接か、コイルばね留めピン(
図4(a)、(b)の3)でピン係合か、又は、接着剤で固着(
図5の4)し、更に上から熱収縮チューブ(
図6の5)を着設してもよい。
【0035】
図7〜
図10において、フレーム(10)に取り付けるボルト(13a,13b)の2本にそれぞれ2個の溝付きベアリング(16a、16b、16c、16d)が座金(14)を介して配置され、フレームの送りねじ軸貫通口(11)を貫通する送りねじ軸を軸支と兼用して運動変換できるように、溝付きベアリングの溝部分でコイルばねの素線に嵌め合うように調整用座金(15)を増やしたり、減らしたり、あるいはコンマ数ミリ単位の幅の調整用座金を使用して微細な調整をして、ナット(17)で固定する。
【0036】
と共に、送りねじ軸を回転可能に支持できるように、
送りねじ軸を押圧する手段として、フレームの長穴ガイド(12)を貫通する押圧用中空パイプ(18)に、溝付きベアリング(16e,16f)が配置され、樹脂ワッシャー(21)を備えてフレームの間は長穴ガイドのガイド沿いに摺接するようにし、弾性部材(此処では、ねじりバネとする)(19a、19b)の先端の一方をばね貫通穴(20)に通し、もう一方はばね留め穴(22)に差し込みし、溝付きベアリング(16e,16f)は送りねじ軸のコイルばねの素線に嵌合させて送りねじ軸を押圧する手段とし、送りねじ軸の回転運動を直線運動に運動変換する構成とした。
【0037】
又、押圧する手段の溝付きベアリング(16e,16f)は、押圧用中空パイプ(18)の間での横ズレ防止の為、ピン留めか、又は接着剤で固着してもよい。
【0038】
スラスト荷重やラジアル荷重に対し更に強い送りねじ装置にする場合は、
ボルト(13a,13b)に、
図7正面図のC及び
図8背面図のDの部分にそれぞれ溝付きベアリングを1個または複数個追加配置してナットで固定し、及び送りねじ軸を押圧する押圧用中空パイプ(18)の
図7のEの部分にも溝付きベアリングを1個または複数個追加配置し、押圧する弾性部材(此処では、ねじりバネとする)(19a、19b)を更に強くするなど、スラスト荷重やラジアル荷重に対し強化した送りねじ装置としてもよい。
【0039】
又、送りねじ軸を、押圧する手段の溝付きベアリング(16e,16f)は除き、
図7のEの部分に回転ローラを配置して、押圧用中空パイプ(18)の間での横ズレ防止の為、ピン留めか、又は接着剤で固着してもよい。
【0040】
図8背面図の溝付きベアリング16c、16d、16e,16fは、送りねじ軸の回転負荷の具合によっては回転ローラでもよい。
【0041】
調整用座金(15)は長さ調節した金属スペーサーでもよい。
【0042】
樹脂ワッシャー(21)は長さ調節した樹脂スペーサーでもよい。
【実施例2】
【0043】
図11〜
図14は同一ピッチ用送りねじ軸を使用し、溝付きベアリングをフレームの外付けにした送りねじ装置である。軸方向に溝付きベアリングの配置間隔を長くすることで安定感が増す構成とした。
【0044】
次に、実施例2の詳細を記載する。
【0045】
実施例2の同一ピッチ用送りねじ軸は上述の実施例1と同じなので、ここでの記載は省略する。
【0046】
図11〜
図14において、フレーム(40)に取り付けるボルト(43a,43b)の2本にそれぞれ2個の溝付きベアリング(46a、46b、46c、46d)が座金(44)を介して配置され、フレームの送りねじ軸貫通口(41)を貫通する送りねじ軸を軸支と兼用して運動変換できるように、溝付きベアリングの溝部分で送りねじ軸のコイルばね素線に嵌め合うように調整用座金(45)を増やしたり、減らしたり、あるいはコンマ数ミリ単位の幅の調整用座金を使用して微細な調整をして、ナット(47)で固定する。
【0047】
と共に、送りねじ軸を回転可能に支持できるように、
送りねじ軸を押圧する手段として、フレームの長穴ガイド(
図14の42)を貫通する押圧用中空パイプ(48)に、溝付きベアリング(46e,46f)が送りねじ軸のコイルばねの素線に嵌合するように配置され、樹脂ワッシャー(51)を備えてフレームの間は長穴ガイドのガイド沿いに摺接するようにし、溝付きベアリングが外れないようにスナップピン(53)でピン留めし、弾性部材(此処では、ねじりバネとする)(49a,49b)の先端の一方をばね貫通穴(50)に通し、もう一方はばね留め穴(52)に差し込みして送りねじ軸を押圧する手段とし、送りねじ軸の回転運動を直線運動に運動変換する構成とした。
【0048】
図12背面図の溝付きベアリング46c、46d、46e,46fは、送りねじ軸の回転負荷の具合によっては回転ローラでもよい。
【0049】
調整用座金(45)は長さ調節した金属スペーサーでもよい。
【0050】
樹脂ワッシャー(51)は長さ調節した樹脂スペーサーでもよい。
【実施例3】
【0051】
図15〜
図23は自由ピッチ用送りねじ軸、及び送りねじ装置である。
フレーム部材に、溝付きベアリング1個と、回転ローラ5個をフレーム外側に配置して、フレームを貫通する自由ピッチの送りねじ軸を回転可能に支持し、回転運動を直線運動に運動変換する構成で、送りねじ軸の回転が一定でも送りのスピードをその場所場所で変化をもたせることができる送りねじ装置である。
【0052】
次に、実施例3の詳細を記載する。
【0053】
図15は自由ピッチ用送りねじ軸である。
この自由ピッチの送りねじ軸は、溝付きベアリング(
図16の86)の側面が、送りねじ軸の軸方向に直角(
図16のG)にして、溝付きベアリングの溝部分でコイルばねの素線を嵌め合いができる範囲内で、中空パイプ(70)にコイルばね(71)の内径側に戻ろうとする弾性力を利用して圧嵌した軸方向に自由なピッチにした送りねじ軸(
図15)である。
【0054】
又、コイルばねは、送りねじ軸の軸方向の両端で中空パイプに、溶接か、コイルばね留めピン(
図17(a)、(b)の72)でピン係合か、又は、接着剤で固着(
図18の73)し、更に上から熱収縮チューブ(
図19の74)を着設してもよい。
【0055】
図20〜
図23において、
図20の正面図に示すように、フレーム(80)に取り付けるボルト(83a)に、送りねじ軸を軸支と兼用して運動変換する溝付きベアリング(86)と、送りねじ軸の軸支用に回転ローラ(87a)をフレーム外側に配置し座金(84)介してナット(85)で固定する。又、
図21の背面図に示すように、フレームに取り付けるボルト(83b)には、送りねじ軸の軸支用として回転ローラ(87b、87c)がフレーム外側に配置され座金を介してナット(85)で固定する。
【0056】
と共に、送りねじ軸を回転可能に支持できるように、
フレームの送りねじ軸貫通口(
図22の81)を貫通する自由ピッチの送りねじ軸を押圧する手段として、フレームの長穴ガイド(
図22の82)を貫通するボルト(83c)に、回転ローラ(87d、87e)がフレームの外側に配置され、樹脂ワッシャー(88)を備えてフレームの間は長穴ガイドのガイド沿いに摺接するようにゆるみ止めナット(91)で適度に締める。と共に、弾性部材(此処では、ねじりバネとする)(89a、89b)の先端の一方をボルトに嵌め合わせて止め輪などを使用して横ズレ防止し、もう一方はばね留め穴(90)に差し込みして送りねじ軸を押圧する手段とし、
溝付きベアリング(86)の溝部分で送りねじ軸のコイルばね素線に嵌め合うようにして自由ピッチの送りねじ軸を回転可能に支持して回転運動を直線運動に運動変換する構成とした。
【0057】
又、回転ローラ(87a、87b、87c、87d、87e)の幅は、送りねじ軸のコイルばねのピッチが長い場所でもコイルばねの素線上に1箇所以上接触する幅とする。
【0058】
次に、実施例1、2、3の共通部分を記載する。
【0059】
送りねじ軸について、中空パイプの外周面にコイルばね両端間の全長に亘り圧嵌した送りねじ軸は、
例えばステンレス(材質SUS304WPB)のコイルばねの長さ約300mm、内径
8.5mm、線径1.4mm、ピッチ6mmを、
中空パイプの長さ400mm、内径8.5mm、外径9.5mmの外周面に圧嵌すると、
素手では外すことはできない程の圧嵌力があり、両手親指の爪で軸方向に強く力を加えても殆どズレることはない(両端の約6mm程度は除く)為、
そのまま送りねじ軸として使用してもよく、又、必要に応じて、コイルばね両端での溶接か、両端のピン係合、或いは、両端部の接着剤での固着
してもよい構成とした。
【0060】
又、送りねじ軸は、中空パイプの外周面にコイルばねを両端間の全長に亘り
圧嵌したものを送りねじ軸とするが、軸方向に長い場合は、補強する意味において、所定の間隔をあけて接着剤で固着してもよい。
【0061】
溝付きベアリングは、単体の転がり軸受の外周面にコイルばね素線と嵌合する一周の環状溝を設けたのを溝付きベアリングとする。
【0062】
溝付きベアリングの軸となるボルト又は回転ローラの軸となるボルトは、溝付きベアリングの側面及び、回転ローラの側面が送りねじ軸の軸方向に直角であれば、1個の溝付きベアリングに対して1個のボルト、又は、1個の回転ローラに対して1個のボルトとしてもよい。
【0063】
図24は溝付きベアリングの溝部分が、送りねじ軸のコイルばね素線に嵌め合いを示す図である。尚、図の符号は実施例1、2、3と共通する部分において、併用して記載した。
【0064】
溝付きベアリングの溝部分は、送りねじ軸のコイルばねの右巻き、左巻き、ピッチなど考慮し、
図24で示す溝部分は縦方向に左右対称な溝形状が好ましい。
【0065】
実施例1と実施例2の押圧する手段の部材である押圧用中空パイプは、ボルトでもよい。
【0066】
溝付きベアリング及び回転ローラは、その軸となるボルトの間に、隙間がないようにスペーサーを設けてもよい。
【0067】
送りねじ軸を構成する中空パイプとコイルばねは鋼等などの金属製を使用するが、それ以上の強度、軽量、弾性等があればその材質を選択してもよい。
例えば、金属製の送りねじ軸の中空パイプは、より軽量なカーボンパイプなどでもよい。
【0068】
又、更なる軽量化するのであれば、フレーム材はカーボン角パイプ、溝付きベアリング又は回転ローラの軸であるボルトは中空パイプ、又は、カーボンパイプでもよい。
【0069】
溝付きベアリングと回転ローラは金属で構成されているが、送りねじ軸のコイルばねと接する外輪部分の材質は、より摺動性の高く、耐摩耗性などの機械的性質の良い材質であれば、それを選択してもよい。
例えば、MCナイロンやポリアセタールなどの合成樹脂がある。