(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5662611
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】垂直風力原動機回転抑制機構
(51)【国際特許分類】
F03D 3/06 20060101AFI20150115BHJP
F03D 3/02 20060101ALI20150115BHJP
F03D 3/04 20060101ALI20150115BHJP
F03D 7/06 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
F03D3/06 E
F03D3/02 A
F03D3/04 B
F03D7/06 B
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-107530(P2014-107530)
(22)【出願日】2014年5月8日
【審査請求日】2014年5月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310011963
【氏名又は名称】安 泰昌
(72)【発明者】
【氏名】安 泰昌
【審査官】
山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5455092(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 3/06
F03D 3/02
F03D 3/04
F03D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直軸受風回転装置の風速の上昇に伴い異常高速回転により発電機の損傷を防止する減速装置に於いて鉛直風向軸内の空洞部中心部に基台内から最上部の回転層まで貫通する状態で減速作用制御棒を配置して基台内の駆動モーターのピニオンギアにより下降方向に可動することにより各受風翼階層部にスラストベアリングの連動作用で垂直主軸外側の減速機構可動金具を下降させることにより受風翼の角度を傾斜させ回転速度を減速する機構を有す減速装置の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
原子力発電所で事故が発生した場合に周辺の広大な地域の放射能の汚染により居住できなくなる危険性や石油ガス等の使用による火力発電所はCO
2発生の抑制から近年再生可能エネルギーの活用が拡大すると共に投資額が増大している。その中でも太陽光発電や風力発電施設には顕著なものがある。本願発明もこのような観点から従来からある特定の方式の風力発電方式を改良して高効率なものして設置場所が限定されない地産地消型で地域密着型方式による発電設備を設置して風力発生時に発電して枯渇性エネルギーの使用を抑制して電力を最大限活用するようにするものである。勿論風力発電だけで電力需要を満たすことはできず季節や場所に時間帯による変動はあるが風力という自然エネルギーと太陽光や地熱に水力や潮汐力等とも複合的に発電しながらスマートグリットで蓄電設備と組み合わせることにより補完し合いながらな安価な発電コストの電力を調達することが可能となる。
【背景技術】
【0002】
CO
2を排出しない再生可能エネルギーの1つである風力を利用して大型風車を回転させて発電する方式が脚光を浴び新規建設が増大して、全国各地の条件が整った場所にウィンドファームが建設されている。この風力発電システムの諸条件を分析してみると全てがうまく進行しているとは言えない。大型のプロペラ風車を用いる方式が最も普及しているが長所もあれば短所もあり全てが良好とはいえない。いろいろある環境規制の諸条件をクリアした場所で建設が進んでいるが適地が無尽蔵であるわけでなく制約条件もあり限定されてくる。この方式の欠点は設置場所が限定される事すなわち人里はなれた場所や洋上である事である。大型のウインドファームとしては適しているが都市部までの送電網の建設費も無視できない。地産地消型の風力発電に適した方式の発電システムを完成する必要がある。
【0003】
洋上や郊外型の大型のプロペラ方式の風力発電機に対し、これより小型で風レンズを併設した改良型の発電効率を向上したものが開発され普及されようとしているのが特許文献2に提示されている日本国特許第4736003号等である。公園や海岸沿いの比較的それほど広い面積を必要とせずに風力発電機を設置して発電が可能なのでこれから普及する事が予想される。これに対し特許文献1はの方式はさらに小型化をしてビルや工場の屋上に一般家庭の屋根の上等風があるところなら場所を選ばずに設置可能である。風車の回転音もなく、バードストライキングの心配もなく設置でき、発電した電力はすぐに家庭内や事務所工場等に取り込んで使用出来る特長を有する地産地消型である。この方式は垂直軸抗力型で受風翼が風を受け風下側に回転するときは風の抗力を十分に受けて回転し、風下側から風上側に回転するときは風の抵抗を最小にするために風の抗力が最小になるように受風翼を水平状態に角度を変化することができる構造になっている。受風翼が風上側まで回転して次の回転に入るときに受風翼は水平状態から垂直状態に戻して次の受風回転に入ることになる。受風翼の角度を変換する構造が独自の構成による角度変換機構を有するのが特徴である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特許第5455092号
【特許文献2】 特許第4736003号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
風力発電機にはいろいろな種類の風車を利用した方式が存在するがおおまかに分けて揚力型、抗力型に分れ、風車の形状で水平型と垂直型に分類できる。ジャイロミル、クロスフロー、ダウリス等の小型のマイクロ風車を発電機を組み合わせ補助電源用として利用されている。大型ではプロペラ風車によるものが郊外の適地に建設され大電力用として送電網を建設して消費地に供給されているが地産地消型でないため建設費用が増大する欠点がある。また前記した垂直型風車も初期起動に難点がありそれぞれ問題がある。技術開発によりかなり改善はされて来てはいるが更なる改造が必要である。結果として回転トルクが低いため出力が小さいので発電機として利用しても発電量が低いために問題がある。特許文献2の風レンズ方式の風力発電機はプロペラ風車の後部外側につば形状の覆いを設置して風車を通過する風力の速度を上げてプロペラの回転数を上げて発電する電力を増大してエネルギー変換効率を上げる方式として開発され大きく従来型のプロペラ風車発電機を改善させている。小型化が可能なので設置場所が大型のプロペラ発電機よりも狭い場所でも設置できるので将来性は期待できし、大型プロペラ風力発電機より電力消費地に近づくこともできる。
【0006】
この方式はプロペラ風車発電機の形状はやはり大型の部類に属し、地産地消を目指し都市部に設置する場合それなりの面積を必要とする。一般家庭の屋根の上やビルの屋上の塔屋の上に簡単に設置することは工費面から難しい点もある。これに対し特許文献1の発明はこうした観点から更に従来から存在していた垂直型風車に改善を加え風力エネルギーの変換効率の向上を図るために発電機や水力ポンプの原動機として利用する事に着目したものである。
【0007】
本願の特許文献1のような垂直型の方式の風車は垂直主軸に直交する状態で風を受風して回転する翼面を有する支軸が90度間隔で4本取り付けられ回転する構造となり、風に対抗している時は空気抵抗が最大で風の力を受けて羽根が風力の作用で垂直軸が駆動され回転するが、一番風下近くなるまで回転するとつぎに風に対して逆行状態になり翼面が同じ状態で回転が進行するとした場合、翼面が同じ状態だと進行する抗力と翼面が反転して同じ状態だと翼面は回転しない。その為反転状態の時点で風に対して90度翼面を翼面取付軸に対して角度を変えることにより、風に対して抵抗が最小となり、反対側の翼面の抗力より反転状態の翼面が風上に向かって回転進行していくものである。そして風上状態まで回転した時点で水平状態になっていた翼面をまた90度回転して元の垂直状態に支軸に取り付けられている翼面を復帰して風に対して最大の抗力を受けられるようにするものである。この状態で次の回転が開始されるものである。このようにして4枚の受風翼が風に対して絶えず角度を変換しながら回転する構成に成っている。
【0008】
プロペラ風車発電機では台風や前線が通過する際に風の速度が増して設計速度以上になる場合ピッチ制御やストール制御等のシステムで発電システムの破壊や損壊を防止する装置が付随されているが特許文献1の垂直型風車の特許にも回転速度減速装置が組み込まれている。強風の作用で垂直風力発電機の高速回転による破損を防止するために受風翼回転減速機構が設置されているが本願はこの配置構造を改良変更して構造の簡略化を図り、強風による構造上の強化ならびに製造コストを低減化して発電機の普及促進に寄与するものである。
【0009】
本願発明では特許文献1における受風翼回転減速機構の構成される構造が変更されて垂直外筒主軸内に減速機構が配置される構造になっている。特許文献1の受風翼回転減速機構は風力原動機上部の風速風向機内にある位置決め制御モーターにより駆動されラック機構をフレーム枠内にラックを連結配置して最終的に受風翼減速角度制御板に作用して受風翼を制御する構造となっているがこの構造だと部品点数が多くなるのと構造上強度不足が懸念される。この問題を本願発明では下部の原動機動力発生部本体内に位置決め制御モーターを配置して下部からから受風翼減速角度制御板に作用する制御棒を配置し、この制御棒に適当な位置にスラストベアリングを連結して配置し、垂直外筒主軸と鉛直風向軸を貫通作用する構造により、受風翼減速角度制御板を下部に押し下げるように作用する構造になっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願での垂直風力原動機の構成は特許第5455092号と同じ構成であるが風力減速機構の配置構成が異なり、それぞれ異なる伝達方式で減速機構が作用することになる。特許文献1による方式では駆動モーターから伝達される減速機構に作用する動力伝達作用は風速風向器とフレーム枠と鉛直風向器は一体で垂直外筒主軸に垂直外筒主軸ベアリングを介して独立回転する構造で前記駆動モーターの動力はフレーム枠内に縦横に配置されたラック軸により伝達され受風翼減速角度制御板を下降させて強風時に受風翼の回転を減速させることになるが本願発明による方式ではこの方式と異なり原動機動力発生部本体内に駆動モーター等を配置して垂直外筒主軸内を最上部の受風翼機構部まで貫通する状態で減速作用制御棒が配置されており、それぞれの受風翼部の位置でスラストベアリングが鉛直風向軸と垂直外筒主軸を貫通してはいないが同等の作用するように配置され、受風翼減速角度制御板を下降させ受風翼の角度を変換して回転を抑制する作用をするものである。
【発明の効果】
【0011】
本願方式による受風翼減速角度制御機構にすることにより特許第5455092号では外枠フレームの内部にラックの連結により受風翼角度制御減速機構を作用させていたが本案では原動機動力発生部本体内に伝導ステッピングモーター等から鉛直風向軸内に直接減速作用制御棒に作用して各受風翼層の受風翼減速角度制御板を減速角度制御棒に取り付けられているスラストベアリングにより下降させて受風翼を垂直状態から傾斜した状態に倒して強風時に回転を押さえる作用をするものであり、この機構だと特許文献1の方式より構成する部品点数が少なくなる事と強度面でも強化され故障発生原因が少なることが上げられるので耐久性が向上するので有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
受風翼減速角度制御板16を押し下げる減速作用棒を本願風力発電機の垂直主軸内を貫通するように配置してスラストベアリングを複数配置して鉛直風向軸と垂直外筒主軸が独自の回転動作することによりそれぞれの軸の壁に左右されずに受風翼減速角度制御板を押し下げるように作用するような構造にスラストベアリングを配置して台風などで風力が増した場合に減速作用が必要な時に作用するようする構造となるものである。
【実施例1】
【0014】
本願発明の基本となる特許は特許文献1の風力原動機で図1が二層式の平面図で90度間隔で1a,1b,1cが風向(4)の流れによって左回りで回転する。図2の受風翼1aが風を受けて風下まで回転していくと受風翼のカムリング(14)ベアリング(5)が受風翼水平変換板(10)の作用で垂直状態だった受風翼1aが受風翼水平角度変換板(3)に係ると受風翼は(1b)のように水平状態となる。このように受風翼は垂直状態から水平状態を繰り返し回転することになる。規定以上の風速になるとセンサーの信号で制御モーター(36)等の作用でフレーム枠(17),(23)内に配置されたラック機構(40)とプランジャー(39)の連結作用で受風翼減速角度制御板(16)を押し下げて垂直状態の受風翼を押し倒す状態で風の効力を減少させて回転力を制御することになる。これに対し本願発明はこの減速機構を改良して簡素化し、部品点数の減少や減速機構の強度を向上等を行うことを目的になされたものである。その構成は図3のように垂直外筒主軸(9)内の空洞部の中心部に下部の原動機動力発生本体(27)内にある駆動モーター(36)がピニオンギア(37)の回転により減速作用制御棒(59)の下部に切られている歯車に作用して制御棒が下降して上部に組まれているスラストベアリングが下降することによる連結するスラストベアリングと接触回転しながら押し下げることになる。図4の一番外側のスラストベアリング(54)が、減速機構可動部(58)を下降させて受風翼減速角度制御板(16)を下降させることにより角度変換ベアリング(5)が受風翼を直立するのを妨げて角度を付け傾斜させることにより受風翼が受ける風の力を制御して結果的に高速回転を抑制することになる。台風や前線通過時の強風が発生しても風力発電機を停止することなく、回転を制御して発電を継続することは極めて風力発電機では重要な要素であり、停電することなく電力供給を続けることは発電機として必要不可欠な使命である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本願発明は再生可能エネルギーである風力エネルギーを利用する発電機等となるものであるが燃料が必要がないので経済的な発電機等となるものであり、設置面積が少なく騒音やバードストライキングの心配もなくきわめてコンパクトなものである。年間を通して風が良く吹く場所では極めて電力供給源等として有効である。蓄電池と併用すれば消費電力の小さな家庭等での電源には最適なものとなる。
図1、
図2の外枠フレーム内に配置されたラック構造による構成を本願方式に改良してシンプルな機構にして
図5や
図6のように2軸多層構造や集風器を設置することにより更に風力の増強を図り、効率の良い発電量の大きな発電機等にする事が可能となり、その利用範囲は広いものとなる。
【符号の説明】
【0016】
1a 垂直状態受風翼
1b 水平状態受風翼
1c 角度変換状態受風翼
2 受風翼垂直復元補助板
3 受風翼水平角度変換板
4 風方向
5 角度変換ベアリング
6 受風翼復元スプリング
7 水平主軸
8 鉛直風向軸
9 垂直外筒主軸
10 受風翼水平変換補助板
11 角度変換ベアリング接触通過位置
12 受風翼垂直角度変換板補助固定金具
13 受風翼水平角度変換補助板固定金具
14 角度変換カムリング
15 垂直外筒主軸支持ベアリング
16 受風翼減速角度制御板
17 フレーム上部枠
18 風向板
19 風速風向器
20 風速測定発電プロペラ
21 風速センサー
22 PLC(Programmable Logic Controller)
23 フレーム外枠
24 垂直回転主軸
25 垂直外筒主軸下部ベアリング
26 受風翼減速板摺動ベアリング
27 原動機動力発生部本体
28 原動機(発電機、ポンプ)
29 増速歯車
30 垂直主軸
31 垂直軸メーンギャ
32 太陽歯車
33 第一遊星歯車
34 内歯車
35 第二遊星歯車
36 位置決め制御モーター(ステッピングモーター、サーボモーター)
37 位置決め制御モーターピニオンギャー
38 減速機構連結縦軸ラック
39 減速機構ラック縦軸減速板制御棒(プランジャー)
40 減速機構ラック横軸
41 減速機構ラック外軸
42a 湾曲式受風翼垂直状態
42b 湾曲式受風翼水平状態
42c 湾曲式受風翼垂直復帰状態
43 水平式受風翼
44 集風器
45 受風翼回転方向
46 ピニオンギャー
47 アイドルギャー
48 メーンギャー
49 受風翼本体上部回転保持ベアリング
50 受風翼本体下部回転保持ベアリング
51 風向板
52 減速作用棒スラストベアリングスナップリング
53 減速作用棒スラストベアリング
54 鉛直風向軸アウタースラストベアリング
55
鉛直風向軸アウターインナーベアリング接続軸
56 鉛直風向軸インナースラストベアリング
57
鉛直風向軸インナースラストベアリングスナップベアリング
58
減速機構可動器
59 減速作用制御棒
【要約】
【課題】 垂直軸風力原動機の過大な風力が発生した場合の減速機構が必要であるが従来の方式では部品点数が多く配置する構造が強度的に難点があるのを部品点数が少なくして、強度を向上するともに製造コストの削減を図る必要性がある。
【解決手段】垂直軸風力原動機の鉛直風向軸内中心部に減速作用制御棒を配置して角受風翼回転層の減速機構可動部をスラストベアリングの連動作用で下降させることにより受風翼の角度を変化させて風速により回転を制御することが可能な機構となる。
【選択図】
図3