特許第5662619号(P5662619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5662619現地資源活用を通じて火星における有人宇宙ミッションを維持するために有用な資材を生産するプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662619
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】現地資源活用を通じて火星における有人宇宙ミッションを維持するために有用な資材を生産するプロセス
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20150115BHJP
   A01G 9/18 20060101ALI20150115BHJP
   C05C 1/00 20060101ALI20150115BHJP
   C05F 11/02 20060101ALI20150115BHJP
   B64G 1/46 20060101ALN20150115BHJP
【FI】
   A01G7/00 601Z
   A01G9/18
   C05C1/00
   C05F11/02
   !B64G1/46
【請求項の数】8
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2014-522187(P2014-522187)
(86)(22)【出願日】2012年7月24日
(65)【公表番号】特表2014-530595(P2014-530595A)
(43)【公表日】2014年11月20日
(86)【国際出願番号】IB2012053754
(87)【国際公開番号】WO2013014606
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2014年4月25日
(31)【優先権主張番号】MI2011A001420
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513021800
【氏名又は名称】ウニヴェルシタ デリ ストゥディ ディ カッリャリ
(73)【特許権者】
【識別番号】513021811
【氏名又は名称】ア・エッセ・イ アッジェンツィーア スパツィアーレ イタリアーナ
(73)【特許権者】
【識別番号】514023553
【氏名又は名称】チェントロ ディ リチェルカ, スヴィルッポ エストゥディ スペリオーリ イン サルデンニャ ソチェタ アレスポンサビリータ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーオ ジャーコモ
(72)【発明者】
【氏名】コンカス アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】コッリアス ジャンルーカ
(72)【発明者】
【氏名】リシェーリ ロベルタ
(72)【発明者】
【氏名】オッル ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ピズ マッシモ
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−104811(JP,A)
【文献】 米国特許第05227032(US,A)
【文献】 米国特許第05005787(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02234147(GB,A)
【文献】 Masamichi Yamashita et al.,"On-Site Resources Availability for Space Agriculture on Mars",The Azolla Cooking and Cultivation Project,2011年 3月 9日,p.517-542
【文献】 Christopher P. McKay et al.,"Utilizing Martian resources for life support",University of Arizona Press,2008年 2月 7日,p.819-843
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 1/00,7/00−7/06
A01G 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、窒素肥料、および可食バイオマスを、現地調達可能な資源の使用を通じて火星の土壌上で生産するプロセスであって、
酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、および窒素肥料を生産する化学物理セクションと、
可食バイオマスを生産する生物セクションと、
の2つのセクションを備えており、
前記化学物理セクションは、
屋内で動作するプラントユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームを、火星の表面に組み立てるステップ(a)と、
前記少なくとも1つのドーム内を加熱し、前記プラントユニットのプラントに給電するために必要なエネルギーを生成する屋外光発電パネルを組み立てるステップ(b)と、
度スイング吸着装置TSA)と水蒸気吸着リアクタWAVAR)を、屋外に組み立てるステップ(c)と、
加圧した火星のCO2を、前記少なくとも1つのドーム内に、TSAを介して、内圧が0.8バール以上になるまで吹き込むステップ(d)と、
前記光発電パネルにより給電された加熱システムによって、前記少なくとも1つのドームの内部を、温度が10℃以上になるまで加熱するステップ(e)と、
屋外で動作するプラントユニットを機械的に保護する構造物を組み立てるステップ(f)と、
少なくとも1つのドーム内に、肥料を生産するプラントユニットを配置するステップ(g)と、
大気水を抽出するために、火星の大気からなるガスを、屋外で機能するWAVARユニットに供給するステップ(h)と、
火星の表土を掘削し、吸着水と鉱物の水和水をマイクロ波によって抽出するマイクロ波ピザオーブン(MPO)と名付けられた屋内システムに供給するステップ(i)と、
火星の大気から抽出した水を貯蔵タンクに供給するステップ(j)と、
表土から抽出した水を、π1、π2、およびπ3と名付けられた3つのストリームに分割するステップ(k)と、
水ストリームπ1を屋内で動作する電解槽に供給して、H2とO2の2つの別ストリームを作り出すステップ(l)と、
ゼオライト材料の可変温度吸脱着サイクルにより、ユニットWAVARから出る脱水大気を、CO2を分離し加圧するシステムTSAに供給し、同時に実質的にN2とArからなる第2のガスストリームを生成するステップ(m)と、
分離し加圧したCO2を電気分解装置に供給して、O2、および船外活動用の推進剤として蓄積され使用されるCOとCO2の混合物からなるガスストリームを生成するステップ(n)と、
電気合成によって気体アンモニア(NH3)を生成するととともに当該NH3を生成する反応プロセス中に不活性なArのストリームを生成できるようにするリアクタ内に、TSAから分離された実質的にN2とArからなる前記第2のガスストリームを、水の電気分解によって生成されたH2とともに供給するステップ(o)と、
生成された前記NH3のストリームをθ1とθ2と名付けられた2つのストリームに分割するステップ(p)と、
オストワルト法に基づいて動作し、硝酸(HNO3)と主にArからなる排気ガスとを生成するユニットに、前記電気合成ステップ(o)から出るArのストリームを、前記ステップ(p)における前記NH3のストリームθ1、前記ステップ(l)により生成された前記酸素、および前記ステップ(k)によって生成された前記水のストリームπ2とともに供給するステップ(q)と、
生成された前記HNO3のストリームを、ρ1およびρ2と名付けられた2つのストリームに分割するステップ(r)と、
前記ステップ(p)により生成された前記NH3のストリームθ2を、さらにθ2’およびθ2”と名付けられたストリームに分割するステップ(s)と、
前記ストリームθ2’を、船外活動用の推進剤として、または水栽培で肥料として使用されるNH3を汲み出す貯蔵タンクに供給するステップ(t)と、
肥料として使用される硝酸アンモニウム(NH4NO3)の生成を可能にする吸収および中和用のリアクタ内に、前記HNO3のストリームρ1を、前記ステップ(s)によって生成された前記NH3のストリームθ2”とともに供給するステップ(u)と、
を備えており、
前記生物セクションは、
屋内で動作するプラントユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームを、火星の表面に組み立てるステップ(a’)と、
前記少なくとも1つのドーム内で加熱し、前記プラントユニットのプラントに給電するために必要なエネルギーを生成する屋外光発電パネルを組み立てるステップ(b’)と、
度スイング吸着装置TSA)と水蒸気吸着リアクタWAVAR)を、屋外に組み立てるステップ(c’)と、
加圧した火星のCO2を、前記少なくとも1つのドーム内に、TSAを介して、内圧が0.8バール以上になるまで吹き込むステップ(d’)と、
前記光発電パネルにより給電された加熱システムによって、前記少なくとも1つのドームの内部を、温度が10℃以上になるまで加熱するステップ(e’)と、
火星の表土を掘削し、吸着水と鉱物の水和水をマイクロ波によって抽出するマイクロ波ピザオーブン(MPO)と名付けられた屋内システムに供給するステップ(f’)と、
生成された水と、前記化学物理セクションで生成された適量の硝酸とを混合するステップ(g’)と、
前記ステップ(f’)によって生成された脱水表土を、τ1’およびτ2’と名付けられた2つの固体ストリームに分割するステップ(h’)と、
微量栄養素と主栄養素を固相から液相に変換するための浸出リアクタに、前記ステップ(g’)で前記硝酸と混合されて生成された前記水を、前記表土の固体ストリームτ1’とともに供給するステップ(i’)と、
スラリとして浸出リアクタから出る固体と液体の混合物を濾過システムに供給し、「培養ブロス」と名付けられた微量栄養素および主要栄養素に富む液体から、「浸出表土」と名付けられた固体を分離するステップ(j’)と、
ゼオライト材料の可変温度吸脱着サイクルに基づいてCO2を分離し加圧するTSAユニットに火星の大気を供給し、同時に実質的にN2とArからなる第2のガスストリームを生成するステップ(k’)と、
ミッション中に科学的目的のために行なわれるサンプリングステップで使用される分析装置のバッファガスとして前記ステップ(k’)によって生成されたN2とArを取り出し可能な容器に、前記第2のガスストリームを蓄積するステップ(l’)と、
地球から運ばれた適当な藻種の接種材料を調製するステップ(m’)と、
藻の成長を促進するために使用される少なくとも1つの光バイオリアクタ内に、前記ステップ(j’)によって生成された前記「培養ブロス」を、前記ステップ(k’)によって生成された前記CO2の加圧ストリーム、前記化学物理セクションで生成された前記HNO3、および前記ステップ(m’)によって生成された前記接種材料とともに供給するステップ(n’)と、
前記光バイオリアクタ内に供給された成分の適当な混合と、「生物スラリ」と名付けられた藻類と培養基の混合物の十分な循環とを可能にするハイドロニューマティックポンプを利用したシステムによって、液相のCO2吸収を行なうステップ(o’)と、
光合成を促進できる光源に前記少なくとも1つの光バイオリアクタを曝し、その結果として新しい光合成藻類バイオマスと酸素を形成するステップ(p’)と、
前記藻類バイオマスを遠心分離によって前記培養ブロスから分離し、脱気によって酸素から分離するステップ(q’)と、
環境制御生命維持システムセクションに供給された酸素を封止および加圧されたタンクに蓄積し、さらに食物、または栄養補助食品として使用するために藻類バイオマスを脱水するステップ(r’)と、
食物の栽培場が育ったドーム内に、前記ステップq’)で消費された前記培養ブロスを、前記化学物理セクションで生成された前記硝酸アンモニウム(NH4NO3)、前記ステップ(j’)によって生成された前記浸出表土、地球から運んだ適量の腐植土とフルボ酸、および人間代謝廃棄物とともに輸送するステップ(s’)と、
を備えている、プロセス。
【請求項2】
前記ステップ(g’)において、水と硝酸の比は、1:5である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記ステップ(i’)において、前記液相と前記固相の接触時間は約24時間である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ステップ(p’)において、前記光源は、火星の表面に入射する太陽放射、あるいは太陽光集光器と光ファイバのシステムである、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ステップ(s’)は、
火星上の温室として使用されるドーム内に、所望の植物種の成長に適合する温度と圧力の条件を作り出すサブステップ(s’1)と、
ステップ(j’)によって生産された浸出表土を、温室として機能するドームに供給するサブステップ(s’2)と、
サブステップ(s’2)の表土を、化学物理セクションのステップ(u)で生成された硝酸アンモニウム(NH4NO3)と混合し、表土内の窒素系栄養素を適切かつ確実に取り入れられるようにするサブステップ(s’3)と、
表土、および硝酸アンモニウムを、適量の腐植土、およびフルボ酸と混合するサブステップ(s’4)と、
表土を宇宙飛行士の住居から出る適量の有機廃棄物と混合し、土壌有機物含有量を高めるサブステップ(s’5)と、
植物種の栽培を進めるサブステップ(s’6)と、
遠心機から供給される使用済み溶液を使用して作物を潅漑するサブステップ(s’7)と、
光合成に必要な光束を提供するサブステップ(s’8)と、
をさらに備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
請求項1に記載のプロセスを実施するための材料と装置のキットであって、
化学物理グループと、
生物グループと、
を備えており、
前記化学物理グループは、
プロセスの化学物理セクションで使用される様々なユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームと、
少なくとも1つのドーム内の大気を加熱し、後述するプラントユニットを機能させるエネルギーを生成する少なくとも1つの光発電パネルと、
可変温度の吸脱着サイクルを実行可能にするために、ゼオライトからなる少なくとも1つの吸着床と、火星の自然環境との熱交換を保証する機能を有する少なくとも1つのラジエータと、を備えており、火星の大気ガスにおけるN2とArを含む他の成分からCO2を分離し、分離したCO2を加圧し、同じ圧力のCO2を少なくとも1つのドームに吹き込む少なくとも1つのTSAユニットと、
ゼオライトの使用と吸着プロセスとその後のマイクロ波による脱着に基づいて、火星の大気中にある水を抽出する少なくとも1つのWAVARユニットと、
火星の大気から抽出した水を貯蔵する少なくとも1つの貯蔵タンクと、
火星の表土を掘削する少なくとも1つの掘削機と、
掘削された表土を、当該表土を処理するユニットに供給する少なくとも1つのコンベヤベルトと、
マイクロ波加熱を使用して火星の表土から吸着した水和水を抽出する少なくとも1つのマグネトロンを備えている少なくとも1つのMPOユニットと、
表土から抽出した水をπ1、π2、およびπ3と名付けられた3つのストリームに分割する3つの出口を有する少なくとも1つのパイプコネクタと、
ストリームπ1の水を電気分解し、水素と酸素を生成する少なくとも1つの電解槽と、
CO2を電気分解し、分離したO2と、COおよびCO2の混合物とを得る少なくとも1つの電解槽と、
固体電解質を備える少なくとも1つの電気合成リアクタからなり、TSAユニット内に生成された高含有率のN2とAr、および水の電気分解によって得られた水素とを含むガスから、アンモニアを生成する少なくとも1つのユニットと、
生成されたアンモニアのストリームをθ1およびθ2と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニットと、
少なくとも1つの触媒リアクタ、少なくとも1つの吸収塔、および「NOx」を分離する少なくとも1つのシステムを含んでおり、Ar、NH3、H2O、O2からオストワルト法によって硝酸(HNO3)を生成する少なくとも1つのユニットと、
生成された硝酸(HNO3)のストリームを、ρ1およびρ2と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニットと、
ストリームθ2をθ2’およびθ2”と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニットと、
生成されたNH3を貯蔵する少なくとも1つの貯蔵タンクと、
HNO3からNH3とNH4NO3を生成するために連続的に動作する少なくとも1つのガス液体リアクタと、
を備えており、
前記生物グループは、
プロセスの生物セクションで使用される様々なユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームと、
少なくとも1つのドーム内の大気を加熱し、後述するプラントユニットを機能させるためのエネルギーを生成する少なくとも1つの光発電パネルと、
可変温度の吸脱着サイクルを実行可能にするために、ゼオライトからなる少なくとも1つの吸着床と、火星の自然環境との熱交換を保証する機能を有する少なくとも1つのラジエータと、を備えており、火星の大気ガスにおけるN2とArを含む他の成分からCO2を分離し、分離したCO2を加圧し、同じ圧力のCO2を少なくとも1つのドームに吹き込む少なくとも1つのTSAユニットと、
火星の表土を掘削する少なくとも1つの掘削機と、
掘削された表土を、当該表土を処理するユニットに供給する少なくとも1つのコンベヤベルトと、
マイクロ波加熱を使用して火星の表土から吸着した水和水を抽出する少なくとも1つのマグネトロンを備えている少なくとも1つのMPOユニットと、
表土から抽出した水を、化学物理セクションで生成された適量の硝酸と混合する少なくとも1つのユニットと、
脱水した表土をτ1’およびτ2’と名付けられた2つの固体ストリームに分割するための双方向コンベヤベルトからなる少なくとも1つのユニットと、
表土の固体ストリームτ1’を水と硝酸の混合物で浸出するために連続的に動作する少なくとも1つのリアクタと、
浸出リアクタから出るスラリに対して固液分離を行なうとともに、「培養ブロス」と「浸出表土」のストリームを同時に生成する「プレートフィルタ」からなる少なくとも1つのユニットと、
CO2からの分離の結果として前のユニットにより得られたN2とAr系ガスを蓄積する少なくとも1つのタンクと、
Gloeocapsa種OU_20、Leptolyngbya種OU_13、Phormidium種OU_10、Ch
roococcidiopsis029; Arthrospira platensis; Synechococcus elongatus; Anabae
na cilindrica; Chlorella vulgaris; Nannochloris Eucaryotumなどの遺伝子工学種の
少なくとも1つを含む藻類種と、
藻類種の接種材料を調製する少なくとも1つのユニットと、
培養ブロスが藻類接種材料を硝酸およびθ2と名付けられた高含量のCO2を含むガスストリームと接触させることにより、藻類バイオマスを生成する少なくとも1つの光バイオリアクタと、
液相のCO2を吸収し、光バイオリアクタ内に供給された成分を適度に混合し、「生物スラリ」を循環させる少なくとも1つの「エアリフト」型ハイドロニューマティックポンプと、
使用済み培養ブロスから、光バイオリアクタ内で生成された藻類バイオマスと酸素を分離する少なくとも1つのユニットと、
光バイオリアクタによって生成された酸素を蓄積する少なくとも1つのタンクと、
藻類バイオマスを脱水する少なくとも1つのユニットと、
食用植物を成長させる温室として使用される少なくとも1つのジオデシックドームと、
を備えている、キット。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光バイオリアクタは、流加培養型である、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光バイオリアクタ内の酸素レベルは、空気飽和値の400%未満である、請求項6または7に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火星における有人宇宙ミッションの維持に有用な資材を生産するために、火星で入手可能な天然資源を活用するプロセスに関する。また、本発明は、当該プロセスを実施するための材料と装置のキットに関する。
【背景技術】
【0002】
今後40年以内における小惑星、月、および火星での有人ミッションへの着手が、NASAの関心事であることはよく知られている。特に最近NASAは、2020年までの月、および2030年以降の火星へのミッションを発表した。
【0003】
具体的には、現在の宇宙探査プログラムの枠組みで、ISRU(In-Situ Resource Utilization:現地資源活用)、およびISFR(In-Situ Fabrication and Repair:現地生産修復)がよく知られている。ISRUは、月、火星、および/または小惑星において既に利用可能な資源の使用に関係する。ISFRは、生産保守、および修復技術の開発への取り組みに関し、さらに長い有人ミッション期間、およびコスト削減を可能にしようとするものである。
【0004】
そのような構想の中で、宇宙飛行士により生み出される液体、および固体廃棄物を再利用することにより食料と水を生産する新たな技術が開発されている。これらの技術は、再生可能な資源からのエネルギー生産だけでなく、例えば火星の大気を構成する二酸化炭素の捕捉、および再利用を伴うものでもある。
【0005】
上記の目標に鑑みると、国際宇宙ステーション(ISS)のために行なわれる研究活動の構想において、一般にECLSS(環境制御生命維持システム)の名で括られる技術が開発されている(非特許文献1を参照)。
【0006】
現行のECLSSシステムは、完全に自立維持的ではなく、宇宙飛行士の要求を満たすために、酸素、食料、および水の外部入力を要する。1988年から、ECLSSの理論的枠組みを実践に供給することを狙いとして、ESA(欧州宇宙機関)は、MELISSA(マイクロ生態系生命維持システム代替案)プロジェクトに参加している。MELISSAプロジェクトは、月と火星における長期常駐型のミッションの間、乗組員の生存と作業を可能にする適当な条件を乗員室内に作り出すための閉ループプロセス(すなわち、乗組員が必要とする全ての資材を、廃棄物とエネルギーの再利用のみを通じて生産すること)の実現を目的としている(非特許文献2を参照)。
【0007】
MELISSAプロジェクトの究極の目標は自立維持系の達成であるが、現在の技術では、廃棄物の再利用を通じて乗組員が必要とする100%の酸素と20%の食料を得るという最小限の目標すら達成不可能とのシミュレーション結果が得られている(非特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2012/014714号公報
【特許文献2】米国特許第858904号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】JF Lewis, et al. International space station (ISS) Environmental controls and life support system (ECLSS) manual oxygen management. In: International Conference on Environmental Systems, Rome, Italy, (2005)
【非特許文献2】Mergeay, M., Verstraete, W. MELISSA: a microorganism based model for CELSS development, in: Proceedings of the Third Symposium on Space Thermal Control & Life Support System. Noordwijk, The Netherlands, pp. 65-68, 1988
【非特許文献3】L. Poughon, L., Farges, B., Dussap, C.G., Godia, F., Lasseur, C. “Simulation of the MELiSSA closed loop system as a tool to define its integration strategy” Advances in Space Research, 44, 1392-1403 (2009)
【非特許文献4】Moroz, V.I., “Chemical composition of the Atmosphere of Mars”, Advances in Space Research, 22, 449-457 (1998)
【非特許文献5】J.F. Bell III, et al. “Mineralogic And Compositional Properties Of Martian Soil And Dust: Results From Mars Pathfinder” J. Geophys.Res., 105, 1721-1755, (2000)
【非特許文献6】Rieder, R., et al. “Chemistry of Rocks and Soils at Meridiani Planum from the Alpha Particle X-ray Spectrometer” Science 306, 1746-1749 (2004)
【非特許文献7】Rapp, D., et al. “Adsorption Compressor for Acquisition and Compression of Atmospheric CO2 on Mars”, 33rd AIAA/ASME/SAE/ASEE, Joint Propulsion Conference and Exhibit, (1997)
【非特許文献8】Rui-Quan; L., et al. “Synthesis of ammonia at atmospheric pressure with Ce0.8M0.2O2?δ (M = La, Y, Gd, Sm) and their proton conduction at intermediate temperature” Solid State Ionics 177 (2006) 73 - 76
【非特許文献9】Olsson-Francis, K. Et al. “Use of cyanobacteria for in-situ resource use in space applications” Planetary and Space Science 58 1279-1285 (2010)
【非特許文献10】Williams, J. D., et al. “Design of a water vapor adsorption reactor for Martian In Situ Resource Utilization” Journal of British Interplanetary Society, 48, 347-354 (1995)
【非特許文献11】Caruso, J.J. et al., “Cratos: A Simple Low Power Excavation and Hauling System for Lunar Oxygen Production and General Excavation Tasks” (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、水、酸素、推進剤、肥料、可食バイオマス、野菜などの物質を、火星の資源から得るための新たなプロセスが必要とされている。当該プロセスを現在のECLSS技術と相乗的に運用することにより、現在の技術について前述した短所を克服する自己維持型あるいは閉ループ型の系の開発が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、窒素肥料、および可食バイオマスを、現地調達可能な資源の使用を通じて火星の土壌上で生産するプロセスによって達成される。当該プロセスは、酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、および窒素肥料を生産する化学物理セクションと、可食バイオマスを生産する生物セクションの2つのセクションを備えている。
前記化学物理セクションは、
屋内で動作するプラントユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームを、火星の表面に組み立てるステップ(a)と、
前記少なくとも1つのドーム内を加熱し、前記プラントユニットのプラントに給電するために必要なエネルギーを生成する屋外光発電パネルを組み立てるステップ(b)と、
可変温度吸着ユニット(温度スイング吸着装置TSA)と固体除湿装置(水蒸気吸着リアクタWAVAR)を、屋外に組み立てるステップ(c)と、
加圧した火星のCOを、前記少なくとも1つのドーム内に、TSAを介して、内圧が0.8バール以上になるまで吹き込むステップ(d)と、
前記光発電パネルにより給電された加熱システムによって、前記少なくとも1つのドームの内部を、温度が10℃以上になるまで加熱するステップ(e)と、
屋外で動作するプラントユニットを機械的に保護する構造物を組み立てるステップ(f)と、
少なくとも1つのドーム内に、肥料を生産するプラントユニットを配置するステップ(g)と、
大気水を抽出するために、火星の大気からなるガスを、屋外で機能するWAVARユニットに供給するステップ(h)と、
火星の表土を掘削し、吸着水と鉱物の水和水をマイクロ波によって抽出するMPO(マイクロ波ピザオーブン)と名付けられた屋内システムに供給するステップ(i)と、
火星の大気から抽出した水を貯蔵タンクに供給するステップ(j)と、
表土から抽出した水を、π1、π2、およびπ3と名付けられた3つのストリームに分割するステップ(k)と、
水ストリームπ1を屋内で動作する電解槽に供給して、HとOの2つの別ストリームを作り出すステップ(l)と、
ゼオライト材料の可変温度吸脱着サイクルにより、ユニットWAVARから出る脱水大気を、COを分離し加圧するシステムTSAに供給し、同時に実質的にNとArからなる第2のガスストリームを生成するステップ(m)と、
分離し加圧したCOを電気分解装置に供給して、O、および船外活動用の推進剤として蓄積され使用されるCOとCOの混合物からなるガスストリームを生成するステップ(n)と、
電気合成によって気体アンモニア(NH)を生成するととともに当該NHを生成する反応プロセス中に不活性なArのストリームを生成できるようにするリアクタ内に、TSAから分離された実質的にNとArからなる前記第2のガスストリームを、水の電気分解によって生成されたHとともに供給するステップ(o)と、
生成された前記NHのストリームをθ1とθ2と名付けられた2つのストリームに分割するステップ(p)と、
オストワルト法に基づいて動作し、硝酸(HNO)と主にArからなる排気ガスとを生成するユニットに、前記電気合成ステップ(o)から出るArのストリームを、前記ステップ(p)における前記NHのストリームθ1、前記ステップ(l)により生成された前記酸素、および前記ステップ(k)によって生成された前記水のストリームπ2とともに供給するステップ(q)と、
生成された前記HNOのストリームを、ρ1およびρ2と名付けられた2つのストリームに分割するステップ(r)と、
前記ステップ(p)により生成された前記NHのストリームθ2を、さらにθ2’およびθ2”と名付けられたストリームに分割するステップ(s)と、
前記ストリームθ2’を、船外活動用の推進剤として、または水栽培で肥料として使用されるNHを汲み出す貯蔵タンクに供給するステップ(t)と、
肥料として使用される硝酸アンモニウム(NHNO)の生成を可能にする吸収および中和用のリアクタ内に、前記HNOのストリームρ1を、前記ステップ(s)によって生成された前記NHのストリームθ2”とともに供給するステップ(u)と、
を備えている。
前記生物セクションは、
屋内で動作するプラントユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームを、火星の表面に組み立てるステップ(a’)と、
前記少なくとも1つのドーム内で加熱し、前記プラントユニットのプラントに給電するために必要なエネルギーを生成する屋外光発電パネルを組み立てるステップ(b’)と、
可変温度吸着ユニット(温度スイング吸着装置TSA)と固体除湿装置(水蒸気吸着リアクタWAVAR)を、屋外に組み立てるステップ(c’)と、
加圧した火星のCOを、前記少なくとも1つのドーム内に、TSAを介して、内圧が0.8バール以上になるまで吹き込むステップ(d’)と、
前記光発電パネルにより給電された加熱システムによって、前記少なくとも1つのドームの内部を、温度が10℃以上になるまで加熱するステップ(e’)と、
火星の表土を掘削し、吸着水と鉱物の水和水をマイクロ波によって抽出するMPO(マイクロ波ピザオーブン)と名付けられた屋内システムに供給するステップ(f’)と、
生成された水と、前記化学物理セクションで生成された適量の硝酸とを混合するステップ(g’)と、
前記ステップ(f’)によって生成された脱水表土を、τ’およびτ’と名付けられた2つの固体ストリームに分割するステップ(h’)と、
微量栄養素と主栄養素を固相から液相に変換するための浸出リアクタに、前記ステップ(g’)で前記硝酸と混合されて生成された前記水を、前記表土の固体ストリームτ’とともに供給するステップ(i’)と、
浸出リアクタから出る固体と液体(スラリ)の混合物を濾過システムに供給し、「培養ブロス」と名付けられた微量栄養素および主要栄養素に富む液体から、「浸出表土」と名付けられた固体を分離するステップ(j’)と、
ゼオライト材料の可変温度吸脱着サイクルに基づいてCOを分離し加圧するTSAユニットに火星の大気を供給し、同時に実質的にNとArからなる第2のガスストリームを生成するステップ(k’)と、
ミッション中に科学的目的のために行なわれるサンプリングステップで使用される分析装置のバッファガスとして前記ステップ(k’)によって生成されたNとArを取り出し可能な容器に、前記第2のガスストリームを蓄積するステップ(l’)と、
地球から運ばれた適当な藻種の接種材料を調製するステップ(m’)と、
藻の成長を促進するために使用される少なくとも1つの光バイオリアクタ内に、前記ステップ(j’)によって生成された前記「培養ブロス」を、前記ステップ(k’)によって生成された前記COの加圧ストリーム、前記化学物理セクションで生成された前記HNO、および前記ステップ(m’)によって生成された前記接種材料とともに供給するステップ(n’)と、
前記光バイオリアクタ内に供給された成分の適当な混合と、「生物スラリ」と名付けられた藻類と培養基の混合物の十分な循環とを可能にするハイドロニューマティックポンプ(エアリフト)を利用したシステムによって、液相のCO吸収を行なうステップ(o’)と、
光合成を促進できる光源に前記少なくとも1つの光バイオリアクタを曝し、その結果として新しい光合成藻類バイオマスと酸素を形成するステップ(p’)と、
前記藻類バイオマスを遠心分離によって前記培養ブロスから分離し、脱気によって酸素から分離するステップ(q’)と、
ECLSSセクション(環境制御生命維持システム)に供給された酸素を封止および加圧されたタンクに蓄積し、さらに食物、または栄養補助食品として使用するために藻類バイオマスを脱水するステップ(r’)と、
食物の栽培場が育ったドーム内に、前記ステップq’)で消費された前記培養ブロスを、前記化学物理セクションで生成された前記硝酸アンモニウム(NHNO)、前記ステップ(j’)によって生成された前記浸出表土、地球から運んだ適量の腐植土とフルボ酸、および人間代謝廃棄物とともに輸送するステップ(s’)と、
を備えている。
【0012】
別態様として、本発明は、上記のプロセスを実施するための材料と装置のキットに関する。当該キットは、化学物理グループと、生物グループとを備えている。
前記化学物理グループは、
プロセスの化学物理セクションで使用される様々なユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームと、
少なくとも1つのドーム内の大気を加熱し、後述するプラントユニットを機能させるエネルギーを生成する少なくとも1つの光発電パネルと、
可変温度の吸脱着サイクルを実行可能にするために、ゼオライトからなる少なくとも1つの吸着床と、火星の自然環境との熱交換を保証する機能を有する少なくとも1つのラジエータと、を備えており、COを火星の大気ガス(主に、NとAr)の他の成分から分離し、分離したCOを加圧し、同じ圧力のCOを少なくとも1つのドームに吹き込む少なくとも1つのTSAユニットと、
ゼオライトの使用と吸着プロセスとその後のマイクロ波による脱着に基づいて、火星の大気中にある水を抽出する少なくとも1つのWAVARユニットと、
火星の大気から抽出した水を貯蔵する少なくとも1つの貯蔵タンクと、
火星の表土を掘削する少なくとも1つの掘削機と、
掘削された表土を、当該表土を処理するユニットに供給する少なくとも1つのコンベヤベルトと、
マイクロ波加熱を使用して火星の表土から吸着した水和水を抽出する少なくとも1つのマグネトロンを備えている少なくとも1つのMPOユニットと、
表土から抽出した水をπ1、π2、およびπ3と名付けられた3つのストリームに分割する3つの出口を有する少なくとも1つのパイプコネクタと、
ストリームπ1の水を電気分解し、水素と酸素を生成する少なくとも1つの電解槽と、
COを電気分解し、分離したOと、COおよびCOの混合物とを得る少なくとも1つの電解槽と、
固体電解質(固体酸化物燃料電池)を備える少なくとも1つの電気合成リアクタからなり、TSAユニット内に生成された高含有率のNとAr、および水の電気分解によって得られた水素とを含むガスから、アンモニアを生成する少なくとも1つのユニットと、
生成されたアンモニアのストリームをθ1およびθ2と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニットと、
少なくとも1つの触媒リアクタ、少なくとも1つの吸収塔、および「NOx」を分離する少なくとも1つのシステムを含んでおり、Ar、NH、HO、Oからオストワルト法によって硝酸(HNO)を生成する少なくとも1つのユニットと、
生成された硝酸(HNO)のストリームを、ρ1およびρ2と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニットと、
ストリームθ2をθ2’およびθ2”と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニットと、
生成されたNHを貯蔵する少なくとも1つの貯蔵タンクと、
HNOからNHとNHNOを生成するために連続的に動作する少なくとも1つのガス液体リアクタと、
を備えている。
前記生物グループは、
プロセスの生物セクションで使用される様々なユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームと、
少なくとも1つのドーム内の大気を加熱し、後述するプラントユニットを機能させるためのエネルギーを生成する少なくとも1つの光発電パネルと、
可変温度の吸脱着サイクルを実行可能にするために、ゼオライトからなる少なくとも1つの吸着床と、火星の自然環境との熱交換を保証する機能を有する少なくとも1つのラジエータと、を備えており、COを火星の大気ガス(主にNとAr)の他の成分から分離し、分離したCOを加圧し、同じ圧力のCOを少なくとも1つのドームに吹き込む少なくとも1つのTSAユニットと、
火星の表土を掘削する少なくとも1つの掘削機と、
掘削された表土を、当該表土を処理するユニットに供給する少なくとも1つのコンベヤベルトと、
マイクロ波加熱を使用して火星の表土から吸着した水和水を抽出する少なくとも1つのマグネトロンを備えている少なくとも1つのMPOユニットと、
表土から抽出した水を、化学物理セクションで生成された適量の硝酸と混合する少なくとも1つのユニットと、
脱水した表土をτ’およびτ’と名付けられた2つの固体ストリームに分割するための双方向コンベヤベルトからなる少なくとも1つのユニットと、
表土の固体ストリームτ’を水と硝酸の混合物で浸出するために連続的に動作する少なくとも1つのリアクタと、
浸出リアクタから出るスラリに対して固液分離を行なうとともに、「培養ブロス」と「浸出表土」のストリームを同時に生成する「プレートフィルタ」からなる少なくとも1つのユニットと、
COからの分離の結果として前のユニットにより得られたNとAr系ガスを蓄積する少なくとも1つのタンクと、
Gloeocapsa種OU_20、Leptolyngbya種OU_13、Phormidium種OU_10、Chroococcidiopsis029; Arthrospira platensis; Synechococcus elongatus; Anabaena cilindrica; Chlorella vulgaris; Nannochloris Eucaryotumなどの遺伝子工学種の少なくとも1つを含む藻類種と、
藻類種の接種材料を調製する少なくとも1つのユニットと、
培養ブロスが藻類接種材料を硝酸およびθ2と名付けられた高含量のCOを含むガスストリームと接触させることにより、藻類バイオマスを生成する少なくとも1つの光バイオリアクタと、
液相のCOを吸収し、光バイオリアクタ内に供給された成分を適度に混合し、「生物スラリ」を循環させる少なくとも1つの「エアリフト」型ハイドロニューマティックポンプと、
使用済み培養ブロスから、光バイオリアクタ内で生成された藻類バイオマスと酸素を分離する少なくとも1つのユニットと、
光バイオリアクタによって生成された酸素を蓄積する少なくとも1つのタンクと、
藻類バイオマスを脱水する少なくとも1つのユニットと、
食用植物を成長させる温室として使用される少なくとも1つのジオデシックドームと、
を備えている。
【0013】
以降の詳細な説明から明らかなように、材料と装置のキット、ならびにこれを用いるプロセスは、現地調達可能な資源の使用を通じた火星の土壌上での酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、窒素肥料、および可食バイオマスの生産を可能にする。
【0014】
本発明の特徴、および利点は、以降の詳細な説明、非限定的な例示を目的として示される実施例、および添付の図面により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る「物理化学」セクションを示すフロー図である。
図2】本発明の実施例に係る「生物」セクションを示すフロー図である。
図3】特定の試行実験中に得た藻バイオマスの濃度を培養時間の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、火星への中期/長期有人宇宙ミッションを維持するために火星資源から酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、窒素肥料、可食バイオマス、および食物を生産するプロセス、ならびに材料と装置のキットに関する。
【0017】
本発明と関連したプロセスとキットは、ECLSSシステムと相乗的に動作するシステムであり、自立統合システムの実現を目指す理想の完成を象徴するものである。
【0018】
したがって、当該プロセスは、大気、土壌、太陽放射などの火星資源の使用に基づいている。当該プロセスの主な特徴は、例えば、非特許文献4と非特許文献5に報告されている。具体的には、火星土壌では、比較的大量(約9%wt/wt)の水和水が検出されている(非特許文献6を参照)。
【0019】
したがって、本発明は、2つの異なるセクション、すなわち、酸素、水、一酸化炭素、アンモニア、窒素肥料が生産される「化学物理セクション」と、可食バイオマスが生成される「生物セクション」とを含むプロセスに関し、前記「化学物理セクション」は、次のステップを含む。
【0020】
屋内で動作するプラントユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームを、火星の表面に組み立てるステップ(a)。
前記少なくとも1つのドーム内を加熱し、前記プラントユニットのプラントに給電するために必要なエネルギーを生成する屋外光発電パネルを組み立てるステップ(b)。
可変温度吸着ユニット(温度スイング吸着装置、すなわちTSA)と固体除湿装置(水蒸気吸着リアクタ、すなわちWAVAR)を、屋外に組み立てるステップ(c)。
加圧した火星のCOを、前記少なくとも1つのドーム内に、TSAを介して、内圧が0.8バール以上になるまで吹き込むステップ(d)。
前記光発電パネルにより給電された加熱システムによって、前記少なくとも1つのドームの内部を、温度が10℃以上になるまで加熱するステップ(e)。
屋外で動作するプラントユニットを機械的に保護する構造物を組み立てるステップ(f)。
少なくとも1つのドーム内に、肥料を生産するプラントユニットを配置するステップ(g)。
大気水を抽出するために、火星の大気からなるガスを、屋外で機能するWAVARユニットに供給するステップ(h)。
火星の表土を掘削し、吸着水と鉱物の水和水をマイクロ波によって抽出するMPO(マイクロ波ピザオーブン)と名付けられた屋内システムに供給するステップ(i)。
火星の大気から抽出した水を貯蔵タンクに供給するステップ(j)。
表土から抽出した水を、π1、π2、およびπ3と名付けられた3つのストリームに分割するステップ(k)。
水ストリームπ1を屋内で動作する電解槽に供給して、HとOの2つの別ストリームを作り出すステップ(l)。
ゼオライト材料の可変温度吸脱着サイクルにより、ユニットWAVARから出る脱水大気を、COを分離し加圧するシステムTSAに供給し、同時に実質的にNとArからなる第2のガスストリームを生成するステップ(m)。
分離し加圧したCOを電気分解装置に供給して、O、および船外活動用の推進剤として蓄積され使用されるCOとCOの混合物からなるガスストリームを生成するステップ(n)。
電気合成によって気体アンモニア(NH)を生成するととともに当該NHを生成する反応プロセス中に不活性なArのストリームを生成できるようにするリアクタ内に、TSAから分離された実質的にNとArからなる前記第2のガスストリームを、水の電気分解によって生成されたHとともに供給するステップ(o)。
生成された前記NHのストリームをθ1とθ2と名付けられた2つのストリームに分割するステップ(p)。
オストワルト法に基づいて動作し、硝酸(HNO)と主にArからなる排気ガスとを生成するユニットに、前記電気合成ステップ(o)から出るArのストリームを、前記ステップ(p)における前記NHのストリームθ1、前記ステップ(l)により生成された前記酸素、および前記ステップ(k)によって生成された前記水のストリームπ2とともに供給するステップ(q)。
生成された前記HNOのストリームを、ρ1およびρ2と名付けられた2つのストリームに分割するステップ(r)。
前記ステップ(p)により生成された前記NHのストリームθ2を、さらにθ2’およびθ2”と名付けられたストリームに分割するステップ(s)。
前記ストリームθ2’を、船外活動用の推進剤として、または水栽培で肥料として使用されるNHを汲み出す貯蔵タンクに供給するステップ(t)。
肥料として使用される硝酸アンモニウム(NHNO)の生成を可能にする吸収および中和用のリアクタ内に、前記HNOのストリームρ1を、前記ステップ(s)によって生成された前記NHのストリームθ2”とともに供給するステップ(u)。
【0021】
前記生物セクションは、次のステップを含む。
屋内で動作するプラントユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドームを、火星の表面に組み立てるステップ(a’)。
前記少なくとも1つのドーム内で加熱し、前記プラントユニットのプラントに給電するために必要なエネルギーを生成する屋外光発電パネルを組み立てるステップ(b’)。
可変温度吸着ユニット(温度スイング吸着装置、すなわちTSA)と固体除湿装置(水蒸気吸着リアクタ、すなわちWAVAR)を、屋外に組み立てるステップ(c’)。
加圧した火星のCOを、前記少なくとも1つのドーム内に、TSAを介して、内圧が0.8バール以上になるまで吹き込むステップ(d’)。
前記光発電パネルにより給電された加熱システムによって、前記少なくとも1つのドームの内部を、温度が10℃以上になるまで加熱するステップ(e’)。
火星の表土を掘削し、吸着水と鉱物の水和水をマイクロ波によって抽出するMPO(マイクロ波ピザオーブン)と名付けられた屋内システムに供給するステップ(f’)。
生成された水と、前記化学物理セクションで生成された適量の硝酸とを混合するステップ(g’)。
前記ステップ(f’)によって生成された脱水表土を、τ’およびτ’と名付けられた2つの固体ストリームに分割するステップ(h’)。
微量栄養素と主栄養素を固相から液相に変換するための浸出リアクタに、前記ステップ(g’)で前記硝酸と混合されて生成された前記水を、前記表土の固体ストリームτ’とともに供給するステップ(i’)。
浸出リアクタから出る固体と液体(スラリ)の混合物を濾過システムに供給し、「培養ブロス」と名付けられた微量栄養素および主要栄養素に富む液体から、「浸出表土」と名付けられた固体を分離するステップ(j’)。
ゼオライト材料の可変温度吸脱着サイクルに基づいてCOを分離し加圧するTSAユニットに火星の大気を供給し、同時に実質的にNとArからなる第2のガスストリームを生成するステップ(k’)。
ミッション中に科学的目的のために行なわれるサンプリングステップで使用される分析装置のバッファガスとして前記ステップ(k’)によって生成されたNとArを取り出し可能な容器に、前記第2のガスストリームを蓄積するステップ(l’)。
地球から運ばれた適当な藻種の接種材料を調製するステップ(m’)。
藻の成長を促進するために使用される少なくとも1つの光バイオリアクタ内に、前記ステップ(j’)によって生成された前記「培養ブロス」を、前記ステップ(k’)によって生成された前記COの加圧ストリーム、前記化学物理セクションで生成された前記HNO、および前記ステップ(m’)によって生成された前記接種材料とともに供給するステップ(n’)。
前記光バイオリアクタ内に供給された成分の適当な混合と、「生物スラリ」と名付けられた藻類と培養基の混合物の十分な循環とを可能にするハイドロニューマティックポンプ(「エアリフト」)を利用したシステムによって、液相のCO吸収を行なうステップ(o’)。
光合成を促進できる光源に前記少なくとも1つの光バイオリアクタを曝し、その結果として新しい光合成藻類バイオマスと酸素を形成するステップ(p’)。
前記藻類バイオマスを遠心分離によって前記培養ブロスから分離し、脱気によって酸素から分離するステップ(q’)。
ECLSSセクション(環境制御生命維持システム)に供給された酸素を封止および加圧されたタンクに蓄積し、さらに食物、または栄養補助食品として使用するために藻類バイオマスを脱水するステップ(r’)。
食物の栽培場が育ったドーム内に、前記ステップq’)で消費された前記培養ブロスを、前記化学物理セクションで生成された前記硝酸アンモニウム(NHNO)、前記ステップ(j’)によって生成された前記浸出表土、地球から運んだ適量の腐植土とフルボ酸、および人間代謝廃棄物とともに輸送するステップ(s’)。
【0022】
したがって、本発明に係るプロセスは、まずステップ(a)の実行を伴う。ステップ(a)においては、プロセスを実行するために必要な屋内で動作するプラントユニットが、ドーム内に導入されて組み立てられる。ドーム内には、特に後述する技術によって、熱圧状態(温度と圧力)が設定される。当該熱圧状態においては、同じ化合物についての反応物と生成物の凝集状態が、地球上で観察されるものと完全に類似する。
【0023】
ステップ(b)では、プロセス全体に給電するために必要なエネルギーを生成する光発電システムの導入と配備を行なう。
【0024】
ステップ(c)では、少なくとも1つの温度スイング吸着装置(TSA)と少なくとも1つの固体除湿装置(水蒸気吸着リアクタ、またはWAVAR)を屋外で組み立てる。
【0025】
具体的には、火星の大気中水を抽出するためのユニット(WAVAR)と、振動温度の吸脱着サイクルによって大気COを分離し加圧するユニット(TSA)は、屋外で動作する。火星の熱圧状態下で動作するこれらのユニットは、適当な構造物により、火星の環境において特徴的な通常の砂塵嵐に運ばれる隕石や固体の衝突によって生じる可能性のある破損から機械的に保護される。そのような構造物は、特定の技術により現地で建造されうる。当該技術は、例えば特許文献1により提案されている。
【0026】
ステップ(d)では、加圧した火星のCOを、ドームの内部に、TSAユニットによって、内圧が少なくとも0.8バールに達するまで強制的に吹き込む。
【0027】
ステップ(e)では、ドーム内の温度を少なくとも10℃(好ましくは、10〜15℃)に上昇させる。
【0028】
ステップ(f)では、屋外で動作する設備を機械的に保護する構造物を建造する。
【0029】
ステップ(g)では、肥料を生成するために使用されるプラントユニットを、ドームの内部に収容する。ドームの内外に全てのユニットが設置されると、ステップ(h)として、火星の大気を少なくとも1つのWAVARユニットに供給する。
【0030】
ステップ(h)と同時に、ステップ(i)が実行される。ステップ(i)では、火星の表土を掘削し、MPO(マイクロ波ピザオーブン)と名付けられたシステムに運び込む。このシステムは、屋内で動作し、吸着した水和水を鉱物からマイクロ波によって抽出できるようにする。ステップ(j)では、上記のステップで得られた水蒸気は、圧縮され、バッファタンクに蓄積されうる。当該水蒸気は、以降のステップで使用されるべく、適量だけ取り出し可能である。そして、脱水された表土が、MPOシステムを収容している構造から、ベルトコンベヤシステムを通じて除去される。
【0031】
ステップ(k)では、バッファタンクから水ストリームを抜き、適当な管継手によって、π、π、およびπと名付けられた3つの異なるストリームに分割する。
【0032】
ステップ(l)では、ストリームπは、電気分解装置に供給される。電気分解装置では、光発電システムから供給された電気を利用して、水の電気分解が行われる。その結果、水素(H)と酸素(O)が生成される。
【0033】
好ましい実施形態においては、水の電気分解は、電解槽内で行なわれる。当該電解槽は、電極(陰極および陽極)と、イオンを通過させる電解質とを備えている。当該電解槽には、直流が給電される。
【0034】
ステップ(m)では、ステップ(h)で生成された火星の脱水大気を、COを他のガスから分離し状況に応じて加圧するシステムに供給する。当該ステップは、温度スイング吸着(非特許文献7を参照)と呼ばれるプロセスによって行なわれることが好ましい。
【0035】
TSAユニットを使用することにより、0.8バールの圧力を特徴とする純粋COストリームが生成される。そのようなユニットは、同時に、後続するステップで使用される第2のガスストリームを生成する。第2のガスストリームは、主にNとArからなる。そして、当該0.8バールの純粋COストリームは、ドームの内部の加圧、およびCOとOを得る電解槽への供給の少なくとも一方に使用される。そして、800℃の温度と0.8バールの圧力を特徴とする生成された酸素が、適当なタンク内に蓄えられる。酸素は、当該タンクから抜き取ってECLSSシステムに供給されうる。
【0036】
一酸化炭素は、適当なタンクに蓄積されうる。一酸化炭素は、当該タンクから抜き取って、船外活動を行なうのに有効なローバーなどの設備の推進剤として使用されうる(ステップ(n))。
【0037】
ステップ(o)では、電気合成によって気体アンモニア(NH)を生成するととともに当該NHを生成する反応プロセス中に不活性なArのストリームを生成するリアクタ内に、、TSAユニットによって生成されて主にNとArからなる第2のストリームを、水の電気分解によって生成されたHとともに供給する。アンモニアの前記電気合成は、非特許文献8によって提案されたプロセスによって首尾よく実行されうる。本発明の目的のために、このプロセスでは、空気の代わりにアルゴンが使用される。したがって、650℃の温度と0.8〜1バールの圧力を特徴とするアンモニアが得られる。
【0038】
ステップ(o)で生成されたNHは、良好な発熱量(約14360kJ/m)を特徴とするため、船外活動中に利用される推進剤や燃料として特定の分量を使用できる。さらに、NHは、高い熱伝導率(約245.6mW/cm・K)も特徴とするため、生成されたアンモニアの更なる分量を、システムECLSSに使用される熱交換器内の熱伝達流体として使用できる。NHと同時に、ステップ(o)では、以降のステップ(q)で硝酸を生成するために使用されるアルゴンのストリームが得られる。
【0039】
ステップ(p)では、ステップ(o)で生成されたアンモニアのストリームが、Tコネクタによって、θ1およびθ2と名付けられた2つのストリームに分離される。
【0040】
ステップ(q)では、オストワルト法(特許文献2を参照)に基づいて動作するユニットに、電気合成セクション(o)から出るArのストリームを、アンモニア(o)のストリームθ1、ステップ(l)で生成された酸素のストリーム、ならびにステップ(k)で生成された水のストリームπ2とともに供給する。オストワルト法本来のプロセスと異なり、本発明では、ステップ(q)で硝酸とアルゴンを得られるようにする反応の発熱を減らすために、過剰空気の代わりにArが用いられる。
【0041】
ステップ(r)では、硝酸のストリームを、ρ1およびρ2と名付けられた2つの別ストリームに分割する。後に詳述するが、ストリームρ1は、光バイオリアクタ内の主栄養素供給源として使用される。ストリームρ2は、吸収/中和リアクタに供給される。吸収/中和リアクタでは、硝酸アンモニウム(NHNO)が生成される。
【0042】
ステップ(r)と同時に実行されるステップ(s)では、アンモニアストリームθ2が、θ2’およびθ2”と名付けられた2つのストリームに分割される。ストリームθ2”は、ステップ(t)で適当なタンクに蓄積されて燃料として使用される。ストリームθ2’は、中和リアクタに供給される。中和リアクタでは、ステップ(u)により硝酸アンモニウムが得られる。
【0043】
「生物セクション」については、ステップ(a’)〜(f’)は、化学物理セクションについて既に述べた対応するステップと完全に同等である。
【0044】
ステップ(g’)は、表土から抽出された水と、化学物理セクションで生成された適量の硝酸とを混合する。この操作は、水のpHを低下させる。よって、浸出工程に係る以降のステップ(i’)で表土の主栄養素と微量栄養素の液相への物質移動を促進する。
【0045】
ステップ(h’)では、ステップ(f’)で生成された脱水表土の固体ストリームを、それぞれτ1’およびτ2’と名付けられた2つのストリームに分割する。そして、固体ストリームτ2’は、「屋外」で動作するユニットを保護する特殊な構造物を構築するための原材料として使用されうる。建築資材を生成するプロセスは、伊国特許出願MI2010A001412号によって提案された技術に基づきうる。
【0046】
固体ストリームτ1’は、ステップ(g’)で生成された水と硝酸のストリームの重量比が1:5wt/wtになる程度の流量が必要である。
【0047】
ステップ(i’)では、固体ストリームτ1’を、硝酸のストリームと水ストリームとともにリアクタに供給する。リアクタでは、連続的に撹拌されるスラリを形成するように液体と固体が接触することにより、液相と固相間の有効な接触が可能になる。本ステップの目的は、表土に含まれる全ての主栄養素(P,S,C)と微量栄養素(Fe、Mg、Siなど)を液相に移動することである。このようにして「培養ブロス」が生成され、一旦窒素系栄養素と一体化されれば、自己栄養藻類成長の維持が可能とされる(非特許文献9を参照)。栄養素を液相に有効かつ確実に物質移動できる適当な接触時間は、約24時間である。
【0048】
ステップ(j’)では、固液分離を行なう。固液分離は、適当な濾過システム(すなわち、フィルタプレートやフィルタバッグ)によって遂行されうる。
【0049】
したがって、ステップ(j’)は、2つの分離されたストリームを生成する。第1のストリームは、浸出表土である。第2のストリームは、化学物理セクションで生成された硝酸と混合されることにより微細藻類用の「培養ブロス」となる液体である。
【0050】
前述のステップと同時に、TSAシステムを用いて、火星の大気のCOが先ず分離され、次いで加圧される。実際には、COは、藻の成長を維持する別の重要な主栄養素となる。
【0051】
「一度だけ(una tantum)」実行されるステップ(m’)は、その開始のために光バイオリアクタ内に供給される接種材料を調製する。接種材料は、藻類種からなることが好ましい。藻類種の例としては、Gloeocapsa種OU_20、Leptolyngbya種OU_13、Phormidium種OU_10、Chroococcidiopsis029; Arthrospira platensis; Synechococcus elongatus; Anabaena cilindrica; Chlorella vulgaris; Nannochloris Eucaryotumなどの遺伝子工学種が挙げられる。
【0052】
ステップ(n’)では、接種材料を光バイオリアクタ内に供給する。光バイオリアクタには、ステップ(j’)で生成された浸出物から出る液体ストリーム、ステップ(k’)で得られたガスCO、および化学物理セクションで得られた適量の硝酸ストリームが同時に供給される。
【0053】
ステップ(o’)では、COは、エアリフト型ハイドロニューマティックポンプによって液体中に泡立たされることが好ましい。エアリフト型ハイドロニューマティックポンプは、光バイオリアクタ内の適当な液体循環を保証する。さらに、COを微細気泡の形で注入するために、適当なディフューザを使用することが好ましい。他方、硝酸は、培養ブロス中に単純に注入される。これにより、硝酸塩による濃縮が可能になる。
【0054】
前述の化合物を藻類接種材料と混合すると、以降「生物スラリ」と呼ぶ藻類培地が得られる。そのような「生物スラリ」は、適当な光束に曝された場合、食物の原材料として使用できる藻類バイオマスの生成を可能にする光合成現象を引き起こし、かつ維持できる。直接に、または、好ましくは集光器および光ファイバなどの適当なシステムによって、培養物を火星の表面に入射する太陽放射に曝すことにより、当該光束が供給されうる。
【0055】
したがって、光合成プロセスにより、培養の藻類バイオマス濃度を高める新しい微小藻類が生成される。
【0056】
好ましい実施形態においては、光バイオリアクタは、流加(フェドバッチ)モード、すなわち半連続モードで動作する。したがって、藻類培養は、バイオマス濃度が藻類の成長速度の静止期に対応する適当な値に達するまで生物スラリが完全に再循環される閉鎖系で行われる。
【0057】
静止期に達した後、適量の「生物スラリ」を回収し、使用済み「培養ブロス」からバイオマスを分離する脱水プロセスにかける。そして、光バイオリアクタから取り出された一定量の生物スラリは、藻類成長中に消費された栄養素を再導入する同量の新鮮な(微小藻類を含まず、ステップ(j’)で生成された)「培養ブロス」と置き換えられる。
【0058】
新鮮な「培養ブロス」の取出しと再導入の操作ステップが行なわれると、微小藻類成長がバッチモードで再開される。少なくとも25時間(火星の一日の長さ)の成長をバッチモードで保証するために、取り出して再導入する操作は、定期的に(好ましくは、1日1回、同じ時刻に)繰り返されることが好ましい。
【0059】
ステップ(q’)では、毎日抽出した「生物スラリ」を、適当な遠心分離システムによって行なわれる固液分離ステップに供給する。このステップで行なわれる固液分離により、使用済み「培養ブロス」から藻類バイオマスを分離できる。
【0060】
必要とされる水の流入量を減らし、もって表土から抽出される水の量を減らすために、使用済み「培養ブロス」は、「生物セクション」の先頭に再循環されうる。他方、好ましい実施形態においては、使用済み培養ブロスは、野菜が栽培される温室、または水栽培システムを潅漑するために使用されうる。
【0061】
また、遠心機によって分離された固体藻類バイオマスは、マイクロ波オーブンによって脱水され、宇宙飛行士によって食物として消費されうる。
【0062】
ステップ(q’)では、光合成によって生成された酸素は、適当な脱気システムによって生物スラリから分離されてからECLSSユニットに送られる。ECLSSユニットでは、乗員室の空気再生に使用されうる。したがって、ステップ(r’)では、光合成によって生成された酸素を適当な加圧タンクに貯蔵する。
【0063】
ステップ(s’)では、前述したプロセスによる様々な生成物を、植物と野菜を栽培できる温室として機能するドーム内に供給する。ステップ(s’)は、以下のサブステップを含むことが好ましい。
【0064】
火星上の温室として使用されるドーム内に、所望の植物種の成長に適合する温度と圧力の条件を作り出すサブステップ(s’1)。
ステップ(j’)によって生産された浸出表土を、温室として機能するドームに供給するサブステップ(s’2)。
サブステップ(s’2)の表土を、化学物理セクションのステップ(u)で生成された硝酸アンモニウム(NHNO)と混合し、表土内の窒素系栄養素を適切かつ確実に取り入れられるようにするサブステップ(s’3)。
表土、および硝酸アンモニウムを、適量の腐植土、およびフルボ酸と混合するサブステップ(s’4)。
表土を宇宙飛行士の住居から出る適量の有機廃棄物と混合し、土壌有機物含有量を高めるサブステップ(s’5)。
植物種の栽培を進めるサブステップ(s’6)。
遠心機から供給される使用済み溶液を使用して作物を潅漑するサブステップ(s’7)。
光合成に必要な光束を提供するサブステップ(s’8)。
【0065】
別の態様によれば、本発明は、上記本発明に係るプロセスを実施するための材料と装置のキットに関する。当該キットは、「化学物理」グループ、および「生物」グループと名付けられた2つの部品グループを含んでいる。「化学物理」グループは、以降に列挙する部品を含んでいる。
【0066】
・プロセスの化学物理セクションで使用される様々なユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドーム。
・少なくとも1つのドーム内の大気を加熱し、後述するプラントユニットを機能させるエネルギーを生成する少なくとも1つの光発電パネル。
・可変温度の吸脱着サイクルを実行可能にするために、ゼオライトからなる少なくとも1つの吸着床と、火星の自然環境との熱交換を保証する機能を有する少なくとも1つのラジエータと、を備えており、COを火星の大気ガス(主に、NとAr)の他の成分から分離し、分離したCOを加圧し、同じ圧力のCOを少なくとも1つのドームに吹き込む少なくとも1つのTSAユニット。
・ゼオライトの使用と吸着プロセスとその後のマイクロ波による脱着に基づいて、火星の大気中にある水を抽出する少なくとも1つのWAVARユニット。
・火星の大気から抽出した水を貯蔵する少なくとも1つの貯蔵タンク。
・火星の表土を掘削する少なくとも1つの掘削機。
・掘削された表土を、当該表土を処理するユニットに供給する少なくとも1つのコンベヤベルト。
・マイクロ波加熱を使用して火星の表土から吸着した水和水を抽出する少なくとも1つのマグネトロンを備えている少なくとも1つのMPOユニット。
・表土から抽出した水をπ1、π2、およびπ3と名付けられた3つのストリームに分割する3つの出口を有する少なくとも1つのパイプコネクタ。
・ストリームπ1の水を電気分解し、水素と酸素を生成する少なくとも1つの電解槽。
・COを電気分解し、分離したOと、COおよびCOの混合物とを得る少なくとも1つの電解槽。
・固体電解質(固体酸化物燃料電池)を備える少なくとも1つの電気合成リアクタからなり、TSAユニット内に生成された高含有率のNとAr、および水の電気分解によって得られた水素とを含むガスから、アンモニアを生成する少なくとも1つのユニット。
・生成されたアンモニアのストリームをθ1およびθ2と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニット。
・少なくとも1つの触媒リアクタ、少なくとも1つの吸収塔、および「NOx」を分離する少なくとも1つのシステムを含んでおり、Ar、NH、HO、Oからオストワルト法によって硝酸(HNO)を生成する少なくとも1つのユニット。
・生成された硝酸(HNO)のストリームを、ρ1およびρ2と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニット。
・ストリームθ2をθ2’およびθ2”と名付けられた2つのストリームに分割する「T」コネクタからなる少なくとも1つのユニット。
・生成されたNHを貯蔵する少なくとも1つの貯蔵タンク。
・HNOからNHとNHNOを生成するために連続的に動作する少なくとも1つのガス液体リアクタ。
【0067】
キットの前記「生物」グループは、以下のものを含む。
【0068】
・プロセスの生物セクションで使用される様々なユニットを収容する少なくとも1つのジオデシックドーム。
・少なくとも1つのドーム内の大気を加熱し、後述するプラントユニットを機能させるためのエネルギーを生成する少なくとも1つの光発電パネル。
・可変温度の吸脱着サイクルを実行可能にするために、ゼオライトからなる少なくとも1つの吸着床と、火星の自然環境との熱交換を保証する機能を有する少なくとも1つのラジエータと、を備えており、COを火星の大気ガス(主にNとAr)の他の成分から分離し、分離したCOを加圧し、同じ圧力のCOを少なくとも1つのドームに吹き込む少なくとも1つのTSAユニット。
・火星の表土を掘削する少なくとも1つの掘削機。
・掘削された表土を、当該表土を処理するユニットに供給する少なくとも1つのコンベヤベルト。
・マイクロ波加熱を使用して火星の表土から吸着した水和水を抽出する少なくとも1つのマグネトロンを備えている少なくとも1つのMPOユニット。
・表土から抽出した水を、化学物理セクションで生成された適量の硝酸と混合する少なくとも1つのユニット。
・脱水した表土をτ’およびτ’と名付けられた2つの固体ストリームに分割するための双方向コンベヤベルトからなる少なくとも1つのユニット。
・表土の固体ストリームτ’を水と硝酸の混合物で浸出するために連続的に動作する少なくとも1つのリアクタ。
・浸出リアクタから出るスラリに対して固液分離を行なうとともに、「培養ブロス」と「浸出表土」のストリームを同時に生成する「プレートフィルタ」からなる少なくとも1つのユニット。
・COからの分離の結果として前のユニットにより得られたNとAr系ガスを蓄積する少なくとも1つのタンク。
・Gloeocapsa種OU_20、Leptolyngbya種OU_13、Phormidium種OU_10、Chroococcidiopsis029; Arthrospira platensis; Synechococcus elongatus; Anabaena cilindrica; Chlorella vulgaris; Nannochloris Eucaryotumなどの遺伝子工学種の少なくとも1つを含む藻類種。
・藻類種の接種材料を調製する少なくとも1つのユニット。
・培養ブロスが藻類接種材料を硝酸およびθ2と名付けられた高含量のCOを含むガスストリームと接触させることにより、藻類バイオマスを生成する少なくとも1つの光バイオリアクタ。
・液相のCOを吸収し、光バイオリアクタ内に供給された成分を適度に混合し、「生物スラリ」を循環させる少なくとも1つの「エアリフト」型ハイドロニューマティックポンプ。
・使用済み培養ブロスから、光バイオリアクタ内で生成された藻類バイオマスと酸素を分離する少なくとも1つのユニット。
・光バイオリアクタによって生成された酸素を蓄積する少なくとも1つのタンク。
・藻類バイオマスを脱水する少なくとも1つのユニット。
・食用植物を成長させる温室として使用される少なくとも1つのジオデシックドーム。
【0069】
キットの「化学物理」グループについては、少なくとも1つのジオデシックドーム内に、少なくとも10℃の温度と少なくとも0.8バールの圧力での動作を要する様々なプラントユニットが収容される。ドームは、円形断面を有するアルミニウムビームの枠組みによって作製されることが好ましい。ジオデシックドームの被覆は、0.2kg/mの表面密度と大きい機械抵抗および熱抵抗を有するETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)のシートによって行われることが好ましい。
【0070】
少なくとも1つの光発電システムが、ドーム内部の大気を加熱するステップを含む本発明に係るプロセスの全操作ステップにおける給電に必要なエネルギーを生成することが好ましい。電気的観点からは、前記光発電システムは、別個のセクション(アレイ)に分割されることが好ましい。各セクションは、約40mの表面積と、約11%の太陽放射の電気変換効率を有する。
【0071】
TSAユニットについて前述した原理によりドーム内でCOを分離し、送気し、圧縮するために、ゼオライトに可変温度の吸着/脱着サイクルを用いる温度スイング吸着が使用される。火星の大気から水を抽出するユニットは、非特許文献10に記載されたものが適当である。
【0072】
少なくとも1台の掘削機と少なくとも1台のベルトコンベヤが、火星の表土を掘削し、その火星の表土を、処理ユニットと、特にMPOユニットと呼ばれる水抽出システムへ輸送するために使用される。掘削機は、非特許文献11に記載されたものが適当である。このシステムは、光発電充電式電池、または同一車両に収容された小型光発電システムによって独立に給電される車両からなる。
【0073】
閉鎖型ベルトコンベヤは、表土をマイクロ波加熱システムに輸送するマイクロ波加熱システムでは、表土の鉱物から吸着された水和水が抽出される。したがって、ベルトコンベヤは、表土を水抽出用の少なくともMPOユニット内に供給する。抽出された水は、4方向管継手によって、π1、π2、およびπ3と名付けられた3つの別ストリームに分割される。
【0074】
そして、水ストリームπ1は、電気分解ユニットに送られる。電気分解ユニットは、プロトン交換用の固体電解質、陰極、および陽極からなる。陰極および陽極の双方は、低温で動作する場合でも良好な収率を保証する触媒が付与された多孔質材料からなる。
【0075】
これらの動作と平行して、WAVARユニットから出る火星の脱水大気からCOが分離および加圧される。
【0076】
そのような動作は、ステップ(m)で、可変温度でCOを吸着/脱着する少なくとも1つのユニットによって行なわれる。
【0077】
本発明によって提供されるCOを電気分解する少なくとも1つのユニットによりOとCOを生成するために、純粋な加圧COが使用される。この目的のために、固体電解質、陰極、および陽極からなる少なくとも1つの電解槽が使用される。陰極と陽極の双方は、低温で動作する場合でも良好な収率を保証する触媒が付与されて多孔質材料からなる。
【0078】
アンモニアを電気合成する少なくとも1つのセルは、イオン交換用の固体酸化物電解質、陰極、および陽極からなる。陰極と陽極の双方は、低温で動作する場合でも良好な収率を保証する触媒が付与された多孔質材料からなる。
【0079】
ここでは、NとArの双方が電気合成セルに供給される。
【0080】
しかしながら、窒素はステップ(o)に係る反応に関与するが、アルゴンは実質的に不活性なままである。したがって、このユニットからの出力は、アンモニアのストリームとアルゴンのストリームからなる。アルゴンのストリームは、アンモニアの燃焼によって硝酸が生成されるセクション内で希釈剤として適切に利用されうる。他方、生成されたアンモニアのストリームは、適当なT型パイプコネクタによって、θ1およびθ2と名付けられた2つの別ストリームに分割される。
【0081】
ステップ(q)では、硝酸を生成するためにオストワルト法に基づいて動作するユニットに、アンモニアストリームθ1を、ステップ(l)で生成されたアルゴンのストリーム、酸素のストリーム、ならびにステップ(k)で得られた水ストリームπ2とともに送る。当該プロセスは、ステップ(q)について述べた動作に基づいてアンモニア燃焼を行なう触媒リアクタ、NからHNOを生成する吸収塔、およびNOの分離により酸が濃縮されるシステムを利用する。したがって、エネルギーの観点から自己維持的である改良されたオストワルト法は、プロセスの次のステップで使用される硝酸のストリームと、主にアルゴンからなるガスストリームとを生成する。硝酸は、光バイオリアクタ内で藻が成長できるようにする硝酸塩の供給源として使用できる。また、硝酸は、食用植物種(野菜)を栽培する肥料として使用される硝酸アンモニウムを生成するためにも使用されうる。そのため、生成された硝酸のストリームは、適当なT型パイプコネクタによってρ1およびρ2と名付けられた2つの別ストリームに分割される。類似のパイプコネクタを利用することによって、ステップ(p)で生成されたアンモニアのストリームθ2は、さらにθ2’およびθ2”と名付けられた2つの別ストリームに分割される。
【0082】
ステップ(u)では、硝酸アンモニウムを生成するリアクタに、硝酸ストリームρ1を、アンモニアストリームθ2”とともに供給する。硝酸アンモニウムを生成する少なくとも1つのリアクタは、ガス液体型であることを要する。リアクタを動作させることによって、結晶硝酸アンモニウムを、肥料として使用できる白色粉末の形態で生成できる。
【0083】
キットの「生物」グループについては、少なくとも1つのスラリリアクタが、酸化防止塗料で被覆されることが好ましい。リアクタサイズは、少なくとも24時間の滞留時間を提供できるものであることが好ましい。リアクタから出るスラリは、ステップ(j’)において固液分離に供される。そのため、本発明に係るプロセスは、スラリの液相から固相を分離する少なくとも1つのフィルタを使用する。
【0084】
可変温度で吸脱着サイクルを行なうユニットは、化学物理セクションで使用されるものと構造的特性と機能的特性が類似している。
【0085】
光バイオリアクタは、様々な形態のものを使用できるが、管が螺旋を構成するように配列されたもの(バイオコイルとして知られる)が好ましい。管は、光合成活性放射に対して透明であることを要するので、PET(ポリエチレンテレフタレート)で生成されるべきである。好ましくは、管の直径は0.2m未満とされる。光バイオリアクタは、全再循環によってフェドバッチモードで操作されるべきである。藻細胞の破損と阻害を有利に回避するために、酸素レベルは、空気飽和値の約400%未満であることが好ましい。光合成によって生成された酸素は光バイオリアクタの管内で除去できないので、藻類培養の溶存酸素を除去するために、藻類培地を定期的に脱ガス装置へ送ることが好ましい。したがって、抽出された酸素は、乗員室の空気再生が行われるECLSSセクションに送られうる。COは、管に沿って特定の間隔で配置された適当な箇所で注入されうる。これにより、二酸化炭素の消費と高過ぎるpH値による藻類の飢餓状態を有利に防止できる。
【0086】
光合成を促進するために必要な光束は、火星の表面に入射する太陽放射に光バイオリアクタを直接曝すことによって、あるいは、または光バイオリアクタが収容されたドームに光を送る集光器および光ファイバなどの適当な集光システムによって供給されうる。
【0087】
流加(フェドバッチ)動作モードの光バイオリアクタにより、適量の「生物スラリ」を回収し、ステップ(j’)で得られた同量の新鮮な「培養ブロス」と置き換える。そして、回収された一定量の「生物スラリ」を固液分離にかける。使用済み「培養ブロス」から藻類バイオマスを分離するユニットは、少なくとも1つの遠心機によって実現されることが好ましい。
【0088】
さらに、生成された藻類バイオマスを適当なマイクロ波オーブンによって脱水すれば、宇宙飛行士により食物として消費されうる。
【0089】
遠心機から出る使用済み「培養ブロス」は、栄養素(窒素系栄養素)の残留濃度に特徴があり、火星の温室内で野菜を栽培するために既に肥料化された火星の土壌の潅漑に使用できる。
【0090】
以下に、本発明の実施例を非限定的に示す。
【0091】
(実施例)
<現地で入手可能な資源を使用して火星の土壌において有人宇宙ミッションを維持するために有用な資材を生産するプラントの実現と作業計画>
【0092】
まず火星を調査する乗組員の生理学的健康状態を考慮する。このために、表1に示す最小量の水、酸素、および食物が、各宇宙飛行士に毎日提供されることを要する。
【0093】
【表1】
【0094】
この例では、本発明に係るキットの設備と材料を含むプラントは、本発明に係るプロセスを実施するように設計される。当該プロセスは、現地で入手可能な資源を利用することにより火星の土壌において有人宇宙ミッションを維持するのに有用な資材を生産する。また、本発明に係るプロセスに基づいて動作パラメータを設計した。
【0095】
<「化学物理」セクションのプラントの設計>
化学物理セクションについては、まず1時間あたり約121.547kgの質量流量(α)の火星の大気が、プロセスのステップ(h)に係るWAVARユニットより脱水される。1時間あたり約0.02297kgの質量流量(β)の水と、1時間あたり約121.5442kgの質量流量(γ)の脱水された火星の大気が、WAVARユニットの出口に生成される。
【0096】
上記の質量流量は全て、8mbarの圧力と210Kの温度を特徴とする。表2は、火星上でミッションを計画するためのWAVARユニットに関する寸法上の特徴を示している。
【0097】
【表2】
【0098】
そして、質量流量(γ)の脱水大気がTSAユニットに供給される。TSAユニットでは、プロセスのステップ(o)に基づき、まずCOが分離され、次いで加圧される。
【0099】
0.8バールの圧力と450°Kの温度を有する1時間あたり約17.225kgの質量流量(δ)の純粋なCOが、TSAユニットの出口に生成される。同時に、主にNとArからなり、8mbarの圧力と210°Kの温度を特徴とする1時間あたり約4,318kgの質量流量(η)のガスが、TSAユニットの出口に生成される。そのような能力を保証するには、表3に示された特徴を有する少なくとも11台のTSAユニットが使用されるべきである。
【0100】
【表3】
【0101】
したがって、11台のTSAユニットは、全体として表4に示されたスペースとエネルギーを必要とする。
【0102】
【表4】
【0103】
そしてプロセスのステップ(n)において、加圧した純粋なCOのストリーム(δ)を、ジオデシックドーム内で動作する電解槽に供給する。ユニットは、質量流量が1時間あたり38.36kgの純粋酸素(ω)と、50%v/vのCOおよび50%v/vのCOを含み、質量流量(ε)が1時間あたり78.86kgのガス混合物とを生成する。上記の気体混合物のストリームは、ミッション中に行われる船外活動の推進剤として使用されるべく適当なタンクに貯蔵されうる。他方、Oのストリームは、ECLSSシステムに供給され、そこで乗員室内の空気再生に使用される。具体的には、生成されるOの質量流量は、1日あたり460kgである。これにより、表1に示した1人あたりの需要に基づいて、多数の乗組員の需要を満たしうることが分かる。
あるいは、余剰酸素は、船外活動中に使用される内燃機関に供給されて適当な推進剤と混合される燃焼用空気として使用されうる。
【0104】
またあるいは、TSAユニットによって生成されたCOは、ミッション継続期間全体におけるわずかな時間に、ドームを加圧するために使用される。
【0105】
COから酸素を生成する目的で、電解槽が使用される。電解槽は、スタックの層を積み重ねることによって得られる幾つかの「電池」からなる。各層は、幾つかの積み重ねられた「電解セル」(または電界ウェハ)からなる。
【0106】
この例では、CO電解槽は、少なくとも4個の電池からなり、各電池は、スタックを1つのみ含んでいる。スタックは、スタックの高さの合計が10cmになるように、寸法100cm×100cm×1cmのウェハが10枚積み重ねられている。各電解セルに印加される電圧は、1.7Vであり、電流密度は、1cmあたり0.4Aである。このユニットの主な特徴は、表5に示されている。
【0107】
【表5】
【0108】
マイクロ波による加熱のために供給される表土(υ)の質量流量は、1時間あたり385.04kgである。マイクロ波加熱セクションからの出力は、質量流量が1時間あたり約7.7kgの水(π)と、質量流量が1時間あたり377.34kgの固体脱水表土(τ)とからなる。表6に示した各MPOユニットの特徴は、前述の質量流量を生成するために必要なMPOユニットの数を見積もるために考慮される。
【0109】
【表6】
【0110】
したがって、前述の総量(すなわち、1時間あたり385.04kg)の表土を処理するためには、約39個のMPOユニットが必要とされる。これにより、表7に示された全体の消費電力と占有サイズが決まる。
【0111】
【表7】
【0112】
そして、表8に示したように、抽出した水ストリーム(π)を、π1、π2、およびπ3と名付けられた3つの別ストリームに分割する。
【0113】
【表8】
【0114】
具体的には、ストリームπ3は、乗組員に必要な飲料水が生成されるECLSSシステムに供給される。表1に示した1人あたりの需要を考慮すると、生成された飲料水の質量流量は、12人の乗組員の需要を満足できる。
【0115】
ストリームπ1は、プロセスのステップ(l)において、水素と酸素が生成される水電解槽に供給される。電解槽の出口で、質量流量が1時間あたり3.36kgの酸素(o)と、質量流量が1時間あたり約0.42kgの水素(κ)が得られる。そのような流れを生成するために、水電解槽は、1つのスタックのみからなる。当該スタックは、5個の電解セルからなり、1cmの厚さを有する膜電極(NAFION)アセンブリによって構成されている。各電解セルの面積は、0.22mである。電解セル間距離は、1cmである。各電解セルに印加される電圧は、1.4Vであり、電流密度は、1cmあたり1Aである。電解槽に供給される水1kgあたりの消費電力は、4.17kWであり、総重量は、11.2kgである。表9は、ミッションを計画し前述の性能を達成するために必要な水電解槽の特徴の一覧である。
【0116】
【表9】
【0117】
アンモニアを電気合成するリアクタは、質量流量が1時間あたり2.145kgのNH(θ)と、質量流量が1時間あたり1.65kgであり、かつ反応中に不活性のままのAr(λ)とを生成する。電気合成反応の収率は90%なので、未反応のNとHの2つのストリームが、リアクタから放出される。未反応N(μ1)の質量流量は、1時間あたり0.196kgであり、未反応NH(μ2)の質量流量は、1時間あたり0.042kgである。
【0118】
前述の結果を達成するために、電気合成リアクタは146個のスタックからなる必要がある。この場合、各スタックは、10個の電気分解セル(または電気分解ウェハ)からなる。これらのスタックは、それぞれが10個のスタックを含むように、15個の電池上に配列される。各電解セルの寸法は、100cm×100cm×1cmである。スタック間距離は、1cmであり、電池間距離は、10cmである。
【0119】
各電解セルに印加される電圧は、0.8Vであり、電流密度は、1cmあたり0.00232Aである。総重量が16525kgの場合に2.15kgのNHを生成するために消費される電力は、8.15kWである。これらのデータに基づいて、電気合成リアクタの消費電力と占有サイズを見積もることができる(表10を参照)。
【0120】
【表10】
【0121】
そして、生成されたアンモニアのストリーム(θ)は、表11に示したようにθ1およびθ2と名付けられた2つの別ストリームに分割される。
【0122】
【表11】
【0123】
同時に、水電気分解によって生成された酸素のストリーム(o)は、oおよびoと名付けられた2つの別ストリームに分割される。これらの質量流量を表12に示す。
【0124】
【表12】
【0125】
ストリーム(o1)は、乗員室の空気再生のためにECLSSシステムに供給される。酸素ストリーム(o2)は、アルゴンストリーム(λ)、アンモニアストリーム(θ1)、および水ストリーム(π2)とともに、オストワルト法によって硝酸を生成するユニットに供給される。後者のユニットは、質量流量が1時間あたり0.3225kgの硝酸(ρ)、ならびに主にアルゴンからなり質量流量が1時間あたり1.735kg間の燃料ガス(σ)を生成する。このユニットの消費電力と占有サイズを表13に示す。
【0126】
【表13】
【0127】
表14に示されたように、アンモニアのストリーム(θ2)は、それぞれθ2’およびθ2”と名付けられた2つの別ストリームに分割される。
【0128】
【表14】
【0129】
同時に、表15に示したように、硝酸のストリーム(ρ)は、2つのストリームρ1とρ2に分割される。
【0130】
【表15】
【0131】
アンモニアのストリーム(θ2’)は、適当なタンクに蓄積される。後に当該タンクから取り出されるNHは、推進剤、または生物セクション内の肥料として使用されうる。硝酸のストリーム(ρ2)は、生物セクションに送られて光バイオリアクタ内の硝酸塩の供給源として使用される。他方、アンモニア(θ2”)と硝酸(ρ1)のストリームは、吸収中和リアクタに供給される。吸収中和リアクタでは、質量流量が1時間あたり0.25kgの硝酸アンモニウム(NHNO)が生成される。硝酸アンモニウム(NHNO)は、温室内あるいは火星の表面に事前に設置された水栽培システム内の肥料として使用されうる。表16に、吸収中和リアクタに関する特徴を示す。
【0132】
【表16】
【0133】
以上述べた全てのプラントユニットの占有サイズと消費電力を考慮することによって、キットの化学物理グループに関する以下の一覧表が得られる(表17を参照)。
【0134】
【表17】
【0135】
屋内で動作する化学物理セクションのプラントユニットのみを考慮すると、全占有サイズは、体積が41.12mであり、面積が28mである。最大高さは、2mである。化学物理セクションの屋内ユニットを収容するジオデシックドームの最小サイズは、理屈上は上記のサイズとすべきである。しかしながら、作業者に適当な作業スペースを確保するために、ジオデシックドームは、屋内ユニットのサイズよりかなり大きくされる。したがって、ジオデシックドームの実際のサイズは、半径が4.4m、体積が174m、外側面積が120m、占有面積が60mである。継手を含むドームの筐体の総重量は、86kgであり、120mの表面積を有するETFEシートの総重量は、24kgである。
【0136】
ドームの加圧と加熱については、屋内で保証されることを要する最小熱圧状態は、T≧283KかつP≧0.8である。当該条件は、プロセスに関与する幾つかの化合物の物質の凝集状態が、地球上と同じであることを保証する必要がある。
【0137】
したがって、ドームの加圧にCOを使用すると仮定すると、吹き込むCOの質量は、263.75kgである。図1のスキーム(破線)ならびに先に示したデータを参照すると、TSAユニットは、0.8バールの圧力を有し質量流量が1時間あたり約117.22kgのCO(δ)を生成することが分かる。当該加圧されたCOは、特定の時間ドームに吹き込まれうる。その間、CO電解槽は迂回される。当該特定時間は、2.25時間と見積もられうる。したがって、プロセスにおける最初の2.25時間、TSAユニットから出るCOは、電解槽ではなくドームに吹き込まれる。
【0138】
所望温度に達するまでドームを加熱するには、後に熱エネルギーに変換される38kWの電気エネルギーが消費される。当該消費電力を、化学物理セクションのユニットに給電するために必要な電力に加えることによって、全消費電力は、536.765kWになる。そのような電力は、表18に示した特徴を有する光発電システムによって供給することができる。
【0139】
【表18】
【0140】
したがって、ドームを含む化学物理セクションに給電する光発電システムは、広さ約1.6haである。
【0141】
<キットの「生物」グループの設計>
生物セクションについては(図2を参照)、質量流量が1時間あたり約5008kgの火星の表土(ν’)がMPOユニットに供給される。MPOユニットでは、ステップ(f’)において吸着および水和された水が、マイクロ波加熱によって抽出される。MPOユニットは、質量流量が1時間あたり100.174kgの水(π’)と、質量流量が1時間あたり4908.5kgの脱水表土(τ’)とを生成する。そのような性能を達成するのに必要なMPOユニットの数を見積もるために、表6に示した単一MPOユニットの特徴を考慮する。したがって、前述した質量流量の水と脱水表土を生成するには、約500個のMPOユニットが必要である。したがって、表19に示したように、MPOユニットの全消費電力と占有サイズを見積もることができる。
【0142】
【表19】
【0143】
そして、1Lあたり約1mgの濃度のHNOを含む水性浸出液を得るために、水ストリーム(π’)が硝酸と混合される。混合は、質量流量が1時間あたり0.1gのHNO(ρ’1)を水ストリーム(π’)に直接注入することによって行なわれうる。したがって、酸を混合するために特殊なプラントユニットは不要である。当該操作ステップにより、質量流量が1時間あたり約100.174kgの浸出液(ψ’)が生成される。同時に、脱水表土の質量流量(τ’)が、表20に示される2つの別ストリームに分割される。
【0144】
【表20】
【0145】
そして、上記質量流量の表土(τ’1)と浸出液(ψ’)がスラリリアクタに供給される。スラリリアクタでは、ステップ(i’)において、浸出メカニズムに基づいて、固相(すなわち、表土)から液相(すなわち、浸出液)に栄養素が移される。特性を表21に示したスラリリアクタは、質量流量が1時間あたり120.2kgのスラリ(σ’)を出口において生成する。スラリは、固体で20%wt/wtに濃縮される。
【0146】
【表21】
【0147】
そして、スラリのストリーム(σ’)は、フィルタプレートによって行われる固液分離フェーズに供される。フィルタの出口においては、固体質量流量が1時間あたり20kgの浸出表土(λ’)と、栄養素(μ1’)に富む液体溶液とが生成される。液体溶液は、藻の成長を維持するために使用する培養ブロス(後にCOと硝酸塩を供給する)を生成するための基質として使用されうる。表22に、フィルタのサイズと電力特性を示す。
【0148】
【表22】
【0149】
前述のステップと同時に、COが火星の大気から分離され、加圧される。この処理を目的として、ステップ(k’)において、流量が1時間あたり0.74kgの火星の大気(α’)がTSAユニットに供給される。TSAユニットでは、COの分離と加圧が行なわれる。TSAユニットの出口では、流量が1時間あたり0.71kgの純粋CO(δ’)が、0.8バールの圧力と450Kの温度で生成される。同時に、TSAユニットは、主にNとArからなり、8mbarの圧力と210Kの温度を有し、流量が1時間あたり0.03kgの第2のガスストリーム(η’)を生成する。TSAユニットの特徴を表23に示す。
【0150】
【表23】
【0151】
加圧COを得るために必要な占有サイズと電力を表24に示す。
【0152】
【表24】
【0153】
動作ステップ(n’)により、加圧COのストリーム(δ’)、栄養素溶液のストリーム(μ’1)、ならびに硝酸のストリーム(ρ’)は、所望の藻類種があらかじめ接種されたバイオコイル光バイオリアクタに供給される。光バイオリアクタを適正に設計するために、すなわち、使用される硝酸と生成される藻類バイオマスと光合成酸素の流量を見積もるために、特定の実験を行なった。実験は、連続的に供給される純粋CO(すなわち、100%v/v)のガスストリームによる流加(フェドバッチ)モードで動作するバイオコイル光バイオリアクタを使用して行われた。藻類濃度についての実験結果を培養時間の関数として図3に示す。上記の条件下で藻の成長が約5か月間維持されたことが同図より分かる。
【0154】
したがって、組成に関して火星で入手可能なものときわめて似たガスストリームと、火星の光束と似た光束とを使用して行なった実験から、火星上のミッションの継続期間と同様の期間(すなわち、5ヶ月)、光バイオリアクタを収容するドーム内で得られる条件ときわめて似た条件下で、藻類バイオマスを連続的に生成できることが分かった。実験とシミュレーション結果に基づいて、火星の表面で実施される光バイオリアクタの動作パラメータを以下の表25に示す。
【0155】
【表25】
【0156】
表25の結果を表1に示した1人あたりの需要と比較することによって、1日あたり約2.4kgの食用乾燥バイオマスを生成するシステムが、3人の乗組員の食物需要を満足できることが分かる。
【0157】
同時に、質量流量が1時間あたり0.17kgの光合成酸素(ω’)が、光バイオリアクタによって生成される。そのように生成された酸素は、ECLSSシステム内で乗員室の空気再生に使用されうる。前述の目標を達成するには、表26に示した特徴を有する2つの光バイオリアクタが必要である。
【0158】
【表26】
【0159】
消費電力62Wは、主に、光バイオリアクタのパイプに沿った液体循環を確保するポンプによるものである。光バイオリアクタセクション全体の占有サイズと消費電力を、表27に示す。
【0160】
【表27】
【0161】
リアクタ(χ’)の出口における生物スラリの質量流量は、1時間あたり約100.24kgである。液相から固体藻類バイオマスを分離するために、前記スラリを遠心分離ステップに供給することによって、質量流量が1時間あたり100.15kgの液体(θ’)と、質量流量が1時間あたり0.095kgの脱水微小藻類(ξ’)とを得る。遠心分離ユニットの占有サイズと消費電力を、表28に示す。
【0162】
【表28】
【0163】
生物グループについてこれまで述べた全てのプラントユニットの占有サイズと消費電力を考慮することによって、キットの当該グループに関する以下の一覧表を示すことができる(表29を参照)。
【0164】
【表29】
【0165】
屋内で動作する生物セクションのプラントユニットを収容するドームの設計に関しては、以下の態様が考えられる。
・TSAユニットが屋外で動作する場合、その占有サイズを考慮しなくてもよい。
・全体の占有サイズに大きく影響を及ぼす光バイオリアクタは、専用のドーム内に収容される。
【0166】
したがって、作業者の作業領域を考慮し、また化学物理セクションを収容する前述のドームを大きめに設計する旨を考慮すると、生物セクションのドームの特徴は、以下の通りである。
【0167】
<生物セクション用のドーム(光バイオリアクタを除く)>
このドームは、4.9mの半径、245mの体積、150mの外側面積、および75mの占有面積を有する。継手を含むフレームの総重量は、88kgである。150mの表面積を覆うETFEのシートは、重量30kgである。したがって、ドームの全総重量は118kgになる。ドームを0.8バールに加圧するために注入されるCOの質量は、371kgと見積もられる。ドームを加圧するために使用されるCOは、CO電解槽を約3.17時間迂回する化学物理セクションのTSAユニットによって得られる。ドームの内部を約283Kの最低温度になるまで加熱するのに必要な電力は、44kWと見積もられる。
【0168】
<光バイオリアクタ用のドーム>
このドームは、9.5mの半径、1795mの体積、567mの外側面積、および283mの占有面積を有する。継手を含むフレームの総重量は、88kgである。567mの表面積を覆うETFEのシートは、重さ113kgである。したがって全総重量は300kgになる。ドームを0.8バールに加圧するために注入されるCOの質量は、17900kgと見積もられる。ドームを加圧するために使用されるCOは、CO電解槽を約153時間迂回する化学物理セクションのTSAユニットによって得られる。ドームの内部を約283Kの最低温度に達するまで加熱するのに必要な電力は、320kWと見積もられる。
【0169】
光発電システムは、生物セクションを構成する全てのプラントユニットに給電するのに必要なエネルギーと、ドームの内部を少なくとも283Kの温度に維持するのに必要なエネルギーとを供給しなければならない。
【0170】
ドームを加熱するために必要な電力を、プラントユニットが必要とする電力に加えることにより、全消費電力を1577.209kWと見積もることができる。そのような電力は、表30に特性を示した光発電システムによって生成できる。
【0171】
【表30】
【0172】
したがって、生物セクションに給電する光発電システムは、1183個のアレイの使用を要する。これにより火星の土壌を占有する面積は、4.7haである。以上述べた例の結果を、キットの両グループ(すなわち、化学物理セクションと生物セクション)によるエネルギーと資材生産の点から表31にまとめる。
【0173】
【表31】
【0174】
ミッションに係る総重量を表32にまとめる。
【0175】
【表32】
【0176】
上記の詳細な説明と実施例から、本発明に係るキットとプロセスによって達成される利点は明らかである。具体的には、当該キットは、火星の土壌に適用される全ての材料と設備を提供することによって、火星の資源のみから水、酸素、推進剤、肥料、可食バイオマス、野菜などの資材を生産する本発明に係るプロセスを実施可能にする。したがって、本発明に係るプロセスが適当なECLSSシステムと統合されれば、ミッションを完全に自己維持させることができる。
図1
図2
図3