【実施例】
【0182】
実施例1
(Z)−6−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸の合成
この実施例は、スキーム2に従って、本明細書ではDPDとも呼ばれる(Z)−6−[(2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル]ヘキサ−4−エン酸(表II中のSN1)の合成を説明するものである。
【0183】
【化21】
シス/トランス混合物としてのラセミ2−メトキシパラコン酸の合成(2−3):20L二重ジャケットガラス反応器に260gのo−メトキシベンズアルデヒド、286gのコハク酸無水物、572gの無水塩化亜鉛および2600mLの無水DCMを充填した。その混合物を攪拌し2℃に冷却した。533mLのトリエチルアミン量を30分の時間をかけて添加した。その後、その混合物を周囲温度で24時間、攪拌させておいた。1690mLの2M HCl量を添加し、続いて2600mLの酢酸エチルを添加した。その混合物を5分間、激しく攪拌した。水性相を2000mLの酢酸エチルで抽出した。併せた有機抽出物を650mLの飽和ブラインで洗浄し、その後、3×2600mLの飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。その後、併せた水性抽出物を酢酸エチルで洗浄した。濃HClを使用して、それらの水性抽出物をpH2に酸性化した。黄色の油が分離した。2000mLの酢酸エチルを使用して、その混合物を2回抽出した。有機相を1000mLのブラインで4回洗浄し、45℃の加熱浴温度を用いてBuchi R220 rotavapで蒸発させた。残っている残留物に4000mLのトルエンを添加した。その混合物を110℃に加熱した。1Lのトルエンを蒸留除去した。残分を放置して室温に冷却し、48時間放置し、この間に純粋な2−メトキシ−パラコン酸が晶出した。その結晶質材料を回収し、濾過し、真空オーブンにおいて真空下、45℃で、一定重量になるまで乾燥させた。
収量:220g(49%)。シス/トランス比:46/54
シス−およびトランス−ラセミメトキシ−パラコン酸の全トランス−2−メトキシパラコン酸への転化(2−4):1020gのメトキシパラコン酸を、1729mLの濃硫酸と2570mLの水の混合物に添加した。その混合物を室温で18時間、攪拌させておいた。33:64のシス/トランス比を得た。その後、その混合物を2.5時間、60℃に加熱した。11:89のシス/トランス比を得た(HPLCにより分析)。その後、その混合物を放置して室温に冷却し、その後、濾過した。固形物を酢酸エチルに再び溶解し、水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。6:94のシス/トランス比が観察された。熱トルエンから固形物を再結晶させた。得られた結晶質材料を真空下、40℃で48時間乾燥させた。
収量:855g(84%)。シス/トランス比:8/92.融点:132〜133℃
NMR(CDCl
3、300 MHz):2.9(2H,d)、3.4(1H,m)、3.83(3H,s)、5.85(1H,d)、6.8−7.4(4H,m)
ラセミメトキシ−パラコン酸のエステル化(2−5):193gのメトキシ−パラコン酸を600mLのTHFに溶解した。その混合物に145gのCDI(899mmol、1.1当量)を添加し、その混合物を10分間攪拌した。65mLの無水エタノール量(または、メチルエステルを作るためにメタノール)を添加し、完了するまで(〜120分)その混合物を攪拌した。その粗反応混合物を、酢酸エチルおよび飽和重炭酸ナトリウムを使用して抽出した。有機相を0.5NのHClおよびブラインで洗浄した。蒸発させた後、所望のエチルエスエルの188gの量を得た。
【0184】
ラセミメトキシ−パラコン酸・エチルエステルの還元(2−6):ラセミラクトールの調製:5℃で700mLのトルエン中の105gのエチルエステル(397mmol)に、3当量のDIBAL−H(1.19mol、1.19L 1M溶液)を添加した。その混合物を60分間、室温で攪拌し、メタノールでクエンチした。酢酸エチル(2.5L)および水(700mL)を添加した。相分離後、水性相をEtOAcで再び抽出した。その後、有機層をブラインで洗浄し、濾過し、蒸発させた。油性残留物をクロロホルム/へキサンから再結晶させた。固体を濾過し、真空下で乾燥させた。
収量:53g(237mmol、59%)
ラセミラクトールを用いるウィッティヒ反応−ラセミジオールの合成(2−8):191gの臭化カルボキシプロピルトリフェニルホスホニウム、1000mLの無水トルエンおよび100gのカリウムt−ブトキシド量を80℃で30分間混合した。その混合物を室温に冷却した。180mLの無水THFに予め溶解した25gの精製ラセミラクトール(114.5mmol)量をゆっくりと添加した。反応を60分間継続させた。その粗反応混合物を1500mLの氷水に注入し、300mLの酢酸エチルを添加した。水性相を300mLの酢酸エチルで再び抽出した。その後、水性相を2NのHClで酸性化し、300mLの酢酸エチルを使用して3回抽出した。形成した固体を濾過して除去した。有機相を蒸発させた。蒸発させた残留物に500mLのジエチルエーテルを添加した。そのフラスコを10分間、渦攪拌し、固体を濾過して除去した。濾液を重炭酸ナトリウム飽和溶液で3回抽出した。その後、2MのHClを使用して、水性相をpH4に酸性化した。その後、200mLの酢酸エチルを用いて水性相を3回抽出した。有機相を併せ、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させて45gの材料を得た。
【0185】
カラムクロマトグラフィー:ラセミジオールをシリカゲル(35cmのカラム長、4cmの直径)で精製した。ラセミジオールを最少の酢酸エチルに溶解し、カラムに適用した。1Lの酢酸エチル(60%)/ヘキサン(40%)をメスシリンダーに添加した。300mLのEtOAc/へキサンをそのシリンダーから取り、カラムに添加した。シリンダーの中の残りの700mLのEtOAc/へキサンを、酢酸エチルを使用して1Lに希釈した。その後、300mLの新たなEtOAc/へキサン溶液をカラムに添加し、放置してカラムに通した。そのシリンダーの中の残りの700mLのEtOAc/へキサンを、酢酸エチルを使用して、再び1Lに希釈した。その後、300mLの新たなEtOAc/へキサン溶液をカラムに添加し、放置してカラムに通した。そのシリンダーの中の残りの700LのEtOAc/へキサンを、酢酸エチルを使用して、もう1度、1Lに希釈した。その後、300mLの新たなEtOAc/へキサン溶液をカラムに添加し、放置してカラムに通した。ラセミジオールの純粋な画分を回収し、蒸発させて、26gの純粋なラセミジオールを得た。
収量:26g(88.3mmol、79%)
ラセミジオールのラセミアセトニドへの転化(2−10):26g(88mmol)の精製ジオールを260mLのジメトキシプロパンおよび26mgのp−TsOHと混合した。その混合物を周囲温度で一晩、攪拌させておいた。3滴のトリエチルアミンを添加し、その混合物を蒸発させた。残っている残留物に150mLのヘキサンを添加し、その混合物を一晩攪拌した。固体を濾過して除去し、乾燥させて、25g(75mmol)のラセミアセトニドを得た。
収率:85%
ラセミアセトニドの脱メチル化(2−12):375mLのDMPU中の21.5gのNaHの混合物に16.7gのエタンチオールを添加することにより、水素化ナトリウムおよびエタンチオールの懸濁液を調製した。その懸濁液を80℃に加熱し、放置して周囲温度に冷却した。
【0186】
15gのラセミアセトニドを75mLのDMPUに溶解し、EtSH/NaHの懸濁液に添加した。その混合物を130℃で2時間加熱した。その後、その反応混合物を氷水に注入し、DCMで抽出した。2NのHClを使用して水性層を酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、蒸発乾固させた。
収量:16.5g(粗製)。
【0187】
ラセミ最終化合物の調製(2−14):28mmolの脱メチル化ラセミアセトニド量を、15mLの2−クロロベンズアルデヒド、0.5gのp−TsOHおよび60mLのトルエンと混合した。その混合物を24時間攪拌し、蒸発させた。その粗反応混合物を、Biotage Horizon(登録商標)クロマトグラフィー計器を利用するシリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製した。DCM(19)/メタノール(1)を使用してその混合物を精製して、蒸発後、6.5gの固体を得た。
収量:6.5g(16.7mmol、59%)
【0188】
【化22】
【0189】
【表1-1】
【0190】
【表1-2】
実施例2
PPARモジュレータ2(SN2、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ2(SN2、表II)の合成を説明するものである。実施例1において説明したようなラセミアセトニド(6−[4−(2−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジメチル−[1,3]ジオキサン−5−イル]−ヘキサ−4−エン酸)2−12の100mg(0.31mmol)量を、1mLのトルエンおよび10mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。その混合物に2当量(0.62mmol、108mg)の2,3−ジクロロベンズアルデヒドを添加した。その混合物を24時間攪拌し、窒素流を用いて蒸発させた。その粗反応混合物を、メタノール(1)/DCM(19)を使用してシリカゲルカラムで精製した。純粋な画分をTLCによって同定し、回収し、蒸発させ、HPLCおよび質量分析法によって分析した。
質量スペクトル(エレクトロスプレー、ネガティブモード):[M−H]−=435
実施例3
PPARモジュレータ6(SN6、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ6(SN6、表II)の合成を説明するものである。100mg(0.31mmol)のラセミアセトニド量を、1mLのトルエンおよび10mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。その混合物に2当量(0.62mmol、70mg)のシクロヘキサノンを添加した。その混合物を24時間攪拌し、窒素流を用いて蒸発させた。その粗反応混合物を、メタノール(1)/DCM(19)を使用してシリカゲルカラムで精製した。純粋な画分をTLCによって同定し、回収し、蒸発させ、HPLCおよび質量分析法によって分析した。
質量スペクトル(エレクトロスプレー、ネガティブモード):[M−H]−=359
実施例4
PPARモジュレータ8(SN8、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ8(SN8、表II)の合成を説明するものである。
【0191】
N−Boc 4−オキソピペリジンの調製:2gの4−オキソピペリジン量を20mLのジオキサン/水に溶解した。その混合物に2当量の重炭酸ナトリウムを添加し、続いて1.0当量のBoc
2Oを添加した。その混合物を4時間攪拌した。酢酸エチル(100mL)を添加した。0.2NのHClおよびブラインを使用して、有機相を2回洗浄した。その後、その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させて油を得、それが結晶した。100mg(0.31mmol)のラセミアセトニド量を1mLのトルエンおよび10mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。その混合物に、2当量(0.62mmol)のN−Boc−4−オキソピペリジンを添加した。その混合物を24時間攪拌し、窒素流を用いて蒸発させた。その粗反応混合物を、メタノール(1)/DCM(19)を使用して小型シリカゲルカラムで精製した。純粋な画分をTLCによって同定し、回収し、蒸発させ、HPLCおよび質量分析法によって分析した。
質量スペクトル(エレクトロスプレー、ネガティブモード):[M−H]−=460
スピロ−ピペリジン環上になお存在するBoc−保護基を含む反応生成物を用いて、本明細書において下で言及する生物学的アッセイを行った。
【0192】
実施例5
PPARモジュレータ9(SN9、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ9(SN9、表II)の合成を説明するものである。
【0193】
1−ナフタレンカルボキシアルデヒドの調製 3.87mLの塩化オキサリル(44.24mmol)量を100mLのDCMに溶解した。その混合物を−60℃に冷却した。注射器を使用して、5.6mLのDMSO量を滴下した。その混合物を15分間攪拌した。75mLのDCM中の5gのナフタレン−1−メタノールの溶液を滴下した。その反応を1時間、−60℃で継続した。20mLのトリエチルアミン量を添加した。その混合物を放置して15℃にした。その混合物を抽出漏斗に移し、水、1MのHCl、水、そしてブラインで洗浄した。その後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。その粗生成物は、さらに精製せずに次の段階で使用するために十分純粋であった。
【0194】
実施例1に従って調製した100mg(0.31mmol)のラセミアセトニド(2−12、上に記載したとおり)量を、1mLのトルエンおよび10mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。その混合物に2当量(0.62mmol、97mg)の1−ナフタレンカルボキシアルデヒドを添加した。その混合物を24時間攪拌し、窒素流を用いて蒸発させた。その粗反応混合物を、メタノール(1)/DCM(19)を使用してシリカゲルカラムで精製した。純粋な画分をTLCによって同定し、回収し、蒸発させ、HPLCおよび質量分析法によって分析した。
質量スペクトル(エレクトロスプレー、ネガティブモード):[M−H]−=417
実施例6
PPARモジュレータ11(SN11、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ11(SN11、表II)の合成を説明するものである。
【0195】
100mg(0.31mmol)のラセミアセトニド(実施例1からの2−12)量を、1mLのトルエンおよび10mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。その混合物に2当量(0.62mmol、62mg)のヘキサナールを添加した。その混合物を24時間攪拌し、窒素流を用いて蒸発させた。その粗反応混合物を、メタノール(1)/DCM(19)を使用してシリカゲルカラムで精製した。純粋な画分をTLCによって同定し、回収し、蒸発させ、HPLCおよび質量分析法によって分析した。
質量スペクトル(エレクトロスプレー、ネガティブモード):[M−H]−=361
実施例7
PPARモジュレータ13(SN13、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ13(SN13、表II)の合成を説明するものである。
【0196】
100mg(0.31mmol)のラセミアセトニド量を、1mLのトルエンおよび10mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。その混合物に2当量(0.62mmol、130mg)のo−2−オキソ−4a,8a−ジヒドロ−2H−クロメン−4−カルバルデヒドを添加した。その混合物を24時間攪拌し、窒素流を用いて蒸発させた。その粗反応混合物を、メタノール(1)/DCM(19)を使用して小型シリカゲルカラムで精製した。純粋な画分をTLCによって同定し、回収し、蒸発させ、HPLCおよび質量分析法によって分析した。
質量スペクトル(エレクトロスプレー、ネガティブモード):[M−H]−=469
実施例8
PPARモジュレータ19(SN19、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ19(SN19、表II)の合成を説明するものである。
【0197】
100mg(0.31mmol)のラセミアセトニド量を、1mLのトルエンおよび10mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。その混合物に2当量(0.62mmol、103mg)の2,3−ジメトキシベンズアルデヒドを添加した。その混合物を24時間攪拌し、窒素流を用いて蒸発させた。その粗反応混合物を、メタノール(1)/DCM(19)を使用してシリカゲルカラムで精製した。純粋な画分をTLCによって同定し、回収し、蒸発させ、HPLCおよび質量分析法によって分析した。
HPLC:保持時間(勾配A):15.23、15.39分、95%(異性体の1:1混合物の合計)
質量スペクトル(エレクトロスプレー、ネガティブモード):[M−H]−=427.2
実施例9
PPARモジュレータ14(SN14、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ14(SN14、表II)の合成を説明するものである。
【0198】
室温でDCM(10mL)中のジオール(0.08g、0.27mmol)の攪拌溶液に、2,6−ジクロロベンズアルデヒド(0.07g、0.40mmol)およびpTSA(3mg)を添加した。その反応混合物を8時間攪拌し、トリエチルアミン(2〜3滴)でクエンチし、その後、真空下で濃縮した。残留物を、ヘキサン/EtOAc(8:2)で溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、アセタール(100mg、収率45%)を無色の油として得た。
1HNMR(200MHz,CDCl
3):δ7.55(d,1H,J=7.8Hz)、7.37−7.13(m,4H)、7.00(t,1H,J=7.8Hz)、6.87(d,1H,J=7.8Hz)、6.46(s,1H)、5.51−5.15(m,3H)、4.24−4.14(m,2H)、3.84(s,3H)、2.99−2.81(m,1H)、2.40−2.27(m,4H)、1.93−1,87(bd,1H,J=10.9Hz)、1.73−1.67(bd,1H,J=10.9Hz)。MS:450(M
+)
実施例10
PPARモジュレータ15(SN15、表II)の合成
この実施例は、スキーム3によるPPARモジュレータ15(SN15、表II)の合成を説明するものである。実施例1のスキーム2からの化合物2−12(100mg、0.31mmol)をTHF(5mL)に溶解し、触媒量のpTsOH(5mg)を室温で添加した。その反応混合物を室温で8時間、攪拌し続けた。2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンズアルデヒド(158mg、0.62mmol)をその反応素材に添加した;もう1度、触媒量のpTsOHを添加した。反応条件をさらに24時間維持した。反応完了後、乾燥Et
3Nを添加して、pH=7に調整した。真空下で溶媒を除去し、得られた粗製混合物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、最終生成物15を得た。
【0199】
【化23】
【0200】
【表3】
実施例11
PPARモジュレータ23(SN23、表II)の合成
この実施例は、スキーム4によるPPARモジュレータ23(SN23、表II)の合成を説明するものである。
【0201】
ウィッティヒ反応 10g(22.56mmol)のBrPPh
3(CH
2)
4CO
2H量を60mLの乾燥トルエン中の5.06g(45mmol)のKOtBuと混合した。その混合物を30分間、80℃に加熱し、放置して周囲温度に冷却した。10mLの無水THF中の1.26gのラセミラクトール量を添加し、その反応を2時間継続させた。処理は、スキーム2の2−8の調製についてのものと同様である。
収率:3.3g(粗製、次の段階でそのまま使用)。
【0202】
アセトニドの調製:前の段階で得られたジオールを、40mLのジメトキシプロパンに溶解した。25mgのp−TsOH量を添加し、その反応物を24時間攪拌した。1滴のトリエチルアミンを添加し、その混合物を蒸発させた。その粗製混合物を小さなシリカゲルカラムで濾過した。
収量:1.6g
アセトニドの脱メチル化 1.91mLのエタンチオール(25.83mmol)量を50mLのDMPUと混合した。51.7mmolのNaH(2.06g、油中60%分散物)量を添加し、その混合物を30分間、80℃に加熱した。その混合物を周囲温度に冷却した。7.5mLのDMPU中の1.5gのアセトニド(4.3mmol)の溶液を添加し、その混合物を2時間、125℃で攪拌した。その粗製混合物を氷水に注入し、2×50mLのDCMで抽出した。水性相を2NのHClで酸性化させ、その後、EtOAcで抽出し、最後にブラインで洗浄した。有機相を蒸発させて、1.6gのヒドロキシアセトニドを得た。
【0203】
2−クロロベンズアルデヒドとの反応 そのヒドロキシ−アセトニド(1.6g、粗製)を2mLの2−クロロベンズアルデヒド、8mLの無水トルエンおよび50mgのpTsOHと混合した。その混合物を24時間攪拌し、蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。
質量スペクトル(エレクトロスプレー、ネガティブモード):[M−H]−=415
実施例12
PPARモジュレータ17(SN17、表II)の合成
この実施例は、スキーム4によるPPARモジュレータ17(SN17、表II)の合成を説明するものである。
【0204】
100mg(0.31mmol)のラセミアセトニド量を、1mLのトルエンおよび10mgのp−トルエンスルホン酸と混合した。その混合物に2当量(0.62mmol、122mg)の4−フェニルアミノベンズアルデヒドを添加した。その混合物を24時間攪拌し、窒素流を用いて蒸発させた。その粗反応混合物を、メタノール(1)/DCM(19)を使用して小型シリカゲルカラムで精製した。純粋な画分をTLCによって同定し、回収し、蒸発させ、HPLCおよび質量分析法によって分析した。
【0205】
o−メトキシパラコン酸のメチルエステルの合成:a)乾燥DMF(150mL)中の酸(5g、21.18mmol)の攪拌溶液に、0℃で、K
2CO
3(29.2g、211.8mmol)、続いてヨウ化メチル(6.01g、42.3mmol)を添加し、その反応混合物を5時間、室温で攪拌した。その反応混合物を水(10mL)、DCM(30mL)で希釈し、有機層を分離した。水性層をDCM(2×15mL)で抽出し、併せた有機層をブライン(2×20mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、真空下で蒸発させてエステルを得た。これは、さらなる反応で使用するために十分純粋であった(収量:4.34g、81.9%)。
【0206】
b)乾燥エーテル(60mL)中の酸5(10g、42.3mmol)の攪拌溶液に、新たに調製したジアゾメタン溶液(200mL溶液、10gのニトロソメチルウレアから生成したもの)を0℃で添加し、30分間、室温で攪拌した。出発原料が完全に消失した後、エーテルを蒸発させてエステル6を得、それを精製せずにさらなる反応に使用した(収量:9.8g、98%)。黄色の粘稠油。
1H NMR(CDCl
3,200MHz):δ7.38−7.22(2H,m)、6.94−6.82(m,2H)、5.79(d,J=6.2Hz,1H)、3.36−3.24(m,1H)、2.9−2.8(m,2H)。
【0207】
実施例13
PPARモジュレータ34(SN34、表II)の合成
この実施例は、PPARモジュレータ34(SN34、表II)の合成を説明するものである。
【0208】
乾燥トルエン(2mL)中のジオール7(0.4g、1.36mmol)およびクロロベンズアルデヒドジメチルアセタール(0.28g、1.63mmol)の混合物を、一晩、触媒量のp−トルエンスルホン酸(〜5mg)の存在下、窒素雰囲気下で攪拌した。出発原料が完全に消失した後、その反応混合物を固体NaHCO
3で中和し、その反応混合物から溶液をデカントし、ロータリーエバポレータで濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製してベンジリデンアセタールを得た。
収量:0.31g(59%)
1HNMR(CDCl
3,200MHz):δ7.82(d,J=7.8Hz,1H)、7.42(d,J=7.8Hz,1H)、7.38−7.2(m,3H)、6.87(t,J=7.8Hz,1H)、6.82(d,J=8.6Hz,1H)、6.05(s,1H)、5.72(d,J=15.6Hz,1H)、5.45(d,J=2.3Hz,1H)、4.21(t,J=15.6Hz,2H)、4.1(q,J=7.0Hz,2H)、3.83(s,3H)、2.68−2.56(m,1H)、1.29(t,J=7.0Hz,3H)。
【0209】
THF:H
2O(4mL、3:1)中のこの化合物(0.2g、0.48mmol)の溶液に、LiOH・H
2O(0.3g、7.15mmol)、メタノール(0.5mL)を添加し、一晩、室温で攪拌した。その反応混合物をNaHSO
4の飽和水溶液で中和し、DCM(2×10mL)で抽出した。併せた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、rotavapourで蒸発させ、その粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。
収量:95mg(51%)
1HNMR(CDCl
3,200MHz):δ7.83(d,J=7.5Hz,1H)、7.32(m,1H)、7.2(t,J=7.5Hz,1H)、6.87(d,J=8.5Hz,1H)、6.9(t,J=7.5,6.6Hz,1H)、6.69(m,1H)、6.06(s,1H)、5.67(d,J=16.1Hz,1H)、5.42(s,1H)、4.18(dd,J=11.32Hz,2H)、3.84(s,3H)、2.58(m,1H)、2.09(m,2H)。MS:411(M+Na)
+。
【0210】
【化24】
実施例14
PPARモジュレータ25(SN25、表II)の合成
この実施例は、表IIのPPARモジュレータ25の合成を説明するものである。
【0211】
エタンチオール(0.7mL、9.5mmol)を、0〜5℃で乾燥DMF(8mL)中の(油中60%)NaH(0.38g、9.5mmol)の攪拌懸濁液に添加し、20〜30分間攪拌した。乾燥DMF(2mL)中の化合物4a−1(0.25g、0.95mmol)を、温度を維持しながら、上の混合物にゆっくりと滴下した。その反応素材温度を120〜130℃に上昇させ、6〜8時間維持した。反応完了後、その素材を0〜5℃に冷却し、1NのHCl(1mL)でそのpHを4〜5に調整することによってクエンチした。その化合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、水性層を分離した。併せた有機画分を回収し、ブライン、水で洗浄し、硫酸ナトリウム(2g)で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン、2.5:7.5で溶離)によって精製して、純粋な4a−2)を得た。
収量:155mg(65.6%)。
【0212】
化合物4a−2(0.15g、0.6mmol)を、8:2の比率のアセトンと水の混合物(10mL)に溶解した。上の混合物に、OsO
4(触媒量、0.05M)およびNMO(0.14g、1.2mmol)を添加し、室温で8〜10時間攪拌し続けた。反応の進行をTLCによってモニターした。反応完了後、それをNa
2S
2O
5飽和溶液(3mL)によってクエンチした。溶媒アセトンを真空下で除去し、化合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。併せた有機画分を回収し、ブライン、水で洗浄し、硫酸ナトリウム(2g)で乾燥させ、真空下で濃縮した。
【0213】
THF;H
2O(8:2、10mL)の混合物中のその粗生成物(スキームに描かれていないジオール)に、NaIO
4(0.27g、1.8mmol)を室温で添加し、1時間、攪拌し続けた。反応完了後、それをNa
2S
2O
5飽和溶液(3mL)によってクエンチした。化合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、水性層を分離した。併せた有機画分を回収し、ブライン、水で洗浄し、硫酸ナトリウム(2g)で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物4a−3をさらなる反応のために処理した。
【0214】
乾燥ベンゼン中の化合物4a−3の溶液(10mL)に、C2−ウィッティヒイリド(0.15g、0.42mmol)を添加した。その反応素材を不活性条件下で2〜3時間、室温で攪拌し続けた。過剰なベンゼンをロータリーエバポレータで除去し、このようにして得られた粗製化合物4a−5をカラムクロマトグラフィーによる精製に付した。(酢酸エチル:ヘキサン、0.5:9.5)。
収量:0.11g(95%)
1HNMR(CDCl
3,300MHz):δ8.1(s,1H)、7.2−7.1(t,J=6.1Hz,1H),6.85−6.6(m,4H)、5.8−5.69(d,J=15.7Hz,1H)、5.85(m,1H)、4.15−4.0(q,J=6.1Hz,8.74,3H)、3.80−3.70(d,J=8.7Hz,1H)、2.7−2.55(m,1H)、2.15−2.05(m,1H)、1.72−1.65(m,1H)、1.60−1.40(m,6H)、1.25−1.11(t,J=6.1Hz,3H)、[M+Na
+]=343.1。
【0215】
THF:H
2O(8:2、5mL)の混合物中の化合物4a−5(0.11g、0.34mmol)の溶液に、室温でLiOH・H
2O(0.1g、2.4mmol)を添加し、8〜10時間、攪拌し続けた。反応完了後、NaHSO
4飽和水溶液(1mL)でそのpHを4〜5に調整することによってクエンチした。その化合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、水性層を分離した。併せた有機画分を回収し、ブライン、水で洗浄し、硫酸ナトリウム(2g)で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物4a−6をさらなる反応のために処理した。
【0216】
化合物4a−6(85mg、0.29mmol)をTHFに溶解し、触媒量のpTSOHを室温で添加した。その反応混合物を室温で6〜8時間、攪拌し続けた。o−クロロベンズアルデヒド(81mg、0.58mmol)をその反応素材に添加し、もう1度、触媒量のpTSOHを添加した。反応条件をさらに5〜6時間維持した。反応完了後、pH=7に調整することにより乾燥Et
3Nを添加した。真空下で溶媒を除去し、得られた粗製混合物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、最終生成物25(表II)を得た。(酢酸エチル:ヘキサン;3.5:6.5)。
収量:35mg(32%)
上の化合物のHPLC純度は、79.2%であり、これを分取HPLCによってさらに精製して、純粋な化合物(純度98%、15mg)を得た。
1HNMR(CDCl
3,300MHz):δ7.85−7.69(d,J=7.1Hz,1H)、7.5−7.30(m,4H)、7.19−7.08(t,J=7.1Hz,1H),7.08−7.0(d,J=7.1Hz,1H)、6.99−6.70(m,2H)、6.05(s,1H)、5.95(s,1H)、5.9−5.75(d,J=15.7Hz,1H)、5.5(s,1H)、4.4−4.1(s,broad,2H)、2.4−2.1(m,4H)、2.9−2.7(m,1H)、2.35−2.19(d,J=7.1Hz,1H)、2.1−1.95(d,J=7.1Hz,1H)。[M
++H
+]=374.1。HPLC:98.93%(RT:4.12)
【0217】
【化25】
実施例15
PPARモジュレータ37(SN37、表II)の合成
この実施例は、スキーム5による表IIのPPARモジュレータ37の合成を説明するものである。
【0218】
スキーム5におけるマロン酸水素エチル5−2の調製:
室温でエタノール(100mL)中のマロン酸ジエチル(20g、0.125mol)の攪拌溶液に、時々冷却しながら、エタノール(30mL)中の85%KOH(7g、0.125mol)の溶液を添加した。20分後、その混合物を濃HClで酸性化し、濾過した。フィルターケーキ(KCl)をエタノール(50mL)で洗浄した。併せた濾液を濃縮し、残留液をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc:85:15)に付して1(14.7g、87%)を得た。
【0219】
1HNMR(CDCl
3):1.22(3H,t)、3.39(2H,s)、4.39−4.41(2H,q)。
【0220】
ケト−エステル5−4の調製
乾燥THF(100mL)中の14.34gのマグネシウムエトキシド(0.13mol)の懸濁液に、10.5gのマロン酸水素エチル1 5−2(0.08mol)を添加し、90分間、還流させた。その反応混合物を0℃に冷却し、乾燥THF(25mL)中の塩化2−メトキシベンゾイル5−3(14.59g;0.085mol)の溶液を、反応温度が5℃を超えないような速度で添加した。その反応混合物を室温で一晩攪拌し、2日間、放置した。塩化アンモニウムの飽和溶液を添加し、その反応混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。併せた有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させて生成物を油として得、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc:95:5)によって精製して、生成物(4.33g、収率25%)を得た。その生成物をスペクトルデータによって確認した。
1HNMR(CDCl
3):1.23(3H,t)、3.85(5H,s)、4.10−4.22(2H,q)、6.90−7.05(2H,m)、7.42−7.51(1H,m)、7.69−7.80(1H,d)。
【0221】
乾燥THF(40mL)中の水素化ナトリウム(60%、0.9g、0.08mol)の攪拌懸濁液に、アセチル化エステル(4.33g、0.019mol)を0〜10℃で滴下し、15分間攪拌した。臭化アリル5−5(2.30g、0.019mol)をその反応混合物に室温で添加し、その反応混合物を3〜4時間還流させた。反応混合物を冷却し、塩化アンモニウム溶液を添加し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(n−へキサン−EtOAc:95:5)によって精製して、5−6(2.5g、収率50%)を得た。
1HNMR(CDCl
3):1.15(3H,t)、2.61−2.72(2H,m)、3.90(3H,s)、4.05−4.11(2H,q)、4.30−4.33(1H,m)、4.92−5.10(2H,m)、5.78−5.81(1H,m)、6.92−7.15(2H,m)、7.40−7.49(1H,m)、7.71−7.75(1H,d)。
【0222】
ジオールの調製(5−7):
乾燥THF(15mL)中の水素化ホウ素リチウム(0.83g、0.038mol)の冷却懸濁液に、乾燥THF(25mL)中のアルキル化ケトエスエル5−6(2.5g、0.0095mol)の冷却溶液を、温度が10℃を超えないような速度で添加した。4〜5時間、室温で攪拌を継続し、その反応の進行をTLCによってモニターした。その反応混合物を、2NのHClの添加によってpH2に酸性化し、その反応混合物に水を添加し、EtOAc(3×25mL)で抽出した。併せた有機層をブライン、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させて、ジオール5−7のシスとトランスの反応混合物(2g、収率94%)を得、精製せずに次の段階に進めた。HPLC:シス 77.318%、保持時間 20.244分;トランス 22.682%、保持時間 22.337分。(HPLC条件は、そのクロマトグラムにおいてで述べる)。
【0223】
アセトニド5−10の調製:
ジオール5−7(2g、0.009mol)、2,2−ジメチルプロパン(15mL、0.12mol)、触媒量のpTSA(10mg)の溶液を室温で4〜5時間攪拌し、その反応の進行をTLCによってモニターした。その反応混合物をEt
3Nで中和した。過剰なDMPを真空下で除去し、その油性シス−トランス混合物をカラムクロマトグラフィーによって分離して、5−10(0.925g、収率40%)を得た。
1HNMR(CDCl
3):1.51(3H,s)、1.53(3H,s)、1.62−1.80(2H,m)、2.25−2.41(1H,m)、3.75−3.85(1H,m)、3.82(3H,s)、4.08−4.11(1H,m)、4.85−4.96(2H,m)、5.35(1H,d,J=2.3)、5.41−5.62(1H,m)、6.75−6.81(1H,d)、6.90−6.97(1H,m)、7.15−7.25(1H,m)、7.33−7.41(1H,m)。
【0224】
1,3−ジオキサンアルデヒドの調製(オゾン分解)5−11:
−78℃で乾燥DCM(10mL)中のアセトニド5−10(0.93g、0.004mol)の溶液に、永久に青色になるまで、O
3を通した。その反応混合物を、その青色が消えるまで、0℃で攪拌した。DCM(5mL)中のTPP(1.1g、0.0043mol)の溶液を0℃でその無色溶液に添加し、その反応混合物を室温に温め、1時間攪拌した。その反応混合物の進行をTLCによってモニターした。溶媒を除去し、生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、アルデヒド5−11(0.5g、収率54%)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ1.50(3H,s)、1.54(3H,s)、2.23(1H,dd)、2.44(1H,m)、2.75−2.80(1H,m)、3.65(1H,dd)、3.81(3H,s)、4.21−4.22(1H,dd)、5.39(1H,d,J=2.2Hz)、6.90(1H,d)、6.95−6.97(1H,t)、7.18−7.21(1H,m)、7.39−7.40(1H,d)、9.45(1H,s)。
IR(cm
−1):2992、2933、2720、1723、1595、1491、1462、1379、1239および1197。
【0225】
ウィッティヒ塩5−12の調製:
乾燥アセトニトリル(50mL)中の6−ブロモヘキサン酸(3g、0.0512mol)およびトリフェニルホスフィン(4.8g、0.018mol)の溶液を20〜24時間還流させ、過剰な溶媒を減圧下で除去して、無色の油を得、それを乾燥ベンゼンで研和し、乾燥ベンゼンおよびエーテルで順次洗浄した(それぞれ3回)。この洗浄手順中に材料が晶出し、それを減圧下で乾燥させてウィッティヒ塩を白色の微晶質粉末として得た(3.6g、収率55%)。
【0226】
2,4−置換(1,3−ジオキサン−5−イル)カルボン酸(SN37、表II)(ウィッティヒ生成物)5−13の調製:
乾燥THF(5mL)中の水素化ナトリウム(60%、0.364g、0.0152mol)の溶液を、N
2雰囲気下、0℃で乾燥THF(10mL)中のウィッティヒ塩5−12(0.95g、0.002mol)の攪拌懸濁液に添加した。その混合物を30分間攪拌した。その後、アルデヒド5−11(0.5g、0.0019mol)の溶液を添加した。その反応を攪拌しながら36時間継続した。反応完了後、水を添加し、溶媒を減圧下で除去した。その水溶液を酢酸エチルで洗浄し、5%HClでpH2に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。併せた有機抽出物を飽和ブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、蒸発させた。得られた油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル−75:25)によって精製して、ウィッティヒ生成物5−13(0.2g、収率35%)を得た。
1HNMR(CDCl
3):δ1.49(3H,s)、1.51(3H,s)、1.40−1.49(4H,m)、1.55−1.95(4H,m)、2.22−2.48(3H,m)、3.70−3.75(1H,m)、3.80(3H,s)、4.05−4.15(1H,m)、5.12−5.42(2H,m)、5.35(1H,d,J=2.30Hz)、6.75−6.80(1H,d)、6.92−6.99(1H,t)、7.21−7.25(1H,m)、7.40−7.47(1H,d)。
LC/MS:純度91%、およびMW:385(M+Na)。
【0227】
実施例16
PPARモジュレータ36(SN36、表II)の合成
この実施例は、表IIのPPARモジュレータ36(2,2−ジメチル−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル−カルボン酸)(5−15)の合成(メトキシ基の脱保護)を説明するものである:
エタンチオール(0.13g、0.00203mol)を、0℃、N
2雰囲気下で、DMPU(5mL)中の水素化ナトリウム(60%、1g、0.004167mol)の攪拌懸濁液に添加した。30分後、DMPU中の化合物5−13(0.00055mol)の溶液を添加した。その混合物を2〜3時間、120℃で加熱し、冷却し、氷水に注入し、その水性混合物をDCMで洗浄した。水性層を5%HClでpH5に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。併せた有機抽出物を飽和ブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させた。得られた油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル−75:25)によって精製して、ウィッティヒ生成物5−15(0.6g、収率66%)を得た。
1HNMR(CDCl
3):1.51(3H,s)、1.53(3H,s)、1.22−1.34(4H,m)、1.52−2.00(4H,m)、2.21−2.34(2H,t)、2.53−2.69(1H,m)、3.79−4.11(2H,m)、5.15−5.40(2H,m)、5.38−5.40(1H,d,J=2.40)、6.70−6.95(3H,m)、7.05−7.15(1H,m)、8.20−8.30(1H,br)。LC/MS:純度99%、およびMW:371(M+Na)。
【0228】
実施例17
PPARモジュレータ35(SN35、表II)の合成
この実施例は、表IIのPPARモジュレータ35(Z)−8−(2−(2−クロロフェニル)−4−(2−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)オクタ−6−エン酸−(5−20 スキーム5)の合成を説明するものである:
2−クロロベンズアルデヒド(50.48mg、0.359mmol)、pTSA(触媒量、5mg)およびアセトニド化合物5−15(130mg、0.359mmol)の混合物を4mLの乾燥トルエン中で24時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc:80:20)に付して、生成物5−20(55mg、収率34.3%)を得た。
1HNMR(CDCl
3,δ):1.21−2.03(8H,m);2.25(2H,t,J=7.554Hz);2.28(1H,m);3.83(3H,s);4.16(2H,m);5.13−5.38(2H,m);5.41(1H,d,J=2.266Hz);6.03(1H,s);6.81(1H,d,J=7.554Hz);6.93(1H,t,J=7.55Hz);7.14−7.36(4H,m);7.43(1H,t,J=6.043Hz);7.82(1H,d,J=7.554Hz)。LC−MS:純度89.19%(71.05+18.14、2つのジアステレオマー)およびMW 462(M+18)。
【0229】
実施例18
PPARモジュレータ38(SN38、表II)の合成
この実施例は、表IIのPPARモジュレータ38 8−(2−(2−クロロフェニル)−4−(2−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−yl)オクタン酸(5−21)の合成を説明するものである:
5mLの乾燥酢酸エチル中のオレフィン化合物5−13(150mg、0.414mmol)の溶液に、10mol%の10%Pd−C(44mg)を注意深く添加した。その反応混合物をH
2雰囲気下で1.5〜2時間攪拌させておいた。反応完了後、その混合物をセライトによって濾過し、ケーキ(Pd−C)を乾燥酢酸エチル(2×5mL)で洗浄した。併せた濾液を濃縮し、残留液をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc:80:20)に付して、生成物5−21(SN38)(80mg、収率53.05%)を得た。
1HNMR(CDCl
3,δ):1.06−1.60(12H,m);1.46(3H,s);1.53(3H,s);1.67(1H,m);2.25(2H,t,J=7.554Hz);3.76(1H,d,J=10.009Hz);3.81(3H,s);4.15(1H,d,J=8.687Hz);5.32(1H,d,J=2.455Hz);6.77(1H,d,J=7.365Hz);6.92(1H,t,J=7.554Hz);7.16(1H,t,J=6.043Hz);7.38(1H,d,J=5.854Hz)。
【0230】
2−クロロベンズアルデヒド(34.25mg、0.247mmol)、p−TSA(触媒量、3mg)およびアセトニド化合物12 5−21(80mg、0.34mmol)の混合物を3mLの乾燥トルエン中で24時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc:80:20)に付して、生成物5−22(50mg、収率45%)を得た。
1HNMR(CDCl
3,δ):1.08−1.92(13H,m);2.26(2H,t,J=7.554Hz);3.83(3H,s);4.20(2H,m);5.36(1H,d,J=2.266Hz);6.02(1H,s);6.81(1H,d,J=7.554Hz);6.92(1H,t,J=7.554Hz);7.15−7.36(4H,m);7.42(1H,t,J=7.554Hz);7.81(1H,d,J=7.554Hz)。
LC−MS:純度87.53%、およびMW 464(M+18)。
【0231】
実施例19
PPARモジュレータ24(SN24、表II)の合成
この実施例は、表IIのPPARモジュレータ24 f (Z)−8−(2−(2−クロロフェニル)−4−(2−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−yl)オクタ−6−エン酸(5−17)の合成を説明するものである。
【0232】
2−クロロベンズアルデヒド(48.47mg、0.344mmol)、p−TSA(触媒量、5mg)およびアセトニド化合物(120mg、0.344mmol)の混合物を4mLの乾燥トルエン中で24時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc:80:20)に付して、生成物5−17(40mg、収率27%)を得た。
1HNMR(CDCl
3,δ):1.13−2.80(11H,m);4.10−4.37(2H,m);5.17−5.41(2H,m);5.44(1H,d,J=2.340Hz);6.00(1H,s);6.74−7.74(8H,m)。
LC−MS:純度は、94.43%(2つのジアステレオマー、それぞれ、80.12+14.31)であり、MWは、448(M+18)である。
【0233】
実施例20
PPARモジュレータ31(SN31、表II)の合成
この実施例は、表IIのPPARモジュレータ31 8−(2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)オクタン酸(5−19)の合成を説明するものである。
【0234】
3mLの乾燥酢酸エチル中のオレフィン5−15(60mg、0.172mmol)の溶液に、10mol%(19mg、0.0172mmol)の10%Pd−Cを添加した。その反応混合物をH
2雰囲気下で8時間、攪拌させておいた。反応が完了した後、その混合物をセライトによって濾過し、ケーク(Pd−C)を乾燥酢酸エチル(2×5mL)で洗浄した。併せた濾液を濃縮し、残留液をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc:80:20)に付して、生成物5−18(40mg、収率66%)を得た。
1HNMR(CDCl
3,δ):1.05−1.88(13H,m);1.54(3H,s);1.58(3H,s);2.29(2H,t,J=7.031Hz);3.86(1H,d,J=11.719Hz);4.15(1H,d,J=12.5Hz);5.36(1H,d,J=2.344Hz);6.82(3H,m);7.12(1H,m);8.32(1H,broad)。
【0235】
2−クロロベンズアルデヒド(16mg、0.144mmol)、p−TSA(触媒量、3mg)およびアセトニド化合物5−18(40mg、0.114mmol)の混合物を3mLの乾燥トルエン中で24時間攪拌した。減圧下で溶媒を蒸発させ、混合物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc:80:20)に付して、生成物5−19(20mg、収率40%)を得た。
1HNMR(CDCl
3,δ):1.07−2.35(13H,m);2.98(2H,t,J=7.554Hz);3.65−4.41(2H,m);4.62(1H,d,J=10.575Hz);5.90(1H,s);6.77−7.66(8H,m)。
LC−MS:純度85%、およびMW 450(M+18)。
【0236】
【化26】
実施例21
PPARモジュレータ32(SN32、表II)の合成
この実施例は、表IIのPPARモジュレータ32の合成を説明するものである。
【0237】
乾燥THF(10mL)中のアルケン6−10(前の5−10で説明)(1.2g、4.5mmol)の溶液に、0℃でBH
3・DMS(0.34g、4.5)を添加し、その反応混合物を2時間、同じ温度で攪拌した。この混合物に、0℃で3NのNaOH(3mL)および30%H
2O
2(1mL)を添加し、もう1時間、室温で攪拌し続けた。その反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。併せた有機層を真空下で蒸発させ、その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン;2:8)で精製した。
収量:0.9g(70%)
1HNMR(CDCl
3,200MHz):δ7.51−7.45(d,J=6.4Hz,1H)、7.3−7.2(t,J=7.1Hz,1H)、7.05−6.95(t,J=7.1Hz,1H)、6.9−6.82(d,J=7.1Hz,1H)、5.5−5.4(s1H)、4.25−4.19(d,J=9.6Hz,1H)、3.92−3.78(m,4H)、3.53−3.40(t,J=7.1Hz,2H)、1.85−1.70(m,1H),1.51(d,J=11.3Hz,6H)、1.32−1.0(m,4H)。
【0238】
6−12の調製:IBX(0.525g、1.87mmol)を乾燥DMSO(1mL)に溶解し、10分間、室温で攪拌し、0℃に冷却した。これに、窒素雰囲気下で乾燥HTF(9mL)中のアルコール6(0.35g、1.25mmol)を添加し、1.5時間、室温で攪拌した。その反応混合物をエーテル(10mL)で希釈し、20分間攪拌し、濾過した。濾液を水(2×10mL)で洗浄し、エーテル層を乾燥させ(Na
2SO
4)、ロータリーエバポレータで濃縮した。その生成物をフィルターカラム(酢酸エチル:ヘキサン;2:8)によって精製してアルデヒド6−12を得た。
収量:300mg(収率86.4%)。
1HNMR(CDCl
3,200MHz):δ9.59(s,1H)、7.54−7.48(d,J=6.4Hz,1H)、7.28−7.20(t,J=6.4Hz,1H)、7.08−6.95(t,J=6.4Hz,1H)、6.90−6.82(d,J=6.4Hz,1H)、5.42(s,1H)、4.26−4.21(d,J=9.6Hz,1H)、3.81(s,3H)、3.80−3.75(d,J=9.6Hz,1H)、2.4−1.7(m,3H)、1.51(s,6H)、1.45−1.40(m,2H)。
【0239】
6−14の調製:臭化(3−カルボキシプロピル)トリフェニルホスホニウムを真空下、100℃で2〜3時間乾燥させた。乾燥トルエン(10mL)中の臭化(3−カルボキシプロピル)トリフェニルホスホニウム(1.47g、3.43mmol)の攪拌溶液に、カリウムt−ブトキシド(0.774g、6.89mmol)を室温、不活性条件下で少しずつ添加した。その混合物を80℃に加熱し、温度を30〜40分間維持した。反応素材を50℃に冷却し、乾燥THF(2mL)中のアルデヒド(化合物6−12)(0.3g、1.07mmol)を上の混合物に滴下した。その反応の進行をTLCによってモニターした。反応完了後、その素材を0〜5℃に冷却し、1NのHCl(1mL)でそのpHを4〜5に調整することによってクエンチした。その化合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、水性層を分離した。併せた有機画分を回収し、硫酸ナトリウム(2g)で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン;2:8)によって精製して、純粋な化合物6−14を得た。
収量:325mg(86%)。
【0240】
1HNMR(CDCl
3,300MHz):δ7.45−7.4(d,J=7.1Hz,1H)、7.25−7.10(t,J=7.1,1H)、6.95−6.85(t,J=7.1Hz,1H)、6.80−6.70(d,J=7.1Hz,1H)、5.40−5.30(s,1H)、5.25−5.10(m,2H)、4.2−4.1(d,J=14.3Hz,1H)、3.85−3.8(d,J=14.3Hz,1H)、3.75(s,3H)、2.35−2.05(m,4H)、1.75−1.5(m,3H)、1.50−1.45(d,J=11.4Hz,6H)、0.85−0.75(m,2H)。
MW:371.1(M
++Na)。
【0241】
6−16の調製:エタンチオール(0.44g、7.17mmol)を、0〜5℃で乾燥DMF(10mL)中の60%NaH(0.287g、7.17mmol)の攪拌懸濁液に添加し、20〜30分間攪拌した。乾燥DMF(2mL)中の化合物6−14(0.25g、0.71mmol)を、温度を維持しながら、上の混合物にゆっくりと滴下した。その反応素材温度を120〜130℃に上昇させ、6〜8時間維持した。反応完了後、その素材を0〜5℃に冷却し、1NのHCl(1mL)でそのpHを4〜5に調整することによってクエンチした。その化合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、水性層を分離した。併せた有機画分を回収し、ブライン、水で洗浄し、硫酸ナトリウム(2g)で乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン;2.5:7.5)によって精製して、純粋な化合物6−16を得た。
収量:155mg(65%)。
【0242】
化合物6−16(130mg、0.38mmol)をTHF(8mL)に溶解し、触媒量のpTsOHを室温で添加した。その反応混合物を室温で6〜8時間、攪拌し続けた。o−クロロベンズアルデヒド(109mg、0.77mmol)をその反応素材に添加し、もう1度、触媒量のpTsOHを添加した。反応条件をさらに5〜6時間維持した。反応完了後、pH=7に調整することにより乾燥Et
3Nを添加した。真空下で溶媒を除去し、得られた粗製混合物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン;3.5:6.5)によって精製して、最終生成物SN32(表II)6−19を得た。
収量:65mg(40%)
カラムクロマトグラフィー後のHPLC純度は、より近い不純物を伴う80.3%であった。これを分取HPLCによってさらに精製して、92.4%のHPLC純度の化合物を得た(20mg得られた)。
1HNMR(CDCl
3,200MHz):δ7.7−7.6(d,J=6.4Hz,1H)、7.35−7.20(m,3H)、7.10−7.0(s,1H)、6.99−6.90(d,J=6.4Hz,1H)、6.80−6.60(m,2H)、5.95(s,1H)、5.85−5.80(s,1H)、5.25−5.10(brs,2H)、4.27−4.05(dd,J=6.4,9.6Hz,2H)、2.4−2.1(m,4H)、2.0−1.65(m,3H)、1.29−1.1(m,2H)。
MW:415.1(M
+−H)。
HPLC純度:92%。さらなる類似体を次のとおり合成した:化合物6−14(90mg、0.25mmol)をTHF:0.2N HClの混合物(10mL、9:1)に溶解し、2時間、室温で攪拌した。反応完了後、その混合物を酢酸エチル(2×10mL)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥させ、ロータリーエバポレータで蒸発させて、68mgの粗生成物を得、それを精製せずにさらなる反応に利用した。
【0243】
上の粗製化合物(68mg、0.22mmol)を乾燥THF中に溶解し、この混合物に室温で2−クロロベンズアルデヒド(61mg、0.44mmol)および触媒量のpTSA(〜4mg)を添加した。その反応混合物を5時間、同じ温度、窒素雰囲気下で攪拌した。出発原料が消失した後、その混合物を乾燥トリエチルアミンで(そのpHを7に調整することによって)中和し、溶媒を蒸発させた。その粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中25%の酢酸エチル)によって精製して、化合物6−18を得た。
収量:32mg(34%)。
1HNMR(CDCl
3,300MHz):δ7.9−7.8(d,J=7.1Hz,1H)、7.45−7.15(m,5H)、6.95−6.87(t,J=7.0Hz,1H)、6.85−6.77(d,J=7.2Hz,1H)、6.05(s,1H)、5.36(s,1H)、5.25(brs,2H)、4.2(2,2H)、3.85(s,3H)、2.35−2.1(m,4H)、2.05−1.82(m,3H)、1.3−1.1(m,2H)。
MW:429.1(M
+−H)。
HPLC純度:98%。
【0244】
実施例22
PPARガンマトランス活性化アッセイ
細胞培養、プラスミドおよびトランスフェクション
これは、PPARガンマ調節活性を判定するためのトランス活性化アッセイの例である
これらのアッセイでは、Gal4−PPARガンマLBD(Helledieら、2000)、UASx4−TK luc(Chen and Evans,1995)およびCMV−ベータ−ガラクトシダーゼ(市販、例えばClontech)を使用して、PPARガンマトランス活性化を証明した。UASx4−TK−lucレポーター構築物(この場合、UASは、「上流アクチベータ配列」を指す)は、4つのGal4反応性要素を含有する。プラスミドGal4−PPARガンマLBDは、UASに結合することによってUASx4−TK−lucレポータープラスミドをトランス活性化することができる、Gal4−DBD−PPARガンマ−LBD融合タンパク質(すなわち、PPARガンマのリガンド結合ドメイン、LBD、に融合したGal4のDNA結合ドメイン、DBD)をコードする。CMV−ベータ−ガラクトシダーゼプラスミド(この場合、CMVは、サイトメガロウイルスである)を実験値の正規化のために使用する。
【0245】
7.5% Aminomax supplement C−100(Gibco)、7.5%ウシ胎仔血清(FBS)、2mMのグルタミン、62.5μg/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを補足したAminoMax基礎培地(Gibco)(成長培地)においてマウス胚性線維芽細胞(MEF)を成長させた。あるいは、10%ウシ血清(CS)、62.5μg/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを補足したDMEM(成長培地)においてME3細胞(Hansenら、1999)を成長させた。それらの細胞を、一般には24ウエルプレートに置き換えて、トランスフェクション時に細胞が50〜70%の集密度になるようにした。
【0246】
Lipofectamin Plus(Invtrogen)またはMetaffectane(Biontex)を製造業者の説示に従って使用して、Gal4−PPARガンマLBD(Helledieら、2000)、UASx4−TK luc(Chen and Evans,1995)およびCMV−ベータ−ガラクトシダーゼ(市販、例えばClontech)でそれらの細胞をトランスフェクトした。簡単に言うと、24ウエルプレートにおいて、1ウエルごとに、30μLのDMEM(血清および抗生物質がないもの)中のUASx4TKluc(0.2μg)、Gal4−PPARガンマLBD(またはpM−hPPARガンマ−LBD;0.1μg)およびCMV−ベータ−ガラクトシダーゼ(0.05μg)を、1μLのメタフェクテネインを含有する30μLのDMEM(血清および抗生物質がないもの)と混合する。その混合物を室温で20分間インキュベートして、核酸−脂質複合体を形成させ、その後、およそ60μLを、50〜60%の集密度で細胞が入っているそれぞれのウエルに添加する。その後、それらの細胞を37℃でCO
2インキュベータにおいて6から12時間インキュベートし、その後、その培地を、抗生物質および関心のある物質(例えば、本明細書ではDPDと呼ぶ4−(Z)−6−(2−o−クロロフェニル−4−o−ヒドロキシフェニル−1,3−ジオキサン−シス−5−イル)へキサン酸、または陽性対照としてロシグリタゾン(Avandia)、これらはすべて、DMSOに溶解したもの)を補足した培地または匹敵する容積のDMSO(全細胞培養容積の0.5%未満)で置換する。DPDは市販されており、または実施例1に従って合成することができる。12〜24時間後に細胞を回収し、標準的なプロトコルに従って、ルシフェラーゼおよびベータ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。
【0247】
PPARトランス活性化は、DMSOのみでより、ロシグリタゾン(公知PPARガンマアゴニスト)を伴うもののほうが40倍高く、10μMの4−(Z)−6−(2−o−クロロフェニル−4−o−ヒドロキシフェニル−1,3−ジオキサン−シス−5−イル)へキサン酸を伴うもののほうが約10倍高かった(
図2における「DPD」を参照のこと)。従って、4−(Z)−6−(2−o−クロロフェニル−4−o−ヒドロキシフェニル−1,3−ジオキサン−シス−5−イル)へキサン酸は、PPARガンマアゴニストである。
【0248】
予備試験の結果は、キラルHPLCによって精製したDPDエナンチオマーのいずれの間にもPPARガンマトランス活性化活性に差がないことを示した。しかし、その後の分析は、有意な差を示した(本明細書における下の実施例32を参照のこと)。例えば、一方のエナンチオマーは、PPARγに結合しないことが判明したが、他方は、4.9から12μMの範囲のIC
50でPPARγに結合する。
【0249】
表IIは、DPD(SN1)の様々な類似体で得られた結果をまとめ、それらの活性を比較するものである。「P」は、10μMのDPD(表II中のSN1)と比較した10μMでの同様のPPARγ活性化活性を表し、「P−」は、10μMのDPDと比較した試験した物質の30μMでの同じ活性レベル(すなわち、より少ない効力)を表し;「P+」は、「P」より大きな活性レベル、および10μMのDPDに匹敵する3μMでの活性レベル(すなわち、より大きな効力)を表し;「P++」は、3μMでは10μMのDPDのものより高いが、1μMでは10μMのDPDのものより低い活性レベルを表し;ならびに「P+++」は、10μMのDPDに匹敵する1μMでの活性レベルを表す。「−」は、試験を行わなかったことを意味する。
【0250】
このアッセイを、本質的には上で説明したとおりに、しかし、PPARガンマリガンド結合ドメインでではなく完全長ヒトPPARガンマで行ったとき、完全長hPPARg2の活性化がAvandia陽性対照の64%に見られた(
図3)。
【0251】
実施例23
PPARデルタトランス活性化アッセイ
この実施例は、PPARデルタ調節活性を判定するためのトランス活性化アッセイを説明するものである。
【0252】
DPDおよび他のリガンドを、本質的には実施例22に記載したとおりに、PPARデルタをトランス活性化するそれらの能力について試験する。しかし、このトランス活性化構築物は、mPPARデルタLBDであり、この場合、PPARデルタリガンド結合ドメインをPPARガンマのものの代わりに用い、L165041(市販)をロシグリタゾンの代わりに選択的PPARデルタアゴニストとして用いる。用いる条件下で、L165041は、PPARデルタトランス活性化を50倍より大きく増加させることが明らかになり、これに対して、DPDは、結果として、トランス活性化をまったくまたは殆ど生じさせなかった(
図2参照)。従って、DPDは、PPARガンマに対する選択性を示す。
【0253】
このアッセイを本質的には上で説明したとおりに、しかし、PPARデルタリガンド結合ドメインでではなく完全長ヒトPPARデルタで行ったとき(完全長hPPARデルタの活性化)、活性化は観察されなかった(
図4)。これは、PPARガンマに対するDPDの選択性を裏付ける。
【0254】
実施例24
PPARアルファトランス活性化アッセイ
この実施例は、PPARアルファ調節活性を判定するためのトランス活性化アッセイを説明するものである。
【0255】
DPDおよび他のリガンドを、本質的には実施例22において説明したとおりに、PPARアルファをトランス活性化するそれらの能力について試験した。しかし、このトランス活性化構築物は、mPPARアルファLBDであり、この場合、PPARアルファリガンド結合ドメインをPPARガンマのものの代わりに用い、GW7647(市販)をロシグリタゾンの代わりに選択的PPARアルファアゴニストとして使用する。用いた条件下で、GW7647は、PPARアルファトランス活性化を2倍より大きく増加させることが明らかになり、これに対して、DPDは、結果として、トランス活性化を全く生じさせなかった(
図2参照)。従って、DPDは、PPARガンマに対する選択性を示す。
【0256】
実施例25
RXRトランス活性化アッセイ
この実施例は、レチノイン酸X受容体トランス活性化アッセイを説明するものである。
【0257】
化合物を、本質的には実施例22において説明したとおりに、RXRをトランス活性化するそれらの能力について試験した。しかし、このトランス活性化構築物は、hRXRαLBDであり、この場合、RXRリガンド結合ドメインをPPARガンマのものの代わりに用い、{4−[1−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)エテニル]安息香酸}(LG1069、市販)をロシグリタゾンの代わりに選択的RXRゴニストとして使用する。用いた条件下で、LG1069は、RXRトランス活性化を5倍より大きく増加させることが明らかになり、これに対して、DPDは、結果として、トランス活性化を全く生じさせなかった(
図2参照)。従って、DPDは、また、PPARガンマに対する選択性を示す。
【0258】
実施例26
脂肪細胞分化アッセイ
この実施例は、脂肪細胞分化を判定するためのアッセイを説明するものである。化合物を、それらが脂肪細胞分化を誘導するかどうか判断するために、およびまた、それらが脂肪細胞分化を阻害するかどうかを判断するために試験する。
【0259】
細胞培養および分化
7.5% Aminomax supplement C−100(Gibco)、7.5%ウシ胎仔血清(FBS)、2mMのグルタミン、62.5μg/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを補足したAminoMax基礎培地(Gibco)(成長培地)においてMEFを成長させた。集密時、1μMのデキサメタゾン(Sigma)、0.5mMのイソブチルメチルキサンチン(Sigma)、5μg/mLのインスリン(Sigma)、およびDMSOに溶解した10μMの試験化合物またはDMSOのみを添加した成長培地において、MEFは成長培地の分化を誘導した。その後、48時間毎に、培地を、5μg/mLのインスリンおよびリガンドまたはDMSOを補足した成長培地と取り替えた。
【0260】
簡単に言うと、化合物を脂肪細胞の誘導剤として試験するために、一般に24ウエル皿において、10%ウシ血清(CS)を含有するDMEM中で3T3−L1を集密に達するまで成長させる。集密に達した2日後(第0日)、10%ウシ胎仔血清(FBS)、1μMのデキサメタゾンおよび試験化合物(0.1、1および10μM)を補足したDMEMで細胞の分化を誘導する。BRL49653(100%DMSOに溶解した1.0μM)を陽性対照として使用する。48時間後、試験化合物または陽性対照を補足した10%FBSを含有するDMEMをそれらの細胞に再び供給する。第4日から、10%FBSを含有するDMEM中で細胞を成長させ、第8日まで1日おきに交換する。第8日に細胞を下で説明するようにOil Red Oで染色する。
【0261】
試験化合物を脂肪細胞分化の阻害剤として試験するために、3T3−L1細胞を、集密に達した2日後(第0日と指定する)まで、上のとおり成長させ、その後、10%ウシ胎仔血清(FBS)、1μMのデキサメタゾン(Sigma)、0.5mMのメチルイソブチルキサンチン(Sigma)、1μg/mLのインスリン(Roche Molecular Biochemidals)および試験化合物を含有するDMEMで細胞の分化を誘導する。試験化合物の溶媒の存在下で分化を誘導する細胞を陽性対照として使用する。48時間後、試験化合物または陽性対照を補足した10%FBSを含有するDMEMをそれらの細胞に再び供給する。第4日から、10%FBSを含有するDMEM中で細胞を成長させ、第8日まで1日おきに交換する。第8日に細胞を下で説明するようにOil Red Oで染色する。
【0262】
Oil Red O染色
上で説明したように培養した細胞をOil Red染色に使用する。皿をPBS中で洗浄し、細胞を3.7%パラホルムアルデヒド中で1時間固定し、(Hansenら、1999)に記載されているようにOil Red Oで染色する。Oil Red O溶液原液は、100mLのイソプロパノールに0.5gのOil Red O(Sigma)を溶解することによって調製する。Oil Red O作業溶液は、原液を水で希釈し(6:4)、その後、濾過することによって調製する。
【0263】
誘導アッセイにおいて、DPDは、ほとんど赤色染色を誘導しなかった。赤色染色は、脂肪細胞の存在の指標であるので、DPDは、脂肪細胞分化を誘導しないと推断することができる。しかし、DPDは、脂肪細胞分化の阻害に関して有意な効果を示さないので、脂肪細胞を阻害しない。表IIは、DPD(SN1)の異なる類似体で得られた結果をまとめたものであり、「0」は、DPDに類似した結果を表し、「−1」は、もっと少ない脂肪細胞分化を表し、「+1」は、より多い脂肪細胞分化を表し(両方とも、DPDを基準にして)、および「−」は、アッセイしなかったことを意味する。
【0264】
本質的には上で説明したとおりに、しかし、ヒト前駆脂肪細胞を使用して行ったアッセイも、DPDがDMSOと同様に殆んど赤色染色を誘導しないことを明示した。
【0265】
実施例27
完全アゴニストに対する部分アゴニストの同定
この実施例は、医薬として特に望ましい部分PPARアゴニストを判定するためのアッセイを説明するものである。
【0266】
簡単に言うと、本質的には実施例22において説明したとおりに、しかし、100nMのAvandia(完全アゴニスト)を漸増濃度の試験化合物(または対照として試験化合物なし)と共にそれぞれのウエルに添加して、トランス活性化アッセイを行う。Avandiaによるトランス活性化を減少させる化合物がPPAR部分アゴニストである。結果を
図5に示す。
【0267】
この実施例では、PPARガンマ部分アゴニストを、PPARガンマへの結合から公知PPARガンマアゴニスト、例えばこの場合はAvandia、をはずすそれらの能力によって同定する。あるいは、本質的には実施例2において説明したようなトランス活性化アッセイを用いてPPARデルタの部分アゴニストを同定するために、他の公知完全アゴニスト、例えば、300nMのL165041を使用することができる。
【0268】
実施例28
部分PPARガンマアゴニストリガンド置換アッセイ
PPARガンマリガンド結合ポケットへの結合を分析するために、以下のようなInvtrogen POLARSCREEN PPAR 競合アッセイを用いて部分PPARガンマアゴニストを同定するためのさらなるアッセイを行う。
【0269】
1.20マイクロリットルの2X試験化合物をキュベットに分取する
2.20マイクロリットルの2X PPAR−LBD/Fluormone Green Complexを添加し、混合する
3.暗所で2時間、インキュベートする
4.蛍光偏光値を測定する
5.対照として、ロシグリタゾン(Avandia)を使用する
AVANDIAを基準にしてDPDでの結果を
図6に示す。
【0270】
実施例29
グルコース取込みアッセイ
この実施例は、PPARガンマアゴニストとして同定された化合物が、細胞アッセイにおいてPPARガンマアゴニストの予想される生理作用、すなわち、グルコース取込みに対する作用、も誘導することを例証するものである。グルコース取込みアッセイは、インスリン抵抗性の治療のための化合物の適性を確立するために重要である。
【0271】
簡単に言うと、3T3−L1前駆脂肪細胞を12ウエルプレートにおいて集密に達するまで成長させる。細胞を無血清DMEMで洗浄し、1mLの同培地と共に37℃で1〜2時間インキュベートする。その後、それらの細胞をKrebs−Ringer−Hepes(KRP)バッファで洗浄し、その後、0.9mLのKRPバッファと共に37℃で30分間インキュベートする。インスリンをそれらの細胞に0、0.3、1および3nMの最終濃度で添加し、15分間、37℃でインキュベートする。10mMの[
3H]2−デオキシ−D−グルコース(1mCi/L)を補足した0.1mLのKrebs−Ringer−phosphate(KRP)バッファの添加によって、グルコース取込みを開始させる。37℃での10分のインキュベーション後、培地を吸引し、プレートを氷冷PBSで洗浄して、その誘導したグルコース取込みを停止させる。細胞を0.5mLの1%Triton X−100で溶解し、シンチレーションカウンタを用いて放射活性レベルを判定する。結果を
図7に示す。
【0272】
要約すると、DPDおよび表IIに引用する多数の類似体は、PPARガンマアゴニストであることが立証されたが、物質10は、PPARガンマアンタゴニストであると思われる。物質7および13は、特に興味深い類似体である。これらは、低水準の脂肪細胞分化を生じさせるまたは脂肪細胞分化を全く生じさせずに、より高い効力を示すからである。
【0273】
【表2-1】
【0274】
【表2-2】
【0275】
【表2-3】
【0276】
【表2-4】
【0277】
【表2-5】
実施例30
トロンボキサン受容体活性
この実施例は、物質1(SN1)の一方のエナンチオマーのみがTP受容体に結合することを立証するものである。
【0278】
DPD(表IIのSN1)のそれぞれのエナンチオマー、すなわち、化合物(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸(エナンチオマー1)および(Z)−6−((2R,4R,5S)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸(下のキラルカラムでの溶離に従って、エナンチオマー2)を、以下の条件下でのキラルクロマトグラフィーによって単離した:
カラム:250×4.6mm Chiralpak AD−H 5μm
移動相:80/20/0.1のn−ヘプタン/エタノール/トリフルオロ酢酸
流量:1mL/分
検出:230nmでのUV
温度:25℃
サンプルを80/20のn−ヘプタン/エタノールに溶解した
エナンチオマー1が、このキラルカラムから最初に溶出し、エナンチオマー2がそのキラルカラムから二番目に溶出した。
【0279】
エナンチオマー1および2を、本質的にはHedbergら(1988)J Pharmacol.Exp.Ther.245:786−792およびSaussyら(1986)J.Biol.Chem.261:3025−3029によって説明されているように、トロンボキサン受容体結合について放射性リガンド結合アッセイで試験した。エナンチオマー((Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸)は、効力あるトロンボキサン受容体結合剤(IC
50:0.841nM;Ki:0.549nM)であることが判明したが、エナンチオマー2は、結合しないようであった(IC
50>10nM)。
【0280】
実施例31
癌細胞増殖の阻害
この実施例は、癌細胞の成長に対するDPDの抗増殖効果を立証し、本明細書に記載する類似体の癌の治療のための有用性を例証するものである。
【0281】
組換えバイオセンサー受容体活性を安定して発現するように遺伝子操作されたヒト子宮頚癌細胞系統(HeLa)および非癌細胞系統、HaCaT(Boukampら,1988,J.Cell Biol 106(3):761−771)を、Caspa Tag kit(例えばChemiconから市販されている)で用いた。ハイコンテントスクリーニング自動フローサイトメータを使用して増殖の検出を行った。
【0282】
DPD(物質1)を、1%DMSOに合わせて血清不含の細胞培養基中20μMに希釈した。HTSフローサイトメータ(FACS Calibur HTS、Becton Dickenson)のFL2(増殖性マーカーの希釈)チャネルにおいて48時間処理した後、96ウエルプレートにおいて二重反復試験で細胞事象の検出を行った。第1日に細胞を96ウエルプレートに接種した。第2日に細胞をDPDおよび適切な対照で処理し、第4日に分析を行った。
【0283】
DPDは、20マイクロMでHeLa細胞の増殖を90%阻害した。DPDは、非癌細胞系統HaCaTに対して効果を有さなかった。従って、これは、DPD(表II中のSN1)による癌細胞に対する選択的抗増殖効果を明示している。
【0284】
実施例32
この実施例は、マウスモデルにおける本発明のエナンチオマーのグルコース低下効果を例証するものである。
【0285】
材料および方法
KKA
yマウス
週齢6週の52匹の雄KKA
yマウスを市場で(例えば、Clea Japanから)入手し、到着し次第、高脂肪食を与えた。個々のマウスを、環境順化段階と実験段階の両方の間、IVC Type IIケージに収容した。食餌(高脂肪食)と水の両方を無制限に供給した。
【0286】
ケージごとに動物1匹。昼12時間、夜12時間。午前06:00に点灯。温度:21〜25℃。相対湿度目標範囲:55〜60%。
【0287】
マウスをそれらの4時間絶食時血糖に従って治療群に無作為に割り付けた。
【0288】
群:
ビヒクル、((Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸(53mg/kg)、ロシグリタゾン(5mg/kg;陽性対照)。
【0289】
治療:
14日の強制経口栄養、1日2回、12時間ごと。
【0290】
完了:
最終投与の4時間後、非絶食状態。
【0291】
高脂肪食
ニュージャージー州、ニューブランズウィックのResearch Diets,Inc.からガンマ線照射高脂肪食を入手した(製品番号D12266BI)
血糖
Glucotrend stick(Roche Diagnostics Art # 28050)を使用して全血中または血清中(下記参照)、いずれかのグルコースを測定した。
【0292】
ヘマトクリット
ヘパリンが入っているガラスキャピラリーに血液を採取し、その後、それを室温で10分間、「Haematokrit 24」遠心分離機(Hettich)において15’200×gで遠心分離してヘマトクリット値を得た。
【0293】
血清パラメータ
以下の血清パラメータは、COBAS INTEGRA 800自動分析装置(スイスのRoche Diagnostics)を用い、供給業者によって提供された試薬およびプロトコルを用いて判定した。
【0294】
【数2】
HbA1c:Roche Diagnostick kit(オーダー番号11822039216)をその供給業者によって提供されたプロトコルに従って使用して、Hitachi 917自動分析装置で判定した。
【0295】
以下の血清パラメータは、マイクロタイタープレートフォーマットで測定した
インスリン:1マイクロリットルのサンプルにおいて、ELISA kit(Mercodia,Uppsala、オーダー番号10−1149−01)をその供給業者によって提供されたプロトコルに従って使用して判定した。
フルクトサミン:5マイクロリットルの血清において、Roche Diagnostics kit(オーダー番号11930010216)をその供給業者によって提供されたプロトコルに従って使用して、96ウエルフォーマットで判定した。
FAA:NEFA C kit(Wako Chemcals GmbH D−42468 Neuss)をその供給業者のプロトコルに従って使用して、遊離脂肪酸を測定した。
【0296】
第12日に行った食餌摂取量および体重測定を除き、すべての測定を投与第14日目に行った。
【0297】
第12日に、マウスの数は、10匹(ビヒクル)、14匹((Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸、53mg/kg)および10匹(ロシグリタゾン)であった。
【0298】
第14日に、マウスの数は、10匹(ビヒクル)、10匹((Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸、53mg/kg)および10匹(ロシグリタゾン)であった。
【0299】
血清中化合物レベルを9匹の((Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸、53mg/kg)マウスにおいて測定した。
【0300】
結果
【0301】
【表4-1】
【0302】
【表4-2】
循環グルコースは、実際のレベルを反映するので、糖尿病の診断のために診療所で行われている主な測定の1つである。グルコース低下化合物の主目的は、循環グルコースを低下させることである。
【0303】
結論:(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸と陽性対照(ロシグリタゾン)の両方が、高血糖マウスにおいて循環グルコースレベルを低下させた(後者のほうがわずかに大きく低下させた)。これは、(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸のグルコース低下効果を示している。
【0304】
フルクトサミン(グリコシル化血液タンパク質から形成される)およびHbA1c(グリコシル化ヘモグロビン)は、長期間にわたって組み込まれた循環グルコースレベルを反映する。血液タンパク質は、非酵素的様式で不可逆的にグリコシル化される。赤血球と比較すると血清蛋白質の寿命のほうが短いため、フルクトサミンは、より短い範囲のパラメータであると考えられる。
【0305】
結論:HbA1cレベルは、陽性対照(ロシグリタゾン)によっておよび(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸によって低下され、フルクトサミンレベルは、影響を受けなかった。PPAR−γアゴニストが、即効性を有さず、開始に多少の時間、ヒトでは2〜3週間、を要し、最大効果に達するためにさらに長い時間を要することは公知である。グルコースレベルは、HbA1cおよびフルクトサミンレベルに対して一様な影響を及ぼすには低い規模のものであり得、十分に長い期間存在できなかった。
【0306】
インスリンは、循環から組織、例えば筋肉、脂肪組織および脂肪へのグルコース取込みを増加させるホルモンである。KKA
yマウスは、高インスリン血症モデルであり、すなわち、インスリン不足はない。
【0307】
結論:陽性対照のみがインスリンレベルを低下させた。これは、(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸が、循環グルコースレベルに対する効果によって示されるように、より低い効能を有することを示唆している。高インスリンレベルは、高い循環グルコースレベルまたはインスリン抵抗性のいずれかを反映する。それ故、グルコースレベルは低下するが、インスリン抵抗性依然として低下しなかったようである。おそらく、グルコースの効果は、起こったばかりであり、より小さく、抵抗性のほうが長くかかるからであろう。
【0308】
トリグリセリド(TG)、総コレステロールおよび遊離脂肪酸(FFA)の高い循環レベル、ならびに低い高密度リポタンパク質(HDL)コレステロースは、心血管疾患のリスク因子である。
【0309】
結論:(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸は、FFAを僅かに減少させた。陽性対照(ロシグリタゾン)は、HDLを増加させ、トリグリセリドおよびFFAを減少させた。
【0310】
チオグリタゾンの副作用の1つは、マウスおよびヒトにおいて体重を増加させることであるので、マウスの体重を測定した。さらに、体重減少は、副作用の指標である。
【0311】
結論:以前の観察と一致して、陽性対照(ロシグリタゾン)によってしか体重は増加しなかった。(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸は、体重を変えなかった。
【0312】
心臓重量も測定した:
結論:ロシグリタゾン群では、おそらく最終時点での体重増加を補って、心臓重量が増加される。(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸治療は、心臓重量に影響を及ぼさなかった。
【0313】
ヘマトクリットの増加は、脱水症、すなわち水分摂取量の減少、の傾向を示す。
【0314】
結論:ヘマトクリットに対する影響はいずれの群においても観察されなかった。これは、脱水症がなかったことを示唆している。
【0315】
一般的な肝機能マーカー酵素であるアルパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアルカリホスファターゼ(ALP)を測定して、肝臓に対して副作用がないことを確かめる。
【0316】
結論:血清AST、ALTおよびALPは、増加されなかった。これは、使用した用量に副作用が全くなかったことを示唆している。
【0317】
血清(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸レベルを測定して、動物がその循環に所期の化合物を実際に有することを詳細に記録した。
【0318】
実施例33
ヒト組換え(大腸菌(E.coli))PPARガンマ(h)結合アッセイ:
この実施例は、組換えヒトPPARガンマへの本発明の化合物の結合を例証するものである。
リガンド濃度:[3H]−ロシグリタゾン 10nM
非特異的結合:ロシグリタゾン(10μM)
インキュベーション:4℃で120分
試験化合物の存在下で得られた対照特異的結合のパーセント((測定された特異的結合/対照特異的結合)×100)として結果を表示する。IC
50値(対照特異的結合の最大阻害の半分を生じさせる濃度)およびヒル係数(nH)は、Hillの式の曲線への当てはめ(Y=D+[(A−D)/(1+(C/C50)nH]、この式中、Y=特異的結合、D=最小特異的結合、A=最大特異的結合、C=化合物濃度、C50=IC
50、およびnH=傾き係数)を用いて平均反復値で生成した競合曲線の非線形回帰分析によって決定した。Cerepで開発されたソフトウェア(Hill software)を用いてこの分析を行い、市販のソフトウェア Windows(登録商標)用SigmaPlot(登録商標)4.0((著作権)SPPS Inc.により1997)によって生成したデータとの比較により確認した。阻害定数(Ki)は、Cheng Prusoffの式(Ki=IC
50/(1+(L/KD))、この式中、L=アッセイにおける放射性リガンドの濃度、およびKD=受容体に対する放射性リガンドの親和性)を用いて計算した。
【0319】
【表5】
実施例34
マウスモデルにおける動脈血栓症に対する効果
この実施例は、マウスモデルにおける血栓症に対する本発明の化合物の効果を例証するものである。
【0320】
材料
●ビヒクル(DMSO/PEG 400、5/95)
●ビヒクル中、1、3、10、30、100および300mg/kg((Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸)の用量
●食塩水
●アスピリン(ビヒクル中、100mgおよび600mg/kgの用量)
●アスピリン(Sanofi SynthelaboからのAspegic;食塩水に溶解したもの)
●クロピドグレル(Sanofi PharmaからのPlavix;H
2Oに溶解したもの)
それらの溶液を食塩水中で3.3倍希釈し、100μL/25gを注射した。従って、(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸の100および300mg/kgの上述の用量は、30および100mg/kgの最終用量に対応する。
【0321】
PEGは非常に吸湿性であること、およびDMSOは非常に低濃度でエクスビボで血小板凝集に影響を及ぼすことに留意しなければならない。マウスにおける静脈内注射について、この用量は、好ましい溶媒でないようである。
【0322】
実験中、食塩水で希釈した薬物の可溶性カリウム塩を供給した。この調合物の100μL/25gを尾静脈に静脈内注射した(100mg/kgの用量)。
【0323】
血栓症モデル
溶液(100μL/体重25g)を2分かけて尾静脈に静脈内注射して、30mg/kgおよび100mg/kgの(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸の用量を達成する。200mg/kgのアスピリンを同じように与える。実験前6〜7時間の時点で20mg/kgの用量のクロピドグレルを強制経口栄養によって投与する。溶液をコード化し(クロピドグレル以外)、オペレータにはそのコードを知らせなかった。それぞれの群に割り付けた動物の体重を合わせた。使用したすべてのマウスは、週齢8〜10週の雄であり、100%Swiss遺伝的背景のものであった。
【0324】
動脈血栓症モデルは、本質的にはNagaiら(Nagai N,Lijnen HR,Van Hoef B,Hoylaerts MF,Van Vlijmen BJM.Nutritionally induced obesity reduces the arterial thrombotic tendency of Factor V Leiden mice.Thromb Haemost.2007 Oct;98(4):858−863.(オンラインで発表したもの;doi:10.1160/TH07−04−0306))によって記載されたとおりに行った。簡単に言うと、5%FeCl
3溶液をいっぱいにしみ込ませたティッシュペーパーの小片をマウスの単独大腿動脈上に2分間置き、その後、食塩水で入念に洗浄する(静脈内注射後約10分の時点で適用を開始する)。走査レーザードップラー流量計を使用して後脚の血流をモニターし、30分間、15秒間間隔でデジタル画像を収集する(FeCl
3処置を止めた1分後に開始)。それぞれの画像中の流量を反対側でのものに対する百分率として表示し、データを120すべての画像について平均して、総流量を決定する。同じ分析を10分間隔についても行う(これは、曲線下面積と本質的に同じ情報をもたらす)。流量0%を示した最初の画像として閉塞時間を記録する。処置前の流量を100%として記録し、閉塞した動脈におけるものを0%として記録する。実験終了時、血球数の決定のために心臓穿刺により0.01Mのクエン酸塩上に血液を回収する。遠心分離により血漿を準備し、薬物レベルの判定のために−20℃で保管する。
【0325】
二群間の差についての統計解析は、非母数スチューデントt検定によって行う。統計解析のために、閉塞時間>30分を30分に等しいと見なした。このアプローチは、統計的偏りを生じさせることがあり、異なる群では実験数が同じでないため、そうであることがいっそう多いことに留意しなければならない。p<0.05で有意と設定した。
【0326】
結果
合計59匹のマウスをこの試験で使用し、これらのうち4匹を、投薬スキームを至適化するための予備実験で使用した。1匹のマウス(D947)は、ビヒクル中100mg/kgの薬物用量での実験中に死亡した(薬物の注射の約15分後に相当するFeCl
3適用の5分後;死因不明)。
【0327】
閉塞時間
●200mg/kgのアスピリンは、閉塞時間に対して効果を有さなかった;ビヒクルと比較して多少短い閉塞時間は、ビヒクル群において閉塞が遅れる2つの実験に起因する(これらなしで、平均±SEM=7’18’’±0’33’’)。
【0328】
●クロピドグレルは、6/7実験において30分以内に閉塞を完全に防止する。1つの実験では、急速な閉塞が観察された。
【0329】
●ビヒクル中30mg/kgの用量での(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸は、アスピリンと比較して閉塞時間をわずかに延長する(p=0.024)が、ビヒクルと比較すると効果がない。
【0330】
●食塩水中100mg/kgの用量での(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸カリウムは、閉塞時間を延長した(アスピリンに対してp=0.0006;食塩水のみに対してp=0.017)。
【0331】
これらの結果は、マウスモデルにおけるFeCl
3誘導閉塞形成の阻害を示している。
【0332】
血流
●200mg/kgでのアスピリンは、全血流量に対して有意な効果を有さなかった(ビヒクルに対してp=0.53)。
【0333】
●クロピドグレルは、全血流量を有意に改善した(実験B130を含めて、ビヒクルに対して、p=0.0087)。
【0334】
●ビヒクル中30mg/kgの用量での(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸は、全血流量に対して効果を有さなかった(ビヒクルに対してp=0.84、およびアスピリンに対してp=0.65)。
【0335】
●ビヒクル中100mg/kgの用量での(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸は、アスピリンと比較して全血流量を改善した(p=0.055)が、ビヒクルと比較するとしなかった(p=0.45)。
【0336】
●すべての群において、時間に伴う血流量の進展は、観察された閉塞時間に適合していた。0〜10分の時間枠では、投与したビヒクル中100mg/kgの(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸は、アスピリンと比較して有意に高い流量を随伴した(p=0.0002)が、ビヒクルのみと比較するとしなかった(p=0.11)。同じ傾向が、もっと遅い時間点で観察された。
【0337】
●食塩水中100mg/kgの用量での(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸カリウムは、食塩水と比較しても(p=0.0032)、アスピリンと比較しても(p=0.0021)、全血流量を有意に改善した。さらに、同じ時間枠で、食塩水中100mg/kgの(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸カリウムは、食塩水のみと比較しても(p=0.009)、アスピリンと比較しても(p=0.0006)有意に高い血流量を随伴した。同じ傾向が、もっと遅い時間点で観察された。10〜20分間、食塩水中100mg/kgの(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸 で、食塩水に対してp=0.0066、およびアスピリンに対してp=0.027;20〜30分間、食塩水に対してp=0.016、およびアスピリンに対してp=0.031。
【0338】
血球分析
表VIは、観察期間の終わりに取ったサンプルに対して行った血球分析の結果をまとめたものである。(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸 を表VIではEVと呼ぶ。
【0339】
アスピリンおよびクロピドグレルと比較して、大きな変化は観察されなかった。幾つかの中等度の違いが白血球分布において観察された。
【0340】
【表6】
実施例35
実施例30において説明したように、トロンボキサン受容体結合アッセイを行った。
【0341】
TP受容体放射性リガンド結合試験:
これらの実験条件[ヒト組換えHEK−293細胞、リガンド:5nM[
3H]SQ−29548、ビヒクル:1%DMSO、インキュベーション時間、温度:25℃で30分、インキュベーションバッファ:50mM Tris−HCl、pH7.4、154mM NaCl、非特異的リガンド:1μM SQ−29548、KD:9.4nM、Bmax:5.1pmol/mg タンパク質、特異的結合:93%]を用い、Hedberg A,Hall SE,Ogletree ML,Harris DN and Liu E C−K(1988)Characterization of [5,6−3H]SQ 29,548 as a high affinity radioligand,binding to thromboxane A2/prostaglandin H2−receptors in human platelets.J Pharmacol Exp Ther.245(3):786−92792、およびSaussy DL Jr,Mais DE,Burch RM and Halushka PV(1986)Identification of a putative thromboxane A2/prostaglandin H2 receptor in human platelet membranes.J Biol Chem.261(7):3025−9に従って、アッセイを行った。
【0342】
ヒト血小板トロンボキサンシンターゼアッセイ:
これらの実験条件[基質:10μM PGH
2、ビヒクル:1%DMSO、プレイインキュベーション時間、温度:25℃で15分、インキュベーション時間、温度:25℃で3分、インキュベーションバッファ:10mM Tris−HCl、pH7.4、定量法:TxB
2のEIA定量]を用い、Borsch−Haubold AG,Pasquet S,Watson SP.(1998)Direct inhibition of cyclooxygenase−1 and −2 by the kinase inhibitors SB 203580 and PD 98059.SB 203580 also inhibits thromboxane synthase.J Biol Chem.273(44):28766−72、およびIizuka K,Akahane K,Momose D,Nakazawa M,Tanouchi T,Kawamura M,Ohyama I,Kajiwara I,Iguchi Y,Okada T,Taniguchi K,Miyamoto T,Hayashi M.(1981)Highly selective inhibitors of thromboxane synthetase.1.Imidazole derivatives.J Med Chem.24(10):1139−48に従って、アッセイを行った。
【0343】
TP受容体血小板凝集−ウサギ:
これらの実験条件[ニュージーランドウサギ(2.75±0.25kg)血小板リッチ血漿、ビヒクル:0.3%DMSO、アッセイ:1.5μM U−46619誘導血小板凝集の阻害、インキュベーション時間、温度:37℃で5分、インキュベーションバッファ:クエン酸三ナトリウム(0.13M)で処理した血小板リッチ血漿、浴容量:0.5mL、標定時間:5分、定量法:光学密度変化]を用い、Patscheke,H.,and Stregmeier,K.(1984)Investigations on a selective non−prostanoic thromboxane antagonist,BM13,177,in human platelets.Thrombosis Research 33:277−288に従って、アッセイを行った。
【0344】
TP受容体血小板凝集−ヒト:
これらの実験条件[ヒト(60±10kg)血小板リッチ血漿、ビヒクル:0.3%DMSO、アッセイ:3μM U−46619誘導血小板凝集の阻害、インキュベーション時間、温度:37℃で5分、インキュベーションバッファ:クエン酸三ナトリウム(0.13M)で処理した新鮮な血小板リッチ血漿、浴容量:0.5mL、標定時間:5分、定量法:光学密度変化]を用い、Patscheke,H.,and Stregmeier,K.(1984)Investigations on a selective non−prostanoic thromboxane antagonist,BM13,177,in human platelets.Thrombosis Research 33:277−288に従って、アッセイを行った。
【0345】
IC
50計算:
データを半対数変換し、その後、応答に対するlog(アゴニスト)を用いる4変数用量応答曲線 Y=最低値+(最高値−最低値)/(1+10^((LogEC
50−X)
*ヒルの傾き))への非線形回帰−−GraphPad Prismソフトウェア(http://graphpad.com/help/prism5/prism5help.html?usingnonlinear_regression_step_by_s.htm)の可変傾き関数−−を用いて分析した。
【0346】
【数3】
化合物A:(Z)−6−((2R,4R,5S)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸(エナンチオマー2)
化合物B:(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−yl)ヘキサ−4−エン酸(エナンチオマー1)
化合物3:(Z)−6−(−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸
化合物4:(Z)−6−((2R,4R,5S)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸
化合物5:(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−メトキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸。
【0347】
実施例36
(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸の溶媒和物および塩の調製
(Z)−6−((2S,4S,5R)−2−(2−クロロフェニル)−4−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキサン−5−イル)ヘキサ−4−エン酸(表IIのSN1)は、油のようなゴムである。この酸を、下のスキームに図示するように、様々な固体塩および溶媒和物に転化させることができる。
【0348】
【化27】
酸(14.08g)をt−ブチルメチルエーテル(TBME、32mL、2.25容量)で研和した。その溶液を室温で30分間、そして氷浴内で30分間攪拌した。このようにして得られた沈殿を濾過によって回収し、氷冷TBME(2×15mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて固体を得た(8.17g、58%)。得られた固体を、Bruker 400MHz NMR計器を使用して特性付けし、Cu K
α放射線を使用するBruker AXS C2 GADDS回折計(40kV、40mA)でX線粉末回折パターンを収集し、TA Instruments Q500 TGAを用いて熱重量分析(TGA)を行った。NMRおよびXPRDデータを、それぞれ、
図11および12に示す。
【0349】
1H NMRスペクトルおよびTGAトレースは、存在する0.72molのTBMEと一致する。TGAおよびDSCトレースは、2つの脱溶媒段階を含むことを示唆している。第一の脱溶媒吸熱は、55℃で開始し、第二の脱溶媒吸熱は、75℃で発生する。溶融吸熱の証拠はない。化合物の純度は、HPLCにより98.0%と判定された。
【0350】
可変温度XRPDは、この材料が、70℃の温度まで同じ結晶形であることを示す。より高い温度ではこの材料がゴムになり、非晶質パターンを与える。30℃に冷却したとき、この材料は、非晶質XRPDパターンを有するゴムのままである。
【0351】
エルブミン塩へのTBME溶媒和物の転化
結果として生じたTBME遊離酸溶媒和物(8.07g、20.0mmol)をニトロメタン(16μL)に溶解した。常時攪拌しながらt−ブチルアミン(2.5mL、1.2当量)を室温で添加し、その後、結果として生じた残留物をさらに30分間、氷上で攪拌して、固体のようなゴムを得た。そのゴムをアセトニトリル(20mL)で研和し、結果として生じた沈殿を濾過によって回収した。その固体を均一な粒径にし、真空下、室温で48時間、その後、40℃でさらに72時間乾燥させて、7.46g(78.5%)の白色固体材料を得た。その
1H NMRおよびXPRD回折図を、それぞれ、
図13および14に示す。
1H NMRは、HPLCにより純度97.8%であることが判明した固体中に0.17molのニトロメタンおよび1molのt−ブチルアミンが存在することを示す。乾燥によってニトロメタン量をさらに減少させる。TGAからのデータは、〜100℃での漸減的重量喪失開始(これは、t−ブチルアミンの喪失と一致する)を示し、ならびにDSCは、130℃での吸熱開始(これも、t−ブチルアミンの喪失と一致する)を示す。
【0352】
もう1つの方法では、酸(452.23mg、1.12mmol)を室温でIPA(2mL)に溶解した。その溶液を50℃に加熱し、t−ブチルアミンを添加した。1時間後、結晶質材料が沈殿した。IPAの体積を23mLに増加させ、その材料を熱で再び溶解し、48時間かけて室温に冷却した。結晶質の白色材料が収率34%で得られた。この材料の特性付けにより、それは、95.4%の化学純度を有するIPA溶媒和物と同定された。回折図(
図15)は、IPA溶媒和物としてのその化合物のエルブミン塩の形成を示す。
【0353】
本明細書に引用するすべての出版物および特許出願は、それぞれ個々の出版物または特許出願が参照により取り入れられていると具体的におよび個々に示されているがごとく、本明細書に参照により取り入れられている。
【0354】
明確に理解できるように図表および実施例により多少詳細に上の発明を説明したが、本発明の教示にかんがみて、添付の特許請求の範囲において定義する本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に一定の変更および修正をなすことができることは、通常の当業者には容易に理解されるであろう。