【実施例1】
【0010】
[1]全体の構成
本発明の真空弁は、ケース1と、弁体2と、全閉時にケース1と弁体2間を密閉するOリング3と、からなる。(
図1、
図2)
【0011】
(1)ケース
ケース1は、減圧容器の排気口に螺着する部材である。
ケース1は、レンチ等で掴んで減圧容器の排気口に螺着するため、その一部外径は、六角柱状の形状を呈する。
ケース1の材料については、鋼製や黄銅製など、腐食しにくい金属であれば広く採用できる。
ケース1には、その一端から、その軸方向に所定径の円柱状の弁体収納孔11を、所定の深さまで穿孔する。
弁体収納孔11の内周面であって、当該一端から軸方向に所定の長さには、雌ネジ111を刻設する。
弁体収納孔11の底面112には、弁体収納孔11と同軸芯であって、弁体収納孔11の径よりも小さい吸気路12を穿孔する。吸気路12はケース1の外部まで貫通する。
ケース1の外形の一部であって、吸気路12が貫通する部分には、外周に雄ネジ121を刻設する。
ケース1の外周から、弁体収納孔11に直交する方向に、排気路13を穿孔する。排気路13は弁体収納孔11に貫通している。
排気路13の内周面には、雌ネジ131を刻設する。
【0012】
(2)弁体
弁体収納孔11の中には、黄銅によって形成した弁体2を収納する。
弁体2は円柱形状を成しており、弁体2のうち、弁体収納孔11に挿入する側の端面の中心には、柱状の突起部21を形成する。
弁体2の他端面、つまりケース1の外周側に表出する面には、六角形状の凹部である係止部22を形成する。
また、弁体2の係止部22が形成された側の端部の外周面の所定の範囲には、雄ネジ23を刻設する。
【0013】
(3)突起部
突起部21は、弁体2に立設する円錐台状のテーパ部211と、テーパ部211の頂部に立設する円柱部212と、からなる。
テーパ部211の底部の径は、吸気路12と略同径とし、テーパ部211の頂部の径及び円柱部212の径は、吸気路12よりも小径とする。
突起部21の突出長は、真空弁が全開となるように弁体2を移動した際に、突起部21の先端が吸気路12内部に位置する長さとする。
【0014】
(4)Oリング
ケース1の弁体収納孔11内部には、Oリング3を配置する。
Oリング3の内径は、突起部21のテーパ部211の底部の径と略同径、かつ吸気路12よりも大径とする。
Oリング3の太さは、吸気路12に突起部21の円柱部212を挿入した際の、円柱部212と吸気路12との距離よりも太くなるように構成する。
Oリング3は弁体収納孔11の底面112に固定せず、弁体2の突起部21に掛止して配置する。
【0015】
[2]使用状態
次に、上記構成の真空弁の使用状態を説明する。
【0016】
(1)減圧
タンクなどの減圧する容器4の排気口に、ケース1の雄ネジ121を螺着する。(
図3)
排気路13の雌ネジ131には、真空ポンプ5とつないだパイプ6を螺挿する。
弁体収納孔11内には、弁体2を収納する。このとき弁体2の突起部21にOリング3を掛止しておく。(
図4)
弁体2の突起部21にOリング3を掛止するのみであるため、Oリング3固定用の溝等を加工する必要が無く、安価に真空弁を製造できる。
弁体2の雄ネジ23と弁体収納孔11の雌ネジ111を螺合することで弁体2は弁体収納孔11に沿って進退可能である。
弁体2は、弁体2の外部側へ後退させており、吸気路12と排気路13とが、弁体収納孔11を経由して連通するようにしておく。
この状態で真空ポンプ5を起動し、容器4内の空気を吸引して減圧する。
なお、雄ネジ23には減圧時に雌ネジ111との隙間からの真空漏れを防止するため、真空グリース等を塗布しておく。
【0017】
(2)封止
減圧が終了した後、六角レンチ7等を係止部22に係止し、弁体2をねじ込んで弁体収納孔11の底面112方向に進行させる。
弁体2が弁体収納孔11内に進行すると、弁体2の突起部21は、吸気路12内に挿入される。(
図5a)
突起部21に掛止したOリング3の外径は、吸気路12よりも大径である。このため、突起部21が吸気路12に挿入されると、Oリング3は、弁体収納孔11の底面112に当接し、突起部21の円柱部212からテーパ部211の方向に移動する。
そして、Oリング3の内径は、テーパ部211の底部の径と略同径であるため、Oリング3はテーパ部211に沿って移動し、弁体2と弁体収納孔11の底面112が接触しようとするときには、テーパ部211の底部に沿って位置し、吸気路12の開口を囲繞する。(
図5b、c)
このように、Oリング3はテーパ部211によって位置決めされるため、Oリング3の位置がずれて吸気路12が密閉されなくなる恐れが無い。
そして、Oリング3が、弁体収納孔11の底面112と、弁体2とに密着して挟持されるまで弁体2を進行させると、吸気路12がOリング3及び弁体2により遮蔽され、減圧状態のまま、真空漏れも一切無く、吸引は終了する。
この状態で真空ポンプ5の作動を停止する。
【0018】
(3)開放
真空弁を全閉状態から開く際には、六角レンチ7等を係止部22に係止し、弁体2を弁体収納孔11の開口方向に後退させる。
弁体2と弁体収納孔11の底面112間のOリング3は、突起部21に掛止するため、脱落することがない。(
図5b)
さらに、弁体2を後退させて真空弁を全開状態としても、突起部21の先端が吸気路12から抜け出すことがないため、Oリング3は、突起部21及び弁体収納孔11の底面112によって移動が制限され、脱落することがなく、再度真空弁を全閉状態としても、テーパ部211によって位置決めされるため、真空漏れが生じることはない。
また、Oリング3の脱落や破損が生じないため、開閉を繰り返しても、真空弁が破損することがない。