(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662786
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】合成樹脂製注出口栓
(51)【国際特許分類】
B65D 5/74 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
B65D5/74 A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-278309(P2010-278309)
(22)【出願日】2010年12月14日
(65)【公開番号】特開2012-126414(P2012-126414A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】安部 直幸
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勝己
(72)【発明者】
【氏名】村元 勝広
【審査官】
会田 博行
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−226754(JP,A)
【文献】
特開2009−280243(JP,A)
【文献】
特開平10−016950(JP,A)
【文献】
特開2009−184718(JP,A)
【文献】
特開2011−131898(JP,A)
【文献】
特開2011−073748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に少なくとも合成樹脂フィルムが積層された紙製容器に適用される合成樹脂製注出口栓にして、該容器に形成された注出孔を通して突出せしめられる突出筒壁と該突出筒壁の下端部外周から半径方向外方に延出する環状フランジ壁とを具備し、該フランジ壁の上面が該容器の内面に溶着され、且つ該環状フランジ壁には環状スコアが形成されている合成樹脂製注出口栓において、
該環状スコアの中心直径D1は該容器の該注出孔の内径D2以下(D1≦D2)であり、
該突出筒壁は該環状フランジ壁の上面から上方に延出し且つ外径D3を有する最下端部と該最下端部に続いて上方に延出し且つ外径D4を有する下部とを有し、該外径D3は該中心直径D1より小さく(D3<D1)、該外径D4は該中心直径D1以上で且つ該内径D2以下(D1≦D4≦D2)であり、該環状フランジ壁の上面から該突出筒壁の該最下端部の上端までの長さLは該容器の該注出孔を規定している壁厚Tよりも小さい(L<T)、
ことを特徴とする合成樹脂製注出口栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面に少なくとも合成樹脂フィルムが積層された紙製容器に適用される合成樹脂製注出口栓、更に詳しくは容器に形成された注出孔を通して突出せしめられる突出筒壁とこの突出筒壁の下端部外周から半径方向外方に延出する環状フランジ壁とを具備し、環状フランジ壁の上面が容器の内面に溶着され、且つ環状フランジ壁には環状スコアが形成されている形態の合成樹脂製注出口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、内面に少なくとも合成樹脂製フィルムが積層された紙製容器に適用されるポリエチレン製注出口栓が開示されている。かかる注出口栓は、容器に形成されている注出孔を通して突出せしめられる突出筒壁とこの突出筒壁の下端部外周から半径方向外方に延出する環状フランジ壁とを具備している。環状フランジ壁の上面は容器の内面に超音波溶着方式によって溶着される。更に、環状フランジ壁には環状スコアが形成されている。かかる環状スコアは、所謂分別回収のために、容器の内容物を消費した後に容器を破棄する際に破断され、かくして注出口栓の大部分が容器から分離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−16950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然るに、本発明者等の経験によれば、上記特許文献1に開示されている注出口栓には、容器の内容物を消費した後に環状スコアを破断し、次いで注出口栓を容器から離脱せしめる際に相当な力を必要とし、容器からの注出口栓の離脱が必ずしも容易でない、という問題が存在する。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、環状スコアを破断した後に、過剰な力を必要とすることなく充分容易に容器から注出口栓を離脱することができる、新規且つ改良された合成樹脂製注出口栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、従来の注出口栓においては、容器の注出孔の内径が注出口栓に形成されている環状スコアの中心直径よりも小さく、それ故に注出口栓を容器から離脱する際には、容器の注出孔の周縁に存在する壁部を変形せしめて注出口栓のフランジを注出孔を通して移動せしめることが必要であり、それ故に容器から注出口栓を離脱するのに相当な力を必要とすることを認識した。そして、かかる認識に基いて、環状スコアの中心直径を注出孔の内径以下にせしめることによって上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する合成樹脂製注出口栓として、内面に少なくとも合成樹脂フィルムが積層された紙製容器に適用される合成樹脂製注出口栓にして、該容器に形成された注出孔を通して突出せしめられる突出筒壁と該突出筒壁の下端部外周から半径方向外方に延出する環状フランジ壁とを具備し、該フランジ壁の上面が該容器の内面に溶着され、且つ該環状フランジ壁には環状スコアが形成されている合成樹脂製注出口栓において、
該環状スコアの中心直径D1は該容器の該注出孔の内径D2以下(D1≦D2)であり
、
該突出筒壁は該環状フランジ壁の上面から上方に延出し且つ外径D3を有する最下端部と該最下端部に続いて上方に延出し且つ外径D4を有する下部とを有し、該外径D3は該中心直径D1より小さく(D3<D1)、該外径D4は該中心直径D1以上で且つ該内径D2以下(D1≦D4≦D2)であり、該環状フランジ壁の上面から該突出筒壁の該最下端部の上端までの長さLは該容器の該注出孔を規定している壁厚Tよりも小さい(L<T)、
ことを特徴とする合成樹脂製注出口栓が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の合成樹脂製注出口栓においては、環状フランジに形成されている環状スコアの中心直径D1は容器の注出孔の内径D2以下であるので、環状スコアを破断した後においては、容器の注出孔の周縁に存在する壁部を変形せしめる必要なくして注出口栓のフランジを注出孔を通して移動せしめることができ、充分容易に容器から注出口栓を離脱せしめることができる。
加えて、本発明の合成樹脂製注出口栓においては、環状スコアの中心直径D1は該容器の該注出孔の内径D2以下(D1≦D2)であり、突出筒壁は環状フランジ壁の上面から上方に延出し且つ外径D3を有する最下端部と最下端部に続いて上方に延出し且つ外径D4を有する下部とを有し、外径D3は中心直径D1より小さく(D3<D1)、外径D4は中心直径D1以上で且つ内径D2以下(D1≦D4≦D2)であり、環状フランジ壁の上面から突出筒壁の最下端部の上端までの長さLは容器の注出孔を規定している壁厚Tよりも小さい(L<T)故に、容器の注出孔を通して注出口栓の突出筒壁を上方に突出せしめ、注出口栓の環状フランジ壁の上面を容器の内面に溶着せしめる際に、容器の注出孔と注出口栓との中心合わせに若干の誤差が生成されても、注出孔の内周縁が突出筒壁の下部の外周面に当接することによって、注出孔の内周縁が環状スコアの中心直径よりも半径方向内側に位置せしめられることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に従って構成された合成樹脂製注出口栓の好適実施形態を、容器及び外蓋と共に図示する断面図。
【
図5】本発明に従って構成された合成樹脂製注出口栓の他の好適実施形態を示す部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の合成樹脂製注出口栓の好適実施形態について、更に詳細に説明する。
【0012】
図1には、本発明に従って構成された合成樹脂製注出口栓2と共に、注出口栓2が適用される容器4の一部及び注出口栓2に組み合わされる外蓋6が図示されている。
【0013】
図1と共に
図2及び
図3を参照して説明すると、適宜の合成樹脂、例えば密度が0.90乃至0.95g/cm
3程度である低密度ポリエチレン、から射出乃至圧縮成形することができる注出口栓2は、全体として略円筒形状である突出筒壁8とこの突出筒壁8の下端部、図示の実施形態においては最下端から半径方向外方に延出する円環状であるのが好適である環状フランジ壁10とを具備している。突出筒壁8は最下端部12、比較的肉厚の下部14、下部14から上方に実質上鉛直に延びる略円筒形状の延出部16を有する。下部14と延出部16との境界には上方に向いた環状肩面22が規定されている。環状肩面22は実質上水平に延在せしめられているのが好都合である。下端部14の外周面上端部には周方向に等間隔をおいて4個の突出片24が配設されている。延出部16の外周面下部には環状密封突条26が形成されている。延出部16の外周面には雄螺条28が形成されている。また、延出部16の上端面は断面図において略半円形状にせしめられており、その半径方向外端縁部はリップ形状をなしている。
【0014】
延出部16の下部内周面には実質上水平に延びる閉塞壁30が配設されている。閉塞壁30には環状破断スコア32が形成されている。
図3を参照することによって明確に理解されるとおり、環状破断スコア32は円環形状であり、円形切り取り領域34を規定している。切り取り領域34の、
図2において右端部上面には、上方に延びる連結柱38が形成されており、この連結柱38の上端にはリング40が連結されている。
図1及び
図3を参照することによって理解される如く、突出筒壁8の最下端部12及び下部14の内周面には周方向に間隔をおいて複数個の凹部42が形成されている。
【0015】
図1及び
図3と共に
図4を参照して説明を続けると、注出口栓2の環状フランジ壁10の内周縁部には環状スコア44が形成されている。円環状であるのが好適である環状スコア44は、図示の実施形態においては、環状フランジ壁10の下面に環状溝を配設することによって形成されている。例えば、注出口栓2が密度0.90乃至0.95g/cm
3程度の低密度ポリエチレンから形成されている場合、環状スコア44の残留肉厚は0.10乃至0.40mm程度であるのが好適である。
【0016】
図1及び
図4を参照して説明を続けると、注出口栓2はそれ自体は周知の形態でよい容器4の注出孔50に適用することができる。
図1及び
図4にはその一部のみを図示する容器4は、内面にアルミニウム箔52及び合成樹脂フィルム54が積層された厚紙56から形成することができる。注出口栓2がポリエチレンから形成されている場合、溶着の容易性の点から、合成樹脂フィルム54はポリエチレンフィルムであるのが好適である。
図1及び
図4に明確に図示する如く、注出口栓2の環状フランジ壁10はその上面が容器4の内面に当接せしめられ、注出口栓2の突出筒壁8は容器4の注出孔50を通して上方に突出せしめられる。図示の実施形態においては、注出口栓2の環状フランジ壁10の、上記環状破断スコア44よりも半径方向外側において環状フランジ壁10の上面が容器4の内面に溶着せしめられる。
図4においては、環状フランジ壁10の上面が容器4の内面に溶着された環状溶着領域を太線58で示している。かような溶着は、厚紙によって箱を完成するのに先立って、それ自体は周知の超音波溶着方式によって好都合に遂行するができる。
【0017】
図4を参照して説明を続けると、本発明に従って構成された注出口栓2においては、上記環状スコア44の中心直径(即ち環状スコア44の半径方向中心の直径)D1は容器4の上記注出孔50の内径D2以下(D1≦D2)であることが重要である(その理由は後述する)。更に、突出筒壁8の最下端部12の外径D3は上記中心直径D1よりも小さく(D3<D1)、突出筒壁8の下部14の外径D4は上記中心直径D1以上で且つ上記内径D2以下(D1≦D4≦D2)であり、環状フランジ壁10の上面から突出筒壁8の最下端部12の上端までの長さLは容器4の注出孔50を規定している壁厚Tよりも小さい(L<T)のが好ましい(その理由は後述する)。
【0018】
図1を参照して説明すると、高密度ポリエチレン或いはポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出乃至圧縮成形することができる外蓋6は、円形天面壁60とこの天面壁60の外周縁から垂下する円筒形状のスカート壁62を具備している。天面壁60の内面には環状シール片64が形成されている。スカート壁62の内周面には、雌螺条66が形成されている。
図1に二点鎖線で示すように、外蓋6は注出口栓2の突出筒壁8に被嵌し、
図1において上方から見て時計方向に回転せしめて、雌螺条66を雄螺条28に螺合せしめることによって突出筒壁8に装着される。外蓋6が注出口栓2の突出筒壁8に所要とおりに装着されると、外蓋6のシール片64が注出口栓2の突出筒壁8の内周面上端部に密接せしめられ、そしてまた外蓋6のスカート壁62の下端は注出口栓2の突出筒壁8に規定されている環状肩面22に当接せしめられる。注出口栓2の突出筒壁8における直立円筒形状部16の外周面下部に形成されている環状密封突条26は、外蓋6のスカート壁62の内周面に密接せしめられる。
【0019】
容器4内の内容物を消費する際には、外蓋6を
図1において上方から見て半時計方向に回転せしめて、雄螺条28から雌螺条66を離脱せしめ外蓋6を注出口栓2の突出筒壁8から離脱せしめる。次いで、注出口栓2のリング40に指を掛けて引っ張り環状破断スコア32を破断して切り取り領域34を切り取り、閉鎖壁30に排出開口を形成する。かくすると、容器4の注出孔50及び閉鎖壁30に形成された排出開口を通して容器4の内容物を排出することができる。
【0020】
容器4内の内容物を全て消費した後においては、所謂分別回収のために、容器4から注出口栓2の大部分、突出筒壁8及び環状フランジ壁10における環状スコア44よりも半径方向内側領域、を容器4から分離することが重要である。この際には、容器4の所要箇所に押圧力を加える、或いは本出願人の出願にかかる特願2009−228175の明細書及び図面に記載されている様式によって、環状スコア44を破断し、これによって容器4から注出口栓2の大部分を分離する。しかる後に、注出口栓2の大部分を
図1及び
図4において上方に移動せしめて容器4から離脱せしめる。本発明に従って構成された注出口栓2においては、環状スコア44の中心直径D1は容器4の上記注出孔50の内径D2以下(D1≦D2)である故に、注出口栓2を上方に移動せしめる際に容器4の注出孔50を規定している壁部によって注出口栓2の移動が干渉されることがなく、過剰な力を必要とすることなく注出口栓2の大部分を容器4から離脱せしめることができる。
【0021】
図示の注出口栓2については、更に、次の事実も留意されるべきである。即ち、突出筒壁8の最下端部12の外径D3は中心直径D1よりも小さく(D3<D1)、突出筒壁8の下部14の外径D4は上記中心直径D1以上で且つ上記内径D2以下(D1≦D4≦D2)であり、環状フランジ壁10の上面から突出筒壁8の最下端部12の上端までの長さLは容器4の注出孔50を規定している壁厚Tよりも小さく(L<T)設定されている。従って、容器4の注出孔50を通して注出口栓2の突出筒壁8を上方に突出せしめ、注出口栓2の環状フランジ壁10の上面を容器4の内面に溶着せしめる際に、容器4の注出孔50と注出口栓2との中心合わせに若干の誤差が生成されても、注出孔50の内周縁が突出筒壁8の下部14の外周面に当接することによって、注出孔50の内周縁が環状スコア44の中心直径よりも半径方向内側に位置せしめられることがなく、かくして注出口栓2を上方に移動せしめる際に容器4の注出孔50を規定している壁部によって注出口栓2の移動が干渉されることが確実に回避される。
【0022】
図5は本発明に従って構成された合成樹脂製注出口栓の他の実施形態を図示している。
図5に図示する実施形態においては、環状フランジ壁10の内周縁部には、更に、環状スコア44に隣接してその半径方向外側と半径方向内側とに配設された環状付加スコア70及び72が形成されている。円環状であるのが好適である環状付加スコア70及び72は共に、環状スコア44と同様に、環状フランジ壁10の下面に環状溝を形成することによって形成されている。環状付加スコア70及び72の残留肉厚は環状スコア44の残留肉厚よりも大きいのが好都合である。例えば、注出口栓2が密度0.90乃至0.95g/cm
3程度の低密度ポリエチレンから形成されている場合、環状付加スコア70及び72の残留肉厚は0.15乃至0.55mm程度であるのが好適である。本出願人の出願に係る特願2009−291010の明細書に詳細に記載されている如く、環状スコア44に加えて環状付加スコア70及び72を配設すると、次のとおりの作用効果が達成される。溶着領域58に超音波を施すと、溶着領域58には超音波衝撃が加えられるが、溶着領域58に加えられた超音波衝撃が環状付加スコア70及び72よって緩衝され、環状スコア44或いは環状破断スコア32が損傷されてしまうことが回避される。そしてまた、落下に起因して注出口栓2に相当な衝撃が加えられても、環状スコア44或いは破断スコア32が損傷されることが可及的に回避される。
【符号の説明】
【0023】
2:注出口栓
4:容器
6:外蓋
8:突出筒壁
10:環状フランジ壁
12:突出筒壁の最下端部
14:突出筒壁の下部
44:環状スコア
50:注出孔
58:溶着領域