(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662799
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】捕虫器
(51)【国際特許分類】
A01M 1/02 20060101AFI20150115BHJP
A01M 1/14 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
A01M1/02 T
A01M1/14 Z
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-525444(P2010-525444)
(86)(22)【出願日】2008年9月23日
(65)【公表番号】特表2010-539897(P2010-539897A)
(43)【公表日】2010年12月24日
(86)【国際出願番号】GB2008003243
(87)【国際公開番号】WO2009040528
(87)【国際公開日】20090402
【審査請求日】2011年9月20日
(31)【優先権主張番号】11/860,516
(32)【優先日】2007年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510075974
【氏名又は名称】ブランデンバーグ (ユーケイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス,ジョン・キャドマン
(72)【発明者】
【氏名】ウィーバー,ジョン・モーリス
【審査官】
坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−230258(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3130829(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫を捕獲するための装置(10、110、210)において、
昆虫引寄せ光を発する少なくとも1つの昆虫引寄せ光源(60a、60b、160a、160b)と、
昆虫を不動化するように構成された少なくとも1つの昆虫不動化機器(190)と、
前記昆虫引寄せ光源および前記昆虫不動化機器を保持するハウジング(12、112、212)と、
前記昆虫引寄せ光源および前記昆虫不動化機器を視界から少なくとも部分的に隠すカバー(50、150、250)と、
昆虫が通って前記装置内に侵入することが可能な開口と、
少なくとも1つの光導部(70a、70b、270a、270b)であって、前記昆虫引寄せ光源から発せられる昆虫引寄せ光を捕らえるための、前記昆虫引寄せ光源の付近にある第1の端部と、前記昆虫引寄せ光源が典型的な観察者の視線の外側に実質的に維持されるように、外方に強い(78a、78b)昆虫引寄せ光を投射するための、前記開口の付近に配設された第2の端部とを有したプレート状構造物である、少なくとも1つの光導部と、
少なくとも1つの光経路(14a、14b、114a、114b、214a、214b)と、を備え、
前記少なくとも1つの光経路は、前記昆虫引寄せ光が広がって発せられる散乱パターン(77a、77b)で前記少なくとも1つの光経路の前記開口を出るように構成され、
前記昆虫引寄せ光が前記光導部を通って前記第2の端部から発せられ、前記散乱パターンに比べて光強度が強くかつ集束された集束パターンを前記散乱パターン内に結合して、強度段差部分を有する光パターン(79a、79b)を形成することが可能である、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記少なくとも1つの光経路は、前記少なくとも1つの昆虫引寄せ光源から外方に、および前記装置から外方に、前記昆虫引寄せ光を反射させるための反射表面(26a、26b、126a、126b、226a、226b)を備えた、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、
前記正面カバー(50)は、前記昆虫引寄せ光源が、後方ハウジングパネル(20)に対して垂直な方向に光を直接発するのを防ぎ、垂直の各側に対して30度から40度の範囲内に光を直接的に発するのを防ぐ、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記光導部は、所望の方向に前記昆虫引寄せ光を効果的に曲げるために少なくとも2つの方向に延在する長さを有した、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
前記光導部の第2の端部は、細長形状であり、それにより、前記光導部は、前記装置から外方に昆虫引寄せ光の強い線を投射する、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記光導部は、前記開口を2つの別個のチャンバに区分し、一方のチャンバから他方のチャンバへの昆虫の往来が可能となるように複数の孔を備えた、装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置において、
前記カバーは、昆虫引寄せ光が貫通して発せられる複数の窓(295)をさらに備えた、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
前記複数の窓は、半透明であるか、または網が設けられた、装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置において、
前記昆虫引寄せ光は、UV−Aスペクトル内の光成分を含む、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
前記昆虫引寄せ光の実質的な成分が、345nmから375nmの間の波長を有する、装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置において、
ヒトの眼に可視な光を発する少なくとも1つの可視スペクトル光源(80a、80b、180a、180b)をさらに備えた、装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置において、
前記可視スペクトル光源は、UV−Aスペクトルの範囲内の光を発しない、装置。
【請求項13】
請求項11に記載の装置において、
前記可視スペクトル光源は、壁面上に光を投射するように配向された、装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一項に記載の装置において、
前記カバー(50)は、視界から前記少なくとも1つの可視スペクトル光源を隠すように、前記昆虫を捕獲するための装置の下部または上部から紫外線光が出るのを防ぐ端部パネル(30a、30b、130a、130b)の上方および下方に一定距離だけ延在した、装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置において、
壁設置用の複数の開口が後方ハウジングパネル(20)に形成された、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の直付け照明具または壁用蝋燭立てとして偽装される捕虫器に関する。このような捕虫器は、とりわけ飲食店において適用されるものである。
【背景技術】
【0002】
昆虫を捕虫器内に誘引するための手段として紫外線(「UV」)光を使用することが、当技術分野においてよく知られている。UV光は、約100から400ナノメートル(「nm」)の間の範囲内の波長を有する電磁放射の一形態である。ヒトの眼は、紫外線光を検知することは不可能であるが、ハチおよびハエなどの多数の昆虫を含むいくつかの動物は、UV光を見ることが可能である。UV光は、3つの帯域幅、すなわちUV−A、UV−B、およびUV−Cに下位区分される。時として、UV−Cは、超紫外線と呼ばれ、100から280nmの間の波長により特徴付けられる。時として、UV−Bは、遠紫外線と呼ばれ、280から315nmの間の波長を有する。本発明に特に関係するUV−Aは、時として、近紫外線と呼ばれ、315から400nmの間の波長を有する。「ダークライト」、「ブラックライト」、または「ブラックライトブルー」としばしば呼ばれる光は全て、UA−A光を生成する。
【0003】
昆虫がUA−A光に引き寄せられる理由については、複数の理論が存在する。昆虫は、自然の状態において、影および暗闇内に位置する植生地内で食糧を捜し回るおよび/または捜し求める。この環境から抜け出す方法は、光を追い求めること、とりわけUV光を追い求めることである。なぜならそれは、太陽光の一成分であるからである。昆虫が、植生地の内部からオープンスペースの方向に飛翔する場合には、昆虫は、輝線ギャップを追い求める、または光強度の段差部分を追い求める。さらに、いくつかの花、菌類、および液体は、UA−A光を反射する。昆虫は、UA−A光を、食物箇所、交尾機会、および産卵可能箇所へと関連付けを行うと考えられている。したがって、UA−Aは、昆虫の視覚の重要な要素であると考えられている。
【0004】
電球の輝度、UV発光区域のサイズ、電球の配向、捕獲位置、点滅周期、および波長を含む、多数の要素が、発光式捕虫器の有効性(すなわち、捕虫率、および種のタイプ)に決定的に影響を与えることが、判明している。より明るい電球を組み込んだ捕虫器が、より高い捕虫率を有する傾向があるというのは、概して真理であるが、製造業者らは、電球の輝度を選択する際に、法的限度および放射線被爆などの多数の要素を重視しなければならない。捕虫位置は、ユニットが窓の傍に配置された場合には外光などの競合的なUV源が捕虫力を最小限に抑えるおそれがあるため、関連性がある。さらに、捕虫器は、理想的には、昆虫が典型的に向かう位置に配置されるべきである。例えば、捕虫器は、好ましくは、天井から離間されるべきである。さらに、昆虫の引寄せは、光強度の上昇と共に高まり、ある程度の背景輝度がある場合に、高まることが判明している。換言すれば、高強度光および低強度光の帯域を備えるUV光パターンが発せられる場合に、より高い昆虫の反応を得ることが可能となる。
【0005】
さらに、ピークが345から375nmの範囲内のUV光源、より好ましくは360nmよりも若干短い波長のUV光源が、最適な昆虫反応を生じさせることが判明している。この最適な波長の選択は、種々の昆虫のピーク反応に関する経験的な研究に基づくものである。例えば、イエバエは、340nmから350nmのUVピーク反応を有する。ミツバチは、336nmのUVピーク反応を有する。ミバエは、345nmから375nmのUVピーク反応を有する。様々な種の昆虫のスペクトル反応に関する研究が継続されているが、双翅目が類似の光分解能を有し、360nmを下回って発光するUV源がこのような生物においてより高い反応を生じさせることが、所与の例から推測されている。
【0006】
最後に、UV−A光が、いくつかの先行技術の機器のように、壁にではなく、昆虫がいないことが望ましい区域の方向に向けられる場合に高い捕虫率が達成され得ることが、判明している。設置壁面に対してUV−A光を向けるのではなく、UV−A光を外方に向けることにより、密生した植生地からの通行可能な出口をより良好に模すると考えられている。昆虫が、植生地の内部からオープンスペースの方へと飛翔する場合には、昆虫は、大きな一面のUV光を見るのではなく、代わりに、サイズがそれぞれ異なる葉の間のギャップ内の光を見る。
【0007】
誘引手段としてUV−A光を使用する先行技術の機器が、これらの有効性向上化特徴の多くを具備することに失すると同時に、消費者に十分に受け入れられる機器を提供することに失していることが、判明している。UV−A光を使用する捕虫器は、しばしば、飲食店で使用されるが、そのような場所では、顧客は、露出された光電球を目にすることを望まず、ましてや捕虫器を目にすることを望まない。捕虫器を想像することによって、食欲が減退するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書において説明され特許請求される実施形態は、機器の捕虫特性を覆い隠す誘蛾灯を提供することによって、先行技術の欠点の少なくともいくつかを解消する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、昆虫を捕獲するための装置において、
昆虫引寄せ光を発する少なくとも1つの昆虫引寄せ光源と、
昆虫を不動化するように構成された少なくとも1つの昆虫不動化機器と、
昆虫引寄せ光源および昆虫不動化機器を保持するハウジングと、
視界から昆虫引寄せ光源および昆虫不動化機器を少なくとも部分的に隠すカバーと
を備え、
ハウジングは、昆虫が通って装置内に侵入することが可能な開口と、少なくとも1つの昆虫引寄せ光源から前方の外方に昆虫引寄せ光が直接的に投射されるのを防ぐような態様で、昆虫引寄せ光を、少なくとも1つの昆虫引寄せ光源から開口まで外方に向ける、少なくとも1つの光経路または光導部とを有することを特徴とする、装置が提供される。
【0010】
誘蛾灯の例示的な一実施形態は、少なくとも部分的に誘蛾灯内に隠される2つの(UV−A)ランプを使用するが、誘蛾灯が設置される壁面から離れるように、前方に向く2つの光経路から出るようにUV光を投射するように構成される。2つの光経路は、このユニットの左側および右側に位置し、UV光に関して壁上にいかなる表示またはパターンをも回避するような構造物を備えることが可能である。
【0011】
さらに、この誘蛾灯は、2つの可視光源を備え、これらは、より強調的な点灯をもたらすこととなる作業照明またはLED出力を供給する2つのランプであることが可能であり、いずれのアプローチを採用するかは、用途により決定されることとなる。一例においては、可視光源は、壁に対して光を投射するように配向され得る。可視光源は、UV成分を発さず、したがって、光引寄せ機構に大いには寄与しない。このような態様においては、可視光源は、壁面直付け照明具としてのその擬態においてアセンブリ全体に寄与する。1つの機器において、可視および不可視の昆虫引寄せ光を、それぞれを依然として区別しつつ組み合わせることによって、このユニットは、壁面直付け照明具として初めにそして真っ先に認知され得ることとなり、それにより、このユニットをセンシティブな区域に配置することが可能となる。
【0012】
光導体が、光経路内に取り付けられて、誘蛾灯のUV特性を操作するために、UV放射ルーム(loom)内の垂直方向に強いUV線を表示させる。UV照射を捜し求める昆虫は、この光源に接近し、この光源の方向に引き寄せられることとなり、UVの強度がより強いこのユニットに侵入する。ユニットの内部において、正面パネルの背後に、交換可能な駆除ボード(接着剤被覆されたボード)があり、その上において、昆虫は捕獲され得る。
【0013】
上述され、以下に述べられる特徴と、当技術において既知である他の特徴とのいくつかの組合せを含む他の実施形態は、そのような実施形態が本明細書において明示され明記されない場合でも、特許請求の範囲内に含まれるものとして予期される。
【0014】
本明細書において説明され特許請求される実施形態のこれらのおよび他の特徴、態様、目的、および利点は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面を検討することにより、より良好に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】誘蛾灯の第1の実施形態の底面図であり、その上面図は、この底面図の実質的にミラーイメージとなる。
【
図6】光経路から発せられる放射線ルームの視覚的表示を含む、誘蛾灯の第1の実施形態の(
図7のAAを通る)断面図である。
【
図7】やはり光経路から発せられる放射線ルームの視覚的表示を含む、誘蛾灯の第1の実施形態の正面図である。
【
図8】やはり光経路から発せられる放射線ルームの視覚的表示を含む、誘蛾灯の第1の実施形態の側面図である。
【
図9】誘蛾灯の第2の実施形態の正面カバーが開位置にある、誘蛾灯の第2の実施形態の斜視図である。
【
図10】光導体がどのように捕虫器内に設置されるかを説明する、誘蛾灯の第2の実施形態の近接斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これらの図面は必ずしも縮尺通りではなく、これらの実施形態は時として図形記号、仮想線、線図、および破断図により図示されることを理解すべきである。いくつかの例においては、本明細書において説明され特許請求される実施形態を理解するために必要ではない詳細が、または、理解が困難な他の詳細を示す詳細が、省略されている場合がある。当然ながら、本明細書において説明される本発明は、図示される特定の実施形態に必ずしも限定されないことを理解されたい。実際に、当業者は、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において示され説明される実施形態と同様のものおよび均等物である複数の代替構成を考案し得ることが予期される。
【0017】
同様の参照番号が、図面の以下の詳細な説明において、図面間にわたって同様または類似の部品を参照するために使用される。
誘蛾灯10、110、210の3つの特定の実施形態が、本明細書において説明され、示され、誘蛾灯10が、
図1から
図8において、誘蛾灯110が、
図9から
図10において、誘蛾灯210が、
図11において示され、図示される。これらの実施形態はそれぞれ、壁面上への設置用に構成されるが、特許請求される構成部を使用する機器が、他の表面上に設置するように適合化され得ることが、予期される。誘蛾灯10、110、210は、誘蛾灯10、110、210内に、2つの昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160b(第3の実施形態には図示せず)、および昆虫不動化機器190(第1および第3の実施形態には図示せず)を視界から実質的に隠すことによって、現行の誘蛾灯に比較して美的に当たり障りのない姿を呈するように設計される。図示される実施形態はそれぞれ、2つの昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bを使用するが、さらに多数のまたは少数の昆虫引寄せ光源を使用して、十分な結果を得ることが可能になり得ることが予期される。誘蛾灯10、110、210の美的上の当たり障りのなさに寄与するために、昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bは、誘蛾灯10、110、210が極端な角度から視認される場合を除けば、典型的な傍観者の見通し線の実質的に外側に保持される。しかし、誘蛾灯内に、昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bを隠すことによって、昆虫引寄せ光は、誘蛾灯から直接的に前方に投射することが妨げられる。昆虫引寄せ光を誘蛾灯10、110、210の外側に達するように、および前方(壁面から離れる方向)に投射するようにするために、誘蛾灯10、110、210は、通常昆虫が存在しないことが望ましい区域である所望の方向に光を送るための構造物を備える。さらに美的上における障り当たりのなさに寄与するために、誘蛾灯10、110、210は、壁上に視認可能なスペクトル照明を投射する能力を有する。この点において、本明細書において説明され示される3つの実施形態10、110、210は、標準的な壁面直付け照明具として偽装された捕虫器である。3つの実施形態の誘蛾灯10、110、210は、実質的に同様であるが、以下においてより詳細に説明されるように、構造上および組立て上の若干の違いが含まれる。誘蛾灯10、110、210は、それらが全て、昆虫が存在しないことが望ましい区域中に昆虫引寄せ光を投射するように構成されている点においては同様である。これらの誘蛾灯は全て、紫外線(またはUV)光、および具体的にはA帯域幅の紫外線光(本明細書においては「UV−A」光−2と呼ぶ)を発する、2つの昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bを使用する。UV−A光は、ヒトの裸眼にとって可視のものではないが、昆虫は、UV−A光を見ることが可能であり、上述においてさらに詳細に説明したように、とりわけUV−A光に引き寄せられる。UV−A帯域幅の全スペクトル内(すなわち、約315nmから400nmの間)の光を発する光源により、十分な結果を得ることが可能である。しかし、比較的良好な結果は、主に345nmから375nmの間の波長を、理想的には、360nmを若干下回る波長を有するUV−A光を発する昆虫引寄せ光を利用することによって得ることが可能であることが、殆どの昆虫の種に関して判明している。この基準を満たすために、Electrosectという商標名のものに販売されている、353nmのピークUV光を発するブラックライトブルーランプを使用することが可能である。
【0018】
これら3つの実施形態10、110、210においては、昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bは、ハウジングの正面カバー50、150、250の背後の光ハウジング12、112、212内に配置される。正面カバー50は、昆虫引寄せ光源が、壁面に対して垂直方向に光を直接的に発するのを防ぎ、垂直の各側に対して約30から40度の範囲内に光を直接的に発するのを防ぐ。昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bは、概して視界から隠されるため、誘蛾灯10、110、210は、光経路14a、14b、114a、114b、214a、214bおよび光導体70a、70b、270a、270bを使用して、誘蛾灯10、110から外方に昆虫引寄せ光を向け、誘蛾灯10、110が設置される壁構造体から離れる方向に光を向ける。
【0019】
光経路14a、14b、114a、114b、214a、214bは、長円形の形状であり、概して垂直方向に配向され、合わせて約0.032m
2の面積を有するが、様々な他の形状および配向からなる光経路を有する機器が本特許請求の範囲内に包含されることが、予期される。光経路14a、14b、114a、114b、214a、214bは、反射表面26a、26b、126a、126b、226a、226bを備えて、誘蛾灯10、110、210から外方に光を効果的に反射する。昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bの被隠蔽特性により、発せられる昆虫引寄せ光は、光源60a、60b、160a、160bから側方に、壁面に対して概して平行な方向に、反射表面26a、26b、126a、126b、226a、226bの方向に伸びる。反射表面26a、26b、126a、126b、226a、226bは、壁面から約120度の角度で配向され、それにより、昆虫が存在しないことが望ましい区域中に昆虫引寄せ光を反射する。さらに、反射表面26a、26b、126a、126b、226a、226bは、誘蛾灯10、110、210が装着される壁面の上に昆虫引寄せ光を伝達するのを遮るためのシールドとしての役割を果たすことも可能である。代替としては、誘蛾灯は、そのような役割を果たすために個別のシールドを備えることが可能である。
【0020】
光導体(light pipe)または光導部70a、70b、170a、170b、270a、270bは、光経路14a、14b、114a、114b、214a、214bの開口を介して、集束された昆虫引寄せ光を効果的に「曲げる」ことによって所望の方向に光を向けるための第2の手段を形成する。図示される実施形態においては、光導部70a、70b、170a、170b、270a、270bは、アクリルプレートのような構造物であるが、ガラスなどの他の材料、および光ファイバのような機器を含む他の光導部(および複数の光導部)を同様に効果的に使用することが可能であることが予期される。光導部70a、70b、170a、170b、270a、270bはそれらの第1の端部において、昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bに当接して、集束された昆虫引寄せ光を捕らえる。光が、光導部70a、70b、170a、170b、270a、270bを通り伝達され、光導部70a、70b、170a、170b、270a、270bの第2の対向側の端部から発せられる。これらの第2の対向側の端部は、光経路14a、14b、114a、114b、214a、214bの開口付近に配設される。図示される実施形態においては、光導部70a、70b、170a、170b、270a、270bの長さ方向寸法は、光経路14a、14b、114a、114b、214a、214bの長さ方向寸法に対して概して平行に配向されるが、導部が様々な他の方向に配向される代替的な実施形態が予期される。光導部のプレートのような構造物により、導部から投射される光は、昆虫引寄せ光の強い線によって特徴付けられる。しかし、使用される特定のタイプの光導部に応じて、他のパターンが予期される。使用時に、反射表面26a、26b、126a、126b、226a、226bから反射される昆虫引寄せ光は、光経路を出て散乱パターン77a、77bとなる傾向があり、光導部を通り伝達される昆虫引寄せ光は、はるかに強く、光経路からはるかに集束されたパターン78a、78bになされて発せられる。光経路から発せられた、散乱されたパターンおよび集束されたパターンの光は、結合して、強度段差を有する光パターン79a、79bを形成する。光経路14a、14b、114a、114b、214a、214bによって発せられる光のパターンおよび関連付けされる構造物は、
図6から
図8に図示される。
【0021】
次に
図1から
図8を具体的な参照として、誘蛾灯の第1の実施形態が図示される。誘蛾灯10は、概して、壁構造に設置され、誘蛾灯10の様々な他の構成要素を支持するように構成された、光ハウジング12を備える。図示される実施形態の光ハウジング12は、光経路14a、14b用の開口を画成するために複数の構成要素から構築される。これらの構成要素は、後方パネル20、2つの端部パネル(または成形物)30a、30b、内部シャシプレート40、正面カバー50、および電子安定器42を含む。電子安定器42は、UVランプが点灯している際に電流を調節するチョークである。
【0022】
さらに、
図9から
図10に図示されるように、第2の実施形態の誘蛾灯110は、複数の構成要素から構築される光ハウジング112を備える。これらの構成要素は、後方パネル120、2つの端部パネル130a、130b、および正面カバーを備える。図面において明瞭には図示されない場合があるが、第2の実施形態は、内部シャシプレートを使用しない。その理由は、そのような構造物が、後方パネル120と一体化されるからである。
【0023】
図11に図示されるように第3の実施形態の誘蛾灯210は、正面カバー250に関する点を除けば、第2の実施形態110とほぼ同一である。
本明細書において示され説明される実施形態においては、後方パネル20は、中央部分と、その左側および右側の2つの屈曲翼部部分とを有し、これら2つの屈曲翼部部分は、中央部分に対してある角度で延在する。後方パネル20は、アルミニウムなどの金属材料から製造され、それにより、屈曲翼部部分の内側面が、光経路14a、14b用の反射表面26a、26bとしての役割を果たすことが予期される。さらに、後方パネル20は、ある他の材料、さらには十分には反射することができないプラスチックなどの材料からでも製造され得ることが、予期される。このような場合には、後方パネル20の内側面に接着される金属のようなステッカなど、追加の反射構造物が、光経路14a、14b中に設けられてよい。構造物に関しては、後方パネルは、誘蛾灯10を壁面に設置することが可能となり、ケーブル出口を与えることが可能となり、電子安定器42を設置することが可能となるように、複数の開口を備える。本明細書において示され説明された実施形態は、壁設置型となるように意図されるが、誘蛾灯は、自立型であることが可能であり、ある種のスタンドもしくはポールに設置されることが可能であり、または任意の他の態様で取り付けられるものが可能である。
【0024】
第1の実施形態のシャシプレート40の両側に装着されるものが、および、第2の実施形態の後方パネル120のシャシ領域となるものが、昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bである。図面には図示されないが、昆虫引寄せ光源および可視スペクトル光源に電力供給するための配線および関連する構成要素が、第1の実施形態のシャシプレート40の背後に包含され、第2の実施形態の後方パネル120のシャシ領域の背後に包含される。
【0025】
端部パネル30a、30b、130a、130bはそれぞれ、後方パネル20、120および内部シャシプレート40の対向する端部を受容するおよび/またはそれらに係合するための、複数のスロットまたは同様のものを備える。第1の実施形態の端部パネル30a、30bについては、第1のスロットが、後方パネル20を受容するための各端部パネルの後方端部に沿って設けられ、シャシプレート40と同一の全体形状を有する第2のスロットが、シャシプレート40を受容するための各端部パネル30a、1030bの後方端部から延在して設けられる。端部パネル30a、30bはそれぞれ、光導部70a、70bを受容するように構成された追加の対のスロットを備える。さらに、端部パネル30a、30bは、正面カバー50に係合するように構成されたスロットを備える。このような目的のために、下端部パネル30bは、正面カバーと摺動的に係合するように構成された、2つの内方に分岐した開口底部スロットを備える。上端部パネル30aは、やはり正面カバーと摺動的に係合するように構成された、2つの内方に分岐した閉鎖底部スロットを備える。しかし、上端部パネル30a中のスロットの閉鎖底部は、カバーと係合して、カバーを定位置に保持する。駆除ボード(図示せず)が、端部パネル30a、30bとシャシプレート40との移行部に挿入され、そこに押込まれる。
【0026】
第2の実施形態の端部パネル130a、130bについては、第1のスロットが、後方パネル120を受容するために設けられる。上端部パネル130aは、駆除ボードの第1の端部を受容するように構成された第2の細長スロットを備える。下端部パネル130bは、駆除ボードの対向側の端部に係合するように適合化された縁を備え、この縁は、標準的な駆除ボード(Brandenburg社から製品番号BBG1012.5で販売されているものなど)の上に、部分的に折り重ねられる。さらに、端部パネル130a、130bはそれぞれ、光導部170a、170bの端部部分と係合するように構成された一対のスロットを備える。光導部170a、170bは、2つの端部パネル130a、130b間の長さ未満の長さを有することにより、導部は、
図9から
図10に図示されるように導部支持スロット内に角度を付けられ得る。さらに、端部パネル130a、130bは、正面カバー150用のヒンジとしての役割を果たす孔を備え、正面カバー150は、開位置と閉位置との間で枢動するように適合化される。
【0027】
光ハウジング12を共に保持するために、固定具が、第1の実施形態のシャシプレート40に係合し、または、端部パネル30a、30b、130a、130b上に設けられた孔を介して後方パネル120に係合する。
【0028】
端部パネル30a、30b、130a、130bの両実施形態は、可視スペクトル光源を中に装着することが可能な、概して円錐形または凹状形状の凹部部分36a、36bを備える(第2のおよび第3の実施形態に関する図面には図示されない)。特定の一実施形態においては、可視スペクトル光源は、LED GU10光電球である。
【0029】
3つの実施形態の光導部70a、70b、170a、170b、270a、270bの構造は、実質的に同様であるが、第1の実施形態は、側部から昆虫引寄せ光源60a、60bに当接し、第2のおよび第3の実施形態は、後方から昆虫引寄せ光源160a、160bに当接する。このような構成を容易化するために、導部70a、70b、170a、170b、270a、270bは、2つ以上の寸法において延在する長さ部分を有し、それにより、第1の実施形態70a、70bは、その長さに沿って1つの屈曲部を備え、第2および第3の実施形態170a、170b、270a、270bは、2つの屈曲部を備える。
【0030】
正面カバー50、150、250は、実質的に同様であるが、上述のように、第1の実施形態は、端部パネル30a、30bと摺動的に係合するように構成され、第2のおよび第3の実施形態は、端部パネル130a、130bと枢動的に係合するように構成される。正面パネル50、150、250は、照明固定具に対して垂直に延在し、照明固定具に対する垂直の各側に対して30°から40°の範囲内で延在するいかなる光通し線からも、昆虫引寄せ光源60a、60b、160a、160bを遮蔽するのに十分な距離だけ、側方寸法において延在する。さらに、正面カバー50、150、250は、端部パネル30a、30b、130a、130bの上方および下方に一定距離だけ延在して、可視光4を表示する壁面照明要素80a、80b、180a、180bを視界から遮蔽する。
【0031】
図11に図示されるように、第3の実施形態の正面カバー250は、誘蛾灯250からのUV光の追加的な逃げ部を形成する複数の窓295を備える。図示される実施形態が、複数の窓295を使用するが、任意の個数の窓を使用することが可能である。窓295は、2つの別個の群に区分され、第1の群は、誘蛾灯の右側に位置し、他方の群は、誘蛾灯の左側に位置する。窓295の各群は、三角形パターンで配置されるが、任意のパターンを使用することが可能である。各窓295は、概して矩形であるが、窓295が任意の形状を有することが可能であることが予期される。図示される実施形態においては、窓295は、誘蛾灯の内部に位置するもの(UVランプおよび昆虫不動化機器)を隠すように、半透明であるか、または
網が設けられているが、窓295は、透明であることも可能である。ガラスおよびプラスチック(アクリルなど)を含む、任意の材料を、窓について使用することが可能である。
【0032】
窓295に半透明の外観を与えるために、窓の内側面は、第6,108,965号のカバーハウジングと同様に、粗面であることが可能であり、該文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において使用される際に、「粗面」という語は、破損済みの、非平坦の、きめを付けられた、凹凸状の、または、他の様式で平滑断面を有さない表面を意味する。このような表面は、窓295を砂吹きまたは、きめを付けられた表面を有する型を使用することによって成形することによって形成され得る。UVランプと対向関係にある粗内側面を窓295に形成することによって、正面カバー50を介したUVランプからの昆虫引寄せ光の伝達を強化することが可能であると、考えられている。理論によって拘束されることは欲さないが、粗面は、光源からの光の拡大レンズとして作用すると考えられている。
【0033】
本明細書において説明され特許請求される本発明が、いくつかの実施形態を参照としてかなり詳細に説明されたが、本明細書において説明され特許請求される本発明が、説明のために提示されたものとは異なる実施形態により実施可能であることが、当業者には理解されよう。実際に、誘蛾灯は、本明細書において説明され示されたもの以外の多数の異なる形状、配向、および形態をとることが可能であることが、予期される。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。