【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は添付された特許請求の範囲に記載の投与装置によって達成される。
【0012】
本発明によると、薬液を投与するための自給型携帯装置であって、該装置は:
薬液を含有している可撓性のパウチを入れるためのエンクロージャを有するハウジング、ここで該エンクロージャが、該パウチ内の第一のチャンバー及び該パウチの外側に配置された第二のチャンバーを有し、そしてこれらのチャンバーが該エンクロージャ内に圧力を伝える関係に配置され、
ハウジングが剛性のプラスチック材料で作られている;
上記薬液をレシピエントに送達するための導管に接続可能な上記第一のチャンバーからの排出部;及び
一定かつ制御可能なガス圧力を上記第二のチャンバーに供するための加圧システムを含み、ここで制御可能な圧力が、薬液の制御可能な送達のための上記第一のチャンバーにおいて得られ
る;第二のチャンバーは、薬液を保有する可撓性パウチの周りを包み膨張可能なブラダを形成することを特徴とするものである自給型携帯装置が供される。
【0013】
更に、該加圧システムは以下を含む:
陽圧ガスを送達するための圧力源;
該源に接続され、かつ陽圧リザーバを備えるように配置される、上記第二のチャンバーに接続された圧力蓄積タンク;
該圧力源から該圧力蓄積タンクの方向にのみガスが流れることを可能にする、圧力源及び圧力蓄積タンクの間に配置された一方向弁;及び
該圧力蓄積タンク及び該第二のチャンバーの間に配置された機械的圧力調節器。
【0014】
本発明に記載の投与装置は比較的に単純であり、そして比較的にコスト効率的に生産できる。これによって、使い捨ての、一回限りの使用のため等としてこの投与装置を供し、その結果、それを汚染の観点から非常に安全でそして確実なものとすることが可能になる。更に、とりわけ蓄積タンクを含む本発明の加圧システムは、多様な加圧源の使用と同時に、非常に安定でかつ制御可能なシステムの提供を可能ならしめ、ここで、ハウジングのエンクロージャにおいて薬液を含有する可撓性のパウチに作用する圧力は経時的に非常に安定であり、そして可撓性のパウチが満杯又はほとんど空な時でさえも本質的に一定である。従って、本発明は、薬液に対して非常に安定でかつ一定の送出圧力を供する。更に、加圧システムにおける圧力は常に3バール未満に保たれ得るため、システムの安全リスクを低減し、そしてシステムの安全要件をも低減する。これに対する唯一の例外はおそらく、より高い圧力が供され得る圧力源である。しかしながら、その場合、蓄積タンクがシステムの残りの部分に対する緩衝体として機能し、それによってシステム全体の適切な安全が確保される。
【0015】
本投与装置には、柔軟材料でできた包装済みの使い捨て用の標準的な薬液容器などの、薬液を保有するための如何なるタイプの可撓性のパウチも装着され得る。
【0016】
本発明は、患者の手術後の治療中の、長期間に亘る低い投与速度での、例えば麻酔剤などの鎮痛剤の投与に対して特に有用である。例えば、装置は、1〜200ml/hの範囲の、そして好ましくは1〜20ml/hの範囲の、そして最も好ましくは4〜12ml/hの範囲の、薬液の排出流速を供するように
調整されている。更に、装置が、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも12時間、そして最も好ましくは少なくとも24時間、本質的に一定の排出圧力及び排出流速を供するように
調整されている。
【0017】
本投与装置は、ロピバカインの溶液及び例えば、両者ともAstraZeneca社によって生産されているNarop(登録商標)及びNaropin(登録商標)などの他の局部麻酔剤のような、手術後の鎮痛のための液状薬剤などの如何なるタイプの薬液に対しても使用され得る。しかしながら、本投与装置は、静脈内輸液及び化学療法、抗ウイルス療法及び抗生物質療法を含むさまざまな薬物療法用の溶液を送るためにも使用され得る、そしてまた生理食塩水、グルコース溶液及び医薬品を含む他の種々の溶液の静脈導入を含む。例えば、麻酔剤の手術後の使用において、手術後及び外科的切開を閉じた後にカテーテルを通して薬液が投与され得る。
【0018】
本発明は、その操作のために如何なる電子部品なども必要としない、完全に機械的な構造である。更に、本装置は非常にコンパクトに作られ得て、そしてそのことによって携帯可能でありそして自給型であり得る。また更に、薬液は常に加圧システムから分離されて維持されるため、装置を非常に安全にし、そして薬液の汚染リスクを著しく低減し、かつまた、これらの材料が薬液に適合する必要がない、等のため、加圧システムにおいて、より低価格な材料を使用することが可能である。
【0019】
加圧システムによって供され、そして薬液を保有する可撓性のパウチに作用する格段に正確な圧力故に、薬液を患者に運ぶ導管における流れ調整などは原則として必要ない。しかしながら、ほとんどの場合、導管システムにおいては、流れ制御手段がやはり有利であり得る。例えば、患者への連続した薬剤投与を供する一つの分岐を有する、そしてボーラス投与の可能性を供する液体受器を有する第二分岐を有する、分岐された導管システムを供することが有利であり得る。通常、連続した薬剤投与は、例えば、1〜20ml/h、そして好ましくは2〜14ml/hであり得て、そしてバッチ的な(ボーラス)投与量は例えば、1〜6時間毎に、例えば余分に5〜30mlであり得る。更に、加圧システムによって本質的に一定の圧力が薬液を保持する可撓性のパウチ上に供される故に、装置からの排出液流を非常に正確に、そして比較的単純な手段によって制御することも可能になる。
【0020】
圧力源は好ましくは手動ポンプである。これによって、薬剤投与を始める前に、蓄積タンクを適切な圧力で手動で充填するためにポンプが使用されてもよく、そして使用中に、蓄積タンク中の圧力を上げるためにも使用され得る。最も好ましくは、ポンプが、圧力蓄積タンク上をスライド可能なように配置されている空気圧縮カップを含む。これによって、非常にコンパクトな製品が得られる。しかしながら、蓄積タンクを充填するために、圧力源が液化ガス容器、そして好ましくは液化CO
2容器、又は加圧空気を用いる容器などの他の代替圧力源も、蓄積タンクを充填するために使用され得る。
【0021】
加圧されたガスが圧力源から蓄積タンクの方向に移動されるのみで、そして逆方向には移動されないことが、一方向弁によって確保される。これによって、患者に薬品を投与し始める前の最初だけ、又は蓄積タンク中の圧力が所定の閾値より低くなる時だけなど、一時的に又は断続的にのみ圧力源を作動することが可能になる。
【0022】
機械的圧力調整器によって、安定でかつ一定のガス圧力が蓄積タンクから第二のチャンバーに供されることが、そして薬液を保有する可撓性のパウチが空である間、エンクロージャ中の圧力が自動的に調整されることが保証される。そのような機械的圧力調整器それ自体は以前から知られている。
【0023】
本装置は、好ましくは、薬液の本質的に一定の排出圧力を供するように
調整され、そして該排出圧力が好ましくは0.1〜1.0バールの範囲に、そして最も好ましくは0.3〜0.6バールの範囲にある。
【0024】
圧力蓄積タンクは、1バールを超える、そして好ましくは2バールを超える圧力を好ましくは蓄積できる。更に、安全対策として、圧力蓄積タンクには、もし、圧力が3バールの限界値のようなある限界値を超えると、蓄積タンクから圧力を解放するように
調整された高圧安全弁が好ましくは備わっている。同様に、ハウジング中のエンクロージャには、もし圧力がある限界値を超えると、エンクロージャから圧力を解放するように
調整された高圧安全弁が備えられ得る。
【0025】
第二のチャンバーは好ましくは膨張し得るブラダとして配置され、ここで該ブラダが該エンクロージャ内の前記可撓性のパウチに隣接して配置されている。しかしながら、代替法として、第一のチャンバーを保持するコンパートメント及び第二のチャンバーを形成するコンパートメントの間に配置された可撓性の膜を用いて、第二のチャンバーがエンクロージャ中に供され得る。また更に、第二のチャンバーは、薬液を保有する可撓性のパウチから外側にあるエンクロージャの全体であってもよく、それにより可撓性のパウチ上にガスが直接作用する。
【0026】
ハウジングは比較的剛性の材料、そして好ましくは剛性のプラスチック材料で作られる。
【0027】
マノメーターが、好ましくは、圧力蓄積タンク上に配置されていて、該タンク中の現在圧力の指示を出す。これは、タンクの現在圧力を監視するために、そして薬液の操作を監視するためにも使用できる。
【0028】
更に好ましくは、ハウジングには、第二のチャンバーの圧力を解放するための手動で制御できる弁が備わっている。これによって、例えば、可撓性のパウチの交換又は他の保守操作のために、第二のチャンバーの圧力が常に大気圧に解放できる。
【0029】
また更に、機械的圧力調節器が前記圧力蓄積タンク及び前記第二のチャンバーの間に配置され、第二のチャンバーに異なる圧力を供するように制御できる。これによって、第二のチャンバー中の圧力が制御可能になり、そして圧力調整器の制御を用いて異なる圧力レベルに設定できる。これは、例えば、種々のタイプの使用のために、又は使用中の第二のチャンバーの圧力制御のために、薬液の排出流の制御のための投与装置の設定のために使用できる。
【0030】
本発明の別の態様によると、薬液を投与するための方法を含む方法が供され、
以下の工程を含む:
ハウジングに薬液を含有する可撓性パウチを備えること;及び
該ハウジング内の該パウチの外側に配置された第二のチャンバーに、該薬液をレシピエントに送達するために可撓性のパウチ上に作用する圧力を供すること、
ここで第二のチャンバーの上記圧力が:
圧力源から陽圧を供すること;
該圧力の少なくとも一部を、圧力源から該源に接続された圧力蓄積タンクに逆戻りを可能にしない方法で送ること;及び
該圧力の少なくとも一部を、圧力蓄積タンクから、第二のチャンバーに該圧力蓄積タンク及び該第二のチャンバーの間に配置された機械的圧力調節器を通して送ること;
のさらなる工程によって供される。
【0031】
本発明のこの態様を用いて、同様の利点が得られ、そして本発明の対応する第一態様に関して、上述したように、対応する好ましい実施態様が実行できる。
【0032】
本発明のこれらの及び他の態様が、以下に述べられる実施態様から明らかになり、そしてそれらを参照して明らかにされるであろう。
【0033】
例示目的で、添付図面に示された本発明の実施態様を参照しながら、本発明をさらにきめ細かく詳細に以下に説明する。