特許第5662835号(P5662835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5662835グリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662835
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】グリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/29 20060101AFI20150115BHJP
   C07C 69/54 20060101ALI20150115BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150115BHJP
【FI】
   C07C67/29
   C07C69/54 Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-37258(P2011-37258)
(22)【出願日】2011年2月23日
(65)【公開番号】特開2012-171940(P2012-171940A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2013年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三村 康寛
(72)【発明者】
【氏名】西井 聖悦
(72)【発明者】
【氏名】万木 啓嗣
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−241001(JP,A)
【文献】 特開2008−184434(JP,A)
【文献】 特開昭62−093246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/29
C07C 69/54
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリシジル(メタ)アクリレートと水とを反応させる工程を含むグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法であって、
該反応工程は、無機固体酸触媒の存在下で行われ、該無機固体酸触媒は、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有するゼオライトであり、
該ゼオライトは、ベータ型、シリカアルミナ比が20〜300であるモルデナイト型、シリカアルミナ比が20〜60であるY型のいずれかであることを特徴とするグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項2】
前記無機固体酸触媒は、ゼオライトの無機担体上を鉱酸で熱処理したものであることを特徴とする請求項1に記載のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
【請求項3】
前記ベータ型のゼオライトは、シリカアルミナ比が5〜1000であることを特徴とする請求項1又は2に記載のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法に関する。より詳しくは、繊維染色改質剤、樹脂防曇剤、保湿剤、UV/EB硬化剤等に好適に用いられるグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリセリンモノ(メタ)アクリレートは、水酸基に由来する親水性と、(メタ)アクリロイル基における重合反応性とを持つといった特徴を有し、繊維染色改質剤、樹脂防曇剤、保湿剤、UV/EB硬化剤、塗料、顔料分散剤、電子写真用バインダー、コンタクトレンズ、歯科材料等の合成原料として有用であることが知られ、各種の製造方法が検討されている。
従来のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法としては、(1)グリシジル(メタ)アクリレートの水和によるエポキシ開環反応を利用した方法、(2)グリシドールに(メタ)アクリル酸を作用させ開環エステル化反応を行う方法、(3)イソプロピリデングリセリル(メタ)アクリレートの脱ケトン、脱アルデヒド反応を行う方法等が知られている。
【0003】
上記(1)の方法としては、例えば、酸触媒、重合禁止剤および水からなる混合液中にグリシジル(メタ)アクリレートを添加して反応させ、反応終了後に酸価を0.3〜0.8に調整した後、10〜40℃で減圧下に脱水する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。上記(2)の方法としては、例えば、(メタ)アクリル酸とグリシドールをグリシドール/(メタ)アクリル酸のモル比1.05〜1.5で塩基性触媒の存在下、酸素濃度1%以上の不活性ガス/酸素混合ガス雰囲気下、95℃以下で反応させる方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、上記(3)の方法としては、例えば、イソプロピリデングリセリル(メタ)アクリレートをカチオン交換樹脂の存在下で水と反応させ、脱ケトン又は脱アルデヒド反応を行う方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−215650号公報(第1−2頁)
【特許文献2】特開昭62−70341号公報(第1−2頁)
【特許文献3】特開平11−322675号公報(第1−2頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、グリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法として、様々な反応ルートが試みられている。
上記(1)の方法においては、反応を円滑に進行させるために、酸触媒の添加が必要であり、特許文献1には酸触媒として硫酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸、スルホン酸型イオン交換樹脂が例示されている。このうち、酸触媒として硫酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸等の均一系触媒を用いた場合には、特許文献1にも開示されている通り、反応後に中和工程を行うことが必要となり、酸を中和する工程においては塩が発生するために、その塩を除去する工程が余分に必要となる。このように製造工程が煩雑になるという問題があった。また、酸による製造装置の腐食及び作業者の安全性といった問題も抱えていた。
一方、酸触媒としてスルホン酸型イオン交換樹脂等の不均一系触媒を用いた場合、イオン交換樹脂は、機械的強度が低いために繰り返し用いることが困難であるという問題があった。また、イオン交換樹脂を使用前に充分洗浄していないと、反応系内に微量の有機分が溶出して製品に残存してしまい、製品の着色の原因となってしまうために、イオン交換樹脂の使用前の充分な洗浄が必要であり、やはり製造工程が煩雑になるという問題を抱えていた。
更に、均一系酸触媒、不均一系酸触媒いずれを使用する場合であっても高温条件下での反応が必要であるために、副反応が起こってしまい、製品の純度が低下してしまうという問題があった。
【0006】
また、上記(2)の方法においては、塩基性触媒の存在下で反応を行うことが求められ、そのような塩基性触媒として特許文献2には均一系触媒が例示されている。上記(3)の方法においては、特許文献3ではカチオン交換樹脂の存在下に行うことが示されている。すなわち、上記(2)、(3)の方法も、上述した(1)の方法と同様の問題点を抱えているものであった。更に、特許文献2においては、充分な反応速度を得るためには高温条件下で反応することが必要であり、用いるグリシドールは極めて不安定な化合物であるためその取り扱いには極めて慎重さが必要である。
また、特許文献3においては、脱ケトン反応において低温で長時間の反応が必要であり、さらに原料のイソプロピリデングリセリル(メタ)アクリレートの入手が困難であった。
このように、従来のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法は、様々な問題点を抱えており、工業的にグリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造する方法として効率的な方法であるとは言い難い。そこで、純度の高いグリセリンモノ(メタ)アクリレートをより簡便に効率良く製造することができ、グリセリンモノ(メタ)アクリレートの工業生産に好適に用いることができる製造方法が求められるところであった。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、純度の高いグリセリンモノ(メタ)アクリレートを簡便に生産効率良く製造することができ、グリセリンモノ(メタ)アクリレートの工業生産に好適に用いることができるグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法について検討し、原料の安定性や原料調達、製造コストを含めた工業スケールでの製造を行う観点から、グリシジル(メタ)アクリレートを水和して、グリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造する方法に着目した。そして、当該水和反応を、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒の存在下で行うと、従来知られている酸触媒と比較してカチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒が当該水和反応において高活性を示すために、当該水和反応を温和な反応条件下で反応を行うことが可能となることを見出した。これにより、副反応の進行を抑制し、純度の高いグリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造することができるものである。本発明においては、反応原料であるグリシジル(メタ)アクリレート、目的生成物であるグリセリンモノ(メタ)アクリレートが共に重合性二重結合を有するものであるために、高温条件下で合成反応を行うと重合反応が進行し、生成物の収率が低下してしまう。このため、温和な反応条件下で反応を行うことができることは、本発明のような重合性の化合物を反応原料、生成物とする反応において純度の高い生成物を得る上で特に重要であり、技術的意義の大きいものであるといえる。更に、触媒として無機固体酸を用いることから、触媒の分離をろ過等により容易に行うことができる点においても優れた方法である。このように、グリシジル(メタ)アクリレートを水和して、グリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造する方法において、当該水和反応をカチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒の存在下で行うことにより、上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0009】
一般に無機固体酸が触媒として機能する反応には、酸性白土やアルミナなどの種々の固体酸も触媒として用いることができる場合が多いが、グリシジル(メタ)アクリレートを水和して、グリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造する反応においては、酸性白土やアルミナなどの、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有さない固体酸の存在下ではほとんど反応が進行せず、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有さない無機固体酸は触媒として機能しないことがわかった。すなわち、本発明の製造方法は、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒のみが有する特性を利用したものであり、このような反応において、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸のみが特異的に触媒作用を発揮することは本発明において初めて見出された知見であり、当業者が予測することのできない結果である。
【0010】
すなわち本発明は、グリシジル(メタ)アクリレートと水とを反応させる工程を含むグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法であって、上記反応工程は、無機固体酸触媒の存在下で行われ、上記無機固体酸触媒は、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有することを特徴とするグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法は、グリシジル(メタ)アクリレートと水とを反応させる工程を含むものであるが、該反応工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。また、本発明の製造方法においては、グリシジル(メタ)アクリレートとして、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートのいずれか一方のみを用いてもよく、両方を用いてもよい。また、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒は1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。更に、本発明の製造方法は、グリシジル(メタ)アクリレート、水、及び、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒を用いて行われる限り、その他の成分を含んで行われてもよいが、後述するように、更に重合禁止剤を含んでいることが好ましい。すなわち、上記反応工程が、更に、重合禁止剤の存在下で行われる形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0012】
上記無機固体酸触媒は、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有するものであるが、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する限り、その他のカチオンを有していてもよい。上記その他のカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;マグネシウムイオン、カルシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アルミニウムイオン、チタンイオン、ガリウムイオン、鉄イオン、セリウムイオン等の金属イオンなどが挙げられる。
【0013】
上記無機固体酸触媒が、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンに加え、上記その他のカチオンを有する場合、上記無機固体酸触媒は、上記無機固体酸触媒の有するカチオンの総量100モル%に対して、プロトン及び/又はアンモニウムイオンを10〜100モル%有していることが好ましい。より好ましくは、20〜100モル%であり、更に好ましくは、30〜100モル%である。中でも、上記無機固体酸触媒としては、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンのみを有する形態であることが特に好ましい。
【0014】
上記無機固体酸触媒の形状は粉体、顆粒、成形体いずれであってもよいが、反応の進行速度の観点から、粉体が好ましい。粉体の場合、触媒活性の点からは細かい方が望ましいが、反応液からの分離を考えると、無機固体酸触媒の粒径は0.5μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましい。成型体としては無機固体酸触媒を粘土、アルミナ、シリカ、チタニア等の無機化合物上に保持した粒子状、繊維状、鱗片状、円錐状等の多種のものが知られているが、物理的強度が充分であればいずれを使用することもできる。
【0015】
上記無機固体酸触媒としては、例えば、ゼオライト;固体リン酸;粘土、シリカ、アルミナ及び酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種の無機担体上を鉱酸で熱処理したもの−具体的には、活性白土等−;等が挙げられるが、これらの中でも、ゼオライトや、粘土、シリカ、アルミナ及び酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種の無機担体上を鉱酸で熱処理したものが好ましく、より好ましくは、ゼオライトである。特に、ゼオライトは、窒素のような不活性ガスを通気しながら加熱することで容易に再生できる点からも、無機固体酸触媒として用いるのが好ましいものである。
このように、上記無機固体酸触媒が、ゼオライト、又は、粘土、シリカ、アルミナ及び酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種の無機担体上を鉱酸で熱処理したものである形態は、本発明の好適な実施形態の1つである。更に、上記無機固体酸触媒が、ゼオライトである形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
【0016】
上記ゼオライトは、アルミナに対するシリカの質量比、すなわち、シリカアルミナ比(シリカ/アルミナ)が5〜1000であることが好ましい。ゼオライトの触媒としての作用には、カチオン量及び酸強度が影響することになる。シリカアルミナ比が5未満であると、上記ゼオライトのカチオン量は多くなるものの酸強度が弱くなってしまう。また、シリカアルミナ比が1000を超えると、上記ゼオライトの酸強度は強くなるものの、有するカチオン量が少なくなってしまう。このため、いずれの場合も触媒作用を充分に発揮することができなくなるおそれがある。それに対して、ゼオライトが5〜1000のシリカアルミナ比を有することにより、酸強度とカチオン量とのバランスのとれたものとなり、グリシジル(メタ)アクリレートと水との反応をより速く進行させることが可能となる。上記シリカアルミナ比としてより好ましくは、10〜500であり、更に好ましくは、20〜300、特に好ましくは30〜200である。
【0017】
上記ゼオライトとしては、ベータ型、モルデナイト型、A型、X型、Y型、オメガ型、L型、ZSM−5型、ZSM−11型,ZSM−12型、ZSM−35型、クリノプチロライト型、フェリエライト型、スチルバイト型、ファウジャサイト型、グメリナイト型、カンクリナイト型等の基本骨格を有するものが使用可能で、晶系はこれらに限定されるものではない。ゼオライトがこのような結晶系を有することにより、グリシジル(メタ)アクリレートと水との反応をより速く進行させることが可能となる。ゼオライトの結晶系として好ましくは、ベータ型、モルデナイト型、Y型、ZSM−5型であり、より好ましくは、ベータ型、モルデナイト型、Y型であり、更に好ましくはベータ型、モルデナイト型である。
【0018】
上記ゼオライトとしては、例えば、HSZ−930NHA(東ソー社製、アンモニウムイオン、ベータ型、シリカアルミナ比27)、HSZ−940NHA(東ソー社製、アンモニウムイオン、ベータ型、シリカアルミナ比40)、HSZ−940HOA(東ソー社製、プロトン、ベータ型、シリカアルミナ比40)、HSZ−960HOA(東ソー社製、プロトン、ベータ型、シリカアルミナ比100)、HSZ−980HOA(東ソー社製、プロトン、ベータ型、シリカアルミナ比500)、HSZ−840NHA(東ソー社製、アンモニウムイオン、ZSM−5型、シリカアルミナ比40)、HSZ−860HOD(東ソー社製、プロトン、ZSM−5型、シリカアルミナ比70)、HSZ−890HOA(東ソー社製、プロトン、ZSM−5型、シリカアルミナ比1500)、HSZ−640HOD(東ソー社製、プロトン、モルデナイト型、シリカアルミナ比18)、HSZ−690HOD(東ソー社製、プロトン、モルデナイト型、シリカアルミナ比230)、HSZ−320HOA(東ソー社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比5.5)、HSZ−350HUA(東ソー社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比10)、HSZ−360HUA(東ソー社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比14)、HSZ−385HUA(東ソー社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比100)、HSZ−390HUA(東ソー社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比500)、CBV300(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、Y型、シリカアルミナ比5.1)、CBV400(ゼオリスト社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比5.1)、CBV500(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、Y型、シリカアルミナ比5.2)、CBV600(ゼオリスト社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比5.2)、CBV712(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、Y型、シリカアルミナ比12)、CBV720(ゼオリスト社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比30)、CBV760(ゼオリスト社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比60)、CBV780(ゼオリスト社製、プロトン、Y型、シリカアルミナ比80)、CBV21A(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、モルデナイト型、シリカアルミナ比20)、CBV90A(ゼオリスト社製、プロトン、モルデナイト型、シリカアルミナ比90)、CP814E(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、ベータ型、シリカアルミナ比25)、CP811E−75(ゼオリスト社製、プロトン、ベータ型、シリカアルミナ比75)、CP811E−150(ゼオリスト社製、プロトン、ベータ型、シリカアルミナ比150)、CP811C−300(ゼオリスト社製、プロトン、ベータ型、シリカアルミナ比300)、CBV30014G(ゼオリスト社製、プロトン、ZSM−5型、シリカアルミナ比150)、CBV3024E(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、ZSM−5型、シリカアルミナ比30)、CBV5524G(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、ZSM−5型、シリカアルミナ比50)、CBV8014(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、ZSM−5型、シリカアルミナ比80)、CBV28014(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、ZSM−5型、シリカアルミナ比280)、CP914(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、フェリエライト型、シリカアルミナ比55)、CP914c(ゼオリスト社製、アンモニウムイオン、フェリエライト型、シリカアルミナ比20)等が挙げられる。
なお、ゼオライトは、本発明の製造方法において使用した後、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で、約400〜800℃の高温で加熱することにより再生することができるため、再利用が容易である。
【0019】
上記反応工程に用いる水の量は特に限定されないが、反応の効率や反応後の脱水を考慮すると、グリシジル(メタ)アクリレート1モルに対して2〜100モルであることが好ましく、より好ましくは3〜50モルであり、更に好ましくは、4〜20モルである。
【0020】
上記反応工程は、更に重合禁止剤の存在下で行われることが好ましい。上記反応工程を重合禁止剤の存在下で行うことにより、生成するグリセリンモノ(メタ)アクリレートが重合するのを充分に抑制し、グリセリンモノ(メタ)アクリレートを高い収率で得ることができる。
上記重合禁止剤としては、ヒドロキノン、2−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、ヒドロキノン1−モノメチルエーテル、ヒドロキノン1−モノベンジルエーテル、ヒドロキノン1−モノフェニルエーテル、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、フェノチアジン、N,N’ジフェニル−p−フェニレンジアミン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイリオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどが挙げられる。これらの中では、ヒドロキノン、ヒドロキノン1−モノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジンが特に好ましい。これら重合禁止剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0021】
上記重合禁止剤の使用量としては、特に制限されないが、グリシジル(メタ)アクリレート100質量%に対して、0.0005質量%以上が好適である。より好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.002質量%以上、特に好ましくは0.005質量%以上である。また、3質量%以下が好適であり、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。
また、上記重合禁止剤の反応系内への投入方法についても、特に制限されず、反応前に反応容器に仕込んでもよいし、反応開始時に投入してもよいし、反応途中において投入してもよい。また、一括で仕込む又は投入してもよいし、断続的に投入してもよいし、連続的に滴下して投入してもよい。中でもグリシジル(メタ)アクリレートに溶解させ、反応開始時から連続的に滴下する形態が好ましい。
【0022】
上記反応工程においては、同様に重合を防ぐ目的で反応系内に分子状酸素を導入することが効果的である。
上記反応工程における反応系気相部の分子状酸素濃度としては、0.01〜10%であることが好ましく、より好ましくは、0.02〜9%であり、更に好ましくは、0.05〜8%である。
なお、分子状酸素濃度の設定は、分子状酸素又は空気等の分子状酸素を含むガスと、窒素やアルゴン等の不活性ガスとを、反応器に別々に供給したり、予め混合して供給したりすることにより行われる。
【0023】
上記反応工程における反応温度は、特に制限されず、0〜150℃で行うことができる。中でも、本発明の製造方法は、温和な条件下で反応を行うことができるために、反応生成物の純度を高いものとすることができることから、本発明の効果がより顕著に現れるという点において、90℃以下であることが好ましく、更に好ましくは、80℃以下である。また、反応時間を短縮するために、反応温度は20℃以上が好ましく、更に好ましくは30℃以上である。通常反応時間は、グリシジル(メタ)アクリレートと水との反応が完了するよう、反応温度、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒の種類及び使用量、並びに、反応原料の使用量等に応じて適宜設定すればよい。また、反応圧力は、特に制限されず、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下いずれの条件下で行ってもよい。
【0024】
また、上記反応工程を行う反応形式としては、特に制限されず、回分式でも連続式でも行うことができる。
回分式によって反応を行う場合には、上記無機固体酸触媒の使用量としては、グリシジル(メタ)アクリレート100質量%に対して、0.01〜20質量%であることが好ましい。このような範囲の使用量であると、グリシジル(メタ)アクリレートと水との反応が充分に速く進行させることができる。より好ましくは、0.1〜10質量%であり、更に好ましくは、0.2〜5質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。
【0025】
上記回分式によって反応を行う場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、水、及び、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒の投入時期はいずれも特に制限されず、反応前に反応容器に仕込んでもよいし、反応開始時に投入してもよいし、反応途中において投入してもよい。また、投入方法もいずれも制限されず、一括で仕込む又は投入してもよいし、断続的に投入してもよいし、連続的に滴下して投入してもよい。中でも、水とカチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒を反応前に反応容器に仕込み、グリシジル(メタ)アクリレートを反応開始時から連続的に滴下する形態が好ましい。
【0026】
また、上記連続式によって反応を行う場合には、グリシジル(メタ)アクリレートと水を管型、槽型などの反応器内に連続的に投入し、連続的に反応液を反応器から抜き出して行うことができる。この際、触媒は、原料とともに連続的に供給し、反応液とともに連続的に抜き出してもよいし、管型などの反応器の場合には、固体触媒を反応器内に充填して使用する、いわゆる固定床形式で使用してもよい。また、槽型の反応器の場合には、固体触媒を反応器内で反応液とともに流動させて使用する、いわゆる流動床形式で使用してもよい。また、これら連続反応の場合には、反応液の一部を循環させる形態をとってもよい。原料グリシジル(メタ)アクリレートと水の反応器への投入については、それぞれ別々の投入ラインから投入してもよいし、反応器へ投入する前に、配管、又は、ラインミキサー、ミキシングタンクなどで予め混合してから投入してもよい。また、管型反応器などで固定床形式で使用する場合には、下記式により算出される単位時間あたりのカチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒に対する接触液量(LHSV)が、下限が0.05hr−1、上限が15hr−1であることが好ましい。より好ましくは、下限が0.1hr−1、上限が10hr−1である。
LHSV(hr−1)={(1時間あたりのグリシジル(メタ)アクリレートの流量(L・hr−1))+(1時間あたりの水の流量(L・hr−1))}/(カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒の容量(L))
【0027】
本発明の製造方法においては、上記反応工程に引き続いてグリセリンモノ(メタ)アクリレートを精製回収する工程を行ってもよい。
上記精製回収工程は、まず反応終了後、無機固体酸触媒を分離し、続く脱水操作により行われる。脱水操作は減圧下で加熱して水を留去させる方法が好ましい。脱水操作中での重合を防ぐため、このときの温度は10〜100℃の範囲で行うことが好ましい。圧力は温度によるが、たとえば5〜200mmHgで行うことができる。又、脱水操作を行う前に上記重合禁止剤を追加することが好ましい。重合禁止剤の添加量は、グリセリンモノ(メタ)アクリレート100質量%に対して、0.0005〜1質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.001〜0.5質量%であり、更に好ましくは、0.005〜0.3質量%である。
上記反応工程終了後、上記のように脱水操作を行うことでグリセリンモノ(メタ)アクリレートを得ることができるが、有機溶剤を加えて共沸を行ってもよい。用いる溶剤は、グリセリンモノ(メタ)アクリレートに対して不活性であれば特に制限はないが、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類を用いることができる。これらの中では、脂肪族炭化水素類、芳香族系炭化水素類が、安全性を含めたハンドリングや経済性の点から好ましい。これらの有機溶剤を用いて共沸することにより、上記の脱水操作と同様な方法で水を除去することができる。
【0028】
本発明における反応原料であるグリシジル(メタ)アクリレートを製造する方法としては特に制限されず、例えば、特公昭45−28762号や特公昭47−38421号に記載の製造方法により製造することができる。
【0029】
本発明のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法は、純度の高いグリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造することができるものであるが、製造されるグリセリンモノ(メタ)アクリレートの純度としては、上記精製回収工程終了後のグリセリンモノ(メタ)アクリレートと副生成物との合計モル数に対するグリセリンモノ(メタ)アクリレートの割合(モル比)が95〜100%であることが好ましい。このような純度であれば高純度に製造することができていると評価することができる。より好ましくは、96〜100%であり、更に好ましくは、97〜100%である。
なお、上記副生成物とは、上記反応工程において生成してくるグリセリンモノ(メタ)アクリレート以外のグリシジル(メタ)アクリレートに由来する化合物全てを表している。
【発明の効果】
【0030】
本発明のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法は、上述の構成よりなり、純度の高いグリセリンモノ(メタ)アクリレートを生産効率良く製造することができるために、グリセリンモノ(メタ)アクリレートの製造方法として工業的に好適に用いることができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0032】
以下の実施例及び比較例において、原料転化率、純度、収率は、以下の装置、測定条件でガスクロマトグラフィー測定を行うことにより、求めた。
装置:ガスクロマトグラフ(製品名「GC−2014」、島津製作所社製)
測定条件
キャリア圧(He):200.0kPa
インジェクション温度:280℃
ディテクター温度:280℃
昇温プログラム:開始温度50℃、18.5℃/分で235℃まで昇温し、235℃で10分間保持
キャピラリーカラム:CP−Sil5 CB(商品名、Varian社製、長さ:60m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm)
【0033】
(実施例1)
攪拌器、温度計、還流冷却器、ガス導入管、滴下ロートを装着した五つ口フラスコ中に、水(90.1g、5mol)と、グリシジルアクリレートに基づいて2.0質量%の酸性ゼオライト(2.6g、商品名「HSZ−690HOA」、東ソー社製、カチオン;プロトン、モルデナイト型、シリカアルミナ比240)を仕込み、50℃まで加熱した。
続いて、酸素と窒素の混合ガス(酸素濃度:7%)を導入しながら、滴下ロートより重合禁止剤2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BHT)を300ppm含んだグリシジルアクリレート(128.13g、1mol)を内温が60℃以下となるように徐々に滴下した。
滴下は1時間で終了し、その後更に2時間熟成することで滴下した全てのグリシジルアクリレートが消費されたことが、ガスクロマトグラフィーにより確認された。
反応終了後、反応混合物を室温まで冷却し、ろ過によりゼオライトを分離した後、重合禁止剤としてヒドロキノン(HQ)をグリセリンモノアクリレートに対して500ppm加え、7%酸素ガス(窒素バランス)を吹き込みながら30mmHgの減圧下で水の留去を行い、純度99%、収率99%でグリセリンモノアクリレートを得た。
【0034】
(比較例1)
無機固体酸触媒として酸性白土(和光純薬社製、カチオン;ナトリウムイオン、カルシウムイオン)を用いた以外は、実施例1と同様にして反応を行った。グリシジルアクリレートの滴下開始から6時間経過後もグリシジルアクリレートはほとんど消費されず、グリセリンモノアクリレートの生成も3%しか確認されなかった。
【0035】
(実施例2)
試験管に、グリシジルアクリレート(1.5g)、水(1.0g)、粉末状のゼオライト(100mg、商品名「HSZ−940HOA」、東ソー社製、カチオン;プロトン、ベータ型、シリカアルミナ比40)を仕込み、その試験管を60℃の恒温槽中で攪拌しながら、加熱した。
反応開始から6時間後のグリセリンモノアクリレートの収率をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、収率99%であった。ゼオライトの種類、及び、反応開始から6時間後のグリセリンモノアクリレートの収率を表1に示す。
【0036】
(実施例3、4、6、8、14〜17、参考例5、7、9〜13
反応原料及びゼオライトの種類を表1記載のように変更した以外は、実施例2と同様にして反応を行い、反応開始から6時間後のグリセリンモノ(メタ)アクリレートの収率を測定した。結果を表1に示す。
なお、実施例3、4、6、8、14〜17、参考例5、7、9〜13中、収率が低くなっている場合もあるが、副生成物の存在は確認されないことから、反応時間を更に延ばすことで100%近い収率を得ることが可能であるものと考えられる。
【0037】
参考例18)
無機固体酸触媒としてガレオナイト(水澤化学工業社製、活性白土、カチオン;プロトン、ナトリウムイオン、カルシウムイオン)を用いた以外は、実施例2と同様にして反応を行い、反応開始から6時間後のグリセリンモノアクリレートの収率を測定した。結果を表2に示す。
【0038】
(比較例2)
無機固体酸触媒を用いない以外は、実施例2と同様にして反応を行い、反応開始から6時間後のグリセリンモノアクリレートの収率を測定した。結果を表2に示す。
【0039】
(比較例3)
無機固体酸触媒としてキョーワード700(協和化学工業社製、カチオン;ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン)を用いた以外は、実施例2と同様にして反応を行い、反応開始から6時間後のグリセリンモノアクリレートの収率を測定した。結果を表2に示す。
【0040】
(比較例4)
無機固体酸触媒として酸性白土(和光純薬社製、カチオン;ナトリウムイオン、カルシウムイオン)を用いた以外は、実施例2と同様にして反応を行い、反応開始から6時間後のグリセリンモノアクリレートの収率を測定した。結果を表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
上記表1及び表2中の略号は、以下の通りである。
GA:グリシジルアクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
【0044】
実施例、及び、比較例の結果から以下のことが分かった。
グリシジル(メタ)アクリレートと水とを反応させて、グリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造する方法において、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒の存在下で反応を行うと、純度の高いグリセリンモノ(メタ)アクリレートを生産効率良く製造することができることが分かった。
なお、上記実施例においては、グリシジル(メタ)アクリレートと特定の無機固体酸触媒が用いられているが、グリシジル(メタ)アクリレートと水からグリセリンモノ(メタ)アクリレートを製造する場合において、カチオンとしてプロトン及び/又はアンモニウムイオンを有する無機固体酸触媒の存在下に反応を行った場合の反応は、全て同様の反応機構となる。
従って、上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができると言える。