【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「
複数のマンホール40間を接続する管路41内に走行車30を導入するための導入装置10であって、
マンホール40の内の一つに挿入される
導入杆11と、この
導入杆11に位置調整可能に連結される導入本体12と、この導入本体12の下部に連結した走行車20用の支持台13とを備えたことを特徴とする管路走行車用の導入装置10」
である。
【0013】
すなわち、この請求項1に係る導入装置10は、
図1〜
図3に示すように、マンホール40の上から地中の管路41内に、走行車20を導入したり、この走行車20を使用して清掃具30のための牽引索条31を導入したりするものであり、
マンホール40の内の一つに挿入される
導入杆11と、この
導入杆11に位置調整可能に連結される導入本体12と、この導入本体12の下部に連結した走行車20用の支持台13とを備えたものである。
【0014】
導入杆11は、作業者が手で持って、下端部に装着した走行車20をマンホール40内に挿入するものであり、走行車20を装着できるのであればその構造に特に限定されるものではないが、後述する実施形態では、係止穴11cをそれぞれ有する外側杆11a及び内側杆11bからなるものである。
【0015】
導入本体12は、上記導入杆11の下端部に対して位置調整可能に取り付けられるものであれば、例えばネジで導入杆11側に連結できるようなもののように、どのようなものであってもよいが、後述する実施形態では、導入杆11の係止穴11cに係止される係止ブロック16を備えたものとなっている。また、この導入本体12には、走行車20を載置して装着するための支持台13が設けてある。
【0016】
支持台13は、
図12に示すような走行車20を上面に装着できるようにしたものであり、基部にて導入本体12に連結される。勿論、この支持台13は、導入杆11に対して略直交するものであり、導入杆11を垂直に立てたときには、走行車20を水平に支持することができるものである。また、この支持台13の先端は、
図4にも示すように、装着した走行車20が管路41に向けて支障なく走行し得るように開放させてある。
【0017】
以上のように構成した導入装置10を使用するには、まず、走行車20を導入したい管路41が、
図1に示すような底面42と同一位置に開口していない場合に、走行車20を装着していない導入杆11をマンホール40内に挿入して、導入杆11の下端がマンホール40の底面42上に到達したときの、支持台13の位置を目視でチェックする。そして、走行車20を導入したい管路41に支持台13が、例えば
図2に示す位置に合うように、地上において立てた導入杆11に対して位置調整するのである。そして、この支持台13上に走行車20を装着し、そのまま導入杆11をマンホール40内に挿入するのである。
【0018】
この挿入時には、この走行車20に補助索条21を連結しておくとともに、走行車20を駆動状態、つまり車輪が回転している状態にしておく。なお、走行車20は、車輪が空転できるように、支持台13上に装着されている。そうすれば、支持台13が管路41の入り口に位置したときに、車輪が底面42に接するか、あるいは導入装置10全体を少し揺らすことによって管路41の一部に接触することによって、走行車20は管路41内に向けて自動的に走り出す、つまり導入されるのである。
【0019】
ここで、走行車20そのものが、
図12及び
図13に示すような、管路41内の様子を撮像できるカメラを搭載し、その画像データを外部のモニターに送ることができるタイプのものであれば、管路41が人が入れないような内径のものであっても、地上において管路41内の状況がチェックできることになる。チェックを終えた走行車20は、補助索条21を引くことによって元の位置に引き戻すことが出来る。
【0020】
あるいは、この走行車20は、別のマンホール40に到達したとき内壁に当たるか底面42上に落下して停止するから、この走行車20を、例えば導入杆11を使用して引き上げるのである。そのために、この導入杆11の導入本体12を取り付けるのとは反対側に、走行車20に係合するような「鉤爪」を設けておくと便利である。
【0021】
また、管路41内に入り込んだ走行車20には補助索条21が連結してあったから、走行車20は、この補助索条21を管路41内に引き込んで行く。そして、この走行車20は、別のマンホール40に到達したとき内壁に当たるか底面42上に落下して停止するから、この走行車20を引き上げれば、これに連結してあった補助索条21も別の管路41から引き出される。そこで、この補助索条21に牽引索条31を連結して、この補助索条21を元のマンホール40(走行車20を挿入した側のマンホール40)から引き出せば、牽引索条31は、もとのマンホール40側に引き出される。そこで、この牽引索条31に
図15に例示するような清掃具30を連結して、別のマンホール40側にある牽引索条31の端部を例えば巻き取り機50等を使用して引き出せば、清掃具30によって当該管路41内の清掃がなされることになる。
【0022】
以上の結果、例えば
図1及び
図2に示すように、一つのマンホール40に複数の管路41が高さの異なる状態で接続されていても、導入本体12または支持台13の導入杆11に対する位置を調整することによって、一つのマンホール40において複数の管路41内への走行車20の導入が行えるのである。しかも、当該導入装置10は、地上から操作することが出来るものであるから、人が入れない程の細い管路41内であっても、走行車20等を導入することができるのである。
【0023】
従って、この請求項1の導入装置10は、構成が簡単で作業も容易に行えることは勿論、一つのマンホール40に高さが異なる状態で接続されていて、しかも人が入れない程の細い管路41内であっても、走行車20等を導入することができるものとなっているのである。
【0024】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の管路走行車用の導入装置10について、
「支持台13の導入本体12に対する連結
を、導入杆11の挿入方向に対して傾動可能にしたこと」
である。
【0025】
この請求項2に係る導入装置10では、
図4中に実線及び仮想線にて示した支持台13のように、これの導入本体12に対する連結を傾動可能にしたものであり、これによって、支持台13が、
図4中に示した実線の位置と、仮想線にて示した位置との間で傾動できるものである。
具体的には、支持台13は、導入杆11に対して略直交するものであり、導入杆11を垂直に立てたときには、走行車20を水平に支持することができるものである。
【0026】
支持台13が、
図4中に示した実線の位置と、仮想線にて示した位置との間で傾動できると、走行車20を導入すべき管路41が開口しているマンホール40の直径が、例えば
図1に示したものより寸法Lだけ小さい場合にも、走行車20の導入を図ることができる。この場合、寸法Lは、
図3の(b)に示すように、導入杆11の後端と、水平にした支持台13の先端、あるいはこの支持台13上に設置した走行車20の先端との寸法から、当該マンホール40の直径を引いた値である。
【0027】
マンホール40の直径が
図3の(b)に示すような寸法L分だけ小さい場合には、
図3の(a)に示すように、支持台13の先端を上方に傾動させた状態で、当該導入装置10のマンホール40内への挿入を行うのである。支持台13の先端が
図3の(a)に示す状態に傾動されていれば、当該支持台13またはその上の走行車20の平面視寸法は寸法Lとなり、当該マンホール40内への挿入が行えることになる。
【0028】
そして、導入装置10がマンホール40内部に挿入されていき、支持台13または走行車20の先端は、マンホール40の底面42の直上に位置する角部43より下がった直後にマンホール40の内壁から離れるから、支持台13及びその上の走行車20は、
図3の(a)に示した状態から同(b)に示した状態へと自然に移行する。そうすれば、上記請求項1の導入装置10と同様に、走行車20を該当する管路41内に導入することができることになる。
【0029】
従って、この請求項2の導入装置10は、請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、内径がさらに小さいマンホール40があっても、走行車20等を導入することができるものとなっているのである。
【0030】
また、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の管路走行車用の導入装置10について、
「導入本体12の上部に、支持台13
を水平に突出させたときの方向に突出して、マンホール40内面に当接する支持脚14を設けたこと」
である。
【0031】
すなわち、この請求項3の導入装置10では、
図1等で示すように、導入本体12の上部に、支持台13の先端部側に突出して、マンホール40内面に当接する支持脚14を設けたものである。
【0032】
この支持脚14の先端は、当該導入装置10をマンホール40内に挿入する際に、当該マンホール40の内壁面に当接するから、手作業でマンホール40内に挿入することになる導入杆11の状態を常に安定させることになり、支持台13上の走行車20がマンホール40内壁に不用意に接触して支持台13に対する装着位置をズラせてしまうのを防止することになる。勿論、当該導入装置10の挿入の、特に初期において、この支持脚14は、導入杆11、従って支持台13が大きく傾斜するのを防止するから、例えば支持台13の先端が大きく傾斜して走行車20を落下させてしまうようなことにはならない。
【0033】
特に、この支持脚14は、
図5に示す実施形態におけるように、左右均等に突出する2本のものであると、上記導入装置10全体の安定化はより一層叶えられる。換言すれば、支持台13上に走行車20を搭載した場合であっても、当該導入装置10のマンホール40内への挿入を、導入杆11を片手で持った状態でも行えることになる。
【0034】
従って、この請求項3に係る導入装置10は、上記請求項1または2のそれと同様な機能を発揮する他、導入装置10の挿入を安定した状態で行えるのである。
【0035】
上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項3に記載の管路走行車用の導入装置10について、
「導入本体12の支持脚14より下方に、走行車20が牽引する補助索条21、または管路41内を牽引される牽引索条31が係合される滑車15を設けたこと」
である。
【0036】
すなわち、この請求項4の導入装置10は、導入本体12の支持脚14より下方に滑車15を設けたものであり、この滑車15に、例えば
図1に示すように、走行車20が牽引する補助索条21、または管路41内を牽引される牽引索条31を係合させるようにしたものである。
【0037】
滑車15は、
図1中の点線にても示すように、走行車20が補助索条21を管路41内に引き込む際に、この補助索条21を管路41の角部43等の開口部に引っ掛からないように案内することになるから、当該補助索条21が切れたり、あるいは管路41の開口部に補助索条21が傷を付けたりすることはない。
【0038】
勿論、この滑車15は、
図1中の矢印方向に、補助索条21を介して管路41内に引き込まれる牽引索条31の案内も行うことになるから、当該牽引索条31が切れたり、あるいは管路41の開口部に牽引索条31が傷を付けたりすることはない。特に、この牽引索条31は、清掃具30等を動かすために、巻き取り機50の駆動力が伝えられることもあるものであって、相当な張力が掛かることになるのであるが、滑車15に係合させたことよって、当該補助索条21が切れたり、あるいは管路41の開口部に補助索条21が傷を付けたりすることはないのである。
【0039】
従って、この請求項4に係る導入装置10は、上記請求項3のそれと同様な機能を発揮する他、補助索条21や牽引索条31、ひいては管路41の保護をも行えるものとなっているのである。
【0040】
さらに、上記課題を解決するために、請求項5に係る発明の採った手段は、
上記請求項4に記載の管路走行車用の導入装置10について、
「支持脚14を同方向に突出する2本のものとするとともに、平面視でこれらの支持脚14・14の中央に滑車15を配置したこと」
である。
【0041】
すなわち、この請求後5に係る導入装置10は、
図4及び
図5に示すように、支持脚14を同方向に突出する2本のものとするとともに、平面視でこれらの支持脚14・14の中央に滑車15を配置したものであり、補助索条21が走行車20によって、あるいは牽引索条31が巻き取り機50によって引かれる際に加わる力により、導入本体12、つまり導入装置10の下部全体をマンホール40の内壁面に押し付けることになる。このため、補助索条21が走行車20によって、あるいは牽引索条31が巻き取り機50によって引かれる際、つまり当該導入装置10の作業時に、導入装置10全体の安定化が図られることになるのである。
【0042】
従って、この請求項5に係る導入装置10は、上記請求項3または4に係るそれと同様な機能を発揮する他、作業時の導入装置10の安定をより一層高め得るものとなっている。
【0043】
上記課題を解決するために、請求項6に係る発明の採った手段は、上記請求項4または請求項5に記載の管路走行車用の導入装置10について、
「牽引索条31は、管路41内の清掃を行う清掃具30を連結するものであること」
である。
【0044】
すなわち、この請求項6の導入装置10は、牽引索条31に管路41内の清掃を行う清掃具30を連結するものであるから、
図15に示すように、当該導入装置10を管路41内の清掃を行うものとし得るのである。なお、清掃具30としては、
図15に示すようなものに限らず、種々なものが適用できることは言うまでもない。
【0045】
従って、この請求項6の導入装置10は、請求項4または5に言うような走行車20の管路41内への導入装置としてだけではなく、管路41の清掃装置としても使用できるものである。
【0046】
そして、上記課題を解決するために、請求項7に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の管路走行車用の導入装置10について、
「支持台13を導入本体12に対して上下方向に位置調整可能にしたこと」
である。
【0047】
支持台13は、その上に走行車20を搭載するものであるが、走行車20には種々なタイプのものがあり、当然高さも異なるものである。導入本体12に対する支持台13の取付位置を、高さが高い走行車20に合わせておくと、これより低い走行車20を搭載した場合にはその上部を支えるものが何もなくて、走行車20の搭載状態が不安定化する。逆に、導入本体12に対する支持台13の取付位置を、高さが低い走行車20に合わせておくと、これより高い走行車20を搭載することができなくなる。
【0048】
この点、この請求項7に係る導入装置10では、例えば、
図4中の実線と仮想線にて示したように、支持台13と導入本体12との上下方向位置が調整可能となっているから、走行車20の大きさに合わせた位置に支持台13を設定できて、上記のような不安定さや搭載不可能状態が解消される。
【0049】
従って、この請求項7に係る導入装置10は、上記請求項1〜6に係るそれと同様な機能を発揮する他、高さの異なる走行車20の搭載を安定的に行うことが出来るものとなっているのである。
【0050】
上記、課題を解決するために、請求項8に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の管路走行車用の導入装置10について、
「
導入杆11を、多数の係止穴11cが等間隔に形成されて、入れ子状にして嵌められる外側杆11a及び内側杆11bと、これらの外側杆11a及び内側杆11bを固定する少なくとも一個の連結部材60とにより構成したこと」
である。
【0051】
すなわち、この請求項8に係る導入装置10では、まず、
導入杆11を、
図8に示すように、入れ子状にして嵌められるようにした断面が「コ」字型の外側杆11a及び内側杆11bと、これらの相対位置を固定する少なくとも一個の連結部材60とからなるものであり、外側杆11a内に内側杆11bを伸縮自在に嵌め込んだものである。そして、これら外側杆11a及び内側杆11bには、
図8に示すように、多数の係止穴11cが等間隔で形成してある。
【0052】
連結部材60は、伸縮自在に嵌め込まれた外側杆11a及び内側杆11bの相対位置での固定が行えるのであれば、例えばボルト・ナットであってもよく、後述する請求項9のようなものであってもよい。いずれにしても、外側杆11a及び内側杆11bが所定寸法まで引き伸ばされたときに、対向する両係止穴11cを利用して、連結部材60は両者間を固定するものである。
【0053】
従って、本請求項8に係る導入装置10は、
導入杆11を以上のように構成することによって、伸縮自在に嵌め込まれた外側杆11a及び内側杆11bを所定寸法引き出した位置で連結部材60によって固定することができるのであり、これによって上記各請求項に係る導入装置10と同様の機能を発揮する他、
導入杆11を伸縮自在なものとすることができて、作業性のよい導入装置10となっているのである。
【0054】
最後に、上記課題を解決するために、請求項9に係る発明の採った手段は、上記請求項8に記載の管路走行車用の導入装置10について、
「連結部材60を、入れ子状にして嵌めた外側杆11a及び内側杆11bの外側に嵌め込まれる枠体61と、この枠体61の両面に形成されて、前記係止穴11cに対向することになる開口61aと、これらの開口61a内に挿入される係止ブロック62とを有したものとしたこと」
である。
【0055】
すなわち、連結部材60は、
図8〜
図11に示すように、入れ子状にして嵌めた外側杆11a及び内側杆11bの外側に嵌め込まれる枠体61を有するものであり、本実施形態の枠体61の両面には、外側杆11a及び内側杆11bに形成してある係止穴11cに対向することになる開口61aが形成してある。これらの開口61a内には係止ブロック62が出入自在に挿入されていて、これらの係止ブロック62は、止めネジ65によって枠体61の表面に取り付けた板バネ63の先端に取り付けてある。また、この板バネ63と係止ブロック62との間には、例えば
図9にも示したように、指掛け64が挟持させてある。
【0056】
以上のように構成した連結部材60は、その枠体61を、
図9〜
図11に示したように、入れ子状にして嵌めた外側杆11a及び内側杆11bの外側に嵌め込むことによって、外側杆11a及び内側杆11bのバラけを防止することになり、また、各係止ブロック62が、外側杆11a及び内側杆11bに形成した各係止穴11c内に係合することによって、外側杆11a及び内側杆11bの相対移動を規制するものである。なお、各係止ブロック62は、板バネ63によって常に各係止穴11c内へ係合する方向に付勢されているから、例えば
図9に示した状態は板バネ63の弾性力によって維持されている。
【0057】
ここで、外側杆11a及び内側杆11bの相対位置を変えたいとき、つまり
導入杆11の長さを変えたいときには、例えば
図4中の仮想線にて示した係止ブロック16のように、各指掛け64を利用して係止ブロック62を引き起こし、係合していた係止穴11cから外すのである。そして、必要な長さの
導入杆11となるように、外側杆11a及び内側杆11bの相対位置を変更した後、各指掛け64から指を離すのである。そうすると、各係止ブロック62は、板バネ63の弾性力によって移動してきた係止穴11c内に係合するから、各外側杆11a及び内側杆11bはその相対移動が規制されて、固定的な所望寸法の
導入杆11となるのである。
【0058】
従って、この請求項9の導入装置10は、連結部材60を、
導入杆11の外側に嵌められる枠体61と、この枠体61の両面に形成されて、前記係止穴11cに対向することになる開口61aと、これらの開口61a内に挿入される係止ブロック62とを有したものとしたから、請求項8と同様な機能を発揮する他、外側杆11a及び内側杆11bの相対位置での固定と、この固定の解除とを簡単に行えるものとなっているのである。