(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662860
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】構内移動体通信の通話録音システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/53 20060101AFI20150115BHJP
H04M 3/42 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
H04M3/53
H04M3/42 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-75892(P2011-75892)
(22)【出願日】2011年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-209891(P2012-209891A)
(43)【公開日】2012年10月25日
【審査請求日】2014年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233295
【氏名又は名称】株式会社日立情報通信エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】森 徹郎
(72)【発明者】
【氏名】栗花 武俊
【審査官】
丸山 高政
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2007/0263603(US,A1)
【文献】
特開2010−68332(JP,A)
【文献】
特開2007−134919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
H04M 3/16 − H04M 3/20
H04M 3/38 − H04M 3/58
H04M 7/00 − H04M 7/16
H04M 11/00 − H04M 11/10
H04W 4/00 − H04W 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構内移動体通信の通話録音システムであって、
公衆網に接続されたゲートウェイ装置と、
前記ゲートウェイ装置に接続された複数の基地局と、
前記基地局を介して前記公衆網側の電話機と通話を行うことができる移動体通信端末と、
前記基地局を介して行われた前記移動体通信端末の通話を通話録音データとして録音し管理する録音管理装置とを備え、
前記録音管理装置は、前記ゲートウェイ装置を特定する情報と、前記移動体通信端末と通信を行った基地局を特定する情報と、前記特定の基地局を介して行われた前記移動体通信端末の通話録音開始時刻および通話録音終了時刻の情報とを含む通話録音ファイル情報を保存し、かつ前記移動体通信端末の通話を受け持つ基地局が前記特定の基地局から別の基地局に移行したときは前記別の基地局についての前記通話録音ファイル情報を保存し、前記保存した通話録音ファイル情報を用いて、前記録音した通話録音データの中から前記移動体通信端末の通話単位の通話ログ情報に対応する複数の通話録音データを1つの通話録音として対応付けるリンク情報を作成することを特徴とする構内移動体通信の通話録音システム。
【請求項2】
前記ゲートウェイ装置を特定する情報は、そのトランク情報、IPアドレス、およびポート番号のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の構内移動体通信の通話録音システム。
【請求項3】
前記録音管理装置は、前記複数の通話録音データを1つの通話録音として再生するための指定情報を外部に提供可能とすることを特徴とする請求項1または2に記載の構内移動体通信の通話録音システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の構内移動体通信の通話録音システムを備えたことを特徴とするコールセンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構内移動体通信の通話録音システムに関する。
【背景技術】
【0002】
構内移動体通信の通話録音システムは、例えば、顧客電話端末と顧客への電話対応業務を複数のオペレータが行ういわゆるコールセンタ構内における移動体通信端末との間の通話内容を録音するシステムである。顧客との通話端末として例えばIP(Internet Protocol)電話機を有するコールセンタにおいて、通話を録音し、録音時間や通話者情報等の付加情報とあわせて通話録音を利用する技術が知られている。現状では、通話録音を行うコールセンタ構内のオペレータ用通話端末の場所は固定とされているが、構内PHS等の移動体通信端末の普及により、コールセンタにおける通信端末として、移動体通信端末が利用されている。
【0003】
特許文献1には、IP電話機の通話録音は、IP電話機のIPアドレス情報と内線番号の組み合わせと、通話時刻を含む呼情報を録音情報として録音管理するシステムに係る技術が開示されている。特許文献2には、録音した通話内容を検索する際に効率的な検索を可能とするため、通話録音と業務内容を簡単に結び付ける情報を付加する方法に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−98905号公報
【特許文献2】特開2010−68332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のものでは、IP電話機のIPアドレス情報と内線番号の組み合わせと、通話時刻を含む呼情報を録音情報として録音管理を行うが、通常、取得されるIPアドレスは、IP電話機の表示手段によって表示されるのに対し、移動体通信端末の通話録音の場合は、移動体通信端末が基地局を介して通話した際のその基地局のIPアドレスが表示される。これは、移動体通信端末自体がIPアドレスを持たないこと、また、移動体通信端末の通話中の移動によりハンドオーバによって通話を受け持つ基地局が変化することから、移動体通信端末のIPアドレスを表示することができない。さらに、通話を受け持つ基地局が変化する場合に、固定端末の録音の管理技術を利用すると、物理的には同一端末で行われた移動体通信端末の通話を別端末の通話情報として扱われることから、通話録音情報を正しく管理できないと言う問題がある。
【0006】
また、特許文献2では、録音した通話内容を検索する際に効率的な検索を可能とするため、通話録音と業務内容を結び付ける情報を付加するが、移動体通信端末が通話中に移動して通話を受け持つ基地局が変化する場合、その基地局の変化を抽出する情報を持たないため、移動体通信端末による通話を正しく録音し管理することができず、所望の通話録音情報の検索を正しく行うことができないと言う問題がある。
【0007】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解決し、移動体通信端末が通話中に構内を移動して通話を受け持つ基地局が変化した場合でも、各基地局を介して行われた通話録音を移動体通信端末の通話単位に纏めることができる構内移動体通信の通話録音システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するため以下のような構内移動体通信の通話録音システムを提供する。
(1)構内移動体通信の通話録音システムであって、公衆網に接続されたゲートウェイ装置と、前記ゲートウェイ装置に接続された複数の基地局と、前記基地局を介して前記公衆網側の電話機と通話を行うことができる移動体通信端末と、前記基地局を介して行われた前記移動体通信端末の通話を通話録音データとして録音し管理する録音管理装置とを備え、前記録音管理装置は、前記ゲートウェイ装置を特定する情報と、前記移動体通信端末と通信を行った基地局を特定する情報と、前記特定の基地局を介して行われた前記移動体通信端末の通話録音開始時刻および通話録音終了時刻の情報とを含む通話録音ファイル情報を保存し、かつ前記移動体通信端末の通話を受け持つ基地局が前記特定の基地局から別の基地局に移行したときは前記別の基地局についての前記通話録音ファイル情報を保存し、前記保存した通話録音ファイル情報を用いて、前記録音した通話録音データの中から前記移動体通信端末の通話単位の通話ログ情報に対応する複数の通話録音データを1つの通話録音として対応付けるリンク情報を作成することを特徴とする構内移動体通信の通話録音システム。
(2)前記ゲートウェイ装置を特定する情報は、そのトランク情報、IPアドレス、およびポート番号のうちの少なくとも一つであることを特徴とする上記(1)に記載の構内移動体通信の通話録音システム。
(3)前記録音管理装置は、前記複数の通話録音データを1つの通話録音として再生するための指定情報を外部に提供可能とすることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の構内移動体通信の通話録音システム。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の構内移動体通信の通話録音システムを備えたことを特徴とするコールセンタ。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、移動体通信端末が通話中に構内を移動して通話を受け持つ基地局が変化した場合でも、各基地局を介して行われた通話録音を移動体通信端末の通話単位に纏めることができる構内移動体通信の通話録音システムを提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、ゲートウェイ装置を容易に特定することができる。
請求項3に係る発明によれば、分割された複数の通話録音データを1つの通話録音として再生することができる。
請求項4に係る発明によれば、移動体通信端末が通話中に構内を移動して通話を受け持つ基地局が変化した場合でも、各基地局を介して行われた通話録音を移動体通信端末の通話単位に纏めることができる構内移動体通信の通話録音システムを備えたコールセンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る構内移動体通信の通話録音システムの一実施例を示す図である。
【
図2】移動体通信端末が複数の基地局の通信領域を移動して通信を行う場合の例を示す図である。
【
図3】本実施例における通話録音に関する情報を示す図で、(A)は通話ログ情報、(B)は通話録音ファイル情報、(C)はゲートウェイ装置に係るマップ情報、(D)は移動体通信端末の通話録音データのリンク情報、(E)はクライアントPCからの再生時の指定情報を示す。
【
図4】移動体通信端末の通話録音データのリンク情報の作成の一例を説明するための図である。
【
図5】移動体通信端末の通話録音データのリンク情報作成の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る構内移動体通信の通話録音システムの一実施例を示す図である。本実施例では、コールセンタを例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本図では、本通話録音システムに関連する、電話機1、公衆網2、ゲートウェイ装置(GW)3、通話管理装置(テレフォニーマネージャ)4、CTI(Computer Telephony Integration)サーバ5、録音管理装置6、LAN7、移動体通信端末11、クライアントPC12、基地局A、基地局B、および基地局Cを示す。
【0012】
図示のように、公衆網2には電話機1およびゲートウェイ装置3が接続される。ゲートウェイ装置3は、LAN7を介して、通話管理装置4、CTIサーバ5、録音管理装置6、クライアントPC12、基地局A、基地局B、および基地局Cと接続される。また、移動体通信端末11は、その位置に応じて、基地局A、基地局B、または基地局Cと通信可能とされる。これにより構内移動体通信が実現される。
【0013】
ゲートウェイ装置3は、公衆網2と通話管理装置4を接続する。通話管理装置4は、CTIサーバ5とのCTI連携機能を有し、基地局A〜Cを経由して電話機1と移動体通信端末11との通話制御を行う。CTIサーバ5は、クライアントPC12と移動体通信端末11を連携する装置である。録音管理装置6は、電話機1と移動体通信端末11との通話を通話録音データとして録音し管理する。録音管理装置6に録音された録音情報は再生可能とされる。例えば、クライアントPC12は、録音管理装置6の録音情報を取得して再生することができる。
【0014】
コールセンタの場合、電話機1から着信が入ると、CTIサーバ5の制御によって最適なオペレータへ電話を転送する。本図では、オペレータ電話機である移動体通信端末11へ着信したことを示しており、オペレータはクライアントPC12と移動体通信端末11を使用してコールセンタ業務を遂行する。
【0015】
ところで、コールセンタの業務によっては、オペレータが移動体通信端末11を持って、席を移動しながら業務行う場合がある。この場合、移動体通信端末11が基地局A〜Cにハンドオーバしながら通話を継続することになる。このハンドオーバによって、例えば、通話録音情報は、基地局Aと電話機1、基地局Bと電話機1、基地局Cと電話機1、の3つの通話録音データに分割され、通話管理装置6へ録音保存される。
【0016】
一方、CTIサーバ5は、電話機1と移動体通信端末11の通話を管理しており、通話ログ情報を録音管理装置6へ通知することによって、録音管理装置6が録音情報を管理する。録音管理装置6に録音保存された通話の再生は、例えば次のようにして行われる。すなわち、録音管理装置6において、移動体通信端末11の通話を受け持った1または複数の基地局、例えば基地局A、基地局B、及び基地局Cの3つに分割して録音された3つの通話録音データをその移動体通信端末11とリンク付けすることによって、クライアントPC12において、当該移動体通信端末11と電話機1との通話内容を再生可能とする。
【0017】
図2は、移動体通信端末が複数の基地局の通信領域を移動して通信を行う場合の例を示す図である。本図では、通信領域AAを有する基地局A、通信領域BBを有する基地局B、および通信領域CCを有する基地局Cを備える。移動体通信端末11が通信領域AA〜CCへ移動するとき、移動体通信端末11は、通信a、通信b、通信cによりそれぞれ基地局A〜Cを経由してゲートウェイ装置3に接続される。移動体通信端末11とゲートウェイ装置3が接続される場合、この間の通話は、移動体通信端末と基地局間は無線による通信、基地局とゲートウェイ装置3間はRTP(Real-time Transport Protocol)パケットを使用した通信によって実現される。
【0018】
RTPパケットは、基地局が有するIPアドレス、及びポート情報と、ゲートウェイ装置3が有するIPアドレス、及びポート情報によって通信しており、移動体通信端末は位置A〜Cを移動したときはRTPパケットの通信が、基地局A〜Cの各々のIPアドレス単位に通話録音されることになる。この複数に分割された通話録音を連続して再生することによって、電話機1と移動体通信端末11間の通話全体が再生できることになる。
【0019】
このように、本通話録音システムは、公衆網2に接続されたゲートウェイ装置3と、ゲートウェイ装置3に接続された複数の基地局A〜Cと、基地局を介して公衆網2側の電話機1と通話を行うことができる移動体通信端末11と、基地局を介して行われた移動体通信端末11の通話を通話録音データとして録音し管理する録音管理装置6とを備える。この録音管理装置6は、ゲートウェイ装置3を特定する情報と、移動体通信端末11と通信を行った基地局を特定する情報と、特定の基地局を介して行われた移動体通信端末11の通話録音開始時刻および通話録音終了時刻の情報とを含む通話録音ファイル情報を保存し、かつ移動体通信端末11の通話を受け持つ基地局が前記特定の基地局から別の基地局に移行したときは別の基地局についての前記通話録音ファイル情報を保存する。そして、保存した通話録音ファイル情報を用いて、録音した通話録音データの中から移動体通信端末11の通話単位の通話ログ情報に対応する複数の通話録音データを1つの通話録音として対応付けるリンク情報を作成する。
【0020】
ゲートウェイ装置3を特定する情報は、そのトランク情報、IPアドレス、およびポート番号のうちの少なくとも一つとすることができる。また、録音管理装置6は、複数の通話録音データを1つの通話録音として再生するための指定情報を外部に提供可能とすることができる。このような構内移動体通信の通話録音システムはいわゆるコールセンタに備えることができる。
【0021】
図3は、本実施例における通話録音に関する情報を示す図で、(A)は通話ログ情報[1通話=1通話ログ取得]、(B)は通話録音ファイル情報[1通話=複数の通話録音データ取得]、(C)はゲートウェイ装置(GW)に係るマップ情報、(D)は移動体通信端末の通話録音データのリンク情報、(E)はクライアントPCからの再生時の指定情報を示す。
【0022】
図3(A)に示す通話ログ情報は、CTIサーバ5が公衆網2から着信単位に取得する通話ログの情報である。この通話ログ情報は、録音管理装置6に送信される。通話ログ情報には、例えば、通話開始時刻301、通話終了時刻302、移動体通信端末の内線番号303、公衆網接続電話の発番号304、ゲートウェイ装置(GW)3のトランク情報305、および追加情報306が格納されている。
【0023】
図3(B)に示す通話録音ファイル情報は、録音管理装置6に保存されている通話録音データ単位の情報である。1通話で基地局間のハンドオーバが有る場合は、複数の通話録音ファイル情報に分割された情報となる。すなわち、
図3(B)に示す通話録音ファイル情報が、先の1通話に関係する複数の基地局に対応して、分割された情報としてそれぞれ作成される。
図3(B)の通話録音ファイル情報は、その中の1つを示すものであり、例えば、ゲートウェイ装置(GW)3のIPアドレス310、ゲートウェイ装置3のポート番号311、基地局のIPアドレス312、基地局のポート番号313、通話録音開始時刻314、通話録音終了時刻315、および追加情報316が格納されている。
【0024】
図3(C)に示すゲートウェイ装置(GW)3に係るマップ情報は、GWのトランク情報320に対するGWのIPアドレス321及びポート番号322の対応付け情報である。このマップ情報は、録音管理装置の設定データであり、これにより録音管理装置において、通話ログ情報(
図3(A))と通話録音ファイル情報(
図3(B))との対応付けが可能となる。
【0025】
図3(D)に示す移動体通信端末の通話録音データのリンク情報は、ゲートウェイ装置(GW)のトランク情報330及びポート番号331、通話録音開始時刻332、通話録音終了時刻333、移動体通信端末の内線番号334、および公衆網接続電話の発番号335を含む情報である。この情報は、通話ログ情報(
図3(A))と通話録音ファイル情報(
図3(B))をゲートウェイ装置のトランク情報、IPアドレス、及びポート番号のマップ情報(
図3(C))を用いて対応付け、移動体通信端末の通話毎に通話録音データを纏めるための情報である。
【0026】
図3(E)に示すクライアントPCからの通話録音再生時の指定情報は、移動体通信端末の内線番号340、通話開始時刻341、公衆網接続電話の発番号342、および追加情報343を含む情報である。この情報を指定することで、LAN7上に接続されるクライアントPC12から、基地局A〜Cを移動して行われた移動体通信端末11の通話録音を再生することができる。
【0027】
図4は、移動体通信端末の通話録音データのリンク情報の作成の一例を説明するための図である。図示のように、通話ログ情報401には、ゲートウェイ装置(GW)のトランク情報、通話開始時刻、通話終了時刻、移動体通信端末の内線番号、公衆網接続電話の発番号等が含まれる。また、通話録音ファイル情報402には、移動体通信端末の1通話において基地局A〜C間のハンドオーバが有る場合、基地局Aを介する通話に関し、ゲートウェイ装置のIPアドレスとポート番号、通話録音開始時刻(1)、通話録音終了時刻(2)が含まれ、また基地局Bを介する通話に関し、ゲートウェイ装置3のIPアドレスとポート番号、通話録音開始時刻(3)、通話録音終了時刻(4)が含まれ、そして、基地局Cを介する通話に関し、ゲートウェイ装置3のIPアドレスとポート番号、通話録音開始時刻(5)、通話録音終了時刻(6)が含まれる。さらに、ゲートウェイ装置(GW)に係るマップ情報403には、トランク情報に対するゲートウェイ装置のIPアドレス321、及びポート番号が含まれる。このマップ情報403は録音管理装置の設定データであり、これにより、通話ログ情報401と通話録音ファイル情報402とを対応付けて、図の矢印に示すように、通話録音データのリンク情報404を生成することができる。通話録音データのリンク情報404は、ゲートウェイ装置(GW)のトランク情報とポート番号、通話録音開始時刻(1)、通話録音終了時刻(6)、移動体通信端末の内線番号、および公衆網接続電話の発番号を含む。
【0028】
図5は、移動体通信端末の通話録音データのリンク情報作成の処理の一例を示すフローチャートである。はじめに、通話ログ情報(
図3(A))からゲートウェイ装置3のトランク情報を取得する(ステップ501)。次に、録音管理装置6の設定データであるゲートウェイ装置3に係るマップ情報(
図3(C))からトランク情報をゲートウェイ装置3のIPアドレスとポート番号に変換する(ステップ502)。そして、録音管理装置6内に保存している複数の通話録音ファイル情報(
図3(B))の中から、通話録音開始時刻が早い時刻の通話録音ファイル情報より順次取得する(ステップ503)。
続いて、通話録音ファイル情報の取得の有無を判定し(ステップ504)、情報取得無しの場合は処理を終了する。一方、情報取得有りの場合は、IPアドレスとポート番号の一致を比較する(ステップ505)。IPアドレスとポート番号が不一致の場合は、ステップ503に戻る。一方、IPアドレスとポート番号が一致した場合は、通話時間が通話ログ情報における通話開始時刻と通話終了時刻の間の時間内かどうかを判定する(506)。この通話時間が時間超となったと判定された場合は、ステップ503に戻る。一方、この通話時間が時間内であると判定された場合は、当該通話録音ファイル情報(
図3B)を保存し(ステップ507)、この保存した通話録音ファイル情報を用いて、録音した通話録音データを通話単位に纏めるリンク情報(
図3D)を作成し(ステップ508)、ステップ503に戻る。そして、ステップ503を実行した結果、ステップ504にて通話録音ファイル情報の取得無しの場合は処理を終了する。この時点のステップ508におけるリンク情報(
図3D)に基づいて、録音した複数の通話録音データを通話単位に纏めることができる。このように、ゲートウェイ装置のポート番号、及びIPアドレスが同一の通話録音データで、かつ連続した通話時間帯の通話録音データの場合は、同一の移動体通信端末の通話単位の通話録音データとして扱うものである。
【0029】
なお、処理の途中のステップ506において、通話時間が通話ログ情報における通話開始時刻と通話終了時刻の間の時間内かどうかを判定するが、この時間内かどうかは時刻ズレを考慮して誤差情報を加味して比較(例えば、時刻ズレを5秒間許容)することが好ましい。
以上の処理によって、移動体通信端末の通話録音データがリンク可能となる。
【0030】
このように、本発明では、公衆網を通じて通話をする携帯電話機等の移動体である移動体通信端末と、IP電話サービス網やプロトコルの異なるネットワーク等と接続するためのネットワークノード機能を有するゲートウェイ装置と、テレフォニーマネージャ機能を有する通話管理装置と、コンピューターと電話を連携(例えば、自動音声応答システムなどを入れて、電話の発着信を効率化)し、顧客からの着信に対して最適なサービスを選定し提供するCTIサーバ機能を有するCTIサーバと、少なくとも1つ以上の移動体通信端末との通信をする複数の基地局と、移動体通信端末を用いて各基地局を介して行った通話を録音し管理するための録音管理装置等を備える。また、検索条件(例えば、通話先の電話番号、通話開始、終了時刻など)を基に通話を検索し、録音内容を聞き起こす機能を録音管理装置に設ける。
【0031】
本発明では、移動体通信端末が通話中の移動によっても変化を伴わない不変情報(例えば、ゲートウェイ装置の構内側のポート番号)を利用して、移動体通信端末が移動中に変化する基地局のIPアドレスを同一端末の情報として纏め、管理する。例えば、移動体通信端末が通話に用いた基地局のIPアドレス、通話開始時刻、通話終了時刻、IPアドレス、及びゲートウェイ装置の構内側のポート番号を録音管理装置に登録する。通話検索においては、ゲートウェイ装置のポート番号、及びIPアドレスが同一で、かつ連続した通話時間帯の通話録音の場合は、同一の移動体通信端末の通話録音情報として扱う。
【0032】
本発明によれば、移動体通信端末が通話中の移動によっても変化を伴わない不変情報を利用して、移動体通信端末が移動中に変化する基地局のIPアドレスを同一端末の情報として纏め、管理することにより、移動体通信端末が移動しながら通話を行った録音を同一通話として管理することができる。
【符号の説明】
【0033】
1:電話機、2:公衆網、3:ゲートウェイ装置、4:通話管理装置、5:CTIサーバ、6:録音管理装置、7:LAN、A:基地局、B:基地局、C:基地局、11:移動体通信端末、12:クライアントPC、a:通信、AA:基地局Aの通信領域、b:通信、BB:基地局Bの通信領域、c:通信、CC:基地局Cの通信領域、301〜306:通話ログ情報のデータフォーマット、310〜316:通話録音ファイル情報のデータフォーマット、320〜322:ゲートウェイ装置のマップ情報、330〜335:移動体通信端末の通話録音データのリンク情報、340〜343:クライアントPCからの再生時の指定情報、401:通話ログ情報、402:通話録音ファイル情報、403:ゲートウェイ装置のマップ情報、404:通話録音データのリンク情報