特許第5662958号(P5662958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5662958-注文端末 図000002
  • 特許5662958-注文端末 図000003
  • 特許5662958-注文端末 図000004
  • 特許5662958-注文端末 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5662958
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】注文端末
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/24 20060101AFI20150115BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   H01Q3/24
   G06K17/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-49593(P2012-49593)
(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公開番号】特開2013-187636(P2013-187636A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2012年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 渉
【審査官】 富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−078050(JP,A)
【文献】 特開2006−121339(JP,A)
【文献】 特開2006−042118(JP,A)
【文献】 特開2011−211272(JP,A)
【文献】 特開2006−165805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/24
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉状態で端末背面を成す裏面を有する底部を持つ本体部筐体と、
この本体部筐体と前記閉状態で対向し前記閉状態で端末表面を成す表面を有し、前記本体部筐体に対して開位置および閉位置をとる蓋部筐体と、
この蓋部筐体に設けられメニュー品目の注文情報を入力するキーを有する入力部と、
この入力部からの前記注文情報を表示する前記本体部筐体に設けられた液晶表示器、およびこの液晶表示器の表示面上に積層して設けられたタッチパネルを有する表示部と、
前記注文情報についての無線通信を無線中継器との間で行う無線LAN(Local Area Network)方式の無線送受信部と、
前記本体部筐体に設けられ近接通信又は非接触通信を行い、無線タグへ電波を放射しこの電波に対するこの無線タグからの応答電波を受信する近距離無線通信部と、
この近距離無線通信部に高周波信号伝搬用の第1の同軸ラインを介して接続され、前記表示部の表示領域よりも前記裏面側の下方に前記本体部筐体の前記底部に設けられた第1のアンテナと、
前記近距離無線通信部に高周波信号伝搬用の第2の同軸ラインを介して接続され前記蓋部筐体に設けられた少なくとも一つの第2のアンテナと、
これらの近距離無線通信部、前記入力部および前記表示部を制御する前記本体部筐体に設けられた制御部とを備え
前記近距離無線通信部は、前記表示部により前記表面からの前記電波が遮蔽される前記閉状態において、前記本体部筐体の裏面から前記無線タグと前記第1のアンテナを介して通信し、前記蓋部筐体の表面から前記第2のアンテナを介して前記無線タグと通信する注文端末。
【請求項2】
前記本体部筐体および蓋部筐体の開閉状態を検知する開閉検知機構を更に備え、
前記制御部はこの開閉検知機構の検知結果により、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナのうちの何れかを選択切替えする請求項1記載の注文端末。
【請求項3】
前記蓋部筐体は、閉状態で前記本体部筐体の前記表示部に対向する面と、前記閉状態でこの面と反対側の他の面とを有し、前記第2のアンテナは前記他の面に設けられた請求項1記載の注文端末。
【請求項4】
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナはループ状のアンテナ素子である請求項1〜3の何れかに記載の注文端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は注文端末に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店等で注文をオーダするハンディターミナルは本体部及び蓋部を有し注文情報を店内の無線ステーション装置へ無線送信する(例えば特許文献1参照)。従来、ハンディターミナルをIC(integrated circuit)カードやRFID(radio frequency identification)タグにかざすことによって、このハンディターミナルが非接触でこれらのICカードやRFIDタグに記録された情報を取得する技術が知られている(例えば特許文献2、3参照)。
【0003】
近年、小電力無線通信の通信規格としてNFC IP−2(near field communication internet protocol−2)が規格化されている。近距離無線通信手段と、無線通信手順とを備えたオーダーエントリーシステムにおける移動端末装置が知られている(例えば特許文献4参照)。蓋部を閉じたとき内側となる面にアンテナを設けた携帯端末装置が知られている(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−34917号公報
【特許文献2】特開2011−100304号公報
【特許文献3】特開2010−128569号公報
【特許文献4】特開2011−204227号公報
【特許文献5】特開平08−293829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の従来技術では、注文端末を閉じた状態でその蓋部から無線タグに数cmから10cm程度の距離でかざして情報を取込むことができない。注文端末はその本体部筐体の底部又はこの筐体下方のメインボード上に近距離無線通信モジュールのアンテナを設けている。蓋部を閉じた状態では、平坦な形状のタッチパネルといった画面表示部が電波を遮蔽し注文端末は情報を取込めない。この注文端末は蓋部を開けたときにも蓋部の表面側から無線タグにかざして情報を読むことができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、閉状態で端末背面を成す裏面を有する底部を持つ本体部筐体と、この本体部筐体と前記閉状態で対向し前記閉状態で端末表面を成す表面を有し、前記本体部筐体に対して開位置および閉位置をとる蓋部筐体と、この蓋部筐体に設けられメニュー品目の注文情報を入力するキーを有する入力部と、この入力部からの前記注文情報を表示する前記本体部筐体に設けられた液晶表示器、およびこの液晶表示器の表示面上に積層して設けられたタッチパネルを有する表示部と、前記注文情報についての無線通信を無線中継器との間で行う無線LAN方式の無線送受信部と、前記本体部筐体に設けられ近接通信又は非接触通信を行い、無線タグへ電波を放射しこの電波に対するこの無線タグからの応答電波を受信する近距離無線通信部と、この近距離無線通信部に高周波信号伝搬用の第1の同軸ラインを介して接続され、前記表示部の表示領域よりも前記裏面側の下方に前記本体部筐体の前記底部に設けられた第1のアンテナと、前記近距離無線通信部に高周波信号伝搬用の第2の同軸ラインを介して接続され前記蓋部筐体に設けられた少なくとも一つの第2のアンテナと、これらの近距離無線通信部、前記入力部および前記表示部を制御する前記本体部筐体に設けられた制御部とを備え、前記近距離無線通信部は、前記表示部により前記表面からの前記電波が遮蔽される前記閉状態において、前記本体部筐体の裏面から前記無線タグと前記第1のアンテナを介して通信し、前記蓋部筐体の表面から前記第2のアンテナを介して前記無線タグと通信する注文端末が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る注文端末の斜視図である。
図2】一実施形態に係る注文端末の正面図である。
図3】一実施形態に係る注文端末の閉状態での断面構造を示す図である。
図4】一実施形態に係る注文端末の電気的な接続関係を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態に係る注文端末について、図1乃至図4を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0009】
図1は一実施形態に係る注文端末の斜視図である。図2は一実施形態に係る注文端末の正面図である。これらの図中、同じ符号は互いに同じ要素を表す。本実施形態に係る注文端末は飲食店等において店員が顧客からの注文を受付けて入力する業務用のハンディターミナルであり、注文情報を無線送信し、及びICカード等と近距離無線通信を行う。近距離とはNFC IP−2プロトコルを使った小電力での無線通信を行える距離を言い、例えば数cm〜10cm程度である。ハンディターミナル10は本体部11と蓋部12とを有し、ヒンジである連結部13を介して蓋部12が本体部11に対して開閉自在になっている。
【0010】
ハンディターミナル10は、対向する第1の側面35及び第2の側面36を有する本体部筐体14と、この本体部筐体14に対し第1の側面35の側で開位置及び閉位置をとる蓋部筐体15と、この蓋部筐体15に設けられそれぞれメニュー品目の注文情報を入力する複数のメニューキーを有するキー入力部16(入力部)と、このキー入力部16によって入力された注文情報を表示する本体部筐体14に設けられた画面表示部17(表示部)と、この画面表示部17の画面の下段部に設けられ画面表示部17上に重ねられたキーシート18と、蓋部筐体15に設けられた保持用の磁石19と、この磁石19に吸着する本体部筐体14に設けられた板金20とを備えている。
【0011】
更に図2のようにハンディターミナル10は本体部筐体14に画面表示部17の下に設けられた第1のループアンテナ37(第1のアンテナ)と、この第1のループアンテナ37に接続され蓋部筐体15に設けられた第2のループアンテナ38(第2のアンテナ)と、第1のループアンテナ37及び第2のループアンテナ38を介して在席中の顧客等が所持するICカード(無線タグ)へ電波を放射しこの電波に対するこのICカードからの応答電波を受信する近距離無線通信部39とを備えている。接続とは電気的接続を言う。更にハンディターミナル10は店内に設置された無線中継器との間で無線通信を行う無線送受信部31と、これらの近距離無線通信部39、無線送受信部31、キー入力部16及び画面表示部17を制御する本体部筐体14に設けられた制御部22と、本体部筐体14に設けられたバッテリ32とを備えている。
【0012】
連結部13には、制御部22とキー入力部16間を接続するフレキシブルプリント配線基板23が挿通されている。本体部筐体14は絶縁性の合成樹脂などの材料から製造されており厚みを有する。図3は一実施形態に係る注文端末の閉状態での図2中AA′間の断面構造を示す図である。閉状態とは本体部筐体14及び蓋部筐体15が閉じた状態を言う。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。本体部筐体14は閉状態でハンディターミナル10の背面を成す底壁40と、この底壁40の背面とは反対側の上面に対向する間仕切り壁30とを有し、これらの底壁40及び間仕切り壁30によって本体部筐体14の内部空間が上下2段に画成されている。
【0013】
図2等の蓋部筐体15は絶縁性の合成樹脂などから製造されており厚みを有する。キー入力部16の複数のメニューキーはマトリックス状に配列されている。各メニューキーはキートップ上の文字の印刷あるいはキー名を印刷された紙の挿入により表されている。文字種を例示すると、「コーヒー」、「カレー」、「サラダ」、「デザート」等のメニュー品目キー、確認キー、エンターキー、追加キー等である。
【0014】
画面表示部17は閉状態でキー入力部16に対面する。図3に示すようにハンディターミナル10は本体部11にLCD(liquid crystal display:液晶表示器)25と、このLCD25の表示面上に積層されて取付けられたタッチパネル26と、このタッチパネル26の表面の保護シート27とを備えている。これらのLCD25、タッチパネル26及び保護シート27が一体となってタッチ入力式の表示画面を構成している。本体部筐体14の側壁の上端部はこの表示画面を四方から覆うように画面中央に向かって張り出している。この張り出しにより矩形の開口が形成されこの開口から表示画面が露出して画面表示部17が形成されている。
【0015】
キーシート18にはメンブレーンキーが用いられる。キーシート18は数字を表示するテンキー、上下の矢印を表示する矢印キー、「送信」と表示された送信キー等を含む。磁石19は蓋部筐体15にキー入力部16と異なる位置に設けられた永久磁石である。板金20は磁石19によって磁化される磁性体である。板金20は本体部筐体14に画面表示部17の画面及びキーシート18のそれぞれと閉状態で異なる位置に設けられている。閉状態では板金20に対向しこの板金20に吸着する。一例として板金20は磁石19の長手方向のサイズと同じ程度の長手方向のサイズを有し、この長手方向に沿う辺部から下方に屈曲された部分を有する。この部分の端部29が磁石19からの磁力を導く。間仕切り壁30上には磁気センサ21が設けられており、この磁気センサ21に対して板金20が端部29から磁石19からの磁力を誘導するようになっている。これらの磁石19、板金20及び磁気センサ21は開閉検知機構を構成し、磁力の大きさを検出結果として制御部22へ通知する。
【0016】
また、第1のループアンテナ37及び第2のループアンテナ38は複数、例えば2つのマルチアンテナを構成している。第1のループアンテナ37は画面表示部17の下に水平に配置される。第1のループアンテナ37は図3の例では制御部22と同じ空間に設けられる。第2のループアンテナ38は蓋部筐体15の上部のキー配置領域の領域下に埋設される。第2のループアンテナ38は例えばキー入力部16の下に水平に配置される。第1のループアンテナ37の水平面内の配置位置と、第2のループアンテナ38の水平面内の配置位置とには任意の位置が予め選択される。各配置位置は、内部に配置された他の要素と当接あるいは干渉が生じないようにして決められる。
【0017】
近距離無線通信部39は無線リーダライタモジュールである。近距離無線通信部39の構成は例えば搬送波発振器、変調器、送信アンプ、サーキュレータ、受信アンプ、復調器、及び無線コントローラを備える。近距離無線通信部39はICカードへ電波を照射する。ICカードは固有識別情報付きのICチップ及びアンテナを持っている。近距離無線通信部39は、照射電波によってICカードに生じさせた誘導起電力によってこのICカードからタグID及び応答メッセージを含む無線信号を受信する。
【0018】
信号経路について述べると、近距離無線通信部39は高周波信号伝搬経路を、第1のループアンテナ37と、第2のループアンテナ38とへ2分岐している。近距離無線通信部39は無線信号の送信系統に沿って送信すべき無線信号を2分配している。この近距離無線通信部39は第1のループアンテナ37とは同軸ケーブル(あるいは同軸ライン)41により接続されている。近距離無線通信部39は第2のループアンテナ38とは同軸ケーブル42により接続されている。近距離無線通信部39は制御部22とは同軸ケーブル43により接続されている。近距離無線通信部39及び同軸ケーブル41間と、近距離無線通信部39及び同軸ケーブル42間と、近距離無線通信部39及び制御部22間とは何れも例えば50Ωのインピーダンスにより高周波的に整合されており、信号電力が反射や透過による損失が生じないように配線されている。同軸ケーブル41、42、43は、第1のループアンテナ37のアンテナ素子の下に通されており、2つの導体が短絡せずに立体的に交叉可能に配線されている。
【0019】
無線送受信部31はIEEE(institute of electrical and electronics engineers)802.11xなどの無線LANに対応した無線送受信器である。配置の一例として、無線送受信部31は図3の例では、例えば底壁40と間仕切り壁30との間で画成される空間に設けられる。制御部22は商品注文受け付け用のアプリケーションプログラムを実行し、全体制御を行う。制御部22は磁気センサ21からの磁力の大きさの検出値が予め保持する閾値よりも小さいか又は大きいかを判別し、本体部筐体14及び蓋部筐体15の開閉状態を検知する。制御部22は間仕切り壁30上のメインボード(主基板)33と、このメインボード33上の制御回路34とを有する。制御回路34は第2のループアンテナ38とは同軸ケーブル44及びフレキシブルプリント配線基板23により接続されている。
【0020】
図4はハンディターミナル10の電気的な接続関係を示すブロック図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。制御部22が司る制御系は、CPU(central processing unit)45、ROM(read only memory)46、RAM(random access memory)47と、バスライン48とを有する。バスライン48はフレキシブルプリント配線基板23内のバスラインを含む。ROM46は制御部22による開閉検知の判断用の磁力の大きさの検出値の閾値を保持する。CPU45にはバスライン48を介して表示制御部49、タッチパネル制御部50、キーボード制御部51、無線通信インターフェース部52及び近距離無線通信部39が接続されている。表示制御部49は画像データに基づいてLCD25を駆動制御し、画像データに応じた画像をLCD25に表示させる。タッチパネル制御部50はタッチパネル26からの入力信号をCPU45に取込む。キーボード制御部51はキー入力部16の各メニューキー及びキーシート18から入力された信号をCPU45に取込む。無線通信インターフェース部52は無線送受信部31を駆動制御する。無線送受信部31はアンテナ53を介して無線中継器との間で無線信号を送受信する。
【0021】
このような構成のハンディターミナル10は本体部11及び蓋部12が閉じられた状態で店員のポケットに入れられる。客席において店員による操作により蓋部12が開かれた状態で、ハンディターミナル10は例えば「コーヒー」、「2」という情報を含む注文データを無線送信する。
【0022】
顧客は例えば客席でICカードにより精算を行う。店員はハンディターミナル10を閉じたままICカードにかざす。距離が例えば10cm以内になるように店員がハンディターミナル10を把持する。閉じた状態で蓋部筐体15の本体部11に対向する面と反対側の面(以下、表面と言う)がICカードに向くようにハンディターミナル10を人が傾ける。このICカードの通信規格は例えばNFC IP−2であるとする。NFC IP−2はISO(international organization for standardization)/IEC(international electrotechnical commission) 21481として定められた規格である。ハンディターミナル10は搬送波周波数13.56MHzで近接通信又は非接触通信を行う。第2のループアンテナ38が蓋部12側に設けられているため、閉状態で蓋部12から近距離でICカードにかざして情報を取込むことができるようになる。この閉状態から店員操作によりハンディターミナル10が開けられたときでも、店員が見開き状態のハンディターミナル10を持ちながら、表面をICカードに向けると、蓋部12側の第2のループアンテナ38によりハンディターミナル10はICカードと情報をやり取りし、情報を取得できる。ハンディターミナル10により会計を速やかに行える。
【0023】
また、蓋部12を開けたとき及びこの蓋部12を閉めたときの何れの開閉状態であっても、ICカードから近距離無線の情報を読めるようになる。蓋部12が閉じられたとき、本体部筐体14の蓋部12に対向する面と閉状態で反対側の面(以下、裏面と言う)から筐体底部に存在する第1のループアンテナ37を介して情報をハンディターミナル10は取得することが可能である。また、蓋部筐体15が開かれたとき、店員が見開き状態のハンディターミナル10を持ちながら、裏面をICカードに向けると、第1のループアンテナ37によりハンディターミナル10はICカードから情報を取得できることが可能である。この第1のループアンテナ37が底部に配置されているからである。
【0024】
従来例による注文入力携帯端末は本体部筐体側の下方にメインボードを配置しており、本体部下部にRFIDリーダライタなどの近距離無線モジュールを配置している。蓋部を閉じたときに、本体部筐体とタグやカードとの間に蓋部筐体が位置し、この蓋部筐体によって電波が遮蔽され従来例による注文入力携帯端末は近距離無線通信による情報を取得できない。これに対して実施形態に係る注文端末によれば、第2のループアンテナ38により蓋部筐体15が本体部筐体14に対して開閉何れの状態であっても、表面から無線タグと近距離無線通信を行えるようになる。開閉何れの状態であっても、第1のループアンテナ37及び第2のループアンテナ38により表面及び裏面の両面側から無線タグにかざして無線タグ情報を取得することができるようになる。
【0025】
また、制御部22は板金20及び磁気センサ21からなる開閉検知機構が検知した開閉の検知結果により、第1のループアンテナ37及び第2のループアンテナ38の何れかを選択切替えしてもよい。制御部22は、本体部11及び蓋部12の2箇所でそれぞれアンテナ素子を設けたマルチアンテナ構成によって、例えば蓋部12が開いているときは何れかを一方を選択してもよい。制御部22は、蓋部12が開いているときは第1のループアンテナ37及び第2のループアンテナ38の両方でICカードからの情報を検出してもよい。制御部22は、蓋部12が閉まっているときは第1のループアンテナ37だけで裏面から情報を検出するように制御してもよい。
【0026】
上記実施形態では、第2のループアンテナ38は蓋部筐体15のキー入力部16の下に設けられていたが、第2のループアンテナ38を蓋部筐体15の表面(他の面)側に埋設してもよい。蓋部筐体15の本体部筐体14に近い方に第2のループアンテナ38が設けられる場合の例に比べて、表面側に第2のループアンテナ38を設けることは電波の抜けがよくなる。
【0027】
尚、上記の実施形態は実施形態そのままに限定されるものでは無く、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。第1のループアンテナ37、第2のループアンテナ38及び無線送受信部31の配置位置は種々変更可能であり、これらの配置位置を変えて実施したに過ぎない実施品に対して実施の形態に係る注文端末の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0028】
言うまでもなくハンディターミナル10は上記例とは別の各種業務に使うことができ、ICカード、RFIDタグやICラベルのほかに、交通系カード、住民基本台帳カード、電子マネー等の無線タグから情報を近距離無線通信により読取ることが可能である。具体的な規格として、MIFARE(登録商標)(ISO/IEC 14443 Type A)、ISO/IEC 14443 Type B、FeliCa(登録商標)及びISO/IEC 15693の通信プロトコルに準拠した近距離無線通信をハンディターミナル10は行える。これらの各通信プロトコルに応じて無線タグとハンディターミナル10との距離は適宜良好になるように人がハンディターミナル10を把持する。通信距離の値は数cm、10cmよりも長い値であってもよく、実施形態に係る注文端末の技術的範囲を限定するものではなく、その趣旨に何ら影響を与えるものではない。
【0029】
連結部13はヒンジ機構の代わりに例えばビデオカセットケースの背表紙の構造例のように厚み、可撓性、及び非導電性を有するプラスチック材を用いて本体部11、蓋部12間を連結してもよい。
【0030】
第1のループアンテナ37は複数のアンテナ素子によって形成されてもよい。第2のループアンテナ38も複数のアンテナ素子によって形成されてもよい。第1のループアンテナ37及び第2のループアンテナ38がそれぞれ複数のアンテナ素子を設けることにより、一つのアンテナ素子が隣接する他のアンテナ素子に電磁界を誘起する。アンテナ素子どうしが電磁界を伝搬させ、全てのアンテナ素子をアンテナ化させることができる。近距離無線通信部39は上記例の読取り範囲よりも広い範囲に読取り範囲を拡大させることができる。制御部22は第1のループアンテナ37及び第2のループアンテナ38の何れかを選択切替えした後、選択した一方からのアンテナ出力のゲインに重みを乗じる演算を行ってもよい。制御部22は第1のループアンテナ37及び第2のループアンテナ38の各アンテナ出力の複素信号の各位相を回転させ、位相回転処理後の各アンテナ出力を合成する処理を行ってもよい。
【0031】
上記の実施形態では、液晶表示器を表示部に用いたが、表示部は有機EL(Electroluminescence)素子によるものでもよい。近距離無線通信部39はICカードと通信するほかに、他のハンディターミナルとの間でハンディターミナルどうしのピアツーピア通信を行ってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0033】
10…ハンディターミナル(実施の形態に係る注文端末)11…本体部、12…蓋部、13…連結部、14…本体部筐体、15…蓋部筐体、16…キー入力部、17…画面表示部、18…キーシート、19…磁石(開閉検知機構)、20…板金(開閉検知機構)、21…磁気センサ(開閉検知機構)、22…制御部、23…フレキシブルプリント配線基板、25…LCD、26…タッチパネル、27…保護シート、29…端部、30…間仕切り壁、31…無線送受信部、32…バッテリ、33…メインボード、34…制御回路、35…第1の側面、36…第2の側面、37…第1のループアンテナ(第1のアンテナ)、38…第2のループアンテナ(第2のアンテナ)、39…近距離無線通信部、40…底壁、41,42,43,44…同軸ケーブル。
図1
図2
図3
図4