【実施例】
【0037】
本発明を具体的な実施形態を参照して説明したが、特定の状況に適応するために、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、その要素を均等物に置き換えることができることが当業者には理解されよう。以下の実験例は、本発明の或る特定の実施形態の様々な態様を実証し、更に説明するために提示され、その範囲を限定すると解釈されるものではない。以下の実験の開示において、以下の材料及び方法が使用される。
【0038】
参加者
生化学的パラメータ及び参加者の病歴についての医師の記載に従って、参加者を対照被験体(CS)、末期腎疾患であると診断された患者(ESRD)又はがんであると診断された患者、及び糖尿病を有するが検出可能な腎機能障害を有しない個体(DB)という3つの区分に分類した。全てのDB被験体は糖尿病の管理下にある。98人の被験体(5人のCS、32人のESRD、10人の乳がん被験体、10人の子宮頸がん被験体、10人の胃がん被験体、10人の結腸がん被験体及び5人のDB)の全てが本省人であり、台北市在住である。被験体はサンプリング日前に少なくとも3ヶ月間渡航していなかった。このため、食物及び水の地理的な同位体組成に起因する同位体比の変動を排除することができる(Bowen GJ, Wilkinson B (2002) Spatial distribution of delta O-18 in meteoric precipitation. Geology 30: 315-318、Hobson KA, Atwell L, Wassenaar LI (1999) Influence of drinking water and diet on the stable-hydrogen isotope ratios of animal tissue,. Proc Natl Acad Sci U S A 96: 8003-8006、Bowen GJ, Ehleringer JR, Chesson LA, Thompson AH, Podlesak DW, et al. (2009) Dietary and physiological controls on the hydrogen and oxygen isotope ratios of hair from mid-20th century indigenous populations. Am J Phys Anthropol 139: 494-504、Chesson LA, Podlesak DW, Erkkila BR, Cerling TE, Ehleringer JR (2010) Isotopic consequences of consumer food choice: Hydrogen and oxygen stable isotope ratios in foods from fast food restaurants versus supermarkets. Food Chemistry 119: 1250-1256)。
【0039】
水サンプル
3mlのヒト血漿サンプルを15ml容ファルコンチューブに保存する。次いで、チューブを、15gのCaCl
2顆粒(Sigma-Aldrich)の入った予備乾燥した真空丸底フラスコに入れる。次いで、空気中の水分がフラスコ内に入らないように慎重に丸底フラスコに蓋をし、密封する。CaCl
2がヒト血漿サンプルから水を吸収するように、フラスコを室温で7日間インキュベートする。水和したCaCl
2から真空蒸留(BuchiのGlass Oven B−585、クーゲルロール)によって水サンプル(約2ml)が得られる。
【0040】
ヒト血漿中の水素(δ
2H)及び酸素(δ
18O)の決定
水サンプル中の水素(δ
2H)及び酸素(δ
18O)の評価は、以下のようにして行った。安定な酸素同位体組成を既知のCO
2−H
2O平衡法によって分析した(Epstein S, Mayeda T (1953) Variation of O18 content of waters from natural sources. Geochimica et Cosmochimica Acta 4: 213-224、Brenninkmeijer CAM, Morrison PD (1987) An automated system for isotopic equilibration of CO2 and H2O for 18O analysis of water. Chemical Geology: Isotope Geoscience section 66: 21-26)。平衡化したCO
2ガスをVG SIRA 10同位体比質量分析計によって測定した。水素同位体組成は、インディアナ大学生物地球化学研究所製の亜鉛ショットを用いて水をH
2に還元した後に、VG MM602D同位体比質量分析計で決定した(Coleman ML, Shepherd TJ, Durham JJ, Rouse JE, Moore GR (1982) Reduction of water with zinc for hydrogen isotope analysis. Analytical Chemistry 54: 993-995)。全ての同位体比の結果は、国際V−SMOW(Vienna Standard Mean Ocean Water)標準に対するδ表記(‰)で報告し、SLAP(Standard Light Antarctic Precipitation)のδ
18O及びδ
2Hがそれぞれ−55.5‰及び−428‰となるように正規化する(Gonfiantini R (1978) Standards for stable isotope measurements in natural compounds. Nature 271: 534-536)。実験室標準に対する1σで表される分析精度はそれぞれ、δ
2Hについては1.3‰、δ
18Oについては0.08‰より良好である。水サンプルの二重分析の平均差はそれぞれ、δ
2Hについては±11.5‰、δ
18Oについては±0.11‰である。
【0041】
データ分析
ANOVA及びスチューデントt検定をSTATISTICA 8.0(StatSoft. Inc.,Tulsa,OK)を用いて行った。k平均クラスタリングを、データを4つのクラスターのプリセットに分割するMATLAB R2011a(MathWorks. Inc.,Natick,MA)で行った。ユークリッド距離を測定して、そのクラスター内のデータ点の平均であるクラスターの重心を計算する。各回で新たなセットの初期クラスター重心位置が与えられるように、合計10000回の反復クラスタリングプロセスを行った。この手順により、各クラスターの点と重心との距離の総和が最低値となる4つのクラスターの最良の解が得られる。
【0042】
実施例1 本発明の方法を用いた腎疾患の診断
42個のヒト血漿の水サンプルに由来する水素(δ
2H)及び酸素(δ
18O)の安定な同位体比を測定した。サンプルは、絶食対照被験体(CS、n=5)、血液透析治療を受けていない絶食末期腎疾患被験体(ESRD
nHD、n=5)、血液透析治療を受けている絶食末期腎疾患被験体(ESRD
HD、n=27)及び絶食糖尿病被験体(DB、n=5)という4つの参加者の群から無作為に得た。
【0043】
対照被験体群(CS)
表1に示されるように、CSについてのδ
2H及びδ
18Oの平均は−
35.2‰及び−
4.76‰である。
【0044】
【表1】
a.5個のヒト血漿サンプル(CS−1〜CS−5)を健常な腎臓を有する対照被験体から採取した。
b.全ての対照被験体は、サンプリング前3ヶ月間は渡航せず国内にいる。
c.血中尿素窒素(BUN)試験は、血液中の尿素の形態の窒素の量を測定することによって腎機能を評価するものである。血液中の尿素の正常レベルは7mg/dL〜20mg/dLである。
d.クレアチニンはクレアチンの代謝産物である。クレアチニン試験は腎機能の指標として用いられる。血液中のクレアチニンの正常レベルは、男性については0.7mg/dL〜1.2mg/dL、女性については0.5mg/dL〜1.9mg/dLである[45]。
e.腎機能の指標である糸球体濾過量の推定。eGFR値は、MDRD(Modification of Diet in Renal Disease)式:eGFR=186×血清クレアチニン
−1.154×年齢
−0.203×(黒人の場合は1.212)×(女性の場合は0.742)に基づいて算出される[46]。
f.比率は、国際V−SMOW(Vienna Standard Mean Ocean Water)標準に対するδ表記(‰)で報告し、SLAP(Standard Light Antarctic Precipitation)のδ
18O及びδ
2Hがそれぞれ−55.5‰及び−428‰となるように正規化する。
i.括弧内の数値は各群の全ての数値の標準偏差である。
【0045】
末期腎疾患群(ESRD)
δ
2H及びδ
18Oの平均値は、ESRD
nHDについては−
72.44‰及び−
11.89‰、ESRD
HDについては−
59.10‰及び−
10.37‰である(表2)。ESRD
HD(標準偏差は、δ
18Oについては2.9、δ
2Hについては11.54)は、ESRD
nHD(標準偏差は、δ
18Oについては0.9、δ
2Hについては4.9)よりもばらつきがある(
図1)。δ
2Hに関しては、ESRD
HDとESRD
nHDとの間の差は有意である[t
0.05;30=2.5及びF
0.05;1,30=6.33]。しかしながら、δ
18Oについては、差は有意ではない[t
0.05;30=1.17及びF
0.05;1,30=1.37]。
【0046】
【表2】
a.32個のヒト血漿サンプルを8時間絶食したESRD(末期腎疾患)患者から採取した。これをESRD
nHD(末期腎疾患であるが、血液透析治療を受けていない)及びESRD
HD(末期腎疾患であり、血液透析治療を受けている)という2つの群に分ける。
b.、c.、d.BUN、クレアチニン及びeGFR試験は全て腎機能の指標である。表1の脚注c、d及びeを参照されたい。
e.血液中のナトリウムの濃度。血液中のナトリウムの正常レベルは135mmol/L〜140mmol/Lである。
f.血液中のカリウムの濃度。正常な血中カリウムレベルは3.5mmol/L〜5mmol/Lである。
g.血液中の塩化物の濃度。血液中の塩化物の正常範囲は98mmol/L〜108mmol/Lである。
h.、i.同位体比はδ表記(‰)で報告する。詳細については表1の脚注c及びdを参照されたい。
j.ESRD
nHDサンプル(ESRD−1〜ESRD−5)を、血液透析治療を受けていないESRD患者から採取した。ESRD
nHDには一価イオン試験を行っていない。
k.ESRD
HDサンプル(ESRD−6〜ESRD−32)を、6ヶ月間にわたって血液透析を受けているESRD患者から採取した。これらのサンプルは、ESRD患者が血液透析を受ける直前に採取した。
l.括弧内の数値は各群の全ての数値の標準偏差である。
【0047】
糖尿病群(DB)
DB群においては、血漿におけるδ
2Hの平均は−
34.08‰、δ
18Oの平均は−
4.04‰である(表3)。
【0048】
【表3】
a.DB血漿サンプル(DB−1〜DB−5)を、8時間絶食させた糖尿病患者から採取した。
b.腎機能の指標である血漿クレアチニン濃度。
c.腎機能の指標である糸球体濾過量の推定。詳細については表1の脚注eを参照されたい。
d.空腹時血中グルコースレベル。
e.、f.同位体比はδ表記(‰)で報告する。詳細については表1の脚注c及びdを参照されたい。
g.括弧内の数値はDBの全ての数値の標準偏差である。
【0049】
ESRDの水のδ
18O及びδ
2Hの値は、CSよりも顕著に低い
ESRD
nHDの血漿における水のδ
18O及びδ
2Hの値は、CSとは顕著に異なる特徴を示した。スチューデントt検定及びANOVA統計分析をESRD
nHD及びCSのデータセットに適用することによって、ESRD
nHD及びCSにおける血漿の水含有量(δ
18O及びδ
2H)は有意な差を示した[δ
18Oについてはt
0.05;8=13.78及びF
0.05;1,8=189.83、δ
2Hについてはt
0.05;8=15.08及びF
0.05;1,8=227.47]。ESRD
HDの血漿中のδ
18O及びδ
2Hの分散は、CSとESRD
nHDとの間でばらつきがあった。ESRD
HDの血漿の水におけるδ
18O及びδ
2Hは、CSよりも有意に低い。ESRD(ESRDnHD及びESRD
HDを含む)の血漿中のδ
18O及びδ
2Hは、CSよりも87%及び72%低く、DBよりも160%及び92%低い。このため、血漿におけるδ
18O及びδ
2Hの値は、本研究において腎機能と相関する。正常な対照被験体及び腎臓患者の両方が同じ飲食用水の供給源を共有しているため、ESRD患者の血漿における水の
18O及び
2Hのレベルの低下は興味深い。
【0050】
2H同位体及び
18O同位体は、腎機能障害を有する患者において血漿の水から選択的に「除去される」ようである。腎臓の多くの機能の1つは、水チャネルを形成する血漿膜タンパク質である種々のタイプの腎臓アクアポリン(AQP)によって少なくとも部分的に媒介されることが現在知られている水の再吸収である(Nielsen S, Frokiaer J, Marples D, Kwon TH, Agre P, et al. (2002) Aquaporins in the kidney: from molecules to medicine. Physiological Reviews 82: 205-244、King LS, Kozono D, Agre P (2004) From structure to disease: The evolving tale of aquaporin biology. Nature Reviews Molecular Cell Biology 5: 687-698、Borgnia M, Nielsen S, Engel A, Agre P (1999) Cellular and molecular biology of the aquaporin water channels. Annual Review of Biochemistry 68: 425-458)。例えば、アクアポリン1(AQP1)は、近位尿細管及び水の透過率を増大させる細い下行脚(descending thin limb)に局在する(Nielsen S, Smith BL, Christensen EI, Knepper MA, Agre P (1993) CHIP28 water channels are localized in constitutively water-permeable segments of the nephron. The Journal of cell biology 120: 371-383)。AQP2、AQP3及びAQP4は、集合管に局在し、AQP2が集合管での水透過率のバソプレシン調節の標的である(Nielsen S, Knepper MA (1993) Vasopressin activates collecting duct urea transporters and water channels by distinct physical processes. The American journal of physiology 265: F204-213)。当然ながら、これらのアクアポリンタンパク質が腎機能障害患者における血漿の
18O及び
2Hのレベルの低下に関与するか否かという疑問が生じる。これまでの研究では、典型的なAQP1の分子動力学(MD)シミュレーション及び溶解実験から、
2H
2Oの透過率が水と類似することが示されているが(Mamonov AB, Coalson RD, Zeidel ML, Mathai JC (2007) Water and deuterium oxide permeability through aquaporin 1: MD predictions and experimental verification. The Journal of general physiology 130: 111-116)、別の研究では、AQP1の芳香族/アルギニン領域における点突然変異によってプロトンの通過が可能となることが示されている(Beitz E, Wu B, Holm LM, Schultz JE, Zeuthen T (2006) Point mutations in the aromatic/arginine region in aquaporin 1 allow passage of urea, glycerol, ammonia, and protons. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 103: 269-274)。さらに、ESRD患者において、バソプレシン濃度の上昇が見出されている(Argent NB, Baylis PH, Wilkinson R (1990) Immunoreactive vasopressin in end stage renal failure. Clinica chimica acta; international journal of clinical chemistry 190: 185-188)。バソプレシン及び水の欠乏は腎臓集合管におけるAQP2の上方調節を伴い(Terris J, Ecelbarger CA, Nielsen S, Knepper MA (1996) Long-term regulation of four renal aquaporins in rats. The American journal of physiology 271: F414-422、Combet S, Gouraud S, Gobin R, Berthonaud V, Geelen G, et al. (2008) Aquaporin-2 downregulation in kidney medulla of aging rats is posttranscriptional and is abolished by water deprivation. American Journal of Physiology - Renal Physiology 294: F1408-F1414)、老化に伴うAQP2の下方調節が転写後に起こる(posttranscriptional)(Combet S, Gouraud S, Gobin R, Berthonaud V, Geelen G, et al. (2008) Aquaporin-2 downregulation in kidney medulla of aging rats is posttranscriptional and is abolished by water deprivation. American Journal of Physiology - Renal Physiology 294: F1408-F1414)。ESRD
HDの血漿におけるNa
+、K
+及びCl
−等の一価イオンのレベルの更なる調査によってヘンレ係蹄上行脚の能動輸送の正常な機能が明らかとなったが(表2)、ネフロンのこの部分はアクアポリンを含有しない(Nielsen S, Frokiaer J, Marples D, Kwon TH, Agre P, et al. (2002) Aquaporins in the kidney: from molecules to medicine. Physiological Reviews 82: 205-244、King LS, Kozono D, Agre P (2004) From structure to disease: The evolving tale of aquaporin biology. Nature Reviews Molecular Cell Biology 5: 687-698)。したがって、組織的かつ原子的な分解能での安定な同位体におけるESRDのアクアポリンの生理学的役割の研究は、腎機能障害患者における重水の減少を解明する可能性がある。
【0051】
血漿の
18O及び
2Hの恒常性は、水供給源の
18O及び
2Hのレベルの変動に対抗する
降水のδ
2H及びδ
18Oの値は季節によって変動する。血漿中の水の
2H及び
18Oの大部分は、最終的には飲食用水の供給源である降水に由来し得るため、雨水及び血漿の水におけるδ
2H及びδ
18Oの値の関係性を調べることは興味深い。
【0052】
2000年から2010年までの台北の毎月の降水のδ
2H及びδ
18Oの値を含むデータの値を比較した(Peng T-R, Wang C-H, Huang C-C, Fei L-Y, Chen C-TA, et al. (2010) Stable isotopic characteristic of Taiwan's precipitation: A case study of western Pacific monsoon region. Earth and Planetary Science Letters 289: 357-366)。1月から5月にかけて、雨水のδ
2H及びδ
18Oの値は変動をほとんど示さなかった。これらの値は6月に低下し始め、7月及び8月に最小値に達し、9月から12月にかけて盛り返した。一方で、CS群における血漿の水同位体比は、1月から5月にかけて常に降水よりも低かった。しかしながら、血漿の水の同位体比は、7月から12月にかけて降水の標準誤差内であった。したがって、CS群の血漿における同位体δ
2H及びδ
18Oの恒常性が、日々の摂取水の変動に対抗することが観察された。
【0053】
台湾の7月における頻繁な台風のために、降水の同位体含有量は、他の全ての月に比べて最も少ないが最も変動する。7月及び3月におけるESRD
HDの血漿の水の同位体比は降水よりも有意に低く、同様に雨水に対する強い独立性を示す。9月における降水の同位体比はCSの同位体比に近く、降水よりも約35%低いESRD
nHDの同位体比においても同じことが観察される。DB群については、12月における血漿の水のδ
18Oは降水と同程度であるが[t
0.05;14=0.27及びF
0.05;1,14=0.07]、血漿の水のδ
2Hは降水に対する独立性を示す[t
0.05;14=3.03及びF
0.05;1,14=9.21]。
【0054】
DB群及びCS群における水のδ
18O及びδ
2Hの値は類似している
DBに由来するδ
18O及びδ
2Hの値は、CSに類似している。ANOVA分析から、DB及びCSの血漿の水含有量(δ
18O及びδ
2H)が同程度であることが示唆される[δ18OについてはF0.05;1,8=4.63;δ2HについてはF0.05;1,8=0.20]。
【0055】
腎臓状態の相違を反映する水同位体の生体恒常性の微調整が存在するようである。例えば、ESRD
nHD及び正常腎臓群(CS及びDB)は異なる恒常性レベルを有する。正常な腎機能を有する2つの群(表1及び表3)について、CS及びDBのδ
18O及びδ
2Hのレベルが類似していることに留意されたい。加えて、本発明者らは、CS被験体の年齢(27歳〜67歳の範囲である)が、DB被験体及びESRD被験体とは独立している(p=0)ことに注目している。ESRD
HD群における
18O及び
2Hの恒常性の欠如は、各血液透析の回数及び期間、並びに種々のESRD
HD被験体の水和状態に起因し得る(Konings CJ, Kooman JP, Schonck M, Cox-Reijven PL, van Kreel B, et al. (2002) Assessment of fluid status in peritoneal dialysis patients. Perit Dial Int 22: 683-692)。
【0056】
腎機能障害の原因は通常は非常に複雑であり、薬物療法、真性糖尿病、高血圧、敗血症、個人のライフスタイル等を含む。それにもかかわらず、腎臓の障害は、
1Hによる
2H及び
16Oによる
18Oの置き換えをもたらす代謝産物の蓄積を引き起こす。これは最終的に血漿の同位体の減少をもたらす。本研究では、腎機能障害がヒト血漿中のδ
18O及びδ
2Hの大幅な減少に関連することが示唆される。腎機能障害患者においては血漿の同位体の減少の痕跡が示されるが、健常な個体又は糖尿病患者においては示されないことが観察された。このデータ及び結果は、血漿のδ
18O及びδ
2Hが腎機能に強く影響を受けるが、恐らくは生体の同位体恒常性のために年齢、人種及び食生活には影響されないようであることを示唆している。要するに、本予備研究は生物学的データとともに、腎機能障害の潜在的マーカーとして血漿におけるδ
18O及びδ
2Hのレベルを用いることの可能性を示唆するものである。
【0057】
実施例2 本発明の方法を用いた腫瘍性疾患の診断
対照被験体及びがん被験体(乳がん被験体、子宮頸がん被験体、胃がん被験体及び結腸がん被験体)の血漿サンプルを、実施例の上記の材料及び方法に言及されるように処理した。ヒト血漿中の水素(δ2H)及び酸素(δ18O)の決定並びにデータ分析を、実施例の上記の材料及び方法に言及されるように行った。がん被験体の血漿中のδ
2H及びδ
18Oの平均を下記の表に挙げる。
【0058】
【表4】