(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663004
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ温水器用のハイドロフルオロカーボン冷媒組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20150115BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20150115BHJP
F24H 1/00 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
C09K5/04
F25B1/00 396T
F24H1/00 611B
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-509868(P2012-509868)
(86)(22)【出願日】2010年5月3日
(65)【公表番号】特表2012-526179(P2012-526179A)
(43)【公表日】2012年10月25日
(86)【国際出願番号】US2010033362
(87)【国際公開番号】WO2010129461
(87)【国際公開日】20101111
【審査請求日】2013年5月1日
(31)【優先権主張番号】61/176,773
(32)【優先日】2009年5月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100139642
【弁理士】
【氏名又は名称】相馬 貴昌
(72)【発明者】
【氏名】ヤナ モッタ,サミュエル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】チン,ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジリ
(72)【発明者】
【氏名】スパッツ,マーク・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】カオ,マギー
【審査官】
井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−544072(JP,A)
【文献】
特表2012−509390(JP,A)
【文献】
特表2012−526182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/04
F24H 1/00
F25B 1/00
C10M 107/34
C10N 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプ温水器のための組成物であって、8〜20重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125)、8〜20重量%のジフルオロメタン(HFC−32)、60〜72重量%のテトラフルオロエタン(HFC−134a)、および1〜16重量%のテトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)からなる組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、ジフルオロメタン(HFC−32)が12〜18重量%の量で提供され、そして、テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)が3〜8重量%の量で提供される組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物であって、14重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125)、14重量%のジフルオロメタン(HFC−32)、66重量%のテトラフルオロエタン(HFC−134a)、および6重量%のテトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)からなる組成物。
【請求項4】
ヒートポンプ温水器のための組成物であって、8〜20重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125)、8〜20重量%のジフルオロメタン(HFC−32)、60〜72重量%のテトラフルオロエタン(HFC−134a)、および1〜16重量%のテトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)を含む組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の組成物であって、ジフルオロメタン(HFC−32)が12〜18重量%の量で提供され、そして、テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)が3〜8重量%の量で提供される組成物。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の組成物であって、滑剤、相溶化剤、界面活性剤、および可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加的な成分をさらに含む組成物。
【請求項7】
ヒートポンプ温水器のための組成物であって、8〜20重量%のペンタフルオロエタン(HFC−125)、8〜20重量%のジフルオロメタン(HFC−32)、60〜72重量%のテトラフルオロエタン(HFC−134a)、および1〜16重量%のテトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)から実質的になる組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の組成物であって、ジフルオロメタン(HFC−32)が12〜18重量%の量で提供され、そして、テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)が3〜8重量%の量で提供される組成物。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の組成物であって、さらに、滑剤、相溶化剤、界面活性剤、および可溶化剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加的な成分から実質的になる組成物。
【請求項10】
ヒートポンプ温水器システムであって、圧縮機、蒸発器、および凝縮器を含み、冷媒組成物が該システムを流れ、そして、該冷媒組成物が請求項4に記載の組成物を含むシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のヒートポンプ温水器システムであって、該冷媒が該凝縮器を第1の方向に流れ、且つ水が該冷媒から熱を吸収するために該凝縮器を第2の方向に流れ、その際、該水が60℃より高い温度に加熱されるシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のヒートポンプ温水器システムであって、該水が65℃以上の温度に加熱されるシステム。
【請求項13】
水の加熱方法であって、冷媒組成物を請求項12に記載のシステムに流すこと、および水を凝縮器に流すことを含み、その際、該凝縮器に流入する高温の冷媒組成物が該水に熱を伝達し、これにより水を60℃より高い温度に加熱する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の水の加熱方法であって、該水を65℃以上の温度に加熱することをさらに含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01] 本発明は、一般には、冷媒として使用するための組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、ヒートポンプ温水器システムにおいて使用するためのハイドロフルオロカーボン冷媒組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[02] 温水は、暖房や入浴、工業プロセス等のために、国内のビル、商業ビル、および産業界において広く必要とされている。ガス焚きボイラーや電気ヒーターは、主として温水を供給するために使用される。ヒートポンプ温水器(HPWH)は、温水を供給するための別のタイプの装置である。HPWHは、再生可能エネルギーを熱源として使用するので、環境への影響が小さいことから、国内用途や軽商業的用途でのHPWHの使用が急速に広がっている。
【0003】
[03]
図1に示すように、ヒートポンプ温水器(HPWH)は、主として、圧縮機1、凝縮器2、膨張装置3、および蒸発器4で構成されるシステムを含む。蒸発器は、例えば、空気源タイプであってよく、あるいは水源タイプであってもよい。作動流体(冷媒)をHPWHシステム中に装填し、真空ポンプを使用してシステムに循環させる。凝縮器において、水と作動流体との間に熱交換が起こる。
【0004】
[04] HPWHの循環サイクル時に、圧縮機1が、高温高圧の作動流体の蒸気を凝縮器2に排出する。凝縮器2において、高温の作動流体(サイド2’)が熱を水(サイド2”)のほうに失い、凝縮して液体となる。水が作動流体から熱を吸収して温水となる。次いで、液状の作動流体が膨張装置3を通って流れ、スロットルを絞って低圧二相作動流体にされる。低圧二相作動流体が蒸発器4に流入し、ここで流体が熱を吸収し、気化して低圧蒸気になり、次いでこの低圧蒸気が圧縮機1中に吸引される。作動流体は、方向5の向きにてHPWHシステムを流れる。水は、水流方向6にて凝縮器2を流れる。
【0005】
[05] レジオネラ菌汚染の問題のために、HPWHに対する新たな要件が制定された。HPWHは現在、60℃以上の水温を与える必要がある(ASHRAEガイドライン12−2000)。ある場合には、この温度は、接続ラインでの温度降下のために65℃である必要がある。幾つかのHPWHに対する技術的要件の例は次のとおりである。信頼性:110℃の圧縮機最高排出温度;28バールの最高排出圧力。性能:環境影響を低減させるために高効率であること;ユーザーニーズを満たすための許容しうる容量を有すること。
【0006】
[06] 現在、ヒートポンプ温水器に使用されている作動流体としては、HCFC−22、HFC−134a、HFC−410A、HFC−407C、およびHFC−417Aなどがある。しかしながら、HCFC−22、HFC−410A、およびHFC−407Cは、60〜65℃の温水を供給するのには不適当であり、圧縮機排出での過剰な温度と圧力のために、現行の圧縮機技術でのみ使用することができる。HFC−22は、オゾン層を攻撃し、排出温度と排出圧力がかなり高いために60〜65℃の温水を供給することができないので、世界的に段階的に使用が廃止されつつある。HFC−407Cは、排出温度と排出圧力がかなり高いので60〜65℃の温水を供給することができない。HFC−410Aは、排出温度と排出圧力がかなり高いので60〜65℃の温水を供給することができない。
【0007】
[07] HFC−134aとHFC−417Aは、現行の圧縮機技術を利用して60〜65℃の温水を供給することができるが、その性能はかろうじて許容し得るものである。HFC−134aは、低い排出温度と排出圧力の下で60〜65℃の温水を供給することができるが、容量がかなり低く、大きな圧縮機を必要とする。さらに、周囲温度が5℃未満であると、容量が大幅に低下する。HFC−417Aが、ヒートポンプ温水器ユニット用の一般的な冷媒である。その排出温度と排出圧力が、現行の圧縮機(排出圧力が28Mpaを超える)にとってほぼ安全であり、その容量と効率はかろうじて許容し得るものだからである。
【発明の概要】
【0008】
[08] ヒートポンプ温水器における作動流体として使用するための優れた特性を有する新規冷媒を見出した。この冷媒は、HPWHが、60〜65℃の温水を、信頼性の高い効率的なやり方で供給することを可能にする。
【0009】
[09] 本発明の1つの態様では、冷媒は、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ジフルオロメタン(HFC−32)、テトラフルオロエタン(HFC−134a)、およびテトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)のブレンドを含む。1つの実施態様では、ブレンドは、約8〜20重量%のHFC−125、約8〜20重量%のHFC−32、約60〜72重量%のHFC−134a、および約1〜16重量%のHFO−1234zeを含む。他の実施態様では、ブレンドは、約8〜12重量%のHFC−125、約12〜18重量%のHFC−32、約70〜75重量%のHFC−134a、および約3〜8重量%のHFO−1234zeを含む。さらに他の実施態様では、ブレンドは、約14重量%のペンタフルオロエタン、約14重量%のジフルオロメタン、66重量%のテトラフルオロエタン、および約6重量%のテトラフルオロプロペンを含む。
【0010】
[10] さらに他の実施態様では、上記4成分の総重量%が100重量%である。すなわち、冷媒中には他の成分が存在しない。他の実施態様では、上記4成分の総重量%が冷媒組成物の100重量%未満であり、冷媒組成物中に追加的な成分が含まれる。さらに他の実施態様では、上記4成分以外の追加的な成分は、冷媒組成物の基本的特性および新規特性に実質的に影響を及ぼさない。例えば、追加的な成分を添加して、組成物の特定の機能性を高めたり、組成物に特定の機能性を付与したりすることができ、場合によっては、組成物のコストを低減させることができる。
【0011】
[11] 本発明は、具体的には、冷媒(HFC−125、HFC−32、HFC−134a、およびHFO−1234zeのブレンド)を、少なくとも圧縮機、蒸発器、および凝縮器を含むヒートポンプ温水器ユニットにおける作動流体として使用することに関し、ここで作動流体がユニットを通って流れる。
【0012】
[12]本発明はさらに、作動流体としての冷媒を、圧縮機、蒸発器、および凝縮器を含むシステムを通して流すこと;および水を凝縮器を通して流すこと;を含む水の加熱方法に関する。ここで、凝縮器に流入する作動流体が熱を水に伝達し、これにより水が60℃以上に温度に加熱される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[13]
図1は、ヒートポンプ温水器のフローチャートを示す。
【
図2】[14]
図2は、種々の作動流体の排出圧力を示す。
【
図3】[15]
図3は、種々の作動流体の排出温度を示す。
【
図4】[16]
図4は、R22と比較したときの種々の作動流体の効率を示す。
【
図5】[17]
図5は、HFC−134aが非常に低いヒーター容量を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[18] 本発明は、HFC−125、HFC−32、HFC−134a、およびHFO−1234zeのブレンドから製造される冷媒組成物に関する。該ブレンドを使用して、ヒートポンプ温水器等のシステム用の作動流体としての有用な熱力学的特性を実現することができる。該成分は、各成分のための目盛り付き流量計を使用することを含む(これに限定されない)当業界では標準的であり且つ産業界で十分に理解されている製造設備においてブレンドすることができる。これらの成分は、個々の成分を、液体容器、管、または他の容器中に加え、次いで、よく分散されたブレンドが得られるまでミキシングするか又は容器中の流れを使用することによってブレンドすることができる。
【0015】
[19] 特定のブレンドから製造された冷媒組成物が、ヒートポンプ温水器において良好な性能と信頼できる作動をもたらす、ということが見出された。1つの特定の実施態様では、ブレンドは、約8〜20重量%のHFC−125、約8〜20重量%のHFC−32、約60〜72重量%のHFC−134a、および1〜16重量%のHFO−1234zeを含む。本発明のさらなる実施態様では、ブレンドは、約8〜12重量%のHFC−125、約12〜18重量%のHFC−32、約70〜75重量%のHFC−134a、および3〜8重量%のHFO−1234zeを含む。
【0016】
[20] 本発明の特定の実施態様では、ブレンドは、約14重量%のペンタフルオロエタン、約14重量%のジフルオロメタン、66重量%のテトラフルオロエタン、および約6重量%のテトラフルオロプロペンを含む。
【0017】
[21] さらなる実施態様では、上記4成分の総重量%が100重量%である。すなわち、冷媒組成物中に他の成分が存在しない。
[22] 他の実施態様では、上記4成分の総重量%が冷媒組成物の100重量%未満であり、冷媒組成物中に追加的な成分が含まれている。さらに他の実施態様では、上記4成分以外の追加的な成分は、冷媒組成物の基本的特性および新規特性に実質的に影響を及ぼさない。例えば、追加的成分を加えて、冷媒組成物の特定の機能性を高めたり、冷媒組成物に特定の機能性を付与したりすることができ、場合によっては、冷媒組成物のコストを低減させることができる。
【0018】
[23] 冷媒組成物に加えることができる追加的な成分としては、滑剤、相溶化剤、界面活性剤、および可溶化剤などがあるが、これらに限定されない。
[24] 滑剤の相溶性及び/又は溶解性を高めるために、プロパン、ブタン、およびペンタン等の適切な相溶化剤を加えることができる。このような相溶化剤は、一般的には、組成物の約0.5重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0019】
[25] 米国特許第6,516,837号明細書(該特許の開示内容を参照により本明細書に含める)に開示されているように、本発明の組成物に界面活性剤と可溶化剤との組み合わせ物を加えて、油溶性を高めることもできる。一般的に使用されている冷媒滑剤[例えば、冷却機械装置においてハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に使用されるポリオールエステル(POE)やポリアルキレングリコール(PAG)]を、本発明の冷媒組成物と共に使用することができる。
【0020】
[26] 本発明の冷媒組成物は、
図1に示し且つ既に述べた、圧縮機1、凝縮器2、膨張装置3、および蒸発器4を含むヒートポンプ温水器ユニット(HPWH)における作動流体として使用することができる。
【0021】
[27] 圧縮機は、例えば、ロータリー型、スクロール型、レシプロ型、またはスクリュー型のいずれのタイプであってもよい。凝縮器は、例えば、同心円型またはろう付けプレート型であってよい。膨張装置は、例えば、キャピラリーチューブ、熱膨張弁、または電気膨張弁であってよい。蒸発器は、例えば、空気源型または水源型であってよい。作動流体をHPWHシステム中に装入し、真空ポンプを使用してシステムに循環させる。凝縮器において、水と作動流体との間で熱交換が起こる。
【0022】
[28] HPWHの循環サイクル時に、圧縮機1が、凝縮器2中に高温高圧の作動流体蒸気を排出する。凝縮器2において、高温の作動流体(サイド2’)が水(サイド2”)に熱を失い、凝縮して液体となる。水が作動流体から熱を吸収して温水となる。次いで、液状の作動流体が膨張装置3を通って流れ、スロットルを絞って低圧二相作動流体にされる。低圧二相作動流体が蒸発器4に流入し、ここで流体が熱を吸収し、気化して低圧蒸気になり、次いでこの低圧蒸気が圧縮機1中に吸引される。作動流体は、方向5の向きにてHPWHシステムを流れる。水は、水流方向6にて凝縮器2を流れる。
【0023】
[29] 水は、凝縮器において60℃以上に(好ましくは65℃以上に)加熱される。
[30] 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例によって本発明が限定されることはない。言うまでもないが、本発明の成分の比率と代替物の変更は当業者には自明であり、これらは本発明の範囲内である。
【実施例】
【0024】
[31] 以下の実施例はヒートポンプの作動を示す。高すぎる排出圧力はユニットの成分に損傷を与え、高すぎる排出温度は潤滑油を劣化させる。圧縮機に対する技術的要件は以下の通りである:1)110℃の圧縮機最高排出温度;2)28バールの最高排出圧力。
【0025】
[32] 以下の仮定条件を使用して性能評価を行った:1)65℃の温水を供給するためには、70℃の凝縮温度が必要とされる;2)膨張装置入口での過冷却度を2℃に設定する;3)蒸発温度を5℃(10℃の周囲温度に相当する)に設定する;4)蒸発器出口での過熱度を5℃に設定する;5)圧縮機効率を0.65であると仮定する;6)接続ライン(吸引ラインと液体ライン)における圧力降下と熱伝達は無視できるものと見なす。同様に、圧縮機のシェルを介しての熱放散も無視する。
【0026】
[33] 実施例1
[34] 他の作動流体と比較するために組成物R125/R32/R134a/HFO−1234zeを選定する。成分の重量%は以下の通りである:HFC−125約14%;HFC−32約14%;HFC134a約66%;およびHFO−1234ze約6%(この実施態様をHPWH_50と呼ぶ)。接頭辞“R”と接頭辞“HFC”は、異なる組成物を記載するときは、本明細書で使用しているように互換性がある。
【0027】
[35] 上記の作動条件下にて比較するための作動流体は次の通りである
【0028】
【表1】
【0029】
[36] 算出は全て、NIST Refprop7.0ソフトウェアを使用して行った。
[37]
図2は、上記の作動条件下での種々の作動流体の排出圧力を示す。R134aとHPWH−50のみが28バール未満である。したがって、これら2つだけが、現行のHPWHユニットのための耐圧特性(pressure−bearing characteristics)についての最も重要な要件を満たすことができる。R22とHFC−407Cの排出圧力は、28バールの境界を大幅に超えている。したがって、R22とHFC−407CとHFC−404Aは、65℃の温水を供給する上で、現行のHPWHユニットには全く使用することができない。HFC−417Aの排出圧力は、28バールをわずかに超える。
【0030】
[38]
図3は、上記の作動条件下での種々の作動流体の排出温度を示す。R22とHFC−407Cは110℃を超える排出温度を有する。したがって、これら2つは、現行のHPWHユニットのための排出温度特性についての最も重要な要件を満たすことができない。
【0031】
[39] HPWH−50とR134aのみが、現行のHPWHシステムのための排出圧力と排出温度についての信頼性のある長期の運転要件を満たすことができる。
[40] 実施例2
[41] 実施例1において実施した評価のさらなる分析から、HFC−134aがHPWH−50より良好な効率を有することがわかるが(
図4)、
図5から、HFC−134aはかなり低いヒーター容量を有することがわかる。この容量を回復するためには、メーカーは、新たな圧縮機と、おそらくはより大きい熱交換器を必要とする。HFC−417A(現行のHPWHシステムにおいて55〜60℃の温水を供給するのに使用される)と比較すると、HPWH−50は、7%高い効率と5%高い容量を有する。HPWH−50の性能は、HFC−417Aより良好である。HPWH−50は、全体としては優れた性能を有する。
【0032】
[42] 実施例3
[43] 下記の表に記載の幾つかの単一成分の地球温暖化係数(GWP)は、JAMES M.CALM,PE.,“Refrigerant Data Update”,HPAC Engineering,Jan.2007の文献からのデータである。それぞれの混合作動流体のGWPは、質量百分率に各成分のGWPをかけて得られる値の合計である。下記の表からわかるように、HFC−417Aは、かなり高いGWPを有する。HPWH−50とR134aは、中程度のGWPを有していて、環境に対して非常に安全である。
【0033】
【表2】
【0034】
[44] 本発明を、現時点で好ましい実施態様を含めた特定の実施例に関して説明してきた。当業者にとっては自明のことであるが、添付のクレームに記載の本発明の要旨に含まれる、上記のシステムと方法における変更例及び順序の置換例がある。
【符号の説明】
【0035】
1 圧縮機
2 凝縮器
3 膨張装置
4 蒸発器
5 方向
6 水流方向