(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663015
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】セグメント化及びマスタアーチを用いた歯科用パノラマ撮像
(51)【国際特許分類】
A61B 6/14 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
A61B6/14 311
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-523094(P2012-523094)
(86)(22)【出願日】2010年7月30日
(65)【公表番号】特表2013-500789(P2013-500789A)
(43)【公表日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】US2010043931
(87)【国際公開番号】WO2011014786
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2012年6月8日
(31)【優先権主張番号】61/230,411
(32)【優先日】2009年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508105979
【氏名又は名称】イメージング・サイエンシィズ・インターナショナル・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】シ,ホンジアン
(72)【発明者】
【氏名】シン,アルン
(72)【発明者】
【氏名】マランドラ,エド
(72)【発明者】
【氏名】ムンドリー,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】クレアン−アレクル,ソムチャイ
【審査官】
安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−061834(JP,A)
【文献】
特開2008−220406(JP,A)
【文献】
特表2002−535786(JP,A)
【文献】
特開平10−052426(JP,A)
【文献】
特開2008−259822(JP,A)
【文献】
特開2008−229322(JP,A)
【文献】
特開2010−148590(JP,A)
【文献】
特表2008−504092(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0275740(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0246768(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パノラマX線画像を生成する方法であって、
X線検出器を用いて、第1の複数のスライスを有するボリュメトリックX線画像データを得るステップと、
コンピュータを用いて、前記X線画像データを、垂直閾値よりも上の第1の部分と、前記垂直閾値よりも下の第2の部分とにセグメント化するステップと、
前記コンピュータを用いて、前記第2の部分を第2の複数のスライスに分離するステップと、
前記コンピュータを用いて、前記第2の複数のスライスの各スライスについて、複数の曲線を生成するステップと、
前記コンピュータを用いて、前記第2の複数のスライスについて、マスタアーチを生成するステップと、
前記コンピュータを用いて、前記マスタアーチに基づいてパノラマ画像を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記X線画像データをセグメント化するステップは、骨を表す画像データを、組織を表す画像データから分離するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シーディングプロセスを実行するステップを更に含み、該シーディングプロセスは、各スライスの上側部分に二次元の格子ネットを適用することを含むマルチスレッドシーディング法を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のスライスについて、マスタアーチを生成するステップは、前記第2の複数のスライスから、所定の解剖学的特徴を含むスライスを求めるステップと、該スライス中の最長曲線を求めるステップとを含む、請求項1から3のうちの何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の複数のスライスの各スライスについて、複数の曲線を生成するステップは、外側曲線、内側曲線及び中央曲線を生成するステップを含む、請求項1から4のうちの何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マスタアーチから複数の投影を行うステップを更に含む、請求項1から5のうちの何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ボリュメトリックX線画像データから矢状スライスを選択するステップと、
前記矢状スライス中のボクセル値を繰り返しチェックするステップと
を更に含む、請求項1から6のうちの何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
ガントリと、
前記ガントリに取り付けられたX線源と、
前記X線源に対向して前記ガントリに取り付けられたX線検出器と、
前記X線検出器からボリュメトリック画像データを受けるコンピュータであって、
前記画像データを、垂直閾値よりも上の第1の部分と、前記垂直閾値よりも下の第2の部分とにセグメント化し、
データの前記第2の部分を複数のスライスに分離し、
前記複数のスライスの各スライスについて、複数の曲線を生成し、
前記複数のスライスについて、マスタアーチを生成し、
前記マスタアーチに基づいてパノラマ画像を生成する
前記コンピュータと
を備えた、パノラマX線システム。
【請求項9】
前記画像データをセグメント化することは、骨を表す画像データを、組織を表す画像データから分離することを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンピュータはシーディングプロセスを実行し、該シーディングプロセスは、各スライスの上側部分に二次元の格子ネットを適用することを含むマルチスレッドシーディング法を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数のスライスについて、マスタアーチを生成することは、前記複数のスライスから、所定の解剖学的特徴を含むスライスを求めることと、前記スライス中の最長曲線を求めることとを含む、請求項8から10のうちの何れか一項に記載のシステム。
【請求項12】
各スライスについて、複数の曲線を生成することは、外側曲線、内側曲線及び中央曲線を生成することを含む、請求項8から11のうちの何れか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンピュータは、前記マスタアーチから複数の投影を生成する、請求項8から12のうちの何れか一項に記載のシステム。
【請求項14】
顎画像データを生成する方法であって、
X線検出器を用いて、複数のスライスを含むボリュメトリックX線画像データを得るステップであって、各スライスは複数のボクセル値を有する、ステップと、
コンピュータを用いて、前記ボリュメトリック画像データから矢状スライスを選択するステップと、
前記コンピュータを用いて、前記矢状スライス中のボクセル値を繰り返しチェックするステップと、
前記コンピュータを用いて、前記複数のスライスの各スライスをシーディングするステップと、
前記コンピュータを用いて、領域拡張を実行するステップと、
前記コンピュータを用いて、前記領域拡張に基づいて1組の画像を生成するステップと、
前記1組の画像に基づいて三次元画像を生成するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本特許出願は、2009年7月31日出願の米国仮特許出願第61/230,411号の優先権を主張するものであり、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
[0002]本発明は、X線撮像に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、ヒトの口及び類似の構造のパノラマ撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]X線は、歯及び口の器官を撮像するために、歯科で長年にわたり使用されてきた。一般に、そのプロセスは、X線を発生させ、そのX線を患者の口に向けるものである。X線は、口の様々な器官によって(例えば、骨か組織かで)異なって吸収され、反射される。こうした吸収の差は、例えば、フィルム上に又は電子画像センサを用いることによって、画像を生成するために使用される。対象となる特定の領域の個々の画像を生成することができ、又は、より広い全体像が求められる場合にはパノラマ画像を生成することができる。パノラマ画像を生成するには、コンピュータ断層撮影(「CT」)システムがしばしば使用される。典型的な歯科用CTシステムでは、患者はまっすぐ座り、X線源及び検出器がガントリの対向した端部に取り付けられ、このガントリは、患者の頭部中央を通る垂直軸周りで回転する。一般に、顎のパノラマ画像では、円筒形のシートであってそのシートを立てた軸を有するシート上で撮像され、その後そのシートを平坦に伸ばし広げたかのように、顎が描写される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0004]口のパノラマ画像を生成するように設計された技術が幾つか存在するが、これらの技術には幾つかの欠点がある。例えば、顎は円筒形ではないので、多くの既知の技術を用いて生成されたパノラマ画像には、幾分かの歪み及び不正確さが生じる。更に、現在利用可能な多くのシステムの画質は、求められる画質に満たず、その理由は、とりわけ、このパノラマ画像では、前歯、側方歯、洞床(sinus floor)及び神経管が明瞭に見え、且つ、画像が撮影されている個人の実際の解剖学的構造に極めて近似した画像が得られないからである。例えば、従来のあるパノラマシステムでは、前方が窪み、下顎関節突起が隠れた画像が生成される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0005]本発明の実施形態は、とりわけ、実際の解剖学的構造を、少なくとも従来技術による幾つかの装置よりも現実的に描写した画像を生成するために使用される4ステップのプロセスを提供する。プロセスの第1の部分は、顎(又は骨)を画像の他の器官(筋肉組織、歯肉等)からセグメント化し、視覚化するものである。このプロセスの第1の部分では、「領域拡張アルゴリズム(region growing algorithm)」を使用する。プロセスの第2の部分では、画像データをスライスに分離し、曲線の当てはめ法(curve−fitting technique)を適用することによって、顎アーチ(jaw arch)の検出が行われる。プロセスの第3の部分では、マスタアーチを検出するために、顎アーチに関する情報が使用される。最後に、プロセスの第4の部分で、マスタアーチを使用し、幾何形状をレンダリングすることによって、パノラマ画像が生成される。
【0005】
[0006]本発明はまた、パノラマX線画像を生成する方法を提供する。この方法は、X線検出器を用いて、第1の複数のスライスを有するボリュメトリック(volumetric)X線画像データを得るステップと、コンピュータを用いて、X線画像データを、垂直閾値よりも上の第1の部分と、垂直閾値よりも下の第2の部分とにセグメント化するステップと、第2の部分を第2の複数のスライスに分離するステップとを含む。この方法は、第2の複数のスライスの各スライスについて、複数の曲線を生成するステップと、第2の複数のスライスについて、マスタアーチを生成するステップと、マスタアーチに基づいてパノラマ画像を生成するステップとを更に含む。
【0006】
[0007]更に、本発明は、高画質のパノラマX線システムを提供する。このシステムは、ガントリと、ガントリに取り付けられたX線源と、X線源に対向してガントリに取り付けられたX線検出器と、X線検出器からボリュメトリック画像データを受けるコンピュータとを備える。このコンピュータは、画像データを、垂直閾値よりも上の第1の部分と、垂直閾値よりも下の第2の部分とにセグメント化し、データの第2の部分を複数のスライスに分離し、複数のスライスの各スライスについて複数の曲線を生成し、複数のスライスについてマスタアーチを生成し、マスタアーチに基づいてパノラマ画像を生成する。
【0007】
[0008]本発明は、顎画像データを生成する方法を更に提供する。この方法は、X線検出器を用いて、複数のスライスを含むボリュメトリックX線画像データを得るステップを含み、各スライスは、複数のボクセル値を有している。この方法は、コンピュータを用いて、ボリュメトリック画像データから矢状(sagittal)スライスを選択するステップと、コンピュータを用いて、矢状スライス中のボクセル値を繰り返しチェックするステップとを更に含む。この方法は、複数のスライスの各スライスをシーディングする(seed)ステップと、領域拡張を実行するステップと、領域拡張に基づいて1組の画像を生成するステップと、1組の画像に基づいて三次元画像を生成するステップとを更に含む。
【0008】
[0009]本発明の他の態様は、詳細な説明及び添付の図面を考慮すると明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0010]パノラマX線画像を生成する歯科用X線システムを示す図である。
【
図2】[0011]
図1に示されたシステムによって実行される、顎のセグメント化及び視覚化プロセスを示す流れ図である。
【
図3】[0012]
図1に示されたシステムによって実行される、顎アーチ自動検出プロセスを示す流れ図である。
【
図4】[0013]
図1に示されたシステムによって実行される、マスタアーチ検出プロセスを示す流れ図である。
【
図5】[0014]
図1に示されたシステムによって実行される、パノラマ画像再構築プロセスを示す流れ図である。
【
図6】[0015]
図2の顎アーチ自動検出プロセスの詳細なステップをより詳細に示す流れ図である。
【
図7】[0016]
図3の顎アーチ自動検出プロセスの詳細なステップをより詳細に示す流れ図である。
【
図8】[0017]
図4のマスタアーチ検出プロセス及び
図5のパノラマ画像再構築プロセスの詳細なステップをより詳細に示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0018]本発明の幾つかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明又は以下の図面に記載された構造の詳細及び構成要素の配置のみにその適用が限られるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態も可能であり、様々な形で実行又は実施することが可能である。
【0011】
[0019]図面のまず
図1を参照すると、参照番号10で全体が示された本発明の実施形態による断層撮影装置の一形態は、スキャナ12及びコンピュータ14を含む。コンピュータ14は、キーボード16、カーソル制御装置(例えばマウス)、及び、モニタ又は表示装置20等の様々な入出力装置を有する。スキャナ12は、X線源22、X線検出器又はセンサ26、及び、椅子又は座席28を含む。図示の実施形態では、スキャナ12は、ヒト患者Pの頭部、又は、頭部の一部、特に患者の顎及び歯を撮像するように構成される。このスキャナはまた、患者の頭部及び顔を支持するレスト又は拘束器32を含む。X線源22とセンサ26とは、互いに位置合せされたまま(互いに対向したまま)患者頭部の周りを回るように、回転担持体又はガントリ34に取り付けられる。X線源が起動すると、X線の流れが発生する。患者が座席28及び拘束器32に適切に位置すると、X線(又は少なくとも幾分かのX線)が患者の頭部を通過し、センサ26が患者頭部のX線画像を生成する。線源22及びセンサ26が患者頭部の周りを回転するにつれて、多数の画像が生成される。コンピュータ14は、スキャナ12からX線画像データを受信し、以下で論じるように、取得された画像データに基づいてパノラマ画像を生成する。
【0012】
[0020]上記のように、従来のシステムでは、歪んだ又は不正確なパノラマ画像が生じることが多い。本発明の一目的は、歯、洞床及び下顎関節突起を含めて、顎歯列構造全体をより正確に描写するパノラマ画像を提供することである。本発明の実施形態を用いて生成される画像は、視覚的観点及び空間測定的観点から、パノラマ画像に一様に比例した、比が1:1の解剖的構造寸法を示す。
【0013】
[0021]
図2から5は、本発明の実施形態によって行われる画像生成プロセスを概括的に示す。このプロセスは、スキャナ12から受信された、複数のスライスを有する画像データ(ボリュメトリックX線画像データセット又はボリュメトリックデータセットの一部分)に基づき、コンピュータ14によって実行される。一般に、コンピュータ14は、以下で概略的に示されるプロセスを行うように設計されたソフトウェアでプログラミングされる。本発明の実施形態はまた、特定用途向けハードウェアを用いて、又は、特定用途向けハードウェアとプログラム可能な装置で動作するソフトウェアとの組合せを用いて実行することもできることに留意されたい。
図2に示されるように、プロセスの第1の全般的ステップは、顎のセグメント化及び視覚化を含む。センサ26からの画像データ50が、画像データを2つの部分、即ち垂直閾値よりも下のデータ及び垂直閾値よりも上のデータに分離又は分割する垂直分離(ステップ52)を実行することによって処理される。次いで、分割されたデータ54(軟組織及び硬組織(例えば骨)の両方に関連したデータを含む)が、軟組織を硬組織から分離して顎画像データ58を生成するように処理される(ステップ56)。
図3に示されるように、顎画像データ58は、スライス64に分離され(ステップ62)、スライス64は、曲線の当てはめを用いて修正される(ステップ72)。曲線の当てはめによって、各スライスについて3つの曲線、即ち外側曲線74、内側曲線76及び中央曲線78を生成する。これらのステップは、顎アーチ自動検出プロセスによって実行される。
図4に示されるように、曲線74〜78は、マスタアーチ検出プロセス(ステップ85)で使用され、このプロセスでマスタアーチ90を生成する。
図5に示されるように、マスタアーチ90は、パノラマ画像100を生成するパノラマ画像再構築プロセス(ステップ96)で使用される。
図2から5に示されたプロセスの追加の詳細を以下に示す。
【0014】
[0022]
図6は、
図2のセグメント化及び視覚化プロセスに関する追加の情報を提供する。
図6に示されるように、画像データ(即ち画像データ50)が得られ(ステップ102)、患者の顎の硬口蓋を検出することによって、セグメント化が実現される(ステップ104)。硬口蓋を検出する目的は、歯科医(又は他の医療専門家)が対象とする解剖学的構造を、頭部の他の器官から分離するためである。典型的には、対象となる領域は、下顎骨、下顎関節突起、上顎骨、歯、歯根尖(teeth apices)、神経管路及び洞床を含む。下顎関節突起及び洞床を除き、硬口蓋より上に位置する頭部の組織及び器官は、典型的には歯科医の対象とはならない。
【0015】
[0023]硬口蓋を検出するために、画像データの中央矢状スライスが選択される。次いで、硬口蓋(これは、当然ながら、一般論として、解剖学的特徴である)の位置を判定するために、上記データスライスのボクセルのチェックが繰り返し行われる。データの分析は、被験者の歯に金属人工物(例えば、窩洞内の充填物、装具等)があるか、上部空間窩、下部舌骨及び硬口蓋の湾曲を含めて、幾つかの条件に影響される。
【0016】
[0024]具体的には、対話形式の(interactive)ボクセルチェックプロセスでは、中央矢状スライスの右半分からボクセル値のチェックを開始する。チェックは、矢状スライスの底部から開始し、(垂直方向で)上方に進み、ボクセル強度値が硬口蓋又は他の解剖学的特徴に関連した値に対応するか判定する。また、それらの値が、存在し得る金属人工物に対応するかを見るためにも、チェックが実行される。
【0017】
[0025](硬口蓋は単純な水平面ではないことを理解した上で)硬口蓋に対応すると思われるボクセルが判定又は検証されると、その検証されたボクセルの垂直レベルから所定の間隔(例えば5mm)下に位置する垂直レベルが、分離レベルとして選択される。
【0018】
[0026]補足ステップで、硬口蓋の計算値が硬口蓋高さの平均経験値から所定量(例えば、数ミリメートル)よりも多く逸脱する場合、硬口蓋の経験値よりも低いレベル(例えば、経験値よりも5mm下)が分離レベルとして選択される。記載の特定の実施形態では、対象となる解剖的特徴を、頭部の対象とならない部分から分割又は分離するために、求められた硬口蓋が使用される(ステップ106)。歯科的特徴の大部分が硬口蓋よりも下に位置するので、プロセスのこの部分の出力は、分離レベル(又は硬口蓋)よりも下の画像データを表すデータセットとなる。
【0019】
[0027]硬口蓋の検出が行われ、(硬口蓋を分割線として用いて)対象となる解剖学的構造が、他の解剖学的構造から分離される(ステップ106)と、顎(又は骨)を軟組織から分離する全般的プロセスの一部として、自動シーディングが実行される(ステップ108)。(「骨を組織から分離する」という表現(又は類似の表現)が使用されている(複数可)が、画像データは、骨を表すデータ又は組織を表すデータの何れかに分離又は分類されていることを理解されたい。)シーディングは、歯の中に又は歯の周囲に存在し得る空隙又は間隙のため、骨を組織から区別する際に伴う困難を少なくとも部分的に補償する形で実行される。更に、このシーディングプロセスはまた、下顎骨及び上顎骨の内部に存在し得る他の低濃度領域(例えば、空気又は液体の嚢)を補償する一助となる。
【0020】
[0028]硬組織若しくは解剖学的器官が全て又はほぼ全て、軟組織(又は器官)から分離されるセグメント化を実現するために、マルチスレッドシーディング法が使用される(ステップ110)。マルチスレッドシーディング法は、各画像スライスの上側部分に二次元の格子ネット(grid net)を適用するステップを伴う。格子ネットと重なる画像点が、所定量(例えば900)よりも高い強度を有する場合、この画像点は、骨点として選択(又は推定)され、シーディング点の組に取り込まれる。骨点選択プロセスは、画像の左上から右へと実行され、所定の間隙(例えば3mm)で点から点へと進む。特定の一実装形態では、選択される点の総数は、所定量(例えば20)に限られる。
【0021】
[0029]骨点が選択されると、それらの骨点は、少なくとも1つの骨点(即ち、所定量の強度を有する点)を含む底部スライスから開始し、(単一の骨点が見つかると)スライスごとに上方に進みながら処理される。現在のスライス上で最後に選択された点が、前のスライス上で最後に選択された点から遠く(例えば、数ミリメートル超)離れている場合、現在のスライスの前に選択された点は廃棄され(即ち、骨点の組から除去される)、プロセスは現在のスライスから再開する。このプロセスでは、現在のスライスに骨点がない場合、次のスライスが分析される。各画像スライスは、所定の高さ(例えば、分離レベル(又は硬口蓋)よりも高くないある高さ)に達するまで処理される。全てのスライスが一方向で処理された後、このプロセスは次いで逆向きになり、反対方向で実行される。逆方向で検出又は判定された骨点が、シーディング点の組に追加される。この下方又は逆向きプロセスで選択される点の数もやはり、所定量(例えば20)に限られる。シーディング点(即ち骨点)の総数は限られ(例えば40)、順序集合を成す。高速計算を実現する助けとなるように、領域拡張プロセスでは演算順序が遵守される(例えば、最後の点が最初に処理される)。
【0022】
[0030]シーディングが完了すると、領域拡張セグメント化プロセス又はアルゴリズムが使用される(ステップ110)。セグメント化プロセスによって、現在の点が顎骨上の点であるか判定する。評価中の点(即ち、現在の点)がある条件を満たす場合、この点は、セグメント化されたボリュームに含むべき点として分類される。
【0023】
[0031]こうした分類後、同じスライス上の隣接点(例えば8つの点(前方、後方、左、右、前方左、前方右、後方左、後方右))及び現在の点の上下2つの点が分析される。実行される分析は、「領域拡張プロセス」と呼ばれる。ある条件を満たすこの10点の組に含まれる点は、シーディング点として分類される。これらの条件は、修正強度、標準偏差及び解剖学的位置を含む。隣接点の分析は、全てのシーディング点について繰り返される。
【0024】
[0032]セグメント化されたボリューム(即ち、分離レベル又は硬口蓋よりも下のボリュームを表すデータ)中の点を分類するプロセスが進むにつれて、シーディング点の組は随時変動する。言い換えれば、シーディング点の組内の点は、プロセスの各サイクル中に変動し、これは、セグメント化されたボリュームに分類済みの点は、シーディング点の組に再度取り込まれることはないからである。
【0025】
[0033]上記説明から明白であるように、このシーディング点拡張プロセスは、後入れ先出し(last−in, first−out)のプロセスである。また、このプロセスは、多数のスレッドを用いて、孔及び間隙を有する領域にフィットさせるローカルネスト(local−nested)プロセスである。このシーディングプロセスは、孤立部分又は孔を有する骨質部分が確実に評価又は判断され、骨又は硬組織として適切に分類されることを保証する一助となる。
【0026】
[0034]マルチスレッドシーディング及び領域拡張プロセスの結果又は出力は、1組の2値画像である。一実施形態では、各画像の「1」は、顎上のボクセルを示し、画像の「0」は、顎から外れた(又は外の)ボクセルを示す。以下でより詳細に説明するように、2値画像データは更に処理され、最終的にはパノラマ画像を生成するために使用される。しかし、代替形態として、2値画像は、パノラマ画像の代わりに又はそれに加えて、軟部組織から分離された顎の三次元画像をレンダリングするために使用することもできる(ステップ112)。
【0027】
[0035]2値画像が生成された後、この2値画像データは、スライスに分離される(
図7のステップ120)。このプロセスは、三次元的にセグメント化された2値画像データを、2値の、二次元画像スライスの積み重ねとするものである。このプロセスの実行は、ある下流ステップで実行される計算を高速化する一助となる。
【0028】
[0036]2値画像データをスライスに分離した後、外側アーチ検出プロセスが実行される(ステップ124)。具体的には、セグメント化されたボリュームの2値データにおいて、外側アーチの位置が検出又は判定される。外側アーチの検出は、二次元スライスにおいて、顎アーチの外側から顎のエンベロープを配置することによって実現される。
【0029】
[0037]一実施形態では、外側アーチの境界を識別するために、2つの距離メトリックが使用される。一方のメトリックは、画像の最左縁部から最近接水平顎骨までの左側距離であり、他方のメトリックは、画像の最右縁部から最近接水平顎骨までの右側距離である。顎アーチの左半分及び顎アーチの右半分について、2つの手順が、並行して、また組み合わせて実行される。顎アーチの左半分では、局所最小距離を有する点及び直前の点よりも小さい左側距離を有する点が境界点とみなされる。同様のプロセスが、顎の右半分にも適用される。これらの収集された境界点(即ち、顎の左半分からの点及び右半分からの点)又は境界点の組が、顎アーチの外側境界を構成する。顎アーチをより良く推定するために、境界点の組について曲率に基づいた補間が実行される。高い又は比較的高い曲率を有する領域では、より多くの点が補間される。検出された外側境界点は、画像の中心から左側の水平セグメントに対する対応するラジアル角(radial angles)が小さいものから大きいものの順に配列される。
【0030】
[0038]外側アーチの位置決定に加えて、内側アーチの位置が決定される(ステップ128)。一実施形態では、内側アーチの境界は、各二次元スライスにおいて、顎アーチの内側から内側顎アーチに当てはまる曲線を求めることによって検出される。一実施形態では、内側アーチの境界を識別するために、2つの距離メトリックが使用される。一方のメトリックは、画像の中央垂直線から最近接水平顎骨までの左側距離であり、他方のメトリックは、画像の中央垂直線から最近接水平顎骨までの右側距離である。顎アーチの左半分及び顎アーチの右半分について、2つの手順が並行して、また組み合わせて実行される。
【0031】
[0039]顎アーチの左半分では、局所最小距離を有する点及び直前の点よりも小さい左側距離を有する点が、境界点とみなされる(「内側アーチ境界点規則」と呼ばれる)。同様のプロセスが、顎アーチの右半分にも実行される(又は、境界点規則が適用される)。しかし、内側アーチ境界規則は、顎が、その最前領域に1つの凹形状を有する場合にしか有効でない。前顎の内側形状が2つの凹部を含む場合、こうした凹部のそれぞれについて、内側境界点が収集される。1つ又は2つの凹部が存在するかの判定は、線(又は曲線)の中央領域にあるボクセルの位置及び強度をチェックすることによって実現される。収集された上記境界点が、顎アーチの内側境界を構成する。
【0032】
[0040]外側アーチについて行われたのと同様に、内側顎アーチをより良く推定するために、境界点の組について曲率に基づいた補間が実行される。高い又は比較的高い曲率を有する領域では、より多くの点が補間される。検出された外側境界点は、画像の中心から左側の水平セグメントに対する対応する放射角が小さいものから大きいものの順に配列される。
【0033】
[0041]
図7のステップ132に示されるように、顎アーチの内側境界及び外側境界(又は内側アーチ及び外側アーチ)は、各スライスについて、外側曲線、内側曲線及び中央曲線を生成するように処理される。内側境界及び外側境界は、それらの境界自体によって形成される三次元シェルとして平滑化される。このプロセスは、(最終的に生成される)パノラマ画像が不連続に見えるアーチファクトをなくす一助となる。
【0034】
[0042]境界平滑化が、二次元ではなく三次元で実行される。内側境界及び外側境界の両方について、新たな点を得るために、三次元の、空間的なローパス平均化フィルタが曲線処理に使用される。内側境界及び外側境界の平滑化後、画像の中心から左側の水平セグメントに対して同じ角度を有する内側境界点と、外側境界点とを平均化することによって、顎アーチの中央曲線(通常は、顎アーチ位置と呼ばれる)が得られる。内側境界からの点と外側境界からの点の対の点が、1対1の比で配置される。
【0035】
[0043]この平滑化プロセスはまた、曲線の当てはめプロセスと呼ぶか又は特徴付けることができ、なぜなら、このプロセスの目的が、検出された外側曲線及び内側曲線に基づいて曲線が人工的に形成された場合であっても、内層及び外層を、実際の物体の自然表面として見えるほど十分平滑にすることであるからである。
【0036】
[0044]
図8のステップ136に示されるように、外側アーチ及び内側アーチが検出され、境界平滑化ステップが実行された後、マスタアーチ検出プロセスが実行される。マスタアーチ検出プロセスの一目標は、固体形状の外観を有する横断(axial)スライス上で、アーチ(中央曲線)を見つけることである。好ましくは、選択されるアーチは、画像データのスライスの他の横断方向のアーチよりも固体形状に近似したものである。観察及び経験的研究によって、所定の解剖学的特徴を含むスライスが、マスタアーチを求めるスライスとなることが判明した。具体的には、セメント質エナメル質境界(「CEJ」)曲線の前方部分を含むスライスが、マスタアーチを選択するのに最も適したスライスであることが判明してきている。マスタアーチは、スライス中でおおよそ最長の曲線であり、一般に、顎の典型的な形状を表す比較的固形の内側境界及び外側境界を有する。
【0037】
[0045]選択されたスライスから得られたマスタアーチの垂直レベルの判定は、前歯の局所最大突出部を分析することによって行われる。局所最大前方突出部を見つけるために、前歯データのループサーチが、最高又は最大レベルの垂直レベルを見つけるように実行される。この手順を用いてもマスタアーチの垂直レベル(即ち最大突出部)が見つからない場合、マスタアーチレベルを得るために、分離スライスと、顎底部を含む底部スライスとの間で「黄金」分割(“golden” division)(即ち、黄金算術(golden arithmetic)に基づく分割)が実行される。500以上のデータセットのデータベースでは、黄金分割がうまくいくことが経験的試験によって実証されてきている。
【0038】
[0046]マスタアーチは、検出された後、その上にある点を再配置することによって処理され(ステップ140)、従ってこのマスタアーチは、等間隔の投影に使用することができる(ステップ144)。投影は、マスタアーチが及ぶ表面から全ての中央曲線(即ち、各スライスの中央曲線)に対して行われる。
【0039】
[0047]投影を行う前に、ステップ140で、マスタアーチの2つの末端が、マスタアーチの左右の境界の方に位置する(又は位置合せされる)ように処理される。2つの末端はまた、画像境界に接触するまで延長される。この延長は、(マスタアーチによって境界が定まる)他の曲線全ての末端の完全な解剖学的構造が(最終画像に)確実に含まれるように保証する一助となり、その理由は、歯の領域にある曲線は、延長されていないマスタアーチよりも長い場合があるからである。マスタアーチの長さを計算するために、マスタアーチ上の点が数えられる。次いで、等間隔に配置された点が新たに生成され、マスタアーチの既存の点と置き換えられる。マスタアーチ用に新たに生成される点の数は、生成すべきパノラマ画像の長さに等しい。全ての隣接点までの間隔が、1ボクセル幅となる。
【0040】
[0048]マスタアーチの末端が調整された後、マスタアーチから垂直投影が行われる(ステップ144)。各中央曲線について一つの投影が行われ、投影された線が中央曲線と交差する点が記録又は記憶される。投影が中央曲線上の点と交差しない場合、中央曲線上の点を生成するために、中央曲線上の左側最近接点及び右側最近接点が使用される。中央曲線上で新たな点を生成する際に、左側最近接点から投影までの相対距離と、右側最近接点から投影までの相対距離とが重み付けられる。結果として、交点の数は、マスタアーチにある点の数と同じになる。上記のように、この数は、再構築すべきパノラマ画像の長さとなる。スライスの数は、再構築すべきパノラマ画像の幅となる。
【0041】
[0049]中央曲線は、投影によって新たに生成された点を用いて再配置又は再編成される(ステップ148)。パノラマ画像を生成するために、内側アーチ及び外側アーチ、中央曲線並びにマスタアーチが全て使用される(ステップ152)。2種類のパノラマ画像がユーザの裁量で(例えば、システム10によって一方の種類の画像か他方の種類の画像か又は両方を生成したいという要望を示すユーザの入力に基づいて)生成され得る。デフォルト画像(「放射線写真」と呼ばれる)は、従来のパノラマ画像と同様である。他方の画像は、最大強度投影(「MIP」)パノラマ画像と呼ばれる。
【0042】
[0050]放射線写真の生成は、中央曲線の各点において局所法線ベクトルを見つけるものである。法線ベクトルの向きは、中央曲線の内側から中央曲線の外側への向きである。デフォルトのパノラマ画像を生成するために、レイ・サメ−ション(ray summation)が、内側から外側へと法線ベクトルに沿って実行される。一実施形態では、デフォルトの経路は、長さ14mmであり、中央曲線の点が中心となる。経験的証拠に基づくと、この14mmの厚さは、顎アーチの典型的な厚さである。しかし、この厚さは、ユーザが望めば変えることができる。
【0043】
[0051]MIPパノラマ画像では、レイ・サメ−ション用に特定された同じ経路に沿った最大強度が、パノラマ画像の強度として採用される。中央曲線上の各点について、一画素が識別され、各中央曲線が、パノラマ画像上の水平方向の一線を表す。これらのスライスがパノラマ画像全体を形成する。但し、分離スライスにある中央曲線は、分離レベルより上にある全てのスライスに使用される。分離レベルよりも上にある顎解剖学的構造は、窩及び他の組織が入れ子状になっている。こうした骨情報をセグメント化し組み込むと、視覚的なアーチファクトが生じ、洞床及び下顎関節突起が隠れてしまうことがある。こうした骨情報を除外することによって、洞床及び下顎関節突起が明瞭になり、従来の放射線写真と同様の又はそれよりも優れたパノラマ画像が得られる。
【0044】
[0052]分離レベル(並びに分離スライス)は歯根尖に近いので、歯根尖及び洞床領域は明瞭であり、連続性が自然に広がる。また、分離スライスは、従来の病巣の溝(focal trough)よりも遙かに上にあるので、分離スライスよりも下の局所的な顎骨情報を幅広く使用することによって、顎全体が、従来のパノラマ画像及び従来の放射線写真よりも明瞭になる。
【0045】
[0053]従って、本発明は、とりわけ、改善されたパノラマ画像を生成するX線撮像システムを提供する。本発明の様々な特徴及び利点が、以下の特許請求の範囲に記載される。