特許第5663023号(P5663023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663023
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】燃焼装置用の入口予混合器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/30 20060101AFI20150115BHJP
   F23R 3/12 20060101ALI20150115BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20150115BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20150115BHJP
   F02C 7/22 20060101ALI20150115BHJP
   F02C 7/26 20060101ALI20150115BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   F23R3/30
   F23R3/12
   F23R3/28 B
   F02C7/00 F
   F02C7/22 C
   F02C7/26 B
   F23R3/28 D
   F01K23/10 T
【請求項の数】24
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-528786(P2012-528786)
(86)(22)【出願日】2009年11月30日
(65)【公表番号】特表2013-504735(P2013-504735A)
(43)【公表日】2013年2月7日
(86)【国際出願番号】US2009066120
(87)【国際公開番号】WO2011031280
(87)【国際公開日】20110317
【審査請求日】2012年11月30日
(31)【優先権主張番号】61/241,940
(32)【優先日】2009年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509112431
【氏名又は名称】リーン フレイム インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ケンドリック ドナルド ダブリュー
【審査官】 米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0107667(US,A1)
【文献】 特表2007−507686(JP,A)
【文献】 特許第4841587(JP,B2)
【文献】 特表平6−502240(JP,A)
【文献】 特開2000−193243(JP,A)
【文献】 特開2002−22171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23R 3/30
F01K 23/10
F02C 7/00
F02C 7/22
F02C 7/26
F23R 3/12
F23R 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの停留渦キャビティを備えたTVC反応器の作動における燃料ステージング方法であって、前記反応器は、燃料と空気を混合して燃料‐空気混合物を前記TVC反応器の主入口内に導入する入口予混合器と、燃料と空気を混合して燃料‐空気混合物を前記TVC反応器の少なくとも1つのかかる停留渦キャビティ内に直接導入する少なくとも1つの渦型予混合器の両方を更に有し、
(a)前記入口予混合器は、前記流路内で軸方向に整列した状態で前記入口の上流側に位置決めされた複数個の同心の且つ同一平面内に位置する空気力学的形状のリング要素を有し、各前記リング要素は、燃料のための内部通路を有し、各前記リング要素は、燃料が前記内部通路から前記リングの近くで入口流体流れ中に流れることができるようにする複数個の燃料噴射オリフィスを更に有し、前記リング要素の各対相互間には環状通路が形成され、前記リングは更に、
(i)前記燃料噴射オリフィスが前記軸方向から絶対値で約0°〜約90°の角度をなして燃料を噴射するよう差し向けられると共に、
(ii)前記複数個の燃料噴射オリフィスが非一様な直径のものであり、前記直径が互いに異なる寸法に設定され、前記サイズの各々が指定された範囲の燃料‐空気運動量フラックス比をもたらすよう選択されているような構成になっており、
(b)前記渦型予混合器は、燃料入口、空気入口、燃料と空気が混合されるチャンバ及び燃料‐空気混合物のための出口を有し、前記渦型予混合器は、前記出口が前記燃料‐空気混合物を前記停留渦キャビティ内に直接導入するようになっていると共に前記燃料‐空気混合物が前記渦流とほぼ同一方向に前記渦の流れに合流するような角度で前記燃料‐空気混合物が前記停留渦キャビティ内に導入されるように前記TVC反応器に取り付けられており、
前記方法は、前記入口予混合器及び前記渦型予混合器を通って導入される燃料‐空気混合物の比率を調節して前記TVC反応器の作動中、様々な負荷に対応するステップを有する、方法。
【請求項2】
始動及び低出力作動中、NOXエミッション限度に達するまで、燃料供給は、前記渦型予混合器のみを介して行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
中出力作動中、燃料供給は、主として、前記入口予混合器を介して行われる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
高出力作動中、燃料供給は、前記渦型予混合器と前記入口予混合器の両方を介して行われる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記渦型予混合器を通って流れる空気の量は、前記入口予混合器を通って流れる空気の量よりも少ない、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記渦型予混合器を通って流れる空気の量は、前記入口予混合器を通って流れる空気の量の約50%以下である、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記渦型予混合器を通って流れる空気の量は、前記入口予混合器を通って流れる空気の量の約20%〜約40%である、請求項記載の方法。
【請求項8】
前記TVC反応器の作動中の実質的にあらゆる時点において、少なくとも最小量の燃料‐空気混合物が前記渦型予混合器を通って導入される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記TVC反応器の始動中、様々な負荷に対応するよう構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記TVC反応器のターンダウン中、様々な負荷に対応するよう構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記TVC反応器を有すると共にガスタービンを更に有するシステムで実施され、前記システムは、発電用に構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記TVC反応器を有し、更にガスタービンを有するシステムで実施され、前記システムは、航空用の推進ジェットエンジンとして用いられるよう構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記TVC反応器を有し、更にガスタービンを有するシステムで実施され、前記システムは、補助発電ユニットとして用いられるよう構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記TVC反応器を有し、更にガスタービンを有するシステムで実施され、前記組立体は、熱併給形コンバインド発電装置用の燃焼タービンとして構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記TVC反応器を有し、更にガスタービンを有するシステムで実施され、前記組立体は、総合気化混合サイクル発電装置用の燃焼タービンとして構成されている、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記TVC反応器は、各々が少なくとも1つの前記渦型予混合器と関連した複数個の停留渦キャビティを有し、前記方法は、前記入口予混合器及び前記渦型予混合器の各々を通って導入される燃料‐空気混合物の比率を別個独立に調節して前記TVC反応器の作動中、様々な負荷に対応するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記複数個の停留渦キャビティは、第1の上流側の停留渦キャビティ及び第2の下流側の停留渦キャビティを含み、前記下流側停留渦キャビティは、前記第1の停留渦キャビティから見て前記TVC反応器内の下流側に位置している、請求項16記載の方法。
【請求項18】
始動及び低出力作動中、NOXエミッション限度に達するまで、燃料供給は、主として、前記少なくとも1つの渦型予混合器を介して行われ、該渦型予混合器は、燃料と空気の混合物を前記上流側の停留渦キャビティ内に直接導入する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
最高約33%の出力に合わせて実施される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
中出力作動中、燃料供給は、主として、前記入口予混合器を介して行われる、請求項17記載の方法。
【請求項21】
約33%出力から約66%出力まで実施される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
高出力作動中、実質的な燃料供給は、前記停留渦キャビティの各々と関連した前記入口予混合器及び少なくとも1つの渦型予混合器を介して行われる、請求項17記載の方法。
【請求項23】
約66%出力からこれを超える出力まで実施される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記TVC反応器の作動中における実質的にあらゆる時点において、少なくとも最小量の燃料‐空気混合物が前記少なくとも1つの渦型予混合器を通って導入され、該渦型予混合器は、燃料と空気の混合物を前記上流側の停留渦キャビティ内に直接導入する、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼及びガスタービン、特に乾燥低エミッション(排出量)に合ったガスタービン設計の分野に関し、特に、超低燃焼エミッションを達成するよう燃料と空気を予混合する装置及び方法に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2009年9月13日に出願された米国特許仮出願第61/241,940号についての35U.S.C.§119(e)の規定による権益主張出願であり、この米国特許仮出願を全ての目的について参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
予混合器又は予混合装置は、エネルギー放出/変換システム、例えばガスタービンエンジン又は発電機に動力供給する燃焼器内における保炎性を高める際に有用な場合がある。説明が煩雑になるのを避ける目的で、本明細書全体を通じて「燃焼器」という用語が用いられているが、本明細書は、一般に、作動条件に応じて燃焼器又は燃料改質器のいずれとしても使用できると共に専用燃焼器及び改質装置として使用できるエネルギー放出/変換システムに関する。前後関係において明示の別段の必要がなければ、「燃焼器」、「改質器」及び「エネルギー放出/変換システム」という用語は、完全に互換性があるものとみなされるべきである。
【0004】
当該技術分野において現在用いられている予混合器としては、燃焼器の入口のところに配置された「ハブ及びスポーク」型ユニット、例えば、ジェネラル・エレクトリック(General Electric)社、プラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney)社、シーメンス(Siemens)社等により採用されている「ハブ及びスポーク」型ユニットが挙げられ、燃料は、ハブを通って供給され、半径方向スポークから噴射されると共に/或いは旋回羽根中に噴射される。これら予混合器のスポークは、燃焼器入口に対して横方向の複数個の一様サイズの軸方向穴を有する。これら予混合器は、設計上、特定の燃料‐空気運動量フラックス比に合わせて最適化される傾向がある。したがって、これら予混合器は、狭い出力帯で最も良く働くが、エンジン作動エンベロープ全体にわたり最も一様な燃料‐空気混合物(以下、単に「混合気」という場合がある)を提供しない。このシステムは、希薄すぎるか濃厚すぎる(過濃)かのいずれかの燃料‐空気ゾーンを生じさせ、エミッションに悪影響を及ぼす。したがって、広い作動条件範囲にわたり良好に働くようこれらシステムと関連して用いられる予混合装置を再設計することによりエネルギー放出/変換システムの作動における一層の改良が可能であると思われる。
【0005】
「渦停留(trapped vortex)」型燃焼器(TVC、なお、本明細書において後で更に説明する)と呼ばれている燃焼装置の一クラスでは、希薄混合気で燃焼を安定化させるために例えば渦発生体(抵抗物体)相互間で燃焼領域には又は燃焼器の壁にはキャビティが設けられ、渦及び/又は他の乱流がこのキャビティ内に生じる。これについては、例えば、ロクモアー等(Roquemore et al.)に付与された米国特許第5,857,339号明細書を参照されたい。燃料及び/又は空気が別々の噴射器を通って渦停留キャビティ内に噴射され、それにより、この領域内における高い混合状態を生じさせると共に保炎性を一層促進することができる。別々の燃料及び空気噴射器は、例えば、燃焼キャビティの壁により構成された渦停留領域の前方及び後方の壁上に配置される場合がある。これについては、例えば、バラス(Burrus)に付与された米国特許第5,791,148号明細書(以下、単に「バラス」という場合がある)を参照されたい。
【0006】
ヘインズ他(Haynes, et al.),「アドバンスト・コンバッション・システムズ・フォア・ネクスト・ジェネレーション・ガス・タービンズ、ファイナル・レポート(Advanced Combustion Systems for Next Generation Gas Turbines, Final Report)」,ジーイー・グローバル・リサーチ(GE Global Research),2006年1月(DE-FC26-01NT41020)は、レイアウトがバラスに記載された燃焼器に類似した燃焼器を記載している。ヘインズ他の論文によって開示された或る特定の具体化例では、従来行われているように別々の燃料及び空気入口の代替手段として、燃料と空気を予混合し、そして入口コーンを通って且つ/或いは燃焼キャビティの前方又は後方の壁を通って導入される場合がある。予混合気が入口コーンと燃焼キャビティの両方の中に導入される具体化例の結果として、高い乱流による混合状態の積み重ね状態の二重渦が生じた。
【0007】
他のTVC具体化例について説明しているスチール等(Steele et al. )に付与された米国特許第7,603,841号明細書(以下、単に「スチール等」という場合がある)は、一部が渦発生体によって構成された燃焼キャビティ中に通じる入口予混合並びに後部噴射器を有する燃焼器を開示している。この具体化例では、後部噴射器は、乱流による渦混合を生じさせるよう到来する予混合気の流れとは逆の方向に差し向けられている。
【0008】
従来、燃料、空気及び/又は予混合状態の燃料と空気を燃焼キャビティ中に注入する全てのTVC設計例は、乱流を引き起こし、追加の渦の生成を生じさせ又は渦キャビティ内での乱流による混合を高めるよう設計されている。例えば、ヘインズ他の図3図7は、各TVCキャビティ内の二重停留渦を示している。これらキャビティ内で生じる「自然な」流れは、流れが燃焼器の主流路を通って起こるとすれば、予混合噴射が行われない場合にキャビティ内で自然に生じる流体の流れを意味しており、単一の渦である。ヘインズ他の図3図7に示されている場合では、図示の「二重渦」中の第2の渦は、TVCキャビティ内への予混合気の噴射によって作られ、もしそうでなければ、存在しない。他の場合、例えば、渦は1つだけ作られる場合、図示の主渦は、もしそうでなければ存在するが、例えばキャビティ内へのその自然な位置から並進的に動かされ、乱流度の度合いが高くされ、或いは実質的に歪められることにより追加予混合気の衝突によって実質的に変えられる。
【0009】
共通譲受人としてのラフマニノフ(Rakhmanilov)の米国特許出願公開第2008/0092544(A1)号明細書(以下、「ラフマニノフ第´544号」という)は、共通譲受人としてのラフマニノフに付与された米国特許第7,086,854号明細書(以下、「ラフマニノフ第´854号」という)の開示内容に従って設計された燃焼器と組み合わせて配備された予混合器を開示している。ラフマニノフ第´544号の予混合器は、燃焼器の入口のところにのみ配備されている。この燃焼器の入口のところの流体の流れ速度は高く、かくして、入口予混合は、速度の高い環境中で行われる。
【0010】
ラフマニノフ第´544号に記載された設計は、入口予混合器をラフマニノフ第´854号特許明細書に記載された再循環式渦燃焼器に追加しているが、渦キャビティ内への直接的な燃料、空気及び/又は予混合状態の燃料と空気の噴射のための手段については何ら開示されていない。確かに、ラフマニノフ第´854号は、再循環渦キャビティ内の高温再循環ガス中への燃料の導入について特に教示しておらず、乱流による機械的混合が全体的再循環速度を減少させる場合があり、その結果、非一様な燃料分布が生じ、又、ラフマニノフ第´854号の設計上の目的とは逆に、再循環流れが入口流れに合流したところの温度を減少させることを記載している。
【0011】
ロクモアー等、バラス、ヘインズ他、スチール等、ラフマニノフ第´854号及びラフマニノフ第´544号を全ての目的に関して参照により引用し、これらのそれぞれの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,857,339号明細書
【特許文献2】米国特許第5,791,148号明細書
【特許文献3】米国特許第7,603,841号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0092544(A1)号明細書
【特許文献5】米国特許第7,086,854号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ヘインズ他(Haynes, et al.),「アドバンスト・コンバッション・システムズ・フォア・ネクスト・ジェネレーション・ガス・ターバインズ、ファイナル・レポート(Advanced Combustion Systems for Next Generation Gas Turbines, FinalReport)」,ジーイー・グローバル・リサーチ(GE Global Research),2006年1月(DE-FC26-01NT41020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
先行技術を多くの点で改良することが望ましい。第1に、予混合器を広い作動条件範囲に適合させることにより任意形式の燃焼器用の入口予混合器を改良することが望ましい。第2に、通常の渦流を乱すのではなく促進するよう燃焼器の渦領域内における予混合を可能にすることが望ましい。第3に、入口予混合器と渦型予混合器を有利な互いに組み合わせた状態で用いる方法を提供することが望ましい。
【0015】
本発明の目的は、燃焼器に用いられる優れた燃料‐空気予混合装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
かかる予混合装置の望ましい特徴は、次の通りである。
・予混合器は、燃焼器入口の断面領域にわたって一様な燃料分布をもたらすべきである。
・予混合器は、広いエンジン作動条件範囲にわたり一様な混合気を提供するべきである。
・予混合器は、短い予混合長さを提供すべきである。
・予混合器は、ガスタービンで用いられる全ての気体及び液体燃料を含む広汎な燃料と適合性があるべきである。
・予混合器は、生じさせるエミッションが低いことが必要である。
・予混合器又は別個の予混合器は、TVCの設計対象である流れパターン(低乱流パターンが採用される場合、かかる低乱流パターンを含む)と一致してTVCの停留渦キャビティ内における燃焼を安定化するのを助けるよう構成可能であるべきである。
・システムの作動範囲にわたって最適作動を提供する設計において用いられる任意の複数個の予混合器の作動を協調させることが可能であるべきである。
・予混合システム及び方法は、広汎な用途に利用可能であるべきである。
【0017】
一実施形態では、これら目的は、ハブ、複数本の半径方向スポーク及びスポークに取り付けられていて、複数個の半径方向に差し向けられた噴射穴を備えた複数個の同心の空気力学的インジェクターリングを含む入口予混合器組立体を提供することによって達成できる。噴射穴は、複数の互いに異なる直径を備え、それにより、広い出力範囲にわたって良好な混合を容易にする。形態及び穴のサイズに起因して、組立体は、気体及び液体適合性である。半径方向同心噴射形態により、断面積全体にわたって多くの燃料噴射場所が得られるので短い噴射経路の実現が可能である。
【0018】
第2の観点では、渦停留型反応器設計例と関連して用いられる別の実施形態としての混合器が提供され、この混合器は、システムの設計対象であるキャビティ内の流れパターンと適合性のある仕方で予混合状態の燃料と空気を停留渦キャビティ内に直接噴射する。再循環渦設計と関連して用いられる場合、この予混合器は、予混合状態の燃料と空気が滑らかな連続した仕方で接線方向に渦流と合流すると共に/或いはトロイド内における燃焼を補強するよう配置されるのが良い。他の設計例では、予混合気は、導入領域内の局所渦流と一致した1つ又は2つ以上の方向において1つ又は2つ以上のTVC場所のところで導入されるのが良い。
【0019】
また、上述の2つの実施形態を互いに関連して用いると共に作動中、燃料をステージング(多段燃焼)させるためにこれらの設定値を互いに協調して調節する方法が提供されるのが良い。エミッションが極めて低いという結果が、このようにして達成された。
【0020】
他の実施形態では、渦停留型(TVC)燃焼装置内における燃料ステージングを実施する別の構成の燃焼キャビティが提供され、このTVC燃焼装置は、混合気を燃焼装置の入口中に噴射する入口予混合器及び1つ又は2つ以上の停留渦キャビティの各々内の再循環渦中に混合気を噴射する1つ又は2つ以上の渦型予混合器を有する。複数個の予混合器供給TVCキャビティが、例えば、軸方向、半径方向、周辺方向、内部に又はかかる構成の組み合わせで配置可能である。これら構成は、燃料ステージング方法と関連して使用でき、それにより、入口及び渦型予混合器を通って導入される混合気の相対的比率を、作動条件の関数として変化させることができる。
【0021】
本発明の燃焼装置及び方法は、全てのガスタービン用途で使用でき、かかるガスタービン用途としては、陸上発電、商用ジェット航空機用エンジン、航空機用の補助発電ユニット(APU)、総合気化混合サイクル(IGCC)発電装置及び熱併給型コンバインド(CHP)発電装置又はコジェネレーションプラントが挙げられるが、これらには限定されない。
【0022】
本発明の他の観点及び利点は、添付の図面及び以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0023】
本発明及びその利点のより完全な理解のため、次に、添付の図面と関連して行われる以下の説明を参照されたい。なお、図中、同一の参照符号は、同一の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の或る特定の実施形態に従って2つの互いに異なる予混合装置を有する缶形アニュラー燃焼器の入口側から出口側への断面斜視図である。
図2A図1に示された入口予混合器の断面図である。
図2B】入口予混合器を構成するスポーク及びリング要素の詳細断面図である。
図3図2A及び図2Bに示された入口予混合器の追加の断面図であり、インジェクターリングの燃料噴射オリフィスの配置状態を更に示す図である。
図4図1に示された渦型予混合器のトロイドを外部から見た部分切除斜視図である。
図5】停留渦キャビティ内の直線状の壁を有するTVCと組み合わせて用いられる渦型予混合器の変形実施形態を示す図である。
図6A】本発明の一実施形態としての燃料ステージング方式の例を示す図である。
図6B】本発明の一実施形態としての燃料ステージング方式の例を示す図である。
図6C】本発明の一実施形態としての燃料ステージング方式の例を示す図である。
図6D】火炎温度とエンジン出力の関係を表す対応のグラフ図である。
図6E】火炎温度とエンジン出力の関係を表す対応のグラフ図である。
図7A】個々に制御可能な入口及び渦型予混合器と関連して用いることができる複数個のTVCキャビティを有する一燃焼器の構成を示す図である。
図7B】個々に制御可能な入口及び渦型予混合器と関連して用いることができる複数個のTVCキャビティを有する別の燃焼器の構成を示す図である。
図7C】個々に制御可能な入口及び渦型予混合器と関連して用いることができる複数個のTVCキャビティを有する別の燃焼器の構成を示す図である。
図7D】個々に制御可能な入口及び渦型予混合器と関連して用いることができる複数個のTVCキャビティを有する別の燃焼器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、本発明を有利にどのように実施すれば良いかの例示としての実施例を提供するよう選択された本発明の或る特定の実施形態の詳細な説明である。本発明の範囲は、開示する特定の実施形態には限定されず、添付の図面又は本発明の概要若しくは要約書に説明され又は記載された任意特定の具体化例、構成例、実施例又は特徴によって限定されることもない。加うるに、本明細書は、各々が複数のステップを有する多数の発明を開示していることは注目されるべきである。特許請求の範囲内の記載の文言によって指定されている場合を除き、かかる方法のステップの何らかの必要条件としての順序を示すものとして本明細書中に記載された部分は存在しないものと理解されるべきである。
【0026】
本発明は、任意のガスタービン燃焼器又は反応チャンバに利用できる。本発明の或る特定の観点は、気体状又は気体により運ばれる液体燃料及びオキシダント(空気)のための入口を有する任意のエネルギー放出/変換システムに適している。エネルギー放出/変換システムが以下に説明するTVC特徴を有する限り、他の観点も又適している。
【0027】
種々のエネルギー放出/変換装置の中には、或る観点において、少なくとも一部が燃焼器入口から出口までの直接流路から外れて位置した実質的に定常渦循環方式を有する燃焼器及び反応チャンバがある。本発明を利用できる機器の1クラスを示すために本明細書で用いられている「渦停留型燃焼器」(TVC)という用語は、かかる特徴を備えたエネルギー放出/変換システム(燃焼器及び/又は改質器の両方)の最も一般的な呼称として用いられ、渦を収容した燃焼器の内側部分を「停留渦反応キャビティ」と称する。停留渦キャビティは、1つの渦流、二重渦流又は複数の渦流を収容することができる。停留渦キャビティは、連続的に湾曲した壁を有しても良く、或いは、直線状若しくは他の形状の壁を有しても良く、或いは、渦発生体相互間に形成されても良く、或いは、壁と渦発生体の組み合わせを有しても良い。燃焼器又は反応チャンバは又、複数の停留渦キャビティを有しても良い。ロクモアー等、バラス、ヘインズ他及びスチール等によるTVC実施形態の実施例については上述した。ラフマニノフ第´854号に開示されたエネルギー放出/変換システムも又、上述のTVCとは材料の点で異なることにより、本明細書において用いられる用語の目的上、TVCとみなされるべきである。
【0028】
反応器の設計に応じて、追加の検討事項がTVCに関して適切な場合がある。渦は、燃焼器の保炎性の維持を助けるよう設計されている場合が多い。設計の中には、更に、一様な混合の達成を助けるよう低乱流特性を用いること、希薄混合気を比較的低い燃焼温度で燃焼させることができることを利用しているものがあり、結果的に、エミッションの面での改善が得られる。事実、エネルギー放出/変換システムの作動は、例えば、燃料の流れ又は圧縮機流れの途切れ、僅かな表面不連続部又は現実の流体が現実の機械表面に沿って高速で動的に移動してリアルタイムで互いに化学的に反応した場合に不可避的に結果として生じる連続及び層状の流れからの僅かな逸脱の結果として生じる統計学的異常の結果として、変動及び摂動を受ける場合がある。かかる変動及び途切れにより、火炎が時々不安定になる場合がある。燃焼(又は改質)に先立つ完全な燃料と空気の混合は、かかる設計例並びに乱流が混合気の導入後に発生可能になり又は促進される他の設計例のエミッション性能及び安定性を向上させるために利用できる。
【0029】
TVC設計において、主入口の上流側に位置した予混合器は、燃料と空気の混合を助けるために採用されている。しかしながら、実験結果の示すところによれば、これら入口予混合器設計例の性能を向上させる相当の余地がある。
【0030】
或る特定のTVC設計例では、燃料、空気及び/又は予混合状態の燃料と空気は、燃焼器作動全体を安定化させるよう燃焼渦中に直接噴射される。例えば、或る特定のかかる設計例の目的は、渦型予混合器又は燃料及び/又は空気の別々の噴射を用い、1つ又は2つ以上の追加の渦(もしそうでなければ、数個又は1つだけの渦が存在する)を生じさせ、高い混合を引き起こす乱流を生じさせると共にTVC渦キャビティ内の流体の滞留時間を増加させることにある。しかしながら、既に実施されているようにかかる直接燃料又は混合気噴射(この場合、燃料、空気及び/又は予混合状態の燃料と空気は、自然な渦流に混乱を招く仕方で噴射される)は、不均一な混合及びホットスポットを生じさせる場合があると共にエミッション制御の面で最適以下である。
【0031】
かくして、この分野において既に実施されている予混合を超える追加の且つ種々の予混合モードは、TVC(低乱流TVCを含む)と非TVC設計例の両方について有利な場合がある。しかしながら、予混合器を首尾良く用いるためには解決しなければならない或る幾つかの問題がある。
【0032】
エネルギー放出/変換システムは、典型的には、圧縮機から燃焼用空気が圧縮状態で供給される。圧縮機の出力を特定づける比較的高い圧力及び温度下にある予混合状態の燃料と空気は、極めて爆発しやすい傾向がある。かかる爆発を回避するため、かかる環境内における予混合は、燃焼チャンバ中への導入に先立って予混合状態の混合気の滞留時間を短くする仕方で実施されるのが良い。このことは、予混合装置が好ましくは燃焼器入口にできるだけ近く位置することが必要であり(短い予混合距離)、それと同時に、所望の予混合レベル(1つには小さな予混合スケールを有することによって達成できる)に適した滞留時間を提供するべきであることを意味している。したがって、迅速且つ一様な予混合を達成する形態が好ましい。
【0033】
さらに、予混合器は、好ましくは、システム設計の残部と適合性があるべきである。例えば、低乱流システムでは、予混合器は、システム設計全体と整合性がとれない大規模乱流を利用すべきではなく又は導入すべきではない。他のTVC設計例では、予混合器は、所望のキャビティ流れ場と整合性のある仕方で混合気を導入すべきである。
【0034】
上述の原理及び観察結果を念頭に置いて、2つの互いに補足し合う予混合器設計例が開発された。図1は、本発明の或る特定の実施形態に従ってこれら2つの互いに異なる予混合装置21,31の実施例が組み込まれた燃焼器の入口側から出口側への断面斜視図である。
【0035】
図1の燃焼器は、内部構成が軸対称であるが、「缶形(can )」設計例(「缶形アニュラー(can-annular )」と呼ばれる場合があり、「フルアニュラー(full annular)」設計例とは区別される)であり、各々が図1に部分的に示された複数個のかかる「缶」は、これらの出口が一般に大型タービン周りに差し向けられた状態で円形の形態に配置されるのが良い。かかる構成は、発電用途の大規模ガスタービンに動力供給するために用いられ、例えば、タービンのシャフトが大型発電機を駆動する場合に用いられる。図1及び図4は、缶形設計に焦点を合わせているが、当業者であれば、この設計の原理は、単一のアニュラー燃焼器が例えばタービンの環状流体入口と結合するよう設計されている「フルアニュラー」燃焼器設計例に合わせて容易に改造できることを認識されよう。フルアニュラー設計例は、大規模発電タービンに加えて、例えば商用ジェット航空機用エンジン及び補助発電ユニット(APU)に用いられる場合がある。これら形態及びこれら形態によって支援される用途の全ては、本発明の範囲に含まれる。
【0036】
図1に示されている実施形態としての缶形燃焼器は、入口6、出口5及び取り出し箇所14を備えた再循環ゾーン7を有している。再循環ゾーン7は、3次元において、入口6から出口5までの主流れの軸線回りにドーナツ形の構造体を形成し、渦22がこのドーナツ形構造体内において、燃焼器作動中、再循環し、燃焼用ガスの一部分は、箇所14のところで取り出されて湾曲した壁23に沿って且つこの中で再循環され、トロイド7周りに流れて入口6に再結合する。圧縮燃焼用空気が入口6の上流側に位置した圧縮機入口10のところで導入される。入口予混合器21が圧縮機入口10と燃焼器入口6との間に配置されている。この実施形態では、全体として円錐形の渦発生体又は抵抗物体3,4が予混合器21を出た予混合状態の混合気を加速するノズルとなるよう予混合器21と燃焼器入口6との間に配置されている。(しかしながら、アニュラー設計では、抵抗物体は、これとは異なり、図示のような円錐形状構造体を形成するのではなく、アニュラー燃焼器入口全体に沿ってぐるりと環状に(テーパしたリングのように)延長された“2D”要素であっても良いことに注目されたい)。
【0037】
この実施形態の他の細部を説明すると、抵抗物体3,4は、プレート11に当たった状態で終端し、プレート11は、3次元において、入口領域6の中心に円形の壁を形成し、抵抗物体3,4は、入口領域6内に周方向に配置された半径方向スポーク17によって支持され、壁の冷却(噴流、衝突噴流等)の目的で穴16がプレート11に設けられ、燃焼器入口の上流側には、圧力ポート12が設けられ、点火装置(図示せず)のための取り付け箇所15がトロイドの壁に設けられている。さらに、この実施形態(即ち、缶形燃焼器)では、燃焼器は、全体として缶形のエンクロージャ41内に収容される。
【0038】
図示の実施形態では、第2の予混合器31(渦型予混合器)も又提供されている。第2の予混合器は、再循環空間7内への噴射を行うが、そのやり方は先行技術で実施されている予混合状態の燃料と空気の噴射とは異なっている。先行技術の渦型予混合器では、予混合状態の燃料と空気は、1つ又は2つ以上の追加の且つ全体として新たな渦を作るか自然に存在する渦の流れ場を実質的に乱すかのいずれかを行うよう計算された仕方でTVCキャビティ内に導入されていた。図示の実施形態では、渦領域中への予混合状態の燃料と空気の噴射は、キャビティ内の自然な渦流を促進するよう設計され、例えば、かかる自然な渦流は、キャビティ内の自然な再循環流に対して接線方向で且つこれと同一の方向に外壁に沿ってキャビティ内に導入される。かくして、それにより、混乱を招かないで又はそれほど乱流を追加しないで渦流が促進される。
【0039】
理解されるべきこととして、図1は、定位置にある予混合器21と予混合器31の両方を示しているが、予混合器21又は31のうちのいずれか一方しか設けられず、他方が省かれていても良い。ただし、本明細書において後で説明するように、両方の予混合器を利用することが有利な作動モードが存在する。
【0040】
一実施形態では、渦型予混合器31は、各々がトロイド7の外壁の周囲に沿って配置されると共にトロイド7の上死点の近くで燃焼器出口の方向に対して接線方向に、かくしてトロイド7に対してほぼ接線方向に差し向けられていて、予混合状態の混合気をトロイド7内の自然な流体の再循環流れと同一方向に噴射する多数の燃料噴射器を有している。かかる噴射器が図1の断面図では1つしか示されていないが、噴射器構造は、トロイド7の周囲に沿って並置して配置された同様な噴射器により構成されることは理解されるべきである。
【0041】
次に、2つの予混合システムについて詳細に説明する。
【0042】
入口予混合器
【0043】
図2A図2B及び図3は、入口予混合器21を更に詳細に示している。予混合器21に反映された実施形態では、燃料(気体燃料であっても良く液体燃料であっても良い)は、燃料入口13のところで中央ハブ1中に導入され、そして4本の半径方向スポーク19等を経て燃料スポークに取り付けられている4つの同心リング2A,2B等内に流れる。燃料は、軸方向から0°〜90°の角度(正か負かのいずれか(即ち、特定のリングの対に応じて軸線から遠ざかる方向かこれに近付く方向かのいずれか))で噴射されるが、いずれの場合においても、この角度の絶対値が軸方向から0°〜90°、より好ましくは30°〜90°の範囲にあるように、隣り合うリング2A,2B等相互間に形成された環状通路内に噴射され、そして圧縮機からの高速空気中に噴射される。
【0044】
同心リング2A,2B等及びスポーク19は、図2Bに示されているように空気力学的形状のものであり、好ましくは、50%未満、より好ましくは40%未満の流量遮断率をもたらすべきである。リング2A,2B等に設けられた燃料オリフィス(穴)201,202等は、エンジンの作動エンベロープ全体にわたり最も完全に混合された(非混合レベルが最小限である)混合気を提供するよう到来空気中への適当な燃料貫通度を提供するよう選択される。それ故、これら燃料オリフィスは、負荷曲線上の種々の点を標的にするよう互いに異なるサイズ/直径のものである。
【0045】
変形実施形態では、燃料は、ハブ211ではなく、リング構造体の外周部212からのスポークに供給されても良い。
【0046】
好ましくは、穴201,202は、燃料を主として半径方向で直交流式圧縮機空気中に噴射するよう差し向けられる。この実施形態では、製造を容易にするため、穴は、軸方向に対して約±70°の角度に差し向けられている。しかしながら、この角度は、重要ではない。一般に、角度範囲は、約±0°〜約±90°であって良く、好ましくは、約±60°〜約±90°であり、より好ましくは、約±90°である。
【0047】
穴のサイズは、非一様であり、種々の出力範囲、即ち、種々の燃料‐空気運動量フラックス比レベルにおける良好な性能を得るために種々のサイズの穴が提供される。種々の穴サイズは、低温流れ混合実験、CFD又は経験的相関かこれらの任意の組み合わせかのいずれかにより定められるのが良い。穴の総数は、従来型予混合器の対応の数よりも多いのが良い。
【0048】
一形態では、穴サイズは、低出力帯、中間出力帯及び高出力帯でそれぞれ最善の混合気を与えるようになった3つの互いに異なるサイズの複数の穴を提供するよう選択される。例えば、小さな穴は、最適な低出力作動(0〜30%エンジン負荷)に合わせて寸法決めされるのが良く、最適な中出力作動(0〜70%エンジン負荷)に合わせて中くらいの穴が提供され、最適な高出力作動(70〜100%エンジン負荷)のために大きな穴が提供され、これら穴は、出力範囲全体にわたって最も一様な混合を提供するよう組み合わせて用いられる。好ましくは、各穴は、2つのリングにより構成された環状通路を横切って2つの隣り合うリングに設けられている異なるサイズの穴と対にされる。上述の穴の直径(この例では、3つの互いに異なる直径、しかしながら、これよりも数が多くても良い)の各々は、予混合器入口の断面領域内に最も一様な混合気の生成を保証するようほぼ等間隔を置いて周方向に配置されるのが良い。
【0049】
例示の穴の配置例が図3に示されている。角度χ1,χ2(図示せず)は、穴の半径方向の角度のオフセットである。以下の表は、考えられる一例として、図示の実施形態において8つの列をなす穴に関して1つの四分円のための穴の配置例を示している。
〔表1〕
列番号 角度χ1(第1の穴) 角度χ2(間隔) 穴の数
1 15 12 6
2 7 12.6 7
3 6 7.8 11
4 4.25 6.8 13
5 3.5 5.2 17
6 3.5 3.6 24
7 3.5 4.3 26
8 3 6. 5 14
【0050】
これら特徴の組み合わせは、混合長さ及び尺度の減少、エンジン作動範囲にわたり混合度が一様な広いエンベロープを提供すると共に気体及び液体燃料適合性がある。
【0051】
先行技術の燃料‐空気混合気は、上述したように幾つかのハブ及びスポーク設計例を更に含む。しかしながら、これら先行技術の燃料‐空気混合気は、燃料を同心リングから噴射することはなく又は複数の互いに異なる噴射穴サイズを提供するわけではなく、しかも、任意所与のエンジン負荷時点で同一の混合一様度を示すことはなく且つ/或いは達成することがない。先行技術の予混合方式は、本発明の低エミッション性能を達成することはない。
【0052】
上述の入口予混合器は、平坦な混合度の分布を達成すると共に(a)非一様な穴サイズ、(b)多数の穴及び(c)小さな/短い混合尺度によって達成される高い混合レベルに起因して、NOX、CO、UHC等のために超低燃焼排出レベルを達成する。これにより、大きなエンジン作動エンベロープ全体にわたって良好な混合の一様性が得られる。本明細書において説明したこの方式は、任意のエンジン燃料スケジュール設定(即ち、燃料をエンジンの作動エンベロープにわたってどのように計量するか、即ち、燃料とエンジン負荷との関係)に合わせて自由に設定でき、気体又は液体燃料適合性がある。この方式は、発電、航空用の主推進ジェットエンジン(ターボファン、ターボジェット、ラムジェット等を含む)及びAPUを含む任意の用途に関し、液体及び/又は気体燃料を用いる任意の燃焼器に適合可能である。
【0053】
幾つかの一般的ガスタービンエンジン作動負荷箇所での数ヶ月にわたる燃焼試験の結果の示すところによれば、この予混合器は、本明細書において説明した他のコンポーネントと関連して、超低エミッション結果(同時にNOX、CO、UHC<3ppm15%O2)をもたらすことができた。
【0054】
渦型予混合器
【0055】
図1及び図4に渦型予混合器31により示された一実施形態では、燃料と空気は、トロイド/キャビティ流れ中への噴射に先立って予混合される。噴射器は、小さな混合規模、複数個の噴射場所及び短い所用の予混合距離をもたらす。燃料と空気は、トロイド中への噴射に先立って予混合され又は部分的に予混合される。予混合物の2次噴射は、トロイド/キャビティ流れの全体的安定性を支援する。
【0056】
図1に示された実施形態では、トロイド7内の自然な流れ、即ち、例えば燃焼器の主流路(入口6から出口5まで)を通る流体の流れの結果として予混合噴射なしで存在する流れは、出口の近くの取り出し箇所14からトロイド7の再循環空間の曲線状の壁に沿って燃焼器の入口6の近くの箇所まで循環して戻る単一の渦22である。この実施形態では、渦キャビティ7は、単一の渦を収容することにより、比較的長く、それによりキャビティ内の燃焼のための滞留時間が長くなる。先行技術とは異なり、予混合器31は、予混合状態の燃料と空気を壁23に対して接線方向に、かくしてキャビティ内の自然な渦流22と整列した状態で再循環ゾーン(停留渦キャビティ)7中に直接噴射し、それにより渦22の自然な流れパターンに対する混乱を最小限に抑えた状態で且つ実質的に乱流を追加しないで予混合気を導入する。
【0057】
図4に示されているように、渦型予混合器31は、一実施形態では、空気入口ポート8のすぐ近くに位置する管状燃料入口39により供給が行われる別個の燃料マニホルド99を有し、この別個の燃料マニホルドは、燃料をキャビティ内への噴射に先立って、ポート8を通る到来空気流中に流す。図示の実施形態では、燃料マニホルド99は、トロイド7を包囲しているが、単一の燃料入口39が設けられている(但し、入口は、他の半径方向位置にも設けられていても良い)。さらに、この実施形態では、燃料マニホルド99は、燃料を計量する穴42等を備えた円形拡散(DP)プレート38にあってサブマニホルド43に分割されており、それにより、単一供給管装置内における燃料圧力の周方向非均一性が減少する。サブマニホルド43から流れる燃料は、燃料オリフィス(穴)100等を通って到来する空気流(8からの)に入り、到来空気と混ざり合い、そして穴24を通ってトロイド7に流入する。予混合の仕方は、重要ではなく、この実施形態では、単一の直交流ジェットである。用途は、任意の流体燃料タイプであって良く、即ち、液体、気体、低BTU、水素富化(「合成」)ガス等である。
【0058】
図4の複数個の穴24によって示されているように、要素8,100,24は、トロイド7の周囲に沿って周方向に反復状態で設けられており、燃料マニホルド99は、一般に予混合器入口の全てへの供給を行う円筒形構造体を形成している。この実施形態では、再循環渦流は、出口5から入口6に向かい、到来予混合気は、結果的に乱流度が低い状態で再循環渦流に対してほぼ接線方向であり且つこれとほぼ同一の方向の滑らかな流入が得られるよう設計された仕方でトロイド7中に差し向けられる。一実施形態では、トロイド7の外壁の環状周囲に沿って等間隔を置いて配置された約100個以上のかかる穴(24等)が設けられ、トロイド7の末端外周部の箇所に至る前に接線方向に真っ直ぐに差し向けられ、各穴の直径は、1インチ(2.54cm)の何分の1かの直径である。例えば、一実施形態では、トロイド7の外壁の環状周囲に沿って配置された約100個以上の噴射器ポートが設けられ、各噴射器ポートは、約0.1インチ(2.54mm)〜約0.2インチ(5.08mm)の直径を有する。一般に、均等且つ連続した予混合気導入を行うには複数個の噴射器ポートを設けることが望ましく、ポートの数が多ければ多いほど、ポート直径はそれだけ一層小さくなり(渦容器の全体寸法に対してスケール変更される)、任意特定のサイズの多くの且つ小さなポートサイズは、流体の流れの検討事項によって制限される。というのは、ポートの直径が小さいことに起因して摩擦が増大するからである。このように、到来混合気は、滑らかに流入し、渦22のための境界層を形成する。
【0059】
渦型予混合器31を通ってトロイド中に導入される予混合チャージ(装入物)は、ドーナツ形の流れを強化すると共に補強し、更に、主流れを一段と安定化するよう高燃焼強度のひとまとまりのラジカルを提供する。
【0060】
予混合器31は、トロイド7の周囲に沿うどの場所に配置されても良いが、再循環が出口から入口への方向に動く単一の渦である場合、予混合器31は、好ましくは、図4に示された四分円内に位置し、より好ましくは、滞留時間を長くするために入口がこの図の箇所Aの近く(即ち、取り出し箇所14の近くに)位置した状態で配置される。
【0061】
図1及び図4に示された予混合器‐TVCの組み合わせは、本発明の実施形態を缶形燃焼器にどのように組み込めば良いかを反映している。大規模発電用途では、複数個のかかる燃焼器が、発電機に結合されたガスタービンへの流出を行うよう全体として円形の配置状態に配備されるのが良い。
【0062】
空気流入ポート8も又、図示の缶形構成からアニュラー(環状)構成に改造されるのが良い。アニュラー形態のポートの配置状態は、図4に示された配置状態と位相的にほぼ同じであり、アニュラー燃焼器の周囲に沿って嵌まるよう寸法決めされている。アニュラー燃焼器は、大規模発電用ガスタービンに取り付けられても良い。加うるに、本発明のアニュラー形態は、例えば、航空用の主推進ジェットエンジン用途(ターボファン、ターボジェット、ラムジェット等を含む)又はAPUとして用いられる小型ガスタービン/発電機に利用できる。他の用途としては、総合気化混合サイクル(IGCC)発電装置及び熱併給形コンバインド(CHP)発電装置又はコジェネレーションプラント内の燃焼タービンが挙げられる。
【0063】
本明細書において説明した渦型混合器は、図1及び図4に示されている湾曲した壁を有するTVC設計例には限定されない。例えば、図5に示されているように、渦型予混合器は、直線状の壁534等を備えたTVCキャビティに使用できる。図5に示されている燃焼器501内のTVCキャビティ532は、3つの側部がほぼ長方形である包囲壁輪郭を有している。(この実施形態では、TVCキャビティ531は、本質的に、TVCキャビティ532と鏡像関係をなしておりほぼ同様に構成されている)。TVCキャビティ532は、全体として矢印533で示された単一の渦が燃焼器501を通る主流れ534によってこのTVCキャビティ内に作られるような寸法形状のものである。予混合状態の燃料と空気を例えば矢印510,509に対応した一方の又は両方の場所のところでTVCキャビティ内の自然な渦流を促進する仕方で導入されるのが良い。矢印510の場合、予混合気噴射は、渦533に対してほぼ接線方向であり、噴射されたかかる予混合気は、渦533に隣接して実質的に壁534に沿って流入する。矢印510と関連した予混合器と関連して使用されても良く又は使用されなくても良い追加の予混合器を表す矢印509の場合、噴射は、この場合又、渦533に対してほぼ接線方向であり、しかも、到来する流れ535が渦533の流れと合流する方向と実質的に整列している。
【0064】
図5に示されているTVC設計例は、3次元長方形構造体(即ち、図5の紙面の上下に延びる)に使用されるのが良く、図5は、その断面を示している。変形例として、かかるキャビティを備えたTVC設計例は、環状燃焼チャンバを形成するよう環状体をなして3次元に「巻き付」いても良く、「上側」及び「下側」ドーナツ形渦キャビティは、直線状の壁を有し、この場合又、断面は、図5に示された上側及び下側キャビティ領域531,532に対応している。長方形設計例は、缶形燃焼器として使用でき、環状設計例は、アニュラー燃焼器として使用でき、それぞれ、図1及び図4の実施形態に関して説明した用途とほぼ同様な用途で配備される。
【0065】
燃料ステージング(多段燃焼)
【0066】
上述したように、予混合器21,31は、別個独立に機能することができるが、本明細書において説明する2つの予混合器21,31の組み合わせ又は他形式の入口及び直接渦噴射器の組み合わせを任意のTVC用途において燃料ステージング方式に用いることができる。
【0067】
入口予混合器21に対して渦型予混合器31を通る燃料取り入れ量を増大させることは、エンジンターンダウン及び部分出力用途の際に作動を一層安定化することができる。比較的等しい量の空気を予混合器31と予混合器21の両方に追加することにより、優れたターンダウン性能の実現が可能である。これは、エンジン依存性であるのが良く、その結果、これらのフラクションは、変化する場合がある。しかしながら、代表的には、予混合器31を通る空気は、一般に、予混合器21を通る空気よりも少なく又はより厳密に言えば、20〜40%であることが必要である。
【0068】
一般的に言えば、本発明の一実施形態により想定される燃料ステージングでは、燃料を多くの且つ別々の場所で燃焼器に噴射して火炎温度を狭い幅に維持し、その結果、NOX/CO/UHCエミッションが標的量を下回るようにする。エンジンのスプールアップ(spool up)時、燃料は、当初、渦型予混合器31の穴100だけを通って噴射され、ついには、火炎温度(φ)がこれらのNOX限度に達するようになる。これについては図6A及び図6Dを参照されたい。中程度の出力帯(図6B)では、作動は、燃料供給が主として入口予混合器21を通って行われるよう切り替えられる。高出力範囲(図6C)では、燃料は、入口予混合器21と渦型予混合器31の両方を通って噴射される。このように別々のゾーンに燃料供給することにより、出力曲線が上方に「歩き」、他方、火炎温度要件を考慮して必要に応じてNOX及びCOが規定された限度内に維持される。これについては図6Eを参照されたい。
【0069】
加うるに、燃焼器は、設計上、各々が別々の予混合器入口を備えた複数個のTVCキャビティを備えるのが良い。それぞれのTVCキャビティ内への噴射を、互いに且つ入口予混合に対して変化させることができ、それにより細かい制御が可能であると共に単一キャビティ内の大きな燃料供給変化を利用するのではなく、一連のキャビティを通る燃料供給の小刻みな変化を可能にすることによってターンダウン中、温度の一様性を向上させることができる。
【0070】
図1及び図4の実施形態を参照すると、好ましくは、渦型予混合器31は、作動中、完全にはターンオフされることがない。これとは異なり、渦型予混合器31を少なくとも最小限度ターンオンした状態に常に保ちながら、ある1つの予混合器から次の予混合器に燃料供給の割合を段階づけることが好ましい。
【0071】
他の実施形態では、複数個のTVCキャビティが設けられる場合がある。例えば、図7Aに示されている実施形態は、TVCキャビティ702の上流側及びTVCキャビティ703の下流側に軸方向に位置決めされた2つのTVCキャビティを有し、対応の予混合器入口742,743並びに入口予混合器791を有している。
【0072】
例えば図7A及び図7Bに示されている多キャビティ構成例の各TVCキャビティは、図示のようにそれ自体の渦型予混合器入口を有するのが良く(又は、変形例として、別々の燃料及び/又は空気入口を有しても良く)、この渦型予混合器入口には、他のキャビティ及び/又は主入口とは別個独立に燃料供給できる。かかる構成により、多数の燃料‐空気ゾーンが得られ、従って、多くの燃焼領域にわたって燃料供給変化を行うことによって良好なターンダウン性能が得られる。
【0073】
他の実施形態では、TVCキャビティは、図7C及び図7Dに示されているように燃焼器の入口にのみ配置されるのが良い。かかるキャビティは、例えば、曲線状であり且つ軸方向にステージングされた、例えば、図7Cのキャビティ722,723及び対応の予混合器入口762,763(並びに入口予混合器793)であり、直線状であると共に軸方向にステージングされた、例えば図7Dのキャビティ732,733及び対応の予混合器入口772,773(並びに入口予混合器794)又はキャビティ形状、場所及び配置の他の組み合わせであって良い。
【0074】
好ましくは、軸方向に配置された多キャビティTVC実施形態では、最も上流側のキャビティ(最小限度)、例えば、図7Aのキャビティ702は、可変レベルであるが、作動中、連続的に燃料供給される。半径方向形態では、好ましくは、半径上の最も大きなキャビティ(最小限度)、例えば、図7Bのキャビティ712は、この場合も可変レベルであるが、作動中、連続的に燃料供給される。
【0075】
上述したように、上述の作動の仕方は、本明細書に具体的に図示されると共に説明された入口及び渦型予混合器には限定されない。本明細書により想定される「燃料ステージング」の作動原理は、主として、特に本明細書に具体的に教示された予混合器設計例に関して説明されているが、入口予混合器と直接渦型予混合器の組み合わせを提供する任意のTVCがこの方法から潜在的に利益を受けることができることが理解されるべきである。
【0076】
別個独立に燃料供給可能な入口予混合器と1つ又は2つ以上の渦型予混合器の組み合わせにより、超低エミッション性能が得られるよう従来可能であった最適化よりも良好な最適化が可能である。予混合器の各々は、好ましくは、混合長さ及び/又は規模の減少を可能にし、その結果、エンジン作動エンベロープにわたって広汎な混合度の一様性が得られ、従って、優れたエミッション性能が得られるようにし、多種燃料適合性があり(気体又は液体)、任意のエンジン燃料スケジュール設定に合わせて自由に設定でき、確かに、燃料ステージング用途にとって最適である。
【0077】
例えば、図7Aに示されている軸方向多キャビティ配置例に関し、燃焼器はターンアップしたりターンダウンしたりするための1つの燃料ステージング方式では、第1のトロイド予混合器入口742を通って0〜33%出力から燃料供給し、予混合器742を引き下げ、そして33〜66%の出力範囲にわたり主として主入口予混合器791を通って燃料供給し、次に、66〜100%の出力範囲に関し3つ全ての予混合器791,742,743を通る実質的な流れを用いる。同様な及び種々の方式を図1図4図6A図6C図7A図7Dに示された配置例のうちの任意のもの及び他の形態について案出することができる。幾つかの実施形態では、予混合器のそれぞれに関する燃料制御装置を手動で作動させることができ、他の実施形態では、制御装置を例えば出力、温度、NOX又はCO濃度、時間等のような入力に基づいてコンピュータ処理しても良く或いは手動のオーバライドによりコンピュータ処理しても良い。
【0078】
上述の燃料ステージング方式は、図1及び図4と関連して説明した構造的特徴を有する予混合器への使用には限定されない。例えば、ヘインズ他は、主燃焼器入口とTVCキャビティの両方のための従来型予混合器を採用している。それにもかかわらず、上述の技術に類似した技術をかかる燃焼器に利用すると、種々の出力帯域における最適作動として燃料及び空気の流れをある1つの予混合器から別の予混合器又は予混合器の組み合わせに段階的に実施することができる。
【0079】
同様に、上述の燃料ステージングの有用性は、大規模発電、主推進ジェットエンジン(ターボファン、ターボジェット、ラムジェット等を含む)を含む航空用途及びAPUを含む可変動力出力を必要とするあらゆる形式のガスタービン用途並びに総合気化混合サイクル(IGCC)発電装置及び熱併給形コンバインド(CHP)発電装置又はコジェネレーションプラントの燃焼タービンに及ぶ。
【0080】
したがって、本発明は、上述の目的を達成すると共に先行技術と比べて使用しやすさ及び有効性の面で多くの利点を提供しているように考えられる。本発明を詳細に説明したが、当業者であれば種々の変更、置換及び変形を容易に想到することができると共に特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく本発明のかかる種々の変更、置換及び変形を行うことができるということが理解されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D