特許第5663026号(P5663026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイションの特許一覧

特許5663026埋込型医療機器と共に使用できるプログラム可能な又は時間的に変化する温度設定点を有する外部充電器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663026
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】埋込型医療機器と共に使用できるプログラム可能な又は時間的に変化する温度設定点を有する外部充電器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/378 20060101AFI20150115BHJP
【FI】
   A61N1/378
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-529771(P2012-529771)
(86)(22)【出願日】2010年8月18日
(65)【公表番号】特表2013-505063(P2013-505063A)
(43)【公表日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】US2010045883
(87)【国際公開番号】WO2011034681
(87)【国際公開日】20110324
【審査請求日】2012年5月16日
(31)【優先権主張番号】12/562,694
(32)【優先日】2009年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】アガシアン ダニエル
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/061537(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0112291(US,A1)
【文献】 特開2010−124246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋込型医療機器とともに使用するための外部充電器であって、
前記埋込型医療機器によって受け取ることができるエネルギーを生成し、前記埋込型医療機器に電力を供給するか又はそれを充電するためのコイルと、
前記外部充電器の温度を検出し、温度設定点の方が前記外部充電器の検出された温度よりも低くなったとき前記コイルの活性化を無効化するか又は減少させるための温度モニタ及び制御回路と、
充電セッション中に、前記温度設定点を前記温度モニタ及び制御回路に指示するための温度プログラムを備えたメモリと、
を備え、
前記温度設定点が充電セッション中に低下するように構成されている、
ことを特徴とする外部充電器。
【請求項2】
前記温度設定点は、第1の期間の間は第1の温度設定点に設定され、前記第1の期間後の第2の期間の間は第2の温度設定点に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の外部充電器。
【請求項3】
前記第1の温度設定点は前記第2の温度設定点より高く、前記第1の期間は前記第2の期間より短いことを特徴とする、請求項に記載の外部充電器。
【請求項4】
前記温度プログラムは、前記充電セッションの開始時に自動的に実行されることを特徴とする、請求項1に記載の外部充電器。
【請求項5】
前記温度モニタ及び制御回路は、所定の充電時間の後に前記コイルの活性化を無効化することを特徴とする、請求項1に記載の外部充電器。
【請求項6】
埋込型医療機器とともに使用するための外部充電器であって、
前記埋込型医療機器によって受け取ることができるエネルギーを生成し、前記埋込型医療機器に電力を供給するか又はそれを充電するように選択的に活性化されるコイルと、
前記外部充電器の温度を検出するための温度感知素子と、
充電セッション中に前記外部充電器の温度がプログラム可能最高温度を越えるとき、前記コイルの活性化を無効化するか又は減少させるように構成された制御回路と、
を備え、
前記最高温度は前記充電セッション中に時間とともに自動的に低下するようにプログラムされる、
ことを特徴とする外部充電器。
【請求項7】
ユーザインタフェースを更に備え、前記ユーザインタフェースは、前記プログラム可能最高温度の選択を可能にするように構成されることを特徴とする、請求項に記載の外部充電器。
【請求項8】
前記ユーザインタフェースは、前記プログラム可能最高温度を複数の事前定義された最高温度から選択するように構成されることを特徴とする、請求項に記載の外部充電器。
【請求項9】
前記最高温度は、充電セッションの第1の部分の間の第1のプログラム可能最高温度、及び前記第1の部分よりも後の前記充電セッションの第2の部分の間の第2のプログラム可能最高温度を備える、
ことを特徴とする、請求項に記載の外部充電器。
【請求項10】
前記第1のプログラム可能最高温度は前記第2のプログラム可能最高温度より高いことを特徴とする、請求項に記載の外部充電器。
【請求項11】
前記制御回路は、所定の充電時間の後に前記コイルの活性化を無効化することを特徴とする、請求項に記載の外部充電器。
【請求項12】
前記制御回路は、前記充電セッション中に、前記外部充電器の温度がプログラム可能最低温度より低くなるとき、前記コイルの活性化を有効化するようにさらに構成され、
前記最低温度は前記充電セッション中に時間とともに自動的に低下するようにプログラムされる、
ことを特徴とする、請求項に記載の外部充電器。
【請求項13】
前記制御回路は、前記充電セッション中に、前記外部充電器の温度が前記プログラム可能最高温度より低くなるとき、前記コイルの活性化を有効にするように構成されることを特徴とする、請求項に記載の外部充電器。
【請求項14】
エネルギーを受け取って埋込型医療機器を動作させるための電力を供給するための第1のコイルを備えた前記埋込型医療機器と、
前記第1のコイルによって受け取ることができるエネルギーを生成するように選択的に活性化される第2のコイル、及び、外部充電器の部分の温度を検出するための温度感知素子を備えた制御回路、を備えた前記外部充電器と、
を備え、
前記制御回路は、前記外部充電器の温度がプログラム可能最高温度を超えるとき、前記第2のコイルの活性化を無効化するか又は減少させるように構成されており、
前記プログラム可能最高温度は、充電セッション中に時間とともに自動的に低下する、ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に埋込型医療機器に関し、より具体的にはプログラム可能な温度調節機能を有する埋込型医療機器のための外部充電器に関する。
本出願は、引用により本明細書に組み入れられる2009年9月18日出願の米国特許出願第12/562,964号に基づく国際出願であり、それに対する優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
埋込型刺激機器は、例えば、心不整脈を治療するためのペースメーカー、心細動を治療するための除細動器、難聴を治療するための蝸牛刺激器、失明を治療するための網膜刺激器、協調四肢運動を引き起こすための筋刺激器、慢性疼痛を治療するための脊髄刺激器、運動及び心理的障害を治療するための皮質及び脳深部刺激器、並びに、尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼などを治療するための他の神経刺激器のような、様々な生物学的疾患の治療のために電気的刺激を生成して体神経及び組織に加える機器である。本発明は以上のような全ての用途に適用し得るが、以下の説明は、おおむね、特許文献1に開示されたような脊髄刺激(SCS)システムにおける本発明の用途に焦点を合わせることになる。
【0003】
脊髄刺激は、患者のある特定の人々の痛みを和らげるための広く受け入れられている臨床治療法である。図1A及び図1Bに示すように、SCSシステムは典型的には埋込型パルス発生器(IPG)100を含み、これは生体適合性ケース30を含む。ケース30は、通常、IPGが機能するのに必要な回路並びに電源又はバッテリを保持する。IPG100は、1つ又はそれ以上の電極リード線(2つのそのようなリード線102及び104を図示する)を介して電極106に、電極106が電極アレイ110を形成するように結合される。電極106は可撓性ボディ108上に保持され、このボディはまた、各電極に結合された個別の信号線112、114を収容する。信号線112及び114はインタフェース115を経由してIPG100に接続され、このインタフェース115はリード線102及び104(又はリード延長線、図示せず)をIPG100に取り外し可能に接続できるようにする任意の適切な器具とすることができる。インタフェース115は、例えば、リード線102及び104の上の対応するコネクタ119a及び119bと結合するように構成されたリードコネクタ38a及び38bを含んだ電気機械式コネクタ機構を備えることができる。図1Aに示すIPG100においては、リード線102上にE1−E8とラベル付けされた8個の電極、及びリード線104上にE9−E16とラベル付けされた8個の電極が存在するが、リード線及び電極の数は用途特有のものであって変化し得る。電極アレイ110は典型的には脊髄硬膜に沿って埋め込まれ、IPG100は電気パルスを発生し、この電気パルスが電極106を通して精髄内部の神経線維に加えられる。それゆえにIPG100自体は、通常、多少離れて患者の臀部内に埋め込まれる。
【0004】
図2に示すように、IPG100は典型的には電子基板組立体14を含み、この組立体14は、プリント回路基板(PCB)16、並びに、PCB16に取り付けられた種々の電子コンポーネント、例えばマイクロプロセッサ、集積回路及びコンデンサなどを含む。結局、この電子回路が、神経刺激などの治療機能を実行する。貫通接続組立体24は、電子基板組立体14からの種々の電極信号をリードコネクタ38a、38bに送り、このリードコネクタ38a、38bが、リード線102及び104に結合される(図1A及び図1Bを参照されたい)。IPG100はさらにヘッダコネクタ36を備え、これが特にリードコネクタ38a、38bを収容する。IPG100は、手持ち式又は臨床医用のプログラマ(図示せず)のような外部機器からのデータ受け取り及びそれらへのデータ伝送のための、ヘッドコネクタ36の内部に取り付けることができるテレメトリアンテナ又はコイル(図示せず)をさらに含むことができる。前述のように、IPG100は通常、電源、典型的には充電式バッテリ26をさらに含む。
【0005】
図2には、IPG100に電力を供給するのに用いられる外部充電器12も示し、これは以下でさらに詳しく説明する。外部充電器12自体は動作するための電力を必要とし、従ってそれ自体のバッテリ70を含むことができ、このバッテリは、携帯電話に良く似た、プラグインザウォール型ホルスタ(「クレードル」)又は電源コード接続を用いた充電が可能なバッテリとすることができる。代替的に、外部充電器12はバッテリを有しなくてもよく、その代わりに壁コンセント(図示せず)にプラグを差し込んでその電力を直接取り出すことができる。いずれにしても、充電器12の主要な機能は、以下で詳述するように、充電コイル17に通電することである。外部充電器12は、そのような機能を実施するのに必要な回路76を含む1つ又はそれ以上の回路基板72、74を含むことができる。好ましい実施形態においては、図2に示したように、回路76の大部分は直交する回路基板74の上に配置することができ、これにより、充電コイル17によって生じ得る干渉及び加熱が、特許文献2にさらに説明されるように減少する。
【0006】
典型的なIPG及びIPGシステムの構造及び機能のさらなる詳細は、特許文献3に開示されている。
【0007】
IPG100内のバッテリ26が充電可能な場合、外部充電器、即ちIPG100が埋め込まれた患者の外部の充電器を用いてバッテリ26を定期的に充電することが必要になる。IPG100は患者体内に既に埋め込まれている場合があるので、電力を使いきったバッテリ26を外科手術で交換する必要が無いように無線充電が非常に好ましい。
【0008】
外部充電器12とIPG100との間でエネルギーを無線で伝達するために、そして図2に示すように、充電器12は通常、電源に接続された交流電流(AC)コイル17を含み、これがエネルギー29をIPG100の内部又は上に配置された同様の充電コイル18に誘導結合を介して供給する。その際、コイル17は外部充電器12内において平面50内で巻き回され、この平面は、図3に概略的に示すように、IPG100内のコイル18の平面52に実質的に平行に置かれる。このような誘導エネルギー伝達の方法は、経皮的に、即ち患者の組織25を通して行うことができる。IPG100のコイル18によって受け取られたエネルギーは、次に整流され、IPG100内の充電式バッテリ26内に蓄えることができ、これが次にIPG100を動作させる電子回路に電力を供給する。代替的に、受け取られたエネルギー29を用いて、IPG100の電子回路に直接に電力供給することができ、これによりバッテリを完全になくすことができる。
【0009】
従来の外部充電器12には通常、比較的単純なユーザインタフェース94が使用され、その単純さは、充電機能が比較的単純であること、又は外部充電器12が使用中に患者の目に触れないようにしたほうがよいという理由で是認されるが、より複雑な視覚的ユーザインタフェースの有用性を制限する。例えば、IPG100が典型的に臀部に埋め込まれるSCS用途において、外部充電器12は一般に、充電中、外部充電器12をIPG100と位置合せするために患者の背後に置かれる。さらに、外部充電器12は使用中衣類で覆われることがあり、これもまた視覚的ユーザインタフェースの有用性を制限する。図2の従来の外部充電器12のユーザインタフェース94は、従って、典型的には、充電器12を活性化するオン/オフスイッチ、オン/オフスイッチの状態を示すためのLED、及び、充電器がIPGと適切に位置合せされていないとき又は充電が完了したときのような様々なときに「ビープ音」を出すためのスピーカを備えるだけである。
【0010】
2つのコイル17と18との間の誘導充電は外部充電器12内に相当な熱を発生する可能性がある。そのような外部充電器の加熱は、チェックしなければ、患者を不快にするか又は害する可能性がある。この傷害の可能性は、充電中に外部充電器12を患者の組織25に押し当てることが多いので高くなる。例えば、SCSシステムにおいて、外部充電器12は一般に患者の臀部に「ウエストポーチ(ファニーパック)」によって押し付けられる。
【0011】
従って、従来技術の外部充電器は、外部充電器の温度を検出し、それに応じて充電を制御するための組込みの温度モニタ及び制御回路を有する。例えば、図2に示すように、従来技術の外部充電器12は、1つ又はそれ以上の温度センサ92を含むことができ、これは、例えば、熱伝導性エポキシで外部充電器12の筐体に貼付けられたサーミスタ又は熱電対を含むことができる。回路基板72内の孔90は、温度センサ92を回路基板72又は74の上にある温度検出回路(図示せず)に接続することを補助することができる。温度モニタ及び制御回路は一般に、外部充電器の温度T(EC)を検出し、特に外部充電器の最高温度Tmax(EC)を設定する。最高温度Tmax(EC)は、例えば41℃(〜106°F)に設定することができ、この温度は外部充電器12の製造業者によって、健常成人を不快にせず又は害することのない温度として控えめに選択されている。
【0012】
外部充電器12内の温度モニタ及び制御回路は、図4に示すように動作することができ、図4は典型的な充電セッション中の外部充電器の温度T(EC)を示す。初めに外部充電器12内の充電回路が有効にされる、即ち、前述のように外部充電器12内のコイル17にAC電流が流れる。これが起るとT(EC)が上昇する。やがてT(EC)はTmax(EC)に等しくなる。この時点で温度検出回路が外部充電器12内のマイクロコントローラに、充電を中断する、即ち、コイル17を流れる電流を止めるように伝えることになる。ひとたび電流が止まると、T(EC)は低下し始めることになる。いずれかの時点で、例えばある時間経過の後、又は図示したように最低のT(EC)(Tmin(EC))に達したとき、再度T(EC)がTmax(EC)に達するまで充電を有効にすることができる。その結果、充電は有効状態と無効状態の間の負荷サイクルで繰返される。
【0013】
図4に示した充電機構は、外部充電器12が所定の最高安全温度Tmax(EC)を決して超えないことを保証するが、本発明者等は、そのような機構は、患者間の違いを考慮することができず、そして外部充電器12の加熱特性を制御する方法を何ら与えないので、最適ではないと考える。例えば、患者が特に熱に敏感でない場合、その患者は例えば42℃のようなより高いTmax(EC)に耐えることができる。しかし、Tmax(EC)が外部充電器12の製造業者によって41℃に限定される場合、充電はその患者が耐えられるほどの積極的なペースでは行われないことになる。即ち、充電コイル17内の電流が制限されることになるか又は充電が長時間中断されることになる。いずれにしても、その結果、その患者にとって充電の進行が遅過ぎることなる。このことは、患者が一般にできる限り迅速に充電が行われることを好むであろうことから、不都合である。一方、患者が何らかの理由で、多くの場合病状のために、非常に熱に敏感である場合、その患者は、例えば40℃のようなより低いTmax(EC)の方が快適である可能性がある。この場合、Tmax(EC)が製造業者によって41℃に限定されると、患者は充電を不快なほど温かいと感じることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,516,227号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0027500号明細書
【特許文献3】米国特許第7,444,181号明細書
【発明の概要】
【0015】
埋込型医療機器内のバッテリを充電するため、又は埋込型医療機器に電力を供給するための改良された外部充電器が開示される。改良された外部充電器は、外部充電器の患者に押し付けられる部分の温度を検出し、最高温度を超えないように充電を制御するための回路を含む。幾つかの実施形態における外部充電器は、患者が外部充電器の最高温度を設定できるようにするユーザインタフェースを含む。ユーザインタフェースを用いて、いずれかの一定の最高温度を選択することができ、又は、ユーザが多くの充電プログラムから選択できるようにすることができ、このプログラムは、最高温度を時間と共に変化するように制御することができる。代替的に、外部充電器内の充電プログラムは、最高温度設定点を自動的に変化させることができる。このようにして充電中に外部充電器の最高温度を制御することによって、充電に必要な時間を最短にすることができ、同時に患者にとって快適な温度を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】従来技術による、埋込型パルス発生器(IPG)、及び電極アレイをIPGに結合させる仕方を示す。
図1B】従来技術による埋込型パルス発生器(IPG)を示す。
図2】従来技術による外部充電器との関連でIPGを示す。
図3】従来技術による、充電中における外部充電器内のコイルとIPG内のコイルの関係を示す。
図4】従来技術による、IPGバッテリ充電中の外部充電器の温度の調整を示す。
図5A】外部充電器の温度設定の調節が可能な改良された外部充電器の実施形態を示す。
図5B】外部充電器の温度設定の調節が可能な改良された外部充電器の別の実施形態を示す。
図6図5A及び図5Bの外部充電器の一実施形態のための温度モニタ及び制御回路を示す。
図6A図5A及び図5Bの外部充電器の別の実施形態のための温度モニタ及び制御回路を示す。
図7図6Aに示す実施形態による、IPGバッテリ充電中の外部充電器の温度調整を示す。
図8】ストアされた時間変化充電温度プログラムを有する外部充電器の温度モニタ及び制御回路を示す。
図9図8に示す実施形態による、IPGバッテリ充電中の外部充電器の温度調整を示す。
図10図6Aに示す実施形態による、IPGバッテリ充電中の外部充電器の温度調整の別の実施例を示す。
図11A】患者が複数の充電温度プログラムの間で選択することができる改良された外部充電器の実施形態を示す。
図11B】患者が複数の充電温度プログラムの間で選択することができる改良された外部充電器の別の実施形態を示す。
図12図11A及び図11Bの外部充電器の温度モニタ及び制御回路の略図を示す。
図13図11A及び図11Bに示す実施形態による、IPGバッテリ充電中の外部充電器の温度調整を示す。
図14】外部充電器の別の実施形態のための温度モニタ及び制御回路の略図を示す。
図15図14の実施形態に関する、IPGバッテリ充電中の外部充電器の温度調整の実施例を示す。
図16図14の実施形態に関する、IPGバッテリ充電中の外部充電器の温度調整の異なる実施例を示す。
図17図14の実施形態に関する、IPGバッテリ充電中の外部充電器の温度調整の異なる実施例を示す。
図18】外部コントローラ又はコンピュータのような異なる機器のユーザインタフェースを用いる、外部充電器の温度設定のプログラミングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示される実施形態は埋込型パルス発生器(IPG)と共に使用することに限定されず、より一般的に、外部電源からの無線充電の恩恵を受けるか又は必要とする任意の埋込型医療機器システムと共に使用することができる。例えば、開示される実施形態は、ペースメーカー、除細動器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、協調四肢運動を引き起こすように構成された刺激器、皮質及び脳深部刺激器、又は、尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼などを治療するように構成されたいずれかの他の神経刺激器システム、を含むシステムの一部として使用することができる。開示される実施形態はまた、埋込型医療機器が、電気刺激に関与しないセンサ又は能動機器(例えば、薬ポンプ)を備えるシステムの一部として使用することもできる。
【0018】
図5A及び図5Bは、外部充電器200の最高温度設定点(Tmax(EC))の調節が可能な外部充電器200の2つの実施形態を示す。図5Aの実施形態において、スライドスイッチ210のユーザインタフェースは、患者が、外部充電器200を、急速、普通、及び快適の設定(図5Aにおいては、それぞれH、M、及びLで示す)の間で切替えることを可能にする。図5Bは、ディスプレイ215、及び「充電速度」を選択することができるボタンを含んだ異なるユーザインタフェースを与える。ユーザには「速度」設定として示されるが、実際にはこの設定の背後にあるのはTmax(EC)の調節(及び場合によってはTmin(EC)の調節も)である。勿論、ユーザインタフェースに付随するテキストは、患者にとってそちらの方がより直感的となる場合には「温度」について言及することもでき、さらにはTmax(EC)の実際の設定(例えば、「42℃」、「41℃」、「40℃」)について言及することもできる。図5Bには示さないが、ユーザインタフェースは代替的に、患者が絶対設定を選択するようにせずに、患者が充電強度/温度設定をインクリメント又はデクリメント(例えば、0.5℃のインクリメント)できるようにすることができる。図5A及び図5Bには3通りの設定を示すが、他の数の設定を設けて任意の所望の仕方で指定するようにすることができる。さらに、最高温度を選択するのに、図示したものの範囲を超えた他のユーザインタフェースを用いることが可能であり、どの特定のユーザインタフェースも実施のために重要ではない。
【0019】
図6は、図5A及び図5Bの外部充電器200内で用いることができる温度モニタ及び制御回路250の一実施形態を示す。概観すれば、温度モニタ及び制御回路250は、外部充電器200の押し付けられる部分の温度T(EC)を検出し、この温度を、充電中に充電コイル17を選択的に有効又は無効にすることによってTmax(EC)とTmin(EC)の間で制御するように動作する。この実施形態において、2つのサーミスタ602、612は、抵抗604、614によってバイアスされ、外部充電器200の1つより多くの部分の温度をモニタすることを可能にする。図6には2つのサーミスタ602、614を示すが、このサーミスタの数は説明のためだけのものであり、任意の数のサーミスタを用いて、外部充電器200の、望むだけ多数の部分をモニタすることができる。
【0020】
サーミスタ602、604によって生成される電圧は、マイクロコントローラ251のアナログ・デジタル論理回路620によってデジタル値に変換される。論理回路620は図示するようにマイクロコントローラ251内に組み込むことができ、又は所望であればマイクロコントローラ外部の別個の論理回路とすることができる。次に、Tmax(EC)及びTmin(EC)値がマイクロコントローラ251により、任意の所望の様式で、例えば、マイクロコントローラ251のメモリ(図示せず)内又はレジスタ内にストアされる。サーミスタ602、612からのデジタル電圧がTmax(EC)を超える場合、マイクロコントローラ251内のファームウェアは、充電コイル17を無効にするか又は充電速度を低下させことができる。同様に、サーミスタ602、612からのデジタル電圧がTmin(EC)より低くなる場合、ファームウェアは、充電コイル17を有効にするか又は充電速度を高くすることができる。直接デジタル合成論理回路630及び増幅論理回路232を用いて、充電コイル17をマイクロプロセッサ251によって制御することができる。
【0021】
図6Aは、図5A及び図5Bの外部充電器200内で用いることができる温度モニタ及び制御回路250の別の実施形態を示す。概観すれば、温度モニタ及び制御回路250は、外部充電器200の押し付けられる部分の温度T(EC)を検出し、充電中に充電コイル17を選択的に有効又は無効にすることによって温度をTmax(EC)とTmin(EC)の間で制御するように動作する。図6Aの回路においては、Tmax(EC)とTmin(EC)は所定量だけオフセットされ、それゆえにユーザインタフェースにおける患者の特定の充電速度/温度の選択は、Tmax(EC)とTmin(EC)の両方を設定するように作用する。しかし、これは必須ではなく、他の回路実装においては、患者がTmax(EC)とTmin(EC)の各々を別々に選択することができ、又は、Tmin(EC)を事前設定して選択不可能とし、Tmax(EC)のみを選択することができる。しかし、このような変形を実装する温度モニタ及び制御回路は、簡単にするために図示しないが、当業者であれば、以下の回路の詳細が与えられれば容易に実装できることを認識するであろう。
【0022】
患者はユーザインタフェース(例えば、スライドスイッチ210、又はディスプレイ/ボタン215/220)を用いて充電速度/温度を入力する。この指示は外部充電器200のマイクロコントローラ251に送られ、次にマイクロコントローラ251が、関連付けられた制御信号、例えば、L、M、又はH(これらは、説明を簡単にするためのもので、図5Aにおける低、中、及び高のユーザインタフェース選択に対応する)などを生成する。次にこれらの制御信号が可変抵抗回路網93に送られる。この機能は以下でより詳しく説明することになる。
【0023】
温度モニタ及び制御回路250は、2つの分圧器258及び259、Tmax制御回路260、並びにTmin制御回路261をさらに備える。分圧器258は、サーミスタ92(図2参照)並びに2つの抵抗R1及びR2を含む。これらの素子は、外部充電器200のバッテリ電圧(Vdd)と共に、2つの制御信号、即ち、Tmax制御回路260に送られるVbias(max)、及びTmin制御回路261に送られるVbias(min)を生成する。分圧器259は、可変抵抗回路網93及び抵抗R3を含み、これらの素子は参照電圧Vrefを生成し、これが制御回路260及び261の両方に送られる。以下でさらに論じるように、Vbias(max)とVrefとの関係がTmax(EC)を定め、一方Vbias(min)とVrefとの関係がTmin(EC)を定める。これらのTmax(EC)及びTmin(EC)の温度は、種々の抵抗によるデフォルト設定であり、大部分の患者を害しないか又は不快にしない安全な値に設定される。
【0024】
Tmax制御回路260は、Vbias(max)及びVrefを受け取るコンパレータ252、トランジスタ252、及びプルアップ抵抗R4を備える。Vbias(max)>Vrefである場合、コンパレータ252は論理1を出力し、これがトランジスタ256をオンにする。これがプルアップ抵抗R4の効果に打ち勝って、制御信号Tmaxを論理ゼロに引っ張る。反対に、Vbias(max)<Vrefである場合、トランジスタ256はオフであり、Tmaxはプルアップ抵抗R4によって論理1に引っ張られる。一般的に言えば、Tmaxは、以下でさらに詳しく説明するように、充電を有効(Tmax=0)にするか又は充電を無効(Tmax=1)にするかをマイクロコントローラに指示する。Tmin制御回路261は、Tmax制御回路260と同様に構成され動作するので、その詳細は繰返さない。
【0025】
充電の開始時に、且つ外部充電器200が熱くなり始める前に、Vbias(max)がVrefより大きく設定される。まさしく論じたように、これは条件Tmax=0を設定し、これが、充電が可能であること、即ち、電流がコイル17を通して流れ得ることを、マイクロコントローラ251に付随する充電有効化回路230に知らせる。充電有効化回路230はマイクロコントローラ251の部分として図示したが、それから分離することもできる。充電中にT(EC)が上昇するとサーミスタ92の抵抗が増加し、Vbias(max)電圧を降下させる。温度T(EC)がTmax(EC)に達すると、Vbias(max)はVrefより小さくなり、これがTmax=1と設定する。これは、Tmax(EC)に達したので充電を無効にする必要があることを充電有効化回路230に知らせる。Tmaxの立ち上がりエッジを充電有効化回路230内にラッチして、コイル17が確実に無効状態に留まるようにし、そして外部充電器200がTmax(EC)の僅かに下回るまで冷えて、Tmax線を再び論理ゼロに定めることになっても、コイル17がすぐには有効にならないようにすることができる。
【0026】
ひとたび充電が無効になり、外部充電器200が冷え始めると、やがて再び充電を有効にするのに適した状態になるが、これはTmin制御回路261の機能である。Tmin制御回路261内で、コンパレータ253がVrefとVbias(min)を比較する。初め、即ち、ひとたび冷え始めるとき、Vref>Vbias(min)となり、コンパレータ253は論理1を出力し、Tmin制御信号はトランジスタ257によって0に引き寄せられ、充電を有効化すべきではないことを示す。T(EC)が降下し続けるにつれて、サーミスタ92の抵抗が減少し、Vbias(min)が上昇する。やがてT(EC)がTmin(EC)に達すると、Vbias(min)>Vrefとなり、コンパレータ253が論理0を出力するようになり、これがTmin=1と設定する。これは、充電有効化回路230に、Tmin(EC)に達したので充電を再び有効にする必要があることを知らせる。Tmaxと同様に、制御信号Tminの立ち上がりエッジだけが充電有効化回路230にラッチされ、温度T(EC)がTmin(EC)の僅かに上回るまで上昇すると直ちにコイル17の充電を無効にすることを防ぐ。
【0027】
一実施形態におけるTmax(EC)のデフォルト設定値は41℃に設定され、一方Tmin(EC)は39℃に設定されるが、これらの値は特定の実施に適するように調整することができる。当業者であれば認識することになるように、そのようなデフォルト値の設定は分圧器258及び259内の可変抵抗を設定することを通じて達成することができ、これは日常的な設計事項である。一実施形態におけるデフォルト値は、中間の充電速度/温度、即ち、M=1に設定することができる。
【0028】
Tmax(EC)(及び、温度モニタ及び制御回路250の図示した実施例におけるTmin(EC))に対する調節は、上述の様に外部充電器200のユーザインタフェースにおける患者の充電強度/温度選択から生じる制御信号L、M、及びHを介して行われる。これらの制御信号の目標は、分圧器259内の可変抵抗回路網93の抵抗に影響を及ぼすことによってVrefに影響を及ぼすことである。これについては、Vrefが低下するとき、即ち可変抵抗回路網93の抵抗が上昇するとき、Tmax(EC)及びTmin(EC)は両方ともに上昇する。反対に、Vrefが上昇する、即ち可変抵抗回路網93の抵抗が低下すると、Tmax(EC)及びTmin(EC)は低下する。
【0029】
そのような機能を達成するための例証的な可変抵抗回路網93を図6Aに示すが、これは、それぞれH、M、及びL制御信号によってゲート制御される、抵抗値R、2R、及び3Rの3つの抵抗を備える。患者がH設定を選択すると、トランジスタが抵抗Rを短絡し、可変抵抗回路網93の合計抵抗は2R+3R=5Rと比較的高抵抗となり、これがVrefを低下させ、従ってTmax(EC)/Tmin(EC)が高くなる。患者がM設定を選択すると、抵抗2Rが短絡され、合計抵抗はR+3R=4Rとなり、この低めの抵抗が結局Tmax(EC)/Tmin(EC)を低くする。患者がL設定を選択すると、抵抗3Rが短絡され、合計抵抗はR+2R=3Rとさらに小さくなり、これがTmax(EC)/Tmin(EC)をさらに低くする。しかし、図示した抵抗回路網93、及びその制御信号は単なる実施例であり、他の回路及び制御信号を用いることができることに留意されたい。さらに、抵抗回路網が関与しない他の技法を用いて、Vref、及びそれゆえにTmax(EC)及びTmin(EC)に影響を及ぼすことができる。例えば、ユーザインタフェースにおける患者の充電強度/温度選択をストアし、それを用いてバンドギャップ参照電圧発生器の出力電圧を設定することができる。そのような実施形態は、分圧器259の必要性をなくすことになる。
【0030】
ひとたびTmax(EC)がユーザによって設定されると、これを外部充電器200内の不揮発性温度パラメータメモリ275(図6A)にストアすることが好ましく、そのメモリはマイクロコントローラ251の内部又はマイクロコントローラ251の外部に配置することができる。
【0031】
図7は、図6Aの温度モニタ及び制御回路250の、患者選択の高、中、及び低(H、M、及びL)の充電強度/温度に対する動作を示す。各々のグラフに示すように、外部温度T(EC)は初期状態からTmax(EC)まで上昇し、次いで残りの充電セッションの間、Tmax(EC)とTmin(EC)との間で振動する。最高温度設定点は患者選択設定につれて低下する(Tmax1(EC)>Tmax2(EC)>Tmax3(EC))ことに留意されたい。(Tmin(EC)設定点もまた、この実施形態においては低下するが、これは前述のように必須なことではない)。さらに、より高いTmax値は充電を完了するのに必要な時間を短縮する(t1<t2<t3)ことに留意されたい。これは、より高い許容温度が外部充電器200からのより高い出力(例えば、コイル17内のより高い電流)を可能にし、これがIPG100内のバッテリ26(図2参照)を充電するのに必要な時間を短くすることから理解できる。その結果、充電を各々の特定の患者に対して最適化することができる。即ち、Tmax(EC)は、快適であるように十分に低く、しかし充電に必要な時間が最短となるように十分に高くすることができる。
【0032】
図8に示す別の実施形態において、外部充電器200は、Tmax(EC)(そしてこの実施例においてもTmin(EC))を時間と共に変化させる。これはユーザインタフェースにおける患者の選択によってではなく、充電セッションの開始によるマイクロコントローラ251における温度プログラム(「temp prog 1」)の自動的な実行によって行われる。
【0033】
図8の右に示すように、ストアされた温度プログラムは、特定の時間に制御信号S1−S3を出力する。図示した例において温度プログラムは時間t1の間に制御信号S1をアサートし、次に時間t2の間に制御信号S2、次いで時間t3の間に制御信号S3をアサートする。S1、S2、及びS3制御信号は、図6AのH、M、及びL制御信号と同様に可変抵抗回路網93を制御する。従って、図9に示すように、制御信号S1−S3は、t1の間、高い最高温度設定点(Tmax1(EC))に設定し、t2の間、中間のTmax2(EC)に設定し、t3の間、低いTmax3(EC)に設定する。(ここでもまた、対応する最低温度Tmin1(EC)−Tmin3(EC)も又低下するが、これは必須なことではない)。
【0034】
この可変温度プログラムは、患者の組織の熱負荷及び快適さを考慮すると筋の通ったものである。初めにプログラムは、患者の組織に未だ何も熱が加わっていないこと、それゆえにおそらくは少なくとも短時間(t1)の間は外部充電器200からの比較的強い加熱を許容できると仮定して高いTmax1(EC)を選択する。この短時間の間、IPGバッテリの充電は有利に加速されることになる。組織が加熱されると、やがて患者は比較的高い最高温度Tmax1(EC)に耐えられなくなる。従って、最高温度は時間t2の間、Tmax2(EC)に下げられる。この低い温度は不快さを減らすことになるが、IPGバッテリを充電するのに必要な時間を長くすることになり、従って図示するようにt2はt1より長くすることができる(これは必須のことではない)。同じ理由で、最高温度を再度Tmax3(EC)に下げることができるが、これは充電に必要な時間を再び長くする可能性がある(即ち、t3>t2>t1)。
【0035】
温度プログラムのパラメータ(即ち、Tmax(EC)−Tmax3(EC)、t1−t3)は、外部充電器200の製造業者が指定し、ストアすることができる。代替的に、それらパラメータは、製造後、患者が外部充電器のユーザインタフェースを用いて定め、ストアすることができる。温度プログラムは、外部充電器のマイクロコントローラ251内に常駐のマイクロコードで実装することができるが、これは、本開示を利用できる当業者であれば認識することになるように、別個の回路コンポーネントを用いて容易に実装することもできる。
【0036】
図9は、不連続的な間隔で充電強度/温度を変化させる温度プログラムを示すが、マイクロコントローラ251で実行可能な他の温度プログラムは、図10に示すように、Tmax(EC)(及びTmin(EC))の滑らかな変化をもたらすことができる。そのような滑らかさは、やはり本開示を利用できる当業者であれば認識することになるように、多くの方法で達成することができる。
【0037】
図11A及び図11Bは、各々が異なる仕方でTmax(EC)を変化させる複数の事前設定された外部充電器温度プログラムのうちの1つを患者が選択することができる改良された外部充電器200の実施例を示す。前述の実施例(図5A及び図5B参照)と同様に、ユーザインタフェースには、温度プログラムP1、P2、及びP3の間で選択するための簡単なスライドスイッチ210又はディスプレイ/ボタン215/220が用いられる。図11Bに示すように、ディスプレイ215は各プログラムの説明([desc n])を提供して患者にプログラムの基本的性質について知らせることができるので、ユーザは意味のある選択を行うことができる。前と同様に、図示したユーザインタフェースは必須のものではなく、他の形態を用いることもできる。
【0038】
図12は、図11A及び図11Bの外部充電器200のための温度モニタ及び制御回路250を示す。図12に示した多くの要素は以前の実施形態において説明したので、ここではそれらの詳細は繰返さない。しかし、この実施形態に対する特定の留意事項として、マイクロコントローラ251により実行される複数の温度プログラム(P1−Pn)がストアされている。図8の実施形態と同様に、所与のプログラムの実行の結果、複数の制御信号S1−Snが発行される。以前の実施例と変わらず、制御信号は分圧器259に送られ、その抵抗に影響を及ぼし、これが最終的にVrefに影響を及ぼし、それゆえに(少なくとも)Tmax(EC)に影響を及ぼす。しかし、前と同様に、分圧器259は必須のものではなく、例えば、その代りに、制御信号S1−Snをバンドギャップ参照電圧生成器259に送ることができる。
【0039】
図12の回路250の動作を説明するために、患者が、図13に示すように各々がTmax(EC)/Tmin(EC)値を異なるように設定する3つの温度プログラムの間で選択することができると仮定する。第1の例示的プログラム(P1)において、外部充電器200は、Tmax1(EC)値を41℃に、そしてTmin1(EC)値を39℃に設定し、全充電セッションの間その温度範囲を用いて充電する。第2の例示的プログラム(P2)において、外部充電器200は、初めにTmax2(EC)を43℃に、そしてTmin2(EC)を41℃に設定し、次いでこれらの値を時間と共に連続的に減らす。第3の例示的プログラム(P3)において、外部充電器200は、初めにTmax3(EC)/Tmin3(EC)の値を初めの5分間は40℃/38℃に設定し、次いで次の10分間は38℃/36℃に低下させ、最後に残りの充電セッションの間は37℃/35℃に低下させる。
【0040】
上述の実施形態は、Tmax(EC)及びTmin(EC)の温度設定値を一緒に調節することを可能にするが、他の実施形態は、前述のように各々の設定値について別々に制御できるようにすることができ、又はTmax(EC)についてだけ制御できるようにすることができる。さらに他の実施形態は、例えば図14の温度モニタ及び制御回路250を用いることで、Tmin(EC)の使用を全く必要としない。この実施形態において、Tmax(EC)及びTmin(EC)温度値は効果的に組み合わされて、単一のTset(EC)値にされる。図6Aの実施形態と同様に、分圧器258及び259はテスト制御回路282と連結して制御信号Tsetを導出し、この信号が充電有効化回路230に送られる。ここで、Tsetは、充電有効化回路230において立ち上がり及び立ち下がりの両エッジでラッチされ、従って、充電を無効にすることになるT(EC)>Tset(EC)であるときの論理1と、充電を有効にすることになるT(EC)<Tset(EC)であるときの論理0との間で振動することになる。回路230が有効化状態と無効化状態との間であまりに速く切替ることを防ぐために、充電有効化回路には、多数のデジタルフィルタリング又はデジタル積分技法のうちのいずれかを使用することができる。
【0041】
図15は、図14の温度モニタ及び制御回路250の動作を示す。外部充電器200がTset(EC)を超えたとき、充電は温度がTset(EC)を下回るまで低下するまで中断され、低下した時点で充電が再開される。従って、外部充電器200の温度T(EC)は、Tset(EC)値の回りで振動する。
【0042】
単一の温度設定点Tset(EC)の使用はまた、例えば、図8図10の単一プログラムの実施例、及び図11A図13の複数プログラムの実施例のような、外部充電器内にストアされた温度プログラムを有する実施形態とともに用いることもできる。図16及び図17は、それぞれ、図14によって修正されたそれらのプログラムベースの実施形態の温度モニタ及び制御回路250が、単一の制御信号Tsetのみを充電有効化回路230に供給する動作を示す。
【0043】
一実施形態において、外部充電器200は、4時間充電した充電セッションの後、又はIPG100が満杯に充電されたことをIPG100が後方テレメトリによって示したときはいつでも、充電を中断する。この充電セッションの最大長さは、代替的に、例えば外部充電器のユーザインタフェースを用いて患者が調節できるようにすることができる。IPGが完全に充電される前に中断が行われる場合、外部充電器はユーザインタフェースを介して、充電が未完了であったことを、後で充電を続けるように患者に対する注意喚起として示すことができる。
【0044】
これまでに説明した実施形態において、改良された外部充電器200内へのTmax(EC)/Tmin(EC)又はTset(EC)温度のプログラミングは、外部充電器200のユーザインタフェースを用いて行われる。しかし、これは必須ではない。例えば、図18において、関連するユーザインタフェースは、移植治療の設定値を制御するために患者が従来用いる外部コントローラ300上に表示される。図示した実施例において、外部コントローラ300のユーザインタフェースはディスプレイ及びボタンを備えており、従って、前述の図5Bのユーザインタフェースに類似している。充電速度/温度設定値が外部コントローラ300に入力されると、これは無線で外部充電器200に伝送され、そのメモリ275(図6A)内にストアされることができる。そのような無線伝送は、例えば、引用により本明細書に組み入れられる2009年6月2日出願の米国特許出願番号第12/476,523号にさらに詳しく説明されているように、例えばBluetooth(登録商標)のような短距離通信リンクを含むことができる。代替的に、充電強度/温度は、例えば、患者又は臨床医のコンピュータ350への有線接続により、外部充電器200内にプログラムすることができる。いずれの場合にも、製造後に温度をプログラムする患者の能力は維持される。
【0045】
開示した外部充電器200は、通常、IPG100内のバッテリ26を充電するのに用いることを想定したものであるが、外部充電器200は、バッテリをもたないIPG又は他の埋込型医療機器とともに用いることもできる。これは、例えば、IPGが外部充電器200から連続的に無線でエネルギーを受け取り、IPGがこのエネルギーを貯蔵せずに整流して使用するシステムにおいて行うことができる。
【0046】
好ましい実施形態において、外部充電器200にはサーミスタが用いられるが、熱電対、抵抗温度検出器(RTD)、半導体接合回路、及び/又はそれら機器を使用した回路などの他の温度検出機器を用いることもできる。
【0047】
温度モニタ及び制御回路250の種々の実施例は、設定点Tmax(EC)/Tmin(EC)又はTsec(EC)を考慮しながら充電を有効又は無効にするために用いられる。しかし、そのような外部充電器の有効化又は無効化は、外部充電器200の温度を制御するために必須ではない。例えば、Tmax(EC)を超えたときに外部充電器200を完全に無効にする代りに、充電有効化回路230(図6A)は、充電コイル17を通って流れる電流を全て削減するのではなく減らすことができる。代替的に、充電有効化回路230は、コイル17に対する負荷サイクル電流を開始することができる。要するに、外部充電器200の出力を制御して外部充電器の温度を本明細書で開示した温度設定点と一致するように保つことができる多くの異なる方法があり、本開示の技術は説明した実施形態に限定されない。
【0048】
さらに、前述の実施形態は、患者が外部充電器200をプログラムできるようにするユーザインタフェースを与えるが、他の実施形態においては、ユーザインタフェースを省略して、工場でだけ外部充電器をプログラムできるようにすることができる。代替的に、臨床医用インタフェースを設けて、外部充電器200が、患者が外部充電器200をプログラムするためのユーザインタフェースを有しない場合にも、臨床医が外部充電器200をプログラムできるようにすることができる。
【0049】
「プログラムする」という用語の使用は、外部充電器200を制御するソフトウェアをプログラムする能力を要求するものと解釈されるべきではなく、外部充電器200の機能を制御又は修正して、その最高温度設定のような動作特性を修正するための、そのような制御又は修正を遂行するハードウェア及び回路技術を含んだ、任意の技術を含むものと理解されたい。
【0050】
要約すれば、外部充電器200は、充電中、患者が外部充電器200の最高温度を制御することを可能にする。この制御された温度調整は、向上した快適さ及び安全性を伴う、より迅速な充電をもたらすことができる。
【0051】
本発明の特定の実施形態を示して説明したが、上記の説明は本発明をこれらの実施形態に限定することを意図したものではない。当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに様々な変更及び修正を施すことができることが明白であろう。従って、本発明は、特許請求の範囲によって定められる本発明の趣旨及び範囲に入る代替物、修正物、及び等価物を含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0052】
12、200:外部充電器
17、18:充電コイル
26、70:バッテリ
29:エネルギー
30:生体適合性ケース
36:ヘッダコネクタ
38a、38b:リードコネクタ
92:温度センサ(サーミスタ)
93:可変抵抗回路網
94:ユーザインタフェース
100:埋込型パルス発生器(IPG)
102、104:リード線
110:電極アレイ
112、114:信号線
115:インタフェース
210:スライドスイッチ
215:ディスプレイ
220:ボタン
230:充電有効化回路
250:温度モニタ及び制御回路
251:マイクロコントローラ
252、253:コンパレータ
258、259:分圧器
260:Tmax制御回路
261:Tmin制御回路
275:メモリ
282:Tset制御回路
300:外部コントローラ
350:患者又は臨床医のコンピュータ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図6A
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18