特許第5663046号(P5663046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5663046喘息用のフォルモテロールおよびモメタゾンフロエートの組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5663046
(24)【登録日】2014年12月12日
(45)【発行日】2015年2月4日
(54)【発明の名称】喘息用のフォルモテロールおよびモメタゾンフロエートの組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/167 20060101AFI20150115BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20150115BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20150115BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20150115BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20150115BHJP
【FI】
   A61K31/167
   A61K31/58
   A61K9/12
   A61K9/72
   A61P11/00
   A61P11/08
   A61P29/00
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-10543(P2013-10543)
(22)【出願日】2013年1月23日
(62)【分割の表示】特願2009-174025(P2009-174025)の分割
【原出願日】2000年3月1日
(65)【公開番号】特開2013-67668(P2013-67668A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2013年2月22日
(31)【優先権主張番号】9904919.9
(32)【優先日】1999年3月3日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】イアン・フランシス・ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・ガイ・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・ルーク・ダナヘイ
【審査官】 前田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−001295(JP,A)
【文献】 特表平07−502036(JP,A)
【文献】 Journal of Allergy and Clinical Immunology,1997年,100(4),511-519
【文献】 Contact Dermatitis,1996年,34(5),365-366
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/167
A61K 31/58
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フォルモテロールもしくは医薬的に許容されたその塩またはフォルモテロールの溶媒和物もしくは当該塩の溶媒和物および(B)モメタゾンフロエートの相乗効果的な量を、別々にまたは同時に含み、(A)および(B)、または(A)もしくは(B)が吸入可能型、噴霧可能組成物またはドライパウダーである、炎症性または閉塞性気道疾患の処置における、同時の、連続のまたは別々の投与のための医薬。
【請求項2】
(A)および(B)の相乗効果的な量の混合物を含む、請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
(A)がフォルモテロールフマレート二水和物である、請求項1に記載の医薬。
【請求項4】
(A)がフォルモテロールフマレート二水和物である、請求項2に記載の医薬。
【請求項5】
プロペラント中の溶液もしくは分散物として(A)および(B)の混合物を含む吸入可能型エアロゾル、または
プロペラント中の溶液もしくは分散物として(A)を含むエアロゾルと、プロペラント中の溶液もしくは分散物として(B)を含むエアロゾルとの組合せ
である、請求項1に記載の医薬。
【請求項6】
(A)もしくは(B)、または(A)および(B)が、ハロゲン置換炭化水素であるプロペラント中の分散物として存在する、請求項5に記載の医薬。
【請求項7】
(A)もしくは(B)、または(A)および(B)の各々が10μmまでの平均粒径を有する、請求項6に記載の医薬。
【請求項8】
水性媒体、有機性媒体もしくは水性/有機性媒体中の(A)および(B)の分散物、または
水性媒体、有機性媒体もしくは水性/有機性媒体中の(A)の分散物と、水性媒体、有機性媒体もしくは水性/有機性媒体中の(B)の分散物との組合せ
を含む、吸入可能な霧状可能組成物である、請求項1に記載の医薬。
【請求項9】
微粉砕した(A)もしくは(B)、または微粉砕した(A)および(B)を含む吸入可能なドライパウダーである、請求項1に記載の医薬。
【請求項10】
サッカライドである担体をさらに含む、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
前記担体がラクトースである、請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
(A)もしくは(B)、または(A)および(B)の各々が10μmまでの平均粒径を有する、請求項9に記載の医薬。
【請求項13】
(A)対(B)の重量比が2:1〜1:2000である、請求項1に記載の医薬。
【請求項14】
前記重量比が1:5〜1:50である、請求項13に記載の医薬。
【請求項15】
(A)対(B)の重量比が1:5〜1:50である、請求項2に記載の医薬。
【請求項16】
カプセル中のドライパウダーであって、該カプセルが、フォルモテロールフマレート二水和物として3μg〜36μgの(A)および25μg〜800μgの(B)を含み、さらに医学的に許容される担体をカプセルあたりのドライパウダーの総重量にして5mg〜50mgの間にする量で含む、請求項2に記載の医薬。
【請求項17】
フォルモテロールフマレート二水和物として3〜36重量部の(A)および25〜800重量部の(B)を含み、さらに2164〜24972重量部の医学的に許容される担体を含む、請求項2に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患(obstructive airway disease)の処置のための
β−2アゴニストおよびステロイドの組合せならびにその使用に関する。
【発明の概要】
【0002】
フォルモテロール、N−[2−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシ−2−((2−(4−メト
キシフェニル)−1−メチルエチル)アミノ)エチル)フェニル)]ホルムアミド、特に、その
フマル酸塩型は、炎症または閉塞性気道疾患の処置に使用の気管支拡張薬である。モメタ
ゾンフロエート、(11β,16α)−9,21−ジクロロ−17−[(2−フラニルカルボニ
ル)オキシ]−11−ヒドロキシ−16−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオ
ン、別の命名法では、9α,21−ジクロロ−16α−メチル−1,4−プレグナジエン−
11β,17α−ジオール−3,20−ジオン 17−(2'−フロエート)は、US447
2393に記載されている典型的な抗炎症性コルチコステロイドである。
【0003】
この度、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において重要な、予測不能な治療効果、特
に相乗的治療効果が、遊離形またはその塩もしくは溶媒和物型のフォルモテロールおよび
モメタゾンフロエートを用いる組合せ治療により得られることが驚くべきことに発見され
た。例えば、この組合せ治療を用いると、所定の治療効果に必要なモメタゾンフロエート
またはフォルモテロールの用量を、モメタゾンフロエートまたはフォルモテロール単独に
よる処置での使用に必要な用量と比べると相当減少させることができ、それにより、可能
性ある、望ましくない副作用を最小限にすることができる。特に、これらの組合せ、特に
フォルモテロールおよびモメタゾンフロエートを含む組成物としての組合せは、フォルモ
テロールまたはモメタゾンフロエート単独により誘導されるよりも、より有意に高い抗炎
症性活性を誘導することが発見され、そして、所定の抗炎症効果に必要なモメタゾンフロ
エートの量がフォルモテロールとの混合に用いると有意に減少し得、それにより炎症性ま
たは閉塞性気道疾患の処置に含まれるステロイドに繰返しさらされることによる望ましく
ない副作用の危険性を減少し得ることが発見された。
【0004】
更に、本発明の組合せ治療を用い、特にフォルモテロールおよびモメタゾンフロエート
を含む組成物を用い、作用の急速な開始および作用の長期持続を有する医薬を調製し得る
。更に、その組合せ治療を用い、肺機能において有意な改善を生ずる医薬を調製し得る。
他の態様では、本発明の組み合わせ治療を用い、閉塞性または炎症性気道疾患の改善され
た調節を提供するか、それらの疾患の悪化の減少を提供する医薬を調製し得る。更なる態
様では、本発明の組成物を用い、閉塞性または炎症性気道疾患のレスキュー処置の必要に
より使用され得るか、サルブタモールまたはテルブタリンのような短期作用性レスキュー
医薬での処置の必要性を減少または取り除く医薬を調製し得、そのため、本発明の組成物
に基く医薬は、単一医薬による閉塞性または炎症性気道疾患の処置を促進する。
【0005】
ある態様では、本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患の処置における同時の、連続の
または別々の投与のために、(A)フォルモテロールもしくは医薬的に許容されるその塩ま
たはフォルモテロールの溶媒和物もしくは当該塩の溶媒和物および(B)モメタゾンフロエ
ートを、別個にまたは同時に含む医薬を提供する。
【0006】
他の態様では、本発明は、炎症性または閉塞性気道疾患を処置する方法であって、その
処置の有効量の上記の(A)および上記の(B)を必要とする対象に投与することを含む方法
を提供する。
【0007】
更なる態様では、本発明は、有効量の、上記の(A)および上記の(B)の混合物を、所望
により医薬的に許容される担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、炎症性または閉塞性気道疾患の処置における同時の、連続のまたは別々
の投与による組合せ治療に使用のための上記の(A)および(B)を提供する。
【0009】
本発明は、更に、炎症性または閉塞性気道疾患の処置における(A)および(B)の同時の
、連続のまたは別々の投与による組合せ治療のための医薬の調製において、上記の(A)ま
たは上記の(B)の使用を提供する。
【0010】
また更なる態様では、本発明は、上記の(A)および(B)を含む炎症性または閉塞性気道
疾患の処置に使用の医薬組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は更に、炎症性または閉塞性気道疾患の処置において同時の、連続のまた
は別々の投与による組合せ治療のための医薬の調製に、上記の(A)および(B)の使用を提
供する。
【0012】
フォルモテロールの医薬的に許容される塩には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸およ
びリン酸のような無機酸、およびフマル酸、マレイン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸
、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリル酸、オレイン酸
、安息香酸、p−メトキシ安息香酸、サリチル酸、o−およびp−ヒドロキシ安息香酸、
p−クロロ安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸および3−ヒドロキシ
−2−ナフタレンカルボン酸のような有機酸の塩が含まれる。
【0013】
成分(A)は、任意の異性体型または異性体型の混合物であり得、例えば、単一エナンチ
オマー、エナンチオマー混合物、ラセミ体またはその混合物であり得る。溶媒和物型、例
えば、水和物、例えば、US3994974またはUS5684199に記載のようなも
のであり得、特に結晶型、例えば、WO95/05805に記載のように存在し得る。好
ましくは、成分(A)は、フォルモテロールフマレートであり、特に二水和物型である。
【0014】
上記の、すなわち混合物または個別の(A)および(B)を包含する医薬または医薬組成物
の投与は、好ましくは吸入によるものであり、すなわち、(A)および(B)またはその混合
物は、吸入可能型(inhalable form)である。医薬、すなわち(A)および/または(B)の医
薬の吸入可能型は、例えば、プロペラント中の(A)および(B)を別個にまたは混合物とし
て溶液または分散物の活性成分を含むエアロゾルのような噴霧可能組成物であるか、また
は水性、有機性または水性/有機性媒体中の活性成分の分散物を含む霧状可能組成物であ
り得る。例えば、医薬の吸入可能型は、プロペラント中の溶液または分散物の(A)および
(B)の混合物、またはプロペラント中の溶液または分散物の(A)を含むエアロゾルとプロ
ペラント中の溶液または分散物の(B)を含むエアロゾルとの組合せを含むエアロゾルであ
り得る。他の例では、吸入可能型は、水性、有機性または水性/有機性媒体中の(A)およ
び(B)の分散物を含む霧状化可能組成物、またはその媒体中の(B)の分散物とその媒体中
の(A)の分散物との組合せである。
【0015】
医薬の吸入可能型としての使用に適当なエアロゾル組成物は、当分野に既知の任意のプ
ロペラントから選択され得るプロペラント中の溶液または分散物の活性成分を含み得る。
適当なそのプロペラントには、n−プロパン、n−ブタンまたはイソブタンのような炭化
水素または2またはそれ以上のその炭化水素の混合物、およびハロゲン置換炭化水素、例
えばフッ素置換メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパンまたはシクロブタン
、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA134a)および1,1,1,2,3,3,
3−ヘプタフルオロプロパン(HFA227)、または2またはそれ以上のハロゲン置換炭
化水素の混合物が含まれる。活性成分がプロペラント中の懸濁液に存在する場合、すなわ
ち、プロペラント中に分散する粒子型で存在する場合、エアロゾル組成物はまた、当分野
に既知の滑沢剤および界面活性剤から選択され得る滑沢剤および界面活性剤を含み得る。
他の適当なエアロゾル組成物には、界面活性剤なし、または実質的に界面活性剤のないエ
アロゾル組成物が含まれる。当該エアロゾル組成物は、プロペラントの重量に基づき、約
5(重量)%まで、例えば、0.002から5(重量)%、0.01から3(重量)%、0.0
15から2(重量)%、0.1から2(重量)%、0.5から2(重量)%または0.5から1
(重量)%の活性成分を含み得る。存在するならば、滑沢剤および界面活性剤は、それぞれ
、エアロゾル組成物の5(重量)%および0.5(重量)%までの量であり得る。当該エアロ
ゾル組成物はまた、特に、加圧測定用量吸入装置(pressurised metered dose inhalation
device)の投与のための、組成物の30(重量)%までの量のエタノールのような共溶媒和
物を含み得る。
【0016】
本発明の他の実施態様では、吸入可能型はドライパウダーであり、すなわち、(A)およ
び/または(B)は、微粉砕した(A)および/または(B)を、所望により微粉砕した医薬的
に許容される担体と共に含むドライパウダーとして存在し、その担体は、医薬的に許容さ
れる担体として存在し1またはそれ以上の既知物質であり得、好ましくはドライパウダー
吸入組成物中の担体として既知の物質から選択され、例えば、モノサッカライド、ジサッ
カライド、ポリサッカライドを含むサッカライドおよびアラビノース、グルコース、フル
クトース、リボース、マンノース、シュクロース、トレハロース、ラクトース、マルトー
ス、デンプン、デキストランまたはマンニトールのような糖アルコールである。特に、好
ましい担体はラクトースである。ドライパウダーは、ドライパウダー吸入装置における使
用のため、好ましくはカプセルあたりのパウダーの総重量が5mgから50mgとなる量
の担体を伴う(A)および/または(B)の用量単位において、ゼラチンまたはプラスチック
のカプセル中、または発泡剤中に存在し得る。他に、ドライパウダーは、多用量ドライパ
ウダー吸入装置中の貯蔵体として含まれ得る。
【0017】
微粉砕した特定の医薬の型および活性成分が特定型中に存在するエアロゾル組成物では
、活性成分は、約10μmまでの、例えば、0.1から5μm、好ましくは1から5μm
の平均粒径を有し得る。存在するならば、固体担体は、300μmまで、好ましくは、2
12μmまでの最大粒径を通常有し、都合良くは、40から100μm、例えば50から
75μmの平均粒径を有する。活性成分の粒子サイズ、およびドライパウダー組成物中に
存在する場合の固体担体の粒子サイズは、通常の方法により、例えば、エアージェットミ
ル、ボールミルまたはバイブレーターミル、ミクロ沈殿(microprecipitation)、スプレー
ドライニング、凍結乾燥または臨界超過媒体からの再結晶により望ましいレベルにまで微
粉砕し得る。
【0018】
吸入可能な医薬は、吸入可能型に適当な吸入装置、その装置は当分野に既知である装置
を用い投与し得る。従って、本発明はまた、1またはそれ以上の吸入装置に関連する上記
の吸入可能型中の、上記の医薬または製剤組成物を含む製剤産物を提供する。更なる態様
では、本発明は、上記の吸入可能型中に上記の医薬または製剤組成物を含む、吸入装置、
または2またはそれ以上の吸入装置のパックを提供する。
【0019】
活性成分の吸入可能型がエアロゾル組成物である場合、吸入装置は、10から100μ
l、例えば、25から50μlのような組成物の測定用量を送達するよう適用されるバル
ブを提供したエアロゾルバイアルであり、すなわち、測定用量吸入器として知られる装置
である。そのようなエアロゾルバイアルおよび加圧下でエアロゾル組成物を含ませるのに
適した手順は、吸入治療の当業者に既知である。例えば、エアロゾル組成物は、例えば、
EP−A−0642992中に記載されているように被覆缶から投与され得る。活性成分
の吸入可能型が、霧状化可能な水性、有機性または水性/有機性分散物である場合、吸入
装置は、既知のネブライザーとして知られ得、例えば、1から50ml、通常1から10
mlの分散物を含み得るエアージェットネブライザー、または超音波ネブライザーのよう
な通常の空気圧ネブライザー;またはハンドヘルドネブライザー、例えば、通常のネブラ
イザーよりも相当に少量の体積、例えば10から100μlの噴霧が可能であるAERx
(ex Aradigm, US)のような電気的調節装置またはRESPIMAT(Boehringer Ingelhei
m)ネブライザーのような機械装置である。活性成分の吸入可能型が、微粉砕した粒子型で
ある場合、吸入装置は、例えば、(A)および/または(B)の用量単位を含むドライパウダ
ーを含むカプセルまたはブリスターからのドライパウダーの送達に適用するドライパウダ
ー吸入装置、または例えば作動あたり(A)および/または(B)の用量単位を含む3−25
mgのドライパウダーの送達に適用する多用量ドライパウダー吸入(MDPI)装置であり
得る。適当なそのドライパウダー吸入装置は良く知られている。例えば、カプセル化型ド
ライパウダーの送達に適当な装置は、US3991761に記載されたものであり、その
一方、適当なMDPI装置は、WO97/20589に記載されたものである。
【0020】
本発明の医薬は、好ましくは、上記の(A)および上記の(B)の混合物を含み、好ましく
は上記の医薬的に許容される担体を伴う医薬組成物である。
【0021】
フォルモテロールまたはその塩もしくは溶媒和物とモメタゾンフロエートの重量比は、
通常、2:1から1:2000、例えば、1:1から1:1000、1:2から1:10
0、または1:5から1:50であり得る。より普通では、この割合は、1:10から1
:25、例えば、1:15から1:25である。当該2つの薬物は、同じ割合で別々に投
与し得る。最も近い整数としては、この割合の例には、1:10、1:11、1:12、
1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、
1:21、1:22、1:23、1:24および1:25が含まれる。上記重量比は、特
に(A)がフォルモテロールフマレート二水和物である場合に適用される。そのため、フォ
ルモテロールフマレート二水和物およびモメタゾンフロエートの分子量がそれぞれ840
.9および521.4であるため、(A)と(B)の相当するモル比は、通常、1.24
:1から1:3227、例えば、0.62:1から1:1613、1:3.2から1:1
61、または1:8.1から1:80.7;より普通には、1:16.1から1:40.
3、例えば、1:24.2から1:40.3;モル比の特定の例は、1:16.1、1:
17.8、1:19.4、1:21、1:22.6、1:24.2、1:25.8、1:
27.4、1:29、1:30.7、1:32.3、1:33.9、1:35.5、1:
37.1、1:38.7および1:40.3であり得る。
【0022】
吸入に適当な、フォルモテロール、またはその塩もしくは溶媒和物、特にフォルモテロ
ールフマレート二水和物の一日用量は、1から72μg、例えば、1から60μg、通常
3から50μg、好ましくは6から48μg、例えば6から24μgであり得る。吸入に
適当な、モメタゾンフロエートの一日用量は、50から2000μg、例えば、100か
ら2000μg、100から1600μg、100から1000μg、または100から
800μg、好ましくは200から500μg、例えば200から400μgであり得る
。使用する正確な用量は、もちろん、処置する病状、患者および吸入装置の効率に依存す
る。
【0023】
フォルモテロール成分(A)、好ましくはフォルモテロールフマレート二水和物の適当な
単位用量は、1から72μg、例えば1から60μg、通常3から48μg、好ましくは
6から36μg、特に12から24μgであり得る。モメタゾンフロエート(B)の適当な
単位用量は、25μgから2000μg、例えば、50μgから1000μg、好ましく
は500μgから800μg、より好ましくは100μgから500μg、特に100か
ら400μg、例えば200から400μgであり得る。これらの単位用量は、上記の適
当な一日用量に従って一日一度または二度適当に投与し得る。頓用の場合、6μgまたは
12μgの(A)および50μgまたは100μgのモメタゾンフロエート(B)が好ましい
【0024】
本発明の1の好ましい実施態様では、本発明の医薬は、例えば、単一カプセル吸入器か
らの吸入のための、(A)および(B)の単位用量を含むカプセルであって、(A)がフォルモ
テロールフマレート二水和物の場合、(A)3μgから36μg、好ましくは(A)6μgか
ら24μg、特に(A)12μgから24μg、および(B)25μgから800μg、例え
ば25μgから500μgまたは25μgから400μg、好ましくは(B)50μgから
400μg、特に(B)100から400μgを適当に含み、カプセルあたりのドライパウ
ダーの総重量が5mgと50mgとの間、例えば、5mg、10mg、15mg、20m
g、25mg、30mg、35mg、40mg、45mgまたは50mg、好ましくは2
0から25mg、特に25mgとなる量の上記の医薬的に許容される担体を伴うカプセル
中のドライパウダーである医薬組成物である。
【0025】
本発明の他の好ましい実施態様では、本発明の医薬は、作用あたり(A)および(B)の単
位用量を含む3mgから25mgのパウダーであって、(A)がフォルモテロールフマレー
ト二水和物の場合、3から36重量部、好ましくは6から24重量部、特に12から24
重量部の(A);25から800重量部、例えば25から500重量部、好ましくは50か
ら400重量部、特に100から400重量部の(B);および上記の医薬的に許容される
担体の2164から24972重量部、好ましくは4164から14972重量部、特に
4164から9972重量部を含むパウダーの送達に適用する多用量ドライパウダー吸入
器の貯蔵体からの投与のためのドライパウダーである医薬組成物である。
【0026】
上記の通り、本発明はまた、上記の(A)および(B)を分離した単位用量型に含み、当該
剤型が有効量の(A)および(B)を投与するのに適している医薬キットを提供する。そのキ
ットは、適当に更に、(A)および(B)の投与のための1またはそれ以上の吸入装置を含む
。例えば、当該キットは、(A)の用量単位を含むドライパウダーを含むカプセルおよび(
B)の用量単位を含むドライパウダーを含むカプセルと共に、カプセルからのドライパウ
ダーの送達に適合する1またはそれ以上のドライパウダー吸入装置を含む。他の例では、
キットは、貯蔵体に(A)を含むドライパウダーを含む多用量ドライパウダー吸入装置およ
び貯蔵体に(B)を含むドライパウダーを含む多用量ドライパウダー吸入装置を含み得る。
更なる例では、当該キットは、プロペラント中に(A)を含むエアロゾルを含む測定用量吸
入器およびプロペラント中に(B)を含むエアロゾルを含む測定用量吸入器を含み得る。
【0027】
本発明に関する炎症性または閉塞性気道疾患の処置は、徴候的または予防的な処置であ
り得る。本発明が適用される炎症性または閉塞性気道疾患には、内在性(非アレルギー性)
喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方が型または原因の如何にかかわりなく、すべ
ての喘息が含まれる。喘息の処置はまた、喘鳴の徴候が見られ、かつ“喘鳴幼児(wheezy
infant)”、主要な医学の関心事の確立された患者カテゴリーとして診断されるか診断さ
れ得る、例えば4または5歳未満の患者の処置を含むとして理解され、しばしば、初期ま
たは早期−フェーズの喘息として同定される。(便宜的に、この特定の喘息の症状は、喘
鳴幼児症候群(wheezy infant syndrome)と呼ばれる)
【0028】
喘息の処置における予防効力は、徴候的攻撃、例えば、急性喘息の攻撃または気管支収
縮薬攻撃の頻度または重篤度を低減することにより、肺機能の改善または気道過剰反応性
の改善により証明される。他の、徴候的治療、すなわち、徴候的攻撃、例えば抗炎症(例
えば、コルチコステロイド)または気管支拡張(bronchodilatory)が生じたときのその攻撃
を制限もしくは阻害(abort)するためまたは制限もしくは阻害を目的とした治療の必要性
を減少することにより更に証明され得る。喘息の予防の利点は、特に、“モーニング・デ
ィッピング(morning dipping)”の傾向のある患者で明白となり得る。“モーニング・デ
ィッピング”は、認知された喘息性症候群であり、通常、喘息患者の実質的な割合を占め
、例えば、おおよそ午前4時から6時の間、すなわち、従前に適用した徴候的喘息治療か
ら通常実質的に時間を経たときの喘息攻撃を特徴とする。
【0029】
本発明を適用し得る他の炎症性または閉塞性気道疾患および病状には、急性肺傷害(A
LI)、成人性呼吸障害症候群(ARDS)、慢性閉塞肺疾患、慢性気管支炎および気腫を
含む気道または肺疾患(COPD、COADまたはCOLD)、気管支拡張症および他の薬
物治療、特に他の吸入薬物治療の結果としての気道過剰反応の悪化が含まれる。本発明が
適用される更なる炎症性または閉塞性気道疾患には、例えば、型または原因にかかわりな
くアルミニウム肺症、炭症、アスベスト肺、石粉症、ダチョウ塵肺症、鉄沈着症、珪肺症
、たばこ症および綿肺症を含む塵肺症(炎症、通常は肺の職業病であり、しばしば、慢性
または急性の何れであっても気道閉塞を伴い、繰返しの塵の吸入により引き起こされる)
が含まれる。
【0030】
本発明を以下の実施例により解説し、特記しない限り、部は重量である。
【実施例】
【0031】
実施例1−測定用量吸入器のためのエアロゾル組成物
【表1】
【0032】
実施例2−ドライパウダー
【表2】
【0033】
実施例3
WO97/20589に記載の多用量吸入器の貯蔵体からの送達に適当なドライパウダ
ーを、エアージェットミルで平均粒径1−5μmにまで磨り潰したフォルモテロールフマ
レート二水和物12部、同様に平均粒径1−5μmにまで磨り潰したモメタゾンフロエー
ト250部および212μm未満の粒径を有するラクトース一水和物4738部を混合す
ることにより調製する。
【0034】
実施例4−92
実施例3を繰返すが、実施例で使用した量に代えて以下の表に示した成分量を用いる。
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
実施例93
US3991761に記載のようなカプセル吸入器での使用に適当なゼラチンカプセル
を調製する。各カプセルは、エアジェットミルで平均粒径1から5μmまでに磨り潰した
フォルモテロールフマレート二水和物12μg、同様に平均粒径1から5μmにまで磨り
潰したモメタゾンフロエート250μgおよび212μm未満の粒径を有するラクトース
一水和物24738μgを混合することにより得たドライパウダーを含む。
【0040】
実施例94−152
実施例93を繰返すが、実施例で使用した量に代えて以下の表に示した成分量を用いる

【表8】
【0041】
【表9】
【0042】
実施例153−176
実施例3を繰返すが、実施例で使用した量に代えて以下の表に示した成分量を用いる。
【表10】
【0043】
実施例177−281
実施例93を繰返すが、実施例で使用した量に代えて以下の表に示した成分量を用いる

【表11】
【0044】
【表12】
【0045】
【表13】
【0046】
【表14】