【実施例1】
【0022】
本発明の具体的な実施例1について
図1〜4に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、小便を受けるためのものであって、所定高さを有し、平面視V字状にして所定間隔を置いて対設された左右の第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3を有し、更に、一端縁部が前記第一小便受け面部2の内端縁部に連設され、他端縁部が前記第二小便受け面部3の内端縁部に連設された凹条部4を有し、前記第一小便受け面部2の内端縁部若しくは前記凹条部4には、内方に向かって突出する可撓性を具備した逆流防止弁体5が設けられたものである。
【0024】
また、本実施例は、小便を受ける小便受け装置Nとして、便器1に配置して小便をした際に該小便が便器1の周囲へ飛散するのを防止する小便飛散防止装置を採用している。
【0025】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0026】
第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3は、
図1〜4に図示したように適宜な合成樹脂製部材で形成した方形板状体(高さ約30cm,奥行き約20cm)であり、この平面視V字状に連設する第一小便受け面部2と第二小便受け面部3とのなす内角Rは90度未満(鋭角)に設定されている。尚、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3は金属製や木製などでも良く、また、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3の大きさを可変自在に設けても良い。
【0027】
この第一小便受け面部2と第二小便受け面部3とのなす内角Rは、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3が回動して可変可能に構成されている。
【0028】
具体的には、第一小便受け面部2の上端部には板状の第一上連結部2aが内端方向に突設され、第二小便受け面部3の上端部には板状の第二上連結部3aが内端方向へ突設され、この第一上連結部2aの先端部と第二上連結部3aの先端部とは、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3の内端縁部に沿設される軸部材8の上端部に枢着されており、更に、第一小便受け面部2の下端部には板状の第一下連結部2bが内端方向に突設され、第二小便受け面部3の下端部には板状の第二下連結部(図示省略)が内端方向へ突設され、この第一下連結部2bの先端部と第二下連結部の先端部とは、前述した軸部材8の下端部に枢着されている。
【0029】
従って、軸部材8との枢着部を支点に各連結部を回動することで、第一小便受け面部2と第二小便受け面部3とは互いに連設する内端連設部位を支点部として擺動自在となり、よって、不使用時にはコンパクトな状態とすることができる。
【0030】
凹条部4は、
図1〜4に図示したように適度な可撓性を有する合成樹脂製部材(ゴム部材)で形成されたシート体で構成され、一端縁部の外面部が第一小便受け面部2の内端縁部の外面部に連設され、他端縁部の内面部が第二小便受け面部3の内端縁部の外面部に連設され、中央部を円筒状に折り返し状態に設けて構成されている。尚、連結凹条体4は金属製や木製などでも良く、また、連結凹条体4は可撓性を有しない硬質のものでも良いが、可撓性を有する部材を用いることで、流入する小便30を撓み変形しながら受け流す為、後述する小便30の流速を低減し螺旋状に整流する目的に適している。
【0031】
また、凹条部4は、上下両端部が開口状態に設けられており、下端開口部は、凹条部4を流下した小便30を排出する小便排出口4aとして構成されている。尚、上端開口部は、凹条部4内を視認し得る窓として機能し、使用者は、使用に際してこの凹条部4内の様子を見ようとすることで、小便30を行う際の立ち位置が自然と便器1に近付くこととなり、このことから、小便30の滴下によって床などを汚すことを防止する効果が期待される。
【0032】
また、本実施例は、凹条部4の内面部の形状が、凹条部4に入った小便30が螺旋流(回転流)を生じる形状に設定されている。
【0033】
具体的には、凹条部4は、
図4に図示したように第一小便受け面部2の外面部側で巻回状態に設けられており、凹条部4に入った小便30を側方へ誘導して螺旋流を生じさせるように構成されている。尚、凹条部4を流下する小便30を螺旋流とするための構成としては、前述の他にも凹条部4の内面部を螺旋形状とすることで達成しても良い。
【0034】
また、この凹条部4の一部は逆流防止弁体5として構成されている。
【0035】
具体的には、
図3,4に図示したように凹条部4の一端縁部にして第一小便受け面部2に連設する部位における残余の部位を、第一小便受け面部2の内端縁部から突出状態に設けて構成されており、この逆流防止弁体5の突出方向の先端部は凹条部4の他端縁部の内面部に当接状態(若しくは近接状態)となり該凹条部4(開口部)を閉塞するように構成されている。
【0036】
従って、逆流防止弁体5は適度な可撓性を有し、この逆流防止弁体5に小便30が衝突した際、撓み変形して小便30の通過を許容することになる(
図3参照)。
【0037】
尚、逆流防止弁体5の先端部を第二小便受け面部3の内面部に当接状態(近接状態)とするようにしても良いし、また、逆流防止弁体5を第二小便受け面部3から若しくは第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3の双方から突設しても良いし、また、逆流防止弁体5は凹条部4と別体のもので構成しても良い。
【0038】
また、本実施例は、便器1に対する配置した状態を保持する配置保持手段を有する。
【0039】
具体的には、この配置保持手段は、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3夫々の外端部の下部に突設される突状体9aと、軸部材8の上端部に連結される棒状体10とで構成されている。
【0040】
突状体9aは、
図1,2に図示したように後述する洗浄液供給手段の一部(管状部材9の先端部)で構成され、便器1(便座)の縁部に係止する形状に形成されている。
【0041】
棒状体10は、
図1,2に図示したように軸部材8の上端部に連結される連結部材10aの先端部に枢着される第一部材10bと、この第一部材10bの先端部に枢着される第二部材10cとで構成され、この第一部材10b及び第二部材10cを直線状態としたり折り畳み状態としたりすることができる。尚、棒状体10は折り畳み構造に限らず伸縮構造でも良い。
【0042】
また、第二部材10cの先端部には固定部としての吸盤部10dが枢着されている。
【0043】
従って、この配置保持手段は、突状体9aを便器1の開口部1’の先端側縁部に係止するとともに、直線状態とした棒状体10の吸盤部10dを便器1の蓋1aに吸着させることで、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3を便器1の上方位置に配置した状態を保持することができる。
【0044】
また、本実施例では、
図1に図示したように便器1の蓋1aの内面部に蓋11a付きの収納ボックス11を設けており、棒状体10を折り曲み状態とするとともに、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3を擺動させて重合させ、コンパクトな状態とした本実施例に係る小便受け装置Nをこの収納ボックス11に収納し得るように構成されている。
【0045】
尚、収納ボックス11は、便器1の蓋1aの内面部に限らず、トイレルームの壁や床に設けても良い。
【0046】
洗浄液供給手段は、
図1,2に図示したように第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3夫々の上端部と外端部に沿設状態となる管状部材9と、この管状部材9に洗浄液を供給する図示省略の洗浄液供給装置とで構成されており、この管状部材9の周面に形成された孔部9bから第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3夫々の内面に洗浄液が供給されるように構成されている。
【0047】
この洗浄液供給手段を構成する洗浄液供給装置としては、専用の装置でも良いし、水道でも良いし、便器1の貯水タンクの水をポンプ(例えば手動ポンプ)を介して供給するようにしても良い。また、洗浄液は水でも薬液でも良い。
【0048】
従って、この洗浄液により使用後の第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3の内面部を洗浄することができる。尚、洗浄液は小便を行っている最中に第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3夫々の内面部に流しておいても良い。
【0049】
また、管状部材9の先端部は、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3夫々の外端部の下方部位から突出状態に設けられており、適宜折り曲げ形成されて前述した配置保持手段の突状体9aとして構成されている。
【0050】
以上の構成から成る本実施例に係る小便受け装置Nの使用状態について説明する。
【0051】
配置保持手段を用いて便器1に配置する。
【0052】
具体的には、突状体9aを便器1の開口部1’の先端側縁部に係止するとともに、直線状態とした棒状体10の吸盤部10dを便器1の蓋1aに吸着させることで、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3を便器1の上方位置に配置した状態を保持する。
【0053】
続いて、小便受け装置Nに目がけて小便30を行うと、小便30は連結凹条体4へ入る。この際、小便30は直に凹条部4に入る場合と、左右の第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3に誘導されて凹条部4に入る場合がある。
【0054】
この凹条部4に入った小便30は該凹条部4を流下するが、この凹条部4で流下する時点において小便30の勢いは低減されている。
【0055】
具体的には、凹条部4に入ることで小便30は螺旋流となり(流速の速い直線運動から回転運動に変換されて)流速が低減され、凹条部4を緩やかに流下し、よって、この凹条部4から排出された小便30が、例えば便器1や便器1内の水に衝突したとしても便器1の周囲まで達するほど飛散することはない。
【0056】
しかも、この凹条部4に入った小便30は逆流防止弁体5により第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3の内面部側に逆流することが防止される。
【0057】
また、前述したように逆流防止弁体5の一部が撓んで小便30が凹条部4に入るが、この凹条部4に小便30が入る部位以外の部位は螺旋流となっている小便30により内側から押圧されて閉塞状態が保たれて逆流することが防止される。また、小便30が凹条部4に入る部位においても当該部位で直ちに凹条部4に入らず停滞する(盛り上がった状態となる)一部の小便30がシールドの機能を発揮してこの部位からも逆流することが防止される。
【0058】
よって、本実施例によれば、小便30が便器1の周囲へ飛散することを防止することができる。
【0059】
また、本実施例は、逆流防止弁体5の先端部は凹条部4の内面部に当接状態若しくは近接状態に設けられているから、より確実に小便30の逆流を防止することができる。
【0060】
また、本実施例は、凹条部4の内面部の形状が、凹条部4に入った小便30が螺旋流を生じる形状に設定され、且つ、連結凹条体4は可撓性を有して流入する小便30を撓み変形しながら受け流す為、小便30を螺旋状に整流しつつ該小便30の流速を確実に低減することができ、しかも、逆流防止弁体5の機能を良好に発揮させることになる。
【0061】
また、本実施例は、第一小便受け面部2と第二小便受け面部3とのなす内角Rは90度未満に設定されているから、小便30の飛散を防止し、しかも、小便30を凹条部4へ良好に誘導することができる。
【0062】
また、本実施例は、第一小便受け面部2と第二小便受け面部3とのなす内角Rは、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3が回動して可変可能に構成されているから、コンパクトな状態とすることができ、収納したり持ち運んだりする際に便利となる。
【0063】
また、本実施例は、便器1に対する配置した状態を保持する配置保持手段を有するから、小便30を行った際に不意に動いたりせず確実に小便30の飛散を防止する効果を発揮することになる。
【0064】
また、本実施例は、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3夫々に洗浄液を供給する洗浄液供給手段を有するから、常に衛生的な状態を維持することができる。
【実施例3】
【0072】
本発明の具体的な実施例3について
図6に基づいて説明する。
【0073】
本実施例は、小便を受ける小便受け装置Nとして、便器1(男性用壁掛型小便器)を採用した場合である。
【0074】
具体的には、第一小便受け面部2,第二小便受け面部3及び凹条部4を具備し、この第一小便受け面部2,第二小便受け面部3及び凹条部4を適宜な陶製部材で一体成形したタイプである。尚、第一小便受け面部2,第二小便受け面部3及び凹条部4は合成樹脂製でも金属製でも木製でも良い。
【0075】
また、第一小便受け面部2の内端部には、適度な可撓性を有する合成樹脂製部材から成る逆流防止弁体5が設けられている。
【0076】
また、第一小便受け面部2及び第二小便受け面部3夫々の下端部の間には小便受け部17が設けられている。
【0077】
この小便受け部17には、前述した実施例2の小便受け部12のように、第一小便受け面部2’,第二小便受け面部3’,凹条部4’及び逆流防止弁体5’は設けられていない。即ち、実施例2は床置型であり、小便30を行った際に小便受け部12までの落下高さが高い為にこの落下した小便30の飛散を防止する構造が必要であるが、この点、本実施例は、後述する昇降装置15を具備することで便器1の高さ位置を調節して小便30の落下高さを可及的に抑制することができるから、小便受け部17には小便30の飛散を防止する構造は不要となる。
【0078】
また、本実施例は、凹条部4に取付板体14を一体成形しており、この取付板体14をトイレルームの壁面に設置される昇降装置15のスライド体15bに取り付けられるように構成されている。
【0079】
昇降装置15は、ガイドレール15aとこのガイドレール15aをスライドするハンドル付きのスライド体15bとで構成されている。
【0080】
従って、本実施例に係る便器1は昇降装置15を介して昇降自在となり、使用者の使い易い高さに調整することができる。この便器1を昇降自在に設けることによっても、使用者が使用に際して上端開口部から凹条部4内の様子が見れるようにすることができて、小便30を行う際の立ち位置を自然と便器1に近付かせることができ、ひいては小便30の滴下によって床などを汚すことを防止する効果が期待される。
【0081】
符号16は便器1の昇降に追従する可撓性を有する小便排出ホースである。
【0082】
その余は実施例1と同様である。
【0083】
尚、本発明は、実施例1,2,3に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。